JP4742173B2 - カーペット、それに用いる繊維質バッキング及びズレ防止性を有する編物 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば自動車や列車、航空機などの乗り物の床面に敷設されるカーペットやマット、建物の室内や廊下の床面に敷設されるカーペットやマット、コンピュータのオペレーション用チェアマット、部屋の出入口に敷設される床面用マット、エレベータ内やエレベータホールの開閉扉前に敷設される床面用マット、玄関マットなどに適用されるカーペット、それに用いる繊維質バッキング及びズレ防止性を有する編物に関する。詳細には優れたズレ防止性を有すると共に軽く、しかも吸音性に優れるカーペット、それに用いる繊維質バッキング及びズレ防止性を有する編物に関する。
従来、自動車床面や建物床面に敷設されるカーペット11の多くは、図5に示すように、フェルトや不織布などの繊維シート12にパイル糸13を打ち込むと共に、前記パイル糸13の抜け止めのためにプレコート層14を設けた繊維基材15と、この繊維基材15裏面に形成したバッキング16とから構成されていた。
ところが近年、カーペット、特には自動車床面に敷設されるカーペットにおいては、自動車のハイブリッド化に伴い、軽量化、低コスト化が求められるようになってきている。その他の建物などの分野においても、省資源、省エネルギー化の流れの中で、カーペットに対する軽量化、低コスト化の克服は、大変に重要な課題となっている。
一方、快適性の要求の高まりの中で、自動車内や建物内の静粛性に対する要求もあり、自動車床面や建物床面に敷設されるカーペットに対しても、そのような性能が求められるようになった。
しかしながら従来のカーペット11にあっては、繊維基材15裏面に形成されているバッキング16が、ポリ塩化ビニルなどの未発砲の合成樹脂層からなるので重く、しかも該バッキング16は音の透過を遮断する遮音層として作用するので、自動車内や建物内に伝播まはた発生して当該カーペット11に衝突した騒音は、前記バッキング16に跳ね返されてしまい、室内に反響してしまうという欠点があった。
そこで本発明者は、このような事情に鑑み、軽く、しかも吸音性に優れるカーペットを特許文献1において提案している。このカーペット101は、図6に示すように繊維基材105の裏面側に繊維質シート107を樹脂成分108で固めた繊維質バッキング106を形成したことを特徴とするものである。
ところがこのカーペット101は、裏面が繊維質バッキング106からなるので突掛かりがなく滑りやすいという不具合があった。
特開2003−19067号公報 (特願2001−206608号)
本発明は、先に提案した特許文献1に記載の軽く、しかも吸音性に優れるカーペットをさらに改良したものであり、軽く、吸音性に優れ、しかも滑り難いカーペット、それに用いる繊維質バッキング及びズレ防止性を有する編物を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するため、本発明は、繊維基材の裏面側に繊維質バッキングを形成したカーペットであって、
前記繊維質バッキングの裏面側に、表面と裏面とを有する編み糸挿入編物の前記表面と裏面とを接続するループ状糸をカットした編物一体化されており、
前記編物のループ状糸のカット端が、該カーペットを敷設する床面を係止する係止部として該編物の表面から突出していることを特徴とするカーペット
カーペットの繊維基材の裏面側に形成される繊維質バッキングであって、
表面と裏面とを有する経編み緯糸挿入編物の前記表面と裏面とを接続するループ状経糸をカットした編物が一体化されており、
前記編物のループ状経糸のカット端が、該カーペットを敷設する床面を係止する係止部として該編物の表面から突出していることを特徴とする繊維質バッキング、
並びにカーペットの裏面側に設けられるズレ防止性を有する編物であって、
表面と裏面とを有する経編み緯糸挿入編物の前記表面と裏面とを接続するループ状経糸をカットした編物からなり、
前記編物のループ状経糸のカット端が、該カーペットを敷設する床面を係止する係止部として該編物の表面から突出していることを特徴とする編物をその要旨とした。
本発明のカーペット401は、そのバッキングが繊維質バッキング406からなるので、従来の未発泡樹脂層からなるバッキングに比べて大幅に重量とコストを削減できるようになっている。
またこのカーぺット401にあっては、繊維質バッキング406を採用しているので、自動車内や建物内に伝播または発生して当該カーペット401に衝突した騒音は、前記繊維質バッキング406に吸収除去され、跳ね返されて室内に反響してしまうことはない。
さらにこのカーペット401は、繊維質バッキング206の裏面側に一体化された編物409構成する糸410のカット端が該編物409の表面から突出していて、これが床面に引っ掛かって滑り難くなっている。
本発明のカーペットの別形態を示す要部拡大断面図。 図1に示すカーペットの製造過程を示す要部拡大断面図。 図1に示すカーペットの製造過程を示す要部拡大断面図。 図1に示すカーペットの製造過程を示す要部拡大断面図。 従来のカーペットを示す要部拡大断面図。 従来のカーペットの別例を示す要部拡大断面図。
以下、本発明を図面に示した実施の形態に従って説明する。図1〜図4に示すように、本発明のカーぺット401は、繊維基材205と繊維質バッキング406とを有している。繊維基材205は、不織布、紙、布、フェルトあるいはこれらの複合物からなる繊維シート202にパイル糸203を所定のボリュームで略U字状となるように打ち込み、抜け止めのためのプレコート204を施したものである。尚、本発明における繊維基材205は、パイル糸203を打ち込まない繊維シート202のみからなる形態を採ることもできる。
繊維基材205を構成する繊維シート202には、例えばチタン、セリウム、亜鉛、銅といった光触媒粒子表面をフッ素系多孔質層で被覆した抗菌性防臭粒子を繊維表面に付着させた抗菌性防臭繊維を含ませたもの、あるいは従来公知の抗菌剤をバインダーと共にシートの構成繊維表面に塗布または散布して付着させたものを用いることができる。この場合、繊維基材205は抗菌性を有するようになり、室内の悪臭を効率よく吸収しこれを分解または吸着除去するようになる。
また、繊維基材205を構成する繊維シート202には、導電性繊維を含んでいて静電気の空中放電機能を有する放電紙を積層すると共に、これら放電紙と繊維シート202の積層物に導電性繊維を含むパイル糸203を略U字状となるように打ち込んでなる繊維基材205を用いることもできる。
この場合、人がカーペット201に接触したとき、パイル糸203に含まれる導電性繊維が人体に帯電した静電気を瞬時にカーペット201側へと導き、カーペット201内の放電紙によって空中放電されるようになる。また、静電気の一部は、放電紙を経由してパイル糸201に含まれる導電性繊維を通じて空中放電されるようになっている。
尚、上記放電紙及びパイル糸203に含まれる導電性繊維としては、特に限定されず、例えば炭素繊維、金属繊維、導電性セラミック繊維などの無機繊維、合成繊維を主材とし、この繊維表面に銅や銀、アルミニウムなどの金属をメッキしたメッキ繊維、繊維表面に銅や銀、アルミニウムなどの金属を練り込んだもの、あるいは繊維成分中に導電性を有する樹脂を含ませた繊維などを挙げることができる。
図1〜図4に示す例では、繊維基材205と後述する繊維質バッキング406との間に、両者を接着する接着剤として機能する熱接着性繊維層209が設けられている。
熱接着性繊維層209は、通気性を確保しながら、しかも前記繊維基材205と繊維質バッキング406とを接合する機能を有する。この繊維層209を構成する熱接着性繊維としては、例えば高融点重合体を芯成分、低融点重合体を鞘成分に配した芯鞘型複合繊維からなるものを好ましいものとして挙げることができる。特に、高融点重合体の融点と低融点重合体の融点との差が15℃以上であることが好ましく、20℃以上であることがさらに好ましい。高融点重合体/低融点重合体の組み合わせとしては、ポリエステル/ポリオレフィン、高融点ポリエステル/低融点ポリエステル、ポリアミド/ポリオレフィン、高融点ポリアミド/低融点ポリアミド、ポリプロピレン/ポリエチレン、高融点ポリエチレン/低融点ポリエチレン等が挙げられる。
繊維質バッキング406には、繊維質シート407を樹脂成分408で固めたものを用いることができる。繊維質シート407は、不織布、紙、布、フェルトあるいはこれらの複合物からなる。この繊維質シート407はそれ単独では柔らかく、腰が無いので、バッキングとして所定の硬さを確保するため、樹脂成分408で固められているのである。
樹脂成分408としては、前記繊維層409を構成する熱接着性繊維の熱溶融物であったり、繊維質シート407の構成繊維として熱接着性繊維を含ませて、これを熱溶融させた熱溶融物であったり、或いは両方であってもよい。
繊維質シート407の構成繊維として含まれる熱接着性繊維としては、熱接着性繊維層209と同じものが好ましい。
また別の樹脂成分408としては、繊維質シート407の構成繊維中にホットメルト樹脂を含ませておき、これを熱溶融させた熱溶融物であってもよい。ホットメルト樹脂としては、ポリアミド系ホットメルト樹脂、ポリスチレン系ホットメルト樹脂、ポリエチレン系ホットメルト樹脂、EVA系ホットメルト樹脂などを好適に使用できる。このホットメルト樹脂は、繊維質シート407に塗布または含浸することで含ませることができる。
前述の樹脂成分としての熱溶融物は、いずれも繊維質シート407に所定の硬さを付与するためのものであり、また繊維質バッキング406には、構成繊維間及び構成繊維と熱溶融物との間に隙間が存在している。
このため、自動車内や建物内に伝播または発生して当該カーペット401に衝突した騒音は、前述の繊維基材205を通過し、さらに繊維質バッキング406を通過する過程、すなわち、繊維質バッキング406の構成繊維間及び構成繊維と熱溶融物との間の隙間を通過する過程で、構成繊維及び熱溶融物に衝突し、ここで摩擦熱としてエネルギー変換されて吸収除去されようになっている。
図1〜図4に示す形態において繊維質バッキング406の裏面側には、表面と裏面とを有する編み糸挿入編物(図示しない)の前記表面と裏面とを接続するループ状糸410をカットした編物409が一体化されており、前記糸410のカット端が係止部として該編物409の表面から突出しているのである。尚、この例における糸410には、太く硬めの単繊維を用いているが、これに限らず、マルチフィラメントを用いてもよい。
図1に示す繊維質バッキング406は、まず図2に示すように、編み糸挿入編物(図示しない)の前記表面と裏面とを接続するループ状糸410をカットした編物409を熱接着性繊維を含む繊維質シート407に積層し、次いで、これを水流、空気流あるいは針を用いて絡合処理することで、図3に示すように繊維質シート407の構成繊維並びに繊維質シート407に含まれる熱接着性繊維が編物409と絡み合い、両者は一体化される。
その上で加熱処理することで図4に示すように繊維質シート407に含まれる熱接着性繊維が熱融着して樹脂成分408となり繊維質シート407が固められて繊維質バッキング406となると共に、編物409と絡み合う熱接着性繊維も同様に熱融着して樹脂成分408となり、両者の一体性を高める。また編物409のカットされた糸410も樹脂成分408でその基部(根本部分)が固められ、糸410のカット端の強度も高くなり、床面への食い込み性、ズレ防止性も向上することになる。
(削除)
(削除)
尚、図1に示す形態において、例えば編物ポリエステル系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリウレタン系、ポリ尿素系などの熱硬化性樹脂を含浸または塗布し、これを加熱して硬化処理することで、係止部として機能するカットされた糸の硬さ、強度を高くし、該糸のカット端の床面への食い込み性、ズレ防止性を向上させることもできる。
尚、本発明のカーペットは、熱接着性繊維層209と繊維基材205との間に連続気泡型の発泡樹脂層を設けて吸音性を高めるようにすることもできる。発泡樹脂層を構成する樹脂としては、例えば前述のポリアミド系ホットメルト樹脂、ポリスチレン系ホットメルト樹脂、ポリエチレン系ホットメルト樹脂、EVA系ホットメルト樹脂などのホットメルト樹脂に発泡剤を添加したりガスを吹き込むことで発泡させたものが好ましい。
205・・・繊維基材
406・・・繊維質バッキング
407・・・繊維質シート
407・・・樹脂成分
209・・・熱接着性繊維層
409・・・編物
410・・・

Claims (18)

  1. 繊維基材の裏面側に繊維質バッキングを形成したカーペットであって、
    前記繊維質バッキングの裏面側に、表面と裏面とを有する編み糸挿入編物の前記表面と裏面とを接続するループ状糸をカットした編物一体化されており、
    前記編物のループ状糸のカット端が、該カーペットを敷設する床面を係止する係止部として該編物の表面から突出していることを特徴とするカーペット
  2. 繊維質バッキングが、熱接着性繊維を含有し、前記熱接着性繊維の熱溶融した樹脂成分によって固められた繊維質シートからなることを特徴とする請求項1に記載のカーペット。
  3. 熱接着性繊維を含む繊維質シートからなる繊維質バッキングと、表面と裏面とを有する経編み緯糸挿入編物の前記表面と裏面とを接続するループ状経糸をカットした編物とが絡合処理によって積層一体化されることにより、前記繊維質シートに含まれる熱接着性繊維が編み糸挿入編物と絡み合い、この状態で加熱処理されることで前記編み糸挿入編物のカットされたループ状糸の基部が前記熱接着性繊維の熱溶融した樹脂成分によって固められていることを特徴とする請求項2に記載のカーペット。
  4. 繊維質バッキングが、ホットメルト樹脂を含有し、前記ホットメルト樹脂の熱溶融した樹脂成分によって固められた繊維質シートからなることを特徴とする請求項1に記載のカーペット。
  5. 表面と裏面とを有する編み糸挿入編物の前記表面と裏面とを接続するループ状糸をカットした編物熱硬化性樹脂が含浸または塗布されており、前記熱硬化性樹脂が硬化処理されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のカーペット。
  6. 表面と裏面とを有する経編み緯糸挿入編物の前記表面と裏面とを接続するループ状経糸がモノフィラメントであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のカーペット。
  7. 表面と裏面とを有する経編み緯糸挿入編物の前記表面と裏面とを接続するループ状経糸がマルチフィラメントであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のカーペット。
  8. カーペットの繊維基材の裏面側に形成される繊維質バッキングであって、
    表面と裏面とを有する経編み緯糸挿入編物の前記表面と裏面とを接続するループ状経糸をカットした編物が一体化されており、
    前記編物のループ状経糸のカット端が、該カーペットを敷設する床面を係止する係止部として該編物の表面から突出していることを特徴とする繊維質バッキング。
  9. 熱接着性繊維を含有しており、前記熱接着性繊維の熱溶融した樹脂成分によって固められた繊維質シートからなることを特徴とする請求項8に記載の繊維質バッキング。
  10. 熱接着性繊維を含む繊維質シートと、表面と裏面とを有する経編み緯糸挿入編物の前記表面と裏面とを接続するループ状経糸をカットした編物とが絡合処理によって積層一体化されることにより、前記繊維質シートに含まれる熱接着性繊維が経編み緯糸挿入編物と絡み合い、この状態で加熱処理されることで前記経編み緯糸挿入編物のカットされたループ状経糸の基部が前記熱接着性繊維の熱溶融した樹脂成分によって固められていることを特徴とする請求項9に記載の繊維質バッキング
  11. ホットメルト樹脂を含有しており、前記ホットメルト樹脂の熱溶融した樹脂成分によって固められた繊維質シートからなることを特徴とする請求項8に記載の繊維質バッキング。
  12. 表面と裏面とを有する経編み緯糸挿入編物の前記表面と裏面とを接続するループ状経糸をカットした編物に熱硬化性樹脂が含浸または塗布されており、前記熱硬化性樹脂が硬化処理されていることを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載の繊維質バッキング。
  13. 表面と裏面とを有する経編み緯糸挿入編物の前記表面と裏面とを接続するループ状経糸がモノフィラメントであることを特徴とする請求項8〜12のいずれかに記載の繊維質バッキング。
  14. 表面と裏面とを有する経編み緯糸挿入編物の前記表面と裏面とを接続するループ状経糸がマルチフィラメントであることを特徴とする請求項8〜12のいずれかに記載の繊維質バッキング。
  15. カーペットの裏面側に設けられるズレ防止性を有する編物であって、
    表面と裏面とを有する経編み緯糸挿入編物の前記表面と裏面とを接続するループ状経糸をカットした編物からなり、
    前記編物のループ状経糸のカット端が、該カーペットを敷設する床面を係止する係止部として該編物の表面から突出していることを特徴とする編物。
  16. 表面と裏面とを有する経編み緯糸挿入編物の前記表面と裏面とを接続するループ状経糸をカットした編物に熱硬化性樹脂が含浸または塗布されており、前記熱硬化性樹脂が硬化処理されていることを特徴とする請求項15に記載の編物。
  17. 表面と裏面とを有する経編み緯糸挿入編物の前記表面と裏面とを接続するループ状経糸がモノフィラメントであることを特徴とする請求項15又は16のいずれかに記載の編物。
  18. 表面と裏面とを有する経編み緯糸挿入編物の前記表面と裏面とを接続するループ状経糸がマルチフィラメントであることを特徴とする請求項15又は16のいずれかに記載の編物。
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