JP2007273388A - 燃料電池システムおよびその動作制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】装置を大型化することなく燃料電池の出力低下を効率よく回復することが可能な燃料電池システムおよびその動作制御方法を提供することにある。
【解決手段】燃料電池システムは、情報処理装置18と、燃料電池ユニット10と、を備えている。燃料電池ユニットは、互いに積層された複数の単セルと、単セルのアノードに燃料を供給する燃料流路と、単セルのカソードに空気を供給する空気流路と、を備え、化学反応により発電するセル積層体と、空気流路を通して前記カソードに空気を供給する空気供給部と、を有している。情報処理装置は、情報を入力する入力部と、情報を表示する表示部と、燃料電池ユニットの動作を管理する電源制御部77とを有している。電源制御部は、セル積層体の発電出力が所定出力よりも低下した際、セル積層体の発電を停止し、空気供給部からセル積層体の空気流路を通して空気を流すメインテナンス処理を実行する。
【選択図】図6
【解決手段】燃料電池システムは、情報処理装置18と、燃料電池ユニット10と、を備えている。燃料電池ユニットは、互いに積層された複数の単セルと、単セルのアノードに燃料を供給する燃料流路と、単セルのカソードに空気を供給する空気流路と、を備え、化学反応により発電するセル積層体と、空気流路を通して前記カソードに空気を供給する空気供給部と、を有している。情報処理装置は、情報を入力する入力部と、情報を表示する表示部と、燃料電池ユニットの動作を管理する電源制御部77とを有している。電源制御部は、セル積層体の発電出力が所定出力よりも低下した際、セル積層体の発電を停止し、空気供給部からセル積層体の空気流路を通して空気を流すメインテナンス処理を実行する。
【選択図】図6
Description
本発明は、電子機器等の電源として使用される燃料電池ユニットを備えた燃料電池システムおよびその動作制御方法に関する。
現在、携帯可能なノート型のパーソナルコンピュータ(以下、ノートPCと称する)、モバイル機器等の電子機器の電源としては、主に、リチウムイオンバッテリなどの二次電池が用いられている。近年、これら電子機器の高機能化に伴う消費電力の増加や更なる長時間使用の要請から、高出力で充電の必要のない小型燃料電池が新たな電源として期待されている。燃料電池には種々の形態があるが、特に、燃料としてメタノール溶液を使用するダイレクトメタノール方式の燃料電池(以下、DMFCと称する)は、水素を燃料とする燃料電池に比べて燃料の取扱いが容易で、システムが簡易であることから、電子機器の電源として注目されている。
通常、燃料電池は、水素イオン(プロトン)透過性を有した電解質板あるいは固体高分子電解質膜等の電解質層を2つの電極間に挟んだ構成の単セルと、反応ガスの流路としての溝を形成したセパレータとを交互に積層したセルスタックを有している(例えば、特許文献1)。単セルは、高分子電解質膜の両面に、触媒層とカーボンペーパで構成されたアノード(燃料極)とカソード(空気極)とを一体化した膜・電極接合体(以下、MEAと称する)を備えている。セルスタックの流路を通して、アノードには濃度数%〜数十%のメタノール水溶液が、カソードには空気が供給される。
アノードでは燃料の酸化反応が起こり、メタノールが水と反応して酸化され、二酸化炭素、プロトン、電子を生成する。プロトンは高分子電解質膜を透過しカソードに移動する。カソードでは、空気中の酸素ガスが水素イオン、電子と結合して還元され水を生成する。その過程で外部回路に電子が流れて電流を取り出す。
上記のように構成された燃料電池の劣化、すなわち、発電出力低下は、主に次に上げる3つの要因により起こると考えられている。
1)活性化分極:触媒活性の低下による電圧低下。高電圧域で顕著に現れる。
2)抵抗分極:MEAが持つ電気抵抗に起因する電圧低下。中電圧域で顕著に現れる。
3)拡散分極:燃料拡散のしにくさによる電圧損失。低電圧域で顕著に現れる。
1)活性化分極:触媒活性の低下による電圧低下。高電圧域で顕著に現れる。
2)抵抗分極:MEAが持つ電気抵抗に起因する電圧低下。中電圧域で顕著に現れる。
3)拡散分極:燃料拡散のしにくさによる電圧損失。低電圧域で顕著に現れる。
これらの劣化要因のうち、1)、2)は触媒やMEA自身の劣化によるものであるため回復は難しい。3)は主にカソードで生成した水が流路で詰まり空気がMEAに行き渡らないためにおきていると考えられ、回復することが可能である。
窒素供給タンク等を備えた大型の燃料電子システムにおいては、カソード電極触媒層の漏れ過剰による出力低下が生じた場合、運転を一時停止し、窒素ガスによりカソード電極をパージした後、運転を再開するシステムが提案されている(例えば、特許文献2)
特開2005−293981号公報
特開平7−307161号公報
燃料電池は高出力を得るために低電圧域で使用することが多い。そのため、拡散分極の回復処理を行うことは、燃料電池の性能を回復する上で有効な手段であると考えられる。しかしながら、ノートPCやモバイル機器等の携帯型あるいは小型電子機器の電源として用いる小型の燃料電池では、窒素供給タンク等を設けた場合、構成が複雑化するとともに装置全体が大型化する。そのため、上記構成の適用は困難であり、有効な手段とはいえない。
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、装置を大型化することなく燃料電池の出力低下を効率よく回復することが可能な燃料電池システムおよびその動作制御方法を提供することにある。
上記課題を達成するため、この発明の態様に係る燃料電池システムは、情報処理装置と、この情報処理装置に接続された燃料電池ユニットと、を備え、
前記燃料電池ユニットは、対向配置されたアノードおよびカソードをそれぞれ有し、互いに積層された複数の単セルと、前記アノードに燃料を供給する燃料流路と、前記カソードに空気を供給する空気流路と、を備え、化学反応により発電するセル積層体と、前記燃料流路を通して前記アノードに燃料を供給する燃料供給部と、前記空気流路を通して前記カソードに空気を供給する空気供給部と、前記セル積層体の発電出力を検出するとともに前記燃料供給部および空気供給部の動作を制御する電池制御部と、を備え、
前記情報処理装置は、情報を入力する入力部と、情報を表示する表示部と、前記燃料電池ユニットの動作を管理する電源制御部であって、前記セル積層体の発電出力が所定出力よりも低下した際、前記セル積層体の発電を停止し、前記空気供給部から前記セル積層体の空気流路を通して空気を流すメインテナンス処理を実行する電源制御部と、を備えている。
前記燃料電池ユニットは、対向配置されたアノードおよびカソードをそれぞれ有し、互いに積層された複数の単セルと、前記アノードに燃料を供給する燃料流路と、前記カソードに空気を供給する空気流路と、を備え、化学反応により発電するセル積層体と、前記燃料流路を通して前記アノードに燃料を供給する燃料供給部と、前記空気流路を通して前記カソードに空気を供給する空気供給部と、前記セル積層体の発電出力を検出するとともに前記燃料供給部および空気供給部の動作を制御する電池制御部と、を備え、
前記情報処理装置は、情報を入力する入力部と、情報を表示する表示部と、前記燃料電池ユニットの動作を管理する電源制御部であって、前記セル積層体の発電出力が所定出力よりも低下した際、前記セル積層体の発電を停止し、前記空気供給部から前記セル積層体の空気流路を通して空気を流すメインテナンス処理を実行する電源制御部と、を備えている。
この発明の他の態様に係る燃料電池システムの動作制御方法は、対向配置されたアノードおよびカソードをそれぞれ有し互いに積層された複数の単セルと、前記アノードに燃料を供給する燃料流路と、前記カソードに空気を供給する空気流路と、を備え、化学反応により発電するセル積層体と、前記燃料流路を通して前記アノードに燃料を供給する燃料供給部と、前記空気流路を通して前記カソードに空気を供給する空気供給部と、前記セル積層体の発電出力を検出するとともに前記燃料供給部および空気供給部の動作を制御する電池制御部と、を具備した燃料電池ユニットと、情報を入力する入力部と、情報を表示する表示部と、前記燃料電池ユニットの動作を管理する電源制御部とを具備し、前記燃料電池ユニットに接続された情報処理装置と、を備えた燃料電池システムの動作制御方法であって、
前記セル積層体の発電出力を検出し、前記セル積層体の発電出力が所定出力よりも低下した際、前記電源制御部により、前記セル積層体の発電を停止し、前記空気供給部から前記セル積層体の空気流路を通して空気を流すメインテナンス処理を実行することを特徴としている。
前記セル積層体の発電出力を検出し、前記セル積層体の発電出力が所定出力よりも低下した際、前記電源制御部により、前記セル積層体の発電を停止し、前記空気供給部から前記セル積層体の空気流路を通して空気を流すメインテナンス処理を実行することを特徴としている。
以上構成によれば、装置を大型化することなく燃料電池の出力低下を効率よく回復することが可能な燃料電池システムおよびその動作制御方法を提供することができる。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る燃料電池システムについて詳細に説明する。
本実施形態に係る燃料電池システムは、燃料電池ユニットおよびこの燃料電池ユニットから電力供給を受ける情報処理装置、例えば、ノート型パーソナルコンピュータを備えている。
本実施形態に係る燃料電池システムは、燃料電池ユニットおよびこの燃料電池ユニットから電力供給を受ける情報処理装置、例えば、ノート型パーソナルコンピュータを備えている。
図1は、燃料電池ユニット10を示す外観図であり、図2は、燃料電池ユニットおよびこの燃料電池ユニットに接続された情報処理装置18を示す外観図である。図1に示すように、燃料電池ユニット10は、情報処理装置の後部を載置するための載置部11と、燃料電池ユニット本体12とを備えている。後述するように、燃料電池ユニット本体12には、電気化学反応で発電を行うDMFCスタックや、DMFCスタックに対して燃料となるメタノールや空気を注入、循環させるための種々の補機を内蔵している。
燃料電池ユニット本体12はユニットケース12aを備え、このユニットケース内部の例えば左端に、着脱可能な燃料カートリッジが内蔵されている。燃料カートリッジを交換できるように、ユニットケース12aの一部は、取り外し可能なカバー12bを構成している。
ユニットケース12aの例えば上面一端部には、発電設定スイッチ112および燃料電池運転スイッチ116が設けられる。ユニットケース12aの上面中央部には、燃料電池ユニット10の動作状態および燃料カートリッジの残量の有無を示す指示手段として、複数のインジケータ8が設けられている。
発電設定スイッチ112は、燃料電池ユニット10での発電を許可或いは禁止するためにユーザが予め設定するためのスイッチであり、例えばスライド型スイッチで構成される。燃料電池運転スイッチ116は、例えば、燃料電池ユニット10で発電される電力で情報処理装置18が動作している時に、情報処理装置18の動作は継続しつつ燃料電池ユニット10での発電のみを停止させるような場合等に用いる。この場合、情報処理装置18は内蔵された二次電池の電力を用いて動作を継続する。燃料電池運転スイッチ116は、例えばプッシュスイッチ等で構成される。
載置部11は、平坦な矩形状に形成され、ユニットケース12aから水平に延出しているとともに、情報処理装置18の後部を載置可能に形成されている。載置部11の上面には、情報処理装置18と接続するための接続部としてドッキングコネクタ14が設けられている。図1および図2に示すように、情報処理装置18の例えば底面後部には、燃料電池ユニット10と接続するための接続部として後述のドッキングコネクタ21が設けられている。情報処理装置18の後部を載置部16の上に載せた際、ドッキングコネクタ14、21が互いに機械的、電気的に接続される。
載置部11の3箇所には、ロック機構を構成する位置決め突起15およびフック16が設けられている。これらの位置きめ突起15およびフック16は、情報処理装置18の底面後部に設けられた図示しない係合孔と係合し、載置部11に対して情報処理装置を位置決め、保持する。載置部16には、情報処理装置18を燃料電池ユニット10から取り外す際、ロック機構のロックを解除するイジェクトボタン17が設けられている。
なお、図1、図2に示した燃料電池ユニット10の形状や大きさ、或いはドッキングコネクタ14の形状や位置等は、種々の形態が考えられる。
なお、図1、図2に示した燃料電池ユニット10の形状や大きさ、或いはドッキングコネクタ14の形状や位置等は、種々の形態が考えられる。
図3は、燃料電池ユニット10の系統図を示したものであり、特にDMFCスタックとその周辺に設けられた補機について細部の系統を示している。
燃料電池ユニット10は、発電部40と、燃料電池ユニット10の制御部である燃料電池制御部41とを備えている。燃料電池制御部41は発電部40の制御を行う他、情報処理装置18との通信を行う通信制御部としての機能を有する。
燃料電池ユニット10は、発電部40と、燃料電池ユニット10の制御部である燃料電池制御部41とを備えている。燃料電池制御部41は発電部40の制御を行う他、情報処理装置18との通信を行う通信制御部としての機能を有する。
発電部40は、発電を行うための中心となるDMFCスタック42を有する他、燃料となるメタノールを収納する燃料カートリッジ43を備えている。燃料カートリッジ43には高濃度のメタノールが封入されている。燃料カートリッジ43は、燃料を消費した時には容易に交換できるよう、着脱可能となっている。
ダイレクトメタノール型燃料電池においては、発電効率をあげるためにクロスオーバ現象を低減する必要がある。このために高濃度メタノールを希釈して低濃度化し、これを燃料極47に注入することが有効である。これを実現するため、燃料電池ユニット10は、希釈循環システム62を採用し、発電部40に希釈循環システム62の実現に必要な補機63が設けられている。
希釈循環システム62は、燃料、その他の流体を流す液体流路と、空気、その他の気体を流す気体流路と、を備えている。補機63には液体流路に設けられるものと気体流路に設けられるものとが含まれている。
液体流路に設けられる補機63は、燃料電池カートリッジ43の出力部に配管接続された燃料供給ポンプ44、燃料供給ポンプ44の出力部に接続された混合タンク45、混合タンク45の出力部に接続された送液ポンプ46を備え、送液ポンプ46の出力部はDMFCスタック42のアノード(燃料極)47に接続される。アノード47の出力部は混合タンク45に配管接続される。また、補機63は、後述する凝縮気3に隣接して設けられた水回収タンク55を有し、水回収タンク55の出力部は水回収ポンプ56に配管接続されている。水回収ポンプ56の出力部は混合タンク45へ接続される。燃料電池カートリッジ、燃料供給ポンプ44、混合タンク45、送液ポンプ46は、DMFCスタック42に燃料を供給する燃料供給部を構成している。
一方、気体流路に設けられる補機63は、排気バルブ51を介してDMFCスタック42のカソード(空気極)52に接続された送気ポンプ50、およびアノード52の出力部に接続された凝縮器53を有している。また、混合タンク45は、混合タンクバルブ48を介して凝縮器53に配管接続される。凝縮器53は排気バルブ57を介して排気口58に接続される。凝縮器53には、水蒸気を効果的に凝縮するフィンが備えられている。凝縮器53に対向して冷却ファン54が配設されている。
図4および図5に示すように、セル積層体としてのDMFCスタック42は、複数、例えば、4つの単セル140と、5枚の矩形板状のセパレータ142とを交互に積層して構成された積層体、および積層体を支持した枠体145を有している。各単セル140は、それぞれ触媒層とカーボンペーパで構成されたほぼ矩形板状のカソード52およびアノード47、これらカソード、アノード間に挟持されたほぼ矩形状の高分子電解質膜144とを一体化した膜・電極接合体(MEA)を備えている。高分子電解質膜144は、カソード43およびアノード50よりも大きな面積に形成されている。
3つのセパレータ142は、隣合う2つの単セル140間に積層され、他の2つのセパレータは、積層方向両端にそれぞれ積層されている。セパレータ142および枠体145には、各単セル140のアノード47に燃料を供給する燃料流路146、および各単セルのカソード52に空気を供給する空気流路147が形成されている。
次に、燃料電池ユニット10の発電部40の発電メカニズムについて、燃料と空気(酸素)の流れに沿って説明する。
図3に示すように、まず、燃料カートリッジ43内の高濃度メタノールは、燃料供給ポンプ44によって、混合タンク45に供給される。混合タンク45の内部で高濃度メタノールは、回収された水やアノード47からの低濃度メタノール(発電反応の残余分)等と混合されて希釈され、低濃度メタノールが生成される。低濃度メタノールの濃度は発電効率の高い濃度、例えば3〜6%、を保てるように制御される。この濃度制御は、例えば、濃度センサ60の検出結果を基に、燃料電池制御部41が燃料供給ポンプ44によって混合タンク45に供給される高濃度メタノールの量を制御することによって実現される。または、混合タンク45に環流する水の量を水回収ポンプ56等で制御することによって実現できる。
図3に示すように、まず、燃料カートリッジ43内の高濃度メタノールは、燃料供給ポンプ44によって、混合タンク45に供給される。混合タンク45の内部で高濃度メタノールは、回収された水やアノード47からの低濃度メタノール(発電反応の残余分)等と混合されて希釈され、低濃度メタノールが生成される。低濃度メタノールの濃度は発電効率の高い濃度、例えば3〜6%、を保てるように制御される。この濃度制御は、例えば、濃度センサ60の検出結果を基に、燃料電池制御部41が燃料供給ポンプ44によって混合タンク45に供給される高濃度メタノールの量を制御することによって実現される。または、混合タンク45に環流する水の量を水回収ポンプ56等で制御することによって実現できる。
混合タンク45には、混合タンク45内のメタノール水溶液の液量を検出する液量センサ61や、温度を検出する温度センサ64が設けられ、これらセンサの検出結果は燃料電池制御部41に送られて発電部40の制御などに使用される。
混合タンク45で希釈されたメタノール水溶液は送液ポンプ46で加圧されて、DMFCスタック42の燃料流路146へ送られ、この燃料流路から各単セル140のアノード47に注入される。図5に示すように、アノード47では、メタノールの酸化反応が行われることで電子が発生する。酸化反応で生成される水素イオン(H+)はDMFCスタック42内の固体高分子電解質膜144を透過してカソード52に達する。
アノード47での酸化反応によって生成される二酸化炭素は、反応に供されなかったメタノール水溶液とともに再び混合タンク45に環流する。二酸化炭素は混合タンク45内で気化し、気体流路を通って凝縮器53へ送られ、最終的には排気バルブ57を介して、排気口58から外部へ排気される。
他方、図3に示すように、空気(酸素)は、空気供給部を構成する送気ポンプ50により、吸気口49から取り込まれ、加圧された後、送気バルブ51を介しDMFCスタック42の空気流路147へ送られ、この空気流路から各単セル140のカソード(空気極)52に供給される。カソード52では、酸素(O2)の還元反応が進行し、外部の負荷からの電子(e-)と、アノード47からの水素イオン(H+)と酸素(O2)とから水(H2O)が水蒸気として生成される。この水蒸気はカソード52から排出され、凝縮器53に入る。凝縮器53では、冷却ファン54によって水蒸気が冷却されて水(液体)となり、水回収タンク55内に一時的に蓄積される。この回収された水は水回収ポンプ56によって混合タンク45へと環流し、高濃度メタノールを希釈するための希釈循環システム62が構成される。
この希釈循環システム62による燃料電池ユニット10の発電メカニズムからわかるように、DMFCスタック42から電力が取り出す、即ち、発電を開始するために、各部のポンプ44,46,50,56やバルブ48、51、57或いは冷却ファン54等の補機63を駆動させる。これによってメタノール水溶液と空気(酸素)がDMFCスタック42内に注入されそこで電気化学反応が進行することによって電力が得られる。DMFCスタック42で発生した電力は、燃料電池制御部41、ドッキングコネクタ14を介して情報処理装置18へ供給される。一方、発電を停止するには、これらの補機63の駆動を停止するか、あるいは、DMFCスタック42からの電力の取り出しを停止することによる。
図6は、本発明に係る燃料電池ユニット10が接続される情報処理装置18のシステム構成を示したものである。
情報処理装置18は、CPU65、主メモリ66、ディスプレイコントローラ67、表示部として機能するディスプレイ68、HDD(ハードディスクドライブ)69、キーボードコントローラ70、ポインタデバイス71、入力部を構成するキーボード72、FDD73、これら構成品間において信号を伝送するバス74、バス74を介して伝送される信号を変換するためのノースブリッジ75、サウスブリッジ76と呼ばれるデバイス等から構成される。また、情報処理装置18の内部に電源部79を設け、ここに二次電池80として、例えばリチウムイオン電池を保有している。電源部79は、電源制御部77によって制御される。
情報処理装置18は、CPU65、主メモリ66、ディスプレイコントローラ67、表示部として機能するディスプレイ68、HDD(ハードディスクドライブ)69、キーボードコントローラ70、ポインタデバイス71、入力部を構成するキーボード72、FDD73、これら構成品間において信号を伝送するバス74、バス74を介して伝送される信号を変換するためのノースブリッジ75、サウスブリッジ76と呼ばれるデバイス等から構成される。また、情報処理装置18の内部に電源部79を設け、ここに二次電池80として、例えばリチウムイオン電池を保有している。電源部79は、電源制御部77によって制御される。
CPU65は、情報処理装置18全体の動作制御を司り、主メモリ66に格納されたオペレーティングシステム(OS)、電源管理ユーティリティを含むユーティリティソフトウェア、アプリケーションソフトウェアなどの各種プログラムを実行する。
燃料電池ユニット10と情報処理装置18との電気的インタフェースとして制御系インタフェースと電源系インタフェースとが設けられている。制御系インタフェースは情報処理装置18の電源制御部77と燃料電池ユニット10の燃料電池制御部41との間にて通信を行うために設けられるインタフェースである。制御系インタフェースを介して情報処理装置18と燃料電池ユニット10との間で行われる通信は、例えば、I2Cバス78といったシリアルバスを介して行われる。
電源系インタフェースは、燃料電池ユニット10と情報処理装置18との間における電力の授受のために設けられるインタフェースである。例えば、発電部40のDMFCスタック42で発電された電力が燃料電池制御部41およびドッキングコネクタ14、21を介して情報処理装置18に供給される。電源系インタフェースには、情報処理装置18の電源部79から、燃料電池ユニット10内の補機63等への電力供給83も含まれる。
なお、情報処理装置18の電源部79に対してACアダプタ用コネクタ81を介してAC/DC変換された直流電源が供給され、これによって情報処理装置18の動作、二次電池80の充電が可能である。
図7は、燃料電池ユニット10の燃料電池制御部41と、情報処理装置18の電源部79との、接続関係を示す構成図である。
燃料電池ユニット10と情報処理装置18とはドッキングコネクタ14、21によって機械的かつ電気的に接続される。ドッキングコネクタ14、21には、燃料電池ユニット10のDMFCスタック42で発電された電力を情報処理装置18へ供給するための第一の電源端子(出力電源端子)91および、情報処理装置18から、燃料電池ユニット10のマイクロコンピュータ95にレギュレータ94を介して電源を供給し、かつ補機用電源回路97にスイッチ101を介して電源を供給するための第二の電源端子(補機用入力電源端子)92を有する。また、情報処理装置18からEEPROM99へ電源供給するための第三の電源端子92aを有している。
燃料電池ユニット10と情報処理装置18とはドッキングコネクタ14、21によって機械的かつ電気的に接続される。ドッキングコネクタ14、21には、燃料電池ユニット10のDMFCスタック42で発電された電力を情報処理装置18へ供給するための第一の電源端子(出力電源端子)91および、情報処理装置18から、燃料電池ユニット10のマイクロコンピュータ95にレギュレータ94を介して電源を供給し、かつ補機用電源回路97にスイッチ101を介して電源を供給するための第二の電源端子(補機用入力電源端子)92を有する。また、情報処理装置18からEEPROM99へ電源供給するための第三の電源端子92aを有している。
ドッキングコネクタ14、21は情報処理装置18の電源制御部77と燃料電池ユニット10のマイクロコンピュータ95との通信や、書き込み可能な不揮発性メモリ(EEPROM)99との通信、を行うための通信用入出力端子93を有している。マイクロコンピュータ95は、DMFCスタック42の出力電力を検出する検出部としても機能し、検出した出力電力、ここでは、出力電流値をEEPROM99に格納する。
次に、図7を参照して、燃料電池ユニット10から情報処理装置18へ、燃料電池ユニット10に設けられるDMFCスタック42の電力が供給されるまでの基本的な処理の流れを説明する。なお、情報処理装置18の二次電池(リチウムイオン電池)80には所定の電力が充電されているものとする。また、図7の中のスイッチは全て開いているものとする。
情報処理装置18は、コネクタ接続検出部111から出力される信号に基いて、情報処理装置18と燃料電池ユニット10とが機械的および電気的に接続されたことを認識する。この認識は、コネクタ接続検出部111が例えばコネクタ接続検出部111へ入力される信号に基いて、ドッキングコネクタ14、21の接続によって燃料電池ユニット10の内部で接地されることを検出することによって行われる。
情報処理装置18の電源制御部77は、燃料電池ユニット10の発電設定スイッチ112の設定が発電許可設定であるか発電禁止設定であるかを認識する。例えば、発電設定スイッチ検出部113へ入力される信号に基いて、発電設定スイッチ検出部113が発電設定スイッチ112の設定状態に応じて接地状態であるか或いは解放状態であるか否かを検出する。発電設定スイッチ112が解放状態である場合は、電源制御部77は発電禁止設定として認識する。
情報処理装置18と燃料電池ユニット10とがドッキングコネクタ14、21を介して機械的に接続されると、情報処理装置18側から第三の電源端子92aを介して燃料電池制御部41の記憶部であるEEPROM99に電源が供給される。EEPROM99には、燃料電池ユニット10のステータス情報等が予め記憶される。ステータス情報には、例えば燃料電池ユニットの部品コードや製造シリアル番号、或いは定格出力、検出されたDMFCスタック42の出力電流値、各種センサで検出された液晶、温度、濃度などの検出データ等の情報を含ませることができる。EEPROM99は、例えば、I2Cバス93といったシリアルバスに接続されており、EEPROM99に記憶されているデータはこのEEPROM99に電源が供給されている状態において読み出し可能である。電源制御部77は通信用入出力端子93を介してEEPROM99のステータス情報を読み出し、内蔵したレジスト等に格納することが可能である。
この状態においては、燃料電池ユニット10は発電を行っておらず、また燃料電池ユニット10の内部の状態は、EEPROM99の電源以外は電源が供給されていない状態である。
ここで、ユーザが発電設定スイッチ112の設定を発電許可設定に設定すると、情報処理装置18に設けられる電源制御部77は、燃料電池ユニット10に設けられるEEPROM99に記憶された識別情報を読み出すことが可能となる。発電設定スイッチは、例えばスライドスイッチ等のように開または閉の状態をいずれか一方の状態に保持できるものが好ましい。
電源制御部77は、燃料電池ユニット10のEEPROM99から読み出された識別情報に基いて、情報処理装置18に接続されている燃料電池ユニット10が情報処理装置18に適合した燃料電池ユニットであると判断した場合、電源制御部77は、情報処理装置18に設けられるスイッチ100を閉じる。これにより、二次電池80の電力が第1の電源端子92を介して燃料電池ユニット10へ供給され、レギュレータ94を介してマイクロコンピュータ95へ電源が供給される。この状態では、燃料電池ユニット10に設けられるスイッチ101は開いており、補機用電源回路97には電源は供給されていない。従って、この状態において補機63は動作していない。
しかしながら、マイクロコンピュータ95は動作を開始しており、情報処理装置18の電源制御部77から各種の制御用コマンドを受信することが可能な状態である。また、マイクロコンピュータ95は、燃料電池ユニット10の電源情報を情報処理装置18へ送信可能な状態である。
この状態で、電源制御部77から発電開始コマンドが燃料電池制御部41に送られると、これを受信した燃料電池制御部41は、マイクロコンピュータ95からの制御によってスイッチ101を閉じて補機用電源回路97に情報処理装置18からの電源を供給する。併せて、燃料電池制御部41は、マイクロコンピュータ95から送信される補機用制御信号によって、発電部40に設けられる補機63、即ち、各ポンプ44、46、50、56、バルブ48、51、57及び冷却ファン54等を駆動する。さらにマイクロコンピュータ95は、燃料電池制御部41に設けられたスイッチ102を閉じる。
この結果、発電部40に設けられるDMFCスタック42に対してメタノール水溶液や空気が注入され、発電が開始される。DMFCスタック42による発電電力は、燃料電池制御部41の情報処理装置用電源回路120を介して情報処理装置18に供給が開始される。ただし、発電出力は、瞬時に定格値に達するわけではないため、定格値に達するまでウォームアップ状態となる。
燃料電池制御部41のマイクロコンピュータ95は、例えばDMFCスタック42の出力電圧およびDMFCスタック42の温度をモニタすることにより、DMFCスタック42の出力が定格値に達したと判断すると、燃料電池ユニット10のスイッチ101を開き、補機63への電力供給源を情報処理装置18からDMFCスタック42に切り替える。
次に、DMFCスタック42の出力低下に対して適切な回復処理を行う手法について説明する。
例えば、燃料電池ユニット10の長時間の使用により、主にDMFCセルスタック42を構成する単セル140のカソード52で生成した水が、DMFCセルスタック42の空気流通路147で詰まり、単セル140に空気が行き渡らなくなると、燃料、空気の供給バランスが崩れDMFCセルスタック42の出力電流値、すなわち、発電出力が低下する。
例えば、燃料電池ユニット10の長時間の使用により、主にDMFCセルスタック42を構成する単セル140のカソード52で生成した水が、DMFCセルスタック42の空気流通路147で詰まり、単セル140に空気が行き渡らなくなると、燃料、空気の供給バランスが崩れDMFCセルスタック42の出力電流値、すなわち、発電出力が低下する。
図8は、DMFCセルスタック42の電流−電圧特性を示している。図8において、特性線1は、燃料電池ユニット10を120時間運転した後の特性を示し、この場合、低電圧8〜9V付近で出力電流値が低下している。出力の低い状態で発電を続けた場合、この場合に発電を継続すると電力供給の効率が悪化するとともに発熱量も増加し、やがてセルの破壊に至ることがある。
そこで、燃料電池システムでは、上記のような出力低下が生じた場合、あるいは、ユーザ任意のタイミングで、燃料電池ユニット10の回復処理を行う。図9に示すフローチャートを参照して、回復処理動作を説明する。
DMFCスタック42による発電動作が行われている間、燃料電池制御部41のマイクロコンピュータ95は、DMFCスタック42の出力電流値を監視し、検出した出力電流値をEEPROM99に記憶するとともに、随時、更新する。主メモリ66に格納されている電源管理ユーティリティにより、ユーザが回復処理の実行を選択すると、情報処理装置18のCPU65からメインテナンス開始コマンドを出力し、メインテナンスモード、すなわち、回復処理を開始する。
DMFCスタック42による発電動作が行われている間、燃料電池制御部41のマイクロコンピュータ95は、DMFCスタック42の出力電流値を監視し、検出した出力電流値をEEPROM99に記憶するとともに、随時、更新する。主メモリ66に格納されている電源管理ユーティリティにより、ユーザが回復処理の実行を選択すると、情報処理装置18のCPU65からメインテナンス開始コマンドを出力し、メインテナンスモード、すなわち、回復処理を開始する。
電源制御部77はこのコマンドを検知すると(ST1)、このメインテナンス開始コマンドに応じて、燃料電池ユニット10のEEPROM99から燃料電池ユニットのステータス情報を取り込む。そして、電源制御部77は、取り込んだDMFCスタック42の出力電流値と予め設定されている基準出力、ここでは、定格出力値と比較し、DMFCスタック42の出力電流値が定格出力値よりも低下しているか否かを判断する(ST2)。
出力電流値が一定値以上低下している場合、電源制御部77は、燃料電池ユニット10のマイクロコンピュータ95により発電部40の発電を停止する(ST3)。例えば、スイッチ102を開放し、DMFCスタック42からの出力を停止することにより、発電を停止する。なお、出力電流値が定格出力値よりも一定値以上低下していない場合は、メインテナンスモードを終了する。
発電を停止した後、電源制御部77の制御の下、燃料電池ユニット10のマイクロコンピュータ95は、発電部40の送気ポンプ50を所定時間、例えば、5分〜15分、駆動し、吸気口49から取り込まれ、送気ポンプ50で加圧され空気をDMFCスタック42の空気流路147へ流す(ST4)。この際、DMFCスタック42の発電動作は停止し、カソード52側での水の生成も停止している。従って、空気流路146へ加圧された空気を流すことにより、空気流路146に詰まった水はDMFCスタック42から排出され、水回収タンク55へ送られる。これにより、カソード52への空気供給を円滑に行うことができ、DMFCスタック42の出力低下を回復することができる。なお、メインテナンス処理時における送気ポンプの送気能力、つまり、空気供給量、および、送気ポンプの空気供給時間は、予め電源制御部77により所定値に設定され、主メモリ66に格納されている。メインテナンス処理時における送気ポンプの空気供給量は、通常の発電動作時と同一か、あるいは、通常発電動作時よりも多く設定される。
電源制御部77は、上記空気供給を行っている間、DMFCスタック42の出力電流値を検出し、DMFCスタック42の出力電流値が定格電流値まで回復したか否かを検出する(ST5)。回復している場合には送気ポンプ50による空気供給を終了する(ST6)。回復していない場合、電源制御部77は、送気ポンプ50による空気供給開始から所定時間経過したか否かを判断し(ST7)、所定時間経過した時点で送気ポンプ50による空気供給を終了する(ST6)。
その後、電源制御部77は、燃料電池ユニット10のマイクコンピュータ95の制御の下、スイッチ102を閉じ、発電部40の発電動作を開始する(ST8)。発電開始から一定時間経過した後(ST9)、マイクロコンピュータ95は、回復処理後のDMFCスタック42の出力電流値を検出し、EEPROM99に記録する(ST10)。以上の動作により、メインテナンスモードが終了し、回復処理が完了する。
図8は、回復処理を行った場合のDMFCセルスタック42の電流−電圧特性を示している。図8において、特性線2、特性線3、特性線4は、それぞれ送気ポンプ50の空気供給量が2.7(l/min)で5分間、回復処理を行った場合、空気供給量が2.7(l/min)で15分間、回復処理を行った場合、空気供給量が4(l/min)で15分間、回復処理を行った場合のDMFCセルスタック42の電流−電圧特性のそれぞれ示している。これらの特性から、上述した回復処理を行うことにより、出力電流値が上昇し回復していることが分かる。
上述した実施形態では、ユーザからのメインテナンス開始コマンドにより、回復処理を任意に行う構成としたが、DMFCセルスタックの出力が低下した際に、情報処理装置18の電源制御部77により自動的に回復処理を実行する構成としてもよい。図10に示すフローチャートを参照して、自動の回復処理動作を説明する。
DMFCスタック42による発電動作が行われている間、燃料電池制御部41のマイクロコンピュータ95は、DMFCスタック42の出力電流値を監視し、検出した出力電流値をEEPROM99に記憶するとともに、随時、更新する。情報処理装置18の電源制御部77は、定期的に、EEPROM99から燃料電池ユニット10のステータス情報を取り込み、DMFCスタック42の出力電流値が予め設定されている基準出力、ここでは、定格出力値と比較し、DMFCスタック42の出力電流値が定格出力値よりも低下しているか否かを判断する(ST1)。ここで、定期的とは常時を含むものとする。出力電流値が一定値以上低下している場合、電源制御部77は、CPU65の制御の下、メインテナンスモードを開始する。
DMFCスタック42による発電動作が行われている間、燃料電池制御部41のマイクロコンピュータ95は、DMFCスタック42の出力電流値を監視し、検出した出力電流値をEEPROM99に記憶するとともに、随時、更新する。情報処理装置18の電源制御部77は、定期的に、EEPROM99から燃料電池ユニット10のステータス情報を取り込み、DMFCスタック42の出力電流値が予め設定されている基準出力、ここでは、定格出力値と比較し、DMFCスタック42の出力電流値が定格出力値よりも低下しているか否かを判断する(ST1)。ここで、定期的とは常時を含むものとする。出力電流値が一定値以上低下している場合、電源制御部77は、CPU65の制御の下、メインテナンスモードを開始する。
電源制御部77は、燃料電池ユニット10のマイクロコンピュータ95により発電部40の発電を停止する(ST2)。例えば、スイッチ102を開放し、DMFCスタック42からの出力を停止することにより、発電を停止する。
発電を停止した後、電源制御部77の制御の下、燃料電池ユニット10のマイクロコンピュータ95は、発電部40の送気ポンプ50を所定時間、例えば、5分〜15分、駆動し、吸気口49から取り込まれ、送気ポンプ50で加圧され空気をDMFCスタック42の空気流路147へ流す(ST3)。この際、DMFCスタック42の発電動作は停止し、カソード52側での水の生成も停止している。従って、空気流路146へ加圧された空気を流すことにより、空気流路146に詰まった水はDMFCスタック42から排出され、水回収タンク55へ送られる。これにより、カソード52への空気供給を円滑に行うことができ、DMFCスタック42の出力低下を回復することができる。なお、送気ポンプの送気能力は、通常の発電動作時と同一か、あるいは、通常発電動作時よりも高くしてもよい。
電源制御部77は、上記空気供給を行っている間、DMFCスタック42の出力電流値を検出し、DMFCスタック42の出力電流値が定格電流値まで回復したか否かを検出する(ST4)。回復している場合には送気ポンプ50による空気供給を終了する(ST5)。回復していない場合、電源制御部77は、送気ポンプ50による空気供給開始から所定時間経過したか否かを判断し(ST6)、所定時間経過した時点で送気ポンプ50による空気供給を終了する(ST5)。
その後、電源制御部77は、燃料電池ユニット10のマイクコンピュータ95の制御の下、スイッチ102を閉じ、発電部40の発電動作を開始する(ST7)。発電開始から一定時間経過した後(ST8)、マイクロコンピュータ95は、回復処理後のDMFCスタック42の出力電流値を検出し、EEPROM99に記録する(ST9)。以上の動作により、メインテナンスモードが終了し、回復処理が完了する。
以上のように構成された燃料電池システムおよびその動作制御方法によれば、燃料電池ユニットの基本構成要素である送気ポンプを用いてDMFCスタックに空気を供給し、出力低下の回復処理を行うことができる。そのため、回復処理用に窒素供給手段等を別途設ける必要がなく、燃料電池の出力低下を防止することが可能となる。また、燃料電池ユニットが接続された情報処理装置の制御の下、任意に、あるいは、自動的に、DMFCスタックの出力低下の回復処理を実行することができ、燃料電池ユニットを種々の情報処理装置と組み合わせることができる。これにより、装置を大型化することなく燃料電池の出力低下を効率よく回復することが可能な燃料電池システムおよびその動作制御方法を提供することができる。
なお、この発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
例えば、燃料電池ユニットは、情報処理装置の外部に接続する構成としたが、情報処理装置に内蔵された構成としてもよい。DMFCスタックにおいて、単セルの積層数は、前述した実施形態に限らず、必要に応じて増減可能である。回復処理における、送気ポンプの空気供給量および動作時間等は、上述した実施形態に限らず、種々選択可能である。この発明に係る燃料電池システムは、上述したパーソナルコンピュータに限らず、モバイル機器、携帯端末等の他の電子機器にも適用可能である。燃料電池の形式としは、DMFCに限らず、PEFC(Polymer Electrolyte Fuel Cell)等の他の形式としてもよい。
10…燃料電池ユニット、11…載置部、12…燃料電池ユニット本体、
14…ドッキングコネクタ、18…情報処理装置、40…発電部、
41…燃料電池制御部、42…DMFCスタック、43…燃料カートリッジ、
44…燃料供給ポンプ、45…混合タンク、46…送液ポンプ、
47…アノード(燃料極)、50…送気ポンプ、52…カソード(空気極)、
53…凝縮器、54…冷却ファン、55…水回収タンク、62…希釈循環システム、
63…補機、65…CPU、77…電源制御部、95…マイクロコンピュータ、
99…EEPROM、140…単セル、146…燃料流路、147…空気流路
14…ドッキングコネクタ、18…情報処理装置、40…発電部、
41…燃料電池制御部、42…DMFCスタック、43…燃料カートリッジ、
44…燃料供給ポンプ、45…混合タンク、46…送液ポンプ、
47…アノード(燃料極)、50…送気ポンプ、52…カソード(空気極)、
53…凝縮器、54…冷却ファン、55…水回収タンク、62…希釈循環システム、
63…補機、65…CPU、77…電源制御部、95…マイクロコンピュータ、
99…EEPROM、140…単セル、146…燃料流路、147…空気流路
Claims (10)
- 情報処理装置と、この情報処理装置に接続された燃料電池ユニットと、を備え、
前記燃料電池ユニットは、
対向配置されたアノードおよびカソードをそれぞれ有し、互いに積層された複数の単セルと、前記アノードに燃料を供給する燃料流路と、前記カソードに空気を供給する空気流路と、を備え、化学反応により発電するセル積層体と、
前記燃料流路を通して前記アノードに燃料を供給する燃料供給部と、
前記空気流路を通して前記カソードに空気を供給する空気供給部と、
前記セル積層体の発電出力を検出するとともに前記燃料供給部および空気供給部の動作を制御する電池制御部と、を備え、
前記情報処理装置は、情報を入力する入力部と、情報を表示する表示部と、前記燃料電池ユニットの動作を管理する電源制御部であって、前記セル積層体の発電出力が所定出力よりも低下した際、前記セル積層体の発電を停止し、前記空気供給部から前記セル積層体の空気流路を通して空気を流すメインテナンス処理を実行する電源制御部と、を備えている燃料電池システム。 - 前記電源制御部は、前記入力部によりメインテナンス処理の開始コマンドが入力された際、前記セル積層体の発電出力を検出し、検出した発電出力が前記所定出力よりも低下している際、前記メインテナンス処理を実行する手段を備えている請求項1に記載の燃料電池システム。
- 前記電源制御部は、前記セル積層体の発電出力を定期的に検出し、検出した発電出力が前記所定出力よりも低下している際、前記メインテナンス処理を実行する手段を備えている請求項1に記載の燃料電池システム。
- 前記燃料電池ユニットは、前記発電出力を含む前記燃料電池ユニットのステータス情報を記憶する記憶部を備え、
前記情報処理装置の電源制御部は、前記燃料電池ユニットの記憶部から燃料電池ユニットのステータス情報を取得し、前記セル積層体の発電出力を前記所定出力と比較する手段を有している請求項1に記載の燃料電池システム。 - 前記電源制御部は、前記メインテナンス処理において、前記セル積層体の発電出力が前記出力に回復した際、前記空気供給部から前記セル積層体の空気流路への空気供給を停止し、前記セル積層体の発電を再開する手段を有している請求項1に記載の燃料電池システム。
- 前記電源制御部は、前記メインテナンス処理において、前記空気供給部の空気供給量および空気供給時間を設定する手段を有している請求項1に記載の燃料電池システム。
- 前記電源制御部は、前記メインテナンス処理において、前記設定された空気供給時間が経過した後、前記空気供給部から前記セル積層体の空気流路への空気供給を停止し、前記セル積層体の発電を再開する手段を有している請求項6に記載の燃料電池システム。
- 対向配置されたアノードおよびカソードをそれぞれ有し互いに積層された複数の単セルと、前記アノードに燃料を供給する燃料流路と、前記カソードに空気を供給する空気流路と、を備え、化学反応により発電するセル積層体と、
前記燃料流路を通して前記アノードに燃料を供給する燃料供給部と、
前記空気流路を通して前記カソードに空気を供給する空気供給部と、
前記セル積層体の発電出力を検出するとともに前記燃料供給部および空気供給部の動作を制御する電池制御部と、を具備した燃料電池ユニットと、
情報を入力する入力部と、情報を表示する表示部と、前記燃料電池ユニットの動作を管理する電源制御部とを具備し、前記燃料電池ユニットに接続された情報処理装置と、
を備えた燃料電池システムの動作制御方法であって、
前記セル積層体の発電出力を検出し、
前記セル積層体の発電出力が所定出力よりも低下した際、前記電源制御部により、前記セル積層体の発電を停止し、前記空気供給部から前記セル積層体の空気流路を通して空気を流すメインテナンス処理を実行する燃料電池システムの動作制御方法。 - 前記情報処理装置の入力部によりメインテナンス処理の開始コマンドが入力された際、前記セル積層体の発電出力を検出し、検出した発電出力が前記所定出力よりも低下している際、前記メインテナンス処理を実行する請求項8に記載の燃料電池システムの動作制御方法。
- 前記セル積層体の発電出力を定期的に検出し、検出した発電出力が前記所定出力よりも低下している際、前記メインテナンス処理を実行する請求項8に記載の燃料電池システムの動作制御方法。
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