JP4753334B2 - 表面処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、前処理装置、電着塗装装置を含む塗装設備において使用されるスプレー式の表面処理装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
前処理装置、電着塗装装置を含む塗装設備の脱脂、表面調整、化成、水洗等の工程において、スプレー式の表面処理装置が使用されている。
従来のスプレー式の表面処理装置においては、図１に示すように、自動車ボデー等の被処理物１００を保持するフロアコンベヤ１が処理ゾーンαに入ると、処理ゾーンα内に配設されたスプレーノズル２、３から、被処理物１００へ向けて処理液がスプレーされる。使用済の処理液は処理ゾーンαの下部に配設された傾斜床４、５を介して或いは直接に、傾斜床４、５の下方に配設された処理液槽６へ回収される。処理液槽６内の処理液は、ポンプ７、８を介してスプレーノズル２、３へ還流する。
白抜き矢印で示すフロアコンベヤ１の搬送方向に関してスプレーゾーンαの上流側と下流側とに、被処理物１００から流れ落ちた処理液や、被処理物１００に当たって飛散した処理液を処理液槽６へ回収するための、処理液槽６へ向けて下方へ傾斜する傾斜床９、１０が配設されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
従来のスプレー式の表面処理装置においては、スプレーゾーンα内で、自動車ボデー等の被処理物１００がフロアコンベヤ１上に水平に保持されていたので、使用済の処理液と当該処理液に混入した鉄粉、砂、化成スラッジ等の異物とが被処理物１００の内部空間から排出され難く、またスプレーゾーンαの上流側、下流側の処理液飛散領域が長いという問題があった。この結果、従来のスプレー式の表面処理装置においては、後工程として多段の洗浄工程が必要とされ、且つ傾斜床９、１０を含む装置の延在長さβが長大であった。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、前処理装置、電着塗装装置を含む塗装設備において使用されるスプレー式の表面処理装置であって、従来に比べて、後工程である洗浄工程の洗浄段数を低減でき、装置の延在長さを短縮できる表面処理装置を提供することを目的とする。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明においては、前処理装置、電着塗装装置を含む塗装設備において使用されるスプレー式の表面処理装置であって、被処理物を保持する保持手段と、保持手段によって保持された被処理物を、被処理物の進行方向に直交する軸線回りに回転させて傾斜させる傾斜手段と、傾斜した被処理物に処理液をスプレーするスプレー手段と、使用済の処理液を回収して貯留する処理液回収貯留手段と、処理液回収貯留手段内の処理液をスプレー手段へ還流させる処理液還流手段とを備えることを特徴とする表面処理装置を提供する。
本発明においては、傾斜させた被処理物に処理液をスプレーするので、従来に比べて、使用済の処理液と当該処理液に混入した鉄粉、砂、化成スラッジ等の異物とは、被処理物１００の内部空間から排出され易く、またスプレーゾーンαの上流側、下流側の処理液飛散領域は短い。従って、本発明に係る表面処理装置においては、従来に比べて、後工程である洗浄工程の洗浄段数を低減でき、装置の延在長さを短縮できる。
【０００５】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例に表面処理装置を説明する。
本実施例に係る表面処理装置は、図２（ａ）に示すように、水平に延在するフロアコンベヤ１１を備えている。フロアコンベヤ１１は、スキッド２０１を介して載置された自動車ボデー等の被処理物２００を保持する保持装置１２を有している。フロアコンベヤ１１を傾斜させる図示しない傾斜駆動装置が配設されている。
図２（ａ）で白抜き矢印で示すフロアコンベヤ１１の搬送方向に関してフロアコンベヤ１１の上流側に、他の処理装置から表面処理装置へ被処理物２００を搬送するフロアコンベヤ３１が配設され、フロアコンベヤ１１の下流側に、表面処理装置から他の処理装置へ被処理物２００を搬送するフロアコンベヤ４１が配設されている。
フロアコンベヤ１１の上方にスプレーノズル１３が配設され、下方にスプレーノズル１４が配設されている。
フロアコンベヤ１１の下方に、処理液槽１５が配設されている。処理液槽１５から延びる配管１６がスプレーノズル１３に接続している。配管１６の途上にポンプ１７が配設されている。処理液槽１５から延びる配管１８がスプレーノズル１４に接続している。配管１８の途上にポンプ１９が配設されている。
フロアコンベヤ１１の下方に、フロアコンベヤ１１の搬送方向に関して上流側から処理液槽１５へ向けて下方へ傾斜する傾斜床２０と、フロアコンベヤ１１の搬送方向に関して下流側から処理液槽１５へ向けて下方へ傾斜する傾斜床２１とが配設されている。
【０００６】
本実施例に係る表面処理装置の作動を説明する。
図２（ａ）に示すように、フロアコンベヤ３１が、自動車ボデー等の被処理物２００が載置されたスキッド２０１を、表面処理装置へ向けて、白抜き矢印の方向へ搬送する。被処理物２００が、スプレーゾーンＡに進入し、フロアコンベヤ３１からフロアコンベヤ１１へ移乗すると、フロアコンベヤ１１の搬送動作が停止する。
図２（ｂ）に示すように、保持装置１２が作動してスキッド２０１と被処理物２００とをフロアコンベヤ１１上に保持し、図示しない傾斜駆動装置が作動してフロアコンベヤ１１を傾斜させ、ひいては被処理物２００を傾斜させる。
ポンプ１７、１９が作動し、スプレーノズル１３、１４が、被処理物２００に処理液をスプレーする。使用済の処理液は、フロアコンベヤ１１の下方に配設された傾斜床２０、２１を介して或いは直接に、傾斜床２０、２１の下方に配設された処理液槽１５へ回収される。処理液槽１５内の処理液は、ポンプ１７、１９を介してスプレーノズル１３、１４へ還流する。
被処理物２００の表面処理が完了すると、ポンプ１７、１９が停止し、フロアコンベヤ１１が水平位置へ復帰して搬送動作を再開する。被処理物２００は、フロアコンベヤ１１から、フロアコンベヤ４１へ移乗し、次の処理工程へ移動する。
【０００７】
本実施例に係る表面処理装置においては、傾斜させた被処理物２００に処理液をスプレーするので、使用済の処理液と当該処理液に混入した鉄粉、砂、化成スラッジ等の異物とは、被処理物１００の内部空間から容易且つ迅速に排出される。従って、本実施例に係る表面処理装置においては、従来に比べて、後工程である洗浄工程の洗浄段数を低減できる。本実施例に係る表面処理装置においては、傾斜させた被処理物２００に処理液をスプレーするので、スプレーゾーンＡの上流側、下流側へは、処理液は殆ど飛散しない。従って、本実施例に係る表面処理装置においては、スプレーゾーンＡの上流側、下流側に従来配設されていた処理液槽１５へ向けて下方へ傾斜する傾斜床を除去することができ、表面処理装置の延在長さを従来に比べて短縮できる。
【０００８】
上記実施例において、非処理物２００を傾斜させる前に処理液のスプレーを開始しても良い。スプレー開始後速やかに被処理物２００を傾斜させれば、使用済の処理液と当該処理液に混入した鉄粉、砂、化成スラッジ等の異物とは、被処理物１００の内部空間から容易且つ迅速に排出され、且つスプレーゾーンＡの上流側、下流側へ飛散する処理液が微少量に抑制される。
処理液の回収の完全を期して、スプレーゾーンＡの上流側及び／又は下流側に、処理液槽１５へ向けて下方へ傾斜する短い傾斜床を配設しても良い。この場合でも、付加する傾斜床の長さは、従来に比べて短縮できるので、付加する傾斜床を含む表面処理装置の延在長さは従来に比べて短縮される。
【０００９】
【発明の効果】
以上説明したごとく、本発に係る表面処理装置においては、傾斜させた被処理物に処理液をスプレーするので、従来に比べて、使用済の処理液と当該処理液に混入した鉄粉、砂、化成スラッジ等の異物とは、被処理物１００の内部空間から排出され易く、またスプレーゾーンαの上流側、下流側の処理液飛散領域は短い。従って、本発明に係る表面処理装置においては、従来に比べて、後工程である洗浄工程の洗浄段数を低減でき、装置の延在長さを短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】従来の表面処理装置の構成図である。
【図２】本発明の実施例に係る表面処理装置の構成図である。
【符号の説明】
１、１１、３１、４１ フロアコンベヤ
２、３、１３、１４ スプレーノズル
４、５、９、１０、２０、２１ 傾斜床
６、１５ 処理液槽
１２ 保持装置
１００、２００ 被処理物
α、Ａ スプレーゾーン
Claims (1)
- 前処理装置、電着塗装装置を含む塗装設備において使用されるスプレー式の表面処理装置であって、被処理物を保持する保持手段と、保持手段によって保持された被処理物を、被処理物の進行方向に直交する軸線回りに回転させて傾斜させる傾斜手段と、傾斜した被処理物に処理液をスプレーするスプレー手段と、使用済の処理液を回収して貯留する処理液回収貯留手段と、処理液回収貯留手段内の処理液をスプレー手段へ還流させる処理液還流手段とを備えることを特徴とする表面処理装置。
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