JP4746277B2 - 燃料電池ユニット、情報処理装置および情報処理装置の電力供給方法 - Google Patents

燃料電池ユニット、情報処理装置および情報処理装置の電力供給方法 Download PDF

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Description

本発明は、燃料電池ユニット、情報処理装置および情報処理装置の電力供給方法に係り、特に、情報処理装置に接続される燃料電池ユニット、燃料電池ユニットに接続される情報処理装置および情報処理装置の電力供給方法に関する。
現在、情報処理装置への電源供給源の一つである二次電池として例えばリチウムイオン電池が使用されている。二次電池の有する特徴の一つは、使い捨てタイプである一次電池と比較して、例えば商用電源を用いて充電することで繰り返し使用可能な点にある。
しかしながら、リチウムイオン電池は二次電池であるが故に、例えば商用電源を用いて充電する必要である。
また、近年における情報処理装置の機能性能の向上は著しく、これに伴って情報処理装置の消費電力は増加の傾向にある。そこで、情報処理装置に電力を供給するリチウムイオン電池が提供するエネルギの密度、即ち単位体積或いは単位質量あたりの出力エネルギ量を向上させたいものの、顕著な向上を望むのは難しい状況にある。
一方、燃料電池のエネルギ密度は、理論的にはリチウムイオン電池の10倍とも言われている(例えば、非特許文献1参照)。これは、燃料電池がリチウムイオン電池に対して、体積或いは質量が同じとすると、より長時間(例えば10倍)の電力供給が可能となる潜在的能力を有していることを意味する。また、両者の電力供給時間を等しいとするならば、燃料電池の方がリチウムイオン電池に対して小型・軽量化が可能となる潜在的能力を有している事を意味する。
また、燃料電池は、燃料、例えばメタノール等を小型の容器に封入してユニット化し、小型の容器ごと交換して使用すれば、外部からの充電を必要としない。従って、例えばAC電源設備の無い場所において、リチウムイオン電池を使用して電力を確保する場合と比較して燃料電池を使用して電力を確保する場合の方が、より長時間にわたって情報処理装置を使用可能である。
さらに、リチウムイオン電池を使用した情報処理装置(例えばノート型パーソナルコンピュータ)を長時間使用する場合、リチウムイオン電池の供給する電力を用いて長時間使用することは困難であるため、AC電源による電力供給が可能な環境で情報処理装置を使用しなければならないという制約が課せられる。しかしながら、燃料電池の供給する電力で情報処理装置を使用するとリチウムイオン電池を用いる場合と比較して長時間に渡る情報処理装置の使用が可能になるとともに、上述の制約から解放されることが期待できる。
以上のような観点から、情報処理装置への電力供給を目的とした燃料電池の研究・開発が進められており、これまでにも、例えば特許文献1,特許文献2に開示されている。
燃料電池の方式には種々のものがあるが(例えば非特許文献2参照)、情報処理装置に適するものとして、小型・軽量化、さらに燃料の取り扱いやすさといった観点を考慮すると、ダイレクトメタノール型燃料電池(DMFC:Direct Methanol Fuel Cell)方式が挙げられる。この方式の燃料電池は、燃料としてメタノールを用いるものであり、メタノールを水素に変換することなく直接、燃料極に注入する方式である。
ダイレクトメタノール型燃料電池においては、燃料極に注入するメタノールの濃度が重要であり、この濃度が高いと発電効率が悪くなり十分な性能が得られない。これは燃料となるメタノールの一部が燃料極(負極)と空気極(正極)とに挟まれる電解質膜(固体高分子電解質膜)を透過してしまう現象(これをクロスオーバ現象と呼んでいる。)に起因するものである。クロスオーバ現象はメタノールの濃度が高濃度の場合に顕著になり、低濃度のメタノールを燃料極に注入した場合は低減される。
一方、低濃度のメタノールを燃料として使用した場合、高性能を確保し易いものの、高濃度メタノールに比べると燃料の容積が大きくなるため(例えば10倍)、燃料の収納容器(燃料カートリッジ)が大型となってしまう。
そこで、燃料カートリッジ内には高濃度のメタノールを収納することによって小型化をはかりつつ、一方で、発電時に発生する水を小型のポンプやバルブ等で循環させて高濃度メタノールを燃料極に注入する前に希釈することによってメタノールの濃度を下げ、その結果クロスオーバ現象を低減させることができる。この方式によって発電効率を向上させることが可能となる。なお、以降、循環させるためのポンプやバルブ等を補機と呼び、また、このように循環させる方式を希釈循環システムと呼ぶ。
このように、燃料電池ユニット全体としては小型軽量化を図りつつ、希釈されたメタノールによって、発電効率の高い燃料電池ユニットが実現できる(非特許文献1)。
特開2003−142137号公報 特開2002−169629号公報 「燃料電池2004」、日経BP社、2003年10月、p.49−50,p.64 池田宏之助編著、「燃料電池のすべて」、日本実業出版社、2001年8月
一般に、情報処理装置の外部に電源機材を接続するに際しては、接続される電源機材が該情報処理装置に適合したものであることが極めて重要である。特に、接続コネクタが単一の接続コネクタ(いわゆるドッキングコネクタ)であり、情報処理装置に接続される機材がドッキングステーションあるいはドッカー型と呼ばれる機材であって、ユーザが、燃料電池ユニットを含む複数の機材から自由に選択可能となるように構成されている場合、誤った機材が接続されることが無いように、安全性の確保は極めて重要である。
さらにまた、燃料カートリッジを有する燃料電池ユニットでは、装着されている燃料カートリッジ内の燃料が適正な燃料であるか否かの判断も重要となる。
従って、情報処理装置に接続される燃料電池ユニットにおいては、安全性確保のため、燃料電池ユニット自体および燃料カートリッジの双方の識別情報等を情報処理装置が的確に把握する必要がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、安全性を確保しつつ簡素な構成とした燃料電池ユニット、情報処理装置および情報処理装置の電力供給方法を提供することを目的とする。
本発明に係る燃料電池ユニットは、上述した課題を解決するため、請求項1に記載したように、外部機器との接続に用いられる接続部と、前記外部機器との通信を行うために前記接続部に設けられた通信用端子と、前記接続部を介して前記外部機器に供給される電力を燃料電池を用いて発電する発電部と、前記発電部にて行われる発電の開始と終了を前記外部機器が具備する電源手段から供給される電力によって制御する制御部と、前記制御部に設けられ、本燃料電池ユニットの識別情報を記憶する第1の記憶部と、前記発電部に着脱可能に設けられ、前記発電部にて行われる発電に用いられる燃料を収納する収納容器と、前記収納容器に設けられ、収納されている前記燃料の識別情報を記憶する第2の記憶部と、前記通信用端子と前記第1の記憶部と前記第2の記憶部とを接続するバスと、を具備し、前記発電部は、前記燃料電池に少なくとも燃料と空気を注入する補機を有し、前記接続部は、前記外部機器の具備する電源手段から少なくとも前記補機へ供給される電力を入力する第1の電源端子と、前記第1の電源端子を介して前記外部機器の前記電源手段から電力が供給される前に、前記第1の記憶部と前記第2の記憶部とに前記外部機器の電源手段から供給される電力を入力する第2の電源端子と、を備え、前記外部機器は、前記第1の記憶部および前記第2の記憶部に対して前記外部機器の電源手段により前記接続部の前記第2の電源端子を介して入力された電力が供給されると前記第1の記憶部に記憶される本燃料電池ユニットの識別情報と、前記第2の記憶部に記憶される前記燃料の識別情報とを読み出しこれらの識別情報に基づいて本燃料電池ユニットとの適合性を判断する手段を有し、前記判断する手段によって前記適合性が確認されたとき、前記第1の電源端子から前記補機へ供給される電力が入力される、ことを特徴とするものである。
本発明に係る燃料電池ユニット、情報処理装置および情報処理装置の電力供給方法、によれば、安全性を確保しつつ簡素な構成とすることができる。
本発明に係る燃料電池ユニット、情報処理装置および情報処理装置の電力供給方法の第一の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は本発明の燃料電池ユニットの一実施形態を示す外観図である。図1に示すように、この燃料電池ユニット10は、情報処理装置、例えばノート型パーソナルコンピュータの後部を載置するための載置部11と、燃料電池ユニット本体12とから構成される。燃料電池ユニット本体12には、電気化学反応で発電を行うDMFCスタックや、DMFCスタックに対して燃料となるメタノールや空気を注入、循環させるための補機(ポンプやバルブ等)を内蔵している。
また、燃料電池ユニット本体12のユニットケース12b内部の例えば右端に、着脱可能な燃料の収納容器である燃料カートリッジ(図示していない)が内蔵されており、この燃料カートリッジを交換できるように、カバー12aは取り外し可能となっている。
載置部11には情報処理装置が載置される。載置部11の上面には、情報処理装置と接続するための接続部としてドッキングコネクタ14が設けられている。一方、情報処理装置の例えば底面後部には、燃料電池ユニットと接続するための接続部としてドッキングコネクタ21(図示していない)が設けられており、燃料電池ユニット10のドッキングコネクタ14と機械的、電気的に接続される。また、載置部11上に三箇所の位置決め突起15とフック16が設けられており、対応して設けられた情報処理装置の底面後部の三箇所の穴に、位置決め突起15とフック16が挿入される。
情報処理装置を燃料電池ユニット10から取り外す時は、図1に示した燃料電池ユニット10のイジェクトボタン17を押すことにより、ロック機構(図示していない)の解除が行われて、容易に取り外すことができる。
図2は、情報処理装置18(例えば、ノート型パーソナルコンピュータ)を燃料電池ユニット10の載置部11の上に載置、接続した時の外観を示す図である。
なお、図1、図2に示した燃料電池ユニット10の形状や大きさ、或いはドッキングコネクタ14および21の形状や位置等は、種々の形態が考えられる。
次に、本発明に係る燃料電池ユニット10の構成について図3に示した系統図を用いて概略説明する。
燃料電池ユニット10は、発電部40と、燃料電池ユニット10の制御部である燃料電池制御部41とから構成される。燃料電池制御部41は発電部40の制御を行う他、情報処理装置18との通信機能を有する。
発電部40は、発電を行うための中心となるDMFCスタック42を有する他、燃料となるメタノールを収納する燃料カートリッジ43を有する。燃料カートリッジ43には高濃度のメタノールが封入されている。燃料カートリッジ43は、燃料を消費した時には容易に交換できるよう、着脱可能となっている。
燃料カートリッジ43は、EEPROM431を内蔵している。EEPROM431には、例えば燃料の種別に関する情報が記憶されている。
また、一般に、ダイレクトメタノール型燃料電池においては、発電効率をあげるにクロスオーバ現象を低減する必要があり、このために高濃度メタノールを希釈して低濃度化し、これを燃料極47に注入することが有効である。この実現のため、燃料電池ユニット10では、希釈循環システム62を採用しており、発電部40に高濃度メタノールの希釈化に必要な補機63を有する。具体的には、補機63として、燃料供給ポンプ44,混合タンク45,送液ポンプ46,混合タンクバルブ48,送気ポンプ50,送気バルブ51,凝縮器53,冷却ファン54,水回収タンク55,水回収ポンプ56,排気バルブ57等を配管接続して構成される。
燃料電池ユニット10の発電部40での発電メカニズムの概略は以下の通りである。
まず、燃料カートリッジ43内の高濃度メタノールは、燃料供給ポンプ44によって、混合タンク45に流入する。混合タンク45の内部で高濃度メタノールは、回収された水や燃料極47からの低濃度メタノール(発電反応の残余分)等と混合されて希釈され、低濃度メタノールが生成される。低濃度メタノールの濃度は発電効率の高い濃度(例えば3〜6%)を保てるように制御される。この制御は、例えば、濃度センサ60の情報を基に燃料供給ポンプ44によって混合タンク45に供給される高濃度メタノールの量を制御する。または、混合タンク45に環流する水の量を水回収ポンプ56等で制御することによって実現できる。
混合タンク45で希釈されたメタノール水溶液は送液ポンプ46で加圧されて、DMFCスタック42の燃料極(負極)47に注入される。燃料極47では、メタノールの酸化反応が行われることで電子(e)が発生する。酸化反応で生成される水素イオン(H)はDMFCスタック42内を透過して空気極(正極)52に達する。
一方、燃料極47で行われる酸化反応によって生成される二酸化炭素は、反応に供されなかったメタノール水溶液とともに再び混合タンク45に環流する。二酸化炭素は混合タンク45内で気化し、混合タンクバルブ48を介して、凝縮器53へ向かい、最終的には排気バルブ57を介して、排気口58から外部へ排気される。
他方、空気(酸素)の流れは、吸気口49から取り込まれ、送気ポンプ50で加圧され、送気バルブ51を介し空気極(正極)52に注入される。空気極52では、酸素(O)の還元反応が進行し、外部の負荷からの電子(e)と、燃料極47からの水素イオン(H)と、酸素(O)から水(HO)が水蒸気として生成される。この水蒸気は空気極52を出て、凝縮器53に入る。凝縮器53では、冷却ファン54によって水蒸気が冷却されて水(液体)となり、水回収タンク55内に一時的に蓄積される。この回収された水は水回収ポンプ56によって混合タンク45へと環流し、高濃度メタノールを希釈するための希釈循環システム62が構成される。
ところで、燃料電池ユニット10では、燃料となる高濃度メタノールを燃料カートリッジ43収納し、燃料カートリッジ43自体を着脱可能とすることで、燃料をすべて消費した時にはユーザが容易に燃料カートリッジ43を交換し、燃料を補給できるように構成している。従って、燃料カートリッジ43は市場に流通することも前提としている。
このことは、逆に、種類や種別が異なった不適合・不適正な燃料カートリッジが装着される可能性を孕んでいる。このため、不適合・不適切な燃料カートリッジが誤って装着された場合に、これを排除する手段が必要となる。
かかる手段として、燃料カートリッジ43にEEPROM431(第2の記憶部)を設け、EEPROM431に予め燃料の種別等の識別情報を記憶させておき、接続される情報処理装置18がこの識別情報を読み出して、不適合・不適切と判断した場合には、ユーザに例えば情報処理装置18の表示機能を用いて警報を発する等の手段が有効である。
また、燃料カートリッジ43は、使用途中のもの(例えば中古品)が使用される場合もあり得る。このような場合には、燃料の識別情報に加えて、燃料の残量情報も非常に重要になる。残量情報を適切にユーザに知らせることによって、ユーザに燃料カートリッジ43の交換時期を予測させることが可能となるからである。
上記目的のため、燃料電池ユニット10は、燃料種別等の識別情報や燃料の残量情報を、燃料カートリッジ43に内蔵されたEEPROM431に記憶させ、かつ接続される情報処理装置18が容易に読み取ることができる構成としている。
図4は、燃料電池ユニット10の構成と、これに接続される情報処理装置18の燃料電池ユニット10とのインタフェースに関する部分を示した系統図である。図4を用いて燃料電池ユニット10と情報処理装置18の構成と動作について説明する。
情報処理装置18と燃料電池ユニット10は単一の接続コネクタ、即ちドッキングコネクタ14および21によって機械的かつ電気的に接続される。ドッキングコネクタ14および21には、燃料電池ユニット10のDMFCスタック42で発電された電力を情報処理装置18へ供給するための出力用電源端子91を有する。また情報処理装置18からは、補機用入力電源端子(第1の電源端子)92を介して、燃料電池制御部41内部の補機用電源回路97にスイッチ101を通って電力が供給される。また、補機用入力電源端子(第1の電源端子)92からは、マイクロコンピュータ95にも電源が供給される。
マイクロコンピュータ95は、燃料電池制御部41の制御の中枢でありまた情報処理装置18との間で通信を行う通信制御部としても機能する。
ドッキングコネクタ14および21はさらに、情報処理装置18の電源制御部77とマイクロコンピュータ95との通信や、電子的に書き込み可能な不揮発性メモリ(EEPROM)99との通信を行うための第1の通信用入出力端子93を有している。また、情報処理装置18からEEPROM(不揮発性メモリ)99(第1の記憶部)と燃料カートリッジ43のEEPROM431(第2の記憶部)へ電源供給するための電源端子(第2の電源端子)92aを有している。
次に、図4を用いて、燃料電池ユニット10から情報処理装置18へ、燃料電池ユニット10のDMFCスタック42の電力が供給されるまでの基本的な処理の流れを説明する。
なお、情報処理装置18の二次電池(リチウムイオン電池)80には所定の電力が充電されているものとする。また、図4の中の全てのスイッチは開いているものとする。
まず、ドッキングコネクタ14および21が機械的に接続されると、電源端子(第2の電源端子)92aを介して燃料電池制御部41のEEPROM99(第1の記憶部)に電源が供給される。このEEPROM99には、燃料電池ユニット10の識別情報が予め記憶されている。識別情報には、例えば燃料電池ユニット10の部品コードや製造シリアル番号、或いは定格出力などの情報を予め含ませることができる。
また、このEEPROM99は、例えば、I2Cバス78といったシリアルバスが、ドッキングコネクタ14および21に設けられた第1の通信用入出力端子93を介して情報処理装置18の電源制御部77に接続されている。EEPROM99に電源が供給されれば、電源制御部77からEEPROM99の記憶データを読み出すことが可能となる。図4の構成では、ドッキングコネクタ14および21の第1の通信用入出力端子93を介して、電源制御部77がEEPROM99の情報を読み出すことが可能となり、接続された燃料電池ユニット10が適合かつ適正な機材であることを認識できる。
電源端子(第2の電源端子)92aからは、EEPROM99への電力供給と同時に、燃料カートリッジ43内のEEPROM431(第2の記憶部)にも電力が供給される。従って、ドッキングコネクタ14および21が接続され、情報処理装置18の二次電池80からの電源が燃料電池ユニット10に供給されると、EEPROM99(第1の記憶部)だけでなく、燃料カートリッジ43のEEPROM431(第2の記憶部)も動作可能となる。
燃料カートリッジ43のEEPROM431(第2の記憶部)は、図4に示したように、第2の通信用入出力端子110を介して燃料電池ユニット10内のI2Cバス78に接続されている。この構成によって、情報処理装置18の電源制御部77は、EEPROM431(第2の記憶部)からも情報を読み出すことが可能となる。つまり、燃料電池ユニット10の識別情報のみならず、燃料カートリッジ43内の燃料情報等をも情報処理装置18は認識できる。
接続された燃料電池ユニット10の識別情報や燃料カートリッジ43の燃料情報等から安全性、即ち接続した機材の適合性が確認されると、情報処理装置18はスイッチ100を閉じて二次電池80の電力を、補機用電力入力端子(第1の電源端子)92を介して燃料電池ユニット10へ供給する。
この段階で、燃料電池ユニット10のマイクロコンピュータ95は動作可能な状態となっている。ここで、マイクロコンピュータ95がI2Cバス78を介して情報処理装置10の電源制御部77から、運転開始のコマンドを受信すると、マイクロコンピュータ95はスイッチ101を閉じて、補機用電源回路97に電力を供給し、補機63を駆動させる。
補機63は、図3に示したようにポンプ44、46、50、56、バルブ48、51、57、冷却ファン54等から構成されている。補機63の駆動によってDMFCスタック42の燃料極47と空気極52にそれぞれ燃料(メタノール水溶液)と空気(酸素)が注入され、DMFCスタック42で発電が開始される。
マイクロコンピュータ95はスイッチ102を閉じ、出力電力端子91を介して情報処理装置18へ発電電力を供給開始する。その後、DMFCスタック42の出力電圧およびDMFCスタック42の温度が所定の値に達すると、電源制御部77は燃料電池ユニット10が定常状態であると認識する。
以上が、燃料電池ユニット10および情報処理装置18の動作の概要である。
ところで、図4に示した構成によって、情報処理装置10の電源制御部77は、I2Cバスを介して燃料電池ユニット10のEEPROM99(第1の記憶部)と燃料カートリッジ43のEEPROM431(第2の記憶部)に対して共通にアクセス可能となるが、この動作の詳細について図5を用いて説明する。
図5は、EEPROM99(第1の記憶部)をデバイスA、EEPROM431(第2の記憶部)をデバイスBと模式化して説明したものである。
電源制御部77とデバイスA、デバイスBはそれぞれI2Cバス(シリアルバス)で接続されている。デバイスA、デバイスBにはそれぞれデバイスアドレスが設定できる。この例では、デバイスAにはデバイスアドレス”A”を、またデバイスBにはデバイスアドレス”B”を設定している。
デバイスAのデータαとデバイスBのデータβを電源制御部77が読み出す動作を図の例を用いて説明すると次のようになる。
まず、電源制御部77が、I2Cバス上にスタートフラグを立てた後にデバイスアドレス”A”を送る。次に、データαが記憶されているメモリアドレス”2”を送る。さらに再度デバイスアドレス”A”を送った後、読み出し(R)動作か書き込み(W)動作かを示すフラグを送る。この例では、読み出し(R)を送る。
次に、これらの信号をI2Cバスから受信したデバイスAは、データαの内容をI2Cバス上に出力する。電源制御部77はこのデータαを読み込む。
同様にして、電源制御部77はデバイスBに対してデバイスアドレス”B”と メモリアドレス”5”を送信することによってデータβを読み込むことができる。
以上のように、電源制御部77からデバイスAとデバイスBの双方に容易にアクセスが可能であり、それぞれのデバイスの任意のメモリアドレスのデータを読み出すことが可能となる。
燃料電池ユニット10の構成は基本的には図5で説明した構成と同じものであり、電源制御部77は、燃料電池ユニット10のEEPROM99(第1の記憶部)の識別情報や、燃料カートリッジ43のEEPROM431(第2の記憶部)の燃料情報等を容易に読み出すことが可能な構成となっている。
また、燃料電池ユニット10では、データバスをI2Cバス78といったシリアルバスで構成しているため、パラレルバスに比べて線材数も極めて少なく、これに伴って、EEPROM99やEEPROM431の物理的形状や燃料カートリッジ43に使用するコネクタも小型のものが使用できる。このため、燃料カートリッジ10全体としても構成が簡素かつ小型のものが実現可能となる。
I2Cバス78の動作に関するここまでの説明は、電源制御部77をいわばマスタとして機能させ、EEPROM99とEEPROM431をそれぞれスレーブとして動作させるものであった。
ところで、図4に示したように、燃料電池ユニット10のI2Cバス78には、マイクロコンピュータ95も接続されており、マイクロコンピュータ95をマスタとして動作させることも可能である。
燃料電池ユニット10のマイクロコンピュータ95をマスタとし、燃料カートリッジ43のEEPROM431(第2の記憶部)をスレーブとして使用することで、燃料カートリッジ43のEEPROM431に積算燃料使用時間或いは燃料の残量を記憶させることが可能である。
具体的には、まず燃料電池ユニット10の運転開始時に、マイクロコンピュータ95が燃料カートリッジ43のEEPROM431に記憶された運転開始時の積算燃料使用時間或いは燃料の残量を読み込む。マイクロコンピュータ95は内部のカウンタ等によって運転時間を把握することが可能である。運転中は一定の周期で燃料カートリッジ43に設けられたEEPROM431から読み込んだ積算燃料使用時間に運転時間を加算し、運転終了時に、この運転終了時の積算燃料使用時間でEEPROM431の積算燃料使用時間を書き換えることによってEEPROM431の積算燃料使用時間を更新できる。或いはまた、運転時間から燃料の消費量を推定し、この消費量を運転開始時の燃料の残量から減算することによって、EEPROM431の燃料の残量データを一定周期で更新することができる。
このように、燃料電池ユニット10のマイクロコンピュータ95と燃料カートリッジ43のEEPROM431、及びこれらを接続するI2Cバスの構成によって、極めて簡素な構成で燃料カートリッジ43に積算燃料使用時間、或いは燃料の残量を記憶させることができる。
また、同じく燃料電池ユニット10のマイクロコンピュータ95をマスタとし、燃料電池ユニット10のEEPROM99(第1の記憶部)をスレーブとした動作も可能である。例えば、燃料カートリッジの積算燃料使用時間と同様の手法により、燃料カートリッジ43の交換の有無に関わらず、燃料電池ユニット10自体の積算運転時間をEEPROM99(第1の記憶部)に記憶させることが可能となる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
本発明に係る燃料電池ユニットの一実施形態を示す外観図。 上記燃料電池ユニットに本発明に係る情報処理装置の一実施形態を接続した状態の外観図。 上記燃料電池ユニットの発電部を主とした系統図。 上記情報処理装置を接続した状態の上記燃料電池ユニットの系統図。 第1の記憶部と第2の記憶部とにアクセス可能とする動作説明図。
符号の説明
10 燃料電池ユニット
14 ドッキングコネクタ(燃料電池ユニット側)
18 情報処理装置
21 ドッキングコネクタ(情報処理装置側)
40 発電部
41 燃料電池制御部
42 DMFCスタック
43 燃料カートリッジ
431 EEPROM(第2の記憶部)
63 補機
77 電源制御部
79 電源部
80 二次電池
91 出力用電源端子
92 補機用入力電源端子(第1の電源端子)
92a 電源端子(第2の電源端子)
93 第1の通信用入出力端子
95 マイクロコンピュータ
97 補機用電源回路
99 EEPROM(第1の記憶部)
110 第2の通信用入出力端子

Claims (7)

  1. 外部機器との接続に用いられる接続部と、
    前記外部機器との通信を行うために前記接続部に設けられた通信用端子と、
    前記接続部を介して前記外部機器に供給される電力を燃料電池を用いて発電する発電部と、
    前記発電部にて行われる発電の開始と終了を前記外部機器が具備する電源手段から供給される電力によって制御する制御部と、
    前記制御部に設けられ、本燃料電池ユニットの識別情報を記憶する第1の記憶部と、
    前記発電部に着脱可能に設けられ、前記発電部にて行われる発電に用いられる燃料を収納する収納容器と、
    前記収納容器に設けられ、収納されている前記燃料の識別情報を記憶する第2の記憶部と、
    前記通信用端子と前記第1の記憶部と前記第2の記憶部とを接続するバスと、
    を具備し、
    前記発電部は、前記燃料電池に少なくとも燃料と空気を注入する補機を有し、
    前記接続部は、
    前記外部機器の具備する電源手段から少なくとも前記補機へ供給される電力を入力する第1の電源端子と、
    前記第1の電源端子を介して前記外部機器の前記電源手段から電力が供給される前に、前記第1の記憶部と前記第2の記憶部とに前記外部機器の電源手段から供給される電力を入力する第2の電源端子と、
    を備え、
    前記外部機器は、前記第1の記憶部および前記第2の記憶部に対して前記外部機器の電源手段により前記接続部の前記第2の電源端子を介して入力された電力が供給されると前記第1の記憶部に記憶される本燃料電池ユニットの識別情報と、前記第2の記憶部に記憶される前記燃料の識別情報とを読み出しこれらの識別情報に基づいて本燃料電池ユニットとの適合性を判断する手段を有し、前記判断する手段によって前記適合性が確認されたとき、前記第1の電源端子から前記補機へ供給される電力が入力される、
    ことを特徴とする燃料電池ユニット。
  2. 前記制御部は、前記バスに接続され、前記通信用端子を介して前記外部機器と通信することができる通信制御部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池ユニット。
  3. 前記通信制御部は、前記バスを介して、前記第1の記憶部と前記第2の記憶部にアクセス可能であることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池ユニット。
  4. 前記制御部は、前記外部機器から前記第1の電源端子を介して電力が供給される前に、前記第1の記憶部と前記第2の記憶部とに電力を供給する電力供給手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池ユニット。
  5. 燃料電池および前記燃料電池に少なくとも燃料と空気を注入する補機を用いて発電する発電部と、通信制御部と、第1の記憶部と、第2の記憶部を具備する燃料収納容器とを備えた燃料電池ユニットに接続部を介して接続される情報処理装置において、
    前記燃料電池ユニットに前記接続部を介して電力を供給する電源部と、
    前記第1の記憶部および前記第2の記憶部が電力を供給されると前記接続部に設けられた通信用端子を介して前記燃料電池ユニットの識別情報を記憶する前記第1の記憶部と、前記燃料収納容器に収納される燃料の識別情報を記憶する前記第2の記憶部とにアクセス可能な電源制御部と、
    前記第1の記憶部に記憶される前記燃料電池ユニットの識別情報と、前記第2の記憶部に記憶される前記燃料の識別情報とに基づいて前記燃料電池ユニットとの適合性を判断する手段と、を備え、
    前記接続部は、
    前記電源部から前記補機へ供給される電力を出力する第1の電源端子と、
    前記第1の電源端子を介して前記電源部から前記補機へ電力が供給される前に、前記第1の記憶部と前記第2の記憶部とに供給される電力を出力する第2の電源端子と、
    を備え、
    前記判断する手段によって前記適合性が確認されたとき、前記第1の電源端子から前記補機へ供給される電力を出力する、
    ことを特徴とする情報処理装置。
  6. 前記電源制御部は、前記通信用端子を介して前記通信制御部と通信を行うことを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
  7. 燃料電池および前記燃料電池に少なくとも燃料と空気を注入する補機を用いて発電する発電部と、第1の記憶部と、第2の記憶部を具備する燃料収納容器とを備えた燃料電池ユニットに接続部を介して接続され、電源部および電源制御部を有する情報処理装置の電力供給方法において、
    前記電源部は前記接続部の第2の電源端子を介して前記第1の記憶部と前記第2の記憶部とに電力を供給し、
    前記電源制御部は前記第1の記憶部に記憶される前記燃料電池ユニットの識別情報と前記第2の記憶部に記憶される前記燃料電池収納容器に収納されている燃料の識別情報とを読み出し、
    前記電源制御部によって読み出された前記燃料電池ユニットの識別情報と前記燃料の識別情報とに基づいて、接続されている前記燃料電池ユニットが前記情報処理装置に適合しているか否かを判断し、
    判断の結果、前記燃料電池ユニットが前記情報処理装置に適合している場合、前記電源部は前記接続部の第1の電源端子を介して前記燃料電池ユニットに少なくとも前記補機を駆動するための電力を供給することを特徴とする情報処理装置の電力供給方法。
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