JP3698910B2 - 熱可塑性高分子シートの製造方法 - Google Patents

熱可塑性高分子シートの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性高分子シートの作製方法について、平面のリタデーションが小さく、かつ平面平滑性に優れ、シートの反りが少ない熱可塑性高分子シートの製造方法に関するものであり、このようなシートは光学用シートとして適している。
【0002】
【従来の技術】
従来、液晶表示素子用透明電極基板にはガラス基板が使用されてきたが、ガラス基板を用いた液晶表示素子においては、ガラス基板自体が厚いため液晶表示素子自体の薄型化が困難であると共に、軽量化しにくいという欠点があり、更に、可とう性、耐衝撃性の点で問題があった。
【0003】
このガラス基板液晶表示素子の持つ欠点を改善する方法として、プラスチックフィルムを用いて液晶パネルを作製することにより、液晶パネルの軽量化、耐衝撃性の向上が検討されている。
例えば、特開昭53−68099号公報及び特開昭54−126559号公報には、ガラス基板の代わりに導電性酸化金属物質を蒸着した長尺のポリエステルフィルムを用いて液晶表示素子パネルを連続して製造することが示されているが、光学的特性において優れているとは言いがたいものであった。
【0004】
この問題を解決するため、光学等方性に優れた熱可塑性樹脂シートをこれらの用途に応用すべく研究を進めたところ、溶融押し出し製膜工程において発生する分子配向に起因するシートのリタデーションの増大が重大な欠点となることがわかった。例えば、TN(Twisted Nematic)型液晶表示素子では偏光板により直線偏光にされた入射光が、透明電極シートの複屈折性及びそのシート面内の偏差から部分的に異なる楕円偏光になるため、コントラストの低下、表示ムラを生じさせている。
【0005】
更にSTN(Super Twisted Nematic)型液晶表示素子では、透明電極シートの複屈折性より発現する光学的位相差からTN型液晶表示素子以上に高精細な表示が得られないばかりでなく、液晶分子より発生するリターデーションもあることから、光学位相差を補償するための偏光板、位相差板及び透明電極シートによる液晶セルの組み合わせの最適化が非常に煩雑なものとなっている。
【0006】
更に、熱可塑性樹脂シートを用いた液晶セルが実用化されるにつれて、表示面積が大型化し、電極同志を均一間隔に保つ、いわゆるギャップ維持のため、基材として変形し難いことが要求されている。基材厚みは当初の100μm厚から300μmを越える場合が出てきており、高分子シートを用いた開発も行われているが、平面のリタデーションによる液晶表示のコントラストの問題、表面性、平面平滑性が原因である表示欠点の問題、反りによる液晶封子部の剥がれ、及び素子の変形が課題となっており、早急な改善が望まれている。
【0007】
光学用材料の位相差を改善する方法として、特殊な2価フェノールを構造単位とする特殊ポリカーボネートを用いる方法(特開昭63−108024号公報)、固有複屈折が正の材料と負の材料をブレンドする方法(T. Inoue et al.,Journal of Polymer Science,Part B, 25, 1629(1987).)、固有複屈折が正のポリカーボネートと負のポリスチレンをグラフト共重合させる方法(日経ニューマテリアル、1988年9月26日号、60〜62頁の記事)、極性基を有したノルボルネン系樹脂を用いる方法(機能材料、1993年1月号、40〜52頁の記事)などが提案されているが、いずれも解決には至っていない。
【0008】
押し出し法にて押し出されたシートが冷却ロールで冷却固化され巻き取られる瞬間までの短時間の間に、ダイス内で生じるせん断応力や、ダイスリップから出た樹脂が延伸されることによる流れ方向及び厚み方向に生じる温度分布によりシート内で発生する面内及び厚み方向での分子配向を避けることができなかった。この傾向はシート厚みが厚ければ厚いほど顕著になる性質があり、表示画面の大型化に伴い重大な欠点となっていた。
【0009】
表面平滑性については、一般的に知られているTダイやコートハンガーダイを使用した溶融押しだし法では、熱可塑性高分子が通る流路内でのせん断応力や滞留、更には、ダイスの面やリップの精度により生じるとされているダイラインと呼ばれる筋がシート面に発生し、表面の平滑性を低下させている。表面平滑性を向上させる手段として、熱可塑性高分子を溶剤に溶解させ、フィルムもしくは金属ベルト等にコーティングし乾燥させる溶剤キャスト法が知られているがシート厚みが厚くなった場合の生産性及びシート中の溶剤の残留が問題となる。
【0010】
他方、表面を高精度に仕上げたロールとロール、金属ベルトとロール、または金属ベルトと金属ベルトの間で溶融押し出しした熱可塑性高分子をニップし、ロールまたは金属ベルトの表面を転写させる方法もあるが挟み込みを行うため光学的歪み、即ち、リタデーションが発生し、光学用のシートとして使用することが困難である。また、表面を高精度に仕上げた金型に熱可塑性高分子を封入して成形する射出成形法もCDディスクの成形で知られるようにリタデーションの制御が可能であり、生産性も問題ないことから有力候補と考えられるが、射出成形法では数mmオーダーの厚みのシートが限界であり、数百μmのオーダーの厚みには対応できない。
【0011】
表面性を向上させるために後加工を行うことも知られているが、表面を高精度に仕上げた板でシートをプレスし、表面平滑性を向上させる方法は生産性が悪く、大量生産には向いておらず、また、PETフィルムで知られるような延伸加工を行う方法は、シートの表面性は向上するが複屈折が生じるため光学用シートの製造方法としては適していない。
シートの反りについては、一般的に知られている冷却ロールでの冷却方法は、冷却固化時に冷却ロールの円周を形取ることによりシートの反りが発生すると考えられているが、その解決法として極めて大きな冷却ロールを使用し曲率を増加させることが考えられるが経済的に適さない。
【0012】
また、曲率のない平板上で高分子シートを冷却固化する事により解決が見いだされると考えられるが、冷却面に接触している高分子シートの表面温度と高分子シートの反対側の表面温度との差によりシートの反りが発生し易くなる。他方、射出成形法、板によるプレス法、金属ベルトによるニップ法等はシートに反りを生じさせない製法であるが、前述のように光学用シートとしては平面のリタデーションの点で問題がある。
このように、表面平滑性に優れ、複屈折率が小さく、且つシートの反りが小さい熱可塑性高分子シートを製造することは現状技術では困難であった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的とするところは、高分子シートの表面平滑性が優れ、複屈折率が小さい、つまり光学的位相差の小さいシートであり、更に高分子シートの反りが小さく、液晶表示パネル用として問題なく使用できる熱可塑性高分子シートの製造方法を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
従来技術では、到達し得なかった平面平滑性に優れ、リタデーションの少ない、且つシートの反りが小さい光学用シートを得んと鋭意検討した結果、Tダイもしくはコートハンガーダーから溶融押しだしされた熱可塑性高分子シートを、表面粗さの最大(Rmax)が0.1μm以下で、且つ、ダイから押し出された前記熱可塑性高分子シートの流れ方向に対し曲率のない形で接触している時間が20秒以上ある長さの金属ベルトを用いて冷却シート化する熱可塑性高分子シートの製造方法であって、
【0015】
Tダイもしくはコートハンガーダイから溶融押しだしされた熱可塑性高分子シートが該金属ベルトに接触する最初の部分の温度(V1)が、熱可塑性高分子のガラス転移点(Tg)に対し、Tg−20≦V1≦Tg+100(℃)の範囲にあり、熱可塑性高分子シートの流れ方向に対し曲率の無い上記金属ベルトの温度(V2)が、Tg−30≦V2≦Tg+30(℃)の範囲にあり、冷却された熱可塑性高分子シートが、上記金属ベルトから離れる部分の金属ベルトの温度(V3)が、Tg−100≦V3≦Tg−20(℃)であり、且つ、V3≦V2≦V1(℃)の範囲にあることを特徴とする熱可塑性高分子シートの製造方法である。好ましくは該金属ベルトに接触している該熱可塑性高分子シートの反対面の温度を前記金属ベルトと同じ温度にする製造方法である。
【0016】
更に、該Tダイもしくはコートハンガーダイの熱可塑性高分子が通過する面の表面粗さの最大(Rmax)が、0.5μm以下であり、ダイスのリップ間隙が該熱可塑性高分子シートの厚みに対し、3倍以上50倍以下であり、該Tダイもしくはコートハンガーダイで溶融押しだしされた該熱可塑性高分子シートが光学用のシートであり、上記高分子シートのガラス転移点が150℃以上であり、シート厚みが150μm以上1000μm以下であり、平面に於けるリタデーションが20nm以下で有り、少なくともシートの片面の表面の粗さが0.1μm以下で有り、且つ、300mm角のシートの反り量が5mm以下であり、該熱可塑性高分子シートが、ガラス転移温度150℃以上の非晶質樹脂であり、好ましくは、ポリエーテルスルフォンである熱可塑性高分子シートの製造方法である。
【0017】
【発明の実施の形態】
更に詳細に説明すると、熱可塑性高分子のガラス転移点(Tg)は、150℃以上が好ましく、更に好ましくは180℃以上である。熱可塑性高分子のTgが150℃未満になると液晶組立工程の熱処理、例えば、配向膜焼成及びシール硬化温度にてシートが軟化し不具合を生じてしまう。
【0018】
熱可塑性高分子シートの厚みに関しては、150μm以上1000μm以下が好ましく、更に好ましくは200μm以上500μm以下である。高分子シートの厚みが150μm未満であるとガラスのラインを転用した場合に取り扱いが困難であり、また、液晶のセルギャップ保持が難しく、特に、大面積の液晶表示素子ではセルギャップ保持をすることができない。1000μmを越えると液晶表示がダブルイメージと呼ばれる表示不良を起こし、更に液晶表示素子の厚みが厚くなり機能上好ましくない。
【0009】
平面のリタデーションは、好ましくは、20nm以下、更に好ましくは10nm以下である。平面のリタデーションとは、Re=(Nx−Ny)×dで表されるもので、Nxは高分子シート面内の最大の屈折率であり、Nyは高分子シート面内の最小の屈折率である。dはシートの厚みである。リタデーションが20nmを越えると液晶表示のコントラストの低下が発生し、表示が明瞭に見えなくなる。
【0020】
高分子シートの表面粗さの最大(Rmax)は、0.1μm以下が好ましく、更に好ましくは、0.05μm以下である。表面粗さの最大が0.1μmより大きいと液晶のセルギャップ異常が発生し、表示不良となってしまう。高分子シートの反りは、300mm角の大きさで5mm以下が好ましく、更に好ましくは3mm以下あでり、より好ましくは1mm以下である。高分子シートの反りが5mmを越えると、液晶のセルギャップ保持が難しく、表示不良となるばかりか、シートの反りの応力により液晶セルが変形し、シール部が剥離するといった信頼性の低下につながる。
【0021】
熱溶融された熱可塑性高分子が通過するダイス面の表面粗さの最大(Rmax)は、0.5μm以下が好ましく、更に好ましくは、0.3μm以下である。表面粗さの最大(Rmax)が0.5μmを越えると、ダイスより溶融押しだしされた高分子シートの表面は、ダイスの表面性の影響を受け、ダイラインと呼ばれる筋、つまり、シートの表面に凹凸の筋が発生し、金属ベルトを通しても消し去ることが困難である。
【0022】
ダイスのリップ間隙は、シート厚みに対し、3倍以上50倍以下であることが好ましく、更に好ましくは、5倍以上40倍以下である。
ダイスのリップ間隙がシート厚みに対し、3倍未満であるとダイスより溶融押し出しされた高分子シートを引き延ばす作用が少なくなり、高分子シートの表面粗さが悪化する。ダイス表面の表面粗さを向上させることにより改善は出来るが技術的にも経済的にも問題がある。50倍を越えると高分子シートの表面粗さに対しては、改善方向であるが、厚み調整が難しく、厚みのばらつきが大きくなる等の他に、高分子シートに延伸作用が働き、高分子シートのリタデーションが悪化する原因ともなる。
【0023】
金属ベルトの表面粗さの最大(Rmax)は、0.1μm以下が好ましく、更に好ましくは、0.05μm以下である。高分子シートは、金属ベルトの面を転写するため、金属ベルトの表面性が0.1μmを越えると高分子シートの表面粗さの最大も0.1μm以上となるため光学用シートとしては問題となる。
【0024】
金属ベルトの長さは、高分子シートの流れ方向に対し曲率がない位置での冷却時間が20秒以上あることが好ましく、更に好ましくは、30秒以上である。冷却時間が20秒未満となる金属ベルトを使用すると高分子シートが十分に冷却されず、シートの反りが発生する原因となり、また、十分に冷却されないと高分子シートのリタデーションが悪化する。ダイスリップから溶融押しだしされた熱可塑性高分子シートが最初に接触する金属ベルトの温度(V1)は、熱可塑性高分子のガラス転移点(Tg)に対し、Tg−20≦V1≦Tg+100(℃)の範囲であり、更に好ましくは、Tg−10≦V1≦Tg+80(℃)である。V1がTg−20℃未満であるとダイスより溶融押しだしされた高分子シートが急冷され、冷却シワと呼ばれる外観不良となる。また、V1がTg+100℃以上であるとダイス温度より高い温度で冷却する不具合の他、高分子シートが熱分解を起こす可能性がある。
【0025】
シート流れ方向に対し曲率の無い金属ベルトの温度(V2)は、Tg−30≦V2≦Tg+30(℃)の範囲であり、更に好ましくは、Tg−20≦V2≦Tg+20である。V2の温度がTg−30℃未満であるとV1の温度と同様に冷却シワが発生してしまい、Tg+30℃を越えると、高分子シートの固化が十分に行われず、シートの反りが発生することと、高分子シートのリタデーションが悪化してしまうことが問題となる。V2の温度条件は、曲率のない金属ベルト上でシートの流れに対し、温度が低くなるよう変化をつけても構わない。
【0026】
金属ベルトにより冷却された高分子シートが金属ベルトから離れる時の温度(V3)は、Tg−100≦V3≦Tg−20(℃)であり、更に好ましくは、Tg−80≦V3≦Tg−30(℃)である。V3の温度がTg−100℃未満であると、冷却シワが発生し、Tg−20℃を越えると金属ベルトから高分子シートを引き離す際に、高分子シートと金属シートが溶融密着し、外観不良を引き起こす。更に、V1、V2、V3の温度は、V3≦V2≦V1(℃)の関係があり、この関係にないと効率の良い高分子シートの冷却が行われない。
【0027】
また、高分子シートの金属ベルトに接触している面とは反対側の高分子シート面を金属ベルトと同じ温度にすることにより、高分子シートの厚み方向の温度分布を低減し、熱履歴による高分子シートの反りを改善できる。金属ベルト及び高分子シートの反対面を加熱する方法としては、赤外線ヒーター加熱、遠赤外線ヒーター加熱、熱媒オイル、水蒸気等の加熱方法が考えられるがいずれであっても支障はない。
ダイスから溶融押しだしされた高分子シートを金属ベルトに密着させるために、金属ベルトと同様の温度に制御されたエアを吹き付けたり、帯電固定により密着させたりしてもよい。
このような製造方法で作成された高分子シートを用い、液晶表示素子を作成したところ、表示欠点のない、フラットな液晶表示が得られた。
【0028】
本発明におけるTgが150℃以上の熱可塑性高分子としては、例えば、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、高耐熱ポリカーボネート、ノルボルネン系高分子及びこれらをブレンドした樹脂をあげることができるが、中でもポリエーテルサルホンが好ましい。また、イミドで変性した高分子、例えばイミド変性ポリメチルメタクリレート等も用いることが出来る。
【0029】
本発明のシートの光学的物性は次の方法により測定した。
(1)シート厚み
接触式のダイヤルゲージで高分子シートの幅方向に20mm間隔で測定した平均値。
(2)高分子シートの表面粗さの最大(Rmax)
接触式の精密段差計(TENCOR INSTRUMENTS製 AIPHA−STEP200)により、高分子シートの幅方向に2mmのスキャン幅にて全幅を測定した凹凸の最大値。
【0030】
(3)高分子シートのリタデーション
オリンパス光学(株)製偏光顕微鏡BH2とベレックコンペンセーターを用い、波長550nmでのリタデーションを測定した。
(4)高分子シートの反り
高分子シートの流れ方向に300mm長さ、幅方向に300mm長さに切り取った正方形のサンプルを、定盤に対して、高分子シートの表側を上にした場合と下にした場合の、定盤の面から最大に離れた高分子シートの高さを測定し、その最大値をシートの反りとした。
【0031】
(5)金属ベルトの表面粗さの最大(Rmax)
接触式表面粗さ計((株)ミツトヨ製のサーフテスト301)により、金属ベルトの幅方向にカットオフ長さ0.8mmにて全幅を測定したときの凹凸の最大値。
(6)ダイスの表面粗さの最大(Rmax)
接触式表面粗さ計((株)ミツトヨ製のサーフテスト301)により、ダイスの幅方向にカットオフ長さ0.8mmにて全幅を測定したときの凹凸の最大値。
【0032】
【実施例】
以下本発明を実施例、比較例によって説明する。
《実施例1》
住友化学工業(株)のポリエーテルサルホン樹脂:ビクトレックスPES4100G(Tg=226℃)を表面粗さの最大(Rmax)が0.4μm、リップ間隙が3mmのダイスを用い、表面粗さの最大(Rmax)が0.1μm、ダイから押し出された高分子シートが流れ方向に対し曲率のない形で接触している時間が22秒となる金属ベルトを使用し、金属ベルトの温度(V1)を250℃、(V2)の温度を210℃、(V3)の温度が180℃、高分子シートの金属ベルトが接触している面とは反対側の面を赤外線ヒーターにより、金属ベルト側のシート表面温度と同じ温度にして、厚みが400μmのシートを成形した。その結果、平面に於けるリタデーションが15nmで有り、且つ、金属ベルト面に接した高分子シートの表面の粗さの最大(Rmax)が0.06μm、300mm角の高分子シートの最大の反り量が2mmである高分子シートを得ることが出来た。
【0033】
《実施例1》で得られた400μm厚みのシートを用い、分子量1540、融点70℃のエポキシアクリレートプレポリマー(昭和高分子製、VR−60)100重量部、酢酸ブチル400重量部、セロソルブアセテート100重量部、ベンゾインエチルエーテル2重量部を50℃にて攪拌、溶解して均一な溶液としたものをグラビアロールコータで塗布し、80℃で10分間加熱して溶媒を除去し、80w/cmの高圧水銀灯により15cmの距離で30秒間照射して樹脂を硬化させ、0.5μm厚の有機層を両面に形成した。
次にこのシート上にDCマグネトロン法により初期真空度3×10-4Paに引き、酸素/アルゴンガス9%の混合ガスを導入、3×10-1Paの条件下において無機層を成膜し500Å厚のSiO2を得た。この無機膜の酸素バリヤー性はモコン法により測定したところ1cc/24hr・m2であり、表面抵抗率を測定したところ8.1×1012Ωであった。
【0034】
次に透明導電膜として、同じくDCマグネトロン法により初期真空度3×10-4Paに引き、酸素/アルゴンガス4%の混合ガスを導入し、1×10-1Paの条件下において成膜し、In/In+Snの原子比が0.98であるIn23、SnO2からなる透明導電膜を得た。測定の結果、膜厚は1600Å、比抵抗は4×10-4Ω−cmであった。
成膜後、レジストを塗布、現像し、エッチング液として10vol%HCl、液温40℃中でパターンエッチングし、対角長さ3インチ、L/S=150/50μmのアクティブマトリックス用パターンを形成した。パターン形成後、配向膜を塗布し、150℃2hrの焼成処理を行った後、ラビング処理を行った。ラビング処理後、スペーサーを散布し、シール剤を塗布し、150℃でシール硬化させてセル化し、液晶を注入した。偏光板をコントラストの最大となる位置に貼り合わせ、点灯試験を行ったところ、シートのリタデーションや液晶のセルギャップ異常による表示欠点は見られず、コントラストの良い表示を示した。また、液晶セルの形状は、フラットであり、定盤上での反りは全く確認されなかった。
【0035】
《比較例1》
《実施例1》の条件の内、ダイスの表面粗さの最大(Rmax)を0.8μmにしたところ、高分子シートの表面粗さの最大値(Rmax)が、0.26μmとなった。
このシートを用い、《実施例1》と同様に液晶セルを作成したところセルギャップ異常による表示欠点が確認された。
【0036】
《比較例2》
《実施例1》の条件の内、ダイスのリップ間隙を1mmとしたところ、高分子シートの表面粗さの最大値(Rmax)が、1.8μmとなった。このシートを用い、《実施例1》と同様に液晶セルを作成したところセルギャップ異常による表示欠点が確認された。
《比較例3》
《実施例1》の条件の内、V1の温度を190℃、V2の温度を180℃、V3の温度を180℃としたところ、金属ベルト上で冷却シワが発生し、シート化する事が出来なかった。
【0037】
《比較例4》
《実施例1》の条件の内、V2の温度を265℃としたところ、高分子シートの反りが15mm、平面のリタデーションが70nmとなった。このシートを用い、《実施例1》と同様に液晶セルを作成したところコントラストが悪く、表示が明瞭に認識できないことが確認された。
《比較例5》
《実施例1》の条件の内、V2の温度を180℃としたところ、高分子シートの平面リタデーションが40nmとなった。このシートを用い、《実施例1》と同様に液晶セルを作成したところセルギャップ異常による表示欠点が確認された。
【0038】
《比較例6》
《実施例1》の条件の内、V3の温度を90℃としたところ、高分子シートにシワが発生し、外観不良となった。
《比較例7》
《実施例1》の条件の内、V2の温度を220℃、V3の温度を220℃としたところ、高分子シートの平面リタデーションが50nm、シートの反りが20mmとなった。
このシートを用い、《実施例1》と同様に液晶セルを作成したところセルギャップ不良による表示ムラが発生し、また、液晶セルに反りが発生し、定盤上で平面に押さえつけたところシール部が剥離しセルが破壊した。
【0039】
《比較例8》
《実施例1》の条件の内、金属ベルトの表面粗さの最大(Rmax)を0.3μmとしたところ、高分子シートの表面粗さの最大(Rmax)が50nmとなった。このシートを用い、《実施例1》と同様に液晶セルを作成したところセルギャップ異常による表示欠点が確認された。
《比較例9》
《実施例1》の条件の内、ダイから押し出された高分子シートが流れ方向に対し曲率のない形で接触している時間が15秒となる金属ベルトを使用したところ、高分子シートの平面のリタデーションが45nm、シートの反りが12mmとなった。
【0040】
《比較例10》
《実施例1》の条件の内、高分子シートの金属ベルトに接触している反対側のシート面にある赤外線ヒーターをOFFにしたところ、高分子シートの平面のリタデーションが25nm、シートの反りが8mmとなった。このシートを用い、《実施例1》と同様に液晶セルを作成したところ、コントラストが悪く表示が明瞭でなく、セルギャップ不良による表示ムラが発生し、また、液晶セルに反りが発生した。
【0041】
【発明の効果】
本発明により平面のリタデーションが小さく、表面平滑性に優れ、基板の反りが少ない熱可塑性高分子シートが開発できた。また、本発明により得られたシートは光学用シートとして最適で、フレキシブル液晶表示素子用透明電極シートとして液晶表示パネルに実装した場合に表示ムラのない高精細な表示を示した。

Claims (6)

  1. Tダイもしくはコートハンガーダーから溶融押しだしされた熱可塑性高分子シートを、表面粗さの最大(Rmax)が0.1μm以下で、ダイから押し出された前記熱可塑性高分子シートの流れ方向に対し、曲率のない形で接触している時間が20秒以上ある長さの金属ベルトを用いて冷却シート化する熱可塑性高分子シートの製造方法であって、
    該熱可塑性高分子シートが該金属ベルトに接触する最初の部分の温度(V1)が、熱可塑性高分子のガラス転移点(Tg)に対し、Tg−20≦V1≦Tg+100(℃)の範囲にあり、熱可塑性高分子シートの流れ方向に対し曲率の無い前記金属ベルトの温度(V2)が、Tg−30≦V2≦Tg+30(℃)の範囲にあり、冷却された熱可塑性高分子シートが、上記金属ベルトから離れる部分の金属ベルトの温度(V3)が、Tg−100≦V3≦Tg−20(℃)であり、且つ、V3≦V2≦V1(℃)の範囲にあることを特徴とする熱可塑性高分子シートの製造方法。
  2. 該金属ベルトに接触している側の該熱可塑性高分子シートの表面温度と前記高分子シートの反対側の表面温度を同じ温度にする請求項1記載の熱可塑性高分子シートの製造方法。
  3. Tダイもしくはコートハンガーダーから溶融押しだしされた熱可塑性高分子シートを、表面粗さの最大(Rmax)が0.1μm以下で、ダイから押し出された前記熱可塑性高分子シートの流れ方向に対し、曲率のない形で接触している時間が20秒以上ある長さの金属ベルトを用いて冷却シート化する熱可塑性高分子シートの製造方法であって、
    該Tダイもしくはコートハンガーダイの熱可塑性高分子が通過する面の表面粗さの最大(Rmax)が、0.5μm以下であり、ダイスのリップ間隙が該熱可塑性高分子シートの厚みに対し、3倍以上50倍以下であることを特徴とする熱可塑性高分子シートの製造方法。
  4. Tダイもしくはコートハンガーダーから溶融押しだしされた熱可塑性高分子シートを、表面粗さの最大(Rmax)が0.1μm以下で、ダイから押し出された前記熱可塑性高分子シートの流れ方向に対し、曲率のない形で接触している時間が20秒以上ある長さの金属ベルトを用いて冷却シート化する熱可塑性高分子シートの製造方法であって、
    該Tダイもしくはコートハンガーダイで溶融押しだしされる該熱可塑性高分子シートが光学用のシートであり、前記熱可塑性高分子シートのガラス転移点が150℃以上であり、シート厚みが150μm以上1000μm以下であり、平面に於けるリタデーションが20nm以下であり、少なくともシートの片面の表面の粗さが0.1μm以下であり、且つ300mm角のシートの反り量が5mm以下であることを特徴とする熱可塑性高分子シートの製造方法。
  5. 該熱可塑性高分子シートが、ガラス転移温度150℃以上の非晶質樹脂である請求項記載の熱可塑性高分子シートの製造方法。
  6. 該熱可塑性高分子シートが、ポリエーテルサルホンである請求項記載の熱可塑性高分子シートの製造方法。
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