JP4745596B2 - 液体脂肪相とワックスを含むマスカラ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明の目的は、ワックスと液体脂肪相を含むケラチン繊維をコーティングするための組成物である。本発明は、ケラチン繊維をコーティングするための方法にも関する。より具体的には本発明の組成物と方法は、ヒトの睫毛、及び付け睫毛のためのものを意図したものである。組成物は、マスカラとも呼ばれる睫毛のためのメイクアップ組成物、睫毛のためのメイクアップベース、トップコートとも呼ばれるマスカラの上に適用されるための組成物、又は睫毛の美容処理のための組成物としてもよい。より具体的には、本発明はマスカラに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、マスカラと呼ばれる睫毛をコーティングするための組成物は、睫毛をコーティングするためのワックスを含む。これらのワックスは、特に界面活性剤を用いて、水性媒体中に分散され得る。しかしながら、これらの組成物で得られたメイクアップ膜は、時を経ると、ぼろぼろと崩れる傾向がある。こうしてもろくなった膜は、特に指の擦りに弱い傾向があり、及び/又は、例えば入浴又はシャワーの間、水で落ちる傾向があり、時が経っても良好に保持されるメイクアップを得ることと相容れない。
【0003】
無水媒体中に、特に有機溶媒を含む液体脂肪相中に、ワックスを含むいわゆる防水マスカラが知られている。これらの組成物は、例えばWO−A−91/12793号に記載されているように、さらに、液体脂肪相中に分散された水性相を含むことができる。この公報は、さらに、マスカラの防水性を、水性相に水溶性膜形成ポリマーを添加することにより、改善することができることを具体的に述べている。しかしながら、これらのマスカラでは、メイクアップを適用した睫毛が、わずかに太くなるだけで、得られるメイクアップは、並の増量性(loading capacity)を有する自然なメイクアップであり、すなわち、高い増量性を有するマスカラを得るために、脂肪相へ大量のワックスを導入することが必要である。しかしながら、ワックスの量が増加すると、マスカラの粘度が上昇する。粘度の高いマスカラは、睫毛に適用するのが非常に困難である。粘度の高すぎるマスカラは、睫毛に乾いて接触し、睫毛の上をすべらず、睫毛の上のブラシ塗布を遅くする。そのようなマスカラ塗布におけるこれらの困難性のため、睫毛に適度な付着ができず、そのメイクアップは睫毛を太くすることができない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記欠点を回避して、ケラチン繊維に容易に適用でき、適用の後に、ケラチン繊維を太くできる防水のコートをもたらす、ケラチン繊維、特に睫毛をコーティングするための組成物を利用可能にすることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
出願人は、驚くべきことに、ケラチン繊維、特に睫毛のそのようなコーティングが、水性相と液体脂肪相を含む組成物中のワックスの粒子の水性ミクロ分散物を用いて得られることを見出した。そして、ケラチン繊維に容易に適用でき、ケラチン繊維に防水コートを形成する組成物が、得られる。得られるメイクアップは、ケラチン繊維を十分に太くする。十分な増量性を有するメイクアップが得られる。さらに、コートは、ぼろぼろ崩れず、擦り、特に指の擦りに対して良好な耐性を示す。さらに、後述のようにワックスミクロ分散物の形態のワックスがハードワックスであるとき、組成物は、ケラチン繊維の満足できるカーリングを与え、得られたカーリングは、時が経ても良好に保持される。睫毛のカーリングは、少なくとも6時間持続される。
【0006】
より具体的には、本発明の主題は、生理的に許容される媒体中に、少なくとも一の揮発性有機溶媒を含む少なくとも一の液体脂肪相と少なくとも一の水性相とを含む組成物において、水性相はワックスの粒子のミクロ分散物を含むことを特徴とする組成物である。
【0007】
本発明の別の主題は、上記マスカラ組成物を含む容器と、前記マスカラ組成物をケラチン繊維、特に睫毛に塗布するシステムとを備えたマスカラ製品である。
【0008】
本発明の主題は、ケラチン繊維に、上記組成物を塗布することを含む、ケラチン繊維、特に睫毛をコーティングする方法にも関する。ケラチン繊維をコーティングする方法は、ケラチン繊維、特に睫毛への、メイクアップ適用、又は非治療的美容トリートメントの方法でもよい。
【0009】
本発明の主題は、ケラチン繊維、特に睫毛を太くするための、及び/又はケラチン繊維に増量メイクアップ適用を得るための上記組成物の使用でもある。
【0010】
本発明の主題は、ケラチン繊維、特に睫毛を太くする及び/又はカールするための、生理的に許容される媒体を含む組成物における、硬度が6Mpa以上のワックスの粒子の水性のミクロ分散物と、少なくとも一の揮発性有機溶媒を含む液体脂肪相との使用でもある。
【0011】
本発明の主題は、ケラチン繊維、特に睫毛を太くするための、及び/又はケラチン繊維に増量メイクアップ適用を得るための、生理的に許容される媒体を含む組成物における、ワックスの粒子の水性のミクロ分散物と、少なくとも一の揮発性有機溶媒を含む液体脂肪相と、液体脂肪相に存在する付加的なワックスの使用でもある。
【0012】
本発明の主題は、ケラチン繊維、特に睫毛を太くする及び/又はカールするための、生理的に許容される媒体を含む組成物における、硬度が6Mpa以上のワックスの粒子の水性のミクロ分散物と、少なくとも一の揮発性有機溶媒を含む液体脂肪相と、液体脂肪相に存在する付加的なワックスとの使用でもある。
【0013】
本出願において、「ケラチン繊維をコーティングするための組成物」なる表現は、ケラチン繊維上へ膜を形成することができる組成物を意味するものと理解される。
【0014】
生理的に許容されるという表現は、ケラチン繊維に適合する媒体、例えば化粧品媒体を意味するものと理解されるべきである。
【0015】
【発明の実施の形態】
a)ワックスミクロ分散物
本発明の組成物は、ワックスの粒子の水性ミクロ分散物を含む。ワックスの水性ミクロ分散物なる表現は、粒子の平均サイズが、約1μm以下であるワックスの粒子の水性分散物を意味するものと理解される。
【0016】
「1μm以下の平均サイズ」なる表現は、少なくとも50容量%の粒子が、1μm以下の平均サイズを有するサイズを意味するものと理解される。ワックスの粒子のサイズは、グラニュロメーター、例えば、Malvern社により、参照Mastersizer 2000で市販されているグラニュロメーターを用いて、測定することができる。
【0017】
本出願において、ワックスは、融点が30℃以上で、120℃までとしてもよい、固体/液体状態の可逆的変化を有する、室温(25℃)で固体の親油性化合物である。ワックスを液体状態にすること(溶かすこと)により、油と混和することを可能にし、微視的に均質な混合物を形成する。しかし、混合物の温度を室温にすると、混合物の油中でワックスの再結晶が得られる。
【0018】
ワックスの融点は、示差走査熱量計(DSC)、例えばMETLER社によりDSC30の名で市販されている熱量計を用いて、測定することができる。るつぼ内に入った製品の15mgの試料を、10℃/分の加熱速度で0℃から120℃まで第1回目の温度上昇を行ない、ついで、10℃/分の冷却速度で120℃から0℃まで冷却し、最後に5℃/分の加熱速度で0℃から120℃までの第2回目の温度上昇を行なう。第2回目の温度上昇の間に、空のるつぼにより吸収される力と製品の試料を含むるつぼにより吸収される力の差の変化を、温度の関数として測定する。化合物の融点は、温度の関数として、吸収される力の差の変化を示すカーブのピークの頂点に相当する温度の値である。
【0019】
ワックスミクロ分散物は、ワックスのコロイド粒子の分散物であり、特に、"Microemulsions Theory and Practice", L.M.Prince編、Academic Press (1977)、21−32頁に記載されている。
【0020】
特に、これらのワックスミクロ分散物は、界面活性剤の存在下で、任意に一部の水の存在下で、ワックスを溶かし、ついで攪拌しながら徐々に湯を添加することにより得ることができる。油中水型エマルションの中間形成物が得られ、その後、相転換して、水中油型ミクロエマルションの最終製品となる。冷却するとき、ワックスの固形のコロイド粒子の安定なミクロ分散物が得られる。ワックスミクロ分散物は、超音波、高圧ホモゲナイザー、及びタービンなどの攪拌手段を用いて、ワックス、界面活性剤及び水の混合物を攪拌することでも得ることができる。
【0021】
ワックスミクロ分散物の粒子は、好ましくは1μm未満の平均サイズ(特に、0.02μmから1μmの範囲)、好ましくは0.5μm未満(特に0.051μmから0.5μmの範囲)である。
【0022】
これらの粒子は、本質的に、ワックス又はワックスの混合物からなる。しかしながらそれらは、少量の油性及び/又はペースト状脂肪添加剤、界面活性剤及び/又は通常の脂溶性添加剤/活性剤を含むことができる。
【0023】
本発明の組成物でのミクロ分散物で用いられるワックスは、動物、植物、鉱物、又は合成由来の室温で固体及び剛性のワックス、及びそれらの混合物から選ばれる。好ましくは、ワックスは、約45℃以上(特に45℃から120℃までの範囲)、特に、55℃以上(特に55℃から120℃までの範囲)、さらには70℃以上(特に70℃から120℃までの範囲)の融点を有していてもよい。ワックスは、0.05MPaから15MPaの範囲の硬度を有していてもよい。有利には、ケラチン繊維に良好なカールを与える組成物を得るために、6Mpa以上、特に6Mpaから30Mpa、特に6Mpaから15Mpaの硬度を有するワックス(ハードワックスと称される)を使用することもできる。さらに、得られるカーリングは、時を経ても良好に保持される。睫毛のカーリングは、少なくとも6時間保持される。
【0024】
硬度は、2mmの直径を有するステンレス鋼シリンダーを備え、0.1mm/sの測定速度で動き、0.3mmの針入深さでワックスに針入する、TA−TX2iの名で市販されているテクスチュロメーターを用いて20℃で測定される圧縮力を測定することにより、決められる。硬度を測定するために、ワックスは、ワックスの融点+20℃の温度で溶かす。融解ワックスを、直径30mm、深さ20mmの容器に注ぐ。ワックスは、室温(25℃)で24時間再結晶し、ついでワックスを、硬度の測定を行なう前に、少なくとも1時間、20℃で保存する。硬度の値は、測定された圧縮力を、ワックスに接触するテクスチュロメーターシリンダーの表面で除した値である。
【0025】
6MPa以上の硬度を有するワックス(ハードワックスと称される)としては、カルナウバワックス、ミクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、キャンデリラワックス、水素添加ホホバ油、コメぬかワックス、オゾケライト、白ロウ、シェラックワックス、オーキュリーワックスを挙げることができる。
【0026】
6MPa未満(特に0.05MPa以上6Mpa未満)の硬度を有するワックス(ソフトワックスと称される)としては、蜜蝋、水素添加ヒマシ油、ラノリンワックス、パラフィンワックス及びヤマモモワックスを挙げることができる。
【0027】
本発明の組成物は、前記ワックスミクロ分散物のワックスを、乾燥重量で、0.1乃至50重量%含むことが好ましく、特に1乃至30重量%含む。それは、安定なワックスミクロ分散物並びに最終の組成物を得ることを可能にするために、十分な量の界面活性剤を含むこともできる。特に、それは0.01乃至30重量%の通常の界面活性剤を含むことができ、それは以下の化合物から選ばれる:−アニオン性界面活性剤、特に、任意に不飽和脂肪酸塩で、12乃至18の炭素原子を有するもの;アルカリ金属塩類又は、有機塩基とアルキル硫酸及びアルキルスルホン酸(このアルキル鎖は6乃至18の炭素原子を含む)との塩類;硫酸エーテル類;
−非イオン性界面活性剤、特にポリアルコキシル化及び/又はポリグリセロール化界面活性剤、特に脂肪酸又は脂肪酸アミド類;脂肪アルコール類又はアルキルフェノール類;脂肪酸とポリオールのエステル類;アルカンジオール類及びアルカンジオールのアルキルエーテル類。トリグリセロールのアルキルカルバマート類、ラノリンアルコールのオキシエチレン化又はプロポキシル化誘導体類、ラノリン脂肪酸類又はそれらの混合物を挙げることもできる;
−カチオン性界面活性剤、特に第4級アンモニウム誘導体。
【0028】
ワックス又はワックスの混合物は、1以上の脂肪(油性及び/又はペースト状の)添加剤を配合することもできる。特に、ヒマワリ油、ホホバ油などの植物油;パラフィン油などの鉱物油;シリコーン油;ワセリン;ラノリン;フッ素化油;ペルフルオロ化基を有する炭化水素油類;脂肪アルコールのエステル類を挙げることができる。
【0029】
さらに、ミクロ粒子状ワックス性相へ、UV−スクリーン剤、脂溶性ビタミン類、脂溶性美容活性剤などの脂溶性活性成分を導入することができる。
【0030】
b)液体脂肪相:
組成物の液体脂肪相は、少なくとも一の揮発性有機溶媒を含む。
【0031】
本発明の「液体脂肪相」なる表現は、室温で液体であり、水と非混和性のあらゆる非水性媒体を意味するものと理解される。
【0032】
「揮発性有機溶媒」なる表現は、塗布された支持体から室温で蒸発できる有機溶媒、換言すれば、室温で測定可能な蒸気圧を有する溶媒を意味するものと理解される。
【0033】
特に、例えば、沸点が30℃より高ければ、周囲圧力と温度で0mmHg(0Pa)を超える、特に10-3から300mmHg(0.13Paから40,000Pa)の蒸気圧を有する、室温で大気圧下で揮発性である1以上の油を使用することが可能である。これらの揮発性油は、特に、ケラチン繊維への組成物の適用を容易にする。これらの油類は、炭化水素油類又はシリコーン油類でもよい。
【0034】
本発明の一実施態様によれば、揮発性有機溶媒は、揮発性炭化水素油でもよい。「炭化水素油」なる表現は、水素原子と炭素原子だけを含む油を意味するものと理解される。
【0035】
本発明の組成物に適した好適な揮発性炭化水素油は、特に、8から16の炭素原子を含む、イソパラフィン類、すなわち分枝状アルカン類であり、例えば"ISOPAR"類、PERMETYL類、特にイソドデカン(2,2,4,4,6−ペンタメチルヘプタンとも称する)である。もちろん、そのようなイソパラフィン類の混合物を使用することも可能である。石油蒸留物などの他の揮発性炭化水素、特に、SHELL社により、Shell Soltの名で市販されているものも、用いることができる。
【0036】
揮発性有機溶媒は、本発明の組成物中に、組成物の全重量に対して、35から75重量%、好ましくは45から70重量%、さらに好ましくは50から65重量%の範囲の量で存在することができる。
【0037】
揮発性有機溶媒としては、揮発性シリコーン類も用いることができ、例えば環状で揮発性のシリコーン油類、例えばオクタメチルシクロテトラ−シロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサデカメチルシクロヘキサシロキサン、揮発性直鎖状シリコーン類、例えばオクタメチルトリシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、又はこれに代えて、フッ素化揮発性油、例えば、ノナフルオロメトキシブタン又はペルフルオロメチルシクロペンタンを用いることができる。
【0038】
液体脂肪相は、非揮発性油類、特に非揮発性炭化水素及び/又はシリコーン及び/又はフッ素化油類を含むこともできる。
【0039】
非揮発性炭化水素油としては、特に
−動物由来の炭化水素油類、例えばペルヒドロスクアレン;
−植物由来の炭化水素油類、例えば、4乃至10の炭素原子の脂肪酸の液体トリグリセリド類、例えば、ヘプタン酸又はオクタン酸のトリグリセリド類、又はヒマワリ、ブドウ種子、ゴマ、トウモロコシ、アプリコット、ヒマシ、アボカド、オリーブ、穀物胚芽、大豆、スウィートアーモンド、ヤシ、レープシード、綿実、ヘーゼルナッツ、マカデミア又はホホバ油類、カプリル酸/カプリン酸のトリグリセリド類、例えば、Stearineries Duboisにより市販されているもの、又はMiglyol 810,812及び818の名でDynamit Nobelにより市販されているもの、シアバター油;
−鉱物又は合成由来の直鎖状又は分枝状炭化水素類、例えばワセリン、ポリデセン類、水素添加ポリイソブテン、例えばパールリーム;
−式R10COOR11(R10は6乃至29の炭素原子を含む高級脂肪酸の残基を表し、R11は3乃至30の炭素原子を含む炭化水素鎖を表す)の油などの合成エステル類又はエーテル類、例えば、パーセリン油、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸2−ヘキシルドデシル、パルミチン酸2−オクチルデシル、ミリスチン酸又は乳酸2−オクチルドデシル;ポリオールのエステル類、例えばプロピレングリコールジオクタノアート、ネオペンチルグリコールジヘプタノアート、ジエチレングリコールジイソノナノアート、及びペンタエリトリトールエステル類;
−12乃至26の炭素原子を有する分枝状及び/又は不飽和炭素鎖を含む室温で液体の脂肪アルコール類、例えばオクチルドデカノール、オレイルアルコール、2−ヘキシルデカノール、2−ブチルオクタノール、2−ウンデシルペンタデカノール;
−高級脂肪酸、例えばオレイン酸、リノール酸、リノレン酸;及び
−それらの混合物
を挙げることができる。
【0040】
本発明の組成物に用いることができる非揮発性シリコーン油類は、重合度が好ましくは約6から2000の直鎖状ポリシロキサンなどの低粘度の油類とすることができる。例えば、10mPa・sを超える粘度を有するポリジメチルシロキサン(PDMS)、フェニルジメチコーン類、フェニルトリメチコーン類、ポリフェニルメチルシロキサン類、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0041】
非揮発性油は、本発明の組成物中に、組成物の全重量に対して、0乃至5重量%、好ましくは0乃至2重量%の範囲の量で存在することができる。有利には、本発明の組成物は、非揮発性油を含まないものであり、この組成物は、睫毛の良好なカーリングを得ることを可能にする。
【0042】
有利には、水性相は、液体脂肪相に分散することができる。組成物は、ついで、油中水型又は水中油型エマルションの形態で、好ましくは油中水型エマルションの形態で提供される。
【0043】
c)添加剤
本発明の組成物は、液体脂肪相中に、少なくとも一の付加的なワックスを含むことができる。この付加的なワックスは、上述のワックスの粒子の水性ミクロ分散物の形態で提供されない。付加的なワックスは、睫毛へのメイクアップの厚い適用を得ることを可能にする。付加的なワックスを含む組成物は、したがって、ケラチン繊維、特に睫毛を太くするために用いることができる。この組成物は、ミクロ分散物中のワックスが上記ハードワックスのとき、ケラチン繊維、特に睫毛をカールするために用いることもできる。
【0044】
付加的なワックスは、0.05MPaから15MPaの範囲の硬度を有することができる。それは、上記のワックス類(ハードワックス類及びソフトワックス類)から選ぶことができる。
【0045】
液体脂肪相に含まれる付加的なワックスは、組成物の全重量に対して、5乃至35重量%、好ましくは15乃至25重量%の範囲の量で存在することができる。
【0046】
本発明の組成物は、さらに、液体脂肪相中に、親油性の補助的な膜形成ポリマーを含むことができる。この親油性の補助的な膜形成ポリマーは、液体脂肪相中に、特に溶解されることができ(脂溶性と称される)、又は、特に安定化剤の存在下で、分散することができる。この親油性膜形成ポリマーは、ケラチン繊維へ、組成物の適用後のコーティングの特に良好な保持を与える。
【0047】
親油性ポリマーとしては、特に、特許出願FR−A−22622303(その内容は、参照として取り込まれる)に記載されているように、少なくとも一のビニルエステルと、オレフィン、アルキルビニルエーテル又はアリル又はメタリルエステルでもよい少なくとも一の他のモノマーとの共重合から得られるコポリマーを挙げることができる。
【0048】
本発明に用いることができる親油性膜形成ポリマーとしては、ポリアルキレン類及び特にC2−C20のアルケン類のコポリマー類、例えばポリブテン、飽和又は不飽和の、直鎖又は分枝状のC1乃至C8アルキル基を有するアルキルセルロース、例えばエチルセルロース及びプロピルセルロース、ビニルピロリドン(VP)のコポリマー類、特に、ビニルピロリドンとC2からC40の、さらに好ましくはC3からC20のアルケンとのコポリマー類を挙げることができる。本発明に用いられるVPのコポリマーの例としては、VP/ビニルアセタート、VP/エチルメタクリラート、ブチル化ポリビニルピロリドン(PVP)、VP/エチルメタクリラート/メタクリル酸、VP/エイコセン、VP/ヘキサデセン、VP/トリアコンテン、VP/スチレン、VP/アクリル酸/ラウリルメタクリラートのコポリマーを挙げることができる。
【0049】
液体脂肪相中に膜形成ポリマーの分散物は、安定化剤の存在下で、特に、EP−A−749746号、EP−A−923928,EP−A−930060に記載されており、その内容は、本出願に参照として取り込まれる。
【0050】
液体脂肪相の親油性の補助的な膜形成ポリマーは、組成物の全重量に対して、0.5乃至15重量%の範囲、さらに好ましくは2乃至10重量%の範囲の量で組成物中に、存在することができる。
【0051】
本発明の組成物は、さらに、液体脂肪相増粘剤を含むことができる。増粘剤は、特に、第4級アミンと第3級アミンから選ばれる化合物で処理された粘土である有機修飾粘土から選ばれることができる。有機修飾粘土として、RHEOX社より"Bentone 34"の名で市販されているものなどの有機修飾ベントナイト類、RHEOX社により"Bentone 27","Bentone 38"の名で市販されているものなどの有機修飾ヘクトライト類を挙げることができる。これらの粘土は一般的に、周知の方法で、液体脂肪相を増粘させるために、プロピレンカーボナート又はエタノールなどのアクチベータと配合することができる。
【0052】
増粘剤は、組成物の全重量に対して、0.5乃至15重量%の範囲、好ましくは1乃至10重量%の範囲の量で存在することができる。
【0053】
本発明の組成物において、液体脂肪相の全重量は、組成物の全重量に対して、65乃至99重量%の範囲、より好ましくは80乃至99重量%の範囲とすることができる。
【0054】
組成物は、少なくとも一の着色物質、例えば粉末状化合物及び/又は脂溶性着色剤などを、例えば、組成物の全重量に対して0.01乃至30重量%の量で、含むことができる。粉末状組成物は、上述した以外に、通常化粧品又は皮膚科組成物で用いられる、顔料及び/又は真珠光沢剤から選ばれることができる。有利には、粉末状化合物は、組成物の全重量に0.1乃至25重量%、さらに好ましくは1乃至20重量%を占める。
【0055】
顔料は、白色又は着色、無機及び/又は有機でよい。無機顔料の中では、二酸化チタン、任意に表面処理されたもの、酸化ジルコニウム、または酸化セリウム、並びに酸化鉄、酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物、又はフェリックブルーを挙げることができる。有機顔料の中では、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料、及びカルミン、バリウム、ストロンチウム、カルシウム,又はアルミニウム主体のラッカー類を挙げることができる
【0056】
真珠光沢顔料は、チタンで、又はオキシ塩化ビスマスで被覆されたマイカなどの白色真珠光沢顔料、酸化鉄で被覆されたチタンマイカ、特にフェリックブルーまたは酸化クロムで被覆されたチタンマイカ、上記タイプの有機顔料で被覆されたチタンマイカ、並びにオキシ塩化ビスマス主体の真珠光沢顔料などの着色真珠光沢剤から選択することができる。
【0057】
本発明の組成物は、通常化粧品に用いられる成分、例えば、化粧品分野で従来より用いられる可塑剤、フィラー類、防腐剤、保湿剤、香料、ビタミン類、アルカリ化剤又は酸性化剤、及びそれらの混合物を含むこともできる。
【0058】
言うまでもないが、当業者は、任意の添加剤及び/又はその量の選択に、意図された添加により本発明の組成物の有利な特性を損ねない、または実質的に損ねないように注意を払うであろう。
【0059】
本発明の組成物は、最初に付加的なワックスを融解し、親油性添加剤を含む脂肪相の成分を混合することにより、当業者に知られている方法で、調製することができる。次に、前もって増粘化した溶媒とともに顔料とフィラーが添加される。次に、成分を混合することにより水性相が調製され、ワックスの水性ミクロ分散物が添加され、脂肪相中に全水性相が分散される。
【0060】
本発明の組成物は、上記マスカラ組成物を含む容器と、ケラチン繊維、特に睫毛に上記組成物を塗布するためのシステムとを備えたマスカラ製品を意図したものである。容器は、周知のように、そこに排液システムが設けられた開口部を備えている。塗布システムは、ブラシを有する第1の末端と、容器を封じることを意図したキャップを有する第2の末端を備えたアプリケーターを備えている。そのような包装は、特にEP−A−611170の図7に図示されており、これは参照として取り込まれる。
【0061】
【実施例】
本発明は下記の実施例により、より詳細に示される。
【0062】
実施例1
下記の組成を有するカルナウバワックスのミクロ分散物を調製した:
−カルバナウバワックス 30g
−ポリオキシエチレン化(30EO)グリセリルモノステアラート(GOLDSCHMIDTからのTAGAT S) 7.5g
−防腐剤 0.5g
−水 100gとする量
【0063】
ワックス、界面活性剤及び防腐剤を、穏やかに攪拌して混合物をホモゲナイズしながら、95℃に加熱した。ついで、攪拌を続けながら、95℃に加熱した水を導入した。混合物は、室温に冷却し、約170nmの平均粒子径を有するワックスミクロ分散物を得た。
【0064】
実施例2
下記の組成を有するマスカラを調製した。
−実施例1のワックスミクロ分散物 6.6g
−カルナウバワックス 5.4g
−コメぬかワックス 2.55g
−パラフィン 2.5g
−蜜蝋 9.55g
−ベントナイト 5.4g
−プロピレンカーボナート 1.7g
−エチルアルコール 0.7g
−ビニルアセタート/アリルステアラート(65/35)コポリマー(CHIMEXからのMexomere PQ) 7.2g
−ポリビニルラウラート(CHIMEXからのMexomere PQ) 0.75g
−D−パンテノール 0.2g
−タルク 0.98g
−顔料 4.8g
−防腐剤 適量
−イソドデカン 100gとなる量
【0065】
このマスカラは、睫毛に容易に適用することができ、防水性で、睫毛を太くするメイクアップを得ることを可能にする。少なくとも6時間保持される睫毛の良好なカーリングも得られる。

Claims (28)

  1. 生理的に許容される媒体中に、揮発性炭化水素油類から選ばれる少なくとも一の揮発性有機溶媒を含む少なくとも一の液体脂肪相と少なくとも一の水性相とを含む、睫毛をコーティングするための組成物において、前記水性相が、ワックスの粒子のミクロ分散物を含むことを特徴とする組成物。
  2. 前記ワックスのミクロ分散物が、1μm未満の平均サイズを有するワックスの粒子を含むことを特徴とする、請求項1記載の組成物。
  3. 前記ワックスが、30乃至120℃の範囲の融点を有するワックス類からなる群より選ばれることを特徴とする請求項1又は2記載の組成物。
  4. 前記ワックスが、6MPa以上の範囲の硬度を有することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項記載の組成物。
  5. 前記ワックスが、カルナウバワックス、ミクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、キャンデリラワックス、水素添加ホホバ油、コメぬかワックス、オゾケライト、白ロウ、シェラックワックス、オーリキュリーワックスからなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項記載の組成物。
  6. 前記ミクロ分散物のワックスが、組成物の全重量に対して、乾燥重量で0.1乃至50重量%の範囲で存在することを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項記載の組成物。
  7. 前記ワックス分散物の粒子が、さらに、油性及び/又はペースト状の脂肪添加剤及び/又は脂溶性添加剤/活性剤を含む、請求項1乃至6のいずれか1項記載の組成物。
  8. 少なくとも一の界面活性剤を含む、請求項1乃至7のいずれか1項記載の組成物。
  9. 前記揮発性有機溶媒が、8乃至16の炭素原子を含むイソパラフィン類からなる群より選ばれることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項記載の化粧品組成物。
  10. 前記揮発性有機溶媒が、組成物の全重量に対して、35乃至75重量%の量で存在することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項記載の組成物。
  11. 前記液体脂肪相が、少なくとも一の親油性の補助の膜形成ポリマーを含むことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項記載の組成物。
  12. 前記親油性の補助の膜形成ポリマーが、組成物の全重量に対して、0.5乃至15重量%の範囲の量で存在することを特徴とする請求項11記載の組成物。
  13. 水性相に溶解又は分散される、少なくとも一の付加的な膜形成ポリマーをさらに含む、請求項1ないし12のいずれか1項記載の組成物。
  14. 前記液体脂肪相が、付加的なワックスを含むことを特徴とする、請求項1乃至13のいずれか1項記載の組成物。
  15. 前記付加的なワックスが、0.05乃至15MPaの硬度を有することを特徴とする請求項14記載の組成物。
  16. 前記付加的なワックスが、0.05以上6MPa未満の範囲の硬度を有することを特徴とする請求項14記載の組成物。
  17. 前記付加的なワックスが、蜜蝋、水素添加ヒマシ油、ラノリンワックス、パラフィンワックス及びヤマモモワックスからなる群より選ばれることを特徴とする、請求項16記載の組成物。
  18. 前記付加的なワックスが、組成物全重量に対して5乃至35重量%の範囲の量で存在することを特徴とする、請求項14乃至17のいずれか1項記載の組成物。
  19. 前記組成物が油中水型エマルションであることを特徴とすることを特徴とする請求項1乃至18のいずれか1項記載の組成物。
  20. 前記組成物が、増粘剤、可塑剤、フィラー、着色物質、防腐剤、保湿剤、香料、ビタミン、アルカリ化剤又は酸性化剤、及びこれらの混合物からなる群より選ばれる少なくとも一の添加剤をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至19のいずれか1項記載の組成物。
  21. 前記組成物がマスカラであることを特徴とする、請求項1乃至20のいずれか1項記載の組成物。
  22. マスカラ組成物を含む容器と、前記マスカラ組成物を睫毛に塗布するシステムとを備えたマスカラ製品において、前記組成物が、請求項1乃至21のいずれか1項記載の組成物であることを特徴とするマスカラ製品。
  23. 睫毛に、請求項1乃至21のいずれか1項記載の組成物を塗布することを含む、睫毛をコーティングするための美容方法。
  24. 睫毛をカールするための請求項1乃至21のいずれか1項記載の組成物の使用。
  25. 睫毛を太くするための、及び/又は睫毛へ多量を載せるメイクアップ適用を得るための請求項4乃至21のいずれか1項記載の組成物の使用。
  26. 生理的に許容される媒体を含む組成物における、睫毛を太くする及び/又はカールするための、硬度が6Mpa以上のワックスの粒子の水性のミクロ分散物と、揮発性炭化水素油類から選ばれる少なくとも一の揮発性有機溶媒を含む液体脂肪相との使用。
  27. 生理的に許容される媒体を含む組成物における、睫毛を太くするための、ワックスの粒子の水性のミクロ分散物と、揮発性炭化水素油類から選ばれる少なくとも一の揮発性有機溶媒を含む液体脂肪相と、液体脂肪相に存在する付加的なワックスの使用。
  28. 生理的に許容される媒体を含む組成物における、睫毛を太くする及び/又はカールするための、硬度が6Mpa以上のワックスの粒子の水性のミクロ分散物と、揮発性炭化水素油類から選ばれる少なくとも一の揮発性有機溶媒を含む液体脂肪相と、液体脂肪相に存在する付加的なワックスとの使用。
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