JP3600437B2 - 水中油型毛髪化粧料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は水中油型毛髪化粧料、特にその使用感の改善に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来毛髪化粧料には、毛髪に光沢やなめらかさを与え、かつ良好なセット保持力を与える目的で、樹脂とシリコーン油、高分子シリコーン、エステル油、炭化水素油などの油分を可溶化、乳化、溶解したものとを併用したものが多く用いられている。
また、毛髪化粧料には、整髪力を付与する目的で、ワックスが配合されることがあるが、塗布部分のべたつきが著しく、またギラツキ等を生じることもあるため、各種エマルションとして用いることが多い。該組成物の例として、特開平3−2112、特開平4−230616号公報がある。この特開平3−2112号公報では、ワックスと、油と、非イオン系および/またはアニオン系乳化剤と、からなる構成が採用され、特開平4−230616号公報では、ワックスと、シリコーンと、非イオン系および/またはアニオン系乳化剤とからなる構成が採用されている。そして、これら公報に記載の組成物はワックス微粒子と油滴粒子が同一の粒子を形成するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者の従来の毛髪化粧料では整髪力が不充分であり、後者のワックスの微細分散物を含有した毛髪化粧料においては、ワックスのべたつき感、なめらかさに関する改善がまだ不充分であった。
【0004】
本発明は、前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、整髪力に優れるだけでなく、べたつき感が少なく、かつ毛髪になめらかさ、くし通りのよさを付与することができる毛髪化粧料を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために本発明者らが鋭意検討を行ったところ、ワックスの微粒子と、炭化水素油および/またはエステル油の油粒子とが個々に存在し、ワックス/(炭化水素油および/またはエステル油)の配合重量比が0.1〜10であり、界面活性剤として両性界面活性剤および/又は半極性界面活性剤と、非イオン性界面活性剤を含む乳化型毛髪化粧料は、整髪力に優れ、毛髪のなめらかさ、べたつき感のなさ、くし通りのよさに関し、優れた特徴を持つことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明の水中油型毛髪化粧料は、常温で固体ないし半固体のワックスを含む固体ないし半固体状のワックス微粒子と、常温で液体である炭化水素油および/又はエステル油を主成分とする油粒子と、が別個に水中に分散しており、
ワックス/(炭化水素油および/またはエステル油)の配合重量比が0.1〜10であり、
界面活性剤として両性界面活性剤および/又は半極性界面活性剤と、非イオン性界面活性剤を含むことを特徴とする。
また、本発明の水中油型毛髪化粧料においては、炭化水素油および/またはエステル油の配合量が組成物全体に対して、1〜50重量%であることが好適である。
【0007】
また、本発明の水中油型毛髪化粧料においては、高級脂肪酸を含むことが好適である。
また、本発明の水中油型毛髪化粧料の製造方法においては、ワックスの微細分散物と、炭化水素油および/又はエステル油の乳化組成物を別々に調製したものを混ぜ合わせ調製することが好適である。
【0008】
また、上記本発明の水中油型毛髪化粧料の製造方法においては、、用いられるワックス微細分散物中の非イオン界面活性剤のHLBが6〜15であることが好適である。
また、上記本発明の水中油型毛髪化粧料の製造方法においては、用いられるワックス微細分散物中の両性界面活性剤/(両性界面活性剤+非イオン界面活性剤)の配合重量比が0.03〜0.5であることが好適である。
また、上記本発明の水中油型毛髪化粧料の製造方法においては、用いられる乳化組成物に両性界面活性剤および/又は半極性界面活性剤と、高級脂肪酸とを混合して得られる複合体を配合することが好適である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態をさらに詳細に説明する。
本発明は、ワックスの微細分散物であるワックスパーツと、炭化水素油および/またはエステル油を含む乳化組成物である乳化パーツとを各々別々に調製したものを混ぜ合わせ毛髪化粧料を調製するものである。そこで、ワックス微細分散物と炭化水素油および/またはエステル油の乳化組成物に分けて説明することとする。
【0010】
<ワックスの微細分散物>
化粧料におけるワックスを微細分散させる従来技術としては、例えば特開平3−2112、特開平4−230616、特開平5−220383、特開平7−173025号などに示されるものがある。
しかしながら、これらに示されているものは、非イオン系又はアニオン系、あるいはカチオン系界面活性剤を用いて微細分散物を調製するものであり、非イオン性界面活性剤では、皮膚刺激等安全性は良好なものの、温度により、系のHLBが変化し、経時安定性が損なわれる欠点がある。
【0011】
また、非イオン性界面活性剤とアニオン界面活性剤との組合せやアニオン界面活性剤単独、あるいはカチオン性界面活性剤単独で微細分散物を調製する場合においては、温度安定性は向上するものの、人によっては皮膚刺激等に対して問題が生じることが考えられる。
下記に記載するワックスの微細分散物は、広い温度範囲で安定であり、かつ皮膚刺激がより少ない組成物である。以下ワックスの微細分散物の各成分について記載する。
【0012】
固形ワックス
本発明においてワックスとは常温にて固形の油分を意味し、具体的にはミツロウ、キャンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、モクロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ホホバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、ビースワックス、マイクロクリスリンワックス、パラフィンワックス、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、脂肪酸グリセリド、硬化ヒマシ油、ワセリン、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等がある。
なお、これらのワックスは混合して用いることが可能であり、他の固形状あるいは液状油分などを混合しても常温において固形である範囲で使用可能である。
【0013】
このような油性成分としては、次のようなものが挙げられる。
液体油脂としては、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、テトラオクタン酸ペンタエリスリット、トリイソパルミチン酸グリセリン等がある。
【0014】
固体油脂としては、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム核油、モクロウ核油、硬化油等がある。
炭化水素油としては、流動パラフィン、オゾケライト、スクワレン、プリスタン、パラフィン、スクワラン等がある。
【0015】
非イオン性界面活性剤
本発明において非イオン性界面活性剤が必須であり、好適な非イオン性界面活性剤のHLBは6〜15、特に好適なHLBは7〜14である。
このような非イオン性界面活性剤としては、POEソルビタンモノオレエート、POEソルビタンモノステアレート、POEソルビタンテトラオレエート等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類、POEソルビットモノラウレート、POEソルビットモノオレエート、POEソルビットペンタオレエート、POEソルビットモノステアレートなどのPOEソルビット脂肪酸エステル類、POEグリセリンモノステアレート、POEグリセリンモノイソステアレート、POEグリセリントリイソステアレートなどのPOEグリセリン脂肪酸エステル類、POEモノオレエート、POEジステアレート、POEジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコールなどのPOE脂肪酸エステル類、POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POE2−オクチルドデシルエーテル、POEコレスタノールエーテル等のPOEアルキルエーテル類、POEオクチルフェニルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEジノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類、プルロニックなどのプルロニック類、テトロニック等のテトラPOE・テトラPOPエチレンジアミン縮合物類、POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE硬化ヒマシ油マレイン酸などのPOEヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体、POEソルビットミツロウ等のPOEミツロウ・ラノリン誘導体、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミドなどのアルカノールアミド、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、POEアルキルアミン、POE脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル、POEノニルフェニルホルムアルデヒド縮合物、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド、トリオレイルリン酸などが挙げられる。
【0016】
また、非イオン性界面活性剤として、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルを用いると、同じオキシエチレン鎖長のポリオキシエチレンアルキルエーテルと比較して、調製されたワックス微細分散物の経時安定性がよく、経時で微細粒子の凝集等による外観の変化(透明性の低下)や分散粒子のクリーミングが改善されるのでより好適である。
【0017】
上記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルとしては、
【化1】
および/または
【化2】
(ただし、Rは炭素数12〜24のアルキル基またはアルケニル基を表し、
mは5≦m≦30、nは0<n≦5の範囲にある)で表されるものが好適である。
【0018】
そして、このようなポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルとしては、例えば、上記m、nの値が前記範囲にあるPOE・POPセチルエーテル、POE・POPベヘニルエーテル、POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル、POE・POPモノブチルエーテル、POE・POP水添ラノリン、POE・POPグリセリンエーテルなどが挙げられる。
【0019】
両性界面活性剤および半極性界面活性剤
本発明において両性界面活性剤としては下記一般式(1)〜(5)で示したものが、半極性界面活性剤としては下記一般式(6)で示したものが例示される。
一般式(1):
【化3】
で表されるアミドベタイン型両性界面活性剤(市販品としてレボン2000(三洋化成株式会社製)、アノンBDF(日本油脂株式会社製)などが挙げられる)。
一般式(2):
【化4】
で表されるアミドスルホベタイン型両性界面活性剤(市販品としてロンザイン−CS(ロンザ社製)、ミラタインCBS(ミラノール社製)などが挙げられる)。
【0020】
一般式(3):
【化5】
で表されるベタイン型両性界面活性剤(市販品としてアノンBL(日本油脂株式会社製)、デハイントンAB−30(ヘンケル社製)などが挙げられる)。
一般式(4):
【化6】
で表されるスルホベタイン型両性界面活性剤(市販品としてロンザイン12CS(ロンザ社製)などが挙げられる)。
【0021】
一般式(5):
【化7】
で表されるイミダゾリニウム型両性界面活性剤(市販品としてオバゾリン662−N(東邦化学株式会社製)、アノンGLM(日本油脂株式会社製)などが挙げられる)。
一般式(6):
【化8】
で表される第三級アミンオキサイド型半極性界面活性剤(市販品としてユニセーフA−LM(日本油脂株式会社製)、ワンダミンOX−100(新日本株式会社製)などが挙げられる)。
【0022】
ただし、一般式(1)〜(6)で、R1は平均炭素原子数9〜21のアルキル基またはアルケニル基が好ましく、より好ましくは平均炭素原子数11〜17のアルキル基またはアルケニル基、さらに好ましくは平均炭素原子数11ないし13のアルキル基またはアルケニル基である。平均炭素原子数が9未満では親水性が強すぎ、一方21を越えると水への溶解性が悪くなる。
R2及びR3は平均炭素原子数10ないし18のアルキル基またはアルケニル基を表す。
pは2〜4の整数、qは0〜3の整数、sは1または2の整数を表す。
本発明においては、これらの両性界面活性剤及び/または半極性界面活性剤のうち任意の一種または二種以上が選ばれて用いられる。
【0023】
水系分散媒
本発明において、微細ワックス粒は水系分散媒中に分散されることが好ましく、この水系分散媒としては、水を単独で、或いは、水とエタノール、グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、キシリトール、ソルビトール、マルチト−ル、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル−12−ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl−ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出液、セイヨウノコギリソウ抽出液、メリロート抽出液等が挙げられる。
【0024】
微細分散物の調製
まず、本発明者らは下記のような試験を行い、ワックスの微細分散組成物の調製を試みた。
【0025】
【表1】
【0026】
<製法>
イオン交換水に前記非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤を水に溶解し、80〜90℃に加熱してキャンデリラワックスを添加し、1時間プロペラ撹拌する。その後、氷冷し、組成物を得る。
【0027】
<結果>
上記表1より明らかなように、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤ともに、各単独では乳化組成物が白濁する傾向にあり、安定性も好ましくない(試験例1〜4)。また、カチオン性乃至アニオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤を組み合わせた場合(試験例5,6)、あるいはカチオン性乃至アニオン性界面活性剤と両性界面活性剤を組み合わせた場合(試験例8,9)にも同様である。
しかしながら、非イオン性界面活性剤と両性界面活性剤を組み合わせた場合(試験例7)には、乳化組成物の外観が透明となり、ワックスの微細分散組成物が得られたことが示唆される。
動的光散乱法による測定の結果、この微細分散物の粒子径は約30nmであった。
【0028】
非イオン性界面活性剤の検討
次に本発明者らは非イオン性界面活性剤の至適HLBについて検討を進めた。すなわち、下記組成を基本処方に、非イオン性界面活性剤のHLBを変化させてその乳化状態を検討した。
結果を次の表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】
前記表より明らかなように、両性界面活性剤/(両性界面活性剤+非イオン性界面活性剤)の重量比が約0.33または0.1においては、非イオン性界面活性剤のHLBが6〜15で均一な乳化系の形成が可能であるが、特にHLBが7〜14で半透明乃至透明な一液相が形成される。
従って、本発明のワックス微細分散物においては、非イオン性界面活性剤のHLBは6〜15、特に半透明、透明系を得るためには7〜14であることが理解される。
【0031】
次に、本発明者らは非イオン性界面活性剤の種類と分散状態について検討を進めた。まず、基本処方1の組成における結果を次に示す。
【0032】
【表3】
【0033】
なお、前記表において、○は透明な一液相を形成した状態を意味し、△は半透明乃至均一なクリーム状を、×は分離をそれぞれ表す。
上記表より、基本処方1、すなわち、両性界面活性剤/(両性界面活性剤+非イオン性界面活性剤)の重量比が約0.33においては、各非イオン性界面活性剤を単独で用いた場合には、概ねHLBが9〜11で透明な一液相を形成し得ることが理解される。
つぎに、非イオン性界面活性剤の種類と分散状態について、基本処方2の組成における結果を次に示す。
【0034】
【表4】
【0035】
なお、前記表において、○は透明な一液相を形成した状態を意味し、△は半透明乃至均一なクリーム状を、×は分離をそれぞれ表す。
上記表より、基本処方2、すなわち、両性界面活性剤/(両性界面活性剤+非イオン性界面活性剤)の重量比が約0.1においては、各非イオン性界面活性剤を単独で用いた場合には、概ねHLBが12〜13で透明な一液相を形成し得ることが理解される。
したがって、前記表3〜4をまとめると、非イオン性界面活性剤の至適なHLB値は界面活性剤の重量比によって異なるが、その至適HLBは概ね6〜15ということができる。
また、前記表2を参酌すると、複数の非イオン性界面活性剤を組み合わせて用いることも可能であり、そのときのHLBは加重平均に依存する。
【0036】
さらに、本発明者らはPOEコレステリル、POEグリセリル、POE硬化ヒマシ油等について検討を行ったが、これらの多鎖型非イオン性界面活性剤単独では、透明な一液相を調製することは困難であった。無論、これらの多鎖型非イオン性界面活性剤にあっても他の非イオン性界面活性剤との組み合わせにより好適な分散系を得ることは可能であるが、特にPOE直鎖乃至POE分岐脂肪酸エーテルが好適に用いられる。
【0037】
両性界面活性剤と非イオン性界面活性剤の相関
次に本発明者らは両性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との相関について検討を進めた。
すなわち、下記基本処方に基づき、アミドベタイン型両性界面活性剤(商品名レボン2000SF)、非イオン性界面活性剤(POE(10)ベヘニルエーテル)の配合比、配合量を変化させてワックス分散系を調製した。
【0038】
結果を図1に示す。
同図より明らかなように、非イオン性界面活性剤としてHLB9のPOE(10)ベヘニルエーテルを用いた場合、界面活性剤比=両性界面活性剤/(両性界面活性剤+非イオン性界面活性剤)は0.3付近のところが極めて良好な比として存在するが、その比の範囲は(両性界面活性剤+非イオン性界面活性剤)の量が増加するにつれ広くなる傾向にある。
【0039】
なお、当然のことながら、非イオン性界面活性剤のHLB値を変化させることにより好ましい界面活性剤比は異なる。そこで、図1に同様な組成で非イオン性界面活性剤としてHLB13のPOE(20)ベヘニルエーテルを用いた場合の結果を図2に示す。
同図より明らかなように、非イオン性界面活性剤としてHLB13のPOE(20)ベヘニルエーテルを用いた場合、界面活性剤比=両性界面活性剤/(両性界面活性剤+非イオン性界面活性剤)は0.1付近のところが極めて良好な比として存在するが、その比の範囲は概ね0.04〜0.17といえる。
【0040】
また、非イオン性界面活性剤としてHLB12のPOE(15)ベヘニルエーテルを用いた場合の結果を図3に、HLB15のPOE(30)ベヘニルエーテルを用いた場合の結果を図4に示す。
前記結果からわかるように、非イオン性界面活性剤のHLBにより界面活性剤比=両性界面活性剤/(両性界面活性剤+非イオン性界面活性剤)は異なるが、概ね0.03〜0.5が好ましい。0.03未満では、系への非イオン性界面活性剤の寄与が大きくなり、温度安定性が損なわれる。一方、0.5を超えると、ワックスの微細分散物は得られにくくなる。
【0041】
次に本発明者らは、安全性および安定性について検討した。
安全性
安全性については卵白アルブミン変性率から評価した。
<試験方法>
水系高速液体クロマトグラフィを利用し、卵白アルブミンpH緩衝溶媒に、試料濃度1%になるように試料を加えた場合の、卵白アルブミン変性率220nmの吸収ピークを用いて測定した。
[(Ho−Hs)/Ho]×100
Ho:卵白アルブミンの220nm吸収ピークの高さ
Hs:卵白アルブミン緩衝溶媒に試料を加えた時の220nm吸収ピークの高さ評価は以下の4段階評価で行った。
◎・・・皮膚刺激性が非常に少ない−卵白アルブミン変性率30%未満
○・・・皮膚刺激性が少ない−卵白アルブミン変性率30%以上60%未満
△・・・皮膚刺激性が中程度−卵白アルブミン変性率60%以上80%未満 ×・・・皮膚刺激性が強い−卵白アルブミン変性率80%以上
【0042】
結果を表5に示す。
【表5】
【0043】
上記の結果から両性界面活性剤と非イオン性界面活性剤の組合せは、非イオン性界面活性剤と同レベルで皮膚刺激性が少なく安全性が高い。従って、両界面活性剤を併用したワックスの微細分散物は安全性が高いことが示唆される。
【0044】
安定性
以下に示す処方でワックスの微細分散物を調製し、50℃、1週間の経時安定性を評価した。結果を表6に示す。
<基本処方4>
キャンデリラワックス 10%
界面活性剤 約10〜20%
イオン交換水 残部
【0045】
【表6】
【0046】
上記表6より明らかなように、非イオン性界面活性剤単独および界面活性剤比(前記規定)が0.03未満では、経時安定性は損なわれる。
一方、好ましい界面活性剤比中の両性界面活性剤と非イオン性界面活性剤の組合せでは安定性は良好であった。
【0047】
<炭化水素油および/またはエステル油を含む乳化組成物>
つぎに、本発明の水中油型毛髪化粧料の2つ目のパーツである炭化水素油および/またはエステル油を含む乳化組成物について説明する。
炭化水素油および/またはエステル油の水中油型の乳化組成物は、常法によるものあるいは、ワックスの微細分散物と同様に皮膚への刺激のやさしさを考えるなら、特開平6−65596号に示されるような両性界面活性剤および/または半極性界面活性剤と、高級脂肪酸とを混合して得られる複合体を利用して得られるものを使うことができる。
【0048】
炭化水素油および/またはエステル油
本発明の乳化パーツに用いられる炭化水素油および/またはエステル油としては、次のようなものがある。例えば、流動パラフィン、イソパラフィン、スクワラン、スクワレン、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸ブチル、イソステアリン酸ヘキシル、イソステアリン酸2−ヘキシルデシル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸2−エチルヘキシル、イソパルミチン酸オクチル、2−エチルヘキサン酸イソステアリル、2−エチルヘキサン酸ステアリル、2−エチルヘキサン酸セチル、2−エチルヘキサン酸セトステアリル、オクタン酸イソセチル、オクタン酸オクチルドデシル、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、オレイン酸イソデシル、オレイン酸エチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、カプリン酸セチル、カプリン酸モノグリセリル、コハク酸ジ2−エチルヘキシル、サリチル酸オクチル、サリチル酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸オクチルドデシル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸オクチル、ダイマー酸ジイソプロピル、テトライソステアリン酸ペンタエリスリット、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、パルミチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、ヒドロキシステアリン酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸イソセチル、ヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル、ヒドロキシステアリン酸オクチルドデシル、ビバリン酸イソステアリル、ビバリン酸イソデシル、ビバリン酸2−オクチルドデシル、ヒマシ油脂肪酸メチル、プロピオン酸アラキル、ヘキシルデカノール、2−ヘキシルデカン酸、ホホバ油、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸ブチル、ミンク油、ミンク油脂肪酸エチル、ラウリン酸イソステアリル、ラウリン酸ヘキシル等が挙げられる。
【0049】
両性界面活性剤および/又は半極性界面活性剤と、高級脂肪酸とを混合して得られる複合体
本発明の乳化パーツに用いられる両性界面活性剤および/又は半極性界面活性剤と、高級脂肪酸とを混合して得られる複合体のうち、両性界面活性剤および/又は半極性界面活性剤としては、前述のワックス微細分散物の調製に用いた界面活性剤を用いることができる。
【0050】
高級脂肪酸
本発明の乳化パーツに用いられる両性界面活性剤および/又は半極性界面活性剤と、高級脂肪酸とを混合して得られる複合体中の高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン(ベヘニン)酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、トール油、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
【0051】
つぎにワックス微細分散物と炭化水素油および/またはエステル油を含む乳化組成物を混合調製した後の本発明の水中油型毛髪化粧料について記す。
本発明の水中油型の乳化型毛髪化粧料は、上記2つの組成物を混ぜ合わせることによって得られるものであるが、混ぜ合わせたあとの乳化組成物の安定性はその両者の配合比の影響は少ない。
【0052】
<水中油型毛髪化粧料>
上記の炭化水素油および/またはエステル油の配合量は、0.1〜50重量%より好ましくは3〜40重量%である。0.1重量%より少ないと本発明の優れた効果である手のべたつきのなさ、なめらかさが得られないことがあり、50重量%を超えて配合しても使用感の向上はあまりみられない。
また、前記ワックス/(炭化水素油および/またはエステル油)の配合重量比は好ましくは0.1〜10である。この比を外れると、本発明の優れた使用感を損なうことがある。
【0053】
なお、本発明の毛髪化粧料には、上記必須構成成分の他に、目的に応じて本発明の効果を損なわない量的、質的範囲内で、通常、化粧料に配合される他の油分、他の界面活性剤、セット剤樹脂、粘度調製剤、薬効剤、防腐剤、紫外線吸収剤等を併用することができる。例えば、シリコーン誘導体(ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン)、粘度調製剤として、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース等の高分子化合物、ゼラチン、タラカントガム等の天然ガム等、防腐剤として、例えば、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール等が挙げられる。また、セット剤樹脂としては、例えば、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、ビニルピロリドン−/アルキルアミノアクリレート共重合体、ベタイン化ジアルキルアミノアルキルアクリレート共重合体等が挙げられる。
【0054】
【実施例】
つぎに、本発明の具体的な実施例を示す。なお、配合量はすべて重量%である。
本発明の水中油型乳化組成物は、前記述べたとおりワックスの微細分散物と炭化水素油および/またはエステル油の乳化組成物を混合することにより、調製される。
【0055】
一つ目のパーツとなるワックスの微細分散物の調製法は、イオン交換水に前記非イオン界面活性剤および両性界面活性剤を水に溶解し、85〜95℃に加熱して、前記固形ワックスを添加し、可溶化状態となるまでプロペラ攪拌する。その後、氷冷し、組成物を得る。
【0056】
二つ目のパーツとなる炭化水素油および/またはエステル油の水中油型の乳化組成物は、常法あるいは特開平6−65596号に示されるような両性界面活性剤および/または半極性界面活性剤と、高級脂肪酸とを混合して得られる複合体を利用して得られる。
本発明者らは、べたつきがなく、なめらかさと、くし通りのよさに関して優れた特徴をもつ毛髪化粧料を検討する過程で、以下のような実験をした。
【0057】
そして、本発明の効果を調べるため以下の毛髪化粧料を調製し、得られた実施例と比較例あるいは試験例を試料として用い、「手のべたつき感」、「手ぐしの通りやすさ」、「なめらかさ」、「整髪力」について評価した。
評価方法は、つぎの通りである。
【0058】
[手のべたつき感]
手のひらに試料1gをとり、30秒間手でこすった後、手のべたつき感を官能評価をした。
◎:ワックスの微細分散物のみのものと比較して、大きく改善された
○:ワックスの微細分散物のみのものと比較して、改善された
△:ワックスの微細分散物のみのものと比較して、やや改善された
−:ワックスの微細分散物のみのものと比較して、改善されなかった、または劣っていた。
【0059】
[手ぐしの通りやすさ]
毛髪ストランド(4g)に試料2gを塗布し、櫛で形を整え、その直後および6時間後に手ぐしの通りやすさを評価した。
◎:ワックスの微細分散物のみのものと比較して、大きく改善された
○:ワックスの微細分散物のみのものと比較して、改善された
△:ワックスの微細分散物のみのものと比較して、やや改善された
−:ワックスの微細分散物のみのものと比較して、改善されなかった、または劣っていた。
【0060】
[なめらかさ]
毛髪ストランド(4g)に試料2gを塗布し、櫛で形を整え、その直後および6時間後に毛髪ストランドのなめらかさを官能評価した。
◎:ワックスの微細分散物のみのものと比較して、大きく改善された
○:ワックスの微細分散物のみのものと比較して、改善された
△:ワックスの微細分散物のみのものと比較して、やや改善された
−:ワックスの微細分散物のみのものと比較して、改善されなかった、または劣っていた。
【0061】
[整髪力]
毛髪ストランド(4g)に試料2g塗布し、櫛で形を整える。次いで、そのストランドに図5のようにドライヤーで送風し、ストランドの広がり具合を目視により、評価した。
◎:ワックスの微細分散物のみのものと比較して、大きく改善された
○:ワックスの微細分散物のみのものと比較して、改善された
△:ワックスの微細分散物のみのものと比較して、やや改善された
−:ワックスの微細分散物のみのものと比較して、改善されなかった、または劣っていた。
【0062】
本発明の構成成分
本発明にかかる構成の組成物を試験例10とし、炭化水素油の構成を欠いたものを試験例11、ワックスの構成を欠いたものを試験例12とした。なお、評価は、ワックスの微細分散物のみのものとして試験例11を基準とした。以下、同様である。
【0063】
【表7】
【0064】
<ワックスパーツの製法>
(1)〜(4)を約95℃で攪拌混合し、透明性を帯びた後、氷冷し、ワックスの微細分散物を得た。
<乳化パーツの製法>
(1)〜(4)および(5)の一部をホモミキサーにより攪拌し、乳化を行った後、(5)の残部を加え、乳化組成物を得た。
<セットローションの製法>
上記2つの組成物および(3)を上記表の割合で混ぜ合わせ、シェイクタイプのセットローションを得た。
【0065】
上記の結果より、ワックスの構成を欠いた試験例12は、手のべたつき感のなさ、手ぐしの通りやすさ、なめらかさの点ではそこそこの使用感が得られることがわかるが、試験例11と比較してはるかに整髪力に劣っていた。
これに対して、本発明の炭化水素油および/又はエステル油の構成を配合した試験例10は、手のべたつき感のなさ、手ぐしの通りやすさ、なめらかさ、整髪力すべての点で改善されており、しかもそれら改善効果が6時間後も維持されているのがわかる。
【0066】
本発明の水中油型乳化組成物の構造
本発明の水中油型毛髪化粧料は、ワックス微細分散物と炭化水素油および/またはエステル油を含む乳化組成物を別々に調製した後、混合させるものである。そこで、本発明にかかる組成物の上記試験例10の組成物とほぼ同じ組成でワックスパーツと乳化パーツに分けずに調製した組成物を試験例13とした。
本発明の水中油型毛髪化粧料と試験例13との違いは図6に示したとおりである。図からわかるように本発明では、炭化水素油および/またはエステル油のエマルション粒子とワックス分散粒子は別々に存在するが、試験例13の組成物では、両者は同一の分散粒子を形成する。
【0067】
【0068】
【0069】
<製法>
(1)〜(7)と(8)の一部を約95℃で攪拌混合し、炭化水素油を含んだワックス微細分散物を得、その後、(8)の全部を添加し、セットローションを得た。
【0070】
上記結果より、本発明の毛髪化粧料のべたつき感のなさ、手ぐしの通りやすさ、なめらかさのような優れた使用感は、ワックス分散粒子と炭化水素油および/またはエステル油の粒子が別々に存在していてこそ得られることが明らかである。
【0071】
炭化水素油および/又はエステル油の配合量
ワックス/(炭化水素油および/又はエステル油)の配合重量比
つぎに、ワックス微細分散物(ワックスパーツ)と炭化水素油および/又はエステル油を含む乳化組成物(乳化パーツ)の配合の割合を変えることによって炭化水素油および/又はエステル油の配合量並びにワックス/(炭化水素油および/又はエステル油)の配合重量比の検討をおこなった。
【0072】
【表8】
【0073】
上記結果より、炭化水素油および/又はエステル油の好適な配合量は約1〜約50重量%であることがわかる。また、好適なワックス/(炭化水素油および/又はエステル油)の配合重量比は0.1〜10であることがわかる。
【0074】
従来技術との比較
つぎの本発明の実施例1〜3、および従来技術の一般的な毛髪のセットを目的としたワックスを配合しない比較例1〜3の毛髪化粧料を調製した。
【0075】
実施例1.セットローション
【0076】
<ワックスパーツの製法>
(1)〜(4)を約95℃で攪拌混合し、透明性を帯びた後、氷冷し、ワックスの微細分散物を得た。
【0077】
【0078】
<乳化パーツの製法>
(1)〜(5)および(6)の一部をホモミキサーにより攪拌し、乳化を行った後、(6)の残部を加え、乳化組成物を得た。
【0079】
<セットローションの製法>
上記2つの組成物および(3)を下記の割合で混ぜ合わせ、シェイクタイプのセットローションを得た。
【0080】
【0081】
<ワックスパーツの製法>
(1)〜(4)を約95℃で攪拌混合し、透明性を帯びた後、氷冷し、ワックスの微細分散物を得た。
【0082】
【0083】
<乳化パーツの製法>
(1)〜(8)および(9)の一部をホモミキサーにより攪拌し、乳化を行った後、(9)の残部を加え、乳化組成物を得た。
【0084】
<スタイリングムースの製法>
上記2つの組成物および(3)〜(6)を下記の割合で混ぜ合わせ、ヘアムース原液を調製し、次いで、エアゾール容器に入れ、弁をし、(7)を充填し、スタイリングムース
【0085】
【0086】
<ワックスパーツの製法>
(1)〜(4)を約95℃で攪拌混合し、透明性を帯びた後、氷冷し、ワックスの微細分散物を得た。
【0087】
【0088】
<乳化パーツの製法>
(1)〜(5)および(6)の一部をホモミキサーにより攪拌し、乳化を行った後、(6)の残部を加え、乳化組成物を得た。
【0089】
<スタイリングジェルの製法>
上記2つの組成物および(3)〜(9)を下記の割合で混ぜ合わせ、スタイリングジェルを得た。
【0090】
【0091】
【0092】
<セットローションの製法>
(4)に(1)〜(3)を加えて均一に溶解する。これに、あらかじめ溶解していた水相部[(5)〜(7)の混合物]を加え、溶解する。
【0093】
【0094】
<スタイリングムースの製法>
(3)を(4)と(2)の溶解物に添加し、ホモミキサーで均一に乳化する。これを他の成分の溶液に添加し、ヘアムース原液を得た。充填は、エアゾール用缶に原液を充填し、バルブ装着後、ガスを充填する。
【0095】
【0096】
<スタイリングジェルの製法>
(1)を(3)と一部の(8)で分散する。他の成分を残部の(8)に溶解し、攪拌している(1)、(3)、(8)の混合物に添加する。
【0097】
このようにして得られた実施例品と比較品を試料として用い、「手のべたつき感」、「手ぐしの通りやすさ」、「なめらかさ」、「整髪力」について評価した。
評価方法は、前述の通りである。
結果を次に示す。
【0098】
【表9】
【0099】
上記結果より、ワックスの微細分散物と炭化水素油および/又はエステル油を配合した実施例1〜3の毛髪化粧料は手のべたつき感が少なく、手ぐしの通りやすさ、なめらかさ、整髪力にも優れていることがわかる。
これに対して、比較例1〜3の組成物は、ワックスが配合されておらず、いずれも本発明より整髪力がはるかに劣っていた。また、比較例1〜3の組成物は、手ぐしの通りやすさ、なめらかさの効果の長時間の維持ができないことがわかる。
【0100】
【発明の効果】
以上説明したように本発明にかかる水中油型毛髪化粧料は、ワックス微粒子と、炭化水素油/又はエステル油粒子が別々に存在し、ワックス/(炭化水素油および/またはエステル油)の配合重量比が0.1〜10であり、界面活性剤として両性界面活性剤および/又は半極性界面活性剤と、非イオン性界面活性剤を含むので、整髪力に優れるだけでなく、なめらかさ、べたつき感のなさ、くし通りのよさの使用感にも優れている。
【0101】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるワックスの微細分散物において、HLB9の非イオン性界面活性剤を用いた場合における、界面活性剤の組成とその量及び分散状態の関係を示す説明図である。
【図2】本発明にかかるワックスの微細分散物において、HLB13の非イオン性界面活性剤を用いた場合における、界面活性剤の組成とその量及び分散状態の関係を示す説明図である。
【図3】本発明にかかるワックスの微細分散物において、HLB12の非イオン性界面活性剤を用いた場合における、界面活性剤の組成とその量及び分散状態の関係を示す説明図である。
【図4】本発明にかかるワックスの微細分散物において、HLB15の非イオン性界面活性剤を用いた場合における、界面活性剤の組成とその量及び分散状態の関係を示す説明図である。
【図5】本発明における実施例、あるいは、比較例、試験例における組成物の整髪試験の方法を示したものである。
【図6】本発明の水中油型毛髪化粧料の構造および試験例の組成物の構造を示したものである。
Claims (7)
- 常温で固体ないし半固体のワックスを含む固体ないし半固体状のワックス微粒子と、常温で液体である炭化水素油および/又はエステル油を主成分とする油粒子と、が別個に水中に分散しており、
ワックス/(炭化水素油および/またはエステル油)の配合重量比が0.1〜10であり、
界面活性剤として両性界面活性剤および/又は半極性界面活性剤と、非イオン性界面活性剤を含むことを特徴とする水中油型毛髪化粧料。 - 請求項1記載の化粧料において、炭化水素油および/またはエステル油の配合量が組成物全体に対して、1〜50重量%であることを特徴とする水中油型毛髪化粧料。
- 請求項1又は2記載の化粧料において、高級脂肪酸を含むことを特徴とする水中油型毛髪化粧料。
- 請求項1〜3記載の化粧料において、ワックスの微細分散物と、炭化水素油および/又はエステル油の乳化組成物を別々に調製したものを混ぜ合わせ調製することを特徴とする水中油型毛髪化粧料の製造方法。
- 請求項4記載の化粧料の製造方法において、用いられるワックス微細分散物中の非イオン界面活性剤のHLBが6〜15であることを特徴とする水中油型毛髪化粧料の製造方法。
- 請求項4または5記載の化粧料の製造方法において、用いられるワックス微細分散物中の両性界面活性剤/(両性界面活性剤+非イオン界面活性剤)の配合重量比が0.03〜0.5であることを特徴とする水中油型毛髪化粧料の製造方法。
- 請求項4〜6のいずれかに記載の化粧料の製造方法において、用いられる乳化組成物に両性界面活性剤および/又は半極性界面活性剤と、高級脂肪酸とを混合して得られる複合体を配合することを特徴とする水中油型毛髪化粧料の製造方法。
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