JP4738726B2 - 合成樹脂エマルジョン粉末およびその用途 - Google Patents

合成樹脂エマルジョン粉末およびその用途 Download PDF

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Description

本発明は、合成樹脂エマルジョン粉末および該エマルジョン粉末を使用した水硬性物質用混和材または打継ぎ材に関し、さらに詳しくは、分子内にエチレン単位を1〜12モル%含有するビニルアルコール系重合体を分散剤とし、エチレン性不飽和単量体及びジエン系単量体から選ばれる一種あるいは二種以上の不飽和単量体単位を有する重合体を分散質とするエマルジョンを乾燥して得られる合成樹脂エマルジョン粉末および該エマルジョン粉末からなる水硬性物質用混和材または打継ぎ材に関する。
合成樹脂エマルジョン粉末は、合成樹脂エマルジョンを噴霧乾燥することにより製造され、合成樹脂エマルジョンに比べて粉末であることにより、取り扱いおよび輸送の点で優れている。また、使用に際しては、水を添加し、攪拌することにより容易に水中に再分散するため、セメントあるいはモルタルへの混和材、接着剤、塗料用バインダーなどの広範な用途に使用されている。なかでもモルタルへの混和材に関しては、粉末であることから、プレミックスが可能であり、多様な商品形態を可能にすることから、広く用いられている。しかしながら従来の合成樹脂エマルジョンでは、それをそのまま噴霧乾燥した場合には、分散質が容易に融着し、水に再分散しないため、多量のポリビニルアルコールを後添加し、さらにはブロッキング防止剤として無水珪酸等の無機粉末を多量に併用する必要があるのが現状であった。また、末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコールを分散剤として得たエマルジョンを噴霧乾燥して得た粉末も使用されている(特許文献1)。また、高温重合により得た1,2-グリコール結合の含量の多いPVAを分散剤として得たエマルジョンを噴霧乾燥して得た粉末も知られている(特許文献2)。しかしながら、これらの合成樹脂エマルジョン粉末は、後述する比較例6〜7から明らかなように、再分散性に優れたものであるが、なお充分とは言えず、さらに該粉末を、例えば、セメントモルタル用の混和材として使用した場合、得られるセメントモルタルの強度などは必ずしも満足し得るものではない。
特開平9−151221号公報(請求項1、[0011]、[0020]) 特開2001−342260号公報(請求項1)
本発明の目的は、前述の問題点を解決し、再分散性に優れ、再分散した場合にも造膜性に優れ、水硬性物質用混和材または打継ぎ材として用いた場合、高い強度の水硬物を得ることが可能な合成樹脂エマルジョン粉末を提供することにある。
本発明者らは、上記の実情に鑑み、鋭意検討した結果、分子内にエチレン単位を1〜12モル%含有するビニルアルコール系重合体を分散剤とし、エチレン性不飽和単量体及びジエン系単量体から選ばれる一種あるいは二種以上の不飽和単量体単位を有する重合体を分散質とするエマルジョン(A)を乾燥して得られる合成樹脂エマルジョン粉末が、上記課題を解決するものであり、該粉末を水硬性物質用混和材または打継ぎ材として用いた場合、高い強度の水硬物を得ることが出来ることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明により、再分散性に優れ、再分散した場合にも造膜性に優れた合成樹脂エマルジョン粉末が得られる。また該粉末を水硬性物質用混和剤として用いた場合、水硬性物質への分散性に優れ、さらに高い強度を有する水硬物を得ることができる。また、該粉末を水硬性物質用打継ぎ材として用いた場合は、優れた接着性および耐久性、さらには優れた機械的強度を付与することができる。
以下、本発明の合成樹脂エマルジョン粉末および水硬性物質用混和材または打継ぎ材について詳細に説明する。
本発明において、エマルジョン(A)の分散剤として用いる、分子内にエチレン単位を1〜12モル%含有するビニルアルコール系重合体は、ビニルエステルとエチレンとの共重合体をけん化することにより得ることができる。エチレンが最適であることは後述する実施例から明らかである。
エチレン単位の含有量は、1〜12モル%であることが重要であり、より好ましくは1.5モル%以上、さらには2モル%以上であり、また12モル%以下が好適である。エチレン単位がこの範囲を下回ると、後述する比較例4から明らかなように、再分散性が充分優れたものとはならず、また得られるセメントモルタルなどの水硬物の強度が充分優れたものとはならない。また、エチレン単位がこの範囲を上回ると、後述する製造例12から明らかなように、満足なエマルジョン粉末が得られない。
また、エチレン単位を1〜12モル%含有するビニルアルコール系重合体としては、エチレン単位をXモル%とするとき、1,2−グリコール結合を(1.7−X/40)モル%以上有するビニルアルコール系重合体も本発明の好ましい態様の一つであり、この重合体を使用することにより、エマルジョン粉末の再分散性がより改善される。
この重合体の製法としては、例えば、ビニレンカーボネートを上記の1,2−グリコール結合量になるようエチレンと共重合する方法、エチレンとビニルエステル系単量体を共重合する際、重合温度を通常の条件より高い温度、例えば75〜200℃で、加圧下に重合する方法などが挙げられる。後者の方法において、重合温度は特に制限されないが通常95〜190℃、好ましくは100〜160℃で実施される。
この場合、1,2−グリコール結合の含有量は、(1.7−X/40)モル%以上であることが好ましく、より好ましくは(1.75−X/40)モル%以上、最適には(1.8−X/40)モル%以上である。また、1,2−グリコール結合の含有量は4モル%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3.5モル%以下、最適には3.2モル%以下である。ここで1,2−グリコール結合の含有量はNMRスペクトルの解析から求められる。
該ビニルアルコール系重合体の粘度平均重合度(以下重合度と略す)は、各種の状況に応じて選定すればよく、特に制限はないが、粉末化時の作業性の観点から100〜8000が好適であり、好ましくは300〜3000、より好ましくは300〜2500である。一方、けん化度も特に制限されないが、70〜99モル%であることが好ましく、80〜98モル%がより好ましく、83〜95モル%がさらに好ましい。
該ビニルアルコール系重合体は本発明の効果を損なわない範囲で共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合したものでも良い。このようなエチレン性不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、(無水)マレイン酸、イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびそのナトリウム塩、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ビニルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、N−ビニルピロリドン、 N−ビニルホルムアミド、 N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド類が挙げられる。また、チオール酢酸、メルカプトプロピオン酸などのチオール化合物の存在下で、酢酸ビニルなどのビニルエステル系単量体をα−オレフィンと共重合し、得られた共重合体をけん化することによって得られる末端変性物を用いることもできる。
本発明において、エマルジョン(A)の分散質は、エチレン性不飽和単量体及びジエン系単量体から選ばれる一種あるいは二種以上の不飽和単量体単位を有する重合体からなる。エチレン性不飽和単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブテン等のオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化オレフィン類、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ピバリン酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル等のメタクリル酸エステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類、酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンスルホン酸およびそのナトリウム、カリウム塩等のスチレン系単量体類、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロライド、3−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、3−メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、N−(3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)ジメチルアミンの4級アンモニウム塩、N−(4−アリルオキシ−3−ヒドロキシブチル)ジエチルアミンの4級アンモニウム塩、さらにはアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等の4級アンモニウム塩、メタクリル酸ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、アクリル酸ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、N−ビニルピロリドン等が挙げられ、またジエン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。これらの単量体は単独もしくは二種以上を組み合わせて使用される。
上記の単量体単位からなる重合体のうち、酢酸ビニル系重合体で代表されるビニルエステル系重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体で代表されるオレフイン−ビニルエステル共重合体などは、本発明の好ましい態様の一つである。
本発明に用いるエマルジョン(A)は、エチレン単位を1〜12モル%含有するビニルアルコール系重合体の存在下で、エチレン性不飽和単量体及びジエン系単量体から選ばれる1種あるいは2種以上の単量体を乳化重合することによって得られ、また合成樹脂エマルジョン粉末は合成樹脂エマルジョンを乾燥して得られる。該合成樹脂エマルジョンの製造において、乳化重合の開始剤としては、通常乳化重合に用いられる重合開始剤、すなわち過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の水溶性開始剤やアゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド等の油溶性開始剤が単独または各種還元剤との組み合わせによるレドックス系で用いられる。これらの使用方法は特に制限はないが、初期一括で添加する方法や、連続的に重合系に添加する方法等が採用できる。
本発明において用いるエマルジョン(A)において、分子内にエチレン単位を1〜12モル%含有するビニルアルコール系重合体の使用量は特に制限されないが、通常単量体100重量部に対して2〜30重量部、好ましくは3〜15重量部、さらに好ましくは3〜10重量部である。ビニルアルコール系重合体が2重量部未満の場合、エマルジョンの重合安定性が低下すると共にビニルアルコール系重合体を分散剤とするエマルジョンの特徴である機械的安定性や化学的安定性の低下、皮膜強度の低下等が起こる懸念がある。また、分子内にエチレン単位を1〜12モル%含有するビニルアルコール系重合体が30重量部を越える場合、重合系の粘度上昇による反応熱除去の問題や皮膜耐水性の低下等の懸念がある。
分子内にエチレン単位を1〜12モル%含有するビニルアルコール系重合体の添加方法は特に制限はなく、初期に一括して添加する方法、初期にビニルアルコール系重合体の一部を添加し、重合中に連続的に重合系へ添加する方法等がある。
また、従来公知のノニオン性、アニオン性、カチオン性、両性の界面活性剤やヒドロキシエチルセルロース等の水溶性高分子をビニルアルコール系重合体と併用してもかまわない。
本発明に用いるエマルジョン(A)を製造する際の単量体の添加方法として、初期に一括して重合系に添加する方法、初期に単量体の一部を添加し、残りを重合中に連続的に添加する方法、単量体と水と分散剤を予め乳化したものを重合系に連続的に添加する方法等、各種の方法が可能である。
また、本発明に用いるエマルジョン(A)を製造する際に、連鎖移動剤を添加することもできる。連鎖移動剤としては、連鎖移動が起こるものであれば特に制限はないが、連鎖移動の効率の点でメルカプト基を有する化合物が好ましい。メルカプト基を有する化合物としては、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、3−メルカプトプロピオン酸等が挙げられる。
連鎖移動剤の添加量は、単量体100重量部に対して5重量部以下が好ましい。連鎖移動剤が5重量部を越える場合には、合成樹脂エマルジョンの重合安定性が低下する上、分散質を形成する重合体の分子量が著しく低下し、エマルジョン物性の低下が起こる懸念がある。
本発明の合成樹脂エマルジョン粉末は、上記のエマルジョン(A)を乾燥、好適には噴霧乾燥して得られる。噴霧乾燥には、流体を噴霧して乾燥する通常の噴霧乾燥が使用できる。噴霧の形式により、ディスク式、ノズル式、衝撃波式などがあるが、いずれの方法でも良い。また、熱源としても、熱風や加熱水蒸気等が用いられる。乾燥条件は、噴霧乾燥機の大きさや種類、合成樹脂エマルジョンの濃度、粘度、流量等によって適宜選択すればよい。乾燥温度は、100℃〜150℃が適当であり、この乾燥温度の範囲内で、十分に乾燥した粉末が得られるように、他の乾燥条件を設定することが望ましい。
また、本発明の合成樹脂エマルジョン粉末の貯蔵安定性、水への再分散性を向上させる目的で、無機粉末(ブロッキング防止剤)を使用することが望ましい。無機粉末は、噴霧乾燥後のエマルジョン粉末に添加して均一に混合しても良いが、噴霧乾燥する際に合成樹脂エマルジョン(A)を無機粉末の存在下に噴霧する(同時噴霧)ことが、均一な混合を行うことができ好適である。無機粉末は平均粒径0.1〜100μmの微粒子であることが好適である。無機粉末としては、微粒子の無機粉末が好ましく、炭酸カルシウム、クレー、無水珪酸、珪酸アルミニウム、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等が使用される。これらの無機粉末のうち、無水珪酸が好適である。無機粉末の使用量は、性能上、エマルジョン粉末に対して20重量%以下、さらには10重量%以下が好ましい。下限値については0.1重量%以上、さらには0.2重量%以上が好ましい。
また、噴霧する際にシリコーンおよび/または炭化水素系の消泡剤を添加して粉末化する場合もある。
本発明においては、上記のエマルジョン(A)に対して、さらに、ビニルアルコール系重合体(B)を配合し、噴霧乾燥して粉末化することは好ましい態様の一つである。ビニルアルコール系重合体(B)を配合することにより、エマルジョン粉末の再分散性が向上する。ビニルアルコール系重合体(B)の配合量は、特に制限されないが、通常、エマルジョン(A)の固形分100重量部に対してビニルアルコール系重合体(B)1〜50重量部、好ましくは3〜30重量部、より好ましくは5〜20重量部、さらには7〜20重量部である。
該ビニルアルコール系重合体(B)の重合度は、各種の状況に応じて選定すればよく、特に制限はないが、粉末化時の作業性の観点から、100〜3000が好適であり、好ましくは150〜2000、より好ましくは200〜1600、最適には200〜1000である。一方、ビニルアルコール系重合体(B)のけん度も特に制限されないが、70〜99モル%であることが好ましく、80〜98モル%がより好ましく、80〜96モル%がさらに好ましい。
該ビニルアルコール系重合体(B)は本発明の効果を損なわない範囲で共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合したものでも良い。このようなエチレン性不飽和単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどの炭素数4以下のオレフィン、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、(無水)マレイン酸、イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびそのナトリウム塩、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ビニルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、N−ビニルピロリドン、 N−ビニルホルムアミド、 N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド類が挙げられる。また、チオール酢酸、メルカプトプロピオン酸などのチオール化合物の存在下で、酢酸ビニルなどのビニルエステル系単量体を上述したエチレンなどのエチレン性不飽和単量体と共重合し、得られた共重合体をけん化することによって得られる末端変性物を用いることもできる。
ビニルアルコール系重合体(B)としては、エマルジョン(A)に分散剤として用いるビニルアルコール系重合体と同様の、分子内にエチレン単位を1〜12モル%含有するビニルアルコール系重合体が、得られるエマルジョン粉末の再分散性、水硬性物質への分散性、水硬物の強度をより向上させることから好適である。また、ビニルアルコール系重合体(B)としては、エマルジョン(A)に分散剤として用いるビニルアルコール系重合体と同様の、エチレン単位をXモル%とするとき、1,2−グリコール結合を(1.7−X/40)モル%以上含有し、かつエチレン単位を1〜12モル%含有するビニルアルコール系重合体が、エマルジョン粉末の再分散性をより向上させることから好適である。
ビニルアルコール系重合体(B)の添加方法としては、ビニルアルコール系重合体(B)の水溶液を、水性エマルジョン(A)に添加する方法が好適であるが、ビニルアルコール系重合体(B)の粉末、フレーク、またはペレットをエマルジョン(A)に添加する方法も挙げられる。また、乳化重合してエマルジョン(A)を製造する際、乳化重合の後半にビニルアルコール系重合体(B)を添加(一括添加、または連続添加)する方法も挙げられる。
上記の合成樹脂エマルジョン粉末(平均粒径1〜1000μm、好適には2〜500μm)は、そのままで水硬性物質用混和材または打継ぎ材として用いることができるが、必要に応じ、本発明の効果を損なわない範囲で、従来公知の各種エマルジョン、エマルジョン粉末を添加して用いることもできる。
水硬性物質としては、例えばポルトランドセメント、アルミナセメント、スラグセメント、フライアッシュセメントなどの水硬性セメント、あるいは石膏、プラスターなどのセメント以外の水硬性材料が挙げられる。
上記の合成樹脂エマルジョン粉末を、水硬性材料、骨材および水からなるセメントモルタルに配合して使用する場合、合成樹脂エマルジョン粉末の配合量は、水硬性材料に対し5〜20重量%が好適である。ここで、骨材としては、川砂、砕砂、色砂、けい砂などの細骨材、川砂利、砕石などの粗骨材が挙げられる。
また、上記合成樹脂エマルジョン粉末を、水硬性物質用打継ぎ材として使用する場合は、上記合成樹脂エマルジョン粉末を水で適宜再分散し、打継ぎ材(プライマー処理材)としてコンクリートなどの水硬性物質基板に塗り付け、その後で、セメントモルタルなどの水硬性物質を塗り付けることにより施工が行われる。本発明の合成樹脂粉末を打継ぎ材として使用することにより、優れた接着性および耐久性、さらには機械的強度などを付与することができる。
合成樹脂エマルジョン粉末の水への再分散性をより向上させるために、各種の水溶性添加剤を加えることもできる。添加剤は、噴霧乾燥前に合成樹脂エマルジョンに添加して噴霧乾燥すると均一に混合されるため好ましい。水溶性添加剤の使用量は特に制限はなく、エマルジョンの耐水性等の物性に悪影響を与えない程度に適宜コントロールされる。このような添加剤としては、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、でんぷん誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド等の他、水溶性アルキッド樹脂、水溶性フェノール樹脂、水溶性尿素樹脂、水溶性メラミン樹脂、水溶性ナフタレンスルホン酸樹脂、水溶性アミノ樹脂、水溶性ポリアミド樹脂、水溶性アクリル樹脂、水溶性ポリカルボン酸樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性ポリウレタン樹脂、水溶性ポリオール樹脂、水溶性エポキシ樹脂等が挙げられる。
本発明の合成樹脂エマルジョン粉末は、使用する用途により、各種添加剤を配合することもできる。例えば、セメントおよびモルタルなどへの混和剤としての用途では、AE剤、減水剤、流動化剤、保水剤、増粘剤、防水剤等、接着剤用には粘性改良剤、保水剤、粘着付与剤、増粘剤等、塗料用バインダーには、粘性改良剤、増粘剤、顔料分散剤、安定剤等が適宜使用される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何等限定されるものではない。なお、実施例中、「部」および「%」はいずれも重量基準を意味する。
実施例
エマルジョン製造例1
窒素吹き込み口、温度計、撹拌機を備えた耐圧オートクレーブにエチレン変性PVA(PVA−1、エチレン単位含有量4モル%、重合度1300、けん化度93モル%)の9.5%水溶液80部を仕込み、60℃に昇温してから、窒素置換を行った。酢酸ビニル80部を仕込んだ後、エチレンを4.9MPaまで加圧し、0.5%過酸化水素水溶液2gおよび2%ロンガリット水溶液0.3gを圧入し、重合を開始した。残存酢酸ビニル濃度が10%となったところで、エチレン放出し、エチレン圧力2.0MPaとし、3%過酸化水素水溶液0.3gを圧入し重合を完結させた。重合中に凝集などがなく、重合安定性に優れており、固形分濃度55%、エチレン含量18重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン(Em−1)が得られた。
エマルジョン製造例2
エマルジョン製造例1において、PVA−1を用いる代わりに、エチレン変性PVA(PVA−2、エチレン単位含有量3モル%、重合度500、けん化度95モル%)を用いた他はエマルジョン製造例1と同様にして、固形分濃度55%、エチレン含量18.3重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン(Em−2)が得られた。
エマルジョン製造例3
エマルジョン製造例1において、PVA−1を用いる代わりに、エチレン変性PVA(PVA−3、エチレン単位含有量5モル%、重合度1300、けん化度98モル%)を用いた他はエマルジョン製造例1と同様にして、固形分濃度55%、エチレン含量17.8重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン(Em−3)が得られた。
エマルジョン製造例4
エマルジョン製造例1において、PVA−1を用いる代わりに、無変性PVA(PVA−4、重合度1300、けん化度93モル%)を用いた他はエマルジョン製造例1と同様にして、固形分濃度55%、エチレン含量18重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン(Em−4)が得られた。
エマルジョン製造例5
エマルジョン製造例1において、PVA−1を用いる代わりに、無変性PVA(PVA−5、重合度500、けん化度88モル%:(株)クラレ製PVA−205)を用いた他はエマルジョン製造例1と同様にして、固形分濃度55%、エチレン含量18.4重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン(Em−5)が得られた。
エマルジョン製造例6
エマルジョン製造例1において、PVA−1を用いる代わりに、無変性PVA(PVA−6、重合度1000、けん化度98.5モル%:(株)クラレ製PVA−110)を用いた他はエマルジョン製造例1と同様にして、固形分濃度55%、エチレン含量18.1重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン(Em−6)が得られた。
エマルジョン製造例7
エマルジョン製造例1において、PVA−1を用いる代わりに、高温重合により得たエチレン変性PVA(PVA−7、エチレン単位含有量3モル%、1,2−グリコール結合量1.9モル%、重合度1300、けん化度93モル%)を用いた他はエマルジョン製造例1と同様にして、固形分濃度55%、エチレン含量17.8重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン(Em−7)が得られた。
エマルジョン製造例8
エマルジョン製造例1において、PVA−1を用いる代わりに、高温重合により得たエチレン変性PVA(PVA−8、エチレン単位含有量5モル%、1,2−グリコール結合量2.2モル%、重合度500、けん化度93モル%)を用いた他はエマルジョン製造例1と同様にして、固形分濃度55%、エチレン含量17.9重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン(Em−8)が得られた。
エマルジョン製造例9
エマルジョン製造例1において、PVA−1を用いる代わりに、エチレン変性PVA(PVA−9、エチレン単位含有量2.5モル%、1,2−グリコール結合量1.6モル%、重合度500、けん化度88モル%)を用いた他はエマルジョン製造例1と同様にして、固形分濃度55%、エチレン含量17.8重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン(Em−9)が得られた。
エマルジョン製造例10
エマルジョン製造例1において、PVA−1を用いる代わりに、エチレン変性PVA(PVA−10、エチレン単位含有量1.5モル%、1,2−グリコール結合量1.6モル%、重合度500、けん化度88モル%)を用いた他はエマルジョン製造例1と同様にして、固形分濃度55%、エチレン含量17.8重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン(Em−10)が得られた。
エマルジョン製造例11
エマルジョン製造例1において、PVA−1を用いる代わりに、エチレン変性PVA(PVA−11、エチレン単位含有量0.5モル%、1,2−グリコール結合量1.6モル%、重合度500、けん化度95モル%)を用いた他はエマルジョン製造例1と同様にして、固形分濃度55%、エチレン含量17.8重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン(Em−11)が得られた。
エマルジョン製造例12
エマルジョン製造例1において、PVA−1を用いる代わりに、エチレン変性PVA(PVA−12、エチレン単位含有量25モル%、1,2−グリコール結合量1.1モル%、重合度500、けん化度95モル%)を用いた他はエマルジョン製造例1と同様にして、エマルジョン重合を試みたが乳化重合中に系が不安定化し、エマルジョンを得ることが出来なかった。
エマルジョン製造例13
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素吹込口、撹拌機を備えたガラス製容器に、エチレン変性PVA(PVA−1)5部とイオン交換水90部を仕込み、95℃で完全溶解させた。次いで、希硫酸によりpH=4とした後、150rpmで撹拌しながらメチルメタクリレート10部、n−ブチルアクリレート10部、n−ドデシルメルカプタン0.1部を添加し、窒素置換後70℃まで昇温した。1%過硫酸カリウム5部を添加し重合を開始し、さらに2時間かけてメチルメタクリレート40部、n−ブチルアクリレート40部、n−ドデシルメルカプタン0.4部を混合したものを連続的に添加した。重合開始3時間後、転化率99.2%となり重合を終了した。固形分濃度51.5%の安定なメチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート共重合体エマルジョン(Em−12)を得た。
エマルジョン製造例14
エマルジョン製造例13において、PVA−1を用いる代わりに、無変性PVA(PVA−5)を用いた他はエマルジョン製造例13と同様にして、固形分濃度52%のメチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート共重合体エマルジョン(Em−13)を得た。
エマルジョン製造例15
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素吹込口、撹拌機を備えたガラス製容器に、末端にメルカプト基を有するPVA(エチレン含量0.5モル%、重合度550、鹸化度88.3モル%、メルカプト基含量3.3×10−5当量/g)(PVA−13)5部とイオン交換水90部を仕込み、95℃で完全溶解させた。次いで、希硫酸によりpH=4とした後、150rpmで撹拌しながらメチルメタクリレート10部、n−ブチルアクリレート10部、n−ドデシルメルカプタン0.1部を添加し、窒素置換後70℃まで昇温した。1%過硫酸カリウム5部を添加し重合を開始し、さらに2時間かけてメチルメタクリレート40部、n−ブチルアクリレート40部、n−ドデシルメルカプタン0.4部を混合したものを連続的に添加した。重合開始3時間後、転化率99.5%となり重合を終了した。固形分濃度52.0%の安定なメチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート共重合体エマルジョン(Em−14)を得た。
エマルジョン製造例16
エマルジョン製造例1において、PVA−1の代わりに、高温重合により得たPVA(1,2−グリコール結合量1.9モル%、重合度1300、けん化度93モル%)(PVA−14)を用いた他はエマルジョン製造例1と同様にして、固形分濃度55%、エチレン含量17.8重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン(Em−15)が得られた。
実施例1
エマルジョン製造例1で得たエチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン(A)(Em−1)100部と蒸留水50部を混合、希釈したものと、エマルジョンの固形分に対して2%の無水珪酸微粉末(平均粒径2μm)とを別々に120℃の熱風中に同時噴霧して乾燥し、平均粒径20μmのエマルジョン粉末を得た。
(エマルジョン粉末の性能評価)
エマルジョン粉末100部に20℃のイオン交換水100部を添加して、攪拌機により十分攪拌し、以下の物性を評価した。結果を表1に示す。
・再分散性:
再分散したエマルジョンを200メッシュのステンレス製金網でろ過し、105℃で5時間乾燥し、ろ過残渣の割合を測定した。ろ過残渣(%)=(乾燥後のろ過残渣重量/再分散に用いたエマルジョン粉末重量)×100
ろ過残渣は少なければすくないほど、エマルジョン粉末を、水硬性物質用混和材または打ち継ぎ材として用いた場合に、優れた強度を有する水硬物が得られる。本発明によれば、ろ過残渣3%以下(表1)のエマルジョン粉末を得ることができる。
・再分散後の状態;再分散したエマルジョンの状態を目視及び光学顕微鏡で観察し、以下の基準により判断した。
◎ 再分散液が均一で平均粒子径50μm以下
○ 再分散液が均一で未分散物(ブツ)がない。
△ 再分散はしているが、未分散物が認められる。
× 再分散しない
・造膜性:
50℃でガラス板上に再分散物を流延、乾燥させ、造膜性を以下の基準により判断した。
○ 均一な皮膜となり、強靱な皮膜が得られる。
△ 皮膜にはなるがもろい。
× 均一な皮膜が得られない。
・耐水性(皮膜の水中溶出率):
再分散したエマルジョンを20℃下で製膜し、皮膜を得た(膜厚100μm)。該皮膜を20℃水中に24時間浸漬し、以下の式により溶出率を算出した。溶出率(%)={1−(浸漬後の皮膜絶乾重量)/(浸漬前の皮膜絶乾重量)}×100
浸漬前の皮膜絶乾重量;浸漬前の皮膜重量(含水)−(浸漬前の皮膜重量(含 水)×皮膜含水率(%)/100)
浸漬後の皮膜絶乾重量;浸漬後の皮膜を105℃で絶乾した重量。
溶出率は少なければ少ないほどより優れた耐水性と再分散性を有し、本発明によれば溶出率8%以下(表1)のエマルジョン粉末を得ることができる。
放置安定性:再分散したエマルジョンを20℃、及び0℃に放置し、1週間後に状態を観察、以下の基準により判断した。
○ 変化なし、
△ 増粘が認められる、
× ゲル化
ゲル分:
20℃の水中再分散して得られたエマルジョン(20℃のイオン交換水100部に対しエマルジョン粉末100部の割合で再分散)を20℃65%RH下で、PETフイルム上に流延し、7日間乾燥させて厚さ500μmの乾燥皮膜を得た。この皮膜を直径2.5cmに打ち抜いたものを試料として、アセトンにて24時間ソックスレー抽出し、さらに煮沸水中で24時間抽出を行い、抽出後の皮膜の不溶分(ゲル分)を求めた。ゲル分(%)=抽出後の皮膜絶乾重量/抽出前の皮膜絶乾重量×100
抽出前の皮膜絶乾重量=抽出前の皮膜重量(含水)−{抽出前の皮膜重量(含水)×皮膜含水率(%)/100}
*皮膜含水率:皮膜(アセトンおよび煮沸水で抽出する試料とは別の試料)を、105℃、4時間で絶乾し、皮膜の含水率をあらかじめ求める。
*抽出後の皮膜絶乾重量:抽出後の皮膜を105℃、4時間で絶乾燥した重量。 ゲル分は大きければ大きいほど、ビニルアルコール系重合体(B)が分散質(重合体)へより多くグラフトしていることを示し、エマルジョン粉末の再分散性がより向上する。本発明によれば、ゲル分20%以上(表1)エマルジョン粉末を得ることができる。
・再分散後の状態:再分散したエマルジョンの状態を目視及び光学顕微鏡で観察し、以下の基準により判断した。
◎ 再分散液が均一で平均粒子径50μm以下
○ 再分散液が均一で未分散物がない。
△ 再分散はしているが、未分散物が認められる。
× 再分散しない
・セメントモルタル用混和材としての性能
[1]セメントモルタルの物性試験
1)モルタル組成:
水性エマルジョンの固形分/セメント重量比=0.10
砂/セメント重量比=2.5、水/セメント重量比=0.5
2)スランプ値 :JIS A−1173に準じて測定
(セメントモルタルへの分散性を示す指標)
3)曲げ強度 :JIS A−6203に準じて測定
4)圧縮強度 :JIS A−6203に準じて測定
実施例2−7、比較例1−4
実施例1において用いた、Em−1の代わりに、エマルジョン製造例2−11で調製したEm−2〜Em−11を用いる以外は実施例1と同様にしてエマルジョン粉末を得た。得られたエマルジョン粉末の物性を実施例1と同様にして評価した。結果を併せて表1に示す。
実施例8−10
エマルジョン製造例1で得たエチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン(A)(Em−1)100部とエチレン変性PVA(B)(PVA−2)の5%水溶液を所定量混合したものと、エマルジョンの固形分に対して2%の無水珪酸微粉末とを別々に120℃の熱風中に同時噴霧して乾燥し、エマルジョン粉末を得た。結果を併せて表1に示す。
実施例11、比較例5−7
実施例1において用いた、Em−1の代わりに、エマルジョン製造例13−16で調製したメチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート共重合体エマルジョン(A)(Em−12、Em−13、Em−14、Em−15)を用いる以外は実施例1と同様にしてエマルジョン粉末を得た。得られたエマルジョン粉末の物性を実施例1と同様にして評価した。結果を併せて表1に示す。
実施例12
エマルジョン製造例13で得たメチルアクリレート/n−ブチルアクリレート共重合体エマルジョン(A)(Em−12)100部とエチレン変性PVA(B)(PVA−2)の5%水溶液200部を混合したものと、エマルジョンの固形分に対して2%の無水珪酸微粉末とを別々に120℃の熱風中に同時噴霧して乾燥し、エマルジョン粉末を得た。結果を併せて表1に示す。
Figure 0004738726
本発明により、再分散性に優れ、再分散した場合にも造膜性に優れた合成樹脂エマルジョン粉末が得られる。また該粉末を水硬性物質用混和剤として用いた場合、水硬性物質への分散性に優れ、さらに高い強度を有する水硬物を得ることができる。また、該粉末を水硬性物質用打継ぎ材として用いた場合は、優れた接着性および耐久性、さらには優れた機械的強度を付与することができる。

Claims (8)

  1. 分子内にエチレン単位を1〜12モル%含有するビニルアルコール系重合体を分散剤とし、エチレン性不飽和単量体及びジエン系単量体から選ばれる一種あるいは二種以上の不飽和単量体単位を有する重合体を分散質とするエマルジョン(A)の固形分100重量部に対し、さらに、分子内にエチレン単位を1〜12モル%含有する、前記分散剤とは異なるビニルアルコール系重合体(B)を1〜50重量部配合し、乾燥して得られるろ過残渣3%以下の再分散性に優れた合成樹脂エマルジョン粉末。
  2. 分散剤として用いるビニルアルコール系重合体の、エチレン単位の含有量が、1.5〜12モル%である請求項1記載の合成樹脂エマルジョン粉末。
  3. 分散剤として用いるビニルアルコール系重合体の、エチレン単位の含有量が、2〜12モル%である請求項1または2記載の合成樹脂エマルジョン粉末。
  4. エチレン性不飽和単量体及びジエン系単量体から選ばれる一種あるいは二種以上の不飽和単量体単位を有する重合体が、ビニルエステル系重合体、またはオレフィン−ビニルエステル共重合体である請求項1〜3のいずれかに記載の合成樹脂エマルジョン粉末。
  5. 分散剤として用いるビニルアルコール系重合体が、エチレン単位の含有量をXモル%とするとき、1,2−グリコール結合を(1.7−X/40)〜4モル%含有するビニルアルコール系重合体である請求項1〜4のいずれかに記載の合成樹脂エマルジョン粉末。
  6. 乾燥が噴霧乾燥である請求項1〜5のいずれかに記載の合成樹脂エマルジョン粉末。
  7. 合成樹脂エマルジョン粉末が、無機粉末を含有する請求項1〜6のいずれかに記載の合成樹脂エマルジョン粉末。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の合成樹脂エマルジョン粉末からなる水硬性物質用混和材または打継ぎ材。
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