JP4740033B2 - 四塩化チタンの精製方法およびこれに用いる精製装置 - Google Patents

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Description

本発明は、塩化炉で生成された粗四塩化チタンの精製方法およびこれに用いる精製装置を効率的に用いる技術に関する。
四塩化チタン(TiCl)は、様々な分野で多用される金属チタンの原料であるスポンジチタンや酸化チタンの原料として広く用いられている。四塩化チタンは、塩化炉内に形成したチタン鉱石とコークスからなる高温に保持された流動層に塩素ガスを供給して塩素化することにより製造される。
塩化炉で生成した四塩化チタンは高温のため気体状態であるので、四塩化チタンの沸点以下まで冷却されて、液体状態で分離回収される。分離回収された粗四塩化チタンは蒸留工程にて精製されて、純度の高い精製四塩化チタンを得ることができる。
前記の液体状態で分離回収された粗四塩化チタンには、シリコン、ニオブ、アルミニウム、バナジウム等の多数の塩化物が含まれている。このため、粗四塩化チタンは、引き続き蒸留精製されて純度が高められ精製四塩化チタンが製造される。
粗四塩化チタンの蒸留に用いられる蒸留精製装置は汎用的な精留塔が用いられて来ているが、近年脚光を浴びている高純度四塩化チタンの製造には、従来の設備では要求特性を満足させることが難しい場合があり改善が求められていた。
また、四塩化チタンの精製効率を高めるにつれて、四塩化チタンから分離除去される高沸点成分等の不純物量も増加する。これらの不純物は精留塔の缶出液として大半が分離除去されるが、一部は精留塔の内部に付着・蓄積され、精留塔内部のガスや蒸留液の流通を妨げる場合や閉塞させる場合があり改善が求められていた。
一方、公知の四塩化チタンの製法においては、性能が同等な精留塔を2本用いてこれらの精留塔に粗四塩化チタンを直列に流し、さらに第1の精留塔から蒸留液を抜きだす位置に基いて第2の精留塔から抜き出す蒸留液の位置を規定することにより純度の高い四塩化チタンが製造されている(例えば、特許文献1参照)。
また、四塩化チタンの蒸留装置内の特定部位に高沸点成分が析出し、前記装置の機能を低下させるという課題については、前記の高沸点成分析出部位に精製四塩化チタンを供給することにより高沸点成分を溶解消滅させる技術も開示されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、特許文献1においては、性能の近似した2本の精留塔を用いるために精留塔に詰まりが生じた場合には、精留塔を1本で稼動している場合に比べて約2倍の復旧時間が要求されるという問題があった。また、精留塔自身が目詰まりを起こしこれを整備する場合には、前記の精留塔オーバーホールにて対応することになる。このような精留塔のオーバーホールには、比較的長時間を要し、また整備の間は四塩化チタンの精製工程を停止させる必要があった。また、特許文献2においては、一度精製した四塩化チタンを再度蒸留装置に戻して粗四塩化チタンと混合させるため、四塩化チタンの精製効率が悪化するという問題があった。
このように、四塩化チタンの品質および精製効率を維持しながら、蒸留装置の整備が容易で、しかも精留装置を整備する際にも蒸留工程を停止させないような四塩化チタンの蒸留精製方法および設備が求められている。
特開2002−187718号公報 特開2006−055740号公報
精留塔を用いた四塩化チタンの精製方法において、前記精留塔内への高沸点成分の析出を効果的に回避でき、しかも整備が容易となるような四塩化チタンの精製方法およびこれに用いる精製装置の提供を目的とする。
かかる実情に鑑みて前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねてきたところ、精留塔を用いて四塩化チタンを精製する際に、本精留塔の前段に簡易精留塔を配置し、簡易精留塔の前段に蒸留釜を配置することにより、本精留塔の能力を飛躍的に向上させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本願発明に係る四塩化チタンの精製方法は、2基の精留塔を直接接続して使用する四塩化チタンの精製方法であって、第2段目の蒸留塔の理論段数が、第1段目の理論段数に対して4倍以上の範囲とすることを特徴とするものであり、より具体的には、蒸留釜によって粗四塩化チタンを蒸留し、得られた四塩化チタンに富む留出液を、蒸留釜の下流側に接続され、内部が直列に連通した複数の蒸留室に区画された簡易精留塔に供給して蒸留し、簡易精留塔で得られた四塩化チタンに富む留出液を、簡易精留塔の下流側に接続された、内部が直列に連通した簡易精留塔の理論段数よりも4倍以上大きい段数に対応した数の蒸留室を有する本精留塔に供給してさらに蒸留を行い、本精留塔に蓄積した高沸点成分に富む缶出液を簡易精留塔に戻し、さらに簡易精留塔底部の高沸点成分に富む還流液を蒸留釜に戻すことを特徴としている。
上記構成の本発明によれば、不純物である高沸点成分を多く含む缶出液が蒸留釜において大部分トラップされ、さらに次の段階の簡易精留塔でもトラップされるため、本精留塔においては比較的純度の高められた粗四塩化チタンが蒸留されるので、本精留塔の精製能力を向上させることができる。
また、本精留塔に蓄積した高沸点成分に富む缶出液を簡易精留塔に戻し、さらに簡易精留塔底部の高沸点成分に富む還流液を蒸留釜に戻すので、本精留塔の精製能力を維持しつつ本精留塔内への高沸点成分の析出・堆積を効果的に回避することができ、かつ、戻された缶出液に含まれる四塩化チタン成分を再度蒸留して回収することができるため、好ましい。
さらに、本精留塔および簡易精留塔の内部を、直列に連通した理論段数の蒸留室に区画し、本精留塔に比べて簡易精留塔の理論段数が小さくなるように本精留塔および簡易精留塔を構成しているので、簡易精留塔が本精留塔に比べて区画される段数が少なく、すなわち、構造が単純で適度な大きさに構成することができるため、前記した不純物の閉塞があったとしても短時間で整備を完了することができる。その結果、四塩化チタンの精製工程を停止させることなく、簡易精留塔を整備することができるという現実的な効果も奏する。
また、本発明に係る四塩化チタンの精製装置は、上述のとおり、粗四塩化チタンを蒸留する蒸留釜と、上記蒸留釜の下流側に接続され内部が直列に連通した複数の段数に区画された簡易精留塔と、上記簡易精留塔の下流側に接続され内部が直列に連通した上記簡易精留塔の理論段数よりも4倍以上大きい理論段数に対応した数の蒸留室を有する本精留塔とを備え、上記本精留塔に蓄積する高沸点成分に富む缶出液を上記簡易精留塔に戻すように構成され、さらに上記簡易精留塔底部の高沸点成分に富む還流液を上記蒸留釜に戻すように構成されたことを特徴としている。
上述した本発明の精製方法および精製装置を用いることにより、粗四塩化チタン中に含まれる高沸点成分等の不純物の本精留塔内における析出・蓄積を効果的に抑制しつつ、純度の高い四塩化チタンを効率良く製造できるという効果を奏するものである。
本発明の最良の実施形態について図面を用いて以下に説明する。
図1は本発明の四塩化チタン精製装置およびこれを用いた四塩化チタンの精製方法に係る工程を表している。符合1は、最初に粗四塩化チタンを供給して蒸留を行う蒸留釜である。蒸留釜1には、前段階である製造工程からの粗四塩化チタンが供給されるため、この粗四塩化チタンには反応時の残留物であるコークスや鉱石粉(以降、単に「固形不純物」と称する場合がある)が混入し、高沸点成分や低沸点成分等の不純物が溶解している。そのため、蒸留装置内部には、前記不純物の析出や目詰まりが生じ易い。そのため、蒸留釜1の構造はメンテナンスの容易なものを選択することが好ましい。
蒸留釜1の下流には、蒸留釜1からの留出液を供給する簡易精留塔2が接続されている。蒸留釜1によって大部分の固形不純物が除かれ、純度がある程度高められた粗四塩化チタンは簡易精留塔2においてさらに蒸留される。簡易精留塔2の下流には、本精留塔3が接続されており、簡易精留塔2によって純度が大幅に高められた粗四塩化チタン留出液は本精留塔3においてさらに蒸留され、最終製品である精製四塩化チタンが得られる。
このように簡易精留塔を蒸留釜と本精留塔の間に配置することにより、本精留塔内に持ち込まれる高沸点成分の絶対量を抑制し、また、四塩化チタン中に混在している固形不純物の本精留塔への混入も効果的に回避することができる。その結果、前記高沸点成分の蓄積や固形物の堆積により生起することが多い本精留塔内のガスまたは蒸留液の流路の閉塞を効果的に回避することができる。その結果、本精留塔の整備作業を大幅に回避することができるという効果を奏する。加えて、本発明に係る四塩化チタン製造装置の稼働率の低下も効果的に回避することができる。
図2は、本発明の他の実施形態の模式図を表す。図1における実施形態との差異は、本精留塔3の缶出液を簡易精留塔2に戻し(符号4:戻り液1)、簡易精留塔2の還流液を蒸留釜1に戻す(符号5:戻り液2)点である。このように、各段階の缶出液を抜き出すことによって、各段階の精留塔内における不純物量を減らすことができるため、不純物の析出による目詰まりの防止および効率の高い蒸留を行うことができる。また、缶出液には目的成分の四塩化チタンも含まれているが、これを前段階に戻して再度蒸留を行うことができるので、四塩化チタン回収率を向上させることができる。
本発明に係る四塩化チタンの精製装置においては、本精留塔および前記簡易精留塔の内部を、直列に連通した理論段数の蒸留室に区画し、本精留塔に比べて簡易精留塔の理論段数が小さいように構成することが好ましい。ここでいう理論段数が小さいとは、言い換えると、本精留塔に比べて装置が小型であり、また区画される段数が少ないなど装置構造が単純であることを意味する。このような装置構成とすることにより、高沸点成分や固形不純物の蓄積により閉塞した簡易精留塔の整備を容易に行うことができるという効果を奏する。
簡易精留塔は、例えば、図3に示すような泡鐘塔で構成することができる。物理的な段数は、3〜5段程度で本発明の目的を達成することができる。なお、本発明に係る簡易精留塔は泡鐘塔に限定されることなく、単純な棚段で構成してもよい。いずれにしても四塩化チタンに含まれる高沸点成分や固形不純物を分離除去する機能を有し、かつ、整備作業が簡便であるものであれば特に構造に制限はない。
また、簡易精留塔2は、図4に示すように2基を並列に配置しておくこともできる。このような配置とすることで、簡易精留塔2の一方が閉塞した場合には、別の簡易精留塔に切り替えることで、四塩化チタン精留工程全体の操業を停止することなく整備作業を継続することができる。
簡易精留塔2の下流側に配置された本精留塔3には、前段に配置した簡易精留塔2で高沸点成分が分離除去された四塩化チタンが供給される。よって、前記四塩化チタンには、高沸点成分に比べて低沸点成分が濃縮しており、高沸点成分に加えてこれらの低沸点成分を分離除去できるような理論段数を有する構造としておくことが好ましい。
前記した低沸点成分には、ヒ素やスズの塩化物であり、これらの塩化物の沸点は四塩化チタンの沸点に近いために、分離性能の高い精留塔を用いることが好ましい。このような意味から、理論段数は、少なくとも10段以上が好ましく、より好ましくは、20段以上が好ましい。しかしながら、理論段数を或る程度増加させても分離性能とは比例して増加しないので、現実の段数は40段程度が実用的な上限であると考えられる。
次いで、前記した蒸留釜、簡易精留塔および本精留塔の運転方法の好ましい態様につき詳細に述べる。
1)蒸留釜
蒸留釜には、鉄やアルミニウムの塩化物のような四塩化チタン中に溶解している高沸点成分の分離と塩化炉からキャリーオーバーされた鉱石やコークスの微粉を分離するように運転することが好ましい。よって、四塩化チタンの滞留時間を十分取るように運転することにより、前記の固形物の分離を効率よく行わせることが可能となる。
四塩化チタンに溶解している高沸点成分の蒸気圧は、蒸留釜の温度に比例するので、高沸点成分を分離除去するには、蒸留釜1の運転温度は、低い方が好ましい。一方、四塩化チタンの蒸留能力の点では蒸留釜1の温度は高い方が好ましい。
また、蒸留釜1の下流に配置した簡易精留塔2からの缶出液の一部が蒸留釜1に戻されるように構成することが好ましい。蒸留釜1に戻された缶出液中の四塩化チタンは再度蒸発して簡易精留塔2に移送される。このため、蒸留釜1中の高沸点成分の濃度は常に上昇する傾向にあるので定期的に蒸留釜1の底部から所定量の液を抜き出すことが好ましい。
2)簡易精留塔
簡易精留塔2は、本精留塔3の前段に配置され蒸留釜1の後段に配置することが好ましい。このように配置することにより、前記簡易精留塔2は供給する四塩化チタン中の高沸点成分や固形不純物を予め分離除去しておくことができる。
蒸留釜1から簡易精留塔2に供給される四塩化チタンの流量に対する、簡易精留塔2から蒸留釜1への還流液の戻り流量の比は、0.1〜0.3の範囲に維持することが好ましい。このような比率に維持することにより、簡易精留塔2内の高沸点成分の濃度を適切に維持しつつ、要求される四塩化チタンの生産量を維持することができる。
簡易精留塔2を図3に示すような泡鐘塔で構成する場合に、前記泡鐘塔の頂部から本精留塔3へ排出する四塩化チタンの流量に対する泡鐘塔内の塔底部に戻す流量比(還流比)は、0.1〜0.5の範囲に維持することが好ましい。このような還流比に維持することにより、四塩化チタンの生産量を確保しつつ、四塩化チタン中の高沸点成分の濃度を目的の範囲内に維持することができる。
簡易精留塔2の底部に蓄積した高沸点物は、適宜抜き出して蒸留釜1に戻すことが好ましい。このような高沸点物の抜き出しを行うことで、簡易精留塔2内の高沸点物の濃度を低減することができる。その結果、簡易精留塔2内での高沸点物の分離性能を高いレベルに維持することができる。
3)本精留塔
本精留塔3には、高沸点成分が大略分離された低沸点成分の多い四塩化チタンが供給される。よって、本精留塔3の底部にある図示しないリボイラーの温度を簡易精留塔2のリボイラーの温度よりも高めることにより、低沸点成分を効率よく塔頂部に濃縮することができる。
しかしながら、これに応じて四塩化チタンの蒸発量も増加して頭頂部へ蓄積されて四塩化チタン中の低沸点成分の濃度が低下しない場合もある。よって、四塩化チタン中の不純物の濃度と生産量を勘案して前記リボイラの温度を設定することで適切な範囲に設定することが好ましい。本発明においては、130℃〜145℃の範囲に維持することが好ましい。
前記したように本精留塔3は、四塩化チタン中の低沸点成分で、しかも四塩化チタンの沸点に近い低沸点成分を分離除去できるよう構成することが好ましい。よって、前記したように理論段数は、少なくとも10段以上が好ましく、20段以上がより好ましいとされる。ただし、過剰に段数を増加させても精留効率の改善度合いは飽和する傾向にあるので、40段程度が現実的な上限とすることが好ましい。
次に、本精留塔3の頂部に凝縮した液状の四塩化チタンの一部を、塔頂部から適宜抜き出すことより、四塩化チタン中の低沸点成分を効果的に分離することができる。
本発明おいては、前記したように本精留塔3の缶出液の一部を簡易精留塔2の底部に戻し、さらに、簡易精留塔2の缶出液を蒸留釜1に戻すように操作することが好ましい。このような缶出液の流れを形成することで、リボイラーから蒸発した四塩化チタンガスの流れと缶出液とが、蒸留釜1、簡易精留塔2、および本精留塔3の装置間においても向流接触され、その結果、図1に示した精留工程全体としての精留効率を更に高めることができる。
簡易精留塔2で精製された四塩化チタンは、本精留塔3の中間部から塔内へ導入することが好ましい。このような位置から低沸点成分の多い四塩化チタンを導入することにより、本精留塔3の塔頂部に低沸点成分を濃縮することができる。よって、本精留塔3からの製品四塩化チタンの抜き出し位置は、高沸点成分の大半が分離除去されているために、低沸点成分の少ない本精留塔3の底部に近いところから抜き出すことが好ましいが、底部に近づくほど、高沸点成分の濃度が高まる傾向にある。よって、要求される四塩化チタンの品質から総合的に抜きだす位置を決定することが好ましい。したがって、本精留塔3から製品四塩化チタンを抜き出す位置は鉛直方向に複数個所設けて、バルブの切り替えにより製品四塩化チタンの抜き出し位置を適宜変更できるように構成することが好ましい。
更に別の好ましい態様としては、前記した簡易精留塔2を蒸留釜1の頂部に直接係合配置することもできる。このような配置とすることで、見かけ上は、蒸留釜と本精留塔のみで構成でき、コンパクトに精留装置を構成することができる。
なお、本精留塔の前段にも本精留塔に匹敵する性能を有する蒸留塔を配置しない場合には、精製後の四塩化チタンの品質が低下することも懸念されるが、前述したように本精留塔の缶出液を簡易精留塔に戻し、さらに精留塔の缶出液を蒸留釜に戻す操作を加えることにより、精留工程全体がガスと蒸留液の向流接触がなされ、その結果、簡易精留塔を用いているにも拘わらず、本精留塔の前段に本精留塔に匹敵する性能の蒸留塔を配置した精製装置同等の、品質の優れた四塩化チタンが精製されていると考えられる。すなわち、同等の性能の本精留塔同士を直列に接続した場合に生じる不純物による閉塞の問題を解決し、かつ高品質を維持することができる。
以上述べたような方法および装置構成を用いることにより、純度の高い四塩化チタンを効率よく製造することができる。また、本精留塔の前段に簡易精留塔を配置させることで、本精留塔に持ち込まれる四塩化チタン中の高沸点成分を効率よく分離除去できるという効果を奏する。また、前記簡易精留塔は、構造が単純であり、本精留塔よりも小型であるために、整備に要する時間や工数も本精留塔を整備する場合に比較して、格段に削減されるという従来技術にはない効果を奏するものである。
[実施例1]
図2に示すような本実施例に用いた装置および運転条件を以下に示す。
1.装置
1)蒸留釜
・容量:20,000kg
2)簡易精留塔
・形式:泡鐘塔
・物理段数:10段
3)本精留塔
・形式:充填塔
・物理段数:40段
2.運転方法
1)蒸留釜
・温度:130℃〜145℃
・蒸発量に対する簡易精留塔からの戻り流量比:0.3
2)簡易精留塔
・温度:130℃〜140℃
・還流比(蒸発量に対する本精留塔からの戻り流量比):0.3
3)本精留塔
・温度:130℃〜145℃
・還流比(簡易精留塔から本精留塔に供給する流量に対する本精留塔内の頂部から
底部に向かって流下させる流量の比):2.0
図1に示した装置を用い、前記条件下で合計6,000t/月の四塩化チタンを蒸留精製した。その結果、表1に示すような純度の高い四塩化チタンを製造することが確認された。
Figure 0004740033
なお、前記の生産速度で12ヶ月運転したところで簡易精留塔の前後の圧力損失が上昇し上限値に近づいたので、図4に示すような予備の簡易精留塔2に切り替えてそのまま、運転を継続した。一方、圧力損失が上昇した簡易精留塔は、解体整備後、元の位置に戻した。
[比較例1]
実施例1において簡易精留塔2を用いないこと以外の条件は同じとし、四塩化チタンの蒸留精製を行った。その結果、運転開始から84ヶ月目で本精留塔の圧力損失が基準値に近づいたので、四塩化チタンの蒸留運転を停止して、本精留塔3を整備した。
なお、実施例1の簡易精留塔の整備に要した工数を1とし場合に、前記比較例1の本精留塔の整備に要した工数は、50倍に達した。ただし、簡易精留塔の整備間隔は、本精留塔に比べて短いため、これを補正しても、前記本精留塔の整備に要した工数は、実施例1に比べて7倍程度もあり、簡易精留塔を本精留塔の前段に配置した顕著な効果が確認された。
以上の実施例および比較例により、本精留塔の前段に簡易精留塔を配置させることにより、本精留塔の閉塞時期を延長させることができることが確認された。また、本精留塔の管出液を前段の簡易精留塔へ、また、前記簡易精留塔の管出液を蒸留釜へ戻すことにより、四塩化チタンの精製効果を高めつつ、高い生産量を確保できることも確認された。
前記の簡易精留塔は構造が単純でしかも適度な大きさであるために、本精留塔に比べて整備に要する工数を大幅に削減できるという効果を奏するものである。また、複数の簡易精留塔を並列配置させることで、簡易精留塔の整備中も蒸留工程の運転を継続できるという効果を奏するものである。
本発明の四塩化チタンの精製方法および精製装置を採用することにより、高純度チタンを製造するに好適な高純度四塩化チタンを効率良く得ることができる。これにより高純度チタン製造のコストダウンにも寄与する。
本発明の四塩化チタンの精製方法および精製装置の一実施形態を示す模式図である。 本発明の四塩化チタンの精製方法および精製装置の他の実施形態を示す模式図である。 本発明の簡易精留塔の一実施形態を示す模式図である。 本発明の簡易精留塔の並列接続の例を示す模式図である。
符号の説明
1 蒸留釜
2 簡易精留塔
3 本精留塔
4 戻り液1
5 戻り液2

Claims (5)

  1. 精留塔を用いる四塩化チタンの精製方法であって、蒸留釜によって粗四塩化チタンを蒸留し、得られた四塩化チタンに富む留出液を上記蒸留釜の下流側に接続され内部が直列に連通した複数の蒸留室に区画された簡易精留塔に供給して蒸留し、上記簡易精留塔で得られた四塩化チタンに富む留出液を上記簡易精留塔の下流側に接続され内部が直列に連通した複数の蒸留室に区画された本精留塔に供給してさらに蒸留を行うものであり、上記本精留塔の理論段数が、上記簡易精留塔の理論段数に対して4倍以上の範囲とすることを特徴とする四塩化チタンの精製方法。
  2. 前記本精留塔に蓄積した高沸点成分に富む缶出液を前記簡易精留塔に戻し、さらに前記簡易精留塔底部の高沸点成分に富む還流液を前記蒸留釜に戻すことを特徴とする請求項1に記載の四塩化チタンの精製方法。
  3. 前記簡易精留塔を複数用い、並列に配置することを特徴とする請求項1または2に記載の四塩化チタンの精製方法。
  4. 粗四塩化チタンを蒸留する蒸留釜と、上記蒸留釜の下流側に接続され内部が直列に連通した複数の蒸留室に区画された簡易精留塔と、上記簡易精留塔の下流側に接続され内部が直列に連通した上記簡易精留塔の理論段数よりも4倍以上大きい理論段数に対応した数の蒸留室を有する本精留塔とを備え、上記本精留塔に蓄積する高沸点成分に富む缶出液を上記簡易精留塔に戻すように構成され、さらに上記簡易精留塔底部の高沸点成分に富む還流液を上記蒸留釜に戻すように構成されたことを特徴とする四塩化チタンの精製装置。
  5. 前記簡易精留塔が、前記蒸留釜の頂部に係合配置されていることを特徴とする請求項4に記載の四塩化チタンの精製装置。
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