JP4742380B2 - 走行車両の軸重計測装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の各車軸が示す変動軸重を測定した結果から、車両が静止状態において示す静止軸重を算出するのに適した軸重計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
供用中の道路の適正な維持管理とともに、将来の設計への反映も考慮して、実際に車両が走行する路面において軸重の実態を把握することは重要であり、その一環として、軸重計測装置が高速道路の入り口を始めとして多数用いられている。そして最近では、高速走行においても正確な軸重計測が求められるようになっている。
【0003】
走行する車両の軸重計測は、一般的な物理量の計測では見られない特有の難しさを持っている。すなわち、(1)車両は、2〜3Hzに主振動を持つ車両振動を伴って路面に変動軸重を与えながら走行している、(2)車両振動に伴う変動軸重と計測の最終目的である静止軸重との関係は測定の都度変化する、(3)静止軸重の算出を行う際に、軸重の変動成分を排除するために必要な情報が十分に得られない、等である。
【0004】
いま、車両が2Hzの主振動を伴って時速80km(秒速22.2m)で走行していると仮定して、この車両の変動軸重を測定した結果から静止軸重を算出する場合を考えてみる。車両の主振動が2Hzであるから、少なくともその一周期に相当する500ms以上の変動軸重データがなければ静止軸重は算出できないことになる。そして、500ms間連続して変動軸重を測定するためには、単純に考えても、軸重検出部における載荷板の車両走行方向長さを12m程度にする必要があり、これでは車両の各軸重を分離して測定することはおろか、相前後して到来する2台の車両も区別できなくなると言う矛盾が生じる。
【0005】
このため、軸重検出部における載荷板の車両走行方向長さは、車両の車軸間隔やタイヤの接地長さ等を考慮して、通常は数十センチ程度に作られているが、車両が時速80kmで通過すると測定時間が40msにも満たなくなる。そして、載荷板に対するタイヤの乗り降り時間を無効な測定時間として除くと、全軸重測定時間にしめる有効な軸重測定時間は40%程度に減少するので、本来は500ms以上を必要とする変動軸重の測定時間が、実際には16ms程度のごく短い時間に短縮されてしまい、車両振動を排除するための情報としては不適切なものとなる。こうした条件のもとで、変動軸重を測定して静止軸重を算出することは、極めて難しいというのが実状である。
【0006】
このような実状を反映して、従来の軸重計測装置においては、さまざまな方式が提案されているが、それらに共通していることは、路面および路肩の計測室に設けた計測機器のみで変動軸重と車両振動の両者を検出していることである。たとえば、路面に埋設する軸重検出部を複数台とし、軸重測定時間を車両の主振動一周期分に近づけて、車両振動の排除を目指すもの(例として特開2000−121418号公報参照)、路面の軸重検出部のほか、路肩に車両振動計測用の固定カメラを設けて、車両振動を排除するための情報を画像処理によって得ようとするもの(例として特開平8−313331号公報参照)などがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の軸重計測装置においては、例外なくハードウエア・ソフトウエアの複雑化・膨大化・高価格化といった問題があった。さらに、車種や車体構造の異なるさまざまな車両が異なった走行速度で軸重検出部上に進入したり、軸重検出部近辺の路面が摩耗していたり、傾斜していたりしても車両振動が多様化・複雑化する。そして、これら車両や路面のあらゆる状況変化に対応しながら静止軸重を算出することは、極めて困難な課題となっている。
【0008】
本発明は、車両の車種・車体構造・車速など車両に係わる条件に左右されず、また同時に、軸重検出部を埋設した路面の状態にも依存することなく、小規模な計測機器を用いて車両振動を簡単、確実な方法で排除して、静止軸重を算出することができる軸重計測装置の実現を目的としており、さらに、符号化情報を用いて車両の個体識別や車種判別を行ったり、車両振動の時刻履歴を記録として残す機能の実現も併せて目的としている。
【0009】
【問題を解決するための手段】
上記目的を実現するために、本発明は、路面に埋設して車両の変動軸重を検出する軸重検出手段と、車両に搭載して車両振動加速度を検出し無線電波を介して送信する加速度検出手段と、路肩の計測室に設置して前記変動軸重と加速度両検出手段の検出出力を用いて、車両の静止軸重を算出する軸重算出手段とによって軸重計測装置を構成したものである。そして、軸重測定の不確かさを小さくしたり、車両の個体識別や車種判別も併せて可能にしたり、車両振動の時刻履歴を記録として残したりすることもできるよう、前記加速度検出手段に符号発生器、時計および記録器を付加可能としたものである。
【0010】
車両の走行する路面に軸重検出部を埋設することは、見方を変えれば道路のセンサ化であり、これによって変動軸重の検出は可能となったが、車両振動の排除という問題を抱え込むこととなった。そして、1960年代の終わりから今日に至るまでこの問題に悩まされており、最近は高速走行という新たな条件が付加されて壁は一層高くなっている。そこで、従来とは視点を変えて、あたかも温度計などで検出端の非直線性をシグナルコンディショナが持っている補正係数で補正するように、車両においても、軸重の予測理論などを用いることなく、車両の振動加速度を直接検出して静止軸重を算出できるようにすること、すなわち、車両のセンサ化を考えるに至った。
【0011】
車両のセンサ化は、車両に加速度検出手段を搭載して、車両振動加速度を直接検出し無線電波を介して送信するという手段をとることで実現できる。これによって、変動軸重を構成している静止軸重と軸重の変動成分の二者を原因に遡って分離できるようになる。いま、車両振動に伴う変動軸重をWd、重力の加速度比で表した車両振動加速度をa、その構成成分をa、主振動である基本波周波数をf、振幅をbおよびc、高調波の次数をi、計測の目的である静止軸重をWsで表すと、車両の変動軸重Wdは数1に示すフーリエ級数に展開して示すことができる。
【0012】
【数1】
Figure 0004742380
【0013】
数1は、変動軸重が主振動のほかに多くの高調波成分を含んだ複雑な波形であることを表している。そして、右辺かっこ内で第二項以降はすべて車両振動加速度の項であり、これらの項が軸重を変動させる原因であり、同じ軸重を繰り返し測定しても都度異なった値を示す部分である。
【0014】
【数2】
Figure 0004742380
【0015】
そして、軸重検出部で検出した変動軸重Wdと、加速度検出部で検出した車両振動加速度aを計測制御部において、両者の位相を合わせながら、時々刻々数1から誘導される数2によって、目的とする静止軸重Wsを簡単、確実に算出できるようになる。変動軸重Wdがどのように複雑な振動成分を含んでいても、それに対応する車両振動加速度aを直接測定して静止軸重Wsを算出するので、数2を級数に展開してからデータ処理する必要がなく、最も単純な形で計算処理できるので計測機器のハードウエア・ソフトウエアの両面で簡素化が可能となる。
【0016】
本発明に基づいて、車両に加速度検出手段を搭載するとき、加速度検出器をどのように取り付けるかは、車種・車体構造などを考慮して決定する。たとえば、車両に搭載する加速度検出器を1個とする場合には、車両の重心を含む垂直面内やその近辺で、また、加速度検出器を複数個とする場合には、車軸緩衝バネの上側、下側または他の場所も含めて、軸重の変動成分を排除するのに最も効果的な位置を実車走行試験などで確かめるとよい。
【0017】
検出した車両振動加速度を無線電波を介して路肩に設けた計測制御部に送信する手段については、最近の無線利用技術の発展からさまざまな方法が考えられる。たとえば、移動体通信技術を用いて軸重計測専用の通信手段とすること、既存の高度道路交通システム(ITS)の自動料金支払いシステム(ETC)や道路交通情報システム(VICS)をはじめとする「情報化した車両」との相乗りとすること、モバイルコンピューティング、すなわち、携帯端末技術を応用すること等々が考えられる。そして、通信の双方向性を活かして計測制御部と加速度検出部との間で対話形式で軸重計測を進めることもでき、軸重計測装置の信頼性向上に役立つことが期待できる。
【0018】
また、加速度検出部に符号発生器を付加することによって、車両振動加速度を無線送信するとき、加速度検出器の取り付け位置情報を符号化情報として併せて送信が可能となる。これによって、変動軸重に対応する車両振動加速度の選択を確実化したり、何らかの路面側の事情によって加速度検出器の感度補正をしたりする場合でも、計測制御部における対応が容易となり、静止軸重Wsを算出する際の不確かさを小さくすることができる。加速度検出部は、この他にも車両の個体を識別するための車両識別情報や車種を判別するための車種判別情報なども同様に符号化情報として送信することができる。さらに、時計と記録器からなる時系列データの記録手段を設けて、予め設定した時間間隔ごとに車両振動加速度の時刻履歴を前記符号化情報とともに記録すること、計測制御部との対話を通じて受け取った動作指令・測定データ・通報内容等も記録として残すことが可能となり、車両振動を中心とした積み荷や車両の管理にも活かすことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
図1において、路面1に埋設した軸重検出部10は、載荷板2と埋設枠3の間に複数個のロードセル4を車両19の走行方向に対して前後二列に配置して、車両19の変動軸重Wdを検出するように構成されている。一方、車両19には、加速度計20、移動通信装置21および移動アンテナ22からなる加速度検出部30を搭載して、車両振動加速度aを検出し送信する機能が与えられている。
【0020】
図2は、車両19に搭載する加速度計20の基本的な機器構成を示す。すなわち、加速度検出器11、シグナルコンディショナ12、A/D変換器13によって検出、ディジタル化された車両振動加速度aは、PS変換回路14において並列信号から直列信号に変換されて移動通信装置21へと送られる。
【0021】
図3は、加速度計20の他の機器構成を示す。すなわち、図2の基本的な機器構成に符号発生器15を付加して、加速度検出器11の取り付け位置情報と、車両19の個体識別に必要な車両識別情報と、車両19の車種判別に必要な車種判別情報とを符号化情報として車両振動加速度aとともに送信可能にしている。また、時計16と記録器17とを設けて、前記符号化情報と、設定した時間間隔ごとの車両振動加速度の時刻履歴とを時系列な記録として残すことができるようになっている。
【0022】
図1に戻って、路肩の計測室に設置される計測制御部40は、二つの入力系統を持っている。一つは、軸重検出部10で検出した変動軸重Wdを受けてシグナルコンディショナ34で増幅後、A/D変換器35によってディジタル化する系統であり、他は車両19に搭載した加速度検出部30から車両振動加速度aを無線電波を介して固定アンテナ31、固定通信装置32によってディジタル信号として受信した後、SP変換回路33で直列信号から並列信号に戻す系統である。
【0023】
二つの入力系統から得られた変動軸重Wdと車両振動加速度aは、演算・制御部36において、両者の位相を合わせて車両振動を排除する演算、すなわち、静止軸重Wsの算出が前記数2に基づいて行われる。このとき、車両19に搭載した加速度検出器11が複数個であれば、車両19の前方から後方に向かって、順次各車軸の変動軸重Wdを検出する都度、前記符号化情報の加速度変換器取り付け位置情報に基づいて、対応する加速度検出器11を切り替えたり、あるいは、確認したりしながら前記同様に静止軸重Wsの算出が行われる。
【0024】
前記の手順による静止軸重Wsの算出と併せて、演算・制御部36においては、前記符号化情報の車両識別情報を用いて車両19の個体識別を行うことや車種判別情報を用いて車種判別を行うこともできる。なお、演算・制御部36に付帯する記憶部38は、演算・制御プログラム、入出力データ、中間データ、設定データ等を記憶する。表示・印字部37と操作部39は、軸重計測に関連するヒューマンインタフェースとして機能する。
【0025】
図4は、静止軸重Ws10tの車両19が、軸重の変動成分として最大振幅1t、主振動2Hzとその高調波10Hzを含む変動軸重Wdを伴って軸重検出部10上を通過したとき、軸重検出部10によって瞬間的に切り出される台形状軸重波形のモデルを示している。図4中の数値は、載荷板2の車両走行方向長さLdを60cm、タイヤの接地長さLcを25cm、車速Vを80km/h(22.2m/s)としたとき、台形状軸重波形の基底部における時間幅Tbは38.3msとなること、その間の有効な軸重測定時間Taはわずか15.8msしかないことなどを示している。そして、台形状軸重波形の頂上部分は、変動軸重Wdの影響を受けてさまざまに変化し得ることも示唆している。図4では主振動の2Hzは勿論、高調波の10Hzに対しても一周期中のごく一部しか検出しておらず、軸重測定の難しさを示した図ともなっている。なお、軸重感知レベルWtは、台形状軸重波形の立ち上がり部分に一定の軸重レベルWtを定めて、軸重検出の開始信号、すなわち、静止軸重算出の開始信号とするために設けたものである。
【0026】
図5は、車両19が軸重検出部10上を通過する場合に、載荷板2に対するタイヤの移動状態S1〜S4と台形状軸重波形の生成過程を示している。車両19の静止軸重Wsを10t、載荷板2の車両走行方向長さLdを60cm、タイヤの接地長さLcを25cmとして、まず、車両19を小刻みに進めたときに見られる静止軸重Wsの台形状軸重波形から説明し、続いて変動軸重Wdの台形状軸重波形について説明する。なお、図5において、図示する軸重はすべて静止軸重比とするほか、上方に示した軸重の各測定時間Ta〜Tdと下方の各時刻t1〜t4は、変動軸重Wdに関連する部分の説明用であり、静止軸重Wsに関連する部分の説明には使用しない。
【0027】
静止軸重Wsの台形状軸重波形は、車両19を小刻みに進めてタイヤが載荷板2に接触した状態S1から、車両19の移動とともに軸重はほぼ直線的に増加し、台形状軸重波形の立ち上がり部分を形成する。タイヤが載荷板2上に完全に乗り上げた状態S2で軸重は求める10tの静止軸重Wsに達し、この状態は、タイヤが載荷板2から降下をはじめる直前の状態S3に至るまで維持されて、台形状軸重波形の頂上部分を形成する。以後は車両19の移動とともに軸重がほぼ直線的に降下し、タイヤが載荷板2から完全に降下した状態S4に至って台形状軸重波形の立ち下がり部分が形成される。したがって、車両19を軸重検出部10上に停止させて静止軸重Wsを測定するときは、タイヤが載荷板2上に完全に乗り上げた状態、すなわち、状態S2〜S3の間において測定する必要がある。
【0028】
一方、図5における変動軸重Wdの台形状軸重波形の生成は、車両19が車両振動を伴って軸重検出部10上を時刻t1〜t4で瞬間的に通過するので、台形状軸重波形の生成も瞬間的となる。この場合も、台形状軸重波形の立ち上がりと立ち下がり部分は、ほぼ直線状となり、変動軸重Wdは台形の頂上部分で時刻t2〜t3に現れてくる。いま、変動軸重Wdに関連する新たな条件として、車両19の走行速度Vを80km/h、車両振動加速度aの最大振幅を重力の加速度比で0.1、その波形を正弦波、位相をπ/2radとして説明を単純化した上で、変動軸重Wsの台形状軸重波形生成の過程を考えてみる。
【0029】
車両19が走行することによって、静止軸重Wsに軸重の変動成分が重畳されて変動軸重Wdに変身していく過程は、図5において、静止軸重Wsの台形状軸重波形に車両振動加速度aが作用して変動軸重Wdの台形状軸重波形が生成されていく過程として説明することができる。すなわち、図5で静止軸重Wsの台形状軸重波形に重力の加速度と車両振動加速度aの作用効果として(1+a)を乗算してみれば、変動軸重Wdの台形状軸重波形が得られることが分かる。
【0030】
図5で得られた変動軸重Wdの台形状軸重波形は、前記条件の下に軸重検出部10が検出するごく瞬間的な台形状軸重波形であり、全軸重測定時間Tbが38.3ms、タイヤが載荷板2に乗り降りする時間Tcがそれぞれ11.3ms、有効な軸重測定時間Taが15.8msとなることを示している。そして、有効な軸重測定時間Taが最も重要であり、図5においては矢印付き太線で表示した。
【0031】
以上、図5において説明した変動軸重Wdの台形状軸重波形から、今度は、その生成過程を逆に辿って、車両振動加速度aの作用効果を分離して、静止軸重Wsの台形状軸重波形に至ることができれば、その頂上部分において単純な算術平均を求めるのみで正確な静止軸重Wsを知ることが可能となる。このための具体的手段が車両のセンサ化による車両振動加速度aの直接検出であり、変動軸重Wdと車両振動加速度aを用いた数2に示す単純な計算式が、図5の変動軸重Wdの台形状軸重波形から静止軸重Wsの台形状軸重波形への回帰を示していることになる。
【0032】
図6は、図4および図5にモデル的に示した変動軸重Wdの台形状軸重波形に関する実測データの参考例である。二軸の車両を時速45kmで試験走行させて測定した結果であり、データとしては古いが軸重計測の特徴がよく出ているデータである(データ出所 共和技報 第132号 1969年2月1日発行より)。載荷板2の車両走行方向長さLdやタイヤの接地長さLcなどが前記図4および図5の例に近いことから、走行速度の違いを換算すると時間軸上においては、図4および図5の変動軸重Wdの台形状軸重波形とおおむね一致する。しかし、変動軸重Wdを示す台形状軸重波形の頂上部分においては、実際の車両振動の方が複雑に乱れており、図4および図5に示したように単純でないことを示している。
【0033】
本発明は、要旨を逸脱しない範囲で多くの変更を加えることが可能である。たとえば、(1)車両19から車両振動加速度aや各種符号化情報を送信する際に電波に代わって光を用いること、(2)前記各種符号化情報に車両諸元データとしてカタログなどで一般に用いられている車両19に関するさまざまな情報を付加すること、(3)車両振動の検出を車両振動加速度aに代えて、車両振動に起因して車両19の特定部位に生じ、車両振動加速度と等価と考えられる各種物理量、たとえば、ひずみ・変位・圧力・応力・荷重などで行うこと、(4)坂道など特異な場所における軸重測定で、車両の上下方向加速度に前後方向加速度が伴うような場合には、前後方向加速度も併せて検出し、静止軸重算出時に加味して静止軸重の不確かさを小さくすること、また同時に、軸重検出部付近で急ブレーキ操作をする車両の発見などに役立てること、などが考えられる。
【0034】
【発明の効果】
本発明は、以上に記載したように構成されているので、以下に記載するような効果を奏する。
【0035】
路面に埋設した軸重検出部で車両の変動軸重を検出し、車両に搭載した加速度検出部で車両振動加速度を検出して、両検出結果を用いて車両の静止軸重を直接算出するので、軸重計測のどの段階においても軸重の予測理論を必要とせず、正確な静止軸重を知ることができる。
【0036】
車両に搭載する加速度検出器は、車種・車体構造・車速など車両側の条件と、軸重検出部を埋設した路面の摩耗など道路側の条件とを総合した形で車両振動加速度を検出するので、軸重計測における最大の問題である車両振動を本質的に排除して、低速から高速走行まで広い車速範囲をカバーする軸重計測装置が実現できる。また、このような本発明の特長を活かして、軸重検出部における載荷板の車両走行方向長さを従来よりも短くしても同様な測定結果を得ることが期待できる。
【0037】
車両振動を検出するために、路面に埋設する軸重検出部を複数個にしたり、固定カメラを設けて画像処理したりする必要がないので、計測機器のハードウエア・ソフトウエアの両面で小規模、安価、高信頼性等を同時に実現できる。
【0038】
本発明は、単なる軸重計測装置に留まらず、軸重計測を主体とした車両の個体識別装置、あるいは、軸重計測を主体とした車種判別装置としても使用できるほか、車両に搭載した加速度計は、符号化情報とともに車両振動の時刻履歴を記録として残すことができるので、車両振動を主体とした積み荷や車両の管理機器として新たな用途も開拓できる。
【0039】
車両に加速度検出器を設ける車両のセンサ化は、たとえば、現在進行中の高度道路交通システム(ITS)における自動料金収受システム(ETC)、道路交通情報システム(VICS)をはじめとする次世代技術やモバイルコンピューティング技術等々時代が志向する技術との親和性もよいので、将来、これら技術との融合にもおおいに期待が持てる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明軸重計測装置の機器構成図である。
【図2】 図1に示した加速度計の機器構成図である。
【図3】図1に示した加速度計の他の機器構成図である。
【図4】変動軸重の台形状軸重波形のモデルを示す図である。
【図5】静止軸重および変動軸重の台形状軸重波形の生成過程を示す図である。
【図6】変動軸重の台形状軸重波形の実測データを示す参考図である。
【符号の説明】
1 路面
2 載荷板
3 埋設枠
4 ロードセル
10 軸重検出部
11 加速度検出器
12 シグナルコンディショナ
13 A/D変換器
14 PS変換回路
15 符号発生器
16 時計
17 記録器
19 車両
20 加速度計
21 移動通信装置
22 移動アンテナ
30 加速度検出部
31 固定アンテナ
32 固定通信装置
33 SP変換回路
34 シグナルコンディショナ
35 A/D変換器
36 演算・制御部
37 表示・印字部
38 記憶部
39 操作部
Ws 静止軸重
Wd 変動軸重
a 車両振動加速度

Claims (1)

  1. 路面に埋設して、走行する車両の車両振動に伴う変動軸重を検出する軸重検出手段と、車両に搭載して変動軸重に対応した車両振動加速度を加速度計で直接測定し無線電波を介して送信する加速度検出手段と、路肩の計測室に設置して前記軸重検出手段と前記加速度検出手段の両検出出力を用いて車両振動に伴う軸重の変動成分を排除して車両の静止軸重を算出する軸重算出手段とを備え、低速から高速で走行する車両に対応可能な軸重計測装置であって、前記加速度検出手段において、符号発生器を付加して、車両に対する加速度検出器の配置状態を示す加速度検出器取り付け位置情報と、車両の個体を識別するための車両識別情報と、車両の車種を判別するための車種判別情報とを符号化情報として、車両振動加速度とともに無線電波を介して送信する機能を持たせて、計測制御部において車両の静止軸重を算出する際に、加速度検出器取り付け位置情報を用いて変動軸重と車両振動加速度の対応を確実にして、算出する静止軸重の不確かさを小さくするとともに、車両識別情報を用いて車両の個体識別を、また、車種判別情報を用いて車両の車種判別をそれぞれ可能とした軸重計測装置。
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