JP4742460B2 - 熱可塑性樹脂フィルムの製造方法及びこれを用いた表示素子用基板 - Google Patents

熱可塑性樹脂フィルムの製造方法及びこれを用いた表示素子用基板 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂フィルムの製造方法およびこの製造方法によって製造された熱可塑性樹脂フィルムを用いた表示素子用基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、液晶表示素子用透明電極基板、有機EL(エレクトロルミネッセンス)基板、タッチパネル基板等の表示基板としては、ガラス基板が使用されてきたが、ガラス基板を用いた表示素子においては、ガラス基板自体が厚いため表示素子自体の薄型化が困難であると共に、軽量化しにくいという欠点があり、更に、可とう性、耐衝撃性の点で問題があった。
このガラス基板の持つ欠点を改善する方法として、プラスチックフィルムを基板として用いることにより、表示素子の軽量化、耐衝撃性の向上が検討されている。
例えば、特開昭53−68099号公報及び特開昭54−126559号公報には、ガラス基板の代わりに導電性酸化金属物質を蒸着した長尺のポリエステルフィルムを用いて液晶表示素子パネルを連続して製造することが示されているが、光学的特性において優れているとは言いがたいものであった。
【0003】
この光学特性上の欠点は溶融押し出し製膜工程において発生する分子配向に起因するフィルムのリタデーションの増大が重大な欠点となることがわかった。例えば、TN(Twisted Nematic)型液晶表示素子では偏光板により直線偏光された入射光が、フィルムの複屈折性及びそのフィルム面内の偏差から部分的に異なる楕円偏光になるため、コントラストの低下、表示ムラを生じさせている。
更にSTN(Super Twisted Nematic)型液晶表示素子では、透明電極フィルムの複屈折性より発現する光学的位相差からTN型液晶表示素子以上に高精細な表示が得られないばかりでなく、液晶分子より発生するリターデーションもあることから、光学位相差を補償するための偏光板、位相差板及び透明電極フィルム基板による液晶セルの組み合わせの最適化が非常に煩雑なものとなっている。
熱可塑性樹脂フィルムを用いた液晶セルが実用化されるにつれて、表示面積が大型化し、電極同士を均一間隔に保つ、いわゆるギャップ維持のため、基板として変形し難いことも要求されている。基板厚みは当初の100μm厚から300μmを越える場合が出てきており、リタデーションによる表示ムラの問題は、より大きなものとなってきている。
【0004】
従来、溶融押出法にて押し出された樹脂は冷却固化されるまでに、ダイス内でのせん断応力、ダイスリップから出た樹脂の自重による延伸、冷却ロール上での冷却収縮、引取搬送時の流れ方向張力、流れ方向及び厚み方向に生じる温度分布等を受け、できたフィルムは発生する面内及び厚み方向での分子配向を避けることができず、リタデーションの増大を引き起こしていた。この傾向はフィルムの厚みが厚ければ厚いほど顕著になる性質があり、特に厚み方向の複屈折が大きいと、液晶表示基板用フィルムとして使用した場合、表示コントラストの視野角依存性が発生し、カラー液晶に至っては、表示色が反転することもあった。
表面の平滑性を得るために、表面を高精度に仕上げたロールとロール、金属ベルトとロール、または金属ベルトと金属ベルトの間で溶融押し出しした熱可塑性高分子をニップし、ロールまたは金属ベルトの表面を転写させる方法もあるが挟み込みを行うため、やはり光学的歪み、即ち、リタデーションが発生し、光学用のフィルムとしては使用することが困難であった。
このように、平面および厚み方向の複屈折率が小さい熱可塑性高分子フィルムを溶融押出にて製造することはできなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術では達成できなかった平面複屈折率が小さい熱可塑性樹脂フィルム、即ち光学的位相差の小さい熱可塑性樹脂フィルムを溶融押出にて連続的に製造する方法を提供するものであり、この製造方法によって作られた熱可塑性樹脂フィルムを用いた表示素子用基板を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明は、
(1)溶融押出後、冷却固化されて成る熱可塑性樹脂フィルムの製造方法、において、フィルム両端部のみを冷却部材に密着させ、フィルム中央部は該冷却部材に密着させずに冷却固化することを特徴とする熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
(2)フィルム両端部のみを冷却部材に密着させる方法が、フィルム両端部の厚みを中央部の厚みよりも厚くするものである(1)の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
(3)フィルム両端部のみを冷却部材に密着させる方法が、フィルム両端部の厚みを中央部の厚みよりも50μm以上2000μm以下に厚くするものである(1)の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
(4)前記フィルム両端部のみを冷却部材に密着させる方法が、フィルム両端部のみを冷却部材に帯電固定させるものある(1)の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
(5)前記帯電固定の印加電圧が4.0kV以上10.0kV以下であることを特徴とする(4)の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
(6)フィルム両端部のみを冷却部材に密着させる方法が、両端部にタッチロールを配設するものである請求項1記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
(7)(1)〜(6)の製造方法によって製造されたフィルムの流れ方向に一定の張力を掛けてガラス転移点(Tg)よりも10〜30℃低い温度でで熱処理する熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
(8)(1)〜(7)の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法により得られる熱可塑性樹脂フィルムを使用する表示素子用基板。
である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法に好適に用いられる熱可塑性樹脂は、特に限定はしないが、複屈折率の低下効果が高い樹脂としては、光弾性定数の絶対値が10×10-13cm2/dyn以上の樹脂である。勿論、光弾性定数の絶対値が低い樹脂の方が、得られるフィルムのリタデーションは小となることは言うまでもないが、本製造方法によれば、光弾性定数の絶対値が高い樹脂の場合でも、リタデーションを小さく押さえることができる。
【0008】
また、例えば液晶基板用途の場合は、組立工程の耐熱上、樹脂のガラス転移点(Tg)は、160℃以上が好ましく、更に好ましくは180℃以上が好ましい。本発明の製造方法に使用されるTgが160℃以上の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリサルホン、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、高耐熱ポリカーボネート、ノルボルネン系の各樹脂及びこれらを2種類以上ブレンドした樹脂をあげることができるが、中でもポリエーテルスルホン樹脂が好ましい。また本発明における樹脂は、添加剤として少量の安定剤、滑剤、染料等が含まれていてもさしつかえない。
本発明の製造方法によって得られる熱可塑性樹脂フィルムの厚みに関しては、特に限定はしないが、50μm以上500μm以下が好ましく、更に好ましくは100μm以上300μm以下である。厚みが下限値未満であるとガラスのラインを転用した場合に取り扱いが困難であり、また、液晶のセルギャップ保持が難しい。また、上限値を越えると液晶表示素子の厚みが厚くなり機能上好ましくないばかりでなく、ダブルイメージと呼ばれる表示が二重に見える現象が起こる恐れがある。
【0009】
フィルム両端部のみを冷却部材に密着させる方法としては、例えば、フィルム両端部の厚みを中央部の厚みよりも厚くする方法がある。両端の厚みを厚くすれば、冷却部材には両端部が先に接触する事となり、シート全体の厚みをコントロールすることで、中央部を冷却部材と直接接触させずに製膜することができる。フィルム両端部の厚みは、中央部の厚みよりも好ましくは、50μm以上2000μm以下に、更に好ましくは、700μm以上1500μm以下に厚くすることが良い。この値が下限値未満の場合、冷却ロール上で中央部のフィルムが局所的に密着し、フィルム外観が悪くなるほか、冷却速度および応力の不均衡により、分子の配向ムラ、すなわち複屈折率のムラが発生する恐れがある。また、上限値を越えると、中央部のフィルムと冷却部材の隙間が大きくなり過ぎ、冷却効率が低下し、生産性を低下させることがある。フィルム両端部の厚みを中央部の厚みよりも厚くする方法としては、ダイスリップ先端から冷却部材に接触するまでの距離(エアギャップ)を長くすることによりネックイン現象を故意に起こさせる方法や、リップ間隙とフィルム厚みの比である引取り延伸比を大きくする方法、ダイス流路の端部厚みを厚くする方法等があるが、特に限定はしない。
【0010】
同様にフィルム両端部のみを冷却部材に密着させる他の方法としては、フィルム両端部のみを針電極または中央部を絶縁性物質で覆ったワイヤー電極等で、4〜10kV、好ましくは、5〜8kV程度の電圧を印加して帯電固定することが挙げられる。印加電圧が下限値未満の場合、フィルムと冷却ロールが密着せず冷却ロール上で浮いたり、滑ったりする恐れがあり、逆に上限値を超えると、フィルムを絶縁破壊したり、アークしたりする為、フィルム品質上および安全上、問題となる事がある。針またはワイヤー電極は、フィルム上方1cm程度に設置することが好ましいが、特に限定はしない。また、確実な帯電を期すために、フィルムの流れ方向に複数本の電極を配置することもできる。
【0011】
さらに、フィルム両端部のみを冷却部材に密着させる方法として、両端部にタッチロールを設置し、両端部のみ挟み込んで固定する方法も可能である。タッチロールは冷却部材にフィルム両端部を接触させるためのものであるので、特に強い圧力で押さえる必要はなく、その材質もゴムなどの柔らかい素材でもよい。また、冷却部材の動きに伴って回転するフリーロールタイプが望ましいが、これらは特に限定はしない。
冷却部材に接触した両端部はトリミングし、中央部のみを製品として使用すれば良いので、この部分での外観については特に考慮しなくても良い。また、フィルム両端部の厚みを厚くする方法と、他の2つの方法とは併用しても差し支えなく、併用することにより、安定性が向上する場合もある。
本発明の冷却部材は、特に限定はしないが、例えば、ロール、ベルト等を挙げることができる。
【0012】
フィルム中央部を密着させないことにより、この部分では、フィルム流れ方向に対して、熱収縮の応力が緩和されるため、ほとんど分子配向が起こらない。また、両端部は固定されているため、流れ方向に対し垂直な方向に対しては分子配向が起こるため、フィルムの光学的主軸は流れ方向に対し均一に垂直方向になる。分子配向が流れ方向に対し、均一に垂直になることで、2本のロール間で流れ方向に一定の張力を掛けて熱処理する配向処理が連続的に実施できる。
例えば、ドライヤーを配置したロールトウロールの熱処理機を用いて連続的に熱処理することができる。この際、ガラス転移点(以下Tgという)より低い温度、好ましくはTgよりも10℃〜30℃低い温度で押し出しフィルムを熱処理することが、フィルム外観を損ねず、面内方向の複屈折率を低減させることができ、望ましいが、特に限定はしない。このような製造方法で作成された熱可塑性樹脂フィルムを用い、液晶表示素子を作成したところ、表示欠点のない、フラットな液晶表示が得られた。
【0013】
【実施例】
以下本発明を実施例、比較例によって説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。。
《実施例1》
ダイスのリップ間隙を通常よりも大きくすることとエアギャップを通常よりも広げることにより、フィルム両端部の厚みを厚くした。具体的には、住友化学工業(株)のポリエーテルスルホン樹脂:ビクトレックスPES4100G(Tg=226℃)を用い、リップ間隙が4mmの850mm幅のコートハンガーダイで溶融押出し、225℃の熱煤を通した300mm直径の冷却ロールでエアギャップを150mmに設定し、両端部の厚みが2000μmのフィルムを両端部のみ密着させ、中央部を密着させない状態で冷却固化させ、フィルム幅が640mmでフィルム厚みが300μmのPESフィルムを作製した。
上記条件で作製されたフィルムは、表面複屈折率(Nxy)が0.00027、光学的主軸は、フィルム流れ方向に対し、±5度以下、厚み方向複屈折率(Nxz)は0.00023であった。
このフィルムをロールトウロールの熱処理機を用いて、LMD(ロール間隔)/LTD(フィルム幅)=5、熱処理温度を208℃、ライン速度を1.0M/min、フィルム張力を10.0kg/巾(フィルム巾:640mm)の条件で連続的に熱処理した結果、表面複屈折率(Nxy)は0.00001に改善した。
【0014】
《実施例2》
実施例1と同様な方法により、ダイスリップ間隙を3mm、エアギャップを100mmに設定し、実施例1と同様の手法によりフィルム両端部の厚みを1000μmとし、冷却ロール上で両端部のみを密着させ、中央部を密着させない状態で300μ厚みのPESフィルムを作製したところ、表面複屈折率(Nxy)が0.00023、光学的主軸は、フィルム流れ方向に対し、±7度以下、厚み方向複屈折率(Nxz)は0.00021であった。。
このフィルムをLMD/LTD=5、熱処理温度を216℃、ライン速度を1.0M/min、フィルム張力を8.0kg/巾(フィルム巾:630mm)の条件で連続的に熱処理した結果、表面複屈折率(Nxy)は0.00001に改善した。
【0015】
《実施例3》
住友化学工業(株)のポリエーテルサルホン樹脂:ビクトレックスPES4100G(Tg=226℃)をコートハンガーダイで溶融押出し、225℃の熱煤を通した300mm直径の冷却ロール上で、両端100mmを残して中央部をテフロンテープで覆ったワイヤー電極を用いてフィルム両端部のみを6.0kVの電圧で帯電固定して密着させ、フィルム中央部を密着させない状態で冷却固化させ、フィルム厚みが100μmのPESフィルムを作製した。
上記条件で作製されたフィルムは、表面複屈折率(Nxy)が0.00009、光学的主軸は、フィルム流れ方向に対し、±5度以下、厚み方向複屈折率(Nxz)が0.00032であった。
【0016】
《実施例4》
実施例3で用いた帯電固定の代わりに、フィルム両端部分に幅100mmのタッチロールを配設し、フィルム両端部のみを密着させ、中央部を密着させない状態で300μ厚みのPESフィルムを作製したところ、表面複屈折率(Nxy)が0.00028、光学的主軸は、フィルム流れ方向に対し、±7度以下、厚み方向複屈折率(Nxz)は0.00026のフィルムが得られた。。
このフィルムをLMD/LTD=5、処理温度を216℃、ライン速度を1.0M/min、フィルム張力を9.0kg/巾(フィルム巾:630mm)の条件で連続処理した結果、表面複屈折率(Nxy)が0.00001、厚み方向複屈折率(Nxz)が0.00026であった。
【0017】
《実施例5》
各実施例で得られたフィルムを用い、分子量1540、融点70℃のエポキシアクリレートプレポリマー(昭和高分子製、VR−60)100重量部、酢酸ブチル400重量部、セロソルブアセテート100重量部、ベンゾインエチルエーテル2重量部を50℃にて攪拌、溶解して均一な溶液としたものをグラビアロールコータで塗布し、80℃で10分間加熱して溶媒を除去し、80w/cmの高圧水銀灯により15cmの距離で30秒間照射して樹脂を硬化させ、0.5μm厚の有機層を両面に形成した。
次にこのシート上にDCマグネトロン法により初期真空度3×10-4Paに引き、酸素/アルゴンガス9%の混合ガスを導入、3×10-1Paの条件下において無機層を成膜し500Å厚のSiO2を得た。この無機膜の酸素バリヤー性はモコン法により測定したところ1.0cc/24hr・m2であった。
次に透明導電膜として、同じくDCマグネトロン法により初期真空度3×10-4Paに引き、酸素/アルゴンガス4%の混合ガスを導入し、1×10-1Paの条件下において成膜し、In/In+Snの原子比が0.98であるIn23、SnO2からなる透明導電膜を得た。
さらに、レジスト塗布後、現像し、エッチング液として10vol%HCl、液温40℃中でパターンエッチングし、対角長さ3インチ、L/S=150/50μmのアクティブマトリックス用パターンを形成した。パターン形成後、配向膜を塗布し、150℃2hrの焼成処理を行った後、ラビング処理を行った。ラビング処理後、スペーサーを散布し、シール剤を塗布し、150℃でシール硬化させてセル化し、液晶を注入した。偏光板をコントラストの最大となる位置に貼り合わせ、点灯試験を行ったところ、いずれの実施例においてもシートのリタデーションや液晶のセルギャップ異常による表示欠点は見られず、コントラストの良い表示を示した。また、表示の視野角特性に関してもガラス同等レベルの視認性が得られた。
【0018】
《比較例1》
実施例1と同一ロットの材料を用いたが、リップ間隙を1.5mm、エアギャップを30mmとし、特に両端部の厚みを厚くする工夫を行わずに300μm厚みのPESフィルムを作製したところ、フィルム中央部が冷却ロールに密着し、安定して生産できない状態となり、フィルム外観が悪くなるほか、複屈折率も面内で均一にはならず、光学フィルムとして使用できるレベルのフィルムは得られなかった。
【0019】
《比較例2》
実施例1と同様な方法により押出を行い、フィルム中央部、両端部共に冷却ロールに密着するように帯電ワイヤーを用いて印加電圧6.0kVで帯電固定をさせたところ、表面複屈折率(Nxy)が0.00004、光学的主軸は、フィルム流れ方向に対し、ランダムに向き、厚み方向複屈折率(Nxz)が0.00100となった。
このフィルムをLMD/LTD=11、熱処理温度を206℃、ライン速度を1.0M/min、フィルム張力を5.0kg/巾(フィルム巾:640mm)の条件で連続熱処理した結果、表面複屈折率(Nxy)は0.00011、厚み方向複屈折率(Nxz)は0.00100となった。
得られたフィルムを透明電極として実装した液晶表示パネルは視野角依存性に対して、コントラストが充分ではなく、視認性の良いものではなかった。
【0020】
なお、本発明のシートの光学的物性は次の方法により測定した。
(1)フィルム厚み
接触式のダイヤルゲージで高分子シートの幅方向に20mm間隔で測定した平均値。
(2)熱可塑性樹脂フィルムの複屈折率
王子計測機器(株)製の自動複屈折計(KOBRA−21ADH)を用い、波長590nmにて平行ニコル回転法で、平面及び厚み方向複屈折率を測定した。
【0021】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、光学的位相差の小さい熱可塑性樹脂フィルムを溶融押出にて連続的に製造することができるため、軽量で割れにくいという特長をもつプラスチック表示素子用基板を安価で連続的に供給することができる。また、本発明の製造方法は表示素子用基板に限らず、光変調素子、高速スイッチング素子、光理論ゲート、光トランジスタ等の各種光学用途にも応用が可能であり、その工業的価値は極めて高いものである。

Claims (2)

  1. フィルム両端部の厚みがフィルム中央部の厚みよりも700μm以上1500μm以下大きい状態で溶融押出された熱可塑性樹脂フィルムを、押出し後、前記フィルム両端部のみを冷却部材に密着させ、かつ前記フィルム中央部は冷却部材に密着させずに冷却固化する工程を有する熱可塑性フィルムの製造方法。
  2. 請求項1記載の製造方法によって製造されたフィルムの流れ方向に一定の張力を掛けてガラス転移点(Tg)よりも10〜30℃低い温度で熱処理する熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
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