JP4738975B2 - 耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シート成形品 - Google Patents
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Description
これを防ぐため、デラミが発生し難い耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シート及びその成形容器が求められていた。
従来、発泡積層シートなどにおける耐熱性の向上を目指した技術が、例えば特許文献1〜3に開示されている。
特許文献1の従来技術は、発泡積層シートの片面に熱可塑性フィルム層を積層したシートにおいて、該シートを成形した容器に内容物を入れ、電子レンジによる加熱を行った際、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層と熱可塑性フィルム層との間にデラミが発生し、レンジアップ用食品容器として敬遠される問題がある。
図1は、本発明に係る耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シート成形品の一例である容器10を示す斜視図である。この容器10は、図2に示す本発明に係る耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シート11を容器形状に熱成形して作製されている。なお、図1の容器10は、角形容器を例示しているが、本発明に係る成形品の形状はこれに限定されず、丼形の容器、カップ状の容器、角形や丸形のトレー、仕切りつき弁当容器などとすることができる。また、容器の寸法についても特に限定されない。
装置:東京サイエンス社製の空気比較式比重計1000型。
方法:1−1/2−1気圧法。
試験片:25×25×原反厚み(mm)(所定厚みに重ねる)
樹脂密度:1.05g/cm3
また、連続気泡層と独立気泡層の連続気泡率、独立気泡率の測定は、スプリッティングマシンにて連続気泡層と独立気泡層の境界面にてカットし、試験片を上記測定方法にて測定した。
<残ガス量の測定方法>
本発明において、残ガス量とは、発泡体中に残存する、樹脂を発泡させるために使用した発泡剤の量(単位:質量%)を指し、本発明では、発泡層Bを押出後に常温(15〜25℃)で2週間熟成させた後に測定した値をいう。
但し、発泡層Bを押出後に2週間熟成させる以前にフィルムを積層して耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シートを製造した場合には、発泡層Bが押出されてから2週間後に測定する。
また、発泡層Bを押出後に2週間熟成した後にフィルムを積層した場合には、フィルム積層後に発泡層Bから直ちに測定する。
残ガス量(質量%)=(発泡体中に含まれる発泡剤の質量/発泡体の質量)×100
残ガス量は、ガスクロマトグラフにより測定した。具体的には、測定する発泡層より試験片を切り出し、その量を精秤し、そして、この試験片を150℃の熱分解炉(島津製作所社製 商品名「PYR−1A」)に供給してガスクロマトグラフィー(島津製作所社製 商品名「GC−14B」)からチャートを得、例えば発泡剤がブタンの場合は、予め測定したブタンの検量線に基づいて上記チャートから試験片中のブタン量を算出し、以下の式に基づいて求めた。その測定条件はカラムがジーエルサイエンス社製ポラパックQ(80/100)3mmφ×1.5mを用いカラム温度(100℃)、キャリアーガス(ヘリウム)、キャリアーガス流量(1ml/min)、注入口温度(120℃)、検出器温度(120℃)とした。ブタン以外の発泡剤についても同様にして残ガス量を求める。
(ブタン残ガス量)=100×試験片中のブタン量/試験片質量
また、連続気泡層と独立気泡層の残存発泡剤量の測定は、スプリッティングマシンにて連続気泡層と独立気泡層の境界面にてカットし、それぞれより試験片を切り出し、試験片を上記測定方法にて測定した。
<耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シートの製造方法>
押出機として内径115mmの第一押出機と180mmの第二押出機とが連結されたタンデム押出機(I)を用い、耐熱ポリスチレン系樹脂としてT080(ビカット軟化点116℃、MI=2.0、東洋スチレン社製):ゴム成分としてタフプレン125(旭化成社製)を質量比95:5で配合し、タルクMBであるDSM1401A(東洋スチレン社製)を0.8質量部添加した配合原料を第一押出機に供給し、最高温度240℃で溶融、混練した後、発泡剤としてブタン(イソブタン/n−ブタン=50/50)を3.2質量部添加し混練した。その後、第二押出機にて連続気泡率80%以上を有する発泡体の発泡に適した樹脂温度180℃まで冷却した。
一方で内径115mmの第一押出機と180mmの第二押出機が連結されたタンデム押出機(II)を用い、ポリスチレン系樹脂としてHRM−12(ビカット軟化点101℃、MI=5.0、東洋スチレン社製)100質量部に対し、タルクMBであるM060(キハラ化成社製)を0.9質量部添加した配合原料を押出機に供給し、最高温度240℃で溶融、混練した後、発泡剤としてブタン(イソブタン/n−ブタン=50/50)を3.2質量部添加し混練した。その後第二押出機にて連続気泡率が15%以下を有する発泡体の発泡に適した樹脂温度149℃まで冷却した。
押出機(I)と押出機(II)を合流ダイで合流させ、積層し、さらに先端部に設けられた口径180mmφでスリットクリアランス0.48mmに設定されたサーキュラーダイより押出した。押出された筒状発泡体を直径673mm、長さ1000mmの冷却マンドレル外周面に沿わせ、内面を冷却すると同時に冷却温度30℃のエアーにて外周も冷却し、その後これを2枚に切り開いて発泡積層シートとしてロール状に巻き取った。
次に得られた発泡積層シートからなる容器に、内容物として水道水を200mL入れ、電子レンジで加熱した。レンジ出力は1600W、加熱時間は90秒とした。電子レンジはEM−1530T(三洋電機社製)を用いた。
加熱後、取り出した容器を目視にて観察し、下記の区分でデラミと耐熱性について3段階の評価を行った。
(デラミの評価)
◎…デラミなし。
○…5mm以下の浮きが発生。(4個以下)
×…5mm以下の浮きが多数(5個以上)発生、又は5mm以上の浮きが発生。
(耐熱性の評価)
容器変形の度合によって次のように評価した。
◎…容器変形なし。
○…容器変形が若干見られるが使用状態で支障がない。
×…使用不可能な大きな変形がある。
発泡層Bの連続気泡率が70%、発泡層(A)の連続気泡率が30%になるように、押出樹脂温度を調整した以外は、実施例1と同様の方法で容器を製造し、レンジアップ評価を行った。その結果、デラミ評価、容器変形評価は◎であった。
発泡層(B)の連続気泡率が55%、発泡層Aの連続気泡率が15%になるように、押出樹脂温度を調整した以外は、実施例1と同様の方法で容器を製造し、レンジアップ評価を行った。その結果、デラミ評価は○、容器変形評価は◎であった。
発泡層(B)の連続気泡率が15%、発泡層(A)の連続気泡率が15%になるように、押出樹脂温度を調整した以外は、実施例1と同様の方法で容器を製造し、レンジアップ評価を行った。その結果、デラミ評価は×、容器変形評価は◎であった。
実施例1で得た発泡積層シート(発泡層(A)+発泡層(B))に、耐熱フィルムを積層せずに容器を製造し、レンジアップ評価を行った。その結果、容器変形が大きく、結果は×であった。
発泡層(B)の連続気泡率が80%、発泡層(A)の連続気泡率が80%になるように、押出樹脂温度を調整した以外は、実施例1と同様の方法でレンジアップ評価を行った。その結果、デラミ評価は◎、容器変形評価は○であったが、成形時の二次発泡が少なく、容器強度が不十分であった。
実施例1で得た発泡積層シート(発泡層(A)+発泡層(B))を押出直後に耐熱フィルムを熱圧着して積層し、単発成形を行って容器を製造した。得られた発泡層(B)の残ガス量は2.8質量%であった。この容器のレンジアップ評価を行った結果、デラミ評価は×、容器変形評価は○であった。
Claims (4)
- 連続気泡率が40%以下であるポリスチレン系樹脂発泡層(A)と、ビカット軟化点が110℃以上の耐熱ポリスチレン系樹脂からなり、連続気泡率が50〜95%の範囲であり且つ残ガス量が2.2質量%以下であるポリスチレン系樹脂発泡層(B)と、熱可塑性フィルム(C)とが、この順に積層されてなる耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シートを熱成形して得られた耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シート成形品であり、容器形状をなし、熱可塑性フィルム(C)が容器内側に向けて成形されていることを特徴とする耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シート成形品。
- 連続気泡率が40%以下であるポリスチレン系樹脂発泡層(A)がビカット軟化点105℃以下のポリスチレン系樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シート成形品。
- 熱可塑性フィルム(C)が耐熱ポリスチレン系樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1又は2に記載の耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シート成形品。
- 熱可塑性フィルム(C)とポリスチレン系樹脂発泡層(B)との間に印刷層が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シート成形品。
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