本発明に用いられる皮膜性を有さないリン酸基又はホスホン酸基を有する化合物について説明する。本発明に用いられる化合物は、分子中にリン酸基、又はホスホン酸基を1個以上有する化合物であり、好ましくはリン酸基又はホスホン酸基を2以上有する化合物もしくは、リン酸基又はホスホン酸基を1個以上と親水性基を1個以上有する化合物である。またこれらの化合物が皮膜性を持たない事が必須である。皮膜性とは、化合物を溶媒に溶解した後、乾燥させた時に、均一な膜を形成する性質を指し、本発明の化合物においては、乾燥した時にこの膜の形成をしない性質を持つ。本発明の皮膜性を有さないものとは、固形分量で1g/m2の乾燥重量でガラス板に塗布して乾燥した時に、乾燥物を持ち上げて皮膜を形成しない物を言う。これらの化合物としては平均分子量が20万以下のリン酸変性デキストリンや、以下の化合物を挙げる事ができるが、平均分子量20万以下のリン酸変性デキストリンは特に好適である。これらの化合物の例を以下に示すがこれだけに制限されるものではない。
本発明に用いられるリン酸変性デキストリンについて説明する。本発明に使用される変性デキストリンは、デキストリンをオキシ塩化リン、トリメタリン酸塩、オルトリン酸塩、ポリリン酸塩、リン酸や、有機ホスホン酸などと反応させてリン酸エステル化させたものである。エステル化剤により、モノエステル型と、架橋したジエステル型とがあり、どちらも本発明に用いる事ができるが、デキストリン特有の老化が少ない点でモノエステル型の方が好ましい。
原料のでんぷんとしては、馬鈴薯、甘蔗、小麦、タピオカ、玉蜀黍、モチトウモロコシ、米、もち米等から得られる物が用いられる。デキストリンは、これらのでんぷんを酵素もしくは焙焼処理により、結合を適当に切断する。本発明のリン酸変性デキストリンは、皮膜を形成しない分子量である必要があり、平均分子量は1000〜20万、より好ましくは5000〜10万程度である。
本発明に用いられるリン酸変性デキストリンは、デキストリンを構成するグルコースの水酸基にリン酸またはリン酸誘導体がエステル結合した物であり、下記の一般式で示される単位を含む化合物である。
化2においてR1〜R3は互いに同じでも異なっていても良く、各々水素原子、リン酸又はリン酸誘導体残基を表す。R1〜R3を種々選択する事により、所望の性質を得る事ができる。
本発明の現像処理後の工程とは、感光性平版印刷版を露光、現像した後の水洗及びガムフィニッシャー塗布工程等、感光層の画像部を除去した後に露出されるアルミ支持体を洗浄、或いは保護膜塗布工程を指す。
本発明の処理方法を版面保護剤として用いる場合、一般的には酸性領域、即ちpHを2.5〜6の範囲で使用するのが良い。画像部膜面のpHを下げる事により、膜面の親油性を上げてインキ着肉性を良くする事ができる為である。pHを2.5〜6にするためには酸解離定数が1〜7の無機酸とその塩、又は有機酸とその塩等を版面保護剤に添加するのが良い。添加量としては0.005〜0.5質量%である。無機酸としては、炭酸、リン酸、亜硫酸とその塩等が良く、更に、pHを調整するために、硝酸、硫酸を用いる事ができる。有機酸としてはクエン酸、マロン酸、蓚酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸などとその塩が挙げられる。塩としては、上記酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。これらの酸や塩を1種類もしくは2種類以上組み合わせて使用しても良い。
本発明の処理方法を版面保護剤として用いる場合、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、へキシレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジグリセリン等を湿潤剤として用いても良い。これらの湿潤剤は、版面保護剤に対して0.05〜2質量%添加するのが良い。
版面保護剤として用いる場合、表面保護成分としては、水溶性高分子が用いられる。例えば、アラビアガム、デンプン、ゼラチンや、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース類、プルラン、ポリビニルアルコール、アクリルアミド、ポリアクリル酸、ビニルエチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。上記の表面保護成分は、1種類乃至2種類以上の組み合わせで用いる事ができる。この添加量は版面保護剤に対して0.1〜20質量%が良く、より好ましくは1〜15質量%である。
更に、防腐剤としては、フェノール又はその誘導体、ホルマリン、イミダゾール誘導体、デヒドロ酢酸ナトリウム、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベンゾイソチアゾリン−3−オン、ベンズトリアゾール誘導体、アミジングアニジン誘導体、4級アンモニウム塩類、ピリジン、キノリン、グアニジン等の誘導体、ダイアジン、トリアゾール誘導体、オキサゾール、オキサジン誘導体、ニトロブロモアルコール系の2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−エタノール、1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−プロパノールオマジン等が用いられる。添加量は、0.01〜1質量%が好ましく、より好ましくは0.05〜0.5質量%である。
更に、上記防腐剤に対して、キレート剤を添加する事により、防腐効果を更に持続させたり、防腐剤自身の添加量を減らす事ができる。例えばニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸等のアミノポリ酢酸型のキレート剤を添加する事が有効である。これらの化合物の添加量は0.01〜0.5g/Lが好ましく、更に好ましくは0.05〜0.2g/Lである。
現像後の水洗工程に、本発明の処理方法を用いる場合、水洗水に対して本発明のリン酸又はホスホン酸基を有する化合物、又はリン酸変性デキストリンを加える事が有効である。その添加量は、0.01〜2質量%が良く、更に好ましくは0.02〜1.3質量%である。水洗水に添加する場合、pHの調整は必要ないが、上述の防腐剤、キレート剤を添加する事が好ましい。
本発明の処理方法に用いる平版印刷版の支持体としては、アルミニウム板が挙げられる。アルミニウム板としては、純アルミニウム板、及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板である。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等がある。合金中の異元素の含有量は総量で10質量%以下である。本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでも良い。このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用する事ができる。本発明で支持体として用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための、例えば、界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液等による脱脂処理が行われる。アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用いる事ができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸もしくは硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用する事ができる。
このように粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理及び中和処理された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化被膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、シュウ酸、クロム酸又はそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化の処理条件は用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的には、電解質の濃度が1〜80質量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2 、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。陽極酸化被膜の量は1.0g/m2より少ないと耐膜性が不十分であったり、非画像部に傷が付き易くなって、特に平版印刷用原版の場合、印刷時に傷の部分にインキが付着する、いわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。
陽極酸化処理を施された後、アルミニウム表面は必要により親水化処理が施される。本発明で使用可能な親水化処理としては、特公昭36−22063号に開示されているフッ化ジルコン酸カリウム、米国特許第3,276,868号、米国特許第4,153,461号、米国特許第4,689,272号に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法等が用いられる。しかしながら本発明においては、親水化処理として米国特許第2,714,066号、米国特許第3,181,461号、米国特許第3,280,734号及び米国特許第3,902,734号に開示されているようなアルカリ金属シリケート(例えば、ケイ酸ナトリウム水溶液)法のような、シリケート処理を実施しない。但し、表面処理工程において、珪酸塩を添加していても、実質上表面に珪酸処理がされていない場合は、本発明のアルミ支持体の表面処理として有効である。シリケート付着量としては、0もしくは2mg/m2以下(Si元素量として)であれば実質的にシリケート処理を実施していないものと同等の効果を見いだす事ができる。本発明においてはアルミ支持体に珪酸による親水化処理を行わない事で、感光層の接着を良好にする事ができる。
次に本発明の処理に使用される現像液について説明する。本発明の現像液としては、pH9以上であれば、任意のアルカリ水溶液を使用する事ができる。アルカリ剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、第2リン酸ナトリウム、第2リン酸カリウム、第2リン酸アンモニウム、第3リン酸ナトリウム、第3リン酸カリウム及び第3リン酸アンモニウム等の無機アルカリ剤や、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−エチルエタノールアイミン、N−n−ブチルエタノールアミン、N−t−ブチルエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−t−ブチルジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、N−アミノエチルプロパノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド等の有機アルカリ剤等が挙げられる。これらは、1種または2種以上組み合わせて使用する事ができる。
本発明の好ましい実施態様として無機アルカリ剤及び有機アルカリ剤の内1種または2種を組み合わせによって形成されたpHが12未満の現像液である。更に好ましくは、pHが10以上で12未満の現像液である。
本発明に用いられる現像液にはその他の種々界面活性剤と併用する事ができ、アニオン系、カチオン系、ノニオン系及び両性界面活性剤が挙げられる。これらの併用する界面活性剤は、現像液中に0.001〜10質量%、より好ましくは0.01〜5質量%の範囲で添加される。
本発明に用いられる現像液には、種々現像安定化剤が用いる事ができる。それらの好ましい例として、特開平6−282079号公報記載の糖アルコールのポリエチレングリコール付加物、テトラブチルホスホニウムブロマイドなどのホスホニウム塩及びジフェニルヨードニウムクロライドなどのヨードニウム塩が好ましい例として挙げられる。更には、特開昭50−51324号公報記載のアニオン界面活性剤又は両性界面活性剤、また特開昭55−95946号公報記載の水溶性カチオン性ポリマー、特開昭56−142528号公報に記載されている水溶性の両性高分子電解質がある。更に、特開昭59−84241号公報のアルキレングリコールが付加された有機ホウ素化合物、特開昭61−215554号公報記載の重量平均分子量300以上のポリエチレングリコール、特開昭63−175858号公報のカチオン性基を有する含フッ素界面活性剤、特開平2−39157号公報の酸又はアルコールニ4モル以上のエチレンオキシドを付加して得られる水溶性エチレンオキシド付加物と、水溶性ポリアルキレン化合物などが挙げられる。
次に本発明で用いられる感光層について説明する。
本発明の処理方法に於いては、平版印刷版は予めシリケート処理を行っていないアルミ支持体に塗布された版であれば特に制限はないが、平版印刷版に使用される、側鎖にエチレン性不飽和二重結合を有しかつカルボキシル基含有モノマーを共重合成分として有するポリマーについて説明する。カルボキシル基含有モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸−2−カルボキシエチルエステル、メタクリル酸−2−カルボキシエチルエステル、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、4−カルボキシスチレン等のような例が挙げられる。
上記のポリマー側鎖にエチレン性不飽和二重結合を導入する場合のモノマーとしては、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ビニルアクリレート、ビニルメタクリレート、1−プロペニル−アクリレート、1−プロペニル−メタクリレート、β−フェニル−ビニル−メタクリレート、β−フェニル−ビニル−アクリレート、ビニルメタクリルアミド、ビニルアクリルアミド、α−クロロ−ビニル−メタクリレート、α−クロロ−ビニル−アクリレート、β−メトキシ−ビニル−メタクリレート、β−メトキシ−ビニル−アクリレート、ビニル−チオ−アクリレート、ビニル−チオ−メタクリレート等が挙げられる。
本発明の処理方法に用いられる平版印刷版のポリマーとして特に好ましくは、エチレン性不飽和二重結合としてビニル基が置換したフェニル基を側鎖に有し、かつカルボキシ基含有モノマーを共重合成分として有するポリマーである。ビニル基が置換したフェニル基は直接もしくは連結基を介して主鎖と結合したものであり、連結基としては特に限定されず、任意の基、原子またはそれらの複合した基が挙げられる。また、前記フェニル基は置換可能な基もしくは原子で置換されていても良く、また、前記ビニル基はハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基等で置換されていても良い。上記した側鎖にビニル基が置換したフェニル基を有する重合体とは、更に詳細には、下記化3で表される基を側鎖に有するものである。
式中、Z1は連結基を表し、R11、R12、及びR13は、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基等であり、更にこれらの基は、アルキル基、アミノ基、アリール基、アルケニル基、カルボキシ基、スルホ基、ヒドロキシ基等で置換されていても良い。R14は置換可能な基または原子を表す。n1は0または1を表し、m1は0〜4の整数を表し、k1は1〜4の整数を表す。
上記一般式について更に詳細に説明する。Z1の連結基としては、酸素原子、硫黄原子、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−N(R15)−、−C(O)−O−、−C(R16)=N−、−C(O)−、スルホニル基、複素環基、及び下記化4で表される基等の単独もしくは2以上が複合した基が挙げられる。ここでR15及びR16は、水素原子、アルキル基、アリール基等を表す。更に、上記した連結基には、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子等の置換基を有していても良い。
上記複素環基としては、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、イソオキサゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、イソチアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズセレナゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、キノキサリン環等の含窒素複素環、フラン環、チオフェン環等が挙げられ、更にこれらの複素環には置換基が結合していても良い。
化3で表される基の例を以下に示すが、これらの例に限定されるものではない。
上記化3で表される基の中には好ましいものが存在する。即ち、R11及びR12が水素原子でR13が水素原子もしくは炭素数4以下の低級アルキル基(メチル基、エチル基等)であるものが好ましい。更に、Z1の連結基としては複素環を含むものが好ましく、k1は1または2であるものが好ましい。
化3で示される基を有し、かつカルボキシ基含有モノマーを共重合成分として有するポリマーの例を下記に示す。式中、数字は共重合体トータル組成100質量%中に於ける各繰り返し単位の質量%を表す。
本発明の処理方法に用いられる印刷版に使用されるポリマーは、更に他のモノマーを共重合体成分として含んでも良い。他のモノマーとしては、スチレン、4−メチルスチレン、4−ヒドロキシスチレン、4−アセトキシスチレン、4−カルボキシスチレン、4−アミノスチレン、クロロメチルスチレン、4−メトキシスチレン等のスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ドデシル等のメタクリル酸アルキルエステル類、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸アリールエステル或いはアルキルアリールエステル類、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸メトキシジエチレングリコールモノエステル、メタクリル酸メトキシポリエチレングリコールモノエステル、メタクリル酸ポリプロピレングリコールモノエステル等のアルキレンオキシ基を有するメタクリル酸エステル類、メタクリル酸−2−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸−2−ジエチルアミノエチル等のアミノ基含有メタクリル酸エステル類、或いはアクリル酸エステルとしてこれら対応するメタクリル酸エステルと同様の例、或いは、リン酸基を有するモノマーとしてビニルホスホン酸等、或いは、アリルアミン、ジアリルアミン等のアミノ基含有モノマー類、或いは、ビニルスルホン酸及びその塩、アリルスルホン酸及びその塩、メタリルスルホン酸及びその塩、スチレンスルホン酸及びその塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びその塩等のスルホン酸基を有するモノマー類、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール等の含窒素複素環を有するモノマー類、或いは4級アンモニウム塩基を有するモノマーとして4−ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのメチルクロライドによる4級化物、N−ビニルイミダゾールのメチルクロライドによる4級化物、4−ビニルベンジルピリジニウムクロライド等、或いはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、またアクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシエチルアクリルアミド、4−ヒドロキシフェニルアクリルアミド等のアクリルアミドもしくはメタクリルアミド誘導体、更にはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、フェニルマレイミド、ヒドロキシフェニルマレイミド、酢酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類、またメチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、その他、N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリルアルコール、ビニルトリメトキシシラン、グリシジルメタクリレート等各種モノマー、が挙げられる。
本発明の処理方法に用いられる印刷版のポリマーの分子量については好ましい範囲が存在し、質量平均分子量として1000から100万の範囲にある事が好ましく、更に5000から50万の範囲にある事が更に好ましい。
本発明の処理方法に用いられる印刷版の感光性組成物は、光重合開始剤として有機ホウ素塩、トリハロアルキル置換された化合物(例えばトリハロアルキル置換された含窒素複素環化合物としてs−トリアジン化合物及びオキサジアゾール誘導体、トリハロアルキルスルホニル化合物)を含有する。
本発明に用いられる有機ホウ素塩としては、下記一般式で示される有機ホウ素アニオンを有する化合物を用いる事が好ましい。
式中、R21,R22,R23及びR24は各々同じであっても異なっていても良く、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、複素環基を表す。これらの内で、R21,R22,R23及びR24の内の一つがアルキル基であり、他の置換基がアリール基である場合が特に好ましい。
上記の有機ホウ素塩としては、先に示した一般式で表される有機ホウ素アニオンを含む塩であり、塩を形成するカチオンとしてはアルカリ金属イオン及びオニウム化合物が好ましく使用される。特に好ましい例は、有機ホウ素アニオンとのオニウム塩として、テトラアルキルアンモニウム塩等のアンモニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等のスルホニウム塩、トリアリールアルキルホスホニウム塩等のホスホニウム塩が挙げられる。特に好ましい有機ホウ素塩の例を以下に示す。
感光性組成物中に於ける有機ホウ素塩の割合については好ましい範囲が存在し、感光性組成物トータル100質量部において該有機ホウ素塩は0.1質量部から50質量部の範囲で含まれている事が好ましい。
本発明において、有機ホウ素塩と併用し使用する、トリハロアルキル置換化合物とは、具体的にはトリクロロメチル基、トリブロモメチル基等のトリハロアルキル基を分子内に少なくとも1個以上有する化合物であり、好ましい例としては、該トリハロアルキル基が含窒素複素環基に結合した化合物としてs−トリアジン誘導体及びオキサジアゾール誘導体が挙げられ、或いは、該トリハロアルキル基がスルホニル基を介して芳香族環或いは含窒素複素環に結合したトリハロアルキルスルホニル化合物が挙げられる。
トリハロアルキル置換した含窒素複素環化合物やトリハロアルキルスルホニル化合物の特に好ましい例を以下に示す。
感光性組成物中に於けるトリハロアルキル置換化合物には好ましい範囲が存在し、感光性組成物トータル100質量部中に於ける割合として0.1質量部から50質量部の範囲で含まれる事が好ましい。更に、これらは前述した有機ホウ素塩とともに感光性組成物中に含まれている場合において特に感度が向上するため好ましく、この場合有機ホウ素塩に対する割合としては、有機ホウ素塩1質量部に対してトリハロアルキル置換化合物は0.1質量部から50質量部の範囲で含まれている事が好ましい。
本発明の処理方法に用いられる印刷版の増感色素については、380nm〜1300nmの波長域において光重合開始剤の分解を増感するものであり、種々のカチオン性色素、アニオン性色素及び電荷を有しない中性の色素としてメロシアニン、クマリン、キサンテン、チオキサンテン、アゾ色素等が使用できる。これらの内で特に好ましい例は、カチオン色素としてのシアニン、カルボシアニン、へミシアニン、メチン、ポリメチン、トリアリールメタン、インドリン、アジン、チアジン、キサンテン、オキサジン、アクリジン、ローダミン、及びアザメチン色素から選ばれる色素である。これらのカチオン性色素との組み合わせに於いては特に高感度でかつ保存性に優れるために好ましく使用される。更には近年380〜410nmの範囲に発振波長を有するバイオレット半導体レーザーを搭載した出力機(プレートセッター)が開発されている。この出力機に対応する高感度である感光系としては増感色素としてピリリウム系化合物やチオピリリウム系化合物を含む系が好ましい。本発明に関わる好ましい増感色素の例を以下に示す。
上記の増感色素の内で、特に本発明の課題の一つである750nm以上の近赤外から赤外光の波長領域の光に感光性を持たせる系に於いては、増感色素としてこうした波長領域に吸収を有する事が必要であり、こうした目的で使用される特に好ましい例を以下に示す。
上記のような増感色素と光重合開始剤との量的な比率に於いて好ましい範囲が存在する。増感色素1質量部に対して光重合開始剤は0.01質量部から100質量部の範囲で用いる事が好ましく、更に好ましくは光重合開始剤は0.1質量部から50質量部の範囲で使用する事が好ましい。
本発明の感光性組成物は、更にエチレン性不飽和化合物を含有するのが好ましい。これを組み合わせる事によって更に高感度が実現でき、また印刷性能に優れた平版印刷版を得る事ができる。
本発明に用いる事ができるエチレン性不飽和化合物としては、分子内に2個以上の重合性二重結合を有する重合性化合物が挙げられる。好ましいエチレン性不飽和化合物の例としては、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルイソシアヌレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールグリセロールトリアクリレート、グリセロールエポキシトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の多官能アクリル系モノマーが挙げられる。
或いは、上記の重合性化合物に代えてラジカル重合性を有するオリゴマーも好ましく使用され、アクリロイル基、メタクリロイル基を導入した各種オリゴマーとしてポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等も同様に使用されるが、これらもエチレン性不飽和化合物として同様に好ましく用いる事ができる。
エチレン性不飽和化合物として、更に好ましい態様は、分子内にビニル基が置換したフェニル基を2個以上を有する重合性化合物が挙げられる。該化合物を使用した場合に於いて、発生するラジカルにより生成するスチリルラジカル同士の再結合により効果的に架橋を行うため、高感度の感光性平版印刷版を作製する上で極めて好ましい。
分子内にビニル基が置換したフェニル基を2個以上有する重合性化合物は、代表的には下記一般式で表される。
式中、Z2は連結基を表し、R31、R32及びR33は、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基等であり、更にこれらの基は、アルキル基、アミノ基、アリール基、アルケニル基、カルボキシ基、スルホ基、ヒドロキシ基等で置換されていても良い。R34は置換可能な基または原子を表す。m2は0〜4の整数を表し、k2は2以上の整数を表す。
更に詳細に説明する。Z2の連結基としては、酸素原子、硫黄原子、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−N(R35)−、−C(O)−O−、−C(R36)=N−、−C(O)−、スルホニル基、複素環基等の単独もしくは2以上が複合した基が挙げられる。ここでR35及びR36は、水素原子、アルキル基、アリール基等を表す。更に、上記した連結基には、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子等の置換基を有していても良い。
上記複素環基としては、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、イソオキサゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、イソチアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズセレナゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、キノキサリン環等の含窒素複素環、フラン環、チオフェン環等が挙げられ、これらには置換基が結合していても良い。
上記一般式で表される化合物の中でも好ましい化合物が存在する。即ち、R31及びR32は水素原子でR33は水素原子もしくは炭素数4以下の低級アルキル基(メチル基、エチル基等)で、k2は2〜10の化合物が好ましい。以下にビニルフェニル基を有するエチレン性不飽和化合物の具体例を示すが、これらの例に限定されるものではない。
上記のようなエチレン性不飽和化合物が、感光性平版印刷版の感光性組成物中に占める割合に関しては好ましい範囲が存在し、感光性組成物トータル100質量部中においてエチレン性不飽和化合物は1質量部から60質量部の範囲で含まれる事が好ましく、更に5質量部から50質量部の範囲で含まれる事が特に好ましい。
本発明の処理方法に用いられる印刷版の感光性組成物は、更に単官能重合性モノマーを含有する事ができる。かかる化合物としては、例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン等のビニルモノマー;イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートモノマー;N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル等が挙げられる。
本発明の感光性組成物は着色剤を含有する事が好ましい。画像部の視認性を高める為に使用されるものであるが、更に好ましくは、セーフライト性向上の為に、可視光領域に吸収を有するものである。これら着色剤の例としては、下記のような、無機顔料、有機顔料、色素などが挙げる事ができる。
無機顔料としては、雲母状酸化鉄、鉛丹、黄鉛、銀朱、群青、二酸化チタン、被覆雲母、ストンチームクロメート、チタニウムイエロー、ジンククロロメート、モリブデン赤、酸化クロム、鉛酸カルシウム等が挙げられる。又、有機顔料としては、カーボンブラック、フタロシアニン顔料、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、縮合アゾ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、ニッケルアゾ顔料、ペリノン顔料、ペリレン顔料、アンスロン顔料、キナクリドン顔料、アンスラキノン顔料、チオインジゴ顔料、ジオキサジン顔料、インダスロン顔料、ピランスロン顔料等が挙げられる。又、色素としては、フタロシアニン系色素、トリアリールメタン系色素、アントラキノン系色素、アゾ系色素等の各種の色素が挙げられる。
上記顔料、色素は、単独で用いてもかまわないが、2種以上を併用して用いてもかまわない。
上記顔料は、ペイントコンディショナー、ボールミル、ジェットミル、ホモジナイザー等の分散機で有機溶剤に分散した状態で平版印刷版の感光性組成物に添加する事が好ましく、色素については有機溶剤に溶解した状態で添加する事が好ましい。
感光性平版印刷版の感光性組成物を構成する他の要素として重合禁止剤の添加も好ましく行う事ができる。例えば、キノン系、フェノール系等の化合物が好ましく使用され、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、カテコール、t−ブチルカテコール、2−ナフトール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール等の化合物が好ましく用いられる。これらの重合禁止剤と先に述べたエチレン性不飽和化合物との好ましい割合は、エチレン性不飽和化合物1質量部に対して0.001から0.1質量部の範囲で使用する事が好ましい。
感光性平版印刷版を構成する要素については上述の要素以外にも種々の目的で他の要素を追加して含有する事もできる。例えばブロッキングを防止する目的もしくは現像後の画像のシャープネス性を向上させる等の目的で無機物微粒子あるいは有機物微粒子を添加する事も好ましく行われる。
本発明の感光層に着色剤を含有する事が好ましい。画像部の視認性を高める為に使用されるものであるが、更に好ましくは、セーフライト性向上の為に、可視光領域に吸収を有するものである。これら着色剤の例としては、下記のような、無機顔料、有機顔料、色素などが挙げる事ができる。
無機顔料としては、雲母状酸化鉄、鉛丹、黄鉛、銀朱、群青、二酸化チタン、被覆雲母、ストンチームクロメート、チタニウムイエロー、ジンククロロメート、モリブデン赤、酸化クロム、鉛酸カルシウム等が挙げられる。又、有機顔料としては、カーボンブラック、フタロシアニン顔料、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、縮合アゾ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、ニッケルアゾ顔料、ペリノン顔料、ペリレン顔料、アンスロン顔料、キナクリドン顔料、アンスラキノン顔料、チオインジゴ顔料、ジオキサジン顔料、インダスロン顔料、ピランスロン顔料等が挙げられる。又、色素としては、フタロシアニン系色素、トリアリールメタン系色素、アントラキノン系色素、アゾ系色素等の各種の色素が挙げられる。
上記顔料、色素は、単独で用いてもかまわないが、2種以上を併用して用いてもかまわない。
上記顔料は、ペイントコンディショナー、ボールミル、ジェットミル、ホモジナイザー等の分散機で有機溶剤に分散した状態で平版印刷版の感光層に添加する事が好ましく、色素については有機溶剤に溶解した状態で添加する事が好ましい。
本発明の感光層は、上述した成分以外にも種々の目的で他の成分を添加する事も好ましく行われる。例えば、保存性を向上させる目的で、ヒンダードフェノール化合物やヒンダードアミン化合物を添加する事が好ましく行われる。これらの化合物の添加量は、重合体100質量部に対して0.1質量部から10質量部の範囲で使用する事が好ましい。
本発明の感光層を構成する他の要素として重合禁止剤の添加も好ましく行う事ができる。例えば、キノン系、フェノール系等の化合物が好ましく使用され、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、カテコール、t−ブチルカテコール、2−ナフトール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール等の化合物が好ましく用いられる。これらの重合禁止剤と先に述べたエチレン性不飽和化合物との好ましい割合は、エチレン性不飽和化合物 質量部に対して0.001から0.1質量部の範囲で使用する事が好ましい。
本発明の感光層を構成する要素については上述の要素以外にも種々の目的で他の要素を追加して含有する事もできる。例えばブロッキングを防止する目的もしくは現像後の画像のシャープネス性を向上させる等の目的で無機物微粒子あるいは有機物微粒子を添加する事も好ましく行われる。
本発明のネガ型平版印刷版の感光層は、製造コストの面を考慮して単層塗布が好ましく、感光層の厚みに関しては、支持体上に0.5μmから10μmの範囲の乾燥厚みで形成する事が好ましく、更に1μmから5μmの範囲である事が耐刷性を大幅に向上させるために極めて好ましい。また、感光層は、公知の種々の塗布方式を用いて支持体上に塗布、乾燥される。
塗布方式としては、例えばロールコーティング、ディップコーティング、エアナイフコーティング、グラビアコーティング、ホッパーコーティング、ブレードコーティング、ワイヤドクターコーティングなどが挙げられる。
本発明の処理方法においては、露光後、通常自動現像機で処理を行う。自動現像機は、一般に現像部と後処理部とからなり、印刷版を搬送する装置と、各処理液槽及びスプレー槽から成り、露光済みの印刷版を水平に搬送しながら、ポンプで組み上げた各処理液をスプレーノズルから吹き付けて現像及び後処理するものである。又、最近は現像液が満たされた現像槽中に液中ガイドロールなどによって印刷版を浸漬搬送させて現像処理する方法が開発されており、この様な現像方法も本発明に好適に適用できる。この様な自動現像液においては、現像処理量や稼働時間等に応じて補充液を補充しながら処理する事ができる。
以下実施例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。