JP4739560B2 - マルチビーム光源ユニット及びこれを有する光走査装置 - Google Patents

マルチビーム光源ユニット及びこれを有する光走査装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マルチビーム光源ユニット、特に光源から発せられる光の方向を調整することができるマルチビーム光源ユニット及びこれを有する光走査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体レーザー等の複数の光源を備えたマルチビーム光源ユニットにおいて、各光源から発せられる光すなわちビームのピッチを所定のピッチとすべく、光源から発生されたビームを平行光束化するコリメートレンズ等のカップリングレンズの位置を調整してこれを保持する部材に接着するようにしたマルチビーム光源ユニットや、光源とカップリングレンズとをそれぞれ別の部材で保持し、それぞれの部材を位置決めしてねじ留めすることで光源とカップリングレンズとの位置関係を調整するようにしたマルチビーム光源ユニットが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前者のマルチビーム光源ユニットでは、レンズ位置の調整のためにレンズを保持する部材には逃げが形成されているため、接着剤を均一にレンズ全周に塗布できず、接着剤の塗布量の偏りが生じるため、経時的にレンズ位置が変動してしまうおそれがあり、後者のマルチビーム光源ユニットでは、ねじの仮留め後に本調整を行うこととなるため、本調整の際、各部材を強制的に動かす必要が生じ、経時的に残留応力が作用して各部材の位置が変動してしまうおそれがあるとともに、マルチビーム光源ユニットを光走査装置に搭載した後の調整が困難であるという不具合がある。
【0004】
本発明は、経時的な安定性に優れ、光走査装置に搭載した場合においても容易にビームの方向を調整しビームピッチを調整できるマルチビーム光源ユニット及びこれを有する光走査装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、光源とカップリングレンズとを備えた複数の発光手段と、これら発光手段を支持するための筐体とを有するマルチビーム光源ユニットにおいて、上記発光手段の少なくとも1つを上記筐体に向けて付勢する付勢手段と、この付勢手段により付勢された上記発光手段を同付勢手段に抗して変位させる変位手段とを有し、複数の上記発光手段のうち少なくとも上記付勢手段により付勢された上記発光手段は、上記付勢手段が係合し、上記光源と上記カップリングレンズとを保持した保持手段を有し、この保持手段は、上記変位手段と係合する弾性部材を有し、上記変位手段で同発光手段を変位させることで同発光手段に備えられた上記光源から発せられる光の方向を調整することを特徴とする。
【0007】
請求項記載の発明は、請求項記載のマルチビーム光源ユニットにおいて、上記付勢手段は、上記保持手段を、上記光源の光軸方向と略平行な方向に付勢することを特徴とする。
【0008】
請求項記載の発明は、請求項記載のマルチビーム光源ユニットにおいて、上記付勢手段は、上記保持手段を、上記光源の光軸方向と略垂直な方向に付勢することを特徴とする。
【0009】
請求項記載の発明は、請求項ないしの何れか1つに記載のマルチビーム光源ユニットにおいて、上記変位手段は、上記光源の光軸方向と略平行な方向に同保持部材を揺動させることで上記光軸方向を調整することを特徴とする。
【0010】
請求項記載の発明は、請求項記載のマルチビーム光源ユニットにおいて、上記変位手段は、その先端が上記保持部材に係合する、上記光源の光軸方向と略平行な方向に進退可能なねじを有することを特徴とする。
【0011】
請求項記載の発明は、請求項記載のマルチビーム光源ユニットにおいて、上記変位手段は、円錐形状をなし上記保持部材に係合する先端部を備えた、上記光源の光軸方向の側方から進退可能なねじを有することを特徴とする。
【0012】
請求項記載の発明は、請求項記載のマルチビーム光源ユニットにおいて、上記変位手段は、上記保持部材に係合する傾斜面であって、上記光源の光軸方向に垂直な平面に対して傾いた傾斜面を備えた、同方向に略平行な軸を中心として回転する回転カムを有することを特徴とする。
【0013】
請求項記載の発明は、請求項記載のマルチビーム光源ユニットにおいて、上記変位手段は、上記光源の光軸方向に垂直な平面に対して傾いた傾斜面を備えた、同方向の側方から進退可能なくさび状カムを有することを特徴とする。
【0014】
請求項記載の発明は、請求項ないしの何れか1つに記載のマルチビーム光源ユニットにおいて、上記変位手段は、上記光源の光軸方向と略垂直な方向に同保持部材を揺動させることで上記光軸方向を調整することを特徴とする。
【0015】
請求項10記載の発明は、請求項記載のマルチビーム光源ユニットにおいて、上記変位手段は、その先端が上記保持部材に係合する、上記光源の光軸方向と略垂直な方向に進退可能なねじを有することを特徴とする。
【0016】
請求項11記載の発明は、請求項記載のマルチビーム光源ユニットにおいて、上記変位手段は、円錐形状をなし上記保持部材に係合する先端部を備えた、上記光源の光軸方向から進退可能なねじを有することを特徴とする。
【0017】
請求項12記載の発明は、請求項記載のマルチビーム光源ユニットにおいて、上記変位手段は、上記保持部材に係合する傾斜面であって、上記光源の光軸方向に略垂直な軸を中心として回転する、同方向に垂直な平面に対して傾いた傾斜面を備えた回転カムを有することを特徴とする。
【0018】
請求項13記載の発明は、請求項記載のマルチビーム光源ユニットにおいて、上記変位手段は、上記光源の光軸方向から進退可能であり、同方向に垂直な平面に対して傾いた傾斜面を備えたくさび状カムを有することを特徴とする。
【0020】
請求項14記載の発明は、請求項1ないし13の何れか1つに記載のマルチビーム光源ユニットにおいて、上記変位手段を複数有することを特徴とする。
【0021】
請求項15記載の発明は、請求項1ないし14の何れか1つに記載のマルチビーム光源ユニットにおいて、上記筐体は上記付勢手段により付勢された上記発光手段に係合する突部を有し、同発光手段は上記突部との係合位置を支点として揺動することを特徴とする。
【0022】
請求項16記載の発明は、請求項1ないし15の何れか1つに記載のマルチビーム光源ユニットにおいて、上記付勢手段により付勢された上記発光手段と他の発光手段とが略同じ構造であることを特徴とする。
【0023】
請求項17記載の発明は、請求項1ないし16の何れか1つに記載のマルチビーム光源ユニットを有する光走査装置にある。
【0024】
【実施例】
図1に本発明を適用したマルチビーム光源ユニットの第1の実施例を示す。マルチビーム光源ユニット1は、発光手段2及び発光手段3と、発光手段2及び発光手段3を支持するための筐体4とを有している。発光手段2と発光手段3とは略同じ構成であって、それぞれ、光源としての半導体レーザー5と、半導体レーザー5から発せられた光を平行光束化するカップリングレンズとしてのコリメートレンズ6と、半導体レーザー5及びコリメートレンズ6を保持した保持手段としての保持部材7とを有している。コリメートレンズは、一定条件下で、半導体レーザー5から発せられた光を拡散光化あるいは収束光化するものであっても良い。
【0025】
保持部材7は、半導体レーザー5が嵌合した円盤状の基部8と、コリメートレンズ6が嵌合した円筒状のレンズ保持部9とを有している。筐体4は、底部10と底部10を上方から覆うカバー部11とを有している。基部8は、底部10とカバー部11との間に位置している。発光手段3における基部8は、その上面がカバー部11の下面に固定されており、これにより発光手段3は筐体4に対して固定された状態で位置決めされている。
【0026】
発光手段2における基部8は、基部8と底部10との間に配設された付勢手段としての押圧バネ12により、カバー部11の下面に向け、半導体レーザー5から発せられる光の光軸方向Bと略平行な方向Aに付勢されている。カバー部11の下面には、突部としての突起13が形成されており、発光手段2における基部8は押圧バネ12と突起13との間で挟持された状態となっている。突起13は、発光手段2における基部8の上面に対向した位置であって、発光手段2、3の半導体レーザー5を結ぶ直線上に配設されている。符号14は、発光手段2を押圧バネ12に抗して変位させる変位手段を示している。
【0027】
変位手段14は、カバー部11の、発光手段2における基部8に対向した位置に形成された孔15と、孔15に嵌合し先端が基部8の上面に係合したねじ16とを有している。孔15は、B方向に形成されており、ねじ16はB方向に進退可能になっている。よって変位手段14は、ねじ16の位置を調整することにより、押圧バネ12に抗し、保持部材7をB方向に変位、具体的には揺動させることを可能としている。
【0028】
図2に示すように、変位手段14は、2箇所に配設されている。変位手段14の配設位置は、具体的には、変位手段14、14及び突起13が、光源5をその内側に含む三角形をなす位置となっている。従って、発光手段2は、変位手段14、14により、保持部材7が係合位置17を支点として揺動可能とされ、これにより、方向Bを調整することが可能となっている。
【0029】
かかるマルチビーム光源ユニット1は、半導体レーザー5から発せられる光を、ポリゴンミラー等の光走査手段を含む光学系を介して感光体等の像担持体に導く、周知の光走査ユニット等の光走査装置に搭載されるものであるが、発光手段2における方向Bの調整を接着によらずに行うため、ビームピッチ、光走査の精度に関して経時的な安定性を得ることができ、光走査装置に搭載する前後のいずれにおいても調整が可能である等の点で優れている。
【0030】
マルチビーム光源ユニット1は、図3に示す斜入射方式を採る光走査装置に用いることもできるし、図4に示すように、ビーム合成プリズム18を備え、プリズムによって合成する方式を採る光走査装置に用いることもできる。なお、図3及び図4で示した例では、発光手段3が独立した保持部材を備えておらず、カバー部11が、半導体レーザー5及びコリメートレンズ6を保持し、保持部材を兼ねた構成となっている。このように、変位手段14によって変位されることのない発光手段は、必ずしも保持部材を有している必要はなく、保持部材を備えていない場合には部品点数を減じることができるという利点があるが、一方、変位手段14によって変位される発光手段と他の発光手段とを略同じ構成とすれば、組立の容易性等の利点がある。
【0031】
以下、マルチビーム光源ユニットの他の実施例を種々説明するが、かかる実施例においては、上述の実施例または他の実施例と異なる部分を説明し、他の部分については符号を付するに留め、説明を省略する。また、何れの実施例のマルチビーム光源ユニットも、上述した周知の光走査装置に搭載可能であり、図3及び図4に示した方式を採る光走査装置に搭載可能である。
【0032】
図5に本発明を適用したマルチビーム光源ユニットの第2の実施例を示す。本実施例におけるマルチビーム光源ユニット1は、第1の実施例と比較すると、押圧バネ12、突起13、変位手段14が、基部8に関して反対側に配設されている。すなわち押圧バネ12は基部8の上面側に配設され、突起13、変位手段14は基部8の下面側に配設されている。
【0033】
図6に本発明を適用したマルチビーム光源ユニットの第3の実施例を示す。本実施例におけるマルチビーム光源ユニット1は、第1の実施例と比較すると、ねじ16が、B方向の側方から進退可能である点で相違している。孔15は、押圧バネ12が基部8を付勢する方向の側方へ向けて、本実施例では略垂直なC方向に向けて形成されており、ねじ16はC方向に進退可能になっている。ねじ16は円錐形状をなし基部8に係合する先端部19を有しており、ねじ16を進退することにより押圧バネ12の付勢力に抗して保持部材7を揺動させて方向Bを調整するようになっている。円錐形状をなす先端部19により方向Bを調整することにより、ねじ16の先端を保持部材7に当接させる場合に比べて微調整を行うことができる。
【0034】
図7に示すように、保持部材7は、ねじ16と係合する弾性部材としてのゴム20を一体に有していても良い。ゴム20を有していれば、ねじ16の進退による保持部材7の変位が弾性的に行われるので、方向Bの微調整をより精度良く行うことができる。かかる弾性部材は、本実施例のみならず、上述した実施例1、2及び後述する実施例4、5の全ての実施例に適用することができる。なお、本例においても変位手段14は、図2を参照して、2箇所に配設されていて、その配設位置は、具体的には、各ねじ16と基部8との係合位置及び突起13と基部8との係合位置が、半導体レーザー5をその内側に含む三角形をなす位置となっている。C方向は、半導体レーザー5と、各ねじ16と基部8との係合位置とを結ぶ直線と略平行な方向とされている。
【0035】
図8に本発明を適用したマルチビーム光源ユニットの第4の実施例を示す。本実施例におけるマルチビーム光源ユニット1は、第1の実施例と比較すると、変位手段の構成が異なっている。本実施例における変位手段21は、回転カム22と、この回転カム22の回転を許容する、カバー部11に形成された孔23とを有している。回転カム22は、カバー部11に回転自在に支持された、B方向に平行に配設された軸24を有しており、軸24を中心に回転自在とされている。回転カム22の本体は円柱状をなし、その下面は、基部8に係合し、B方向に垂直な平面に対して傾斜した傾斜面25となっている。従って、回転カム22を軸24を中心に回転すると、傾斜面25が回転し、これにより押圧バネ12の付勢力に抗して保持部材7を変位させて方向Bを調整する。符号Dは押圧バネ12が保持部材7を付勢する方向を示している。
【0036】
なお、傾斜面25が回転しても傾斜面25と基部8との係合か滑らかに行われるように、基部8の上面の、傾斜面25との当接可能域には、突条26が形成されている。また、本例においても変位手段21は、図2を参照して、2箇所に配設されていて、その配設位置は、具体的には、各傾斜面25と基部8との係合位置及び突起13と基部8との係合位置が、半導体レーザー5をその内側に含む三角形をなす位置となっている。
【0037】
図9に本発明を適用したマルチビーム光源ユニットの第5の実施例を示す。本実施例におけるマルチビーム光源ユニット1は、第1の実施例と比較すると、変位手段の構成が異なっている。本実施例における変位手段27は、くさび状カム28と、このくさび状カム28の進退を許容する、カバー部11に形成された孔29とを有している。くさび状カム28の上面およびこの面に対向する孔29の内面はB方向に垂直な平面をなしている。くさび状カム28の下面は、基部8に係合し、B方向に垂直な平面に対し半導体レーザー5に向かって傾斜した傾斜面30となっている。くさび状カム28はB方向の側方から、本実施例ではB方向に略垂直であり且つ半導体レーザー5と基部8との係合位置とを結ぶ直線と略平行なE方向から進退可能になっている。従って、くさび状カム28をE方向に進退すると、傾斜面30が押圧バネ12の付勢力に抗して保持部材7を揺動させて方向Bを調整する。
【0038】
なお、突条26が形成されていることは上記第4の実施例と同様である。また、本例においても変位手段27は、図2を参照して、2箇所に配設されていて、その配設位置は、具体的には、各傾斜面30と基部8との係合位置及び突起13と基部8との係合位置が、半導体レーザー5をその内側に含む三角形をなす位置となっている。
【0039】
以上は、変位手段が、B方向に保持部材7を揺動させることで光軸方向Bを調整する実施例を示したが、変位手段は、B方向に略垂直な方向に保持部材7を揺動させることで方向Bを調整するものであっても良い。
【0040】
図10に本発明を適用したマルチビーム光源ユニットの第6の実施例を示す。本実施例におけるマルチビーム光源ユニット1は、変位手段14を構成するねじ16がB方向と略垂直な方向Fに進退可能とされている。変位手段14は、これにより、F方向に保持部材7を揺動させることで方向Bを調整するようになっている。図11に示すように、変位手段14は2箇所に配設されている。変位手段14の配設位置は、具体的には、変位手段14、14及び突起13が、光源5をその内側に含む三角形をなす位置となっている。従って、発光手段2は、変位手段14、14により、保持部材7が係合位置17を支点として揺動可能とされ、これにより、方向Bを調整することが可能となっている。
【0041】
変位手段の構成態様は、円錐形状をなし保持部材に係合する先端部を備えた、B方向から進退可能となっているねじを備えたもの(ねじの形状等について図6参照)、保持部材に係合する傾斜面であって、B方向に略垂直な軸を中心として回転する、同方向に垂直な平面に対して傾いた傾斜面を備えた回転カムを備えたもの(回転カムの形状等について図8参照)、B方向から進退可能であり、保持部材に係合する傾斜面であって同方向に垂直な平面に対して傾いた傾斜面を備えたくさび状カムを備えたもの(回転カムの形状等について図9参照)であっても良い。
【0042】
以上は、付勢手段たる押圧バネ12が保持手段7を光源の光軸方向Bと略平行な方向に付勢する実施例を示したが、次の第7ないし第9の実施例のように、押圧バネ12は、保持手段7を方向Bと略垂直な方向に付勢するものであっても良い。
【0043】
図12に本発明を適用したマルチビーム光源ユニットの第7の実施例を示す。本実施例におけるマルチビーム光源ユニット1は、押圧バネ12が、レンズ保持部9の周面に当接し、保持手段7を方向Bと略垂直な方向Fに付勢している。また変位手段14を構成するねじ16がB方向と略垂直な方向Fに進退可能とされ、レンズ保持部9の周面に当接している。変位手段14は、ねじ16をF方向に進退させることにより、保持部材7をB方向に垂直な方向Fに揺動させることで方向Bを調整するようになっている。図13に示すように、変位手段14は2箇所に配設されている。変位手段14の配設位置は、具体的には、変位手段14、14及び突起13が、光源5をその内側に含む三角形をなす位置となっている。従って、発光手段2は、変位手段14、14により、保持部材7が係合位置17を支点として揺動可能とされ、これにより、方向Bを調整することが可能となっている。
【0044】
図14に本発明を適用したマルチビーム光源ユニットの第8の実施例を示す。本実施例におけるマルチビーム光源ユニット1は、押圧バネ12が、レンズ保持部9の周面に当接し、保持手段7を方向Bと略垂直な方向Fに付勢している。また回転カム22を有する変位手段21が配設されている。回転カム22は、カバー部11に回転自在に支持された、B方向に垂直なF方向に配設された軸24を有しており、軸24を中心に回転自在とされている。回転カム22の本体は円柱状をなし、そのレンズ保持部9側の側面は、レンズ保持部9に係合し、F方向に垂直な面に対して傾斜した傾斜面25となっている。変位手段14は、回転カム22を軸24を中心に回転することで傾斜面25が回転し、F方向に保持部材7を揺動させることで方向Bを調整するようになっている。
【0045】
図15に示すように、変位手段14は2箇所に配設されている。変位手段14の配設位置は、具体的には、変位手段14、14及び突起13が、光源5をその内側に含む三角形をなす位置となっている。従って、発光手段2は、変位手段14、14により、保持部材7が係合位置17を支点として揺動可能とされ、これにより、方向Bを調整することが可能となっている。
【0046】
図16に本発明を適用したマルチビーム光源ユニットの第9の実施例を示す。本実施例におけるマルチビーム光源ユニット1は、押圧バネ12が、レンズ保持部9の周面に当接し、保持手段7を方向Bと略垂直な方向Fに付勢している。またくさび状カム25を有する変位手段27が配設されている。くさび状カム25はレンズ保持部9とカバー部11との間に配設され、レンズ保持部9側の面は、レンズ保持部9に沿う形状をなし、カバー部11側の面は、B方向に垂直な平面に対して傾斜した傾斜面30となっている。くさび状カム28はB方向に略平行なE方向から進退可能になっている。従って、くさび状カム28をE方向に進退すると、傾斜面30がカバー部11に当接することで保持部材7をF方向に揺動させて方向Bを調整する。
【0047】
図17に示すように、変位手段14は2箇所に配設されている。変位手段14の配設位置は、具体的には、変位手段14、14及び突起13が、光源5をその内側に含む三角形をなす位置となっている。従って、発光手段2は、変位手段14、14により、保持部材7が係合位置17を支点として揺動可能とされ、これにより、方向Bを調整することが可能となっている。
【0048】
以上第7ないし第9の実施例において押圧バネ12が保持手段7を方向Bと略垂直なF方向に付勢する場合のマルチビーム光源ユニットの構成例を説明したが、かかる場合において、円錐形状をなし保持部材に係合する先端部を備えた、B方向から進退可能なねじを備えた変位手段(ねじの形状等について図6参照)を用いても良い。
【0049】
以上本発明を適用した各実施例を説明したが、発光手段は、1つのマルチビーム光源ユニットに対して複数備えられていれば良く、本実施例のように2つ備えられているに限らず3つ以上備えられていても良い。変位手段は、複数の発光手段のうち少なくとも1つに配設されていればよいが、好ましくは1つの発光手段を除く発光手段に配設されているのがよい。保持部材は少なくとも、変位手段が配設された発光手段に配設されていることが望ましい。変位手段は、1つの発光手段に対して、本実施例のように2つ備えられているに限らず、1つあるいは3つ以上備えられていても良い。変位手段が1つの場合、光源と突部とを結ぶ直線上に配設するのが良く、部品点数が少ない点で優れている。複数の場合には光源に対して対称的に配設するのが良く、その数が多いほど光の方向をより精密に設定できる点で優れている。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、光源とカップリングレンズとを備えた複数の発光手段と、これら発光手段を支持するための筐体とを有するマルチビーム光源ユニットにおいて、上記発光手段の少なくとも1つを上記筐体に向けて付勢する付勢手段と、この付勢手段により付勢された上記発光手段を同付勢手段に抗して変位させる変位手段とを有し、複数の上記発光手段のうち少なくとも上記付勢手段により付勢された上記発光手段は、上記付勢手段が係合し、上記光源と上記カップリングレンズとを保持した保持手段を有し、この保持手段は、上記変位手段と係合する弾性部材を有し、上記変位手段で同発光手段を変位させることで同発光手段に備えられた上記光源から発せられる光の方向を調整するので、ビームピッチの精度に関して経時的な安定性に優れ、光走査装置に搭載した場合においても弾性部材を有する保持手段を変位することで容易且つ精密にビームの方向を調整しビームピッチを調整できるマルチビーム光源ユニットを提供することができる。
【0052】
付勢手段が、保持手段を、光源の光軸方向と略平行な方向に付勢することとすれば、付勢手段による付勢方向を光軸方向と関連付けた構成によりビームの方向を調整しビームピッチを調整できるマルチビーム光源ユニットを提供することができる。
【0053】
付勢手段が、保持手段を、光源の光軸方向と略垂直な方向に付勢することとすれば、付勢手段による付勢方向を光軸方向と関連付けた構成によりビームの方向を調整しビームピッチを調整できるマルチビーム光源ユニットを提供することができる。
【0054】
変位手段が、光源の光軸方向と略平行な方向に同保持部材を揺動させることで光軸方向を調整することとすれば、比較的簡易にビームの方向を調整しビームピッチを調整できるマルチビーム光源ユニットを提供することができる。
【0055】
変位手段が、その先端が保持部材に係合する、光源の光軸方向と略平行な方向に進退可能なねじを有することとすれば、比較的簡易な構成でビームの方向を調整しビームピッチを調整できるマルチビーム光源ユニットを提供することができる。
【0056】
変位手段が、円錐形状をなし保持部材に係合する先端部を備えた、光源の光軸方向の側方から進退可能なねじを有することとすれば、比較的簡易な構成でより精密にビームの方向を調整しビームピッチを調整できるマルチビーム光源ユニットを提供することができる。
【0057】
変位手段が、保持部材に係合する傾斜面であって、光源の光軸方向に垂直な平面に対して傾いた傾斜面を備えた、同方向に略平行な軸を中心として回転する回転カムを有することとすれば、比較的簡易な構成でビームの方向を調整しビームピッチを調整できるマルチビーム光源ユニットを提供することができる。
【0058】
変位手段が、光源の光軸方向に垂直な平面に対して傾いた傾斜面を備えた、同方向の側方から進退可能なくさび状カムを有することとすれば、比較的簡易な構成でビームの方向を調整しビームピッチを調整できるマルチビーム光源ユニットを提供することができる。
【0059】
変位手段が、光源の光軸方向と略垂直な方向に同保持部材を揺動させることで光軸方向を調整することとすれば、比較的簡易にビームの方向を調整しビームピッチを調整できるマルチビーム光源ユニットを提供することができる。
【0060】
変位手段が、その先端が保持部材に係合する、光源の光軸方向と略垂直な方向に進退可能なねじを有することとすれば、比較的簡易な構成でビームの方向を調整しビームピッチを調整できるマルチビーム光源ユニットを提供することができる。
【0061】
変位手段が、円錐形状をなし保持部材に係合する先端部を備えた、光源の光軸方向から進退可能なねじを有することとすれば、比較的簡易な構成でより精密にビームの方向を調整しビームピッチを調整できるマルチビーム光源ユニットを提供することができる。
【0062】
変位手段が、保持部材に係合する傾斜面であって、光源の光軸方向に略垂直な軸を中心として回転する、同方向に垂直な平面に対して傾いた傾斜面を備えた回転カムを有することとすれば、比較的簡易な構成でビームの方向を調整しビームピッチを調整できるマルチビーム光源ユニットを提供することができる。
【0063】
変位手段が、光源の光軸方向から進退可能であり、同方向に垂直な平面に対して傾いた傾斜面を備えたくさび状カムを有することとすれば、比較的簡易な構成でビームの方向を調整しビームピッチを調整できるマルチビーム光源ユニットを提供することができる。
【0065】
変位手段を複数有することとすれば、発光手段を高い自由度で変位できるマルチビーム光源ユニットを提供することができる。
【0066】
筐体が付勢手段により付勢された発光手段に係合する突部を有し、同発光手段が突部との係合位置を支点として揺動することとすれば、ビームの方向及びビームピッチを比較的容易且つ精度良く調整できるマルチビーム光源ユニットを提供することができる。
【0067】
付勢手段により付勢された発光手段と他の発光手段とが略同じ構造であることとすれば、組立が容易であるとともに部品の共通化を図りコストを低減できるマルチビーム光源ユニットを提供することができる。
【0068】
本発明は、請求項1ないし16の何れか1つに記載のマルチビーム光源ユニットを有する光走査装置にあるので、上述の効果を奏するマルチビーム光源ユニットを有するとともに、光走査の精度に関して経時的な安定性に優れた光走査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したマルチビーム光源ユニットの第1の実施例の側断面図である。
【図2】第1の実施例における変位手段と突部と光源との位置関係を示す平面図である。
【図3】本発明を適用したマルチビーム光源ユニットを斜入射方式に用いた場合を示す側断面図である。
【図4】本発明を適用したマルチビーム光源ユニットをプリズムによって合成する方式に用いた場合を示す側断面図である。
【図5】本発明を適用したマルチビーム光源ユニットの第2の実施例の側断面図である。
【図6】本発明を適用したマルチビーム光源ユニットの第3の実施例の側断面図である。
【図7】本発明を適用したマルチビーム光源ユニットの第3の実施例において弾性部材を配設した場合の側断面図である。
【図8】本発明を適用したマルチビーム光源ユニットの第4の実施例の側断面図である。
【図9】本発明を適用したマルチビーム光源ユニットの第5の実施例の側断面図である。
【図10】本発明を適用したマルチビーム光源ユニットの第6の実施例の側断面図である。
【図11】第6の実施例における変位手段と突部と光源との位置関係を示す平面図である。
【図12】本発明を適用したマルチビーム光源ユニットの第7の実施例の側断面図である。
【図13】第7の実施例における変位手段と突部と光源との位置関係を示す平面図である。
【図14】本発明を適用したマルチビーム光源ユニットの第8の実施例の側断面図である。
【図15】第8の実施例における変位手段と突部と光源との位置関係を示す平面図である。
【図16】本発明を適用したマルチビーム光源ユニットの第9の実施例の側断面図である。
【図17】第9の実施例における変位手段と突部と光源との位置関係を示す平面図である。
【符号の説明】
1 マルチビーム光源ユニット
2、3 発光手段
4 筐体
5 光源
6 カップリングレンズ
7 保持手段
12 付勢手段
13 突部
14、21、27 変位手段
16 ねじ
17 発光手段と突部との係合位置
19 ねじの先端部
20 弾性部材
22 回転カム
24 回転カムの軸
25 回転カムの傾斜面
28 くさび状カム
30 くさび状カムの傾斜面
A、D 付勢手段が保持部材を付勢する方向
B 光源の光軸方向
C ねじの進退する方向
E くさび状カムの進退する方向
F 光源の光軸方向と略垂直な方向

Claims (17)

  1. 光源とカップリングレンズとを備えた複数の発光手段と、これら発光手段を支持するための筐体とを有するマルチビーム光源ユニットにおいて、上記発光手段の少なくとも1つを上記筐体に向けて付勢する付勢手段と、この付勢手段により付勢された上記発光手段を同付勢手段に抗して変位させる変位手段とを有し、複数の上記発光手段のうち少なくとも上記付勢手段により付勢された上記発光手段は、上記付勢手段が係合し、上記光源と上記カップリングレンズとを保持した保持手段を有し、この保持手段は、上記変位手段と係合する弾性部材を有し、上記変位手段で同発光手段を変位させることで同発光手段に備えられた上記光源から発せられる光の方向を調整することを特徴とするマルチビーム光源ユニット。
  2. 請求項1記載のマルチビーム光源ユニットにおいて、上記付勢手段は、上記保持手段を、上記光源の光軸方向と略平行な方向に付勢することを特徴とするマルチビーム光源ユニット。
  3. 請求項記載のマルチビーム光源ユニットにおいて、上記付勢手段は、上記保持手段を、上記光源の光軸方向と略垂直な方向に付勢することを特徴とするマルチビーム光源ユニット。
  4. 請求項1ないし3の何れか1つに記載のマルチビーム光源ユニットにおいて、上記変位手段は、上記光源の光軸方向と略平行な方向に同保持手段を揺動させることで上記光軸方向を調整することを特徴とするマルチビーム光源ユニット。
  5. 請求項記載のマルチビーム光源ユニットにおいて、上記変位手段は、その先端が上記保持手段に係合する、上記光源の光軸方向と略平行な方向に進退可能なねじを有することを特徴とするマルチビーム光源ユニット。
  6. 請求項記載のマルチビーム光源ユニットにおいて、上記変位手段は、円錐形状をなし上記保持手段に係合する先端部を備えた、上記光源の光軸方向の側方から進退可能なねじを有することを特徴とするマルチビーム光源ユニット。
  7. 請求項記載のマルチビーム光源ユニットにおいて、上記変位手段は、上記保持手段に係合する傾斜面であって、上記光源の光軸方向に垂直な平面に対して傾いた傾斜面を備えた、同方向に略平行な軸を中心として回転する回転カムを有することを特徴とするマルチビーム光源ユニット。
  8. 請求項記載のマルチビーム光源ユニットにおいて、上記変位手段は、上記光源の光軸方向に垂直な平面に対して傾いた傾斜面を備えた、同方向の側方から進退可能なくさび状カムを有することを特徴とするマルチビーム光源ユニット。
  9. 請求項1ないし3の何れか1つに記載のマルチビーム光源ユニットにおいて、上記変位手段は、上記光源の光軸方向と略垂直な方向に同保持手段を揺動させることで上記光軸方向を調整することを特徴とするマルチビーム光源ユニット。
  10. 請求項記載のマルチビーム光源ユニットにおいて、上記変位手段は、その先端が上記保持手段に係合する、上記光源の光軸方向と略垂直な方向に進退可能なねじを有することを特徴とするマルチビーム光源ユニット。
  11. 請求項記載のマルチビーム光源ユニットにおいて、上記変位手段は、円錐形状をなし上記保持手段に係合する先端部を備えた、上記光源の光軸方向から進退可能なねじを有することを特徴とするマルチビーム光源ユニット。
  12. 請求項記載のマルチビーム光源ユニットにおいて、上記変位手段は、上記保持手段に係合する傾斜面であって、上記光源の光軸方向に略垂直な軸を中心として回転する、同方向に垂直な平面に対して傾いた傾斜面を備えた回転カムを有することを特徴とするマルチビーム光源ユニット。
  13. 請求項記載のマルチビーム光源ユニットにおいて、上記変位手段は、上記光源の光軸方向から進退可能であり、同方向に垂直な平面に対して傾いた傾斜面を備えたくさび状カムを有することを特徴とするマルチビーム光源ユニット。
  14. 請求項1ないし13の何れか1つに記載のマルチビーム光源ユニットにおいて、上記変位手段を複数有することを特徴とするマルチビーム光源ユニット。
  15. 請求項ないし13の何れか1つに記載のマルチビーム光源ユニットにおいて、上記筐体は上記付勢手段により付勢された上記発光手段に係合する突部を有し、同発光手段は上記突部との係合位置を支点として揺動することを特徴とするマルチビーム光源ユニット。
  16. 請求項1ないし15の何れか1つに記載のマルチビーム光源ユニットにおいて、上記付勢手段により付勢された上記発光手段と他の発光手段とが略同じ構造であることを特徴とするマルチビーム光源ユニット。
  17. 請求項1ないし16の何れか1つに記載のマルチビーム光源ユニットを有する光走査装置
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