JP4753791B2 - ヒートポンプ式給湯機 - Google Patents

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Description

本発明は,圧縮機や膨張器などが設けられたヒートポンプサイクル内に循環する冷媒との熱交換によって水を加熱して給湯するヒートポンプ式給湯機に関し,特に,熱交換効率やエネルギ消費効率などの特性の異なる冷媒を用いた二つのヒートポンプサイクルを具備するヒートポンプ式給湯機に関するものである。
従来から,圧縮機や膨張器などが設けられたヒートポンプサイクル内に循環する冷媒との熱交換によって水を加熱して給湯するヒートポンプ式給湯機が周知である。前記冷媒は,例えば炭酸ガス冷媒やHFC冷媒などである。
ここに,前記炭酸ガス冷媒は,その冷媒の特性として水を高温(例えば90℃程度)まで加熱することができる。一方,前記HFC冷媒は,冷媒の特性上比較的低温(例えば65℃程度)までしか水を加熱することができない。しかし,例えば空調用機器や温水暖房用機器などに用いた場合,エネルギ消費効率(COP)は,前記炭酸ガス冷媒を用いるよりも前記HFC冷媒を用いる方が優れている。
一方,特許文献1には,CO2冷媒(炭酸ガス冷媒の一例)が用いられたヒートポンプサイクル(以下「CO2サイクル」という)と,R410A冷媒(HFC冷媒の一例)が用いられたヒートポンプサイクル(以下「R410Aサイクル」という)とを併せ持つヒートポンプ式給湯システムが示されている。
さらに,前記特許文献1では,前記R410Aサイクルに温水暖房用の閉回路を接続し,前記R410Aサイクルを給湯及び温水暖房で共用することが提案されている。
特開2005−83585号公報
しかしながら,前記特許文献1に示された前記ヒートポンプ式給湯システムは,前記CO2サイクル及び前記R410Aサイクルのいずれか一方だけが選択的に用いられる構成である。したがって,前記ヒートポンプ式給湯システムにおける加熱能力は,前記CO2サイクル及び前記R410Aサイクルの個々による加熱能力が限界である。即ち,前記ヒートポンプ式給湯システムでは,給湯や温水暖房などに必要な加熱負荷を前記CO2サイクル及び前記R410Aサイクルで分散することができない。
ここで,仮に前記R410Aサイクルにおいて,前記R410A冷媒を給湯用と温水暖房用とに分配することにより,給湯及び温水暖房を同時に行う場合を考える。この場合には,前記R410Aサイクルの加熱能力が給湯及び温水暖房に分散されるため,十分な給湯温度や給湯量,温水暖房性能を得ることができないおそれがある。また,給湯及び温水暖房を同時に行う際にも十分な給湯温度や給湯量,温水暖房性能を得ることができるように前記R410Aサイクルを構成することも考えられるが,この場合には,該R410Aサイクルに係る装置の拡大やコストの増大という問題が生じる。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,異なる冷媒が循環される二つのヒートポンプサイクルで加熱負荷を分散することのできるヒートポンプ式給湯機を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明は,第一の冷媒が少なくとも圧縮機及び膨張器を経て循環される第一のヒートポンプサイクルと,前記第一の冷媒と異なる特性を持つ第二の冷媒が少なくとも圧縮機及び膨張器を経て循環される第二のヒートポンプサイクルと,前記第一の冷媒と水との間で熱交換を行う第一の水熱交換器と,前記第二の冷媒と水との間で熱交換を行う第二の水熱交換器と,を備えてなるヒートポンプ式給湯機に適用されるものであって,前記第一の水熱交換器及び前記第二の水熱交換器各々への水の流入の有無と前記第一の水熱交換器及び前記第二の水熱交換器に同時に水を流入させるときの水の割合とを調整する水流入量調整手段と,前記第一の水熱交換器及び前記第二の水熱交換器各々から流出した水を合流させる水合流手段もしくは,前記第一の水熱交換器及び前記第二の水熱交換器各々に流入する水を分配させる水分配手段とを備えて構成される。
このように構成された本発明によれば,前記第一の水熱交換器及び前記第二の水熱交換器各々への水の流入量を調整することにより,当該ヒートポンプ式給湯機における加熱負荷を前記第一のヒートポンプサイクル及び前記第二のヒートポンプサイクルで分散することができる。即ち,前記第一のヒートポンプサイクル及び前記第二のヒートポンプサイクル各々の加熱能力を合わせて用いることができる。したがって,前記第一のヒートポンプサイクル及び前記第二のヒートポンプサイクル各々の装置サイズの拡大やコストの増大を伴うことなく高い加熱能力やエネルギ消費効率を得ることができる。
具体的には,当該ヒートポンプ式給湯機における加熱負荷に応じて前記第一の水熱交換器及び前記第二の水熱交換器各々への水の流入量を調整することで,該加熱負荷に必要な加熱能力を得ることが可能である。
例えば,前記第二の冷媒と室内空気との間で熱交換を行う室内空気熱交換器を備える構成では,該室内空気熱交換器の稼働の有無や設定温度などによって,前記第二の冷媒が循環される前記第二のヒートポンプサイクルの加熱負荷が異なる。そこで,前記室内空気熱交換器の稼働状況に応じて前記第一の水熱交換器及び前記第二の水熱交換器各々への水の流入量を調整することが考えられる。これにより,例えば前記第二のヒートポンプサイクルにおいて,給湯と前記室内空気熱交換器による室内空気の冷暖房とを同時に行う場合に,その給湯の加熱負荷を前記第一のヒートポンプサイクル及び前記第二のヒートポンプサイクルで分散することができ,十分な給湯温度や給湯量,冷暖房性能を得ることができる。
また,前記第一の水熱交換器や前記第二の水熱交換器から吐出された温水を熱媒体に用いる,例えば床暖房装置や風呂追焚回路などの加熱手段を備える構成でも同様に,前記加熱手段の稼働状況に応じて前記第一の水熱交換器及び前記第二の水熱交換器各々への水の流入量を調整すればよい。
ところで,前記第一のヒートポンプサイクルを用いた場合と前記第二のヒートポンプサイクルを用いた場合とでは,前記第一の冷媒や前記第二の冷媒と室外空気との間で熱交換を行う室外空気熱交換器が配設された室外の空気温度が同じであっても,前記第一の冷媒と前記第二の冷媒との特性の差により,エネルギ消費効率に優劣が生じる。
そこで,前記室外空気熱交換器が配設された室外の空気温度を検出し,その温度に応じて前記第一の水熱交換器及び前記第二の水熱交換器各々への水の流入量を調整することが望ましい。例えば,検出された室外の空気温度におけるエネルギ消費効率の高い方のヒートポンプサイクルに設けられた水熱交換器に水を多く流入させることにより高いエネルギ消費効率を得ることができる。
また,本発明は,第一の冷媒が少なくとも圧縮機及び膨張器を経て循環される第一のヒートポンプサイクルと,前記第一の冷媒と異なる特性を持つ第二の冷媒が少なくとも圧縮機及び膨張器を経て循環される第二のヒートポンプサイクルと,前記第一の冷媒と水との間で熱交換を行う第一の水熱交換器と,前記第二の冷媒と水との間で熱交換を行う第二の水熱交換器と,を備えてなるヒートポンプ式給湯機であって,前記第一の水熱交換器及び前記第二の水熱交換器各々への水の流入量を調整する水流入量調整手段及び/又は前記第一の水熱交換器及び前記第二の水熱交換器各々への冷媒の流入量を調整する冷媒流入量調整手段と,前記第一の水熱交換器及び前記第二の水熱交換器各々から流出した水を合流させる水合流手段もしくは,前記第一の水熱交換器及び前記第二の水熱交換器各々に流入する水を分配させる水分配手段と,前記第一の水熱交換器及び/又は前記第二の水熱交換器から吐出された温水を熱媒体に用いる加熱手段とを備えてなり,前記水流入量調整手段及び/又は前記冷媒流入量調整手段が,前記加熱手段の稼働状況に応じて前記流入量を調整するものであることを特徴とするヒートポンプ式給湯機であってもよい。
さらに,本発明は,第一の冷媒が少なくとも圧縮機及び膨張器を経て循環される第一のヒートポンプサイクルと,前記第一の冷媒と異なる特性を持つ第二の冷媒が少なくとも圧縮機及び膨張器を経て循環される第二のヒートポンプサイクルと,前記第一の冷媒と水との間で熱交換を行う第一の水熱交換器と,前記第二の冷媒と水との間で熱交換を行う第二の水熱交換器と,を備えてなるヒートポンプ式給湯機であって,前記第一の水熱交換器及び前記第二の水熱交換器各々への水の流入量を調整する水流入量調整手段及び/又は前記第一の水熱交換器及び前記第二の水熱交換器各々への冷媒の流入量を調整する冷媒流入量調整手段と,前記第一の水熱交換器及び前記第二の水熱交換器各々から流出した水を合流させる水合流手段もしくは,前記第一の水熱交換器及び前記第二の水熱交換器各々に流入する水を分配させる水分配手段と,前記第一の冷媒及び/又は前記第二の冷媒と室外空気との間で熱交換を行う室外空気熱交換器と,前記室外空気熱交換器が配設された室外の空気温度を検出する室外空気温度検出手段とを備えてなり,前記水流入量調整手段及び/又は前記冷媒流入量調整手段が,前記室外空気温度検出手段により検出された室外の空気温度に応じて前記流入量を調整するものであることを特徴とするヒートポンプ式給湯機であってもよい。
本発明によれば,前記第一の水熱交換器及び前記第二の水熱交換器各々への水や冷媒の流入量を調整することにより,当該ヒートポンプ式給湯機における加熱負荷を前記第一のヒートポンプサイクル及び前記第二のヒートポンプサイクルで分散することができる。即ち,前記第一のヒートポンプサイクル及び前記第二のヒートポンプサイクル各々の加熱能力を合わせて用いることができる。したがって,前記第一のヒートポンプサイクル及び前記第二のヒートポンプサイクル各々の装置サイズの拡大やコストの増大を伴うことなく高い加熱能力やエネルギ消費効率を得ることができる。
さらに,前記第一の冷媒や前記第二の冷媒と室外空気との間で熱交換を行う室外空気熱交換器が配設された室外の空気温度などに応じて,前記第一の水熱交換器及び前記第二の水熱交換器各々への水や冷媒の流入量を調整すれば,より高いエネルギ消費効率で運用することが可能となる。
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施の形態に係るヒートポンプ式給湯機Xの概略構成図である。
図1に示すように,前記ヒートポンプ式給湯機Xは,炭酸ガス冷媒の一例であるCO2冷媒が循環されるヒートポンプサイクル1(第一のヒートポンプサイクルの一例,以下「CO2サイクル1」という)と,HFC冷媒の一例であるR410A冷媒が循環されるヒートポンプサイクル2(第二のヒートポンプサイクルの一例,以下「R410Aサイクル2」という)と,水熱交換器61(第一の水熱交換器の一例),水熱交換器62(第二の水熱交換器の一例)と,水流量調整弁63(水合流手段の一例)と,流水経路30a〜30kと,室外空気熱交換器13と,貯湯タンク31と,循環ポンプ34と,流水切換弁41〜45と,風呂追焚回路7(加熱手段の一例)と,を備えて概略構成されている。また,前記ヒートポンプ式給湯機Xは,CPUやRAM,ROMなどを有してなり,当該ヒートポンプ式給湯機Xを統括的に制御する不図示の制御部を備えている。
ここに,前記CO2冷媒は,前記R410A冷媒と異なる特性を持ち,冷媒の特性として水を高温(90℃程度)まで加熱することができるが,エネルギ消費効率(COP)が比較的低い。そのため,前記CO2サイクル1は主に,後述する貯湯運転に用いられる。
また,前記R410A冷媒は,前記CO2冷媒と異なる特性を持ち,CO2冷媒に比べて水を低温(65℃程度)までしか加熱することができないが,エネルギ消費効率(COP)は高いので,比較的低い沸上げ温度に適している。そのため,前記R410Aサイクル2は主に,後述する瞬間給湯運転に用いられる。
なお,前記R410A冷媒の他の例としては,例えばR407C/E,R404A,R507A,R134a等がある。また,前記ヒートポンプ式給湯機Xに用いられる二つの異なる冷媒は,炭酸ガス冷媒及びHFC冷媒に限られるものではなく,熱交換効率やエネルギ消費効率などの特性が異なる二つの冷媒を用いればよい。
前記流水経路30aは,給水口から前記貯湯タンク31,前記循環ポンプ34,前記流水切換弁41を経て流水経路30cに続く水の流通経路であり,前記流水経路30bは,給水口或いは流水経路30hから前記流水切換弁41を経て流水経路30cに続く水の流通経路である。
また,前記流水経路30cは,前記流水切換弁41から,前記水熱交換器61が配設された流水経路30d及び前記水熱交換器62が配設された流水経路30eに続く水の流通経路である。
そして,前記水熱交換器61から流出した前記流水経路30d上の水と,前記水熱効果に62から流出した前記流水経路30e上の水とは,前記水流量調整弁63で合流され,給湯口に続く流水経路30fに流入する。後述すように,前記ヒートポンプ式給湯機Xでは,前記水流量調整弁63で合流される前記流水経路30d上の水及び前記流水経路30e上の水の割合,即ち前記水熱交換器61及び前記水熱交換器62各々への水の流入量が前記制御部によって調整される。なお,本実施の形態では,前記水流量調整弁63が,前記水熱交換器61及び前記水熱交換器62の後段に設けられている場合について説明するが,前記水流量調整弁63が,前記水熱交換器61及び前記水熱交換器62の前段に設けられることも他の実施例として考えられる。この場合,前記水流量調整弁63により前記水熱交換器61及び前記水熱交換器62各々へ水が分配されて流入されることになり,該水流量調整弁63が水分配手段に相当する。
また,前記流水経路30fは,該流水経路30f上に設けられた流水切換弁42,44,45により,前記貯湯タンク31に続く流水経路30g,前記風呂追焚回路7の後述する風呂追焚用熱交換器72が設けられた流水経路30h,前記風呂追焚回路7の後述する浴槽74へ続く流水経路30iと接続されている。したがって,前記制御部によって前記流水切換弁42,44,45が制御されることにより,前記流水経路30f上の水は,前記貯湯タンク31や前記風呂追焚用熱交換器72,前記浴槽74に供給される。
なお,前記流水経路30jは,前記貯湯タンク31から前記流水切換弁43を経て給湯口に続く水の流通経路,前記流通経路30kは,給水口から前記流水切換弁43を経て給湯口に続く水の流通経路である。
前記水熱交換器61では,前記CO2サイクル1に循環されるCO2冷媒と,前記流水経路30d上を流れる水との間で熱交換が行われ,前記水熱交換器62では,前記R410Aサイクル2に循環されるR410A冷媒と,前記流水経路30e上を流れる水との間で熱交換が行われる。
また,前記室外空気熱交換器13は,前記CO2サイクル1に循環されるCO2冷媒や前記R410Aサイクル2に循環されるR410A冷媒と室外空気との間で熱交換を行うことにより該CO2冷媒や該R410A冷媒を加熱或いは冷却するものである。
当該ヒートポンプ式給湯機Xでは,前記制御部(不図示)によって前記各構成要素が制御されることにより,給水口から供給された水を前記水熱交換器61や前記水熱交換器62によって加熱して給湯口から直接給湯する瞬間給湯運転や,前記貯湯タンク31から供給された水を前記水熱交換器61や前記水熱交換器62によって加熱して前記貯湯タンク31に還流する貯湯運転などが行われる。
具体的に,前記瞬間給湯運転では,前記流水切換弁41及び42が前記制御部によって制御されることにより,前記給水口から供給された水が前記流水経路30b,30c,30e,30f,前記給湯口の順に流通する。
これにより,前記水熱交換器62で加熱された温水が前記給湯口から給湯される。なお,このとき前記水流量調整弁63は,前記流水経路30eから前記流水経路30fへ水を流入させ,前記流水経路30dから前記流水経路30fへの水の流入を遮断するように前記制御部によって制御される。但し,後述するように,例えば冷暖房が同時運転される場合には,前記制御部によって前記水流量調整弁63が制御されることにより,前記流水経路30cから前記流水経路30d,30eへの水の流入量が調整される。
ここで,前記瞬間給湯運転が開始してからの一定時間は,前記水熱交換器62による加熱量が十分得られない。そのため,前記瞬間給湯運転の開始からある程度の時間が経過するまでの間は,前記貯湯タンク31に貯留された温水が,前記流水経路30jを経て流水切換弁43において,前記給水口から前記流水経路30kを経て供給される水と混合されて温度調節された後,前記給湯口に供給される。これにより,前記給湯口から瞬時に温水を給湯することが可能である。そして,前記水熱交換器62によって水を十分に加熱することが可能となった時点で,前記貯湯タンク31からの給水は停止され,その後は前記瞬間給湯運転が行われる。なお,前記貯湯タンク31に貯留された高温の温水を前記給水口から供給される水と混合することなく,そのまま給湯することも可能である。
また,前記貯湯運転では,前記制御部によって前記循環ポンプ34が駆動され,前記流水切換弁41及び42が制御されることにより,前記貯湯タンク31から供給された水が前記流水経路30a,30c,30d,30f,前記貯湯タンク31の順に温水が循環される。
これにより,前記水熱交換器61で加熱された温水が前記貯湯タンク31に貯留される。なお,このとき前記水流量調整弁63は,前記流水経路30dから前記流水経路30fへ水を流入させ,前記流水経路30eから前記流水経路30fへの水の流入を遮断するように前記制御部によって制御される。但し,後述するように,例えば冷暖房が同時運転される場合には,前記制御部によって前記水流量調整弁63が制御されることにより,前記流水経路30cから前記流水経路30d,30eへの水の流入量が調整される。
ここで,前記風呂追焚回路7について説明する。
前記風呂追焚回路7は,前記流水経路30h上に設けられた風呂追焚用熱交換器72及び循環ポンプ71と,前記流水経路30i上に設けられた浴槽74と,該浴槽74,前記風呂追焚用熱交換器72及び循環ポンプ73を順に接続する風呂水追焚経路75と,を有して構成されている。
前記風呂追焚回路7では,前記制御部によって前記流水切換弁45が制御されることにより,前記水熱交換器61や前記水熱交換器62で加熱されて前記流水経路30f上を流れる温水が前記浴槽74に供給される。
また,前記風呂追焚回路7では,前記制御部によって前記循環ポンプ71及び前記循環ポンプ73が駆動され,前記流水切換弁44が制御されることにより,前記流水切換弁44から前記風呂追焚用熱交換器72に流入する水と,前記浴槽74から前記風呂水追焚経路75を経て前記風呂追焚用熱交換器72流入する水との間で熱交換が行われる。即ち,前記風呂追焚回路7では,前記水熱交換器61や前記水熱交換器62で加熱されて前記流水経路30f上を流れる温水を熱媒体として,前記浴槽74に貯留された水が加熱(追い焚き)される。なお,前記風呂追焚回路7に換えて,床暖房装置や浴室乾燥機などの加熱手段を用いることも他の実施例として考えられる。
次に,前記CO2サイクル1及び前記R410Aサイクル2各々の構成について説明する。
前記CO2サイクル1は,圧縮機11,前記水熱交換器61,膨張器12,前記室外空気熱交換器13及び前記圧縮機11を順に接続する冷媒循環経路10を有して構成されている。前記冷媒循環経路10では,前記制御部(不図示)によって前記圧縮機11が駆動されることにより,前記CO2冷媒が図示する矢印方向に循環される。これにより,前記CO2サイクル1では,前記圧縮機11において圧縮して吐出された高温高圧の前記CO2冷媒が,前記水熱交換器61において前記流水経路30d上を流れる水と熱交換されて冷却された後,前記膨張器12において膨張する。その後,前記膨張器12で膨張した低温低圧の前記CO2冷媒は,前記室外空気熱交換器13において室外空気と熱交換されて吸熱し気化した後,再度前記圧縮機11に流入する。なお,前記水熱交換器61における前記CO2冷媒と水との流通方向が反対であるため,該CO2冷媒と水との熱交換は効率的に行われる。
一方,前記R410Aサイクル2は,前記R410A冷媒が循環される冷媒循環経路81〜83を有して構成されている。
前記冷媒循環経路81は,圧縮機21,四方弁24,冷媒切換弁51,52,前記水熱交換器62,膨張器22a,冷媒切換弁53,54,前記室外空気熱交換器13,冷媒切換弁56,前記四方弁24及び前記圧縮機21を順に接続するものである。
前記冷媒循環経路81では,前記圧縮機21において圧縮して吐出された高温高圧の前記R410A冷媒が,前記四方弁24及び前記冷媒切換弁51,52を経て前記水熱交換器62に達する。そして,前記R410A冷媒は,前記水熱交換器62において前記流水経路30e上を流れる水と熱交換されて冷却される。その後,前記R410A冷媒は,前記膨張器22aにおいて膨張する。そして,前記膨張器22aで膨張した低温低圧の前記R410A冷媒は,前記冷媒切換弁53,54を経て前記室外空気熱交換器13において室外空気と熱交換されて吸熱し気化した後,前記冷媒切換弁56,前記四方弁24を経て再度前記圧縮機21に流入する。
前記R410Aサイクル2では,前記のように前記R410A冷媒が前記冷媒循環経路81に循環されることにより,前記流水経路30e上を矢印方向に流れる水が,前記水熱交換器62における前記R410A冷媒との熱交換によって65℃程度まで加熱される。なお,前記水熱交換器62における前記R410A冷媒と水との流通方向が反対であるため,該R410A冷媒と水との熱交換は効率的に行われる。
また,前記冷媒循環経路82は,前記圧縮機21,前記四方弁24,前記冷媒切換弁56,52,前記水熱交換器62,前記膨張器22a,前記冷媒切換弁53,55,室内空気熱交換器4,前記冷媒切換弁51,前記四方弁24及び前記圧縮機21を順に接続するものである。前記冷媒循環経路82は,例えば給湯と冷房とを同時に行う場合に用いられる。
前記室内空気熱交換器4は,室内の冷暖房を行う空気調和機(不図示)に設けられ,前記R410Aサイクル2に循環される前記R410A冷媒と室内空気との間で熱交換を行うことにより室内空気を加熱或いは冷却するものである。
前記冷媒循環経路82では,前記圧縮機21において圧縮して吐出された高温高圧の前記R410A冷媒が,前記四方弁24及び前記冷媒切換弁56,52を経て前記水熱交換器62に達する。そして,前記R410A冷媒は,前記水熱交換器62において前記流水経路30e上を流れる水と熱交換されて冷却される。その後,前記R410A冷媒は,前記膨張器22aにおいて膨張する。そして,前記膨張器22aで膨張した低温低圧の前記R410A冷媒は,前記冷媒切換弁53,55を経て前記室内空気熱交換器4において室内空気と熱交換されて吸熱し気化した後,前記冷媒切換弁51,前記四方弁24を経て再度前記圧縮機21に流入する。
前記R410Aサイクル2では,前記のように前記R410A冷媒が前記冷媒循環経路82に循環されることにより,前記流水経路30e上を矢印方向に流れる水が,前記水熱交換器62における前記R410A冷媒との熱交換によって65℃程度まで加熱される。なお,前記水熱交換器62における前記R410A冷媒と水との流通方向が反対であるため,該R410A冷媒と水との熱交換は効率的に行われる。
また,前記室内空気熱交換器4では,前記R410A冷媒と室内空気との間の熱交換より室内空気が冷却されるため,室内の冷房が実現される。即ち,前記冷媒循環経路82では,前記室外空気熱交換器13を用いることなく,前記室内空気熱交換器4における冷房の排熱を利用して給湯を行うことが可能である。
一方,前記冷媒循環経路83は,前記圧縮機21,前記四方弁24,前記冷媒切換弁51,前記室内空気熱交換器4,冷媒切換弁55,膨張器22b,冷媒切換弁54,前記室外空気熱交換器13,前記冷媒切換弁56,前記四方弁24及び前記圧縮機21を順に接続するものである。
前記R410Aサイクル2では,前記R410A冷媒が前記冷媒循環経路83において図示する実線矢印方向に循環されることにより暖房運転が行われ,図示する破線矢印方向に循環されることにより冷房運転が行われる。以下,具体的に説明する。
(1)暖房運転について
ユーザにより前記ヒートポンプ式給湯機Xに対して,不図示の操作部から暖房運転の開始が要求されると,該ヒートポンプ式給湯機Xでは,前記制御部(不図示)によって前記圧縮機21及び前記四方弁24が制御され,前記R410Aサイクル2の冷媒循環経路83において前記R410A冷媒の実線矢印方向の循環が開始される。このとき,前記四方弁24内部では図示する実線経路が確立されている。
具体的には,前記圧縮機21において圧縮して吐出された高温高圧の前記R410A冷媒が,前記四方弁24及び前記冷媒切換弁51を経て前記室内空気熱交換器4に達する。そして,前記R410A冷媒は,前記室内空気熱交換器4において室内の空気と熱交換されて冷却される。その後,前記R410A冷媒は,前記冷媒切換弁55を経て前記膨張器22bにおいて膨張する。そして,前記膨張器22bにおいて膨張した低温低圧の前記R410A冷媒は,前記冷媒切換弁54を経て前記室外空気熱交換器13において室外空気と熱交換されて吸熱し気化した後,前記四方弁24を経て再度前記圧縮機21に流入する。
前記R410Aサイクル2では,前記のように前記R410A冷媒が前記冷媒循環経路83において実線矢印方向に循環されることにより,室内の空気が,前記室内空気熱交換器4における前記R410A冷媒との熱交換によって加熱される。即ち,前記ヒートポンプ式給湯機Xによって暖房が実現される。
(2)冷房運転について
また,ユーザにより前記ヒートポンプ式給湯機Xに対して,不図示の操作部から冷房運転の開始が要求されると,該ヒートポンプ式給湯機Xでは,前記制御部(不図示)によって前記圧縮機21及び前記四方弁24が制御され,前記R410Aサイクル2の冷媒循環経路83において前記R410A冷媒の破線矢印方向の循環が開始される。このとき,前記四方弁24内部では図示する破線経路が確立されている。
具体的には,前記圧縮機21において圧縮して吐出された高温高圧の前記R410A冷媒が,前記四方弁24,前記冷媒切換弁56を経て前記室外空気熱交換器13に達する。そして,前記R410A冷媒は,前記室外空気熱交換器13において室外空気と熱交換されて冷却される。その後,前記R410A冷媒は,前記冷媒切換弁54を経て前記膨張器22bにおいて膨張する。そして,前記膨張器22bにおいて膨張した低温低圧の前記R410A冷媒は,前記冷媒切換弁55を経て前記室内空気熱交換器4において室内空気と熱交換されて吸熱し気化した後,前記前記冷媒切換弁51,前記四方弁24を経て再度前記圧縮機21に流入する。
前記R410Aサイクル2では,前記のように前記R410A冷媒が前記冷媒循環経路83において破線矢印方向に循環されることにより,室内の空気が,前記室内空気熱交換器4における前記R410A冷媒との熱交換によって冷却される。即ち,前記ヒートポンプ式給湯機Xによって冷房が実現される。
ところで,前述したように,仮に従来装置(例えば,特許文献1参照)において,前記R410Aサイクルだけを用いて瞬間給湯と暖房とを同時に行うことを考えた場合には,前記R410Aサイクルの加熱能力が十分に高いものでなければ,十分な給湯温度や給湯量,暖房性能などを得ることができないという課題が生じる。一方,十分な給湯温度や給湯量,冷暖房性能などを得るためには,前記R410Aサイクル2に係る装置の拡大やコストの増大などの問題が伴う。
しかし,前記ヒートポンプ式給湯機Xでは,前記水熱交換器61及び前記水熱交換器62各々からの水を合流させる前記水流量調整弁63が設けられており,当該ヒートポンプ式給湯機Xにおける前記室内空気熱交換器4の稼働の有無や冷暖房設定温度などの稼働状況に応じて,前記水熱交換器61及び前記水熱交換器62各々への水の流入量が前記制御部によって調整される。これにより,前記R410Aサイクル2に係る装置の拡大やコストの増大を伴うことなく,十分な給湯温度や給湯量,冷暖房性能などを得ることができる。以下,この点について詳説する。
(1)暖房と瞬間給湯との同時運転について
暖房と瞬間給湯との同時運転時,前記R410Aサイクル2では,前記制御部(不図示)によって前記圧縮機21,前記四方弁24及び前記冷媒切換弁51〜56が制御されることにより,前記R410A冷媒が図1に示す実線矢印方向に循環される。
具体的には,前記冷媒循環経路81では,前記R410A冷媒が,圧縮機21,四方弁24,冷媒切換弁51,冷媒切換弁52,水熱交換器62,膨張器22a,冷媒切換弁53,冷媒切換弁54,室外空気熱交換器13,冷媒切換弁56,四方弁24,圧縮機21の順に循環される。これにより,前記水熱交換器62において前記流水経路30b上を流れる水が加熱される。
一方,前記冷媒循環経路83では,前記R410A冷媒が,圧縮機21,四方弁24,冷媒切換弁51,室内空気熱交換器4,冷媒切換弁55,膨張器22b,冷媒切換弁54,室外空気熱交換器13,冷媒切換弁56,四方弁24,圧縮機21の順に循環される。これにより,前記室内空気熱交換器4において室内空気が加熱されて暖房が行われる。
このように,前記R410Aサイクル5では,前記冷媒切換弁51で前記R410A冷媒を分配することによって暖房と瞬間給湯とが同時に行われる。
ここで,前述したように,瞬間給湯だけが行われる場合には,前記流水経路30cから流れる水が,前記水熱交換器62が配設された前記流水経路30eだけに流入するように前記水流量調整弁63が前記制御部によって制御される。この場合には,前記R410Aサイクル2の加熱負荷は,瞬間給湯運転だけであるため,十分な給湯温度や給湯量を得ることができる。
しかし,瞬間給湯と暖房とが同時に実行される場合には,前記R410Aサイクル2の加熱能力が分散して用いられるため,十分な給湯温度や給湯量を得ることができないおそれがある。
そこで,瞬間給湯と暖房とを同時に実行する場合には,前記制御部によって前記圧縮機11の駆動が制御されて,前記CO2サイクル1における前記CO2冷媒の循環が開始される。そして,前記水流量調整弁63が前記制御部によって制御されることにより,前記流水経路30cから流れる水が前記水熱交換器61及び前記水熱交換器62各々に流入される。このとき,前記水熱交換器61及び前記水熱交換器62各々への水の流入量は,前記制御部によって前記水流量調整弁63が制御されることにより,瞬間給湯と暖房とに必要な加熱負荷,例えば給湯温度や給湯量,暖房設定温度などを得ることができるように予め定められた量に調整される。ここに,かかる調整処理を実行するときの前記制御部が水流入量調整手段に相当する。
これにより,前記水熱交換器61でCO2冷媒との熱交換により加熱された温水と,前記水熱交換器62でR410A冷媒との熱交換により加熱された温水とが,前記水流量調整弁63で合流して前記流水経路30fに流れることになる。ここで,前記水熱交換器61において前記CO2冷媒と熱交換によって加熱された温水は高温であるため,前記流水経路30f上では,十分な給湯温度や給湯量の温水を得ることができる。
(2)冷房と瞬間給湯の同時運転について
冷房と瞬間給湯との同時運転時,前記R410Aサイクル2では,前記制御部(不図示)によって前記圧縮機21,前記四方弁24及び前記冷媒切換弁51〜56が制御されることにより,前記R410A冷媒が図1に示す破線矢印方向に循環される。
具体的には,前記冷媒循環経路81では,前記R410A冷媒が,圧縮機21,四方弁24,冷媒切換弁56,52,水熱交換器62,膨張器22a,冷媒切換弁53,冷媒切換弁55,室内空気熱交換器4,冷媒切換弁51,四方弁24,圧縮機21の順に循環される。これにより,前記水熱交換器62において前記流水経路30b上を流れる水が加熱される。
一方,前記冷媒循環経路83では,前記R410A冷媒が,圧縮機21,四方弁24,冷媒切換弁56,室外空気熱交換器13,冷媒切換弁54,膨張器22b,冷媒切換弁55,室内空気熱交換器4,冷媒切換弁51,四方弁24,圧縮機21の順に循環される。これにより,前記室内空気熱交換器4において室内空気が冷却されて冷房が行われる。
このように,前記R410Aサイクル2では,前記冷媒切換弁56で前記R410A冷媒を分配することによって冷房と瞬間給湯とが同時に行われる。
ここで,前述したように,瞬間給湯だけが行われる場合には,十分な給湯温度や給湯量を得ることができるが,瞬間給湯と冷房とが同時に実行される場合には,前記R410Aサイクル2の加熱能力が分散して用いられるため,十分な給湯温度や給湯量を得ることができないおそれがある。
そこで,瞬間給湯と冷房とを同時に実行する場合には,前記制御部によって前記圧縮機11の駆動が制御されて,前記CO2サイクル1における前記CO2冷媒の循環が開始される。そして,前記水流量調整弁63が前記制御部によって制御されることにより,前記流水経路30cから流れる水が前記水熱交換器61及び前記水熱交換器62各々に流入される。このとき,前記水熱交換器61及び前記水熱交換器62各々への水の流入量は,前記制御部によって前記水流量調整弁63が制御されることにより,瞬間給湯と冷房とに必要な加熱負荷,例えば給湯温度や給湯量,冷房設定温度などを得ることができるように予め定められた量に調整される。ここに,かかる調整処理を実行するときの前記制御部が水流入量調整手段に相当する。
これにより,前記水熱交換器61でCO2冷媒との熱交換により加熱された温水と,前記水熱交換器62でR410A冷媒との熱交換により加熱された温水とが,前記水流量調整弁63で合流して前記流水経路30fに流れることになり,前記流水経路30f上では,十分な給湯温度や給湯量の温水を得ることができる。
以上説明したように,前記ヒートポンプ式給湯機Xでは,該ヒートポンプ式給湯機Xにおける加熱負荷に応じて,前記水熱交換器61及び前記水熱交換器62への水の流入量を調整して,前記CO2サイクル1及び前記R410Aサイクル2の加熱能力を合わせて用いることにより,効率的な運用を行うことが可能となる。したがって,前記R410Aサイクル2に係る装置の拡大やコストの増大を防止することができる。
ところで,前記ヒートポンプ式給湯機Xにおける前記CO2サイクル1のエネルギ消費効率と,前記R410Aサイクル2のエネルギ消費効率の優劣は,前記室外空気熱交換器13が配設された室外の空気温度に影響される。換言すれば,前記室外空気熱交換器13において前記CO2冷媒や前記R410A冷媒が室外空気から吸熱する温度に応じて,前記CO2サイクル1のエネルギ消費効率と前記R410Aサイクル2のエネルギ消費効率の優劣は異なることになる。
そこで,前記室外空気熱交換器13に,該室外空気熱交換器13が配設された室外の空気温度を検出する温度センサ(室外空気温度検出手段の一例)を設けておき,該温度センサによって検出された温度に応じて,前記水熱交換器61及び前記水熱交換器62各々への水の流入量を調整することが望ましい。
具体的には,前記室外空気熱交換器13が配設された室外の空気温度に応じて,エネルギ消費効率が高い方のヒートポンプサイクルを判定し,その判定された方のヒートポンプサイクルだけに水を流入させるか,或いは両方のヒートポンプサイクルを用いる場合には,エネルギ消費効率の高い方のヒートポンプサイクルに水が多く流入するように制御すればよい。これにより,前記ヒートポンプ式給湯機Xにおけるエネルギ消費効率を向上させることができる。
前記実施の形態及び前記実施例1では,前記室内空気熱交換器4の稼働状況に応じて前記水熱交換器61及び前記水熱交換器62への水の流入量を調整する例について説明した。
一方,前記室内空気熱交換器4の稼働状況に応じて前記水熱交換器61及び前記水熱交換器62各々への冷媒の流入量を調整することも他の実施例として考えられる。ここに,かかる調整処理を実行するときの前記制御部が冷媒流入量調整手段に相当する。
具体的には,前記室内空気熱交換器4の稼働状況に応じて,前記圧縮機11や前記圧縮機21の出力を制御することにより,或いは前記膨張器12や前記膨張器22aの開度を調整することによって,前記水熱交換器61及び前記水熱交換器62各々への冷媒の流入量を調整することにより,該水熱交換器61及び前記水熱交換器62における冷媒と水との熱交換効率を変化させることが可能である。
もちろん,前記室内空気熱交換器4の稼働状況に応じて,前記水熱交換器61及び前記水熱交換器62各々への水の流入量及び冷媒の流入量を共に調整してもよい。
前記実施の形態では,前記室内空気熱交換器4の稼働状況,即ち冷暖房の運転状況に応じて前記水熱交換器61及び前記水熱交換器62各々への水の流入量や冷媒の流入量を調整する例を説明した。
一方,前記ヒートポンプ式給湯機Xでは,前記室内空気熱交換器4の稼働状況だけではなく,前記風呂追焚回路7の稼働状況によっても加熱負荷が変動する。具体的には,前記風呂追焚回路7において前記浴槽74の水の追い焚きが行われる場合には,前記流水経路30f上に流れる温水が熱媒体として用いられる。そのため,前記風呂追焚回路7における追い焚きや風呂水の供給と給湯や冷暖房とが同時に行われる場合には,当該ヒートポンプ式給湯機Xにおける加熱負荷が大きくなる。そこで,前記風呂追焚回路7の稼働の有無,追い焚きや風呂水の設定温度などの稼働状況に応じて,前記水熱交換器61及び前記水熱交換器62各々への水の流入量や冷媒の流入量を調整することが望ましい。なお,前記風呂追焚回路7に換えて,床暖房装置や浴室乾燥機などの加熱手段を用いる場合にも同様に,該加熱手段の稼働状況に応じて前記水熱交換器61及び前記水熱交換器62各々への水の流入量や冷媒の流入量を調整すればよい。
ここに,図2は,本実施例4に係るヒートポンプ式給湯機X1の概略構成図である。なお,前記ヒートポンプ式給湯機Xと同様の構成要素には同じ符号を付してその説明を省略する。
図2に示すように,本実施例4に係るヒートポンプ式給湯機X1は,循環経路90上に循環されるブライン(不凍液)を熱媒体に用いる床暖房装置9と,前記CO2サイクル1に接続された床暖房用熱交換器64及び膨張器12aと,前記R410Aサイクル2に接続された床暖房用熱交換器65及び膨張器22cと,前記床暖房用熱交換器64及び前記床暖房用熱交換器65から吐出された前記ブラインを合流させるブライン流量調整弁66と,を備えている点で,前記ヒートポンプ式給湯機Xと構成を異にする。なお,前記床暖房装置9に換えて,風呂追焚回路や浴室乾燥機などの加熱手段を用いることも他の実施例として考えられる。
前記水熱交換器64は,前記CO2冷媒とブラインとの間で熱交換器を行うものであり,前記水熱交換器65は,前記R410A冷媒とブラインとの間で熱交換を行うものである。
このように構成された前記ヒートポンプ式給湯機X1では,前記制御部によって前記ブライン流量調整弁66が制御されることにより,前記床暖房用熱交換器64及び前記床暖房用熱交換器65各々へのブラインの流入量が調整される。また,前記床暖房用熱交換器64への前記CO2冷媒の流入量は,前記制御部によって制御される前記膨張器12aの開度によって調整され,前記床暖房用熱交換器65への前記R410A冷媒の流入量は,前記制御部によって制御される前記膨張器22cの開度によって調整される。
前記床暖房装置9を備える当該ヒートポンプ式給湯機X1では,該床暖房装置9の稼働状況に応じて,該ヒートポンプ式給湯機X1における加熱負荷が変動する。具体的には,前記床暖房装置9が稼働されている場合には,前記CO2サイクル1や前記R410Aサイクル2の加熱能力が,前記床暖房用熱交換器64,65におけるブラインとの熱交換に利用されるため,当該ヒートポンプ式給湯機X1における加熱負荷が増大する。
したがって,前記ヒートポンプ式給湯機X1では,前記床暖房装置9の稼働状況に応じて,前記水熱交換器61及び前記水熱交換器62各々への水や冷媒の流入量が前記制御部によって調整される。これにより,前記ヒートポンプ式給湯機X1における加熱負荷が大きい場合であっても,前記CO2サイクル1及び前記R410Aサイクル2の加熱能力を併用することで,例えば高い給湯温度や給湯量,冷暖房性能などを得ることや,高いエネルギ消費効率での運用が実現される。
本発明の実施の形態に係るヒートポンプ式給湯機Xの概略構成図。 本発明の実施例4に係るヒートポンプ式給湯機X1の概略構成図。
符号の説明
1…ヒートポンプサイクル(第一のヒートポンプサイクルの一例)
2…ヒートポンプサイクル(第二のヒートポンプサイクルの一例)
4…室内空気熱交換器
7…風呂追焚回路(加熱手段の一例)
9…床暖房装置
11,21…圧縮機
12,12a,22a,22b,22c…膨張器
13…室外空気熱交換器
24…四方弁
30a〜30k…流水経路
31…貯湯タンク
41〜45…流水切換弁
51〜56…冷媒切換弁
61…水熱交換器(第一の水熱交換器の一例)
62…水熱交換器(第二の水熱交換器の一例)
63…水流量調整弁(水合流手段の一例)81〜83…冷媒循環経路

Claims (4)

  1. 第一の冷媒が少なくとも圧縮機及び膨張器を経て循環される第一のヒートポンプサイクルと,前記第一の冷媒と異なる特性を持つ第二の冷媒が少なくとも圧縮機及び膨張器を経て循環される第二のヒートポンプサイクルと,前記第一の冷媒と水との間で熱交換を行う第一の水熱交換器と,前記第二の冷媒と水との間で熱交換を行う第二の水熱交換器と,を備えてなるヒートポンプ式給湯機であって,
    前記第一の水熱交換器及び前記第二の水熱交換器各々への水の流入の有無と前記第一の水熱交換器及び前記第二の水熱交換器に同時に水を流入させるときの水の割合とを調整する水流入量調整手段と,
    前記第一の水熱交換器及び前記第二の水熱交換器各々から流出した水を合流させる水合流手段もしくは,前記第一の水熱交換器及び前記第二の水熱交換器各々に流入する水を分配させる水分配手段と,
    前記第一の水熱交換器及び/又は前記第二の水熱交換器から吐出された温水を熱媒体に用いる加熱手段とを備えてなり,
    前記水流入量調整手段が,前記加熱手段の稼働状況に応じて前記流入量を調整するものであることを特徴とするヒートポンプ式給湯機。
  2. 第一の冷媒が少なくとも圧縮機及び膨張器を経て循環される第一のヒートポンプサイクルと,前記第一の冷媒と異なる特性を持つ第二の冷媒が少なくとも圧縮機及び膨張器を経て循環される第二のヒートポンプサイクルと,前記第一の冷媒と水との間で熱交換を行う第一の水熱交換器と,前記第二の冷媒と水との間で熱交換を行う第二の水熱交換器と,を備えてなるヒートポンプ式給湯機であって,
    前記第一の水熱交換器及び前記第二の水熱交換器各々への水の流入の有無と前記第一の水熱交換器及び前記第二の水熱交換器に同時に水を流入させるときの水の割合とを調整する水流入量調整手段と,
    前記第一の水熱交換器及び前記第二の水熱交換器各々から流出した水を合流させる水合流手段もしくは,前記第一の水熱交換器及び前記第二の水熱交換器各々に流入する水を分配させる水分配手段と,
    前記第一の冷媒及び/又は前記第二の冷媒と室外空気との間で熱交換を行う室外空気熱交換器と,前記室外空気熱交換器が配設された室外の空気温度を検出する室外空気温度検出手段と,を備えてなり,
    前記水流入量調整手段が,前記室外空気温度検出手段により検出された室外の空気温度に応じて前記流入量を調整するものであることを特徴とするヒートポンプ式給湯機。
  3. 第一の冷媒が少なくとも圧縮機及び膨張器を経て循環される第一のヒートポンプサイクルと,前記第一の冷媒と異なる特性を持つ第二の冷媒が少なくとも圧縮機及び膨張器を経て循環される第二のヒートポンプサイクルと,前記第一の冷媒と水との間で熱交換を行う 第一の水熱交換器と,前記第二の冷媒と水との間で熱交換を行う第二の水熱交換器と,を備えてなるヒートポンプ式給湯機であって,
    前記第一の水熱交換器及び前記第二の水熱交換器各々への水の流入量を調整する水流入量調整手段及び/又は前記第一の水熱交換器及び前記第二の水熱交換器各々への冷媒の流入量を調整する冷媒流入量調整手段と,
    前記第一の水熱交換器及び前記第二の水熱交換器各々から流出した水を合流させる水合流手段もしくは,前記第一の水熱交換器及び前記第二の水熱交換器各々に流入する水を分配させる水分配手段と,
    前記第一の水熱交換器及び/又は前記第二の水熱交換器から吐出された温水を熱媒体に用いる加熱手段と,
    を備えてなり,
    前記水流入量調整手段及び/又は前記冷媒流入量調整手段が,前記加熱手段の稼働状況に応じて前記流入量を調整するものであることを特徴とするヒートポンプ式給湯機。
  4. 第一の冷媒が少なくとも圧縮機及び膨張器を経て循環される第一のヒートポンプサイクルと,前記第一の冷媒と異なる特性を持つ第二の冷媒が少なくとも圧縮機及び膨張器を経て循環される第二のヒートポンプサイクルと,前記第一の冷媒と水との間で熱交換を行う第一の水熱交換器と,前記第二の冷媒と水との間で熱交換を行う第二の水熱交換器と,を備えてなるヒートポンプ式給湯機であって,
    前記第一の水熱交換器及び前記第二の水熱交換器各々への水の流入量を調整する水流入量調整手段及び/又は前記第一の水熱交換器及び前記第二の水熱交換器各々への冷媒の流入量を調整する冷媒流入量調整手段と,
    前記第一の水熱交換器及び前記第二の水熱交換器各々から流出した水を合流させる水合流手段もしくは,前記第一の水熱交換器及び前記第二の水熱交換器各々に流入する水を分配させる水分配手段と,
    前記第一の冷媒及び/又は前記第二の冷媒と室外空気との間で熱交換を行う室外空気熱交換器と,
    前記室外空気熱交換器が配設された室外の空気温度を検出する室外空気温度検出手段と,
    を備えてなり,
    前記水流入量調整手段及び/又は前記冷媒流入量調整手段が,前記室外空気温度検出手段により検出された室外の空気温度に応じて前記流入量を調整するものであることを特徴とするヒートポンプ式給湯機。
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