JP4754560B2 - 自動車用の支持システム及びサスペンションシステム - Google Patents

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Description

本発明は、自動車の地面接触(接地)システム、特に、サスペンション要素に関してホイールのキャンバ自由度を考慮に入れたホイールサスペンション及び支持システムに関する。「地面接触システム」という用語は、車両の本体及び車両が走行している地面に対して働き又はこれら相互間の関係に影響を及ぼす存在している全ての要素及び機能を含む。かくして、地面接触システムの部分は、特に、次の要素、即ち、タイヤ、ホイール、ホイール軸受、ホイールキャリヤ、制動要素、サスペンション要素(アーム、ウィッシュボーン、フォースストラット等)、ばね、ダンパ、関節部、防振要素、アンチロールシステム、アンチブロッキングシステム、アンチスキッドシステム、操舵システム及び経路制御システムである。
本発明は、乗用車及びレーシングカーに関する。
国際公開第01/72572号パンフレットは、サスペンション要素に対するホイールのキャンバ自由度を計算に入れたホイール支持装置を記載している。この自由度は、例えば、車両のローリングパラメータの関数としてジャッキにより積極的な仕方で又は接触領域においてホイールに及ぼされる力によって受動的に制御される。
欧州特許出願第1247663号明細書も又、かかるシステムに関しており、ホイールキャリヤとサスペンション要素との間に関節連結された実質的に垂直の軸線回りに回動する要素を用いることによりホイールのキャンバ運動を案内することを提案している。
欧州特許出願第1275534号明細書又、かかるシステムに関しており、サスペンション要素に対するホイールキャリヤのキャンバ運動を案内するよう湾曲したスライドバーを用いることを提案している。
これらシステムの設計に見られる問題のうちの1つは、大きな力を地面接触システム、特に、タイヤ、ホイールキャリヤ及びサスペンションを介して道路から本体に(逆に、本体から道路に)伝えなければならないということに起因している。これら力により、大きな機械的応力が生じ、かかる大きな機械的応力に起因してもっぱらホイールの案内精度及びシステムの信頼性に影響が及ぶ。車体から見て、道路によって伝達される力は一般に、次のように、即ち、横方向力(水平であってホイール平面に垂直)、長手方向力(水平であってホイール平面に平行)、垂直力、「スピン」トルクと呼ばれるトルク(ホイールの軸線回り)、「転倒」トルクと呼ばれるトルク(長手方向軸線回り)及び「自動調心」トルク(垂直軸線回り)に分けられる。道路により伝達されるこれら力に加えて、ホイールは、これが受ける慣性力に起因する力、特に、カーブで作用する遠心力を車体に伝える。
上述の欧州特許出願明細書に記載された支持及びサスペンションシステムでは、従来型サスペンションシステムと比較して、車体に対して幾分かのホイールキャンバを可能にする自由度が提供されている。この追加の可動性は、幾つかの互いに異なる仕方で得られるが、これら全てに共通していることは、部品及び関節部の数を増大させると、全体としてシステムの剛性及び(又は)頑丈さが減少する傾向にあるということである。さらに、種々の要素の断面を拡大することによってこの剛性不足を補償することは困難である。というのは、利用できるスペースが全体として限られているからである。事実、かかる可変キャンバサスペンションは好ましくは、占有されるスペースの関連で見いだされた妥協策(「パッケージング」という用語も用いられている)を損なうべきではない。
したがって、これらシステムの問題は、これらシステムの剛性が、特に長手方向力、自動調心トルク及びローリングトルクとの関連で申し分のないほどの剛性よりも低いということにある。
国際公開第WO01/72572号パンフレットにおいて、サスペンション要素に対するホイールのキャンバ運動の瞬間回転中心を地面のレベル(高さ位置)の下に配置して接触領域で作用する横方向力がホイール平面を所望の方向に傾斜させがちなトルクを発生させるようにすべきであるということが、受動式システムについて提案されている(この瞬間回転中心は、国際公開第01/72572号パンフレットにおいては「第1の瞬間回転中心」と呼ばれている)。しかしながら、この条件下においては、横方向力がホイールを所望の方向に傾斜させようとするトルクをキャンバ軸線回りに発生させるが、キャンバ変動の観点から見た効率は、用いられる形態に応じて大きな違いがある。しかしながら、実際には、接触領域における力に対するキャンバの感度は、重要な判断基準である。実際、受動的キャンバ変動が最大勾配の点から見ると、予測可能であって安定性があり且つ満足のいくものであるようにホイール支持及びサスペンションシステムを設計することが模索されているのが通例である。これは、特に高性能車両にとって特に重要である。かかる車両では、最適性能に関する調査項目には、長手方向及び横方向グリップの最適化が含まれる。この最適化は、ホイールのキャンバ角が常時タイヤの作動にとって理想的である場合にのみ可能である。タイヤグリップの観点からの理想的なキャンバは、接触領域における圧力の分布の最適化を可能にするキャンバ、即ち、例えば、タイヤがスリップしているとき(典型的には、カーブを回っている際)のタイヤの側方変形に起因して接触領域における圧力分布に及ぼされる影響の補償を可能にするキャンバである。
本発明の目的は、作動が好ましくは本質的に受動式であり、上述の欠点のうちの少なくとも幾つかを解決できるシステムを提案することにある。
国際公開第01/72572号パンフレット 欧州特許出願第1247663号明細書 欧州特許出願第1275534号明細書
この目的は、自動車のホイールをサスペンション要素に連結するよう設計された支持システムであって、前記支持システムが、前記サスペンション要素に対するキャンバの自由度をホイールキャリヤに与える上開き手段を有し、前記上開き手段が、トリプルヒンジを有し、前記トリプルヒンジが、3本の本質的に長手方向の軸線を有し、前記トリプルヒンジが、2つのフランジ及び2つのレバーを有し、前記レバーが各々、前記2つのフランジの各々にそれぞれ取り付けられ、前記レバーが、一方においては前記ホイールキャリヤに取り付けられ、他方においては前記サスペンション要素に取り付けられ、前記ホイールキャリヤのキャンバ運動が、瞬間回転中心(CIRr/s)回りに生じ、前記瞬間回転中心(CIRr/s)の横方向位置とホイールベースの横方向位置が、側方距離“dl”だけ互いに離れており、前記支持システムは又、前記側方距離(dl)が0°〜−3°のキャンバ振れの際、40mm未満のままであるように構成されていることを特徴とする支持システムによって達成される。
好ましくは、前記側方距離(dl)は、0°〜−4°、好ましくは0°〜−5°、好ましくは0°〜−6°、好ましくは0°〜−7°、好ましくは0°〜−8°のキャンバ振れの際、好ましくは実用上の負のキャンバ振れ全体にわたり40mm未満のままであるように構成されている。
好ましくは、前記側方距離(dl)は、20mm未満、好ましくは10mm未満のままであるように構成されている。
好ましくは、前記側方距離(dl)は、0°〜+1°、好ましくは0°〜+2°、好ましくは0°〜+3°、好ましくは0°〜+4°、好ましくは0°〜+5°、好ましくは0°〜+6°、好ましくは0°〜+7°、好ましくは0°〜+8°のキャンバ振れの際、好ましくは実用上の正のキャンバ振れ全体にわたり40mm未満、好ましくは20mm未満、好ましくは10mm未満のままであるように構成されている。
好ましくは、前記瞬間回転中心(CIRr/s)は、地面レベルの下であって前記地面から垂直距離のところに位置し、前記支持システムは又、最大の正のキャンバ振れに対応した前記垂直距離がゼロキャンバに対応した前記垂直距離よりも大きい。
好ましくは、前記支持システムは、前記最大の正のキャンバに対応した垂直距離がゼロキャンバに対応した垂直距離の1.5倍、好ましくは2.5倍であるように構成されている。
好ましくは、前記ホイールキャリヤと中間支持体との間で作用するキャンバダンパを更に有する。
本発明は又、アクスル用のサスペンションシステムであって、アクスルの2つのホイールの各々について、上述の支持システムを有するサスペンションシステムに関する。
好ましくは、前記サスペンションシステムは、前記2つのホイールのキャンバ運動をリンクさせることができるキャンバ連結手段を更に有する。
また、前記キャンバ連結手段は、前記アクスル上の各ホイールの前記ホイールキャリヤと前記中間支持体との間で作用する2つのジャッキ相互間にリンクを用いることが好ましい。
変形例として、前記キャンバ連結手段は、前記アクスル上の各ホイールの前記ホイールキャリヤ相互間で作用する機械的リンクを有する。
好ましくは、前記サスペンションシステムは、少なくとも1本の上側アーム及び少なくとも1本の下側アームを更に有し、前記下側アームは、前記トリプルヒンジの内側のフランジに直接連結され、前記上側アームは、前記トリプルヒンジの外側フランジに取り付けられたレバーに直接連結されている。
本発明は又、上述のサスペンションシステムを有する自動車に関する。
本発明の内容は、図面の簡単な説明により一層よく理解されよう。
種々の図において、同一又は類似の要素は、同一の参照符号を備えている。したがって、これらの説明については系統的に繰り返すことをしない。
図1は、本発明の車両を概略的に示している。以下の説明は、図の左側の部分に焦点を当てている。サスペンションシステム1は、中間支持体4に対するホイール2のキャンバの変動を可能にするホイール支持システムを有する。中間支持体4は、本質的に垂直のサスペンション運動を可能にするようそれ自体公知の仕方で他のサスペンション要素(アーム、ウィッシュボーン、ばね)に連結されている。本発明によれば、ホイールキャリヤ3は、本質的に2つの別個独立の機能を有するキャンバ手段を介して中間支持体4に連結されている。これら機能のうちの第1のものは、平面運動を可能にし、「トリプルヒンジ」後によって具体化された連結である。トリプルヒンジ5は、3つの軸線、即ち、内側フランジ53を中間支持体4に連結する内側軸線23、外側フランジ52をホイールキャリヤ3に連結する外側軸線25及び内側フランジ53と外側フランジ52を互いに連結する中央軸線24に沿って関節連結されている。これら軸線は本質的に長手方向であり、即ち、本質的に水平であってホイール平面2に平行である。この連結により、キャンバ平面内における中間支持体4に対するホイールキャリヤ3の運動が可能になる一方で垂直軸線及び横方向回りの相対回転が効果的に阻止される。第2の機能は、キャンバ平面内におけるホイールキャリヤの運動中、ホイールキャリヤを舵取りする機能であって、トリプルヒンジ5のフランジ53,52にそれぞれ取り付けられたレバー54,55を介して実行される。トラックロッド56,57が、一方においてレバー54,55の上端部をホイールキャリヤに連結し、他方において、中間支持体4に連結している。図で理解できるように、トリプルヒンジ5及びそのレバー54,55は、ホイールキャリヤとサスペンション要素との間に介在して位置する1丁の鋏のように働く。キャンバ平面内における中間支持体4に対するホイールキャリヤ(及びホイール2)の動力学的挙動を定めるのが、この1丁の鋏の形態である。
図2は、本発明の上開き手段の好ましい実施形態を示している。この図は、図1に記載した原理に従ってトリプルヒンジ5、レバー54,55及びトラックロッド56,57を示している。ホイールキャリヤ及び中間支持体は、図示されていない。この図では、剛性の観点におけるトリプルヒンジ5のフランジ52,53の効果を明確に理解できる。これとは対照的に、トリプルフランジ5のフランジ52,53にそれぞれ取り付けられていて、キャンバ平面内における運動を案内する機能を有するに過ぎないレバー54,55は、非常に大きな機械的力を支持する必要はない。レバー54,55は好ましくは、必要ならば交差できるようにするために互いに対してオフセットしている。
図3は、本発明の他の特徴の細部を示すために図1の左側の部分を繰り返し示している。この図では、ホイール2は、ゼロキャンバの位置で示されている。中間支持体4に対するホイール2(及びホイールキャリヤ3)の瞬間回転中心(CIRr/s)のキャンバ平面内における位置は、次のようにして、即ち、一方においては、トリプルヒンジ5の外側フランジ52の向きに対応した線Aとトラックロッド56の向きに対応した線Bの交点(G)を求め、他方において、トリプルヒンジ5の内側フランジ53の向きに対応した線Cと内側トラックロッド57の向きに対応した線Dの交点(H)を求め、次に、点Hとホイールキャリヤ3上の外側フランジ52のピボット(外側軸線25)を結ぶ線Eを引き、点Gと中間支持体4上の内側フランジ53のピボット(内側軸線23)を結ぶ線Fを引き、次に、中間支持体に対するホイールキャリヤ3のキャンバ運動の瞬間回転中心(CIRr/s)が線Eと線Fの交点のところに位置するようにすることによって図式的に求められる。理解されるように、瞬間回転中心の位置は、このシステムの多くの部品の幾何学的特徴及び位置の組み合わせの結果である。この特定の例では、図示のホイールの垂直位置において、瞬間回転中心は、地面の高さ位置の下に位置する。さらに、ゼロキャンバ位置では、回転中心は、本質的にホイール平面(PR)内に位置し、これは、本発明の好ましい特徴である。
ホイール平面(PR)は、ホイールの軸線に垂直であって、ホイールのキャンバがゼロであるときに地面接触領域の中心を通るホイールに関連した平面である。ホイールが傾くと、ホイール平面も又傾き、この場合、もはや接触領域の中心を通らない場合がある。これは、例えば、タイヤがカーブを曲がっているときに受ける横方向力によりタイヤが変形した場合である。
「ホイールベース」は、ホイール平面(PR)と地面(S)の交線(BR)である。
従来自動車分野においては、ホイールのキャンバ角は、ホイールが車両の外部に向かって傾けられたときは正と呼ばれ、ホイールが内側に向かって傾けられたときには負と呼ばれている。かくして、基準は、車両に対して長手方向である垂直平面(PV)である。
図4は、図3と似ているが、システムを負のキャンバ位置で示している。ホイール平面PRは、数度(α)だけ内方に傾けられている。また、トリプルヒンジのフランジ及びレバーの位置並びにトラックロッドの位置は、図3と比較して変化していることが理解できる。上述した図で示した構造と類似した図で示した構造により、瞬間回転中心(CRIr/s)の位置を求めることができる。この例では、上述の位置は、僅かに変化したことが分かる。ホイールベースBRは、ここでは車両の内側に向かって僅かに動いている。瞬間回転中心(CIRr/s)の位置をホイールベースBRから側方に(又は横方向に)離す距離を「側方距離」(BR)と呼ぶとすると、図で用いられているインデックス(BR;Y;Z)に従って、YCIRが瞬間回転中心(CIRr/s)の横方向位置であり、YBRがホイールベース(BR)の横方向位置であるとすれば、側方距離(dl)は、差YCIR−YBRの絶対値に等しい。図では、側方距離は、瞬間回転中心をホイールベース(BR)から延びる垂直線から分離する距離として視覚化できる。
本発明の本質的な特徴は、この側方距離に関する。本発明によれば、支持システムは、0°〜−3°のキャンバ振れの際、側方距離が40mmを超えることはなく、好ましくは20mmを超えることはなく、更により好ましくは10mmを超えることがないように構成されなければならない。システムにより大きな逆キャンバ角(−4°,−5°,−6°,−7°,−8°等)に達することができる場合、同一の最大側方距離も又、好ましくは有用な負のキャンバ振れの全体にわたり考慮しなければならない。
本発明の支持システムの好ましい特徴は、正のキャンバ振れの際、側方距離(dl)が同一であることに関している。
図5は、本発明の好ましい実施形態に関し、実際に−6°〜+6°のキャンバ振れの際、側方距離の変化状況を示している。負のキャンバに関して達せられる最大側方距離は、この場合、−6°の角度に関して約7mmである。負の距離の値は、瞬間回転中心がホイールベースの外部に位置していることを意味している(これは又、図4に示す場合でもある)。正のキャンバに関して達せられる最大側方距離は、この場合、+3.5°の角度で約2.5mmである。この場合、ゼロキャンバ角度に関し側方距離がゼロであることに注目されたい。
本発明の支持システムの好ましい特徴は、地面の高さ位置(S)に対する瞬間回転中心の垂直位置に関する。ゼロキャンバでの瞬間回転中心は好ましくは、地面より垂直距離(Z0)下のところに位置する。好ましくは、このシステムは又、最大の正のキャンバ振れに対応した垂直距離(ZMAX)がゼロキャンバに対応した垂直距離(Z0)よりも大きいように構成されている。より好ましくは、ZMAXは、Z0の1.5倍以上、より好ましくは、Z0の2.5倍以上である。
図6は、本発明の好ましい実施形態に関し、実際に−6°〜+6°のキャンバ振れの際における垂直距離の変化状況を示すグラフ図である。負の距離の値は、瞬間回転中心が地面の高さ位置よりも下にあることを意味している。この例では、Z0は、約110mmであり、ZMAXは、約300mm(+6°に近い最大キャンバに関し)。かくして、この例では、ZMAXは、Z0の2.5倍以上である。
図7は、キャンバ連結手段により、ホイール2のキャンバ運動を反対側のホイールのキャンバ運動にリンクさせることができる本発明の実施形態を概略的に示している。連結手段は、例えば、ホイールキャリヤ3により制御され、ロッカー11により反対側のホイールキャリヤに連結された反対側のスラストロッド12に作用するスラストロッド10の図示の形態を取るのがよい。スラストロッド及びロッカーの幾何学的形態は、一方のホイールの他方のホイールに対するキャンバの所与の挙動を得るようになっているのがよい。事実、例えば、カーブに沿って各ホイール(内側及び外側)の互いに異なるキャンバの変動を得るのが有利な場合がある。本発明のこの実施形態の原理は、各ホイールに独立して伝えられるエネルギーの比率とは独立にアクスルに取り付けられている両方のホイールの一貫性のあるキャンバ変動を得るために地面により各ホイールに伝達されるエネルギーを組み合わせることにある。ブロッキング又はアクティブな制御手段も又、このリンクに含むことができる。例えば、ロック装置は、直線において車両を安定化させるために所与の横方向加速度しきい値を超えるキャンバ運動を阻止することができる。
図8は、図2に部分的に記載された上開き手段を有する本発明のサスペンションシステムの実施形態を示している。この例では、このサスペンションシステムは、それ自体公知のマクファーソン(MacPherson)型サスペンションを利用している。フォースストラット41は、その上側取り付け部(図示せず)、下側ウィッシュボーン71及びトラックロッド72によってシャーシに対して案内される。フォースストラット41の下側部分は、この場合、先の図における中間支持体(4)の一部の役割を果たす。本発明によれば、長手方向力及び自動調心及びローリングトルクは、トリプルヒンジ5によって吸収される。レバー54,55を通る応力は、これらが上開きトルク及び横方向力の一部(減少した一部)を含むに過ぎないので減少する。本明細書において説明したアーキテクチャを国際公開第01/72572号パンフレットの図2のアーキテクチャと比較した場合、本発明により得られる剛性に関する貢献度について容易に理解できる。
上開き当接部(58,59)を用いると、上開き運動の度合を制限することができる。この好ましい実施形態では、逆キャンバ当接部58は、内側レバー54とフォースストラット41との間に配置され、キャンバ当接部59が、内側レバー54とホイールキャリヤ3との間に配置されている。これら当接部は又、これらの運動制限役割とは別に、システムの受動的挙動に効果的に影響を及ぼすことができる。事実、これらの形状及び寸法は、キャンバ振れの関数として可変剛性及び減衰をもたらすことができる。当接部は好ましくは、エラストマー材料、例えばゴムで作られる。
トラックロッド56,57は、例えば図3に記載した動力学的定義を変えることができるようにするために、これらトラックロッドの長さを変化させることができる手段を有するのがよい。
キャンバダンパ70(これらのロッドの端部が見える)を例えば、フォースストラット41とホイールキャリヤ3との間に配置するのがよく、このキャンバダンパは、本発明の支持システムの受動的挙動に影響を及ぼす追加の手段を構成することができる。変形例として、アクティブな要素、例えばジャッキ(例えば、油圧ジャッキ、空気圧ジャッキ又は電気ジャッキ)により、キャンバのアクティブな制御を可能にすることができる。
図9は、別の角度から見た図8のシステムを示している。この図では、ホイール、下側ウィッシュボーン、フォースストラットの上側部分、操舵ロッド及びキャンバダンパは、図面を読みやすくするために省かれている。したがって、トリプルヒンジ5の軸線23,24,25、逆キャンバ当接部58、キャンバ当接部59、キャンバダンパ又はアクチュエータを受け入れるよう設計されたキャップ7(ホイールキャリヤに設けられる),8(フォースストラットに設けられる)を視覚化するのが容易である。
図10及び図11は、特に車両の駆動アクスル、好ましくはリアアクスルのサスペンション用の本発明の支持システムの別の実施形態の2つの図である。この実施形態と図2、図8及び図9に示す実施形態の大きな差は、伝動シャフト(それ自体図示していない)が特定の構造により通過できるようにすることが可能であるということにある。切欠きが、中間支持体4(図10参照、図11には示さず)及びホイールキャリヤ3(図11参照)に設けられている。レバー54,55も又、同じ目的で偏心している(図11参照)。この例では、中間支持体4は、1対のウィッシュボーン及びトラックロッド(スイベルジョイント73により連結されている)により車体に連結されるよう設計されている。
図12は、本発明の支持システムの別の実施形態を示している。その主な特徴は、この支持システムが中間支持体の内側ロッド(図10のインデックス4,57参照)も用いないでサスペンションアーム及び(又は)ウィッシュボーンに直接連結されるということにある。したがって、利点は、部品及び連結部の数が少ないということにある。この単純化が可能である理由は、アーム又は下側ウィッシュボーン74及び上側ウィッシュボーン75の相対的垂直方向可動性が、本発明の支持システムの内側フランジ53への下側取り付け箇所と外側フランジ52に取り付けられたレバー54への上側取り付け箇所との間の距離の変動を補償するよう利用できるということにある。下側ウィッシュボーン74に対するホイールキャリヤのキャンバ運動に関する瞬間回転中心の位置を、上側ウィッシュボーン75が内側ロッド(図3にインデックス57で示されている)に取って代わったものとして見なされる場合、図3に記載したように定めることができる。好ましくは、サスペンションばね(図示せず)は、下側ウィッシュボーン74で支持される。
図13及び図14は、図12の実施形態とほぼ同じ実施形態を示している。動力学的原理は、同一であって、サスペンション要素(74,75,76)に対するホイールキャリヤ3のキャンバ運動を案内する1丁の鋏(60,61)の原理である。下側ウィッシュボーンに対するホイールキャリヤのキャンバ運動に関する瞬間回転中心の位置を、上側ウィッシュボーン75が内側ロッド(図3にインデックス57で示されている)に取って代わったものとして見なされる場合、図3に記載したように定めることができる。
しかしながら、この実施形態では、ローリング又は自動調心力は、鋏の下側部分(即ち、トリプルヒンジ)によってのみ吸収されるわけではない。というのは、この実施形態では、トリプルヒンジは、その軸線のうちの1つ(図11における内側軸受23)に代えてスイベルジョイントを有しているからである。したがって、力の重要な部分は、外側フレーム60(これは、鋏のアームのうちの1本を構成する)によってホイールキャリヤ3の下側部分から上側サスペンション要素(75;76)に直接伝達される。動力学的定義に関し、内側軸線(23)は、内側フレーム61と下側アーム74との間のスイベルジョイントを通る中心軸線(24)に平行な軸線である。
内側フレーム61(これは、鋏のアームのうちの1本を構成する)は、下側アーム又はウィッシュボーン(この場合、下側ウィッシュボーン74)を従前通りロッド56によりホイールキャリヤ3の上側部分に連結する。アーム76は、操舵アクスルの場合操舵トラックロッドであり又は非操舵マルチアームアクスルの場合ペンチロッドであるのがよい。非操舵アクスルに関し、台形が、ウィッシュボーン(75)とトラックロッド(76)の組立体に取って代わってもよい。伝動シャフトが、システムの中心を通るのがよい。
この実施形態の利点は、操舵力(自動調心トルクに起因して生じる)が図12の場合2つの軸線ではなく又は図1〜図11の例では3つの軸線ではなく、単一の軸線(外側軸線25)を通るということにある。
また、トリプルヒンジの連結機能を実行可能にするため、その軸線は、互いに本質的に平行であって長手方向でなければならないことも又理解されよう。このように平行であることは、必要不可欠であるというわけではなく、或いは精度がより高く又は低くてもよい。軸線が完全に平行ではない場合、キャンバ運動は、操舵運動及び(又は)ローリング運動と結合される。かかる結合は、有利な場合がある。
同一のアクスルのホイール相互間のキャンバ連結手段は、例えば図7に示す単純な機械的手段であってもよい。しかしながら、例えば、運動を相互にリンクさせた油圧ジャッキ又は電気ジャッキを用いるこれとは異なる手段を用いることができ、これは、例えば占有されるスペースの観点において有利な利点を有する場合がある。相互連結油圧ジャッキの形態に構成されたキャンバ連結手段は又例えば、図8に関して説明したキャンバダンピング、ブロッキング又はアクティブな制御機能を実施することができる。
本発明により、非常に有利な受動的な作動が可能になる。また、この受動的作動は、低いエネルギーレベルを利用するアクティブなシステムにとって興味深いことである。これとは対照的に、相当多量のエネルギー(電気エネルギー)を上開きのアクティブな制御に注ぎ込むことが許容される場合、瞬間回転中心の位置に関する本発明の本質的な特徴は、必ずしも必要不可欠であるというわけではない。アクティブな制御においてエネルギー消費量が高いと仮定すると、例えば、スペースが広いことが絶対に必要であることにより多くのウェートを置き、瞬間回転中心の位置を地面の高さ位置よりも遙か上に選択することが可能である。特許文献である欧州特許出願第1275534号明細書は、これらオプションを明確に記載している。
瞬間回転中心の種々の位置並びに側方距離の値及び垂直距離の値は、図3と関連して上述したように図式的に求めることができるが、自動車用サスペンションシステムのこの技術分野の専門家によって現在行われている数値計算によっても求めることができる。
支持システムがその瞬間回転中心の位置に関する所与の基準を満足しているかどうかをチェックするため、次の方法を利用するのがよい。
1−サスペンションがその公称静荷重を支持している場合のシステムの幾何学的形状を求め、即ち、キャンバ平面内における種々の要素の関節箇所の位置、ホイール平面PR及び地面Sの平面をタイヤの通常の使用圧力の状態でタイヤについて求める。
2−キャンバ平面内における瞬間回転中心及びホイールベースの変化曲線を作図する。これは、例えば、段階1で求めた形態から理論的に実施できる。これは又、予想されるキャンバ振れ(例えば、0°〜−3°)をスイープするためにキャンバ変動をホイールキャリヤに意図的に加え、それと同時に、種々の要素の位置に着目してこれらの位置から瞬間回転中心の対応した位置を推定することにより実験的に実施できる。実験的方法を適用するため、中間支持体(又は、場合によっては下側ウィッシュボーン)を地面Sに対し且つ基準平面PVに対し、例えば、この中間支持体を測定ベンチ(大理石)上に固定することにより不動化状態に保つ必要がある。この場合、ホイール又はタイヤを取り外すと有利な場合がある。この実験方法は、当接部又は他の設計上の制約の存在により制限される場合がある。その場合、理論的な方法を少なくとも問題の振れのアクセス不能な部分について用いる必要がある。
3−このようにして求めた変化状況を請求項に記載された特徴と比較する。
本発明の車両の概略平面図である。 本発明のシステムのトリプルヒンジの実施形態の略図である。 図1の車両のサスペンションシステムの概略平面図である。 図1の車両のサスペンションシステムの概略平面図である。 キャンバ角度の関数としての側方距離を示すグラフ図である。 キャンバ角度の関数として垂直距離を示すグラフ図である。 本発明の車両の実施形態の概略平面図である。 マクファーソンフォースストラット(MacPherson force strut)を用いる本発明の実施形態の斜視図である。 マクファーソンフォースストラットを用いる本発明の実施形態の斜視図である。 本発明の別の実施形態の斜視図である。 本発明の別の実施形態の斜視図である。 本発明のサスペンションシステムの別の実施形態の斜視図である。 本発明の別の実施形態の斜視図である。 本発明の別の実施形態の斜視図である。

Claims (13)

  1. 自動車のホイール(2)をサスペンション要素(4,41,74,75,76)に連結するよう設計された支持システム(3,5,54,55)であって、前記支持システムは、前記サスペンション要素に対するキャンバの自由度をホイールキャリヤ(3)に与える上開き手段を有し、前記上開き手段は、トリプルヒンジ(5)を有し、前記トリプルヒンジは、3本の本質的に水平且つホイール平面(2)に平行に延びる軸線を有し、前記トリプルヒンジは、2つのフランジ(52,53)及び2つのレバー(54,55)を有し、前記レバーは各々、前記2つのフランジの各々にそれぞれ取り付けられ、前記レバーは、一方においては前記ホイールキャリヤ(3)に取り付けられ、他方においては前記サスペンション要素に取り付けられ、前記ホイールキャリヤのキャンバ運動は、瞬間回転中心(CIRr/s)回りに生じ、前記瞬間回転中心(CIRr/s)の横方向位置とホイールベース(BR)の横方向位置は、側方距離“dl”だけ互いに離れており、前記支持システムは又、前記側方距離(dl)が0°〜−3°のキャンバ振れ(α)の際、40mm未満のままであるように構成されている、支持システム。
  2. 前記側方距離(dl)は、0°〜−5°のキャンバ振れの際、40mm未満のままであるように構成されている、請求項1記載の支持システム。
  3. 前記側方距離(dl)は、実用上の負のキャンバ振れ全体にわたり、40mm未満のままであるように構成されている、請求項2記載の支持システム。
  4. 前記側方距離(dl)は、20mm未満のままであるように構成されている、請求項1〜3のうちいずれか一に記載の支持システム。
  5. 前記側方距離(dl)は、0°〜+2°のキャンバ振れの際、20mm未満のままであるように構成されている、請求項1〜のうちいずれか一に記載の支持システム。
  6. 前記瞬間回転中心(CIRr/s)は、地面レベル(S)の下であって前記地面から垂直距離(ZCIR)のところに位置し、前記支持システムは又、最大の正のキャンバ振れに対応した前記垂直距離(ZMAX)がゼロキャンバに対応した前記垂直距離(Z0)よりも大きい、請求項1〜のうちいずれか一に記載の支持システム。
  7. 前記支持システムは、前記最大の正のキャンバに対応した垂直距離(ZMAX)がゼロキャンバに対応した垂直距離(Z0)の2.5倍であるように構成されている、請求項記載の支持システム。
  8. 前記ホイールキャリヤ(3)と中間支持体(4;41)との間で作用するキャンバダンパ(70)を更に有する、請求項1〜のうちいずれか一に記載の支持システム。
  9. アクスル用のサスペンションシステムであって、アクスルの2つのホイールの各々について、請求項1〜のうちいずれか一に記載の支持システムを有する、サスペンションシステム。
  10. 前記2つのホイールのキャンバ運動をリンクさせることができるキャンバ連結手段(10,11,12;70)を更に有する、請求項記載のサスペンションシステム。
  11. 前記キャンバ連結手段は、前記アクスル上の各ホイールの前記ホイールキャリヤ(3)と前記中間支持体(4;41)との間で作用する2つのジャッキ(70)相互間にリンクを用いる、請求項10記載のサスペンションシステム。
  12. 前記キャンバ連結手段は、前記アクスル上の各ホイールの前記ホイールキャリヤ(3)相互間で作用する機械的リンク(10,11,12)を有する、請求項10記載のサスペンションシステム。
  13. 少なくとも1本の上側アーム(75)及び少なくとも1本の下側アーム(74)を更に有し、前記下側アームは、前記トリプルヒンジの内側のフランジ(53)に直接連結され、前記上側アームは、前記トリプルヒンジ(5)の外側フランジ(52)に取り付けられたレバー(54)に直接連結されている、請求項記載のサスペンションシステム。
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