JP4744938B2 - プリント配線基板用金属材料 - Google Patents
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しかしながら、半導体材料の著しい発達に伴って電気・電子部品は、より一層の小型化・高密度実装化が要求されるようになり、前記受動部品の小型化等ではその要求を満足することが出来なくなっていた。
この部品内蔵化の技術に関しては、例えば、プリント配線基板にキャパシタを設ける方法として、チップコンデンサ等の外部キャパシタをプリント配線基板に取り付ける方法の他、高誘電率材料をプリント配線板の内層に用いてプリント配線基板自体にキャパシタの機能を持たせる方法が知られている。近年の電子製品の小型化を考慮すると、高誘電率材料を内層に用いてキャパシタにする後者の方法が望ましい。
この方法においては、電極を形成する際に銅箔の平滑性がそのまま、キャパシタの品質に影響するので、銅箔の平滑性が問題となる。
最近では銅箔表面に平坦性を要求されるようになっており、電着粒を細かくする添加剤を電解めっき液中に添加して、平滑なめっきを成長させて電解めっき液側の表面を光沢面として使用する電解銅箔も使用されている。しかし、その表面粗さは通常電解銅箔よりは平滑であるが圧延銅箔に比較するとまだ粗いのが一般的である。
銅箔表面にキャパシタ機能を付与するために、誘電体を含有した樹脂等を硬化させるときや、誘電体をスパッタ等で形成させる時にその温度で軟化してしまうと、銅箔が変形することがあるため好ましくない。樹脂の硬化温度は樹脂種類で異なるが、使用時の耐熱性を考えた場合、高温で硬化する樹脂が望ましく、300℃〜400℃の高温で処理することが多くなっている。タフピッチ銅等の圧延銅箔では、この温度に耐えられずに変形してしまう。
これを防止するためには、窒素やアルゴンといった不活性ガス中で加熱する必要があり、設備投資が大きくなる欠点があった。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(2)光沢面にNiもしくはNi合金めっきを施し、その表面の60度鏡面光沢度が40%以上であることを特徴とする上記(1)に記載のプリント配線基板用金属材料。
(3)光沢面に施したNiもしくはNi合金めっきの60度鏡面光沢度が50%以上であることを特徴とする上記(1)に記載のプリント配線基板用金属材料。
(5)NiもしくはNi合金めっきの前に、銅合金箔の表面に光沢銅めっきを施して平滑としたことを特徴とする上記(1)〜(3)に記載のプリント配線基板用金属材料
(7)銅合金箔の化学組成が、0.02〜0.4質量%のCrおよび0.01〜0.25質量%のZr、残部がCuおよび不可避的不純物であることを特徴とする上記(1)〜(5)に記載のプリント配線基板用金属材料。
(1)表面光沢度について
プリント配線基板に用いられる合金箔は、一方の面に粗化めっきが施され、樹脂と密着させる。もう一方の面には、たとえば、受動部品内蔵基板の場合には、キャパシタやインダクタンス、抵抗等を実装される。
特に、キャパシタを表面に実装するためには銅合金箔の面に平滑性を要求させる。箔の表面粗さが粗い場合には、キャパシタの電極を実装する際に表面の粗さの影響を受け、キャパシタの重要な特性である電極間の安定した間隔が確保できないからである。従って、キャパシタ等を実装する銅合金箔の片面は、光沢面に仕上る必要がある。
光沢銅めっきは、特開平5−29740に示されるように電解銅箔では表面粗さを細かくするために広く使用されている。また、それ以外にも装飾品や印刷用ドラムへのめっきに用いられている。おおむねはめっき液に添加剤を加えて電着粒を細かくする方法がとられている。しかし、電解銅箔に光沢銅めっきを施して平滑化しても、元々のドラム粗さに起因する大きな表面のうねりを解消するためには極端に厚いめっき厚が必要になるため、現実的ではない。一方、圧延箔の表面に光沢銅めっきを施した場合、元々平滑な表面にめっきするため、比較的薄いめっき厚で所望の光沢をもつ表面が得られる利点がある。
合金箔にNiもしくはNi合金めっきを施すことで、高温での光沢面のCu酸化を防止することができる。
光沢面が酸化するとキャパシタや抵抗層の実装に悪影響を及ぼすためである。
さらに、実装に当たっては、表面の平滑性が要求されるため、Niめっきは光沢Niめっきを用いることがより好ましい。すなわち、圧延箔に光沢Niめっきを使うことで、表面の光沢度がJIS−Z 8741に示される60度鏡面光沢度が40%を超えることが容易になり、キャパシタや抵抗といった搭載部品の歩留が向上する。
ここで、Ni合金めっき、例えばNi−PやNi−Coといった合金めっきを適用することも可能である。ただし、光沢を制御する方法や、組成を安定させる方法が単純なNiめっきに比較すると難しい。
金属箔は、樹脂を硬化させたり、キャパシタとしての酸化物を焼成したりするため、300℃〜400℃の高温の環境にさられるので、300℃で軟化しないことが条件となる。ここで軟化とは、加熱により加熱前の引張り強度の60%以下に低下することとする。
本発明では、300℃で1時間加熱しても軟化しない圧延銅合金箔を規定する。具体的には以下に示す。
Snを添加することによりCuの耐熱性が向上する。その効果として,300℃で1時間加熱した際の引張り強さの低下量が小さくなり,0.05質量%以上のSn添加で350MPa以上の引張強さを保つことが可能となる。この引張り強さのレベルは,Agを添加する場合(特開2003−96526)よりも50MPa以上も高い。上述した圧延上がりの強度の改善効果をも考慮すると,好ましいSn添加量は0.05質量%以上であり,Snの上限値は目標とする導電率より0.25%以下と決定される。
この銅合金の不純物はOが60ppm以下、Sが10ppm以下、Bi、Pb、Sb、Se、As、FeおよびTeの合計濃度が10ppm以下であることが望ましい。
銅に0.02%〜0.4質量%のCr及び0.01〜0.25質量%のZrを添加した銅合金であり、残部が銅および不可避的不純物である合金の場合、さらに耐熱性が向上し、350℃で1時間加熱後でも引張強さの低下がほとんど無い。
更にZn、Fe、Ni、Ti、Sn、Si、Mn、P、Mg、Co、Te、Al、B、In、AgおよびHf等の元素を1種以上総量で0.005質量%〜1.5質量%を含有させると、さらに強度を向上することが可能であり、強度を必要とする場合にはより有利である。また耐熱性にも悪影響が無いのでこれら第三元素の添加を除外するものではない。
また、発明例No.12,13について表3に示す光沢銅めっき液を用い、アルカリ脱脂、硫酸酸洗の後、温度40℃において電流密度6A/dm2で表6に示す片面の厚みの光沢銅めっきを施して、平滑化した。
○:加熱(300℃×1h)による変形無し
◎:より高温(350℃×1h)による変形無し
部品性能 ×:歩留60%以下
△:歩留60〜80%
○:歩留80〜90%
◎:歩留90%以上
発明例No.9は請求項7を満たす組成の合金箔であり、さらに高温の処理にも耐えられるものであった。
発明例No.11はNiめっきの代わりにNi−Pめっきを用いたものであるが、耐熱性、60度鏡面光沢度ともに請求の範囲内であるため、良好な結果を得た。
発明例No.12、13は光沢Cuめっきを施した後にNiめっきを施したものであるが、60度鏡面光沢度が請求の範囲にあるため、良好な結果を得た。さらに発明例No.13は光沢Cuめっきの厚さを厚くすることで、60度鏡面光沢度が50%以上であることより、発明例No.12よりも良好であった。
発明例No.14の特殊圧延箔とは、最終冷間圧延の最終パスの条件を調整して60度鏡面光沢度を向上したものであり、耐熱性、60度鏡面光沢度ともに請求の範囲内であるため、良好な結果を得た。
また、比較例No.2はタフピッチ銅による圧延銅箔であるが、Niめっきのみであるため、60度鏡面光沢度が満たさず、300℃で1時間加熱した時、軟化し、本用途に適さない。
比較例No.3は請求項6を満たす組成の合金であるが、Niめっきを施していないため、部品搭載時に銅の酸化が発生し、部品性能を満たすことができなかった。
比較例No.4〜5は請求項6を満たす組成の合金箔であるが、鏡面光沢度が請求項を満たしていないため、部品性能が低かった。
Claims (6)
- 300℃で1時間加熱しても引張り強度が加熱前の60%以下に低下しない銅合金箔の少なくとも一方の面にNiもしくはNi合金めっきを施し、該めっき表面の60度鏡面光沢度が40%以上であることを特徴とするプリント配線基板用金属材料。
- 前記NiもしくはNi合金めっき表面の60度鏡面光沢度が50%以上であることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線基板用金属材料。
- NiもしくはNi合金めっきの前に、銅合金箔の表面を化学研磨で平滑としたことを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載のプリント配線基板用金属材料。
- NiもしくはNi合金めっきの前に、銅合金箔の表面に光沢銅めっきを施して平滑としたことを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載のプリント配線基板用金属材料。
- 銅合金箔の化学組成が、0.05〜0.25質量%のSn残部Cuおよび不可避的不純物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のプリント配線基板用金属材料。
- 銅合金箔の化学組成が、0.02〜0.4質量%のCrおよび0.01〜0.25質量%のZr、残部がCuおよび不可避的不純物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のプリント配線基板用金属材料。
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