JP4743898B2 - タービンエンジンのエピサイクリック歯車機構、タービンエンジンおよびエピサイクリック歯車機構の組立方法 - Google Patents

Description

本発明は、ガスタービンエンジンのエピサイクリック歯車機構（ｅｐｉｃｙｃｌｉｃ ｇｅａｒ ｔｒａｉｎ）で使用する内歯歯車に関する。

ガスタービンエンジンは通常、ターボファンを駆動するのに使用されるエンジンのタービン部分に連結されたエピサイクリック歯車機構を使用する。典型的なエピサイクリック歯車機構では、太陽歯車がコンプレッサシャフトを介してタービンシャフトから回転入力の供給を受ける。キャリアは、太陽歯車を囲んでこれとかみ合う中間歯車を支持する。内歯歯車（リングギア）は中間歯車を囲んでこれとかみ合う。キャリアが回転に抗して固定される構成では、中間歯車は「星」歯車と呼ばれ、内歯歯車は、ターボファンを支持する出力シャフトに連結される。

通常、内歯歯車は、スプラインリングを使用してターボファンシャフトに連結される。スプラインリングは、円周方向に配置されたボルトを使用してターボファンシャフトのフランジに固定される。スプラインリングは、内歯歯車のスプライン付き外周面を支持するフランジに対向するスプラインを有する。内歯歯車は通常、向かい合った方向を向いた歯を設けた第１および第２の部分を有し、この歯は、対向する相補的な星歯車の歯とかみ合う。

エピサイクリック歯車機構は、システム内の歯車間で負荷を分担しなければならない。結果として、内歯歯車とスプラインリングとの間のスプライン連結部は、大きな負荷を受けゆがみが生じ摩耗する。スプライン連結部は半径方向のすき間を必要とするので、ターボファンアセンブリを連続的にバランスさせるのは困難である。さらに、時間がたつにつれてスプラインの摩耗とともにバランスが崩れる可能性がある。

ガスタービンエンジンは、ターボファンを駆動するエピサイクリック歯車機構を有する。エピサイクリック歯車機構は、タービンエンジンのハウジングに対して固定されたキャリアを有する。キャリアは、入力シャフトに連結した太陽歯車とかみ合う星歯車を支持する。２部品構成の内歯歯車は星歯車を囲み、これとかみ合う。内歯歯車は、円周方向に配置したボルトを使用して、ターボファンシャフトに直接固定される第１および第２の部分を有する。内歯歯車およびターボファンシャフトは、互いに高い信頼性で回転バランスさせる。第１および第２の部分は、所望の剛性と転倒モーメント（ｏｖｅｒｔｕｒｎｉｎｇ ｍｏｍｅｎｔ）に対する抵抗性とを付与する形状とされる。

第１および第２の部分とターボファンシャフトは、互いにボルトによって固定された、半径方向外側に延びるフランジを有し、そのボルトは、ターボファンと内歯歯車を互いに対して軸方向に拘束する。したがって、スプライン付リングの使用を回避する。ナイフエッジシールはフランジに固定され、内歯歯車とシール内の半径方向の溝とを通って排出されたオイルをガッタ（ｇｕｔｔｅｒ）内に収容する。

図１にガスタービンエンジン１０の一部が概略的に示されている。タービンエンジン１０は、互いに固定した多数の部片から構築された固定ハウジング１２を有する。ブレードの付いたコンプレッサハブ１６を有するコンプレッサ部１４は、タービンシャフト２５によって軸Ａの周りに駆動される。ターボファン１８は、ターボファンシャフト２０に支持されており、このターボファンシャフトは、コンプレッサハブ１６を支持するコンプレッサシャフト２４によって、エピサイクリック歯車機構２２を介して駆動される。

示した構成例では、エピサイクリック歯車機構２２は、星歯車機構となっている。図２を参照すると、エピサイクリック歯車機構２２は、回転入力を供給するコンプレッサシャフト２４にスプライン付き連結体によって連結された太陽歯車３０を有する。キャリア２６は、当技術分野では公知のフィンガ（ｆｉｎｇｅｒ、図示せず）を使用して、トルクフレーム２８によりハウジング１２に固定されている。キャリア２６は、太陽歯車３０の歯と星歯車３２の歯との間のかみ合い接合によって太陽歯車３０に連結された星歯車３２を、ジャーナルベアリング３４を使用して支持している。多数の星歯車３２が太陽歯車３０のまわりに円周方向に配置されている。保持器３６はジャーナルベアリング３４をキャリア２６に保持している。内歯歯車３８はキャリア２６を囲み、かみ合い接合によって星歯車３２に連結されている。回転出力を供給する内歯歯車３８は、円周方向に配置された留め要素によってターボファンシャフト２０に固定されており、留め要素は以下にさらに詳細に説明する。

図３および図４を参照すると、内歯歯車３８は、第１の部分４０および第２の部分４２を有する２部品構成となっている。第１の部分４０および第２の部分４２は、半径方向境界面４５で互いに当接している。トラフ４１は、第１の部分４０および第２の部分４２のそれぞれにある、反対方向に角度がついた各々の歯４３（図４が最もよく分かる）を分離している。歯４３の構成により、第１の部分４０および第２の部分４２は、半径方向境界面４５で互いに押し合う。第１の部分４０および第２の部分４２の裏側には、厚さの変化と相まって、構造上の剛性と転倒モーメントに対する抵抗性とを付与する、略Ｓ字形状の外側円周面４７がある。第１の部分４０および第２の部分４２は、第１の厚さＴ１を有し、この第１の厚さは、第１の厚さＴ１から軸方向内側に配置された第２の厚さＴ２よりも薄くなっている。第１の部分４０および第２の部分４２は、内部環状空洞４６を形成する対向した凹部４４を有する。

第１の部分４０および第２の部分４２は、歯４３から離れて半径方向外側に延びるフランジ５１を有する。ターボファンシャフト２０は、円周方向に配置されたボルト５２およびナット５４によってフランジ５１に固定された、半径方向外側に延びるフランジ７０を有し、ボルトおよびナットは、ターボファンシャフト２０と内歯歯車３８を互いに対して軸方向に拘束し、固定する。したがって、スプラインリングを使用しないので、スプラインの鋭利なエッジおよび表面に起因する風損（ｗｉｎｄａｇｅ）および撹拌（ｃｈｕｒｎｉｎｇ）によって生じる熱を低減する。スプラインの使用によって生じる半径方向運動がなくなることから、ターボファンシャフト２０および内歯歯車３８を互いに回転バランスさせることができる。さらに、オイルバッフル６８がフランジ５１，７０に固定され、アセンブリとバランスをとる。

ナイフエッジ５８を有するシール５６は、フランジ５１，７０に固定されている。第１の部分４０および第２の部分４２は、半径方向境界面４５に穴５０を形成する溝４８を有し、穴５０は、内歯歯車３８から、留め具６１でキャリア２６に固定された（図２）ガッタ６０にオイルを排出する。溝４８でまっすぐな半径方向流路を形成することにより、スプラインに見られた、流路が軸方向に変わるのを回避して、風損および撹拌を低減する。すなわち、オイルは半径方向に流れ、次いでスプライン境界部から出るために軸方向に流れなくてはならなかった。ガッタ６０は、アルミニウムなどの軟らかい材料からなるので、鋼からなるナイフエッジ５８は、ガッタとナイフエッジが干渉した場合に、アルミニウムに食い込むことができる。図３を参照すると、シール５６はまた、シール５６の第１のスロット６４および第２のスロット６６によって形成されたオイル戻り流路６２を有し、オイル戻り流路は、内歯歯車３８の両側のオイルがガッタ６０に流れるのを可能にする。図２に示す実施例では、第１のスロット６４および第２のスロット６６は、フランジ７０およびオイルバッフル６８にそれぞれ設けられている。

ターボファン、エピサイクリック歯車機構、およびコンプレッサ部を示すガスタービンエンジンの前方部分の部分断面図。 図１に示すエピサイクリック歯車機構の拡大断面図。 図２に示す構成と同様の内歯歯車の一例の拡大断面図。 図３の内歯歯車の歯に面する方向から見た図３に示す内歯歯車の図。

Claims (11)

1. 軸を中心に回転可能なターボファンシャフトと、
   それぞれが内周部に歯を備えた第１の部分および第２の部分を有する内歯歯車であって、上記第１の部分および上記第２の部分は半径方向境界面で互いに固定され、上記第１の部分および上記第２の部分は、半径方向外側に延びるフランジをそれぞれ有し、このフランジが留め要素によって上記ターボファンシャフトに軸方向に固定された内歯歯車と、
   上記内歯歯車とかみ合う星歯車を支持するキャリアと、
   上記星歯車とかみ合い、出力シャフトに連結された太陽歯車と、
   を備え、
   上記ターボファンシャフトは、半径方向に延びるフランジを有し、該ターボファンシャフトのフランジと上記第１の部分および上記第２の部分の各フランジとが、上記留め要素によって互いに固定され、
   上記第１の部分および上記第２の部分はそれぞれ、上記歯の反対側にある概ねＳ字形状の外周面を有し、その外周面により、第１の厚さ部と、上記第１の厚さ部から軸方向内側にある第２の厚さ部と、が形成され、上記第２の厚さ部は上記第１の厚さ部より厚く、
   上記第１の部分および上記第２の部分はそれぞれ、互いに向き合って内部環状空洞を形成する凹部を有することを特徴とするタービンエンジンのエピサイクリック歯車機構。
2. 上記第１の部分の上記歯は、第１の方向に角度をなし、上記第２の部分の上記歯は、上記第１の方向と対向し、第２の方向に角度をなし、上記内歯歯車の回転方向により、上記第１の部分および上記第２の部分は上記半径方向境界面で互いに押し合うことを特徴とする請求項１に記載のタービンエンジンのエピサイクリック歯車機構。
3. 上記第１の部分および上記第２の部分のフランジおよび上記第１の部分および上記第２の部分の少なくとも一方の上記歯は、一体構造を形成することを特徴とする請求項１に記載のタービンエンジンのエピサイクリック歯車機構。
4. 上記留め要素は、上記第１の部分および上記第２の部分のフランジと上記ターボファンシャフトのフランジとを互いに周方向に固定して、上記内歯歯車および上記ターボファンシャフトを互いに対して軸方向に拘束する複数のボルトおよびナットを有することを特徴とする請求項１に記載のタービンエンジンのエピサイクリック歯車機構。
5. 軸を中心に回転可能なターボファンシャフトと、
   それぞれが内周部に歯を備えた第１の部分および第２の部分を有する内歯歯車であって、上記第１の部分および上記第２の部分は半径方向境界面で互いに固定され、上記第１の部分および上記第２の部分は、半径方向外側に延びるフランジをそれぞれ有し、このフランジが留め要素によって上記ターボファンシャフトに軸方向に固定された内歯歯車と、
   上記内歯歯車とかみ合う星歯車を支持するキャリアと、
   上記星歯車とかみ合い、出力シャフトに連結された太陽歯車と、
   上記留め要素によって上記内歯歯車および上記ターボファンシャフトに固定された１対の離間したシールと、
   を備え、
   上記ターボファンシャフトは、半径方向に延びるフランジを有し、該ターボファンシャフトのフランジと上記第１の部分および上記第２の部分の各フランジとが、上記留め要素によって互いに固定され、
   上記シールは、上記フランジを囲むガッタに近接した、半径方向に延びるナイフエッジを有することを特徴とするタービンエンジンのエピサイクリック歯車機構。
6. 上記第１の部分の上記歯は、第１の方向に角度をなし、上記第２の部分の上記歯は、上記第１の方向と対向し、第２の方向に角度をなし、上記内歯歯車の回転方向により、上記第１の部分および上記第２の部分は上記半径方向境界面で互いに押し合うことを特徴とする請求項５に記載のタービンエンジンのエピサイクリック歯車機構。
7. 上記第１の部分および上記第２の部分のフランジおよび上記第１の部分および上記第２の部分の少なくとも一方の上記歯は、一体構造を形成することを特徴とする請求項５に記載のタービンエンジンのエピサイクリック歯車機構。
8. 上記留め要素は、上記第１の部分および上記第２の部分のフランジと上記ターボファンシャフトのフランジとを互いに周方向に固定して、上記内歯歯車および上記ターボファンシャフトを互いに対して軸方向に拘束する複数のボルトおよびナットを有することを特徴とする請求項５に記載のタービンエンジンのエピサイクリック歯車機構。
9. ハウジングと、
   上記ハウジングに対して軸を中心にそれぞれ回転可能な入力シャフトおよびターボファンブレードを支持するターボファンシャフトと、
   星歯車とかみ合い、上記入力シャフトに連結された太陽歯車と、回転に抗して上記ハウジングに対して固定されるとともに、上記入力シャフトに連結された上記太陽歯車とかみ合う上記星歯車を支持するキャリアと、上記星歯車を囲んで該星歯車とかみ合い、かつ留め要素によって上記ターボファンシャフトに軸方向に保持された第１の部分および第２の部分を含む内歯歯車と、を有したエピサイクリック歯車機構と、
   を備えたタービンエンジンであって、
   上記第１の部分および上記第２の部分はそれぞれフランジを有し、上記ターボファンシャフトは半径方向に延びるフランジを有し、上記各フランジは上記留め要素によって互いに固定され、
   上記キャリアに固定され、上記内歯歯車を囲むガッタと、上記内歯歯車に固定され、上記ガッタに近接して半径方向に延びるナイフエッジを有するシールと、を備えることを特徴とするタービンエンジン。
10. 上記第１の部分および上記第２の部分は、上記ターボファンシャフトに対する軸方向運動に対抗して上記留め要素によって拘束されることを特徴とする請求項９に記載のタービンエンジン。
11. 上記留め要素はボルトおよびナットであることを特徴とする請求項１０に記載のタービンエンジン。

Images