JP4745581B2 - アルキレンジアミン三酢酸の製造方法 - Google Patents

アルキレンジアミン三酢酸の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はアルキレンジアミン三酢酸(誘導体)の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
エチレンジアミン三酢酸およびその塩などのアルキレンジアミン三酢酸(誘導体)は金属洗浄などのキレート化学の分野に用途がある。エチレンジアミン三酢酸の製造方法はEP0,546,867によって知られている。この引用文献に開示されている方法は、純エチレンジアミン−N,N−二酢酸から出発し、下記の4つのステップを含む。
(i) エチレンジアミン二酢酸またはその塩、好ましくはナトリウム塩、をホルムアルデヒドと接触させ、
(ii) 生成物をシアニド源と反応させてモノニトリル二酸を生成させ、
(iii) ステップ(ii)の生成物を加水分解し、必要であれば生成したモノアミド二酢酸をケトピペラジン二酸へと環化させ、
(iv) 生成したケトピペラジン二酢酸をアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、好ましくは水酸化ナトリウムと反応させてエチレンジアミン三酢酸を得る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち引用文献の方法は4つの別個の工程を含んでいる。本発明の目的は工程数を減らすことにある。
【0004】
さらに、この方法の出発物質エチレンジアミン二酢酸は合成が困難で、したがって高価である。より具体的には、エチレンジアミン二酢酸の合成は2つの工程を必要とする。すなわち、エチレンジアミン二酢酸はエチレンジアミンをホルムアルデヒドおよびシアニドと反応させ、生成したニトリルを引き続き鹸化することにより、またはエチレンジアミンをグリコニトリル(HO-CH2-CN)と反応させ、生成したニトリルを鹸化することによって合成される。注目すべきことは、これらの反応のいずれか1つを単一の工程で行うと、エチレンジアミン一酢酸、エチレンジアミン二酢酸、およびエチレンジアミン三酢酸の混合物が得られることである。したがって、上記の方法の出発物質として必要とされるような純エチレンジアミン二酢酸を得るには、2工程法が必須である。このことにより、この出発物質の合成が非常に複雑になる。したがって、本発明のさらなる目的は、廉価で合成しやすい出発物質を用いることができる方法を採用することにある。
【0005】
最後に、本発明の目的は、アルキレンジアミン三酢酸を高純度で製造することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
驚くべきことに、上記の全ての目的が、アルキレンジアミン(誘導体)のアルキレンジアミン三酢酸(誘導体)への転化を含み、反応を多価金属イオンMa+の存在下に行い、反応原料のいずれかがニトリルまたはアミド基を含むかまたは形成する場合には全反応を加水分解条件下で行う方法によって達成されることが分かった。
【0007】
特に、多価金属イオンの存在下にアルキレンジアミン(誘導体)をアルキレンジアミン三酢酸(誘導体)に変換させると、所望のアルキレンジアミン三酢酸(誘導体)が高純度で得られ、一方同じ方法において多価金属イオンの代わりに一価金属イオンを用いるとアルキレンジアミン二酢酸、アルキレンジアミン三酢酸、およびアルキレンジアミン四酢酸(誘導体)の混合物が得られることが分かった。この場合、アルキレンジアミン三酢酸またはその誘導体を高純度で得るには、さらに精製工程が必要になる。
【0008】
本発明の方法では、アルキレンジアミンから出発する単一の工程でアルキレンジアミン三酢酸(誘導体)の塩を生成させることができる。その結果、工程数をかなり減らすことができ、上記の引用文献の方法で用いられるエチレンジアミン二酢酸よりかなり廉価な出発物質、すなわちアルキレンジアミンを用いることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明をさらに詳しく述べる。便宜上、下記の記号を用いる。
ADA: アルキレンジアミン
AD1A: アルキレンジアミン一酢酸
AD2A: アルキレンジアミン二酢酸
AD3A: アルキレンジアミン三酢酸
AD4A: アルキレンジアミン四酢酸
EDA: エチレンジアミン
ED1A: エチレンジアミン一酢酸
ED2A: エチレンジアミン二酢酸
ED3A: エチレンジアミン三酢酸
ED4A: エチレンジアミン四酢酸
【0010】
本発明は、式
Figure 0004745581
(ここでBは置換されているまたは置換されていないアルキレン橋から選択され、RはHまたは-CH2-COOH(の塩)、-CH2CN、あるいは-CH2-CONH2から独立に選択される)のアルキレンジアミン(誘導体)を、式
Figure 0004745581
のアルキレンジアミン三酢酸(誘導体)の塩へ転化することを含むアルキレンジアミン三酢酸(誘導体)の製造方法において、反応が多価金属イオンMa+の存在下に行われ、反応原料のいずれかがニトリルまたはアミド基を含むかまたは生成する場合には全反応が加水分解条件下で行われることを特徴とする方法に関する。
【0011】
出発物質ADA(誘導体)におけるアルキレン橋Bは置換されていないまたは置換されているエチレンまたはプロピレン橋であるのが好ましい。この橋が置換されている場合、一般にこの橋懸け炭素原子の一つ以上が独立にC1-C6アルキル基、好ましくはC1-C4アルキル基で置換されていてもよい。この橋が置換されてい無い事が好ましく、好ましくはBは-CH2-CH2-または-CH2-CH2-CH2-であり、より好ましくはBは-CH2-CH2-である。すなわち、好ましいADA(誘導体)はEDA(誘導体)である。RはHまたはCH2COOHあるいはその両者であることが好ましく、Hであることが最も好ましい。したがってEDA(誘導体)はED2A、ED1A、およびEDA(の塩)を含むのが好ましく、ED1AおよびEDA(の塩)を含むのがさらに好ましく、ED1AおよびEDA(の塩)若しくはその両者を本質的に含むのがより一層好ましく、EDA(塩)を含むのがさらに一層好ましく、EDA(の塩)を本質的に含むのが最も好ましい。
【0012】
本発明の方法の生成物はAD3A(誘導体)の塩である。この塩は、負に荷電したAD3A(誘導体)および正に荷電した多価金属イオンから少なくとも部分的に成る。もちろん、反応中に別のカチオンが存在すれば、この塩は該錯体と別にこれらのカチオンをさらに含むことができる。しかし、反応中に生成するAD3A(誘導体)の少なくとも一部、好ましくは全てが直ちに多価金属イオンと錯体を作ることが本発明の方法にとって必須である。理論に束縛されることは望まないが、出願人は、この錯体の生成の故に、AD3A(誘導体)中に残っている第二のNH基がブロックされると考えている。その結果、このNH基はN-CH2-COOHに転化できず、したがってAD4A(誘導体)の生成が避けられる。すなわち、本発明の方法はAD3A(誘導体)を高純度で製造することを可能にする。同じ反応条件下で多価金属イオンの代わりにナトリウムなどの一価金属イオンを用いると、AD3Aと別にAD4Aが生成することが見出された。やはり理論に束縛されることは望まないが、一価金属イオンは、残っているNH基がブロックされているところの錯体を形成することができないと出願人は考えている。以下にこれを模式的に示す。
Figure 0004745581
【0013】
多価金属イオンの存在とは別に、反応原料のいずれかがニトリルまたはアミド基を含むかまたは生成する場合には全反応を加水分解条件で行うことが本発明の方法にとって重要である。本発明でいう「加水分解条件」は、反応条件が、反応混合物に添加されたまたは反応中に生成したニトリルまたはアミド基あるいはその両者が直ちにカルボン酸基またはその塩に転化されるような条件であることを意味する。一般にこのような加水分解条件は、全反応中にpHが9より上、好ましくは10より上、より好ましくは11より上、最も好ましくは12より上であるように選択されるときに存在する。適するpH値は、塩基を加える事によって得る事が出来る。好適な塩基はたとえば、多価金属イオン自体の水酸化物またはアルカリ金属水酸化物である。
【0014】
反応中にニトリルまたはアミドが存在するならば、これらの基の加水分解によってアンモニアが生成する。したがって、少なくとも反応原料がニトリルまたはアミドを含むかまたは生成するときには、反応条件は、アンモニアが反応混合物から分離し除去できるように選択されることが好ましい。反応中に大気圧が適用されるときには、温度はたとえば25℃と反応混合物の沸点との間、好ましくは50℃と反応混合物の沸点との間、より好ましくは70℃と反応混合物の沸点との間に選択することができ、最も好ましくは100-110℃の範囲である。あるいは、より低い圧が適用されるならば、より低い温度が可能である。
【0015】
ADA(誘導体)からAD3A(誘導体)への転化は単一の工程で行うのが好ましく、これは反応中に明確な単離可能な中間体が生成されないことを意味する。反応はワンポットプロセスで行うのが最も好ましい。
【0016】
本発明の方法は、ADA(誘導体)と一緒にされてAD3A(誘導体)の塩を生成する何らかの特定の反応原料に限定されない。
【0017】
一つの実施態様において、ADA(誘導体)は、加水分解条件下で多価金属イオンMa+の存在下にホルムアルデヒドおよびシアニド源と反応させられる。
【0018】
好適なホルムアルデヒド源は、たとえばホルムアルデヒドまたはパラホルムアルデヒドである。好適なシアニド源には、気体状シアン化水素、シアン化水素水溶液、およびシアニド塩、たとえばシアン化ナトリウム、シアン化カリウムなどのアルカリ金属シアニドおよびその水溶液、またはシアン化カルシウムなどの多価金属イオンとシアニドとの塩がある。あるいは、結合したホルムアルデヒドおよびシアニド源、すなわち反応条件下でホルムアルデヒドとシアニド源に転化する分子を用いることもできる。このような結合したホルムアルデヒドおよびシアニド源は、たとえばグリコニトリルである。
【0019】
上述のように、この実施態様において加水分解条件下に反応を行うことが重要である。全反応工程中、pHは少なくとも9であることが好ましく、少なくとも10であることがより好ましく、少なくとも12であることが最も好ましい。
【0020】
理論に束縛されることは望まないが、非加水分解条件では、遊離の酸基の代わりにニトリルまたはアミド基を含む反応性NH含有AD3A誘導体の生成が起こると出願人は考えている。さらに、このようなAD3A誘導体は、多価金属イオンとの錯体の生成を許さないと考えられる。すなわち、反応性NH基はブロックされず、AD4A(誘導体)の生成が起こるであろう。非加水分解条件が用いられる場合と反対に、加水分解条件では、三つのカルボン酸基を有する本発明のAD3A(誘導体)が生成する。既に述べたように、このAD3A(誘導体)は多価金属と錯体を生成し、従って反応性のNH基をブロックしてAD4A(誘導体)が生成しないようにすると考えられる。このことを下に模式的に示す。
Figure 0004745581
Figure 0004745581
【0021】
ところで、EP 0 546 867において、第一段階でモノニトリル二酸が生成し、次いでこのモノニトリル化合物が部分的に加水分解されてアミドになり、ケトピペラジン二酢酸
Figure 0004745581
を生成する(これは単離され、最後に加水分解してED3Aとする)ような反応条件を選択することによって反応性のNH基をブロックしていることが注目される。その結果、第一段階ではニトリル基はそのまま残り、したがって加水分解が起こらず、第二段階でニトリル基がアミドに部分的に加水分解され、第三段階でこれが完全に加水分解される。これは、いくつかの別個の工程からなり、各工程は非常に特定のpHで行われる、非常に複雑な方法である。これと反対に、本発明の方法では全反応の間、反応中に存在するニトリルまたはアミド基あるいはその両者が直ちに完全に加水分解されるような高いpHが選択される。すなわち、全体プロセスの制御および特にpH制御は、EP 0 546 867におけるより遥かに単純である。さらに、本発明の方法を用いれば反応が1工程で終了する。本発明の全反応が加水分解条件下でAD4A(誘導体)を生成することなく行えるという事実が、多価金属イオンの存在によるということに再び注目すべきである。
【0022】
ニトリル基の加水分解により、反応中にアンモニアが生成する。したがって、上述のように、大気圧が適用されるときには、反応温度は、好ましくは25℃と反応混合物の沸点との間、より好ましくは50℃と反応混合物の沸点との間、さらにより好ましくは70℃と反応混合物の沸点との間に選択することができ、最も好ましくは100-110℃の範囲である。低い圧においては低い温度が適用可能である。
【0023】
本発明の上記の実施態様をAD3Aの出発物質としてのEDA、ED1A、およびED2Aについて模式的に以下に例示する。
Figure 0004745581
Figure 0004745581
Figure 0004745581
【0024】
好ましくは、反応原料を化学量論量の±10%で用いるのがよく、より好ましくは±5%で用いるのがよい。最も好ましくは化学量論量の反応原料を用いるのがよい。上に示した反応では、このことは、EDA 1モルに付き各3モルのホルムアルデヒドとシアニド源を用い(反応I)、ED1A 1モルに付き各2モルのホルムアルデヒドとシアニド源を用い(反応II)、ED2A 1モルに付き各1モルのホルムアルデヒドとシアニド源を用いる(反応III)のが最も好ましいということを意味する。
【0025】
一般に、本実施態様において全ての可能な添加順序を用いることができる。好ましくは、ホルムアルデヒドおよびシアニド源を同時にADA(誘導体)に添加するのがよい。最も好ましくは、どの時点においても同じモル数のホルムアルデヒドとシアニドが反応混合物に入るようにホルムアルデヒドとシアニド源を添加するのがよい。
【0026】
『本発明の別の実施態様においては、多価金属イオンMa+の存在下にADA(誘導体)を、活性化されたα−C原子を含む酢酸誘導体たとえばCHX−COOH(の塩)、CHX−CN、CHX−CONH(ここでXはハロゲン原子である)またはそれらの混合物の群から選択される化合物と反応させる。』
【0027】
XはCl、Br、およびIの群から選択されるのが好ましく、Br、およびIの群から選択されるのがより好ましく、Clであるのが最も好ましい。
【0028】
酢酸誘導体はCH2X-COOHを含むのがより好ましく、これを主として含むのが最も好ましい。酢酸誘導体はモノクロロ酢酸(溺CA であるのが最も好ましい。既に前述したように、ADA(誘導体)の置換基Rは-CH2COOH部分を含むのが好ましく、これからなるのがより好ましい。この場合、全ての反応原料が遊離の酸基を専ら含み、そして反応中に加水分解条件を用いることは必要でない。この場合のpHは一般に重要でなく、好ましくは6より上、より好ましくは7より上がよい。さらに、この場合は反応中にアンモニアが生成しないので、温度は最初に述べた実施態様におけるほど重要でない。温度は一般に5℃と反応混合物の沸点との間、好ましくは10℃と反応混合物の沸点との間、最も好ましくは25℃と反応混合物の沸点との間がよい。
【0029】
ADA(誘導体)または酢酸誘導体がニトリルまたはアミド基あるいはその両者を含むときは、始めの実施態様で上述したのと同じ理由で反応を加水分解条件下で行わなければならない。この場合、全反応工程中にpHは一般に少なくとも9、好ましくは少なくとも10、最も好ましくは少なくとも12であるように選択される。さらに、大気圧が適用される場合には、反応温度は好ましくは25℃と反応混合物の沸点との間、より好ましくは50℃と反応混合物の沸点との間、さらにより好ましくは70℃と反応混合物の沸点との間に選択することができ、最も好ましくは100-110℃の範囲である。低い反応圧力では低い温度を適用できる。
【0030】
第1の実施態様におけるように、反応は多価金属イオンとAD3A(誘導体)との錯体に直接進む。したがって、第2の実施態様においても、中間体の単離を必要とすることなく単一工程で反応を行うことができる。
【0031】
第2の実施態様をEDA、ED1A、およびED2Aを出発物質として以下に例示する。
Figure 0004745581
Figure 0004745581
Figure 0004745581
【0032】
好ましくは、反応原料は化学量論量の±10%の量で用いるのがよく、より好ましくは±5%で用いるのがよい。最も好ましくは、化学量論量を用いるのがよい。上に示した反応に付いては、このことは、EDA 1モルに付き3モルのモノクロロ酢酸を用い(反応I)、ED1A 1モルに付き2モルのモノクロロ酢酸を用い(反応II)、ED2A 1モルに付き1モルのモノクロロ酢酸を用いる(反応III)のが最も好ましいということを意味する。
【0033】
本発明の方法において、多価金属イオンは、ADA(誘導体)へのさらなる反応原料の添加の前または添加中に多価金属源の形で添加される。
【0034】
多価金属源は、金属として計算しかつ反応混合物中に存在するADA(誘導体)のモル量に基づいて少なくとも60モル%の量で加えるのが好ましく、少なくとも80モル%加えるのがより好ましく、少なくとも100モル%加えるのが最も好ましい。一般に、多価金属のモル量は、金属として計算しかつ反応混合物中に存在するADA(誘導体)のモル量に基づいて400モル%未満、より好ましくは300モル%未満、最も好ましくは200モル%未満がよい。
【0035】
もちろん、より少ないモル量の多価金属源を用いることもできる。しかしこの場合、得られたAD3A(誘導体)の一部のみが多価金属と錯体を形成し、錯体を形成しなかった部分は少なくとも部分的にAD4A(誘導体)に転化するであろう。するとAD3A(誘導体)に関するプロセスの選択性は低下する。
【0036】
多価金属源は、好ましくは水に少なくとも部分的に可溶、最も好ましくは完全に水溶性である多価金属塩であることが好ましい。本発明にいう「水に少なくとも部分的に可溶」とは、少なくとも0.01 g、好ましくは少なくとも0.05 g、より好ましくは少なくとも0.1 gの塩が100 mlの水に室温で溶解することを意味する。水に部分的に可溶な多価金属塩の一例はアルカリ土類金属水酸化物である。この水酸化物の利点は、同時に多価金属源およびpH調整剤として用いることができることである。多価金属源は多価金属とADA(誘導体)との塩、多価金属とシアニドとの塩、または多価金属と酢酸誘導体との塩であってもよい。塩のアニオン部分は、硝酸またはハロゲンアニオンなどの無機アニオンを含むのが好ましく、本質的にこれらの無機アニオンであることがより好ましく、塩素アニオンであることが最も好ましい。
【0037】
多価金属源に含まれる多価金属は、3価または2価の金属あるいはその両者から選択されるのが好ましい。好適な3価金属はアルミニウムである。より好ましくは、多価金属は、2価金属例えばアルカリ土類金属または遷移金属、たとえばMn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Zn2+、またはCu2+ を本質的に含む。さらにより好ましくは、多価金属はカルシウム、マグネシウム、バリウムなどのアルカリ土類金属を含むのが好ましく、本質的にこれよりなるのがさらに好ましい。最も好ましくは、多価金属は主としてカルシウムである。好適なカルシウム源は水酸化カルシウム、塩化カルシウム、および硝酸カルシウムなどである。
【0038】
所望により本方法はアルキレンジアミン三酢酸(誘導体)の生成に引き続き、多価金属イオンを除去するさらなる工程を含むことができる。これは、多価金属イオンを沈殿させるなどの通常の方法で行うことができる。沈殿はpHの調整、多価金属との沈殿物を作るアニオンの添加、またはその両者などによって起こすことができる。沈殿を起こすに好適なpH、温度条件、またはアニオンは当業者にとって既知である。たとえば、pH調整による沈殿はpHを8より上、より好ましくは10以より上にすることによって行うことができる。アニオン添加による沈殿は、カルシウムイオンが多価金属として用いられるときは、たとえば硫酸、炭酸、燐酸、またはフッ素イオンの添加によって行うことができる。沈殿した多価金属イオンは濾過などの通常の方法で除去することができる。多価金属イオンの除去の後、AD3A(誘導体)は完全プロトン化(酢酸基3つ)、部分プロトン化(酢酸基2つまたは1つ)、または完全脱プロトン化した形で単離することができる。さらに、所望であれば、得られたAD3Aは環化してもよい。好適な環化条件は当業者に既知である。通常、5~120℃の温度範囲で、pHを13より下、好ましくは12より下、より好ましくは4より下、最も好ましくは2より下にする。
【0039】
【実施例】
以下の実施例により本発明をさらに説明する。
【0040】
実施例1
6リットルのガラス反応器中で、567 g(6.0モル)のモノクロロ酢酸(アクゾノーベル社)を1800 gの脱イオン水に溶解し、この溶液に298 g(4.0モル)の水酸化カルシウム(ベーカー社)を加えた。pHは1.0から11.7に上がった。次にEDA(120 g、2.0モル)(アクゾノーベル社)を10分間で加えた。温度は、さらに加熱することなく約50℃に保たれた。1時間後、温度を70℃に上げ、得られた混合物を5.5時間反応させた。全反応を通じて、水酸化カルシウムの添加によりpHを7.5~8.0で一定に保った。反応の終わりまでに 合計414 g(5.6モル)の水酸化カルシウムを加えた。反応混合物を、ハイフロー(hyflo)フィルター補助物を有するグラスフィルター上でを用いて熱濾過して、過剰の水酸化カルシウムを除去した。濾液を室温に放冷した。一夜後、沈殿が生成していた。濾過により 447 gのED3Aカルシウム塩が得られた。これは始めに用いたEDA量に対する計算で、87%の収率に相当する。
【0041】
ED3Aよりのカルシウムの除去
上記の生成物 446 gを500 gの水と攪拌した。次に、555 gの50%水酸化ナトリウム(6.9モル)を加え、水酸化カルシウムの沈殿を生成した。沈殿した水酸化カルシウムを、ハイフロー(hyflo)フィルター補助物を用いて圧力濾過器上で濾過し去った。濾液から水を蒸発させ、得られた濾液を減圧オーブン中で乾燥した。
【0042】
実施例2
1リットルのSUS反応器に60.2 gのEDA(1.0モル)(アクゾノーベル社)、222.4 gの水酸化カルシウム(3モル)(ベーカー社)および700 gの水を装填した。80℃で81 gのシアン化水素(3モル)(アクゾノーベル社)および199.1 gの44.2%ホルムアルデヒド溶液(3.0モル)(アクゾノーベル社)を同時に3時間で加えた。始めの1時間の後、反応温度を上げて沸騰させた。添加終了後、さらに1時間混合物を沸騰させ、そして80℃に冷却した。添加および反応の間、pHは添加始めの11.0から反応終了時の10.0に変化した。得られた反応混合物を、ハイフロー濾過助剤を用いて濾過して、過剰の水酸化カルシウムを除去した。次に、濾液を硫酸でpH7.6に中和し、種を加えた。濾過および乾燥により、始めに加えたEDAの量に基づく計算で69.7%のED3Aを含む78.4 gの褐色の生成物を得た。母液はさらに、始めに加えたEDAの量に基づく計算で14.5%のED3Aを含んでいた。
【0043】
実施例3
1リットルのガラス反応器中で、115 g(1.21モル)のモノクロロ酢酸(アクゾノーベル社)を420 gの脱イオン水に溶解し、この溶液に62.4 g(0.84モル)の水酸化カルシウム(ベーカー社)を加えた。pHは1.1から11.2に上昇した。次にPDA(プロピレン−1,3−ジアミン)(31.1 g、0.42モル)(アクゾノーベル社)を10分間で加えた。温度はさらに加熱することなく約50℃に留まった。1時間後、温度を70℃に上げ、得られた混合物を5.5時間反応させた。全反応を通じて、水酸化カルシウムの添加によりpHを7.5~8.0で一定に保った。反応の終わりまでに 合計25 g(0.34モル)の水酸化カルシウムを加えた。反応混合物をグラスフィルター上でハイフロー濾過助剤を用いて熱濾過して、過剰の水酸化カルシウムを除去した。反応混合物はPD3A(始めに加えたPDAに対して50.6モル%)、PD4A(18モル%)およびPD2A(23モル%)を含む。
【0044】
比較例
1リットルのSUS反応器に60.2 gのEDA(1.0モル)(アクゾノーベル社)および600 gの水を装填した。90℃で28.4重量%のシアン化ナトリウム水溶液522.5 g(3モル)(アクゾノーベル社)および44.2重量の%ホルムアルデヒド溶液203.7 g(3.0モル)(アクゾノーベル社)を同時に3時間で加えた。始めの1時間の後、反応温度を上げて沸騰させた。添加終了後、さらに1時間混合物を沸騰させ、その後室温に冷却した。830 gの反応混合物は6.0%のNa2ED2A(22モル%)、18.9%のNa3ED3A(51モル%)、および10.7%のEDTA(23モル%)を含んでいた。このことはED2A、ED3AおよびED4Aがそれらの反応性に従う範囲で存在し、反応がED3Aの段階で停止しないことを示す。

Claims (10)


  1. Figure 0004745581
    (ここでBは置換されているまたは置換されていないアルキレン橋から選択され、RはHまたは−CH−COOH(の塩)、−CHCN、あるいは−CH−CONHから独立に選択される)のアルキレンジアミン(誘導体)を、式
    Figure 0004745581
    のアルキレンジアミン三酢酸(誘導体)の塩へ転化することを含むアルキレンジアミン三酢酸(誘導体)の製造方法において、前記アルキレンジアミン(誘導体)を、加水分解条件下でホルムアルデヒドおよびシアニド源と反応させるか、または、活性化されたα−C原子を含む酢酸誘導体と反応させ、この反応が多価金属イオンの存在下に行われ、反応原料のいずれかがニトリルまたはアミド基を含むかまたは生成する場合には全反応が加水分解条件下で行われることを特徴とする方法。
  2. Bが、置換されていないまたは置換されているエチレンまたはプロピレン基である、請求項1に従う方法。
  3. Bが、エチレン基である、請求項1または2に従う方法。
  4. アルキレンジアミン(誘導体)を多価金属イオンの存在下、加水分解条件下で、ホルムアルデヒドおよびシアニド源と反応させる、請求項1ないし3のいずれか1つに従う方法。
  5. アルキレンジアミン(誘導体)を、CHXCOOH(の塩)、CHX−CN、CHX−CONH (ここでXはハロゲン原子である)、またはこれらの混合物から選択される化合物と反応させる、請求項1ないし3のいずれか1つに従う方法。
  6. 多価金属イオンが2価金属イオンである、請求項1ないし5のいずれか1つに従う方法。
  7. 2価金属が第II族金属である、請求項6に従う方法。
  8. 多価金属イオンを少なくとも一部水に可溶な金属塩の形でアルキレンジアミン(誘導体)に加える、請求項1ないし7のいずれか1つに従う方法。
  9. 多価金属イオンを、本方法に用いるアルキレンジアミン(誘導体)の量に対し少なくとも等モル量で加える、請求項1ないし8のいずれか1つに従う方法。
  10. アルキレンジアミン三酢酸(誘導体)の塩の生成に引き続いて多価金属イオンを除去する工程をさらに含む、請求項1ないし9のいずれか1つに従う方法。
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