JP4747459B2 - 遊技機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ機やスロットマシンなどに代表される遊技機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のパチンコ遊技機等は、複数種類の図柄を変動表示可能な表示装置を備えており、遊技領域に打ち込まれた球が図柄作動口へ入賞することに基づいて変動表示を開始するように構成されている。そしてこの変動表示が予め定められた図柄の組み合わせと一致すると、当たりとなって、遊技者に所定の遊技価値が付与される。
【0003】
ところで、かかる当たりの発生の有無は、球が図柄作動口へ入賞するタイミング即ち図柄表示器の始動条件の成立のタイミングに基づいて決定される。つまり、遊技機内において定期的に変化していく遊技条件と、始動条件が成立したタイミングに基づいて当たりの発生を判定するのである。
【0004】
この様に構成することで、遊技客は始動条件の成立のタイミングに一喜一憂する事となる。また、遊技客の最も望むところである当たり成立にランダム性と公正性を持たせ、ひいては興趣の向上を図っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えば遊技中等に例えば停電や電源の再投入によって遊技状態が初期の状態に戻ってしまうこともある。この場合、それまで継続的かつ定期的に変化してきた当たり判定用の内部的な遊技条件も、遊技機で設定された初期の状態に戻されてしまい、連続的に変化されるべき遊技条件のランダム性が途切れてしまう怖れがあった。
【0006】
従って、遊技機の根幹たる当たりのランダム性と公正性が損なわれることとなる。
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、遊技機における当たりのランダム性と公正性を保持することができる遊技機を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために請求項1記載の遊技機は、複数の識別情報を表示する表示手段と、所定の作動口と、第1状態と第2状態とに切替可能に構成された操作手段と、を備え、前記作動口へ球が入賞することに基づいて遊技者に所定の遊技価値を付与するか否かを判定し、前記表示手段に前記識別情報の変動表示を行わせる遊技機において、前記所定の遊技価値を付与するか否かの判定に使用される数値データを所定のタイミングで更新する更新手段と、その更新手段が使用する数値データを記憶可能な第1の記憶手段と、第2の記憶手段と、を備え、前記第1の記憶手段は、前記第1状態の前記操作手段を操作して前記第2状態に切り替え、所定期間の後に前記第2状態の前記操作手段を前記第1状態に切り替える所定の操作に基づいて記憶されている数値データがクリアされたクリア状態となり、前記第2の記憶手段は、前記第1状態の前記操作手段を操作して前記第2状態に切り替え、所定期間の後に前記第2状態の前記操作手段を前記第1状態に切り替える所定の操作を行った場合でも数値データの記憶状態を維持可能であるように構成され、前記遊技機は、前記操作手段を前記第1状態に切り替えた後の状態で実行される機能として、前記第2の記憶手段に記憶されている数値データを前記第1の記憶手段に設定する設定手段を備え、前記更新手段は、前記設定手段によって前記第1の記憶手段に設定された数値データを更新し、前記遊技機は、前記第2の記憶手段をクリアするためのクリア操作手段を備え、該クリア操作手段が所定条件下で操作されていると判断した場合に、前記第2の記憶手段は、該第2の記憶手段に記憶されている前記数値データがクリアされたクリア状態となる。
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。本実施例では、遊技機の一例として弾球遊技機の一種であるパチンコ機、特に、第1種パチンコ遊技機を用いて説明する。なお、本発明を第3種パチンコ遊技機や、コイン遊技機、スロットマシン等の他の遊技機に用いることは、当然に可能である。
【0040】
図1は、本発明の第1実施例におけるパチンコ機Pの遊技盤1の正面図である。遊技盤1の周囲には、球が入賞することにより5個から15個の球が払い出される複数の入賞口2が設けられている。また、遊技盤1の中央には、複数種類の識別情報としての図柄などを表示する液晶ディスプレイ(LCD)3が設けられている。このLCD3の表示画面は横方向に3分割されており、3分割された各表示領域において、それぞれ右から左へ横方向にスクロールしながら図柄の変動表示が行われる。
【0041】
LCD3の下方には、図柄作動口(第1種始動口)4が設けられ、球がこの図柄作動口4へ入賞することにより、前記したLCD3の変動表示が開始される。図柄作動口4の下方には、特定入賞口(大入賞口)5が設けられている。この特定入賞口5は、LCD3の変動後の表示結果が予め定められた図柄の組み合わせの1つと一致する場合に、大当たりとなって、球が入賞しやすいように所定時間(例えば、30秒経過するまで、あるいは、球が10個入賞するまで)開放される。
【0042】
この特定入賞口5内には、Vゾーン5aが設けられており、特定入賞口5の開放中に、球がVゾーン5a内を通過すると、継続権が成立して、特定入賞口5の閉鎖後、再度、その特定入賞口5が所定時間(又は、特定入賞口5に球が所定個数入賞するまで)開放される。この特定入賞口5の開閉動作は、最高で16回(16ラウンド)繰り返し可能にされており、開閉動作の行われ得る状態が、いわゆる所定の遊技価値の付与された状態(特別遊技状態)である。
【0043】
図2は、パチンコ機Pの電気的構成を示したブロック図であり、特に、パチンコ機Pの遊技内容の制御を行う主制御基板Cと、LCD3の表示を制御する表示用制御基板Dと、後述する電源基板クリアスイッチ18aが設けられる電源基板Sとの電気的構成を示したブロック図である。
【0044】
パチンコ機Pの主制御基板Cは、演算装置であるMPU11と、そのMPU11により実行される各種の制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM12と、ワークメモリ等として使用される第1RAM13及び第2RAM20を備えている。図3〜図7のフローチャートに示すプログラムは、制御プログラムの一部としてROM12内に記憶されている。また第1RAM13には、乱数カウンタ13aと、現初期値メモリ13bとが設けられ、第2RAM20には、次初期値メモリ20aが設けられている。
【0045】
乱数カウンタ13aは、大当たりの発生を決定するためのカウンタであり、図6の乱数カウンタ更新処理(S6)によって、「0〜630」の範囲で、2ms毎に1カウントずつ更新される。遊技盤1に打ち込まれた球が図柄作動口4へ入賞したときに取得した乱数カウンタ13aの値が例えば「7」であると、大当たりが発生する。大当たりが発生すると、大当たりコマンドが主制御基板Cから後述する表示用制御基板Dへ送られる。表示用制御基板Dは、この大当たりコマンドに基づいて、LCD3の変動表示を大当たりの状態に制御する。
【0046】
現初期値メモリ13bは、乱数カウンタ13aの更新中の初期値を記憶するためのメモリであり、次初期値メモリ20aは、乱数カウンタ13aの次回の更新の初期値を記憶するためのメモリである。現初期値メモリ13b及び次初期値メモリ20aは、いずれも乱数カウンタ13aの更新範囲と同じ「0〜630」の範囲内で更新される。
【0047】
なお、次初期値メモリ20aの値の更新は、図3に示すメイン処理のS8及びS9の処理において、次のS2の実行タイミングが到来するまでの残余時間の間、繰り返し実行される。この残余時間は、遊技の状態に応じて変化する不定な時間であるため、次初期値メモリ20aの値は、ランダムに更新される。よって、かかる次初期値メモリ20aの値を乱数カウンタ13aの更新の初期値として使用することにより、乱数カウンタ13aの更新の初期値をランダムに変更することができる。
【0048】
また、乱数カウンタ13aの更新の初期値は、乱数カウンタ13aの一回り毎に更新されるため、乱数カウンタ13aの更新の初期値を変更しても、乱数値の一様性(連続で取得した場合に同じ値をとることがなく、しかも、すべての値が同じ確率で取り出せること)が損なわれることがない。
【0049】
これらMPU11、ROM12、第1RAM13及び第2RAM20は、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン14を介して相互に接続されている。バスライン14は、また、入出力ポート15にも接続されている。入出力ポート15は、後述する電源基板Sや表示用制御基板Dに接続されるほか、主制御基板クリアスイッチ16と他の入出力装置17とにそれぞれ接続されている。主制御基板Cは、入出力ポート15を介して、表示用制御基板Dや他の入出力装置17へ動作コマンドを送り、これらを制御する。LCD3の変動表示や特定入賞口5の開閉動作も、この動作コマンドに基づいて制御される。
【0050】
MPU11及び第1RAM13は、バックアップ端子VBBを有しており、電源断時においてもそのバックアップ端子VBBからバックアップ電圧が供給されている。また、第2RAM20は、バックアップ用の電池20bが接続されてバックアップ可能に構成されている。よって、停電の発生やホールの閉店等により電源がオフされても、第1RAM13および第2RAM20の内容は保持(バックアップ)される。なお、第2RAM20に接続される電池20bは、基板ボックス(図示せず)内に封印されつつ被包された状態で収容されている。そのため、主制御基板クリアスイッチ16は、基板ボックスの封印を解除(或いは、基板ボックスを破壊)し基板ボックスを開封した場合に限り操作が可能となる。よって、電池20bに不正な行為が施されることを防止して、第2RAM20にバックアップされた次初期値メモリ20aの値が不正にクリアされることを防止することができる。
【0051】
第1RAM13には、「0〜630」の範囲で1カウントずつ更新される乱数カウンタ13aの値が記憶される。よって、停電時等においても乱数カウンタ13aの最終の更新値が記憶され続けるので、停電の解消後にその最終の更新値から乱数カウンタ13aの更新を続行することができ、乱数カウンタ13aの連続性を途切れさせることがない。また、第1RAM13には、乱数カウンタ13aの更新中の初期値(現初期値メモリ13b)も記憶されるので、その初期値(現初期値メモリ13b)まで乱数カウンタ13aの値を1カウントずつ更新させることによって、乱数カウンタ13aを一回り分だけ更新させることができ、乱数値の一様性を損なうことがない。
【0052】
同様に、第2RAM20の次初期値メモリ20aの値も、停電時等において記憶され続ける。次初期値メモリ20aの値は、上記のように不定な時間を利用してランダムに更新された値である。よって、この次初期値メモリ20aの値を乱数カウンタ13aの更新の初期値として使用することによって、停電の解消後に乱数カウンタ13aの更新の初期値が予め定められた値に設定され特定の値に偏ることを回避することができ、乱数値のランダム性を保持することができる。
【0053】
また、次初期値メモリ20aの値は、上記のように不定な時間を利用して「0〜630」の範囲でランダムに更新された値である。よって、何らかの理由により乱数カウンタ13aの値がクリアされた場合には、その乱数カウンタ13aに次初期値メモリ20aの値を書き込むことにより、乱数カウンタ13aはその次初期値メモリ20aの値から更新を開始することができる。即ち、乱数カウンタ13aの更新の初期値を、例えば「0」等の固定値とすることなく、「0〜630」のうちからランダムに選択された値とすることができる。よって、第1RAM13がクリアされる毎に、乱数カウンタ13aの更新の初期値が特定の固定値(例えば、「0」)に偏ることを回避することができる。その結果、乱数値のランダム性を保持することができると共に、いわゆる「ぶら下げ基板」等によって大当たりを不正に発生させる等の不正行為をも防止することができるのである。
【0054】
主制御基板クリアスイッチ16は、主制御基板Cの第2RAM20に記憶されている内容をクリアした後に初期値を設定することを指示するためのスイッチである。この主制御基板クリアスイッチ16が押下されると、その押下信号は入出力ポート15を介してMPU11へ入力される。MPU11は、その押下信号によって、主制御基板クリアスイッチ16が所定条件下で押下されたか否かを判断し、主制御基板クリアスイッチ16が所定条件下で押下されたと判断すると、第2RAM20に記憶された内容を「0」クリアし、その後初期値を設定する。よって、何らかの理由により第2RAM20を初期化する必要が生じた場合には、主制御基板クリアスイッチ16を所定条件下で押下することにより、第2RAM20を初期化することができるのである。
【0055】
ここで、主制御基板クリアスイッチ16は、主制御基板Cと共に基板ボックス(図示せず)内に被包された状態で収容されており、その基板ボックスは、主制御基板Cへの不正行為を防止するために、封印金具(図示せず)等を使用して封印されている。そのため、主制御基板クリアスイッチ16は、基板ボックスの封印を解除し基板ボックスを開封した場合に限り操作が可能となる。なお、基板ボックスの封印の解除には、その封印金具を破壊する必要がある。よって、主制御基板クリアスイッチ16が、不用意に、或いは不正の目的で操作されることを防止して、第2RAM20に記憶された次初期値メモリ20aの値がクリアされることを防止することができる。
【0056】
電源基板Sは、各制御基板や入出力装置等へ駆動電力を供給する電源部18を備えており、その電源部18には、電源基板クリアスイッチ18aが設けられている。電源基板クリアスイッチ18aは、主制御基板Cの第1RAM13に記憶されている内容を「0」クリアした後に初期値を設定することを指示するためのスイッチである。例えば、確率変動状態で閉店してしまうと、翌日の開店時に確率変動状態の遊技機が存在してしまい、遊技状態の不平等が生じてしまう等の不具合が発生してしまう。そのため、かかる状態を解消するためには、各基板のメモリ(例えば、主制御基板Cの第1RAM13)にバックアップされた内容をクリアする必要がある。そこで、電源基板クリアスイッチ18aを設けることにより、バックアップされた内容を必要なタイミングでクリアすることができ、上記のような不具合を解消することができるのである。
【0057】
電源基板クリアスイッチ18aが押下されると、電源基板Sから主制御基板Cへ、その押下を知らせるクリア信号が出力され、このクリア信号は、主制御基板Cの入出力ポート15を介してMPU11へ入力される。主制御基板CのMPU11は、そのクリア信号によって、電源基板クリアスイッチ18aが所定条件下で押下されたか否かを判断し、電源基板クリアスイッチ18aが所定条件下で押下されたと判断すると、第1RAM13に記憶された内容を「0」クリアし、その後初期値を設定する。なお、クリア信号は、表示用制御基板Dや他の入出力装置にも出力される。
【0058】
また、電源部18は、バックアップ用の電池18bを有しており、この電池18bから出力される電圧が、主制御基板CのMPU11及び第1RAM13をバックアップする為のバックアップ電圧として、MPU11及び第1RAM13のVBB端子に入力される。
【0059】
表示用制御基板Dは、表示装置であるLCD3による図柄の変動表示を制御するための制御基板である。この表示用制御基板Dは、MPU21と、ROM22と、ワークRAM23と、ビデオRAM24と、キャラクタROM25と、画像コントローラ26と、入力ポート27と、出力ポート28とを備えている。入力ポート27の入力には、主制御基板Cの出力が接続され、その入力ポート27の出力は、MPU21、ROM22、ワークRAM23、画像コントローラ26を接続するバスライン29と接続されている。また、画像コントローラ26は出力ポート48の入力に接続されており、その出力ポート48の出力にはLCD3が接続されている。
【0060】
表示用制御基板DのMPU21は、主制御基板Cから送信される表示命令に基づいてLCD3の表示を制御するためのものである。MPU21は、主制御基板Cから出力される動作コマンドに応じて、LCD3の表示制御を行うものである。ROM22は、そのMPU21により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するためのメモリであり、ワークRAM23は、MPU21による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するためのメモリである。
【0061】
ビデオRAM24は、LCD3に表示される表示データを記憶するためのメモリであり、このビデオRAM24の内容を書き替えることにより、LCD3の表示内容が変更される。キャラクタROM25は、LCD3に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するためのメモリである。画像コントローラ26は、MPU21、ビデオRAM24、出力ポート28のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在すると共に、ビデオRAM24に記憶される表示データを、MPU21の指示により、キャラクタROM45から所定のタイミングで読み出してLCD3に表示させるものである。
【0062】
次に、上記のように構成されたパチンコ機Pで実行される各処理を、図3から図7を参照して説明する。図3は、パチンコ機Pの主制御基板Cにおいて実行されるメイン処理を示すフローチャートである。パチンコ機Pの主な制御は、このメイン処理によって実行される。
【0063】
メイン処理では、まず、初期化処理が実行される(S1)。ここで、図4のフローチャートを参照して、この初期化処理について説明する。
【0064】
図4は、主制御基板Cのメイン処理の中で実行される初期化処理(S1)を示すフローチャートである。この初期化処理は、電源投入後、最初に実行される処理であり、まず、第2RAM20に記憶されている次初期値メモリ20aの値が、「0〜630」の範囲内にあるか否か、即ち、電源をオフする直前の値を記憶しているか否かを確認する(S11)。その結果、次初期値メモリ20aの値が「0〜630」の範囲内にある場合には(S11:Yes)、第2メモリ20には適正な値が記憶(バックアップ)されているので、処理をS12へ移行し、第1RAM13についても同様に確認する。
【0065】
S12の処理では、第1RAM13のバックアップが有効であるか否かを確認する(S12)。この確認は、第1RAM13の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく記憶されているか否かにより判断する。なお、第1RAM13のバックアップが有効か否かの確認は、MPU11のVBB端子に印加されているバックアップ用電圧をチェックして、その電圧値が所定値以上であるか否かによって判断しても良い。
【0066】
確認の結果、キーワードが正しく記憶されていればバックアップは有効であり、逆に、キーワードが正しくなければバックアップデータは破壊されているので、バックアップは有効ではない。第1RAM13のバックアップが有効である場合には(S12:Yes)、乱数カウンタ13a及び現初期値メモリ13bに電源をオフする直前の値が適切にバックアップされているので、この初期化処理(S1)を終了する。
【0067】
第1RAM13のバックアップが有効でない場合には(S12:No)、第1RAM13の内容が破壊されているので、第1RAM13の内容を「0」クリアした後に初期値を設定し(S13)、第1RAM13の乱数カウンタ13a及び現初期値メモリ13bへ第2RAM20の次初期値メモリ20aの値を書き込み(S14、S15)、この初期化処理(S1)を終了する。
【0068】
このように、第1RAM13のバックアップが有効になされなかった場合には、乱数カウンタ13a(及び、現初期値メモリ13b)に第2RAM20の次初期値メモリ20aの値が更新の初期値として設定される。次初期値メモリ20aの値は、不定な時間を利用して「0〜630」の範囲でランダムに更新された値がバックアップされたものであると共に、その範囲内にあることがS11の処理において既に確認されている。よって、この乱数カウンタ13aに次初期値メモリ20aの値を書き込むことにより、乱数カウンタ13aの更新の初期値を固定値とすることなく、「0〜630」のうちからランダムに選択された値とすることができる。その結果、第1RAM13のバックアップが有効になされず、その内容が破壊された場合でも、乱数カウンタ13aの更新の初期値が特定の固定値(例えば、「0」)に偏ることを回避することができ、乱数値のランダム性を保持することができる。
【0069】
一方、S11の処理において、第2RAM20に記憶された次初期値メモリ20aの値が「0〜630」の範囲内にない場合には(S11:No)、第2RAM20に電池20bの電圧低下によるバックアップ不良や、ノイズの影響による書き込み時エラー等が発生しているおそれがあるため、エラー処理(S16)を実行し、かかる不具合に対処した後、この初期化処理を終了する。ここで、図5のフローチャートを参照して、エラー処理(S16)について説明する。
【0070】
図5は、主制御基板Cの初期化処理(S1)の中で実行されるエラー処理(S16)を示すフローチャートである。この処理では、第2RAM20の次初期値メモリ20aの値が適正範囲(「0〜630」)外となっているため、そのまま続行した場合には、遊技に支障をきたすおそれがある。よって、主制御基板クリアスイッチ16が所定条件下で押下されるまで待機し(S21:No)、遊技を中断する。
【0071】
その後、主制御基板クリアスイッチ16が所定条件下で押下された場合には(S21:Yes)、次初期値メモリ20aの値を適正な範囲内の値に修正するべく、第1RAM13及び第2RAM20の内容を「0」クリアした後に初期値を設定し(S22、S23)、このエラー処理を終了する。なお、第1RAM13の初期化(S22)は省略しても良い。
【0072】
図3に戻って説明する。初期化処理(S1)の実行後は、電源基板Sに設けられた電源基板クリアスイッチ18aが所定の条件下で押下されたか否か、即ち、電源基板クリアスイッチ18aの押下が操作者の不用意な操作(誤操作)によるものであるか否かを判断する(S2)。電源基板クリアスイッチ18aが所定条件下で押下されている場合には(S2:Yes)、その押下が第1RAM13を初期化する指令であるため、第1RAM13のすべての内容を「0」クリアした後に初期値を設定する(S5)。この第1RAM13の初期化後は、その第1RAM13の乱数カウンタ13a及び現初期値メモリ13bへ第2RAM20の次初期値メモリ20aの値を書き込む(S14、S15)。
【0073】
一方、電源基板クリアスイッチ18aが押下されていない場合、或いは電源基板クリアスイッチ18aは押下されているがその押下が所定の押下条件を満たしていない場合には(S2:No)、第1RAM13の初期化が指示されていないか、或いは操作者の不用意な操作(誤操作)により電源基板クリアスイッチ18aが押下された可能性があるため、第1RAM13の内容を初期化することなく、処理をS6に移行する。
【0074】
このように、第1RAM13に記憶された値のクリア(及び、初期値の設定)は、電源基板Sに設けられた電源基板クリアスイッチ18aが所定の条件下で押下された場合にのみ行われる。そのため、操作者(例えば、ホールの店員等)によるクリアスイッチ16,18aの不用意な操作(誤操作)によって、第1RAM13に記憶された乱数カウンタ13a等の値が誤ってクリア(及び、初期値が設定)されることを回避することができ、その結果、大当たり発生の有無を決定する乱数カウンタ13aの値のランダム性を保持することができる。
【0075】
また、第1RAM13の内容をクリアする必要が生じた場合には、電源基板クリアスイッチ18aを所定の条件下で押下することによりそのクリア処理を実行することができる。この場合、クリアされた第1RAM13の乱数カウンタ13aには、第2RAM20に記憶される次初期値メモリ20aの値が書き込まれる。この次初期値メモリ20aの値は、「0〜630」の範囲でランダムに更新された値であるので、乱数カウンタ13aの更新の初期値は、例えば「0」等の固定値となることなく、「0〜630」のランダム値となる。よって、第1RAM13がクリアされる毎に、乱数カウンタ13aの更新の初期値が特定の固定値(例えば、「0」)に偏ることを回避することができ、乱数値のランダム性を保持することができる。
【0076】
ここで、例えば、主制御基板Cと電源基板Sとの間に、不正な基板を取り付けて、その基板から不正に生成したクリア信号を主制御基板Cへ出力し、第1RAM13をクリアすることにより乱数カウンタ13aのランダム性を不当に低下させる不正行為が考えられる。しかし、第1実施例のパチンコ機Pによれば、かかるクリア信号が不正に生成された場合でも、第1RAM13がクリアされるのみであり、第2RAM20の内容は保持される。よって、かかる第2RAM20に保持された次初期値メモリ20aの値を、クリアされた乱数カウンタ13aに書き込むことにより、乱数カウンタ13aはその書き込まれた次初期値メモリ20aの値から更新を開始する。従って、乱数カウンタ13aの更新の初期値がランダムに変更されるので、不正行為を行った者は、その値を把握することができず、その結果、かかる不正行為を防止することができる。
【0077】
ここで、S2において判断した電源基板クリアスイッチ18aの押下条件について説明する。本実施例におけるパチンコ機Pは、電源基板クリアスイッチ18aの不用意な操作(誤操作)により乱数カウンタ13a等の値が誤ってクリア(及び、初期値が設定)されないように、次に示す方式で押下(操作)された場合に限って、第1RAM13の内容をクリアし、その後初期値を設定するように構成している。
【0078】
第1の押下方式としては、電源基板クリアスイッチ18aが所定時間(例えば、5秒)以上継続して押下された場合に限り第1RAM13の内容をクリアし、初期値を設定するものである。
【0079】
第2の押下方式としては、電源基板クリアスイッチ18aが所定時間以内に複数回押下された場合(例えば2秒以内に2回押下された場合)に限り第1RAM13の内容をクリアし、初期値を設定するものである。
【0080】
第3の押下方式としては、上述した第1、第2の押下方式を組み合わせたものであり、例えば、電源基板クリアスイッチ18aの5秒以上継続した押下が、15秒以内に2回繰り返された場合に限り第1RAM13の内容をクリアし、初期値を設定する等が例示される。
【0081】
このように、単に電源基板クリアスイッチ18aが押下された場合に第1RAM13の内容をクリアし初期値を設定するのではなく、第1から第3の押下方式のように所定条件下で電源基板クリアスイッチ18aが押下された場合に限り、第1RAM13の内容をクリアし初期値を設定することにより、乱数カウンタ13a等の値の誤クリアを防止することができ、その結果、大当たり発生の有無を決定する乱数カウンタ13aの値のランダム性を保持することができる。なお、この第1から第3の押下方式は、S21(図5参照)における主制御基板クリアスイッチ16の押下条件に適用しても良い。
【0082】
電源基板クリアスイッチ18aの押下により第1RAM13のクリア処理等を実行した後は(S2〜S5)、乱数カウンタ更新処理を実行する(S6)。ここで、図6のフローチャートを参照して、乱数カウンタ更新処理(S6)について説明する。
【0083】
図6は、主制御基板Cのメイン処理の中で実行される乱数カウンタ更新処理(S6)を示すフローチャートである。この処理では、乱数カウンタ13aの値を「0」〜「630」の範囲内で「+1」ずつ更新している。
【0084】
まず、乱数カウンタ13aの値を1加算し(S31)、乱数カウンタ13aの値が「631」以上であるか否か、即ち、乱数カウンタ13aの更新範囲の値を超えているか否かを調べる(S32)。加算後の乱数カウンタ13aの値が「631」以上であれば(S32:Yes)、更新範囲の値を超えているので、乱数カウンタ13aの値を「0」クリアする(S33)。一方、加算後の乱数カウンタ13aの値が「630」以下であれば(S32:No)、更新範囲内の値であるので、加算後の値を維持すべくS13の処理をスキップして、S34の処理へ移行する。
【0085】
S34の処理では、更新後の乱数カウンタ13aの値と現初期値メモリ13bの値とが比較される。現初期値メモリ13bには現在更新中の乱数カウンタ13aの更新の初期値が記憶されているので、両値が等しい場合には(S34:Yes)、乱数カウンタ13aの更新は一回り終了したということである。よって、かかる場合には、乱数カウンタ13aの次回の更新の初期値を記憶する次初期値メモリ13cの値を乱数カウンタ13a及び現初期値メモリ13bへ書き込み(S35,S36)、乱数カウンタ13aの更新の初期値を変更する。
【0086】
このように、乱数カウンタ13aは、一回りの更新が終了する毎にその更新の初期値を変更するため、乱数の一様性(連続で取得した場合に同じ値をとることがなく、しかも、すべての値が同じ確率で取り出せること)のある乱数値を得ることができる。更に、その更新の初期値である次初期値メモリ13cの値は、後述するように、遊技の状態に応じて変化する不定な時間を使用して更新される為、乱数カウンタ13aの更新の初期値をランダムに変更することができる。
【0087】
一方、更新後の乱数カウンタ13aの値と現初期値メモリ13bの値とが等しくない場合には(S34:No)、乱数カウンタ13aの更新は未だ一回り終了していないので、S35及びS36の処理をスキップすることにより乱数カウンタ13a及び現初期値メモリ13bの値を維持しつつ、この乱数カウンタ更新処理を終了する。
【0088】
図3のフローチャートに戻って説明する。S6の処理により乱数カウンタ13aの更新が終了した後は、処理をS7へ移行し、主制御基板Cにおいて遊技の進行を制御するための各処理(S7)が実行される。
【0089】
各処理(S7)の終了後は、S8及びS9の処理によって、次のS2の処理の実行タイミングが到来するまでの残余時間の間、次初期値メモリ更新処理(S8)を繰り返し実行する。即ち、前回のS2の処理の実行から経過した時間をチェックし(S9)、チェックの結果、前回のS2の処理の実行から所定時間が経過していない場合には(S9:No)、処理をS8へ移行して、次初期値メモリ更新処理(S8)の実行を繰り返す。
【0090】
ここで、S2〜S7における処理の実行時間は、遊技の状態に応じて変化するので、次のS2の処理の実行タイミングが到来するまでの残余時間は、一定の時間ではなく、遊技の状況に応じて変化する不定な時間になる。よって、かかる不定な時間を使用して次初期値メモリ13cを繰り返し更新し、その次初期値メモリ13cの値を乱数カウンタ13aの更新の初期値として使用することにより、乱数カウンタ13aの更新の初期値をランダムに変更することができる。
【0091】
一方、S8の処理を繰り返し実行した結果、前回のS2の処理の実行から所定時間が経過した場合には(S9:Yes)、処理をS2へ移行し、S2〜S8の処理を繰り返し実行する。その結果、S2〜S7の処理を定期的(2ms毎)に実行しつつ、その残余時間を使用して次初期値メモリ更新処理(S8)を不定回数だけ繰り返し更新する。
【0092】
図7は、主制御基板Cのメイン処理の中で実行される次初期値メモリ更新処理(S8)を示すフローチャートである。この次初期値メモリ更新処理(S8)は、図3に示したメイン処理において残余時間を使用して繰り返し実行される処理であり、乱数カウンタ13aの更新の初期値を記憶する次初期値メモリ13cの値を、乱数カウンタ13aの更新範囲の「0」〜「630」の範囲内で「+1」ずつ更新する。
【0093】
まず、次初期値メモリ13cの値を1加算し(S41)、次初期値メモリ13cの値が「631」以上であるか否か、即ち、乱数カウンタ13aの更新範囲の値を超えているか否かを調べる(S42)。加算後の次初期値メモリ13cの値が「631」以上であれば(S42:Yes)、更新範囲の値を超えているので、次初期値メモリ13cの値を「0」クリアする(S43)。一方、加算後の次初期値メモリ13cの値が「630」以下であれば(S42:No)、更新範囲内の値であるので、加算後の値を維持すべくS43の処理をスキップして、この次初期値メモリ更新処理を終了する。
【0094】
次に、図8を参照して第2実施例について説明する。第1実施例では、電池20bによってバックアップ可能に構成された第2RAM20に次初期値メモリ20aの値が記憶されたのに対し、第2実施例では、電源断後も内容を保持可能な不揮発性のメモリであるEEPROM30に次初期値メモリ30aの値が記憶されている。なお、前記した第1実施例と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0095】
図8は、第2実施例におけるパチンコ機Pの電気的構成を示したブロック図である。主制御基板Cは、上記した第1実施例と同様に、MPU11と、ROM12と、第1RAM13と、主制御基板クリアスイッチ16とを備えると共に、第1実施例における第2RAM20に代えてEEPROM30を備えている。なお、乱数カウンタ13a及び現初期値メモリ13bの値は、第1実施例と同様に、第1RAM13に記憶されており、次初期値メモリ30aの値は、EEPROM30に記憶されている。
【0096】
これらMPU11、ROM12、第1RAM13及びEEPROM30は、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン14を介して相互に接続されている。バスライン14は、また、入出力ポート15にも接続されている。
【0097】
EEPROM30は、電源投入時において書換可能であると共に、電源断後においてもその内容を保持可能な不揮発性のメモリである。よって、停電の発生(或いは、ホールの閉店)等により電源がオフされても、EEPROM30の内容は保持(バックアップ)される。
【0098】
このように、次初期値メモリ30aの値を記憶するメモリをEEPROM30によって構成したので、停電の発生等によって電源がオフされても、次初期メモリ30aの値を保持(バックアップ)することができ、大当たりの発生を決定する乱数値のランダム性が低下することを防止することができるのである。
【0099】
次に、図9から図12を参照して第3実施例について説明する。第1実施例における主制御基板Cには、乱数カウンタ13a等と次初期値メモリ20aとをそれぞれ別々に記憶するために、2つのRAM(第1RAM13、第2RAM20)が設けられたが、第3実施例における主制御基板Cには、乱数カウンタ40a等と次初期値メモリ40cとを記憶するRAM40が1つだけ設けられている。なお、前記した第1実施例と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0100】
図9は、第3実施例におけるパチンコ機Pの電気的構成を示したブロック図である。主制御基板Cは、上記した第1実施例と同様に、MPU11と、ROM12と、主制御基板クリアスイッチ16とを備えると共に、第1実施例における2つのRAM(第1RAM13、第2RAM20)に代えてRAM40を備える。なお、RAM40には、乱数カウンタ40a、現初期値メモリ40b及び次初期値メモリ40cが設けられている。
【0101】
これらMPU11、ROM12、RAM40は、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン14を介して相互に接続されている。バスライン14は、また、入出力ポート15にも接続されている。
【0102】
RAM40は、バックアップ端子VBBを有しており、電源断時においてもそのバックアップ端子VBBからバックアップ電圧が供給されている。なお、バックアップ端子VBBは、第1実施例と同様に、MPU11にも設けられている。よって、停電の発生やホールの閉店等により電源がオフされても、RAM40の内容は保持(バックアップ)される。
【0103】
図10は、パチンコ機Pの主制御基板Cにおいて実行されるメイン処理を示すフローチャートである。パチンコ機Pの主な制御は、このメイン処理によって実行される。メイン処理では、まず、初期化処理が実行される(S51)。ここで、図11のフローチャートを参照して、この初期化処理について説明する。
【0104】
図11は、主制御基板Cのメイン処理の中で実行される初期化処理(S51)を示すフローチャートである。この初期化処理は、電源投入後、最初に実行される処理であり、まず、RAM40のバックアップが有効であるか否かを確認する(S61)。この確認は、第1実施例と同様に、RAM40の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく記憶されているか否かにより判断する。なお、RAM40のバックアップが有効か否かの確認は、MPU11のVBB端子に印加されているバックアップ用電圧をチェックして、その電圧値が所定値以上であるか否かによって判断しても良い。
【0105】
確認の結果、キーワードが正しく記憶されていればバックアップは有効であり、逆に、キーワードが正しくなければバックアップデータは破壊されているので、バックアップは有効ではない。RAM40のバックアップが有効である場合には(S61:Yes)、RAM40に電源をオフする直前の値が適切にバックアップされているので、この初期化処理(S1)を終了する。
【0106】
一方、RAM40のバックアップが有効でない場合には(S61:No)、次初期値メモリ40cの値が破壊されているか否か、即ち、次初期値メモリ40cに「0〜630」の範囲内にある値が記憶されているか否かを確認する(S62)。その結果、次初期値メモリ40cの値が「0〜630」の範囲内にある場合には(S62:Yes)、RAM40に記憶された値のうち次初期値メモリ40c以外の値を「0」クリアした後に初期値を設定し(S63)、次初期値メモリ40cの値を乱数カウンタ40a及び現初期値メモリ40bに書き込む(S64、S65)。
【0107】
このように、RAM40のバックアップが有効になされなかった場合でも、次初期値メモリ40cに適切な範囲(「0〜630」)の値が記憶されている場合には、その次初期値メモリ40cの値が乱数カウンタ40a等に書き込まれる。よって、乱数カウンタ40aの更新の初期値を固定値(例えば「0」)とすることなく、「0〜630」の範囲の可変された値とすることができる。その結果、RAM40のバックアップが有効になされず、その内容が破壊された場合でも、乱数カウンタ40aの更新の初期値が特定の固定値に偏ることを回避することができ、乱数値のランダム性を保持することができる。
【0108】
一方、S62の処理において、次初期値メモリ40cに「0〜630」の範囲内の値が記憶されていない場合には(S62:No)、次初期値メモリ40cの値も破壊されているので、エラー処理(S66)を実行し、かかる不具合に対処した後、この初期化処理を終了する。ここで、図12のフローチャートを参照して、エラー処理(S66)について説明する。
【0109】
図12は、主制御基板Cの初期化処理の中で実行されるエラー処理(S66)を示すフローチャートである。この処理では、RAM40の次初期値メモリ40cの値が適正範囲(「0〜630」)外となっているため、そのまま続行した場合には、遊技に支障をきたすおそれがある。よって、主制御基板クリアスイッチ16が所定条件下で押下されるまで待機し(S67:No)、遊技を中断する。
【0110】
その後、主制御基板クリアスイッチ16が所定条件下で押下された場合には(S66:Yes)、次初期値メモリ20aの値を適正な範囲内の値に修正するべく、RAM40の内容を「0」クリアした後に初期値を設定し(S68)、このエラー処理を終了する。
【0111】
図10に戻って説明する。初期化処理(S1)の実行後は、電源基板Sに設けられた電源基板クリアスイッチ18aが所定の条件下で押下されたか否か、即ち、電源基板クリアスイッチ18aの押下が操作者の不用意な操作(誤操作)によるものであるか否かを判断する(S2)。電源基板クリアスイッチ18aが所定条件下で押下されている場合には(S2:Yes)、その押下がRAM40を初期化する指令であるため、RAM40の内容を「0」クリアするが、この場合、RAM40に記憶された値のうち次初期値メモリ40c以外の値を「0」クリアした後に初期値を設定し(S52)、その初期化されなかった次初期値メモリ40cの値を乱数カウンタ40a及び現初期値メモリ40bに書き込む(S53、S54)。
【0112】
このように、第3実施例におけるパチンコ機Pは、電源基板クリアスイッチ18aを所定条件下で押下することにより、次初期値メモリ40cの値を保持しつつ、その次初期値メモリ40c以外の値をRAM40から「0」クリアし、その後、保持された次初期値メモリ40cの値を乱数カウンタ40a等に書き込むことができる。この次初期値メモリ40cの値は、「0〜630」の範囲でランダムに更新された値であるので、乱数カウンタ40aの更新の初期値は、例えば「0」等の固定値となることなく、「0〜630」のランダム値となる。よって、RAM40がクリアされる毎に、乱数カウンタ40aの更新の初期値が特定の固定値に偏ることを回避することができ、乱数値のランダム性を保持することができる。
【0113】
また、不正に生成したクリア信号を主制御基板Cへ出力し、RAM40をクリアすることにより乱数カウンタ40aのランダム性を不当に低下させる不正行為が実行された場合でも、クリア信号を受信したMPU11は、次初期値メモリ40c以外の値をRAM40から「0」クリアする。よって、「0」クリアされることなくRAM40に保持された次初期値メモリ40cの値を、クリアされた乱数カウンタ40a等に書き込むことにより(S53、S54)、乱数カウンタ40aはその書き込まれた次初期値メモリ40cの値から更新を開始する。従って、乱数カウンタ40aの更新の初期値がランダムに変更されるので、不正行為を行った者は、その値を把握することができず、その結果、かかる不正行為を防止することができる。
【0114】
電源基板クリアスイッチ18aの押下によりRAM40の初期化を実行した後は(S2、S53〜S54)、S6〜S9の処理を実行する。なお、かかる処理(S6〜S9)は、第1実施例と共通であるため、その説明を省略する。
【0115】
ここで、第3実施例における電源基板クリアスイッチ18aの押下条件は、第1実施例において説明した場合と同様であり、上述した第1から第3の押下方式を適用することができる。
【0116】
次に、図13から図18を参照して第4実施例について説明する。第1実施例では、次初期値メモリ20aの値が第2RAM20に記憶されると共に、その次初期値メモリ20aの値は「+1」更新される毎に第2RAM20に書き込まれたのに対して、第4実施例では、第1RAM13に記憶された初期値カウンタ13cの値を大当たりが発生した場合にのみEEPROM50aの次初期値メモリ50aに書き込むよう構成されている。なお、前記した第1実施例と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0117】
図13は、第4実施例におけるパチンコ機Pの電気的構成を示したブロック図である。主制御基板Cは、上記した第1実施例と同様に、MPU11と、ROM12と、第1RAM13と、主制御基板クリアスイッチ16とを備えると共に、第1実施例における第2RAM20に代えてEEPROM30を備える。なお、第1RAM13には、乱数カウンタ13a、現初期値メモリ13b及び初期値カウンタ13cが設けられており、EEPROM30には次初期値メモリ30aが設けられている。なお、次初期値メモリ30aに記憶される情報は2バイトで構成されるデータである。
【0118】
これらMPU11、ROM12、第1RAM13及びEEPROM30は、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン14を介して相互に接続されている。バスライン14は、また、入出力ポート15にも接続されている。
【0119】
EEPROM30は、第2実施例で説明した通り、不揮発性のメモリであり、停電の発生(或いは、ホールの閉店)等により電源がオフされても、その内容は保持(バックアップ)される。
【0120】
初期値カウンタ13cは、乱数カウンタ13aの次回の更新の初期値を決定するためのカウンタであり、その乱数カウンタ13aの更新範囲と同じ「0〜630」の範囲内で更新される。この初期値カウンタ13cの値は、大当たりが発生した場合に、その時点における更新値がEEPROM30の次初期値メモリ30aに書き込まれる。
【0121】
また、次初期値メモリ30aも、初期値カウンタ13cと同様に、乱数カウンタ13aの次回の更新の初期値を記憶するためのカウンタであり、上記した初期値カウンタ13cの値が書き込まれるので、結果的に「0〜630」の範囲内で更新される。ここで、上記した初期値カウンタ13cの値は、不定な時間を利用してランダムに更新される値であり、その初期値カウンタ13cの値を次初期値メモリ30aへの書き込むタイミング(大当たり発生タイミング)も遊技の状態に応じて不定に到来する。そのため、次初期値メモリ30aの値もランダムに更新される。
【0122】
図14は、第4実施例におけるパチンコ機Pの主制御基板Cにおいて実行されるメイン処理を示すフローチャートである。パチンコ機Pの主な制御は、このメイン処理によって実行される。
【0123】
メイン処理では、まず、初期化処理が実行される(S101)。ここで、図15のフローチャートを参照して、この初期化処理について説明する。
【0124】
図15は、主制御基板Cのメイン処理の中で実行される初期化処理(S101)を示すフローチャートである。この初期化処理は、電源投入後、最初に実行される処理であり、まず、EEPROM30に記憶されている次初期値メモリ30aの値が、「0〜630」の範囲内にあるか否か、即ち、電源をオフする直前の値を記憶しているか否かを確認する(S111)。その結果、次初期値メモリ30aの値が「0〜630」の範囲内にある場合には(S111:Yes)、第1RAM13には適正な値が記憶(バックアップ)されているので、処理をS112へ移行する。
【0125】
S112の処理では、電源基板クリアスイッチ18aが所定条件下で押下されているかを確認し(S112)、所定条件下で押下されていれば(S112:Yes)、第1RAM13をクリアすることが指示されているので、処理をS114に移行する。
【0126】
一方、電源基板クリアスイッチ18aが所定条件下で押下されていなければ(S112:No)、第1RAM13のバックアップが有効であるか否かを確認する(S113)。この確認は、第1RAM13の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく記憶されているか否かにより判断する。なお、第1RAM13のバックアップが有効か否かの確認は、MPU11のVBB端子に印加されているバックアップ用電圧をチェックして、その電圧値が所定値以上であるか否かによって判断しても良い。
【0127】
確認の結果、キーワードが正しく記憶されていればバックアップは有効であり、逆に、キーワードが正しくなければバックアップデータは破壊されているので、バックアップは有効ではない。第1RAM13のバックアップが有効である場合には(S113:Yes)、乱数カウンタ13a、現初期値メモリ13b及び初期値メモリ13cに電源をオフする直前の値が適切にバックアップされているので、この初期化処理(S101)を終了する。
【0128】
第1RAM13のバックアップが有効でない場合には(S113:No)、第1RAM13の内容が破壊されている。また、電源基板クリアスイッチ18aが所定条件下で押下されている場合には(S112:Yes)、第1RAM13のクリアが指示されている。よって、この場合には、第1RAM13の内容を「0」クリアした後に初期値を設定し(S114)、第1RAM13の乱数カウンタ13a及び現初期値メモリ13bへEEPROM30に記憶された次初期値メモリ30aの値を書き込み(S115、S116)、この初期化処理(S101)を終了する。
【0129】
このように、電源基板クリアスイッチ18aが押下された場合、即ち、第1RAM13をクリアする必要が生じた場合、或いは、第1RAM13のバックアップが有効になされなかった場合には、乱数カウンタ13a(及び、現初期値メモリ13b)にEEPROM30の次初期値メモリ30aの値が更新の初期値として設定される。次初期値メモリ30aの値は、不定な時間を利用して「0〜630」の範囲でランダムに更新された値がバックアップされたものであると共に、その範囲内にあることがS111の処理において既に確認されている。よって、この乱数カウンタ13aに次初期値メモリ30aの値を書き込むことにより、乱数カウンタ13aの更新の初期値を固定値とすることなく、「0〜630」のうちからランダムに選択された値とすることができる。その結果、第1RAM13の内容をクリアする必要が生じた場合、或いは、第1RAM13のバックアップが有効になされず、その内容が破壊された場合でも、乱数カウンタ13aの更新の初期値が特定の固定値(例えば、「0」)に偏ることを回避することができ、乱数値のランダム性を保持することができる。
【0130】
一方、S111の処理において、EEPROM30に記憶された次初期値メモリ30aの値が「0〜630」の範囲内にない場合には(S111:No)、EEPROM30に何らかのバックアップ不良や、ノイズの影響による書き込み時エラー等が発生しているおそれがあるため、エラー処理(S117)を実行し、かかる不具合に対処した後、この初期化処理を終了する。ここで、図16のフローチャートを参照して、エラー処理(S117)について説明する。
【0131】
図16は、主制御基板Cの初期化処理(S101)の中で実行されるエラー処理(S117)を示すフローチャートである。この処理では、EEPROM30の次初期値メモリ30aの値が適正範囲(「0〜630」)外となっているため、そのまま続行した場合には、遊技に支障をきたすおそれがある。よって、主制御基板クリアスイッチ16が所定条件下で押下されるまで待機し(S21:No)、遊技を中断する。
【0132】
その後、主制御基板クリアスイッチ16が所定条件下で押下された場合には(S21:Yes)、次初期値メモリ20aの値を適正な範囲内の値に修正するべく、第1RAM13及びEEPROM30の内容を「0」クリアした後に初期値を設定し(S22、S118)、このエラー処理を終了する。なお、第1RAM13の初期化(S22)は省略しても良い。
【0133】
図14に戻って説明する。初期化処理(S101)の実行後は、大当たりが発生しているか否かを確認し(S102)、大当たりが発生している場合には(S102:Yes)、第1RAM13の初期値カウンタ13cの値をEEPROM30の次初期値メモリ30aに書き込む(S103)。
【0134】
一方、大当たりが発生していない場合には(S102:No)、S103の処理をスキップし、処理をS104に移行する。
【0135】
このように、次初期値メモリ30aへの書き込みを通常遊技中の所定の条件成立時(大当たり発生時)のみに行うように構成することで、毎処理ごとに書き込みを行う場合と比較して書き込み頻度と間隔が長くなるようにすることができる。よって、比較的書き込みに時間のかかるEEPROM30を使用してもゆとりをもって書き込み処理を行うことができる。
【0136】
また、次初期値メモリ30aへの書き込みのタイミングを大当たり発生時とすることで、不正実行者が不正を行い難くすることができ、「ぶら下げ基板」のような不正基板に対する抑制効果をも有するのである。
【0137】
つまり、書き込みのタイミングで停電処理時等に行う場合は、不正に停電処理を頻発させることで比較的時間のかかる書き込み処理を適正に実行させなくすることで遊技状態を初期化してそれに伴い不正しようとすることも考えられるが、当該実施例の方法ではせっかくの大当たりを初期化してしまうおそれもあるため、不正に対しての抑制効果もある。
【0138】
なお、大当たりは、遊技者の遊技操作に基づく発射された遊技球が始動口に入賞した時の乱数カウンタ13aの値に基づいて決定される。
【0139】
S104の処理では、乱数カウンタ更新処理を実行する(S104)。ここで、図17のフローチャートを参照して、乱数カウンタ更新処理(S104)について説明する
図17は、主制御基板Cのメイン処理の中で実行される乱数カウンタ更新処理(S104)を示すフローチャートである。この処理では、乱数カウンタ13aの値を「0」〜「630」の範囲内で「+1」ずつ更新している。
【0140】
まず、乱数カウンタ13aの値を1加算し(S31)、乱数カウンタ13aの値が「631」以上であるか否か、即ち、乱数カウンタ13aの更新範囲の値を超えているか否かを調べる(S32)。加算後の乱数カウンタ13aの値が「631」以上であれば(S32:Yes)、更新範囲の値を超えているので、乱数カウンタ13aの値を「0」クリアする(S33)。一方、加算後の乱数カウンタ13aの値が「630」以下であれば(S32:No)、更新範囲内の値であるので、加算後の値を維持すべくS13の処理をスキップして、S34の処理へ移行する。
【0141】
S34の処理では、更新後の乱数カウンタ13aの値と現初期値メモリ13bの値とが比較される。現初期値メモリ13bには現在更新中の乱数カウンタ13aの更新の初期値が記憶されているので、両値が等しい場合には(S34:Yes)、乱数カウンタ13aの更新は一回り終了したということである。よって、かかる場合には、乱数カウンタ13aの次回の更新の初期値を記憶する初期値カウンタ13cの値を乱数カウンタ13a及び現初期値メモリ13bへ書き込み(S121,S122)、乱数カウンタ13aの更新の初期値を変更する。
【0142】
このように、乱数カウンタ13aは、一回りの更新が終了する毎にその更新の初期値を変更するため、乱数の一様性(連続で取得した場合に同じ値をとることがなく、しかも、すべての値が同じ確率で取り出せること)のある乱数値を得ることができる。更に、その更新の初期値である初期値カウンタ13cの値は、後述するように、遊技の状態に応じて変化する不定な時間を使用して更新される為、乱数カウンタ13aの更新の初期値をランダムに変更することができる。
【0143】
一方、更新後の乱数カウンタ13aの値と現初期値メモリ13bの値とが等しくない場合には(S34:No)、乱数カウンタ13aの更新は未だ一回り終了していないので、S121及びS122の処理をスキップすることにより乱数カウンタ13a及び現初期値メモリ13bの値を維持しつつ、この乱数カウンタ更新処理を終了する。
【0144】
図14のフローチャートに戻って説明する。S104の処理により乱数カウンタ13aの更新が終了した後は、処理をS7へ移行し、主制御基板Cにおいて遊技の進行を制御するための各処理(S7)が実行される。
【0145】
各処理(S7)の終了後は、S105及びS9の処理によって、次のS102の処理の実行タイミングが到来するまでの残余時間の間、初期値カウンタ更新処理(S105)を繰り返し実行する。即ち、前回のS102の処理の実行から経過した時間をチェックし(S9)、チェックの結果、前回のS2の処理の実行から所定時間が経過していない場合には(S9:No)、処理をS105へ移行して、初期値カウンタ更新処理(S105)の実行を繰り返す。
【0146】
ここで、S102〜S7における処理の実行時間は、遊技の状態に応じて変化するので、次のS102の処理の実行タイミングが到来するまでの残余時間は、一定の時間ではなく、遊技の状況に応じて変化する不定な時間になる。よって、かかる不定な時間を使用して初期値カウンタ13cを繰り返し更新し、その初期値カウンタ13cの値を乱数カウンタ13aの更新の初期値として使用することによって、乱数カウンタ13aの更新の初期値をランダムに変更することができる。
【0147】
一方、S105の処理を繰り返し実行した結果、前回のS102の処理の実行から所定時間が経過した場合には(S9:Yes)、処理をS102へ移行し、S102〜S8の処理を繰り返し実行する。その結果、S102〜S7の処理を定期的(2ms毎)に実行しつつ、その残余時間を使用して初期値カウンタ更新処理(S105)を不定回数だけ繰り返し更新する。
【0148】
図18は、主制御基板Cのメイン処理の中で実行される初期値カウンタ更新処理(S105)を示すフローチャートである。この初期値カウンタ更新処理(S105)は、図14に示したメイン処理において残余時間を使用して繰り返し実行される処理であり、乱数カウンタ13aの更新の初期値を記憶する初期値カウンタ13cの値を、乱数カウンタ13aの更新範囲の「0」〜「630」の範囲内で「+1」ずつ更新する。
【0149】
まず、初期値カウンタ13cの値を1加算し(S131)、初期値カウンタ13cの値が「631」以上であるか否か、即ち、乱数カウンタ13aの更新範囲の値を超えているか否かを調べる(S132)。加算後の初期値カウンタ13cの値が「631」以上であれば(S132:Yes)、更新範囲の値を超えているので、初期値カウンタ13cの値を「0」クリアする(S133)。一方、加算後の初期値カウンタ13cの値が「630」以下であれば(S132:No)、更新範囲内の値であるので、加算後の値を維持すべくS133の処理をスキップして、この初期値カウンタ更新処理を終了する。
【0150】
このように、第4実施例では、遊技者の遊技操作によって発射された球と、その球が始動口へ入賞するタイミングと、そのタイミングにおける乱数カウンタ13aの値とに基づいて次初期値メモリ30aの値が決定される。即ち、初期値カウンタ13cの値の次初期値メモリ30aへの書き込みタイミングが決定される。これらタイミング(球の発射タイミング、始動口へ入賞するタイミング、乱数カウンタ値)は、それぞれランダムな値であるので、これらの値に基づいて大当たりのタイミングが決定されることで、次初期値メモリ30aの値がランダムな値となり、その結果、乱数カウンタ13aの更新の初期値をランダムに変更することができるのである。
【0151】
初期値を毎回書き込むのではなく、特定の状態時においてのみ書き込むようにしたことで、書き込み回数を低減させることができ、μs単位で行われる制御にかかる負担を低減でき、停電や不正等の不慮の事態でかかる書き込みを正常に行うことができないという機会を減らすことができる。
【0152】
また、かかる特定の状態時として、大当り状態を選定したことによって、不正防止に役立つ。即ち、例えば不正によって初期値の記憶を消して初期値を特定の固定された値とし、意図的に大当りとなるカウンタ値を狙い打つような行為が考えられるが、かかる行為は自己の大当りを無効化させる行為に直結し、このような不正行為が無意味なものとすることができる。
【0153】
なお、初期値カウンタ13cの値を次初期値メモリ30aへ書き込むタイミングは、必ずしも大当たり発生時に限られるものではなく、例えば、電源の断により実行される停電処理時や終了処理時等に行うようにしても良い。ここで停電処理とは、遊技の進行中に電源が断された場合にも、電源の再入後に、電源断時の状態から遊技を再開(続行)できるようにするための処理であり、電源断時に実行される。また、終了処理は、電源断時に実行される処理であり、次回の電源投入時に正常に処理を実行できるようにするためのものである。
【0154】
まず、制御系の駆動電圧(+5V)より大きなモータ等の駆動電圧(例えば+22V)を監視し、その駆動電圧(監視電圧)が所定値未満(例えば+18V未満)になった場合に電源断(停電の発生)を検出し、停電処理(または終了処理)を実行する。そして、かかる停電処理(または終了処理)を制御系の駆動電圧が正常動作範囲の電圧値を維持する期間内に完了し、次回の電源投入に備えるのである。具体的には、監視電圧が所定電圧値未満になった場合に、主制御基板CのMPU11へ(例えばMPU11のNMI(Non Maskable Interruput)端子へ)停電信号を出力するように構成し、MPU11はその停電信号を受信すると、停電処理(または終了処理)を実行するのである。
【0155】
停電処理(または終了処理)は、制御系の駆動電圧が正常動作範囲の電圧値を維持する期間内に完了する必要がある。電源断の検出から制御系の駆動電圧が正常動作範囲の電圧値を維持する期間は、短時間である。そこで、本実施例のパチンコ機Pでは、停電処理(または終了処理)として第1RAM13の初期値カウンタ13cの2バイトの値を、EEPROM30の次初期値メモリ30aへ書き込みようにしている。停電処理(または終了処理)が、かかる書き込み以外の処理を有する場合には、かかる書き込みは他の処理に優先して実行される。特に、制御系の駆動電圧が正常動作範囲の電圧値を十分に維持する期間内に実行される。これにより、電源断のタイミング、即ち停電処理(または終了処理)の実行中(または実行タイミング)に、初期値カウンタ13cの値を次初期値メモリ30aへ書き込むように構成しても、かかる書き込みを確実に行って、停電処理(または終了処理)により、EEPROM30に記憶される次初期値メモリ30aの値を破壊することがない。なお、初期値カウンタ13cの値の次初期値メモリ30aへの書き込みは、電源断時にのみ行われるものではなく、大当たり発生時や他のタイミングと併用して行うようにしても良い。
【0156】
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0157】
第2、第4実施例においては、次初期値メモリ30aに記憶される情報は2バイトで構成されるデータである旨を明記したが、第1、第3実施例においても、同様に、次初期値メモリ20a,40cに記憶される情報が2バイトで構成されるデータとすることは当然に可能である。
【0158】
第4実施例では、次初期値メモリ30aの値がEEPROM30に記憶されたが、例えば、第1実施例と同様に、電池20bによりバックアップされた第2RAM20で構成しても良い。即ち、次初期値メモリ30aの値を電源断後においても保持できるよう構成されておれば良い。当然ながら、第2RAM20のバックアップには、電池20bの代わりにコンデンサ等を使用しても良い。
【0159】
上記各実施例では、電源基板クリアスイッチ18aが電源基板Sに設けられた場合を説明した。しかし、電源基板クリアスイッチ18aは、電源基板Sに直接設ける必要はなく、少なくとも主制御基板Cへ信号を出力することができる電気的に上流側の位置であれば、電源基板S以外の他の場所に設けるようにしても良い。例えば、主制御基板C等と電源基板Sとを電気的に接続する中継基板(信号出力手段)が設けられている場合には、その中継基板上に電源基板クリアスイッチ18aを設けるようにしても良い。
【0160】
上記各実施例では、主制御基板クリアスイッチ16と電源基板クリアスイッチ18aとが、主制御基板Cと電源基板Sとにそれぞれ1個ずつ設けられた場合を説明した。しかし、各クリアスイッチ16,18aは、必ずしも1個である必要はなく、各基板C,Sのそれぞれ或いはいずれかのクリアスイッチ16,18aを、2以上のクリアスイッチで構成し、これらを直列又は並列に接続するように構成しても良い。また、各クリアスイッチ16,18aとしては、押しボタンスイッチ、ロック付き押しボタンスイッチ、スライドスイッチ、トグルスイッチ等を使用することができる。なお、当然のことながら、クリアスイッチ16,18aが、例えばスライドスイッチにより構成された場合には、上記各実施例又は後述する変形例等におけるクリアスイッチ16,18aの「押下」なる文言は、スライドスイッチを「オン」又は「オフ」する操作に対応する。
【0161】
上記各実施例では、主制御基板クリアスイッチ16と電源基板クリアスイッチ18aとの押下条件として、第1〜第3の押下方式を記載した。しかし、この第1〜第3の押下方式は、一例として例示したものであり、他の押下方式を適用することは当然に可能である。例えば、他の押下条件としては、(1)電源基板クリアスイッチ18aが押下された状態で電源が投入された場合(2)電源基板クリアスイッチ18aが押下された状態で電源がオフされた場合が例示される。
【0162】
上記各実施例では、電源基板クリアスイッチ18aが押下された場合、電源基板Sから主制御基板Cへクリア信号が必ず出力され、そのクリア信号に基づいて電源基板クリアスイッチ18aが所定の条件下で押下されたか否かを主制御基板Cが判断した。しかし、電源基板クリアスイッチ18aが所定の条件下で押下されたか否かは、電源基板Sが判断し、所定の条件を満たしている場合に限り電源基板Sから主制御基板Cへクリア信号を出力するように構成しても良い。主制御基板C(MPU11)は、電源基板クリアスイッチ18aの押下条件を判断する必要がなくなり、主制御基板クリアスイッチ16の押下条件だけを判断すれば良いため、その分、制御負担を軽減することができ、主制御基板Cで実行される他の制御に支障を来してしまうことを防止することができる。
【0163】
また、乱数カウンタ13aの値は、定期的(例えば2ms毎)に更新される場合を説明したが、必ずしも定期的に更新される必要はなく、不定期に更新されても良い。また、メイン処理(図3、図10、図14参照)は、S9の処理において、所定時間(2ms)が経過したと判断された場合に、繰り返し実行された。しかし、これに代えて、いわゆる「INT割込処理」によってメイン処理を繰り返し実行するようにしても良い。
【0164】
本発明を上記実施例とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施しても良い。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、スロットマシン、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
【0165】
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄が特定図柄であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えたスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
【0166】
また、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に有利な大当たり状態が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。
【0167】
以下に本発明の変形例を示す。請求項1記載の遊技機において、前記乱数カウンタは、少なくとも遊技者に所定の遊技価値を付与するか否かの決定に使用する乱数カウンタを含むことを特徴とする遊技機1。
【0168】
請求項1記載の遊技機において、前記乱数カウンタは、少なくとも遊技者に所定の遊技価値を付与するか否かの決定に使用する第1の乱数カウンタと、前記当否決定以外の遊技制御に使用される第2の乱数カウンタと、を含むことを特徴とする遊技機2。
【0169】
遊技機2において、第2の乱数カウンタは第1乱数カウンタの更新における初期値(更新開始値)に使用されるものであることを特徴とする遊技機3。
【0170】
遊技機2又は3において、前記第2の記憶手段は、少なくとも前記第2の乱数カウンタに関連する情報を記憶(保持)するものであることを特徴とする遊技機4。
【0171】
請求項1記載の遊技機または遊技機1〜4のいずれかにおいて、前記第2の記憶手段は、前記当否決定以外の遊技制御に必要な最小限の情報(初期値、更新開始値)のみを記憶(保持)するものであることを特徴とする遊技機5。
【0172】
遊技機5において、前記当否決定以外の遊技制御に必要な最小限の情報は、2バイトで構成される数値データであることを特徴とする遊技機6。
【0173】
請求項1記載の遊技機または遊技機1〜6のいずれかにおいて、前記第2の記憶手段への記憶処理は、遊技者が遊技を操作可能な正常遊技中に実行されることを特徴とする遊技機7。
【0174】
請求項1記載の遊技機または遊技機1〜7のいずれかにおいて、前記第2の記憶手段への記憶処理は、遊技者が遊技を操作可能な正常遊技中に発生する定期的な条件に基づいて実行されることを特徴とする遊技機8。
【0175】
請求項1記載の遊技機または遊技機1〜8のいずれかにおいて、前記第2の記憶手段への記憶処理は、遊技者が遊技を操作可能な正常遊技中に発生する不定期的な条件に基づいて実行されることを特徴とする遊技機9。
【0176】
遊技機9において、遊技者が遊技を操作可能な正常遊技中に発生する不定期的条件は、遊技者の遊技操作に応じて不定期に変化することを特徴とする遊技機10。
【0177】
遊技機9において、遊技者が遊技を操作可能な正常遊技中に発生する不定期的条件は、遊技者の遊技操作に応じて発生する始動条件の成立であることを特徴とする遊技機11。
【0178】
遊技機9において、遊技者が遊技を操作可能な正常遊技中に発生する不定期的条件は、遊技者の遊技操作に応じて発生する特別遊技状の成立であることを特徴とする遊技機12。
【0179】
遊技機9において、遊技者が遊技を操作可能な正常遊技中に発生する不定期的条件は、遊技者の遊技操作に応じて発生する特別遊技状の開始時であることを特徴とする遊技機13。
【0180】
遊技機9において、遊技者が遊技を操作可能な正常遊技中に発生する不定期的条件は、遊技者の遊技操作に応じて発生する特別遊技状中の所定条件成立時であることを特徴とする遊技機14。
【0181】
遊技機9において、遊技者が遊技を操作可能な正常遊技中に発生する不定期的条件は、遊技者の遊技操作に応じて発生する特別遊技状の終了時であることを特徴とする遊技機15。
【0182】
請求項1記載の遊技機または遊技機1〜6のいずれかにおいて、前記第2の記憶手段への記憶処理は、遊技者が遊技を操作不可能な正常遊技逸脱状態中に実行されることを特徴とする遊技機16。
【0183】
遊技機16において、前記遊技者が遊技を操作不可能な正常遊技逸脱状態中は電源切断時における特定遊技処理時であることを特徴とする遊技機17。
【0184】
請求項1記載の遊技機または遊技機1から17のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ機であることを特徴とする遊技機18。中でも、パチンコ機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示装置において変動表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の出力時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれる情報等も含む)が付与されるものが挙げられる。
【0185】
請求項1記載の遊技機または遊技機1から17のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機19。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を出力させる特別遊技状態出力手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
【0186】
請求項1記載の遊技機または遊技機1から17のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機20。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより識別情報の変動が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を出力させる特別遊技状態出力手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の変動開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の出力に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
【0187】
【発明の効果】
本発明の遊技機によれば、当たりのランダム性と公正性を保持することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例におけるパチンコ機の遊技盤の正面図である。
【図2】 パチンコ機の電気的構成を示したブロック図である。
【図3】 メイン処理を示すフローチャートである。
【図4】 初期化処理を示すフローチャートである。
【図5】 エラー処理を示すフローチャートである。
【図6】 乱数カウンタ更新処理を示すフローチャートである。
【図7】 次初期値メモリ更新処理を示すフローチャートである。
【図8】 第2実施例におけるパチンコ機の電気的構成を示したブロック図である。
【図9】 第3実施例におけるパチンコ機の電気的構成を示したブロック図である。
【図10】 メイン処理を示すフローチャートである。
【図11】 初期化処理を示すフローチャートである。
【図12】 エラー処理を示すフローチャートである。
【図13】 第4実施例におけるパチンコ機の電気的構成を示したブロック図である。
【図14】 メイン処理を示すフローチャートである。
【図15】 初期化処理を示すフローチャートである。
【図16】 エラー処理を示すフローチャートである。
【図17】 乱数カウンタ更新処理を示すフローチャートである。
【図18】 初期値カウンタ更新処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
3 LCD(表示手段)
4 図柄作動口(作動口)
13 第1RAM(第1の記憶手段)
16 主制御基板クリアスイッチ
18a 電源基板クリアスイッチ(操作手段)
20 第2RAM(第2の記憶手段)
30 EEPROM(第2の記憶手段)
40 RAM(第1の記憶手段、第2の記憶手段)
P パチンコ機(遊技機)
C 主制御基板
S 電源基板
S4,S53,S115 (設定手段)
S6,S104 カウンタ更新処理(更新手段)
Claims (1)
- 複数の識別情報を表示する表示手段と、所定の作動口と、第1状態と第2状態とに切替可能に構成された操作手段と、を備え、前記作動口へ球が入賞することに基づいて遊技者に所定の遊技価値を付与するか否かを判定し、前記表示手段に前記識別情報の変動表示を行わせる遊技機において、
前記所定の遊技価値を付与するか否かの判定に使用される数値データを所定のタイミングで更新する更新手段と、
その更新手段が使用する数値データを記憶可能な第1の記憶手段と、第2の記憶手段と、を備え、
前記第1の記憶手段は、前記第1状態の前記操作手段を操作して前記第2状態に切り替え、所定期間の後に前記第2状態の前記操作手段を前記第1状態に切り替える所定の操作に基づいて記憶されている数値データがクリアされたクリア状態となり、
前記第2の記憶手段は、前記第1状態の前記操作手段を操作して前記第2状態に切り替え、所定期間の後に前記第2状態の前記操作手段を前記第1状態に切り替える所定の操作を行った場合でも数値データの記憶状態を維持可能であるように構成され、
前記遊技機は、前記操作手段を前記第1状態に切り替えた後の状態で実行される機能として、前記第2の記憶手段に記憶されている数値データを前記第1の記憶手段に設定する設定手段を備え、
前記更新手段は、前記設定手段によって前記第1の記憶手段に設定された数値データを更新し、
前記遊技機は、前記第2の記憶手段をクリアするためのクリア操作手段を備え、
該クリア操作手段が所定条件下で操作されていると判断した場合に、前記第2の記憶手段は、該第2の記憶手段に記憶されている前記数値データがクリアされたクリア状態となることを特徴とする遊技機。
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