以下に本発明について詳細に説明する。本発明の洗浄液に含有するアルカノールアミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−メチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、2−(ジ−n−プロピルアミノ)エタノール、2−(ジ−i−プロピルアミノ)エタノール、2−(ジ−n−ブチルアミノ)エタノール、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール、3−ジエチルアミノ−1−プロパノール、2−ジメチルアミノ−1−プロパノール、2−ジエチルアミノ−1−プロパノール、4−ジメチルアミノ−1−ブタノール、4−ジエチルアミノ−1−ブタノール、3−ジメチルアミノ−1−ブタノール、3−ジエチルアミノ−1−ブタノール、5−ジメチルアミノ−1−ペンタノール、5−ジエチルアミノ−1−ペンタノール、4−ジメチルアミノ−1−ペンタノール、4−ジエチルアミノ−1−ペンタノール等を挙げることができる。特に好ましくは、2−メチルアミノエタノール、N−エチルエタノールアミン、2−(ジ−i−プロピルアミノ)エタノール、2−(ジ−n−ブチルアミノ)エタノールが好ましく、含有量としては、洗浄液1リットル当たり0.4モル以上6モル以下であり、好ましくは0.4モル以上1.5モル以下である。洗浄液1リットル当たり0.4モル未満であると所望の洗浄効果が得られず、また、洗浄液1リットル当たり6モルを超えると、臭気の問題やコストが高くなるわりに、洗浄効果が更に良化することは見られない。
本発明の洗浄液には更に界面活性剤を含有するのが好ましく、これによって一段と洗浄効果が改良される。本発明に用い得る界面活性剤には、特に制限はなく、アニオン系、カチオン系、ノニオン系および両性界面活性剤のいずれも用いることができる。界面活性剤の好ましい例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、しょ糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシドなどの非イオン性界面活性剤、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホこはく酸エステル塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩、N−アルキルスルホこはく酸モノアミド二ナトリウム塩類、石油スルホン酸塩類、硫酸化ひまし油、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキルりん酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルりん酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルりん酸エステル塩類、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類などのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体などのカチオン性界面活性剤、カルボキシベタイン類、アミノカルボン酸類、スルホベタイン類、アミノ硫酸エステル類、イミダゾリン類などの両性界面活性剤が挙げられる。なお、以上挙げた界面活性剤の中でポリオキシエチレンとあるものは、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレンなどのポリオキシアルキレンに読み替えることもでき、それらの界面活性剤もまた包含される。
なかでも、付着物の浸透性および、洗浄液中での分散性が良好であるという観点からアニオン界面活性剤が好ましく、特に、アルキルベンゼンスルホン酸塩またはアルキルナフタレンスルホン酸塩が好ましく、含有量としては、洗浄液1リットル当たり1〜100gの範囲が好ましく、特に10〜50gの範囲が好ましい。
本発明の洗浄液には更にグリコールエーテル類を含有することが好ましく、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロプレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等を含有することができる。グリコールエーテル類の含有量としては、洗浄液1リットル当たり1〜20gの範囲が好ましく、特に5〜10gが好ましい。
本発明の洗浄液はpH12〜14が好ましく、特にpH12.5〜13.5が好ましい。このようなpHに調整するためのアルカリ剤としては、第3リン酸塩、第2リン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化塩等の無機アルカリが挙げられる。また、これらの塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、リチウム塩が挙げられる。水溶性の観点からナトリウム塩、カリウム塩が好ましく用いることができる。また、前述のアルカノールアミンを利用することで上記pHとすることもできる。
以下に、本発明の洗浄液によって洗浄することができる光重合系平版印刷版について説明する。光重合系平版印刷版は、高感度化を目的とするものであり、使用される光重合組成物としては、A)エチレン性不飽和化合物、B)光重合開始剤として有機ホウ素塩、C)有機ホウ素塩を380nm〜1300nmの波長領域に増感させる増感色素を含有する。以下、これらについて詳しく説明する。
本発明におけるA)エチレン性不飽和化合物としては、分子内に2個以上の重合性二重結合を有する重合性化合物が挙げられる。好ましいエチレン性不飽和化合物の例としては、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルイソシアヌレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールグリセロールトリアクリレート、グリセロールエポキシトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の多官能アクリル系モノマーが挙げられる。
或いは、上記の重合性化合物に代えてラジカル重合性を有するオリゴマーも好ましく使用され、アクリロイル基、メタクリロイル基を導入した各種オリゴマーとしてポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等も同様に使用されるが、これらもエチレン性不飽和化合物として同様に好ましく用いることができる。
エチレン性不飽和化合物として、更に好ましい態様は、分子内にビニル基が置換したフェニル基を2個以上を有する重合性化合物が挙げられる。該化合物を使用した場合に於いて、発生するラジカルにより生成するスチリルラジカル同士の再結合により効果的に架橋を行うため、高感度であるネガ型感光材料が得られるが、強固な付着物を形成させやすくなる。本発明の洗浄液は分子内にビニル基が置換したフェニル基を2個以上を有する重合性化合物を有する平版印刷版用自動現像機の現像槽の洗浄に、特に有用である。
分子内にビニル基が置換したフェニル基を2個以上有する重合性化合物は、代表的には下記一般式で表される。
式中、Z1は連結基を表し、R1、R2およびR3は、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基等であり、更にこれらの基は、アルキル基、アミノ基、アリール基、アルケニル基、カルボキシ基、スルホ基、ヒドロキシ基等で置換されていてもよい。R4は置換可能な基または原子を表す。m1は0〜4の整数を表し、k1は2以上の整数を表す。nは0又は1の整数を表す。
更に詳細に説明する。Z1の連結基としては、酸素原子、硫黄原子、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−N(R5)−、−C(O)−O−、−C(R6)=N−、−C(O)−、スルホニル基、複素環基等の単独もしくは2以上が複合した基が挙げられる。ここでR5およびR6は、水素原子、アルキル基、アリール基等を表す。更に、上記した連結基には、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
上記複素環基としては、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、イソオキサゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、イソチアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズセレナゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、キノキサリン環等の含窒素複素環、フラン環、チオフェン環等が挙げられ、これらには置換基が結合していてもよい。
上記一般式で表される化合物の中でも好ましい化合物が存在する。即ち、R1およびR3は水素原子でR3は水素原子もしくは炭素数4以下の低級アルキル基(メチル基、エチル基等)で、k1は2〜10の化合物が好ましい。以下に上記一般式で表される化合物の具体例を示すが、これらの例に限定されるものではない。
上記のようなエチレン性不飽和化合物が感光性組成物中に占める割合に関しては好ましい範囲が存在し、全感光性組成物100質量部中においてエチレン性不飽和化合物は1質量部から90質量部の範囲で含まれることが好ましく、更に5質量部から80質量部の範囲で好ましく含まれる。
このように高感度化を目的として用いられるエチレン性不飽和化合物も、付着物を形成する要因の一つであり、更に以下に記載する光重合開始剤としての有機ホウ素塩、および有機ホウ素塩を380nm〜1300nmの波長領域に増感させる増感色素によって高感度化される反面、現像槽内の付着物が強固化される。
次に本発明におけるB)光重合開始剤としての有機ホウ素塩について説明する。有機ホウ素塩として、特に下記一般式で示される有機ホウ素アニオンを有する化合物が用いられている。
上記一般式において、R7、R8、R9およびR10は各々同じであっても異なっていてもよく、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、複素環基を表す。これらの内で、R7、R8、R9およびR10の内の一つがアルキル基であり、他の置換基がアリール基である場合が特に好ましい。
上記の有機ホウ素アニオンは、これと塩を形成するカチオンが同時に存在する。この場合のカチオンとしては、アルカリ金属イオンおよびオニウムイオンが挙げられる。オニウム塩としては、アンモニウム、スルホニウム、∃一ドニウムおよびホスホニウム化合物が挙げられる。アルカリ金属イオンおよびオニウム化合物と有機ホウ素アニオンとの塩を用いる場合、増感色素を添加することで色素が吸収する光の波長範囲での感光性を付与することが行われる。
このような有機ホウ素塩としては、先に示した一般式で表される有機ホウ素アニオンを含む塩であり、塩を形成するカチオンとしてはアルカリ金属イオンおよびオニウム化合物が好ましく使用される。特に好ましい例は、有機ホウ素アニオンとのオニウム塩として、テトラアルキルアンモニウム塩等のアンモニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等のスルホニウム塩、トリアリールアルキルホスホニウム塩等のホスホニウム塩が挙げられる。特に好ましい有機ホウ素塩の例を以下に示す。
感光性組成物中に於ける有機ホウ素塩の割合については好ましい範囲が存在し、感光性組成物トータル100質量部において該有機ホウ素塩は0.1質量部から50質量部の範囲で含まれている。
また、本発明における光重合開始剤として上記有機ホウ素塩とともにトリハロアルキル置換化合物を併用することで、より高感度な平版印刷版が得られ、画像強度も強固化される。言い換えれば、強固な付着物を形成させやすくなる。ここで言うトリハロアルキル置換化合物とは、具体的にはトリクロロメチル基、トリブロモメチル基等のトリハロアルキル基を分子内に少なくとも一個以上有する化合物であり、好ましい例としては、該トリハロアルキル基が含窒素複素環基に結合した化合物としてs−トリアジン誘導体およびオキサジアゾール誘導体が挙げられ、或いは、該トリハロアルキル基がスルホニル基を介して芳香族環或いは含窒素複素環に結合したトリハロアルキルスルホニル化合物が挙げられる。
トリハロアルキル置換した含窒素複素環化合物やトリハロアルキルスルホニル化合物の特に好ましい例を以下に示す。
上記したトリハロアルキル置換化合物を併用する場合、有機ホウ素塩に対する割合としては、有機ホウ素塩1質量部に対してトリハロアルキル置換化合物は0.1質量部から50質量部の範囲で含まれている。
本発明におけるC)有機ホウ素塩を380nm〜1300nmの波長領域に増感させる増感色素は、380nm〜1300nmの波長域において光重合開始剤の分解を増感するものであり、増感色素は種々のカチオン性色素、アニオン性色素および電荷を有しない中性の色素としてメロシアニン、クマリン、キサンテン、チオキサンテン、アゾ色素等が使用できる。これらの内で特に好ましい例は、カチオン色素としてのシアニン、カルボシアニン、へミシアニン、メチン、ポリメチン、トリアリールメタン、インドリン、アジン、チアジン、キサンテン、オキサジン、アクリジン、ローダミン、およびアザメチン色素から選ばれる色素である。これらのカチオン性色素との組み合わせに於いては特に高感度でかつ保存性に優れるために好ましく使用される。特に本発明に用いられる増感色素の好ましい波長域としては近赤外光の波長領域の光に感光性を持たせる系であり、以下に好ましい増感色素の例を示す。
上記のような増感色素と光重合開始剤との量的な比率に於いて好ましい範囲が存在する。増感色素1質量部に対して光重合開始剤は0.01質量部から100質量部の範囲で用いることが好ましく、更に好ましくは光重合開始剤は0.1質量部から50質量部の範囲で使用することが好ましい。
本発明における上記A)〜C)に、更に高分子結着剤として、側鎖に重合性二重結合を有しかつカルボキシル基含有モノマーを共重合成分として有するポリマーを用いてもよい。該ポリマーはアルカリ可溶性ポリマーであることが好ましい。この場合において共重合体組成中に含まれるカルボキシル基含有モノマーの割合として、トータル組成100質量%中に於いて5質量%以上99質量%以下であることが好ましく、これ以下の割合では共重合体がアルカリ水溶液に溶解しない場合がある。より好ましくは、共重合体組成中に含まれるカルボキシル基含有モノマーの割合は、トータル組成100質量%中に於いて10質量%以上80質量%以下であり、特に20質量%以上70質量%以下が好ましい。また共重合体組成中に含まれる重合性二重結合を有するモノマーの割合は、トータル組成100質量%中に於いて1質量%以上95質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10質量%以上80質量%以下であり、特に20質量%以上75質量%以下が好ましい。
上記のカルボキシル基含有モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸2−カルボキシエチルエステル、メタクリル酸2−カルボキシエチルエステル、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、4−カルボキシスチレン等のような例が挙げられる。
ポリマー側鎖に重合性二重結合を導入する場合のモノマーとしては、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ビニルアクリレート、ビニルメタクリレート、1−プロペニル−アクリレート、1−プロペニル−メタクリレート、β−フェニル−ビニル−メタクリレート、β−フェニル−ビニル−アクリレート、ビニルメタクリルアミド、ビニルアクリルアミド、α−クロロ−ビニル−メタクリレート、α−クロロ−ビニル−アクリレート、β−メトキシ−ビニル−メタクリレート、β−メトキシ−ビニル−アクリレート、ビニル−チオ−アクリレート、ビニル−チオ−メタクリレート等が挙げられる。
本発明に用いられる高分子結着材として特に好ましくは、ビニル基が置換したフェニル基を側鎖に有し、かつカルボキシ基含有モノマーを共重合成分として有するポリマーである。ビニル基が置換したフェニル基は直接もしくは連結基を介して主鎖と結合したものであり、連結基としては特に限定されず、任意の基、原子またはそれらの複合した基が挙げられる。また、前記フェニル基は置換可能な基もしくは原子で置換されていてもよく、また、前記ビニル基はハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基等で置換されていてもよい。
本発明のポリマーは、更に他のモノマーを共重合体成分として含んでもよい。他のモノマーとしては、スチレン、4−メチルスチレン、4−ヒドロキシスチレン、4−アセトキシスチレン、4−カルボキシスチレン、4−アミノスチレン、クロロメチルスチレン、4−メトキシスチレン等のスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ドデシル等のメタクリル酸アルキルエステル類、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸アリールエステル或いはアルキルアリールエステル類、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸メトキシジエチレングリコールモノエステル、メタクリル酸メトキシポリエチレングリコールモノエステル、メタクリル酸ポリプロピレングリコールモノエステル等のアルキレンオキシ基を有するメタクリル酸エステル類、メタクリル酸2−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸2−ジエチルアミノエチル等のアミノ基含有メタクリル酸エステル類、或いはアクリル酸エステルとしてこれら対応するメタクリル酸エステルと同様の例、或いは、リン酸基を有するモノマーとしてビニルホスホン酸等、或いは、アリルアミン、ジアリルアミン等のアミノ基含有モノマー類、或いは、ビニルスルホン酸およびその塩、アリルスルホン酸およびその塩、メタリルスルホン酸およびその塩、スチレンスルホン酸およびその塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびその塩等のスルホン酸基を有するモノマー類、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール等の含窒素複素環を有するモノマー類、或いは4級アンモニウム塩基を有するモノマーとして4−ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのメチルクロライドによる4級化物、N−ビニルイミダゾールのメチルクロライドによる4級化物、4−ビニルベンジルピリジニウムクロライド等、或いはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、またアクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシエチルアクリルアミド、4−ヒドロキシフェニルアクリルアミド等のアクリルアミドもしくはメタクリルアミド誘導体、更にはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、フェニルマレイミド、ヒドロキシフェニルマレイミド、酢酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、プロビオン酸ビニル、酪酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類、またメチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、その他、N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリルアルコール、ビニルトリメトキシシラン、グリシジルメタクリレート等各種モノマーが挙げられる。
本発明に係わるポリマーの分子量については好ましい範囲が存在し、質量平均分子量として1000から100万の範囲にあることが好ましく、更に5000から50万の範囲にあることが更に好ましい。
上記、光重合組成物で構成された光重合系平版印刷版は最も高感度化がなされており、画像強度においても極めて強いため、自動現像機での現像工程で掻き落とされた感光層の付着物も著しく強固なものとなってしまう。
また、光重合系平版印刷版を構成する他の要素として重合禁止剤の添加も好ましく行うことができる。例えば、キノン類、フェノール系などの化合物が好ましく使用され、ハイドロキノン、ベンゾキノン、p−メトキシフェノール、カテコール、t−ブチルカテコール、2−ナフトール等のキノン系およびフェノール系化合物、特開平6−161097号、同平10−260529号公報等に記載のN−ニトロソフェニルヒドロキシアミン塩(例えば、セリウム、アルミニウム、アンモニウム等の塩)等が挙げられる。これらの重合禁止剤と先に述べたエチレン性不飽和化合物との好ましい割合は、エチレン性不飽和化合物1質量部に対して0.001から0.1質量部の範囲で使用することが好ましい。
光重合系平版印刷版を構成する他の要素として着色剤の添加も好ましく行うことができる。着色剤としては露光および現像処理後に於いて画像部の視認性を高める目的で使用されるものであり、カーボンブラック、フタロシアニン系色素、トリアリールメタン系色素、アントラキノン系色素、アゾ系色素等の各種の色素および顔料を使用することができ、バインダー1質量部に対して0.005質量部から0.5質量部の範囲で好ましく添加することができる。
光重合系平版印刷版を構成する要素については上述の要素以外にも種々の目的で他の要素を追加して含有することもできる。例えば光重合系印刷版のブロッキングを防止する目的もしくは現像後の画像のシャープネス性を向上させる等の目的で無機物微粒子或いは有機物微粒子を添加することも好ましく行われる。
感光層自体の厚みに関しては、支持体上に0.5μmから10μmの範囲の乾燥厚みで形成することが好ましく、更に1μmから5μmの範囲であることが耐刷性を大幅に向上させるために極めて好ましい。感光層は上述の4つの要素を混合した溶液を作製し、公知の種々の塗布方式を用いて支持体上に塗布、乾燥される。支持体については、例えばフィルムやポリエチレン被覆紙を使用してもよいが、より好ましい支持体は、研磨され、陽極酸化皮膜を有するアルミニウム板である。
上記のようにして支持体上に形成された感光層を有する光重合性系平版印刷版として使用するためには、これに密着露光或いはレーザー走査露光を行い、露光された部分が重合反応により架橋することでアルカリ性現像液に対する溶解性が低下することから、後述するアルカリ性現像液により未露光部を溶出することで画像形成が行われる。
本発明に係わるレーザー走査露光に使用する特に好ましいレーザー光源は、近赤外領域に発振波長を有するレーザーであり、各種半導体レーザー、YAGレーザーやガラスレーザー等の固体レーザーが最も好ましい。
上記光重合系平版印刷版、詳しくは光重合系CTP版を処理する自動現像機について説明する。本発明の洗浄液で洗浄される、光重合系平版印刷版を処理する自動現像機は、現像槽、水洗槽、フィニッシャー槽からなる構造であり、現像槽は勿論のこと、水洗槽に持ち込まれた付着物についても洗浄することができる。本発明の洗浄液は、特定の構造の自動現像機に限定されず、一般的な自動現像機にも使用することができる。本発明の洗浄液の洗浄方法としては洗浄する現像槽に該洗浄液をオーバーフローするまで満たし、数十分間放置または槽内循環するか、或いは該洗浄液をしみ込ませたスポンジにて軽くこすることで洗浄することができる。
次に光重合系印刷版のアルカリ性現像液について説明する。本発明に係わる重合体を溶解する液であれば特に制限はないが、好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、メタ珪酸ナトリウム、メタ珪酸カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド等のようなアルカリ性化合物を溶解した水性現像液が一般的に用いられる。更には、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ベンジルアルコール等の各種アルコール類をアルカリ性現像液中に添加することも好ましく行われる。こうしたアルカリ性現像液を用いて現像処理を行った後に、アラビアゴム等を使用して通常のガム引きが好ましく行われる。
以下実施例により本発明を更に詳しく説明するが、効果はもとより本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
下記の光重合系平版印刷版の感光層用組成液を作製し、その組成液を厚みが0.30mmである砂目立て処理および陽極酸化処理を施したアルミ板上に乾燥膜量が2.7g/m2になるよう塗布を行い、85℃2分間乾燥させ、感光層を形成させた。
<光重合系平版印刷版の感光層用組成液>
下記記載の高分子結合材(P−1) 30質量部
光重合開始剤 有機ホウ素塩(BC−5) 2質量部
トリハロアルキル置換化合物(T−5) 1質量部
エチレン性不飽和化合物(C−1) 5質量部
増感色素(S−33) 0.3質量部
重合禁止剤 2,6−ジ−t−ブチルクレゾール 0.1質量部
溶媒 1,3−ジオキソラン 70質量部
シクロヘキサノン 20質量部
着色剤 10%フタロシアニン分散物 0.5質量部
上記のようにして作製した光重合系平版印刷版を用いて、サーマル用出力機(大日本スクリーン製造(株)製イメージセッターPT−R4000(発振波長830nm、出力100mW))を使用して120mJの露光量で画像部と未露光部が半分になるように露光した後、プロセッサPD−912−M(大日本スクリーン製造(株)製)を用いて、下記処方の現像液で約1ヶ月間(1日100m2処理)繰り返し使用した。その後、付着物が沈着している現像槽内の洗浄を、白灯下にて、下記に示す洗浄液を現像槽内に満たし、30℃の温度にて30分間槽内循環を行った。更に、下記に示す洗浄液をしみ込ましたスポンジにて軽くこすり洗浄効果を確認した。
<現像液>
N−エチルエタノールアミン 37g
リン酸(85%溶液) 10g
水酸化テトラメチルアンモニウム(25%溶液) 60g
アルキルナフタレンスルホン酸Na(35%溶液) 30g
ジエチレントリアミン5酢酸 1g
水で 1L
pHは11.3(25℃)
<洗浄液Aの作製>
アルキルナフタレンスルホン酸Na(35%溶液) 30g
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 6g
KOH 15g
水 400g
上記、洗浄液AにおいてN−メチルエタノールアミンを0.3モル(比較例1)、0.5モル(本発明1)、0.7モル(本発明2)、1.5モル(本発明3)、5モル(本発明4)、7モル(比較例2)を添加し、水を加えて1Lとする洗浄液を調製した。
また、上記同条件にて、N−エチルエタノールアミンを0.3モル(比較例3)、0.5モル(本発明5)、0.7モル(本発明6)、エタノールアミン0.5モル(本発明7)、0.7モル(本発明8)、および3−ジエチルアミノ−1−プロパノールを0.5モル(本発明9)、0.7モル(本発明10)を添加し、水を加えて1Lとする洗浄液を調製した。
上記、洗浄液にて洗浄した現像槽内の付着物の観察は、具体的にガイドローラー、壁面、および循環ポンプ内部について汚れ落ち性を下記の基準で評価した結果を表1に示す。また、循環ポンプの流量については、上記光重合系平版印刷版の現像処理を開始する前に予め測定していた現像液の流量を100%とし、洗浄後に新たに現像槽に現像液を投入しその時の循環ポンプの流量を測定した結果を表1に示す。なお、1ヶ月間繰り返し使用した後の循環ポンプの流量は55%であった。
◎・・・こすらずに付着物が除去できた。
○・・・かるくこすると付着物が除去できた。
△・・・かるくこすっても少し付着物が存在した。
×・・・付着物の除去が不十分であった。
表1の結果より本発明の洗浄液が優れていることがわかる。なお、作業場での臭気に関して20人の作業者にて評価した結果、本発明3の洗浄液を不快と感じた作業者は1人であり、本発明4の洗浄液は7人、比較例2の洗浄液は14人が不快であると感じた。よって比較例2の洗浄液については臭気の結果から×とした。
次に、前述の光重合系平版印刷版の感光層用組成液から、エチレン性不飽和化合物(C−1)を除いた組成液を作製し、上記同様の感光層を形成させた光重合系平版印刷版Aを作製した。また同様に増感色素(S−33)を除いた感光層を形成させた光重合系平版印刷版Bおよび光重合開始剤有機ホウ素塩(BC−5)の代わりに、下記、記載のチタノセン化合物を有機ホウ素塩と同量である2質量部添加した感光層を形成させた光重合系平版印刷版Cを作製した。
上記作製したCの光重合性平版印刷版を用いて、サーマル用出力機(大日本スクリーン製造(株)製イメージセッターPT−R4000(発振波長830nm、出力100mW))を使用して240mJの露光量で、画像部と未露光部が半分になるように露光した後、前述の条件と同様に1ヶ月間繰り返し使用した。また、AおよびBの光重合系平版印刷版については、サーマル用出力機では画像形成できないため、大日本スクリーン製造(株)製P627−GA明室プリンターにより密着UV露光200カウントにて露光部、未露光部が半分になるように露光した後、前述の条件と同様に1ヶ月間繰り返し使用した。
上記、光重合系平版印刷版A、B、Cを使用した自動現像機の付着物が沈着している現像槽内の洗浄を、白灯下にて、比較例1の洗浄液にて同様に洗浄した効果を表2に示す。
表2の結果より、比較例1の洗浄液でも洗浄に対して問題ないことから、本発明での高感度化を必要とした、光重合系平版印刷版であるエチレン性不飽和化合物と光重合開始剤として少なくとも有機ホウ素塩および前記有機ホウ素塩を380nm〜1300nmの波長領域に増感させる増感色素を含有する光重合系平版印刷版において使用される自動現像機の現像槽の洗浄に本発明の洗浄液が適していることがわかる。