以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態の衝立スピーカ装置11を示す図である。
衝立スピーカ装置11は、スピーカの機能と同時に、衝立としての役割も果たす、本発明の音声出力装置の一例である。
衝立スピーカ装置11は、ベース21、車輪22A乃至22D、装置支え23A乃至23D、フレーム24、加重方向振動材支え25Aおよび加重方向振動材支え25B、前後方向振動材支え26A−1乃至26B−3、振動材31−1乃至31−3、並びに振動子41A乃至43Cを含むようにして構成される。
ベース21は、例えば、鉄、アルミニウム、マグネシウム、またはチタニウムなどの金属など、フレーム24を支える十分な強度を得ることのできる素材から形成される。ベース21の下側には、その四隅に、車輪22A乃至22D(車輪22Dは図示せず)のそれぞれが設けられ、さらにその近傍に、装置支え23A乃至23D(装置支え23Cおよび装置支え23Dは図示せず)のそれぞれが設けられている。例えば、部屋の中に設置された衝立スピーカ装置11は、ユーザにより押された場合、車輪22A乃至22Dのそれぞれが床面上を回転することにより、押された方向に移動する。また、装置支え23A乃至23Dのそれぞれは、床面と接することにより、衝立スピーカ装置11を支える。
すなわち、ユーザは、衝立スピーカ装置11を所望の位置に移動させて設置することができる。
ベース21の上側には、例えば、溶接により、フレーム24が固定されており、フレーム24は、ベース21上に直立している。
また,詳細は後述するが、フレーム24は、振動材31−1乃至31−3を加重のかかる方向(垂直方向)に固定するための、加重方向振動材支え25Aおよび加重方向振動材支え25Bと、振動材31−1乃至31−3を図中前後方向に固定するための、前後方向振動材支え26A−1乃至26B−3とを固定している。振動材31−1乃至31−3は、それらの支えにより着脱自在に固定されている。
すなわち、振動材31−1は、加重方向が加重方向振動材支え25Aにより支えられ、前後方向が前後方向振動材支え26A−1および前後方向振動材支え26B−1により支えられている。また、振動材31−2は、振動材31−1と同様に、加重方向が加重方向振動材支え25B、並びに前後方向振動材支え26A−2および前後方向振動材支え26B−2により支えられ、振動材31−3は、フレーム24の上側、並びに前後方向振動材支え26A−3および前後方向振動材支え26B−3により支えられている。
このように、振動材31−1乃至31−3のそれぞれが、フレーム24に沿って垂直方向に着脱自在に固定されることで、衝立スピーカ装置11は、床面から所定の高さとなる衝立としての役割を果たす。
振動材31−1乃至31−3のそれぞれは、例えば、石膏ボード、MDF(Medium Density Fiberboard)などの木材、アルミプレート、カーボン、若しくはアクリルなどの樹脂、またはガラスなどの素材から板状に形成される。また、振動材31−1乃至31−3のそれぞれは、異なる素材を組み合わせた(積層させた)複合材料により形成するようにしてもよい。
また、振動材31−1乃至31−3の振動材には、それぞれ複数の振動子(図1では3つの振動子)が、図中横一列に取り付けられており、振動材31−1には、振動子41A乃至41C、振動材31−2には、振動子42A乃至42C、振動材31−3には、振動子43A乃至43Cが図中横一列にそれぞれ取り付けられている。
そして、例えば、アンプリファイアなどの音源(図示せず)に駆動された振動子41A乃至43Cのそれぞれが、音源から入力されてくる音声信号に応じて、振動材31−1乃至31−3のそれぞれを振動させることで、振動材31−1乃至31−3のそれぞれは、音声を出力する。すなわち、衝立スピーカ装置11は、音声信号を音声に変換するスピーカとしての役割を果たす。
また、振動子41A乃至43Cのそれぞれは、振動材31−1乃至31−3のそれぞれの振動特性にしたがって、所定の位置に着脱自在に配置される。
なお、図1の例において、衝立スピーカ装置11は、振動材31−1乃至31−3の3枚の振動材を固定しているが、本発明においては、振動材31の数は3枚に限らず、1または複数枚、着脱自在に固定することができる。すなわち、ユーザは、振動材31を垂直方向に自由に組み合わせることにより、衝立スピーカ装置11を所望の高さにすることができる。
また、以下の説明においては、加重方向振動材支え25Aおよび加重方向振動材支え25Bを個々に区別する必要がない場合、単に、加重方向振動材支え25と称する。また、前後方向振動材支え26A−1乃至26B−3を個々に区別する必要がない場合、単に、前後方向振動材支え26と称し、前後方向振動材支え26A−1、前後方向振動材支え26A−2、および前後方向振動材支え26A−3を個々に区別する必要がない場合、単に、前後方向振動材支え26Aと称し、前後方向振動材支え26B−1、前後方向振動材支え26B−2、および前後方向振動材支え26B−3を個々に区別する必要がない場合、単に、前後方向振動材支え26Bと称する。
次に、図2を参照して、フレーム24の詳細について説明する。図2の上側は、フレーム24を図中正面から見たときの図を示し、図2の下側は、フレーム24を図中上側から見たときの図を示す。すなわち、フレーム24は、振動材31−1乃至31−3を固定する面の断面がコの字型の形状をしている。
フレーム24は、図2の上側で示すように、メインフレーム51A乃至51Fおよびサブフレーム52A乃至52Fを含むようにして構成される。
メインフレーム51A乃至51Fのそれぞれは、例えば、金属などの素材から形成され、メインフレーム51Dとベース21とが溶接により固定されることにより、フレーム24がベース21上で直立する。
また、メインフレーム51A乃至51Fのそれぞれには、サブフレーム52A乃至52Fのそれぞれを自由に配置できるように、所定の位置に長穴(または丸穴)が設けられており、それらの長穴は、メインフレーム51A乃至51Fのそれぞれを等分割する所定の位置にそれぞれ設けられる。例えば、メインフレーム51(メインフレーム51A乃至51F)の一部を拡大して見た場合、メインフレーム51には、図3の例で示すように、横長の長穴である長穴53−1乃至53−4のそれぞれが、所定の間隔で切られている。
すなわち、フレーム24においては、図2に示すように、メインフレーム51A乃至51Fのうち、水平方向(横方向)のメインフレーム51A乃至51Dのそれぞれには、縦長の長穴が設けられ、垂直方向(縦方向)のメインフレーム51Eおよびメインフレーム51Fのそれぞれには、横長の長穴が設けられることになる。
メインフレーム51Eおよびメインフレーム51Fは、L字アングル材として形成され、直線型となるメインフレーム51A乃至51Dのそれぞれと、例えば、溶接により固定される。例えば、フレーム24においては、図4に示すように、直線型のメインフレーム51Aと、L字型のメインフレーム51Eとが溶接により固定されることにより、図2の下側で示すように、その断面がコの字型の形状となる。
すなわち、詳細は後述するが、フレーム24は、その断面がコの字型の形状をしているので、図中正面側からだけでなく、左右の側面側からも、メインフレーム51Eおよびメインフレーム51Fのそれぞれに設けられた長穴を利用することができる。
また、メインフレーム51A乃至51Fには、それぞれに設けられた長穴に対して、例えば、ボルトまたはナットなどの留め具により、図5に示すような、サブフレーム52(サブフレーム52A乃至52F)のそれぞれを固定することができ、サブフレーム52A乃至52Fのそれぞれは、留め具により、メインフレーム51A乃至51Fのそれぞれに取り付けられている。
すなわち、ユーザは、留め具を外すことにより、メインフレーム51A乃至51Fのそれぞれに取り付けられているサブフレーム52A乃至52Fのいずれかを自由に取り外しすることができるとともに、留め具により、メインフレーム51A乃至51Fのそれぞれに、例えば、新しいサブフレーム52G(図示せず)を自由に取り付けることもできる。
サブフレーム52A乃至52Fのそれぞれは、メインフレーム51A乃至51Fのそれぞれに取り付けることにより、フレーム24の強度を上げることはもちろん、振動材31のサイズを変更する場合や、振動材31の共振点に合わせて振動材31を押さえる役割を果たして音の歪みを少なくさせる、すなわち、出力する音声の周波数の共振点を押さえることで音質を変えることが可能となる。また、サブフレーム52A乃至52Fのそれぞれは、振動子41A乃至43Cを背後から支えることにより、より確実に振動材31−1乃至31−3のそれぞれに振動を伝達させることも可能となる。
すなわち、サブフレーム52A乃至52Fのそれぞれは、例えば、音声の共振点のピークを押さえたり、共振点の周波数をずらしたりするために設けられる。
このように、衝立スピーカ装置11は、メインフレーム51A乃至51Fのそれぞれに、サブフレーム52A乃至52Fのそれぞれを取り付けることにより、周波数の低い音声から高い音声までを確実に出力することができる。
なお、以下の説明においては、メインフレーム51A乃至51Fを個々に区別する必要がない場合、単に、メインフレーム51と称し、サブフレーム52A乃至52Fを個々に区別する必要がない場合、単に、サブフレーム52と称する。
また、上述した例において、フレーム24は、6本のメインフレーム51A乃至51Fと、6本のサブフレーム52A乃至52Fとから構成されるとして説明したが、本発明においては、任意の本数のメインフレーム51およびサブフレーム52を設けるとともに、それらのメインフレーム51およびサブフレーム52のそれぞれを任意の位置に配置することができる。
さらに、サブフレーム52は、メインフレーム51に対して、斜め方向に取り付けるようにしてもよい。また、サブフレーム52は、その形状を直線状とせずに、例えば、L字型、T字型、またはU字型などの形状とするようにしてもよい。
次に、図6および図7を参照して、加重方向振動材支え25の詳細について説明する。図6は、加重方向振動材支え25をフレーム24のメインフレーム51に固定するときの斜視図を示し、図7は、図6を上側から見た場合の図を示す。
加重方向振動材支え25は、例えば、金属などの素材から形成される。加重方向振動材支え25は、図6に示すように、L字アングル材からなり、そのL字型アングル材には、メインフレーム51に設けられている長穴に嵌めることが可能となるボルト61Aおよびボルト61Bのそれぞれが設けられている。
フレーム24は、図7に示すように、加重方向振動材支え25のボルト61Aおよびボルト61Bのそれぞれを、メインフレーム51の所定の長穴に嵌め込ませて、嵌め込まれたボルト61Aおよびボルト61Bを、それぞれ、ナット62Aおよびナット62Bにより固定する。
すなわち、フレーム24においては、L字アングル材である加重方向振動材支え25に設けられているボルト61Aおよびボルト61Bが、ナット62Aおよびナット62Bにより、メインフレーム51に固定され、加重方向(垂直方向)の振動材31を支える。その結果、衝立スピーカ装置11において、振動材31は、加重方向振動材支え25により加重方向に支えられているので、加重方向に落ちない構造となっている。
次に、図8乃至図13を参照して、前後方向振動材支え26の詳細について説明する。
前後方向振動材支え26は、例えば、金属などの素材から形成される。前後方向振動材支え26は、図8に示すように、コの字型の形状で形成され、フレーム24に着脱自在に取り付けられる。
前後方向振動材支え26は、図9乃至図13に示すように、そのコの字型の形状を利用して、前後方向振動材支え26Aと前後方向振動材支え26Bとにより振動材31を挟み込むことで、挟み込んだ振動材31を前後方向で支える。
図9乃至図13は、衝立スピーカ装置11を上側から見た場合の図を示す。
図9に示すように、前後方向振動材支え26Aおよび前後方向振動材支え26Bのそれぞれには、例えば、フレーム24(のメインフレーム51)に設けられている長穴に嵌めることが可能となる所定の個数のボルト(図示せず)がそれぞれ設けられており、それらのボルトは、メインフレーム51の長穴に嵌め込まれ、ボルトの個数に対応した個数のナット(図9の例ではナット73Aおよびナット73B)により固定されている。
また、前後方向振動材支え26Aおよび前後方向振動材支え26Bのそれぞれは、振動材31を挟み込む場合、振動材31とともに、振動材31をさらに挟むようにして所定の形状の緩衝材(図9では、緩衝材71A、緩衝材71B、緩衝材72A、および緩衝材72B)も一緒に挟み込む。
緩衝材71A、緩衝材71B、緩衝材72A、および緩衝材72Bのそれぞれは、例えば、ウレタン(スポンジ)またはゴムなどの素材により形成され、その硬さは、所望の音質や音量に合わせて硬いものから柔らかいものまで調整することができる。緩衝材71Aおよび緩衝材71Bのそれぞれは、振動材31の前方に設けられ、緩衝材72Aおよび緩衝材72Bのそれぞれは、振動材31の後方に設けられて、振動材31にかかる衝撃を吸収して保護している。
すなわち、緩衝材71A、緩衝材71B、緩衝材72A、および緩衝材72Bのそれぞれは、振動材31またはフレーム24などを緩衝させることにより、振動材31による振動を行い易くし、音声を発生し易くしている。
また、衝立スピーカ装置11において、振動材31を取り外す場合、図10の例に示すように、前後方向振動材支え26Aに設けられたボルト74Aからナット73Aを取り外し、自由に動かせるようになったボルト74Aを、メインフレーム51の長穴に沿って水平方向にスライドさせることで、前後方向振動材支え26Aは、図中右側に移動する。また、同様に、前後方向振動材支え26Bは、ボルト74Bからナット73Bを取り外して、メインフレーム51の長穴に沿って水平方向にスライドさせることで、図中左側に移動する。
このとき、ユーザは、衝立スピーカ装置11から振動材31を外し易い状態となっているので、簡単に、振動材31を取り外すことができる。
また、ユーザは、図11に示すように、前後方向振動材支え26Aおよび前後方向振動材支え26Bのそれぞれを水平方向にスライドさせるだけでなく、前後方向振動材支え26Aおよび前後方向振動材支え26Bのいずれかを取り外してから、振動材31を取り外すようにしてもよい。
このように、衝立スピーカ装置11においては、振動材31を自由に取り外すことができるので、ユーザは、振動材31の厚み(奥行)を、所望の厚さに変更することが可能となる。
前後方向振動材支え26Aおよび前後方向振動材支え26Bのそれぞれは、図12に示すように、振動材31よりも厚みのない振動材81を使用する場合、緩衝材72Aおよび緩衝材72Bのそれぞれよりも厚みのある緩衝材82Aおよび緩衝材82Bを、振動材81とともに挟み込むことで、振動材81を固定する。
また、前後方向振動材支え26Aおよび前後方向振動材支え26Bのそれぞれは、図13に示すように、振動材81よりもさらに厚みのない振動材91を使用する場合、緩衝材82Aおよび緩衝材82Bのそれぞれよりもさらに厚みのある緩衝材92Aおよび緩衝材92Bを、振動材91とともに挟み込むことで、振動材91を固定する。
すなわち、振動材(例えば振動材31)とともに設けられる緩衝材(例えば緩衝材72Aおよび緩衝材72B)は、振動材の厚さ(奥行)に応じて、その厚さが調整される。その結果、ユーザは、所望の音質(の周波数特性)の音声が出力されるように振動材の厚さを自由に調節することができる。
なお、上述した例においては、前後方向振動材支え26をフレーム24に固定する場合、ボルトとナットとにより固定するとして説明したが、本発明においては、ナットとボルトにより固定する方法に限らず、前後方向振動材支え26をフレーム24に固定可能な方法であれば何れであってもよい。
また、上述した例においては、振動材31を垂直方向に固定する例について説明したが、本発明においては、フレーム24の構成を変更することにより、水平方向にも振動材31を複数枚取り付けることが可能となる。
ところで、上述した例においては、振動材31を垂直方向に組み合わせる場合について説明したが、本発明では、衝立スピーカ装置11を水平方向に連結させることで、振動材31を水平方向に組み合わせることも可能である。以下、図14を参照して、衝立スピーカ装置11を水平方向に連結させる場合について説明する。
図14は、連結された衝立スピーカ装置11−1と衝立スピーカ装置11−2とを上側から見た場合の図を示す。
なお、図14においては、説明を分かり易くするため、複数の衝立スピーカ装置11を水平方向に連結する場合の一例として、衝立スピーカ装置11(図1)と同様の機能と構成を備える、衝立スピーカ装置11−1と衝立スピーカ装置11−2との2台を水平方向に連結させる場合について説明する。したがって、図1に示す場合と同様の部分には、同一の符号が付してあり、その説明は(適宜)省略する。
フレーム24−1およびフレーム24−2において、垂直方向のメインフレームであるメインフレーム51Eおよびメインフレーム51Fのそれぞれは、図2および図4により説明したように、L字アングル材として形成されており、正面側からだけでなく、左右の側面側からも、メインフレーム51Eおよびメインフレーム51Fのそれぞれに設けられた長穴を利用することができる。
すなわち、フレーム24−1およびフレーム24−2のそれぞれは、振動板31Aおよび振動板31Bのそれぞれを固定する面の断面が、コの字型の形状となるので、そのコの字型の形状を利用して、衝立スピーカ装置11−1と衝立スピーカ装置11−2とを水平方向に連結させる。
ジョイント部101は、例えば、ボルト101Aおよびナット101Bにより、フレーム24−1の図中左側の側面と、フレーム24−2の図中右側の側面とを固定する。
より具体的には、ジョイント部101は、フレーム24−1のL字型のメインフレーム51Fと、フレーム24−2のL字型のメインフレーム51Eとのそれぞれを水平方向に並べたとき、L字型の形状となる面のうち、向き合っている面のそれぞれに設けられている長穴を、所定の個数のボルト101Aとナット101Bとにより固定する。
このように、本発明においては、衝立スピーカ装置11−1と衝立スピーカ装置11−2とを水平方向に連結することができるので、より多くの自由度を持って、衝立スピーカ装置11を設置して振動材31を配置し、低い周波数の音(低音)から高い周波数の音(高音)までの広い周波数帯域の音声を出力することができる。
なお、図14の例では、衝立スピーカ装置11−1と衝立スピーカ装置11−2との2台の装置を水平方向に連結させる場合について説明したが、本発明においては、3台以上の衝立スピーカ装置11を水平方向に連結させる場合でも同様に連結させることができる。
また、本発明においては、衝立スピーカ装置11を水平方向に連結させる場合、ジョイント部101に所定の角度のついた治具を、連結させる衝立スピーカ装置11間に挟み込むことで、治具の角度に応じた、所定の角度をつけて衝立スピーカ装置11をつなぎ合わせることが可能となる。
さらに、本発明においては、連結させた衝立スピーカ装置11のそれぞれに設けられている振動材31の素材を異なる素材とすることが可能である。例えば、本発明においては、衝立スピーカ装置11−1に設けられた振動材31−1を石膏ボードにより形成し、衝立スピーカ装置11−2に設けられた振動材31−2を木材により形成することが可能となる。
ところで、上述した例においては、衝立スピーカ装置11は、床に接する面に設けられた車輪22A乃至22Dおよび装置支え23A乃至23Dのそれぞれにより、床面に直立しているが、衝立スピーカ装置11を天井に設けられたガイドに嵌めて、そのガイドより支持することで、天井から吊すようにしてもよい。以下、図15および図16を参照して、衝立スピーカ装置11を天井から吊す場合について説明する。
図15は、本発明の一実施の他の形態の衝立スピーカ装置111を示す図である。
図15において、図1に示す場合と同様の部分には同一の符号を付してあり、その説明は省略する。すなわち、衝立スピーカ装置111は、図1の衝立スピーカ装置11に設けられている、ベース21、車輪22A乃至22D、および装置支え23A乃至23Dの代わりに、車輪121Aおよび車輪121Bのそれぞれが設けられている。
車輪121Aおよび車輪121Bのそれぞれは、天井に設けられたガイド131に嵌め込むことが可能となる形状をしており、ガイド131に嵌め込まれることにより支持される。衝立スピーカ装置111は、車輪121Aおよび車輪121Bのそれぞれが、ガイド131上をスライドすることにより、ガイド131に沿って移動する。
このように、ユーザは、所望の位置に衝立スピーカ装置111を設置することができるので、より多くの自由度を持って、衝立スピーカ装置111を設置して振動材31を配置し、低い周波数から高い周波数までの広い周波数帯域の音声を出力することができる。
また、衝立スピーカ装置111は、天井に設けられたガイド131により支持されているので、図1のベース21を設ける必要がなく、床面に直立している場合と比較して、少ないスペースでも設置することができる。
なお、図15の例では、説明を分かり易くするために、1台の衝立スピーカ装置111を一例にして説明したが、複数台設けるようにしてもよい。すなわち、本発明においては、2台以上の衝立スピーカ装置111の車輪121Aおよび車輪121Bのそれぞれをガイド131に嵌め込んで、水平方向に連結させることもできる。
また、室内の天井の高さによって要求される衝立スピーカ装置111の高さが異なることがあるが、衝立スピーカ装置111は、図16の例で示すように、調整材141を設けることで、その高さを調節することができる。
調整材141は、例えば、振動材31と同様に、木材などの素材から形成される。調整材141は、上述した振動材31と同様にして、衝立スピーカ装置111に固定される。例えば、調整材141と振動材31とを同様の外観とすることで、ユーザは、調整材141と振動材31との見分けがつかなくなり、違和感なく、衝立スピーカ装置111を使用することができる。
このように、衝立スピーカ装置111は、調整材141を固定することで、高さを調節することができるので、衝立としての機能をより向上させることができる。
ところで、本発明の衝立スピーカ装置11は、部屋の壁となるように構成することもできる。すなわち、衝立スピーカ装置11と同様の機能と構成を有する壁が設けられている部屋では、壁は、部屋を仕切る役割を果たすとともに、音声を出力させることができる。
図17は、複数の衝立スピーカ装置11により壁を構成した部屋151を上側から見た場合の図を示す。
部屋151において、その四方を囲む壁は、例えば、衝立スピーカ装置11(図1)と同様の機能と構成を備える、壁161−1乃至161−12により構成される。すなわち、図17は、上側から見た場合の図であるので、水平方向に壁161−1乃至161−12が連結されているように表現されているが、実際には、垂直方向にも振動板が連結されており、振動板および振動子のそれぞれの数は任意である。
図17の例では、部屋151は、壁161−1乃至161−3、壁161−4乃至161−6、壁161−7乃至161−9、および壁161−10乃至161−12の4つの面により構成されている。すなわち、部屋151の四方を囲む4つの面は、それぞれ3つの壁により構成される。部屋151は、本発明の部屋の一例である。
壁161−1乃至161−12のそれぞれは、衝立スピーカ装置11と同様に、スピーカの機能と同時に、衝立(壁)としての役割も果たす。すなわち、壁161−1乃至161−12のそれぞれは、衝立スピーカ装置11と同様に、振動材を垂直方向に増やしたり、振動材の厚みを調節したりすることにより、多様な音声を出力させることができる。
このように、部屋151は、より多くの自由度を持って、衝立スピーカ装置11と同様の機能と構成を有する壁161−1乃至161−12を設置して振動材を配置し、低い周波数から高い周波数までの広い周波数帯域の音声を出力させることができる。
なお、図17の例では、部屋151は、4つの面に囲まれているとして説明したが、本発明においては、4つの面に限らず、少なくとも1つの面が設けられていればよい。また、1つの面を3つの壁(例えば壁161−1乃至161−3)により構成されるとして説明したが、本発明においては、3つの壁に限らず、少なくとも1つの面に1つの壁(例えば壁161−1)が設けられていればよい。
また、衝立スピーカ装置11は、振動材31の代わりに、例えば、所定の形状の壁材や、LCD(Liquid Crystal Display)などによる薄型のテレビジョン受像機などを固定することもできる。すなわち、ユーザは、予算や用途に合わせて、様々な形態で衝立スピーカ装置11を使用することができる。
図18は、本発明の一実施のさらに他の形態の衝立スピーカ装置211を示す図である。
図18において、図1に示す場合と同様の部分には同一の符号を付してあり、その説明は省略する。すなわち、衝立スピーカ装置211は、図1の衝立スピーカ装置11に設けられている、振動板31−2の代わりに、スクリーン221が設けられている。
衝立スピーカ装置211は、衝立スピーカ装置11と同様に、振動板31−1、スクリーン221、および振動板31−3のそれぞれを固定する。
スクリーン221は、例えば、樹脂などの半透明の素材や白色の生地などから形成され、プロジェクタ231から投影された画像を表示させる。また、図18の例では、プロジェクタ231は、スクリーン221の背面から投影するリアプロジェクタとして説明しているが、スクリーン221の前面から投影するフロントプロジェクタとして画面を表示させるようにしてもよい。
このとき、振動材31−1および振動材31−3のそれぞれからは、音声を出力させることができるので、スクリーン221に表示されている画像に合わせた音声を出力することができる。
なお、衝立スピーカ装置211は、スクリーン221を半透明の素材により形成した場合、例えば、電気を通すと半透明(または透明)となる装置を利用することにより、スクリーン221に画像を映していないとき、その半透明となっているスクリーン221を通して、ユーザのいる位置と反対側の景色や部屋の反対側を見せるようにすることも可能となる。
また、上述したように、衝立スピーカ装置211は、着脱自在に振動材31やスクリーン221を固定することができるので、例えば、スクリーン221を垂直方向と水平方向のそれぞれに自由に組み合わせて、より大画面のスクリーンに画像を表示させ、振動材31を垂直方向と水平方向のそれぞれに自由に組み合わせて、より広い周波数帯域の音声を出力させることもできる。
以上のように、本発明によれば、多くの自由度を持って、柔軟に振動材を配置して、低い周波数から高い周波数までの広い周波数帯域における音声(ダイナミックレンジの広い音声)を出力できるとともに、音声の伝達効果を向上させることができる。
また、本発明によれば、衝立スピーカ装置が、例えば、大きさ、材質、または厚みなどの異なる振動材を垂直方向に複数枚取り付けている構成となっているので、それぞれの振動材に振動子を取り付けた場合、1枚板の振動材である場合よりも振動材の振動特性において、得意な周波数帯域の音を組み合わせることが可能となるため音質が向上し、振動材の共振点を押さえるようにすることで、歪みのない音声を出力することができる。
また、本発明によれば、衝立スピーカ装置を水平方向につなぎ合わせることができるので、それらの衝立スピーカ装置における振動材の材質を変更することにより、それぞれの衝立スピーカ装置における得意な周波数帯域の音を組み合わせることで、音質を向上させることができる。
なお、上述した例においては、メインフレーム51やサブフレーム52などの各部材を固定する留め具として、ボルトとナットを一例にして説明したが、本発明はそれに限らず、各部材を固定できる方法であれば何れであってもよい。
また、本発明においては、上述した留め具の一例であるボルトやナットが剥き出しにならないように、衝立スピーカ装置11の背面に板などの目隠しを適宜取り付けることも可能である。
さらに、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
11 衝立スピーカ装置, 21 ベース, 22A乃至22D 車輪, 23A乃至23D 装置支え, 24 フレーム, 25,25A,25B 加重方向振動材支え, 26,26A,26A−1,26A−2,26A−3,26B,26B−1,26B−2,26B−3 前後方向振動材支え, 31,31−1乃至31−3,81,91 振動材, 41A乃至43C 振動子, 51A乃至51F メインフレーム, 52A乃至52F サブフレーム, 53−1乃至53−4 長穴, 61A,61B,74A,74B ボルト, 62A,62B,73A,73B ナット, 71A,71B,72A,72B,82A,82B,92A,92B 緩衝材, 101 ジョイント部, 101A ボルト, 101B ナット, 111 衝立スピーカ装置, 121A,121B 車輪, 131 ガイド, 141 調整材, 151 部屋, 161−1乃至161−12 壁, 211 衝立スピーカ装置, 221 スクリーン