JP4753086B2 - 逆止弁 - Google Patents

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本発明は、配管に取り付けて流体の一方向の流れは許すが、その逆方向の流れは止める逆止弁に関し、特に、流体機械、小型ポンプ等の入口、出口の配管に適した形状記憶合金を使用した逆止弁に関する。
従来、形状記憶合金を使用した逆止弁として、図2に示すものが知られている。
この逆止弁は、蒸気配管系に取り付ける逆止弁であって、弁座5の外周の入口側部材1の内端に環状の溝を形成し、この溝と弁体7の前面の間に温度応動部材としてのコイル状の形状記憶合金12を配置する。形状記憶合金12は流体の温度に応じて変形する。形状記憶合金12の低温時の変形力はディスク状弁体7の自重とコイルばね9の弾性力よりも少し強く形成する。図2は流体温度が所定以下であり、形状記憶合金12は母相からマルテンサイト相にマルテンサイト変態しており、伸び記憶させておいた長い形状であり、弁体7をコイルばね9の付勢力に対抗して開弁方向に付勢せしめている。
流体温度が所定以上になると、形状記憶合金12はマルテンサイト相から母相に逆変態して縮み記憶させておいた短い形状になり、弁座5の先端面よりも後退して弁体7の動きに関与しなくなる。入口3の流体圧力が出口4よりも高ければ、弁体7はコイルばね9を圧縮して出口側に変位し、開弁する。出口4の流体圧力が入口3よりも高くなれば、弁体7は流体圧力とコイルばね9の作用を受けて、入口側に変位し、弁座5に気密的に接する。このため、低温時に温度応動部材としての形状記憶合金製のコイルばねが弁体を大きく開弁せしめるので、低温の水や空気を短時間に素早く排出でき、立上げ時間を短縮できる。
特開平6−11057号公報
上記した従来の逆止弁は、マルテンサイト変態開始温度(Ms点)より低い温度のマルテンサイト相またはマルテンサイト相+オーステナイト相の2相領域で利用する場合には加熱するだけで元の形状に回復する形状記憶効果を利用したものである。
このような形状記憶効果を利用したものでは、温度変化のない状態で使用することができない。また、形状記憶合金をコイルばね形状にして用いているため、小型の逆止弁等の極めて弱いバネ定数で弁を支持しなければならないものには利用できない。
一方、小型の逆止弁においては、構造が簡単なため低圧力から高圧力に至るまで安定した逆止弁効果を発揮するものがなかった。
本発明は、錆に強いニッケルチタン(Ni−Ti)合金等の形状記憶合金を用い、極めて弱いバネ定数で弁を支持できる逆止弁を提供することを目的とするものである。
本発明の原理は、ニッケルチタン(Ni−Ti)合金等の形状記憶合金の有する超弾性効果、すなわち、母相状態にある合金を変形すると、弾性変形に続いて応力誘起によるマルテンサイト変態が生じ、荷重を増加しなくても変形が続くが、この変形歪みは応力を除くと、加熱しなくても元の状態に戻る、という性質を利用したものである。
上記目的を達成するため本発明の逆止弁は、弁体としての球体を流体入口側である弁座に弾性的に圧接させる構造の逆止弁装置において、3本以上の形状記憶合金製の線状部材を流体の出口側から入口側に向けて前記弁座の中心軸の周囲に等間隔に位置するように立設し、各線状部材は基部固定端から先端にいくにしたがい中心に向けて曲線状に折り曲げられた内方向曲線部と、該内方向曲線部に続いて中心から離れるように曲線状に折り曲げられた外方向曲線部とを有し、前記球体を3本以上の線状部材の外方向曲線部で弁座に弾性的に圧接させるよう支持することを特徴としている。
また、本発明の逆止弁は、線状部材がニッケルチタン合金より形成されていることを特徴としている。
本発明は、以下のような優れた効果を奏する。
(1)形状記憶合金の超弾性効果を利用することによりコイルスプリングを用いることなく線状部材をバネとして使用できるため、構造が簡単な小型の逆止弁においても低圧力から高圧力に至るまで安定した逆止弁効果を奏する逆止弁を得ることができる。
(2)極めて弱いバネ定数で弁体を支持できる。
(3)形状記憶合金の任意形状に形状転写させたバネであることから製作が容易である。
(4)流路の周囲に配置されたコイルスプリングのように流路をふさぐことがない。
(5)形状記憶合金としてニッケルチタン合金を採用することにより、表面に酸化被膜が形成されるため、水等の環境で使用しても長期間使用できる。
本発明に係る逆止弁の最良の形態を実施例に基づいて図面を参照して以下に説明する。
図1は、本発明に係る逆止弁の断面を示した図である。
逆止弁を収容するケーシング20は、流体入口側の入口配管21及び流体出口側の出口配管22と接続されており、側板23がボルト等の固定部材により着脱自在に設けられている。
ケーシング20の流体入口側には弁座24が形成されており、該弁座24に弁体である球体25が接離自在なように配置される。球体25及び弁座24の密閉度を高めるため弁座24をゴムで形成するのが望ましい。
球体25は、ニッケルチタン(Ni−Ti)合金等の超弾性効果を有する形状記憶合金からなるバネにより弁座24に弾性的に圧接されるよう支持されている。バネは、3本以上の形状記憶合金製の線状部材26から構成されており、各線状部材26は、流体の出口側から入口側に向けて弁座24の中心軸x−xの周囲に等間隔に位置するように立設される。図1では、4本の線状部材26が等間隔に配置された状態を示したもので、3本の線状部材26が見えている。
各線状部材26は、基部27がケーシング20の出口側部材28の取付穴に嵌入され溶着等の手段で固定されており、基部固定端27から先端にいくにしたがい弁座24の中心軸x−xに向けて曲線状に折り曲げられた内方向曲線部29と、内方向曲線部29に続いて中心軸x−xから離れるように曲線状に折り曲げられた外方向曲線部30とを有している。前記球体25は4本の線状部材26の外方向曲線部30で弁座24に弾性的に圧接されるよう支持されている。なお、線状部材26は、合計で少なくとも3本、あるいはそれ以上設けられる。
線状部材26は、その径が例えば0.2mm程度のニッケルチタン(Ni−Ti)合金製の線材から形成されており、急激なカーブは線状部材の断面積を増減させるため緩やかなカーブを用い、形状を転写している。線状部材26の外方向曲線部30がバネとなり球体25を弾性的に支える構造となっている。
図1は、弁体である球体25が弁座24に密着している状態を示しており、この時、線状部材26は母相状態にある。
今、流体が入口配管21から流入すると、球体25に圧力が作用し、線状部材26が変形する。この時、線状部材26は、弾性変形に続いて応力誘起によるマルテンサイト変態を生じ、加重を増加しなくとも変形歪みの状態を続ける。このため、流体は入口配管21から出口配管22に流れる。
次に、流体が出口配管22から入口配管21に向けて逆流しようとすると、球体25が弁座24方向に移動するので、線状部材26に作用していた応力は除去される。このため、線状部材26の変形歪みは解消され、加熱しなくても瞬時に元の形状に回復する。これは、母相が安定な温度域にあるため、そのまま母相に逆変態するからである。したがって、球体25は弁座24に密着し、流体の流れを遮断する。
本発明の実施の形態に係る逆止弁の断面を示した図である。 形状記憶合金を使用した従来の逆止弁を説明する断面図である。
符号の説明
20 ケーシング
21 入口配管
22 出口配管
23 側板
24 弁座
25 弁体である球体
26 形状記憶合金製の線状部材
27 線状部材の基部固定端
28 ケーシングの出口側部材
29 内方向曲線部
30 外方向曲線部





Claims (2)

  1. 弁体としての球体を流体入口側である弁座に弾性的に圧接させる構造の逆止弁装置において、3本以上の形状記憶合金製の線状部材を流体の出口側から入口側に向けて前記弁座の中心軸の周囲に等間隔に位置するように立設し、各線状部材は基部固定端から先端にいくにしたがい中心に向けて曲線状に折り曲げられた内方向接曲線部と、該内方向接曲線部に続いて中心から離れるように曲線状に折り曲げられた外方向接曲線部とを有し、前記球体を3本以上の線状部材の外方向接曲線部で弁座に弾性的に圧接させるよう支持することを特徴とする逆止弁。
  2. 線状部材がニッケルチタン合金から形成されていることを特徴とする請求項1記載の逆止弁。
















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