JP4737905B2 - Gl50分子およびその使用 - Google Patents

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Description

【0001】
発明の背景
T細胞が外来蛋白に対して応答するためには、抗原提示細胞(APC)によって2つのシグナルが休止中のTリンパ球に与えられなくてはならない(Jenkins, M. and Schwartz, R. (1987) J. Exp. Med. 165, 302-319; Mueller, D. L., et al. (1990) J. Immunol. 144, 3701-3709)。第1のシグナルは免疫応答に特異性を付与するものであり、主要組織適合複合体(MHC)によって提示された外来抗原性ペプチドの認識後にT細胞受容体(TCR)を介して伝達される。第2のシグナルは共刺激(costimulation)と呼ばれるものであり、T細胞が増殖し、機能的になるように誘導する(Lenschow et al. 1996. Annu. Rev. Immunol. 14: 233)。共刺激は抗原特異的でもなく、MHCにより制限されてもおらず、APCにより発現される1またはそれ以上の別個の細胞表面分子によって提供されると考えられている(Jenkins, M.K., et al. 1988 J. Immunol. 140, 3324-3330; Linsley, P.S., et al. 1991 J. Exp. Med. 173, 721-730; Gimmi, C.D., et al., 1991 Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 88, 6575-6579; Young, J.W., et al. 1992 J. Clin. Invest. 90, 229-237; Koulova, L., et al. 1991 J. Exp. Med. 173, 759-762; Reiser, H., et al. 1992 Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 89, 271-275; van-Seventer, G.A., et al. (1990) J. Immunol. 144, 4579-4586; LaSalle, J.M., et al., 1991 J. Immunol. 147, 774-80; Dustin, M.I., et al., 1989 J. Exp. Med. 169, 503; Armitage, R.J., et al. 1992 Nature 357, 80-82; Liu, Y., et al. 1992 J. Exp. Med. 175, 437-445)。
APCs上に発現されるCD80(B7−1)およびCD86(B7−2)蛋白は重要な共刺激分子である(Freeman et al. 1991. J. Exp. Med. 174:625; Freeman et al. 1989 J. Immunol. 143:2714; Azuma et al. 1993 Nature 366:76; Freeman et al. 1993. Science 262:909)。B7−2は一次免疫応答の間に重要な役割を果たすように思われ、B7−1は免疫応答の後半になってアップレギュレートされ、一次T細胞応答の延長または二次T細胞応答の共刺激において重要であるかもしれない(Bluestone. 1995. Immunology. 2:555)。
【0002】
B7−1およびB7−2が結合する1のリガンドであるCD28は休止T細胞上に構成的に発現され、活性化後に発現が増大する。T細胞受容体を介するシグナリング後に、CD28のライゲーションおよび共刺激シグナルのトランスダクションによりT細胞増殖が誘導され、IL−2が分泌される(Linsley, P. S. et al. (1991) J. Exp. Med. 173:721-730; Gimmi, C. D. et al. (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:6575-6579; June, C. H. et al. (1990) Immunol. Today 11:211-6; Harding, F. A. et al. (1992) Nature 356:607-609)。CTLA4(CD152)と呼ばれる第二のリガンドはCD28と相同的であるが、休止T細胞上には発現されず、T細胞活性化後にのみ出現する(Brunet, J. F. et al. (1987) Nature 328:267-270). CTLA4 appears to be critical in negative regulation of T cell responses (Waterhouse et al. (1995) Science 270:985)。CTLA4の遮断(Block)ブロックは阻害的シグナルを除去することが見出されたが、CTLA4の凝集は、T細胞応答をダウンレギュレーションする阻害的シグナルを提供することが見出された(Allison and Krummel (1995) Science 270:932)。B7分子はCD28に対するよりもCTLA4に対して高いアフィニティーを有し(Linsley, P. S. et al. (1991) J. Exp. Med. 174:561-569)、B7−1およびB7−2はCTLA4分子の別々の部分に結合し、CTLA4への結合に関して異なったキネティクスを有することが見出された(Linsley et al. (1994) Immunity 1:793)。
【0003】
過去において、B7共刺激ファミリーのさらなるメンバーの存在についての報告が議論の的となった。B7−1またはB7−2陽性細胞のいずれよりも大きな細胞のサブセットを認識すると思われる抗体BB−1は、別のB7−ファミリーのメンバーであるB7−3の存在についての議論を引き起こした。B7−3の同定は、一部には、BB−1抗体を用いるT細胞受容体不変鎖の発現クローニングにより解決されると考えられた。不変鎖(invariant chain)はB7ファミリーに関連していないが、この分子はT細胞増殖アッセイにより評価した場合、共刺激を少し容易にした。
ごく最近になって、CD28(24%)およびCTLA4(17%)に対して配列同一性を有するICOSと呼ばれる新規表面受容体が記載された(Hutloff et al. (1999) Nature 397:263; WO 98/38216)。CD28とは異なり、ICOSは刺激されたT細胞上でアップレギュレーションされ、CD28共刺激により媒介されるサイトカインとは異なる一群のサイトカインの分泌を引き起こした(Hutloff et al. (1999) Nature 397:263)。
【0004】
B7:CD28/CTLA4共刺激経路の重要性がin vitroにおいて示されており、さらにin vivoモデル系においても示されている。この共刺激経路をブロックすることは、ネズミおよびヒトの系において抗原特異的耐性の発生を引き起こす(Harding, F. A. et al. (1992) Nature 356:607-609; Lenschow, D. J. et al. (1992) Science 257:789-792; Turka, L. A. et al. (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:11102-11105; Gimmi, C. D. et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6586-6590; Boussiotis, V. et al. (1993) J. Exp. Med. 178: 1753-1763)。逆に、B7陰性ネズミ腫瘍細胞によるB7の発現により、T細胞により媒介される腫瘍拒絶を伴った特異的な免疫ならびに長期間持続する腫瘍攻撃に対する防御が誘導される(Chen, L. et al. (1992) Cell 71:1093-1102; Townsend, S. E. and Allison, J. P. (1993) Science 259:368-370; Baskar, S. et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. 90:5687-5690)。それゆえ、共刺激経路を操作することにより、ヒトにおいて免疫応答を刺激または抑制する大きな潜在能力が得られる。
【0005】
発明の概要
本発明は、少なくとも一部には、本明細書においてGL50分子と呼ばれる新規核酸分子およびかかる核酸によりコードされるポリペプチドの発見に基づくものである。好ましいGL50分子はプロフェッショナルな抗原提示細胞(例えば、Bリンパ球、単球、樹状細胞、ランゲルハン細胞)および他の抗原提示細胞(例えば、ケラチノサイト、内皮細胞、星状細胞、線維芽細胞、オリゴデンドロサイト)の表面上の抗原を包含し、T細胞増殖を共刺激し、T細胞上の共刺激受容体(例えば、CD28、CTLA4、および/またはICOS)に結合し、そして/あるいはB7ファミリーのメンバー、例えば、抗−GL50抗体を認識する抗体により結合される。
本発明のGL50核酸およびポリペプチド分子は、例えば、免疫応答のモジュレーションにおいて有用である。したがって、1の態様において、本発明は、GL50ポリペプチドをコードする単離核酸分子ならびにGl50をコードする核酸の検出するためのプライマーまたはハイブリダイゼーションプローブとして適当な核酸フラグメントを提供する。
【0006】
1の具体例において、本発明のGL50核酸分子は、配列番号:1、3または5あるいはそれらの組み合わせを含むヌクレオチド配列に対して(例えば、ヌクレオチド配列の全長に対して)少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%またはそれ以上の同一性を有する。
好ましい具体例において、単離核酸分子は配列番号:1、3または5あるいはそれらの組み合わせで示されるヌクレオチド配列を含む。もう1つの好ましい具体例において、本発明の単離核酸分子はGL50ポリペプチドのアミノ酸配列をコードする。
本発明のもう1つの具体例は、非GL50ポリペプチドをコードする核酸分子と対比してGL50核酸分子を特異的に検出する核酸分子、好ましくはGL50核酸分子に関するものである。例えば、1の具体例において、かかる核酸は少なくとも20、30、40、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750または800ヌクレオチドの長さであり、ストリンジェントな条件下で配列番号:1、3または5、あるいはそれらの組み合わせで示されるヌクレオチド配列を含む核酸分子にハイブリダイゼーションする。
他の好ましい具体例において、本発明の核酸分子はヒトGL50ポリペプチドの天然に存在する対立遺伝子変種をコードし、その核酸分子は配列番号:1、3または5、あるいはそれらの組み合わせを含む核酸分子にストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーションする。
本発明のもう1つの具体例は、GL50核酸分子、例えばGL50核酸分子ののコーディング鎖に対してアンチセンスである単離核酸分子を提供する。
【0007】
本発明のもう1つの態様は、GL50核酸分子を含むベクターを提供する。ある具体例において、ベクターは組み換え発現ベクターである。もう1つの具体例において、本発明は、本発明のベクターを含む宿主細胞を提供する。本発明は、組み換え発現ベクターを含む本発明の宿主細胞、例えば非ヒト哺乳動物細胞のごとき哺乳動物宿主細胞を適当な培地中で培養してポリペプチドを得ることによるポリペプチド、好ましくはGL50ポリペプチドの製造方法も提供する。
【0008】
本発明のもう1つの態様は単離または組み換えGL50ポリペプチドおよび蛋白に関する。
1の具体例において、単離ポリペプチドはヒトGL50ポリペプチドである。
さらにもう1つの具体例において、単離GL50ポリペプチドは可溶性GL50ポリペプチドである。
さらなる具体例において、単離GL50ポリペプチドは細胞表面上に発現され、例えば、膜貫通ドメインを有するものである。
さらなる具体例において、単離GL50ポリペプチドは、活性化T細胞のサイトカイン分泌および/または増殖を共刺激することにおいて役割を果たす。もう1つの具体例において、単離GL50ポリペプチドは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下において配列番号:1、3または5のヌクレオチド配列を含む核酸分子にハイブリダイゼーションする核酸分子によりコードされる。
【0009】
本発明のもう1つの具体例は単離ポリペプチド、好ましくはGL50ポリペプチドであり、配列番号:1、3または5またはそれらの組み合わせを含むヌクレオチド配列に対して(例えば、ヌクレオチド配列の全長に対して)少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%またはそれ以上の同一性を有するヌクレオチド配列を有する核酸分子によりコードされる。
本発明のもう1つの具体例は単離ポリペプチド、好ましくはGL50ポリペプチドであり、配列番号:2、4または6を含むアミノ酸配列に対して(例えば、アミノ酸配列の全長に対して)少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%またはそれ以上の同一性を有するヌクレオチド配列を有する核酸分子によりコードされる。
さらに本発明は、配列番号:1、3または5のヌクレオチド配列あるいはそれらの組み合わせを含む核酸分子にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイゼーションするヌクレオチド配列を有する核酸分子によりコードされるGL50ポリペプチドに関する。
本発明のポリペプチドは非GL50ポリペプチド(例えば、異種アミノ酸配列)に作動可能に連結されて融合蛋白を形成することができる。さらに本発明は、本発明のポリペプチド、好ましくはGL50ポリペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体のごとき抗体に関する。さらに、GL50ポリペプチド、例えば、生物学的に活性のあるポリペプチドを、医薬上許容される担体を含んでいてもよい医薬組成物中に含ませることもできる。
【0010】
もう1つの具体例において、本発明は、GL50核酸分子またはポリペプチドを検出しうる作用剤に生物学的試料を接触させて、生物学的試料中のGL50核酸分子またはポリペプチドの存在を検出することによる、生物学的試料中のGL50核酸分子またはポリペプチドの存在を検出する方法を提供する。
【0011】
もう1つの態様において、本発明は、GL50ポリペプチド活性のインジケーターを検出しうる作用剤に生物学的試料を接触させて、生物学的試料中のGL50ポリペプチド活性の存在を検出することによる、生物学的試料中のGL50活性の存在を検出する方法を提供する。
【0012】
GL50ポリペプチドを発現しうる細胞をGL50活性をモジュレーションする作用剤と接触させて、細胞中のGL50活性をモジュレーションすることを特徴とする、GL50ポリペプチド活性をモジュレーションする方法を提供する。もう1つの具体例において、作用剤はGL50活性を刺激する。1の具体例において、作用剤は、好ましくはGL50ポリペプチドに特異的に結合する抗体である。もう1つの具体例において、作用剤は、GL50遺伝子の転写またはGL50 mRNAの翻訳をモジュレーションすることによりGL50の発現をモジュレーションする。さらにもう1つの具体例において、作用剤は、GL50 mRNAまたはGL50遺伝子のコーディング鎖に対してアンチセンスであるヌクレオチド配列を有する核酸分子である。
【0013】
1の具体例において、本発明の方法を用いて、GL50のモジュレーターである作用剤を対象に投与することにより、GL50分子をアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションいずれかのモジュレーションにより利益を受けるであろう疾病(異常なGL50ポリペプチドまたは核酸の発現または活性により特徴づけられる)または症状を有する対象を治療する。1の具体例において、GL50モジュレーターはGL50ポリペプチドである。もう1つの具体例において、GL50モジュレーターはGL50核酸分子である。もう1つの具体例において、GL50モジュレーターは、GL50GLとGL50のリガンドとの間の相互作用をモジュレーションする分子、あるいはGL50の細胞内ドメインと相互作用する分子である。さらにもう1つの具体例において、GL50モジュレーターはペプチド、ペプチド模倣物、または他の小型分子である。好ましい具体例において、異常なGL50ポリペプチドまたは核酸の発現により特徴付けられる疾病は、GL50活性のモジュレーションにより利益を受けるであろう免疫系の疾病または症状である。
【0014】
また本発明は、(i)GL50ポリペプチドをコードする遺伝子の異常な修飾または変異;(ii)遺伝子の誤調節;(iii)GL50ポリペプチドの異常な翻訳後修飾のうち少なくとも1つにより特徴づけられる遺伝学的変化の存在または不存在を同定するための診断アッセイを提供し、野生型遺伝子はGL50活性を有するポリペプチドをコードするものである。
【0015】
もう1つの態様において、本発明は、GL50ポリペプチドに結合し、あるいはその活性をモジュレーションする化合物を同定する方法を提供する。該方法は、GL50活性を有するGL50ポリペプチドを含むインジケーター組成物を用意し、インジケーター組成物を試験化合物と接触させ、次いで、インジケーター組成物中のGL50活性に対する試験化合物の影響を調べて、GL50ポリペプチドの活性をモジュレーションする化合物を同定することを特徴とする。
【0016】
もう1つの態様において、本発明は、GL50メンバーのポリペプチドをコードする導入遺伝子を担持している細胞を含む非ヒトトランスジェニック動物に関する。
【0017】
1の具体例において、本発明は、刺激性の形態のGL50分子を癌にかかっている対象に投与することを特徴とする癌の治療方法を提供する。好ましい具体例において、刺激性形態のGL50分子は可溶性形態のGL50であり、共刺激分子の細胞外ドメインを含む。1の具体例において、共刺激分子は一特異的(monospecific)である。1の具体例において、共刺激分子は二量体である。1の具体例にいおて、共刺激分子は2価である。
【0018】
もう1つの好ましい具体例において、免疫グロブリン分子の一部分(例えば、システイン残基を含む免疫グロブリン分子の一部分;ヒト免疫グロブリン分子のヒンジ、CH2、およびCH3領域を含む免疫グロブリン分子の一部分;あるいはヒト免疫グロブリン分子のヒンジ、CH1、CH2、およびCH3を含む免疫グロブリン分子の一部分)を含む第2の蛋白またはポリペプチドに共刺激分子を融合させる。さらにもう1つの具体例において、免疫グロブリン分子の部分は修飾されて補体固定および/またはFc受容体結合を減じるようになっている。
【0019】
さらにもう1つの態様において、本発明は、免疫細胞を活性化形態のGL50分子と接触させて、腫瘍細胞に対する免疫応答を促進させ、腫瘍細胞の増殖を減少させることを特徴とする、腫瘍細胞の増殖を減少させる方法に関する。
1の具体例において、活性化形態のGL50分子はGL50の細胞外ドメインを含む可溶性ポリペプチドである。
もう1つの具体例において、活性化形態のGL50分子はGL50の細胞外ドメインを含む細胞結合ポリペプチドである。
【0020】
さらにもう1つの具体例において、本発明は、(i)少なくとも1つのGL50ポリペプチドドメインを含むポリペプチドを試験化合物およびGL50結合パートナーと接触させ、次いで、(ii)ポリペプチドとGL50結合パートナーとの相互作用をモジュレーションする化合物を同定して、GL50により媒介される免疫細胞の活性化をモジュレーションする化合物を同定することを特徴とする、GL50により媒介される免疫細胞の活性化をモジュレーションする化合物をスクリーニングする方法に関する。
1の具体例において、ポリペプチドは、膜貫通ドメイン、細胞質ドメイン、および細胞外ドメインからなる群より選択されるGL50ドメインを含む。
1の具体例において、ドメインはGL50細胞質ドメインのスプライス変種である。
1の具体例において、GL50ポリペプチドドメインは少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
【0021】
1の態様において、本発明は、GL50分子を発現する免疫細胞を試験化合物に接触させ、次いで、GL50を介するシグナルトランスダクションをモジュレーションする試験化合物の能力を調べ、そのことにより免疫細胞におけるシグナルをモジュレーションする化合物を同定することを特徴とする、免疫細胞におけるシグナルトランスダクションをモジュレーションする化合物をスクリーニングする方法に関する。
【0022】
発明の詳細な説明
すでに特徴づけられているBリンパ球活性化抗原、例えば、B7−1およびB7−2のほかに、T細胞を共刺激する他の抗原が抗原提示細胞(例えば、B細胞、単球、樹状細胞、ランゲルハン細胞、ケラチノサイト、内皮細胞、星状細胞、線維芽細胞、オリゴデンドロサイト)の表面上に存在する。
本発明は、少なくとも一部には、本明細書においてGL50ポリペプチドと呼ばれる新規分子の発見に基づく。ネズミGL50−1(mGL50−1)はIL−12活性化マウスリンパ節ライブラリーから単離された。mGL50−1のヌクレオチド配列を配列番号:1に示す。完全長マウスmGL50−1から派生したポリペプチド配列を配列番号:2に示す。配列はマウスB7−1およびマウスB7−2に対して約20%の配列同一性を示す。mGL50−1は、リーダー配列、細胞外Ig様ドメイン、疎水性膜貫通ドメイン、および1個のチロシン残基を含む細胞内ドメインを含む322個のアミノ酸からなるポリペプチドをコードする。
【0023】
マウス末梢血リンパ球(PBL)RNAを用いる3’RACE PCRにより、マウスGL50の別スプライス形態(mGL50−2)が明らかとなった。ネズミGL50−2(mGL50−2)のヌクレオチド配列を配列番号:3に示す。ヌクレオチド配列は27個の種々のアミノ酸からなる細胞内ドメインを有するポリペプチドをコードし、該ポリペプチドはさらに3個のチロシン、コンセンサスポリアデニル化シグナルを有する3’非翻訳領域、およびポリAテイルを含んでおり、配列番号:4に示される。mGL50−1およびmGL50−2の転写物はRT−PCRおよびノーザンブロット分析により見出され、複数の組織パネルのリンパ器官に優先的に局在化していた。同定されたネズミGL50配列は、すでに報告されているヒト脳cDNAクローン、GeneBank受託番号AB014553と関係があることがわかった。
【0024】
ヒトPBL cDNAの3’RACEを行って、ネズミGL50と関係あるヒトクローンを同定した。別の3’配列をコードするクローンが同定された。得られたヒトGL50(hGL50[AB014553−RACE])クローンのヌクレオチド配列を配列番号:5に示す。ヌクレオチド配列は309個のアミノ酸からなる蛋白をコードし、それはmGL50−1に対して約26%のアミノ酸配列同一性を有し、mGL50−2に対して28%のアミノ酸配列同一性を有し、ヒトB7−1に対して約13%のアミノ酸配列同一性を有し、ヒトおよびマウスのB7−2に対して約13%のアミノ酸配列同一性を有する。
【0025】
ネズミGL50−1Ig融合蛋白を試薬としてを用いるフローサイトメトリーアッセイにより、マウスICOSを発現するCOSトランスフェクション体への結合が示されたが、CD28またはCTLA−4を発現する細胞への結合は示されなかった。これらの結果は、GL50分子が分子のB7ファミリーの新規メンバーであることを確認するものである。
【0026】
GL50核酸およびポリペプチド分子
1の具体例において、本発明の単離核酸分子は真核性GL50ポリペプチドをコードする。
分子のGL50ファミリーは、シグナルドメイン、IgVドメインおよびIgCドメインを包含する多くの保存された領域を共有している。例えば、mGL50−1(配列番号:1)の場合には、2718個のコンセンサスヌクレオチドからなるmGL50−1配列は、推定分子量36kDaを有する322個のアミノ酸からなる蛋白をコードする。オープンリーディングフレームのハイドロパシープロットにより、リーダー配列に対応する構造(ヌクレオチドほぼ67から195までによりコードされる)、細胞外ドメイン(ヌクレオチドほぼ196から904によりコードされる)、疎水性膜貫通領域(ヌクレオチドほぼ905から961によりコードされる)および潜在的な細胞内細胞質ドメイン(ヌクレオチドほぼ962から1032までによりコードされる)が推定された。シグナルペプチドの開裂はアミノ酸配列中の位置46において推定される。1の具体例において、GL50ポリペプチドの細胞外ドメインは、シグナル配列の開裂後にはIgVおよびIgCドメインを含むが、GL50ポリペプチドの膜貫通および細胞質ドメイン(例えば、図16に示すGL50−1のアミノ酸ほぼ47から277までのアミノ酸配列またはhGL50のアミノ酸ほぼ22からほぼ278までのアミノ酸配列に対応)は含まない。
【0027】
mGL50−1アミノ酸配列の分析により、蛋白の細胞質ドメイン中のIgドメインに対する類似性が示唆された。Ig様構造に関しては、4個のシステインが細胞外ドメイン中に見られ、分子内結合ならびにIgV様ドメインおよびIgC様ドメインに対応する異なった構造コンホーメーションが可能となっている。これらの領域は両方ともIgスーパーファミリーのメンバーのドメインであり、当該分野において認識されている。これらのドメインは、Igフォールドとして知られる特徴的なフォールディングパターンを有する構造ユニットに対応している。Igフォールドは2枚のβシートのサンドイッチからなり、各々は5ないし10個のアミノ酸の逆平行ベータ鎖からなっており、すべてではないが大部分のドメインにおいて2枚のシート間に保存されたジスルフィド結合がある。Ig、TCR、およびMHC分子のIgCドメインは同じタイプの配列パターンを共有し、IgスーパーファミリーのC1−セットと呼ばれる。他のIgCドメインは他のセットに含まれる。IgVドメインもまた配列パターンを共有し、Vセットドメインと呼ばれる。IgVドメインはC−ドメインよりも長く、さらなるβ鎖のペアーを形成する。
【0028】
mGL50−2、mGL50−1、hGL50、およびニワトリY08823分子を図16に示す。各分子はシグナルペプチド、IgV様ドメイン、IgC様ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインを含む。mGL50−1中のドメインに対応するmGL50−2、hGL50、およびY08823のドメインを図16に示す。
【0029】
GL50ポリペプチド、公表されたAB014553配列、ならびにヒトおよびマウスのB7−1およびB7−2配列の並置比較を、Geneworks蛋白並置比較プログラムを用いて、パラメータを以下のようにセットして行った:ギャップをオープンにするためのコスト=5、ギャップを長くするためのコスト=5、最小対角線長さ=4、最大対角線オフセット=130、コンセンサスカットオフ=50%、ならびにPam 250マトリックスの使用。並置比較の結果を下表1に示す。
【0030】
【表1】
Figure 0004737905
【0031】
表1は、hGL50ポリペプチドが、AB014553によりコードされるポリペプチドに対して約50%、mGL50−1およびmGL50−2に対して約40%のアミノ酸配列同一性を有することを示す。mGL50−1およびm50−2は高度のアミノ酸配列同一性、すなわち92%の同一性を有する。GL50ポリペプチドは、他のB7ファミリーの分子に対して約20%のアミノ酸配列同一性を有する。
【0032】
さらなる並置比較を行って、ネズミGL50、hGL50、ヒトB7−1、マウスB7−1、マウスB7−2、およびヒトB7−2蛋白配列の間の関連性の程度を決定した。PileUp分析を用いて(図12)、6種のすべての分子の細胞外ドメイン中に18のアミノ酸位置が同じように並置された。B7分子の推定IgV様およびIgC様フォールドを画定する32の位置のうち、6種すべての分子において13の位置が同じように保存されており、最も著しくは、ドメインの分子内フォールディングを可能にする4個のシステインが保存されている。有意な配列保存がある他の領域も細胞外ドメイン中に見られるが、興味深いことに、B7−1またはB7−2のいずれかとより密接に並置される特定の位置においてGL50配列の同一性がみられる(同一性スコア8)。例えば、mGL50−1の位置86に対応するバリン残基はhGL50およびB7−2配列により共有されているが、B7−1によっては共有されていない。同様に、マウスmGL50−1の位置87のチロシンはhGL50およびB7−1中の対応位置において保存されているが、B7−2においては保存されていない。同一性スコアが8である16の位置のうち、5つの位置がマウスのmGL50−1/hGL50およびB7−1により共有されており、4つの位置がマウスmGL50−1/hGL50およびB7−2間で共有されており、6つの位置がB7−1およびB7−2間で共有されている。ペプチド構造に基づけば、これらの結果は、GL50配列が蛋白のB7ファミリーに対して平行な系統発生学的空間を占めていることを示唆するものである。
【0033】
アミノ酸100個あたりの置換に関して遺伝学的隔たりを測定する分子系統発生学的分析(GrowTree)により樹形図(図13)が得られ、マウス/hGL50(85)、m/hB7−2(68)およびm/hB7−1(88)の独立したクラスタリングが存在した。アウトグループ(outgroup)としてmmu67065 1(マウスブチロフィリン)を用いた。ニワトリのクローンY08823もまた、B7配列(215−320)よりもGl50配列(ほぼ140)に対して密接に並置されることがわかり、これらの配列が蛋白の別個のサブファミリーを構成することが示された。GL50、B7−2およびB7−1ブランチ間の隔たりは大きく(216−284)、ヒトおよびげっ歯類の系統の開始点以降、これらの分子の間に多数の置換が生じていることが示唆された。GL50核酸分子間の遺伝学的隔たりを下表2に示す。
【0034】
【表2】
Figure 0004737905
【0035】
本発明の種々の態様を以下のサブセクションにおいてさらに詳細に説明する。
【0036】
I.定義
本明細書の用語「免疫細胞」は、造血系起源の細胞であって、免疫応答において役割を果たす細胞を包含する。免疫細胞は、B細胞およびT細胞のごときリンパ球;ナチュラルキラー細胞;単球、マクロファージ、好酸球、肥満細胞、好塩基球および顆粒球のごとき骨髄細胞を包含する。
本明細書の用語「T細胞」は、CD4+細胞およびCD8+細胞を包含する。用語「T細胞」は、Tヘルパー1型T細胞およびTヘルパー2型T細胞も包含する。用語「抗原提示細胞」は、専門的な抗原提示細胞(例えば、Bリンパ球、単球、樹状細胞、ランゲルハンス細胞)ならびに他の抗原提示細胞(例えば、ケラチノサイト、内皮細胞、星状細胞、線維芽細胞、オリゴデンドロサイト)を包含する。
本明細書の用語「免疫応答」は、T細胞共刺激のモジュレーションにより影響を受ける、T細胞により媒介されるおよび/またはB細胞により媒介される免疫応答を包含する。典型的な免疫応答は、T細胞応答、例えば、サイトカイン産生、および細胞の細胞毒性を包含する。さらに、用語「免疫応答」は、T細胞活性化により間接的に引き起こされる免疫応答、例えば、抗体産生(体液性応答)およびサイトカイン応答性細胞、例えばマクロファージの活性化を包含する。
本明細書の用語「共刺激受容体」は、共刺激シグナルを免疫細胞、例えばCD28に伝達する受容体を包含する。本明細書の用語「阻害性受容体」は、免疫細胞(例えば、CTLA4)に負のシグナルを伝達する受容体を包含する。共刺激受容体(CD28のごとき)が免疫細胞上に存在しなくても阻害性受容体により変換されるような阻害性シグナルが生じる可能性があり、よって、それは共刺激分子をめぐる阻害性受容体と共刺激受容体との間の競争の単なる関数ではない(Fallarino et al. (1998) J. Exp. Med. 188:205)。免疫細胞への阻害性シグナルの伝達は免疫細胞における無応答またはアネルギーまたはプログラムされた細胞死を引き起こす可能性がある。好ましくは、阻害性シグナルの伝達は、アポトーシスを包含しない機構を介して作動するものである。本明細書の用語「アポトーシス」は、当該分野において知られた方法を用いて特徴づけることのできるプログラムされた細胞死を包含する。アポトーシス性細胞死は、例えば、細胞収縮、膜の空胞化および細胞断片化を最大化するクロマチン濃縮によって特徴づけることができる。アポトーシスを受けている細胞は特徴的なパターンのヌクレオソーム間DNAの開裂も示す。
受容体のタイプの相違のほかに、異なる形態の共刺激分子は活性化または阻害性のいずれかでありうる。例えば、活性化受容体(activating receptor)の場合、例えば、活性化受容体の架橋を生じさせる多価形態の共刺激分子によりシグナルが伝達されうるし、あるいは、例えば、活性化受容体に結合するが活性化シグナルを伝達しない共刺激分子により、例えば、受容体への結合に関して活性化形態の共刺激分子と競合することによりシグナルが阻害されうる(有る種の可溶性形態の共刺激分子は阻害性であり得るが、可溶性分子が刺激性である例もある)。同様に、阻害性受容体に結合する共刺激分子の形態により、シグナルが伝達され得ることもあり(例えば、活性化受容体の架橋を生じさせる多価形態の共刺激分子により)、あるいはシグナルが阻害され得ることもある(例えば、阻害性受容体に結合するが阻害性シグナルを伝達しない形態の共刺激分子により)。本明細書に開示した常套的なスクリーニングアッセイを用いて、種々のモジュレーション剤の効果が容易に示され得る。
活性化された免疫細胞に関する本明細書の用語「共刺激」は、受容体により媒介され、増殖またはエフェクター機能を誘発する第2の非活性化シグナル(non-activating signal)(「共刺激シグナル」という)を提供する共刺激分子の能力を包含する。例えば、共刺激シグナルは、例えば、T細胞受容体により媒介されるシグナルを受け取ったT細胞におけるサイトカイン分泌を引き起こしうる。例えば、活性化受容体(activating receptor)を介して細胞受容体により媒介されるシグナルを受け取った免疫細胞は、本明細書において「活性化された免疫細胞」と呼ばれる。
本明細書の用語「活性化受容体」は、抗原、複合体化抗原(例えば、MHC分子の文脈において)に結合する、あるいは抗体に結合する免疫細胞受容体を包含する。かかる活性化受容体は、T細胞受容体(TCR)、B細胞受容体(BCR)、サイトカイン受容体、LPS受容体、補体受容体、およびFc受容体を包含する。
例えば、T細胞受容体はT細胞上に存在し、CD3分子に結合する。MHC分子の文脈において、抗原により(ならびにポリクローナルT細胞活性化試薬により)T細胞受容体が刺激される。TCRを介するT細胞活性化は多くの変化、例えば、蛋白リン酸化、膜脂質の変化、イオンフラックス、環状ヌクレオチドの変化、RNA転写の変化、蛋白合成の変化、および細胞体積の変化を引き起こす。
本明細書の用語「阻害性シグナル(inhibitory signal)」は、免疫細胞上の分子に対する阻害性受容体(例えば、CTLA4またはPD−1)を介して伝達されるシグナルをいう。かかるシグナルは活性化受容体を介する(TCR、CD3、BCR、またはFc分子を介する)シグナルに拮抗し、例えば、第2のメッセンジャー生成阻害;増殖阻害;免疫細胞におけるエフェクター機能阻害、例えば、食作用低下、抗体産生減少、細胞の細胞毒性低下、免疫細胞のメディエイタ(サイトカイン(例、IL−2)および/またはアレルギー応答のメディエイタのごとき)産生不能;あるいはアネルギー生起を引き起しうる。
本明細書の用語「アジュバント」は、抗原(例えば、腫瘍−関連抗原)に対する免疫応答を高める作用剤を包含する。アジュバントを共刺激分子と混合して投与して、さらに免疫応答を改善することができる。
本明細書の用語「一重特異的」は、ただ1つの特異性を有する分子を包含し、すなわち、それらの分子はそれらの同族のリガンド、例えば、T細胞上のCD28、CTLA4、またはICOSに特異的に結合する。かかる一重特異的な作用剤はさらなる特異性を包含するように処理されておらず、かくして、標的化された様式で他の細胞表面分子に結合しない。本明細書の用語「寡特異的」は、1よりも多い特異性を有する分子を包含し、例えば、それらのリガンド以外の分子の対してさらに特異性を有する分子を包含し、例えば、特異性は、腫瘍関連抗原またはT細胞受容体のごとき細胞表面分子に対するものである。本明細書の用語「2価」は、1分子あたりそのリガンドと相互作用するための結合部位を2個有する可溶性共刺激分子を包含する。本明細書の用語「ダイマー」は、ホモダイマーとして、すなわち、例えばジスルフィド結合により結合された2個の同一のサブユニットから構成されるユニットとして存在する。本明細書の用語「多量体」は、2個よりも多いサブユニットを有する可溶性形態を包含する。
もう1つの具体例において、活性化形態のGL50分子は可溶性GL50分子である。本明細書の用語「可溶性」は、例えば、細胞に結合していない共刺激分子を包含する。可溶性共刺激分子は、それらが由来した細胞結合分子の機能を保持しており、例えば、それらはT細胞上のそれらの同族のリガンドに結合でき、T細胞上のCD28および/またはCTLA4分子を介してシグナルトランスダクションをすることができるが、それらは可溶性形態であり、すなわち、膜結合していない。好ましくは、可溶性組成物は共刺激分子の細胞外ドメインを含む。
好ましくは、かかる可溶性形態のGL50はGL50分子の細胞外ドメインの少なくとも一部を含む。本明細書の用語「GL50分子の細胞外ドメイン」はGL50分子の一部を包含し、それはGL50分子の細胞結合形態において細胞外にある。好ましくは、細胞外ドメインはヒトGL50分子の細胞外ドメインである。1の具体例において、可溶性共刺激分子はGL50分子の細胞外ドメインを含み、さらにシグナル配列を含む。
本明細書の用語「無応答」は、刺激、例えば、活性化受容体またはサイトカインを介する刺激に対する免疫細胞の不反応(refractivity)を包含する。無応答は、例えば、免疫抑制剤に対する曝露または高用量の抗原に対する曝露により生じ得る。本明細書の用語「アネルギー」または「寛容」は、活性化受容体により媒介される刺激に対する屈曲を包含する。一般的には、かかる屈曲は抗原特異的であり、寛容化剤投与を止めた後も持続する。例えば、T細胞におけるアネルギー(無応答に対抗するものとしての)は、例えば、IL−2のごときサイトカイン産生欠如により特徴づけられる。T細胞が抗原に曝露され、第2のシグナル(共刺激シグナル)の不存在下において最初のシグナル(T細胞受容体またはCD−3により媒介されるシグナル)を受け取った場合にT細胞アネルギーが生じる。これらの条件下において、同じ抗原に対する細胞の再曝露は(再曝露が共刺激分子の存在かにて起こる場合であっても)、サイトカイン産生は起こらず、かくして、増殖は起こらない。しかしながら、抗原性T細胞は無関係な抗原に対する応答を備えており、サイトカイン(例えば、IL−2)とともに培養された場合には増殖する可能性がある。例えば、ELISAまたはインジケーター細胞系を用いる増殖アッセイにより測定した場合、Tリンパ球によるIL−2産生欠損によるT細胞アネルギーが観察されうる。あるいはまた、レポーター遺伝子を構築することもできる。例えば、アネルギー性T細胞は、5’IL−2遺伝子エンハンサーの制御下の異種性プロモーターあるいはエンハンサー中に見出される多量体のAP1配列により誘導されるIL−2遺伝子転写を開始させることができない(Kang et al. (1992) Science 257:1134)。
GL50ポリペプチドおよび核酸分子は、保存された構造および機能的特徴を有する分子のファミリーを構成する。用語「ファミリー」は、蛋白および核酸をいう場合には、共通の構造ドメインまたはモチーフを有し、本明細書で定義される十分なアミノ酸またはヌクレオチド配列の相同性を有する二種またはそれ以上の蛋白または核酸分子を意味する。かかるファミリーのメンバーは天然に存在するものであってもよく、あるいは天然に存在しないものであってもよく、同じ種由来のものであってもよく、あるいは異なる種由来のものであってもよい。例えば、ファミリーはヒト起源の第1の蛋白ならびにヒト起源の他の異なる蛋白を含んでいてもよく、あるいは非ヒト起源のホモログを含んでいてもよい。またファミリーのメンバーは共通の機能上の特徴を有していてもよい。本明細書に記載のGL50分子は分子の比較的大きいファミリー、すなわち共刺激分子のB7ファミリーのメンバーである。本明細書の用語「B7ファミリー」または「B7分子」は、B7ポリペプチド、例えばB7−1、B7−2、B7−3(抗体BB−1により認識される)、および/またはGL50に対する配列相同性を有する共刺激分子を包含する。例えば、上表1に示すように、ヒトB7−1とB7−2とは約20%のアミノ酸同一性がある。さらに、分子のB7ファミリーは共通の機能、例えば、免疫細胞上のB7ファミリーのリガンド(例えば、CD28、CTLA4、またはICOSのうち1種またはそれ以上のもの)および/またはそれらのリガンドに結合する能力ならびに免疫細胞の共刺激を阻害または誘導する能力を有する。
GL50ポリペプチドについての本明細書の用語「活性」は、GL50ポリペプチドの構造に固有の活性を包含する。用語「活性」は、活性化されたT細胞免疫細胞において共刺激シグナルをモジュレーションし、増殖および/またはサイトカイン分泌を誘導する能力を包含する。さらに用語「活性」は、天然リガンドまたは結合相手に結合するGL50ポリペプチドの能力を包含する。好ましくは、GL50ポリペプチドが結合するリガンドはICOS分子である。本明細書の用語、共刺激分子の「活性化形態」は、共刺激受容体を介してシグナルを伝達する(例えば、受容体が共刺激シグナルを伝達する阻害性受容体である場合には(例えば、CD28またはICOSである場合には)免疫細胞を活性化させるシグナルを、あるいは受容体が負のシグナルを免疫細胞に伝達するものである場合には(例えば、CTLA4である場合には)阻害性シグナルを伝達する)。阻害性形態の共刺激分子は免疫細胞へのシグナル(例えば、共刺激シグナルまたは負のシグナル)の伝達を防止する。
本明細書の用語「腫瘍」は、良性および悪性(癌性)の新生物(例えば、カルシノーマ、肉腫、白血病、およびリンパ腫)を包含する。用語「癌」は、一次悪性腫瘍(例えば、それらの細胞が対象の身体の元の腫瘍部位から他の部位に転移しないもの)ならびに二次悪性腫瘍(例えば、それらの細胞が対象の身体の元の腫瘍部位から別の部位に転移するもの)を包含する。
本明細書の用語「天然に存在する」核酸分子は、天然に存在するヌクレオチド配列を有するRNAまたはDNA分子をいう(例えば、天然蛋白をコードするもの)。
本明細書の用語「アンチセンス」核酸分子は、蛋白をコードする「センス」核酸に相補的なヌクレオチド配列、例えば、2本鎖cDNA分子のコーディング鎖に相補的なヌクレオチド配列、mRNA配列に相補的なヌクレオチド配列、または遺伝子のコーディング鎖に相補的なヌクレオチド配列を含む。したがって、アンチセンス核酸分子はセンス核酸分子に水素結合することができる。
本明細書の用語「コーディング領域」は、アミノ酸残基に翻訳されるコドンを含むヌクレオチド配列の領域をいい、用語「非コーディング配列」はアミノ酸に翻訳されないヌクレオチド配列の領域(例えば、5’および3’非翻訳領域)をいう。
本明細書の用語「ベクター」は、それに連結されている別の核酸分子を輸送しうる核酸分子をいう。1のタイプのベクターは「プラスミド」であり、さらなるDNAセグメントがその中に連結されうる環状2本鎖DNAループをいう。別のタイプのベクターはウイルスベクターであり、さらなるDNAセグメントが該ベクター中のウイルスゲノム中に連結されうる。ある種のベクターは、それが組み込まれた宿主細胞中において自律的複製をすることができる。宿主細胞中に導入された後、宿主細胞のゲノム中に組み込まれ、そのことにより宿主ゲノムとともに複製するものもある(例えば、非エピソーム性哺乳動物ベクター)。そのうえ、ある種のベクターは、作動可能に連結されている遺伝子の発現を指令しうる。かかるベクターを本発明において「組み換え発現ベクター」あるいは単に「発現ベクター」という。一般的には、組み換えDNA法において有用な発現ベクターは、しばしば、プラスミドの形態である。本明細書において、「プラスミド」および「ベクター」を混用する。なぜなら、プラスミドは最も通常に使用されるベクターの形態だからである。しかしながら、本発明は、同等の機能を発揮する他の形態のかかるベクター、例えば、ウイルスベクター(例えば、複製欠損レトトウイルス、アデノウイルスおよびアデノ−関連ウイルス)を包含するものとする。
本明細書の用語「宿主細胞」は、本発明の組み換え発現ベクターのごとき本発明の核酸分子が導入された細胞をいう。用語「宿主細胞」および「組み換え宿主細胞」は混用される。かかる用語は特定の対象細胞のもならずかかる細胞の子孫もしくは潜在的子孫もいうことを理解すべきである。ある種の修飾は突然変異または環境の影響のいずれによっても連続した世代を生じる可能性があり、実際には、かかる子孫は親細胞と同一ではないが、本明細書の用語の範囲内に包含される。
本明細書の用語「トランスジェニック」動物は、その動物の1またはそれ以上の細胞が「導入遺伝子」を含んでいる非ヒト動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはマウスをいう。用語「導入遺伝子」は、トランスジェニック動物が発生する細胞のゲノム中に組み込まれたDNAであって、成熟動物のゲノム中に残るものであり、例えば、トランスジェニック動物の1またはそれ以上の細胞タイプまたは組織においてコードする遺伝子産物の発現を指令するものである。
本明細書の用語「相同組み換え動物」は、1のタイプのトランスジェニック非ヒト動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはマウスをいい、該動物においては、内在性遺伝子と動物の発生前に動物細胞(例えば、動物の胚性細胞)に導入された外来性DNA分子との間の相同組み換えにより内在性遺伝子が変化している。
本明細書の用語「単離蛋白」は、細胞から単離された場合に、あるいは組み換えDNA法により製造された場合において、実質的に他の蛋白、細胞性物質および培地を含まない、あるいは化学合成された場合には化学前駆体または他の化学試薬を含まない蛋白をいう。
また、本明細書の用語「抗体」は、抗体の「抗原結合部分」(または単に「抗体の一部」)を包含する。本明細書の用語「抗原結合部分」は、抗原との特異的な結合を保持する1つまたはそれ以上の抗体のフラグメントをいう(例えば、GL50)。抗体の抗原結合機能が完全長抗体のフラグメントにより機能できることが示されている。用語抗体の「抗原結合部分」中に包含される結合フラグメントの例は、(i)Fabフラグメント、VL、VH、CLおよびCH1ドメインから成る単価のフラグメント;(ii)ヒンジ部でジスルフィド架橋により結合される2つのFabフラグメントから成る二価のフラグメントであるF(ab’)フラグメント、;(iii)VHおよびCH1ドメインから成るFdフラグメント;(iv)抗体の単アームのVLおよびVHドメインから成るFvフラグメント;(v)VHドメインから成るdAbフラグメント(Ward et al., (1989) Nature 341:544-546);および(vi)単離相補性決定領域(CDR)を包含する。さらに、Fvフラグメントの2つのドメイン、VLおよびVHは、別個の遺伝子によりコードされるが、これらは組み換え法を使用して、単蛋白鎖として形成可能である合成リンカーにより結合でき、VLおよびVH領域は対になり、単価の分子(単鎖Fv(scFv)として知られている:例えば、Bird et al. (1988) Science 242:423-426; およびHuston et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 5879-5883; およびOsbourn et al. 1998, Nature Biotechnology 16: 778参照)を形成できる。また、このような単鎖抗体は、用語、抗体の「抗原結合部分」中に包含されるものとする。完全にIgG分子または他の異性体をコードする発現ベクターを得るために、特定のscFvのVHおよびVL配列のいずれも、ヒト免疫グロブリン不変領域cDNAまたはゲノム配列に結合できる。また、VHおよびVlは、蛋白化学または組み換えDNA法のいずれかを使用して、Fab、Fvまたは他の免疫グロブリンのフラグメントの精製に使用できる。また、ジアボディー(diabody)のような単鎖抗体の他の形態も包含される。ジアボディーは、二価の二重特異性抗体であり、その中において単ポリペプチド鎖上にVHおよびVLドメインが発現されているが、非常に短いため同一の鎖上の2つのドメイン間を対にすることができないリンカーを使用して、そのことにより、ドメインに他の鎖の相補的なドメインと対になるように強要し、2つの抗原結合部位を形成させる(例えば、Holliger P., et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 6444-6448; Poljak, R. J., et al.(1994) Structure 2: 1121-1123参照)。
さらに、抗体またはその抗原結合部分は、より大きな免疫付着分子の一部であり、抗体または抗体の一部と1つまたはそれ以上の蛋白またはペプチドとの共有または非共有結合により形成されうる。このような免疫付着分子の例は、四量体scFv分子を作るストレプトアビジンコア領域の使用(Kipriyanov, S. M. et al. (1995) Human Antibodies and Hybridomas 6:93-101)および2価およびビオチン化scFv分子を作るシステイン残基、標識ペプチドおよびC−末端ポリヒスチジンタグの使用(Kipriyanov, S. M., et al. (1994) Mol. Immunol. 31: 1047-1058)を含む。FabおよびF(ab’)フラグメントのような抗体の一部は、完全な抗体各々のパパインおよびペプシン消化のような従来の技術を使用して、完全な抗体から製造できる。さらに、抗体、抗体の一部および免疫付着分子は、本明細書に記載されている標準的な組み換えDNA法を使用して得ることができる。
抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナル;異種、同種または同系;またはその修飾された形態であってもよく、例えば、ヒト化、キメラ等であってもよい。好ましくは、本発明の抗体は、GL50分子に特異的または実質的に特異的に結合する。本明細書の用語「モノクローナル抗体」および「モノクローナル抗体組成物」は、抗原の特別なエピトープと免疫反応する可能性のある抗原結合部位のただ1種を含む抗体分子の集団をいい、これに対して、用語「ポリクローナル抗体」および「ポリクローナル抗体組成物」は、特別な抗原と作用する可能性のある抗原結合部位の多種を含む抗体分子の集団をいう。モノクローナル抗体組成物は、典型的には、それが免疫反応する特別な抗原との単一の結合アフィニティーを示す。
本明細書の用語「ヒト化抗体」は、ヒト細胞により作られるより綿密な擬似抗体に変じられる可変および不変の領域を有する非ヒト細胞により作られる抗体を包含する。例えば、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に見られるアミノ酸を組み入れるために非ヒト抗体アミノ酸配列を変えることによる。本発明のヒト化抗体は、例えばCDR中のヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列によりコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロでの無作為または部位特異性突然変異体あるいはインビボでの体細胞突然変異体により導かれる変異体)を包含する。また、本明細書の用語「ヒト化抗体」は、他の哺乳類の種、例えばマウスの胚芽細胞系列由来のCDR配列をヒトフレームワーク配列に移植した抗体も包含する。
本明細書の用語「単離抗体」は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体をいう(例えば、特異的にGL50に結合する単離抗体は、GL50以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。さらに、単離抗体は、他の細胞物質および/または化学物質を実質的に含まないものであってもよい。
本明細書の用語「結合相手」は、GL50ポリペプチドが本来的に結合あるいは相互作用してGL50活性が発揮される標的分子または分子である(例えば、リガンドまたは細胞内相互作用分子(シグナルトランスダクション経路においてGL50の上流または下流のいずれかで作用する分子のごとき))。
用語「シグナルトランスダクション」は、細胞膜を介して外部環境から、あるいは細胞中へと物理的または化学的シグナルをプロセッシングすることを包含し、酵素(プロテアーゼ、あるいはリン酸化パターンまたは他の翻訳後修飾を変化させうる他の酵素のごとき)の活性化/不活性化、イオンチャンネルまたは細胞内イオン貯蔵の活性化、グアニンヌクレオチド結合蛋白中間体を介するエフェクター酵素活性化、リン酸イノシトールの生成、アデニルシクラーゼの活性化または不活性化、転写因子および/または活性化の直接的活性化(または阻害)のごといくつかの機構のうち1つまたはそれ以上により起こるものであってもよい。「シグナリング経路」は、細胞中への特定のシグナルの「シグナルトランスダクション」に関与する成分をいう。
【0037】
遺伝学的コード(下記)により定義されるように、特別な蛋白のアミノ酸配列と蛋白をコードできるヌクレオチド配列間に公知かつ明確な一致がある。同様に、遺伝学的コードにより定義されるように、特別な核酸分子のヌクレオチド配列とその核酸分子によりコードされるアミノ酸配列間に公知かつ明確な一致がある。
【0038】
【表3】
Figure 0004737905
【0039】
重要でよく知られた遺伝学的コードの特徴はその縮重であり、したがって、蛋白の作成に使用されるアミノ酸のほとんどに、1つ以上のコーディングヌクレオチドトリプレットを使用できる(上図)。したがって、異なるヌクレオチド配列の多くは、与えられるアミノ酸配列をコードできる。結果として、全ての生物で同様のアミノ酸配列を生じるので(ある種の生物は、他よりも効果的にいくつかの配列に翻訳することができるが)、このようなヌクレオチド配列は、機能的に等価であると見なされる。さらに、時折、プリンまたはピリミジンのメチル化変異体を、特定のヌクレオチド配列で発見できる。このようなメチル化は、三ヌクレオチドコドンと対応するアミノ酸との間のコーディング関係に影響しない。
上記のことを考慮すると、本明細書のGL50ポリペプチドをコードするDNAまたはRNA分子のヌクレオチド配列(またはその一部)は、遺伝学的コードをDNAまたはRNA分子をアミノ酸配列への翻訳に使用して、GL50のアミノ酸配列を誘導することに使用できる。同様に、GL50のアミノ酸配列に関して、GL50ポリペプチドをコードできる対応するヌクレオチド配列を、遺伝学的コードから推論できる(これはその縮重のため、いずれかの特定のアミノ酸配列に対する複数の核酸配列を生じる)。したがって、また、本明細書のB7−4またはPD−1ヌクレオチド配列の記載および/または開示は、ヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列の記載および/または開示を包含する。同様に、また、本明細書のGL50のアミノ酸配列の記載および/または開示は、アミノ酸配列をコードできるすべての可能性あるヌクレオチド配列の記載および/または開示も包含すると見なされるべきである。
【0040】
II.単離核酸分子
本発明の1の態様は、GL50ポリペプチドまたはその生物学的に活性の有る部分をコードする単離核酸分子、ならびにGL50をコードする核酸分子(例えば、GL50 mRNA)を同定するためのハイブリダイゼーションプローブとして使用に十分な核酸フラグメントおよびGL50核酸分子の増幅または変異のためのPCRプライマーとして使用するためのフラグメントに関する。本明細書の用語「核酸分子」は、DNA分子(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)およびRNA分子(例えば、mRNA)を包含し、DNAまたはRNAアナログは、ヌクレオチドアナログ使用して生成する。核酸分子は、一重ストランドまたは二重ストランドであってもよいが、好ましくは二重ストランドDNAである。
「単離」核酸分子は、核酸分子の天然源に存在する他の核酸分子から分離されたものである。例えば、ゲノムDNAに関しては、用語「単離」は、ゲノムDNAが天然に関連するクロモソームから分離された核酸分子を包含する。好ましくは、「単離」核酸分子は、核酸分子をデリバリーする生体のゲノムDNA中の本来的に核酸分子に隣接している配列(すなわち、核酸の5’および3’末端に位置する配列)を含まない。例えば、種々の具体例において、単離B7−4またはPD−1核酸分子は、核酸をデリバリーする細胞のゲノムDNA中の本来的に核酸分子に隣接している約5kb、4kb、3kb、2kb、1kb、0.5kbまたは0.1kb未満のヌクレオチド配列を含むことができる。さらに、cDNA分子のような「単離」核酸分子は、組み換え法により製造される場合、他の細胞物質または培地から実質的に離れることができ、または化学合成される場合、化学前駆体または他の化学物質を実質的に含まないものであってもよい。しかし、「単離」GL50核酸分子は、通常にはゲノムDNA中のGL50に隣接しない他のヌクレオチド配列に結合する(例えば、GL50ヌクレオチド配列は、ベクター配列に結合できる)。ある種の好ましい具体例において、また、cDNA分子のような「単離された」核酸分子は、他の細胞物質を含まないものであってもよい。しかし、GL50核酸分子が、他の細胞物質を含まないことは、「単離された」と見なされることに必要でない(例えば、他の哺乳類DNAから単離され、細菌細胞に挿入されたGL50DNA分子は、やはり「単離された」とみなされる)。
【0041】
本発明の核酸分子、例えば配列番号:1、3または5のヌクレオチド配列またはその一部を有する核酸分子は、標準的な分子生物学の技術および本明細書に提供した配列情報を使用して単離できる。例えば、ハイブリッド形成プローブとしての配列番号:1、3または5の核酸配列の全てまたは一部を使用して、標準的なハイブリッド形成およびクローニング法を使用してGL50核酸分子を分離できる(例えば、Sambrook, J. et al. Molecular Cloning: A Laboratory Manual. 2nd, ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989記載のように)。
さらに、配列番号:1、3または5のすべてまたは一部を包含する核酸分子は、配列番号:1、3または5の配列の各々に基づいて設計される合成オリゴヌクレオチドプライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により単離できる。
本発明の核酸は、cDNA、mRNAまたは各々のゲノムDNAを、テンプレートおよび特殊なオリゴヌクレオチドプライマーとして使用して、標準的なPCR増幅法により、増幅できる。このように増幅された核酸は、適当なベクターにクローン化でき、DNA配列分析により特徴付けられる。さらに、GL50ヌクレオチド配列に対応するオリゴヌクレオチドは、例えば、自動DNAシンセサイザーを使用する標準的な合成法により製造できる。
【0042】
好ましい具体例において、本発明の単離核酸分子は、配列番号:1、3または5に示されるヌクレオチド配列を含む。
1の具体例において、本発明の単離核酸分子は、配列番号:1、3または5またはいずれかのヌクレオチド配列の一部に示されるヌクレオチド配列の相補物である核酸分子を包含する。配列番号:1、3または5に示されるヌクレオチド配列に相補的な核酸分子は、配列番号:1、3または5の各々に示されるヌクレオチド配列に十分に相補的な1つであり、したがって、配列番号:1、3または5の各々に示されるヌクレオチド配列とハイブリッド形成でき、したがって安定なデュプレックス(duplex)を形成できる。
さらにもう1つの好ましい具体例において、本発明の単離核酸分子は、配列番号:1、3または5に示されるヌクレオチド配列またはこれらのヌクレオチド配列のいずれかの一部に対して(例えば、ヌクレオチド配列の全長に対して)、少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%またはそれ以上で一致するヌクレオチド配列を包含する。
さらに、本発明の核酸分子は、配列番号:1、3または5の核酸配列の一部だけを含むことができ、例えば、プローブまたはプライマーをして使用できるフラグメントまたはGL50ポリペプチドの生物学的部分をコードするフラグメントを含むことができる。GL50遺伝子のクローニングから決定されるヌクレオチド配列は、他の種から得られるGL50ファミリーのホモログのみならず他のB7−4またはPD−1ファミリーメンバーの同定および/またはクローニングに使用するために設計されたプローブまたはプライマーの生成を可能にする。プローブ/プライマーは、典型的には、実質的に好ましいオリゴヌクレオチドを含む。オリゴヌクレオチドは、典型的には、ストリンジェントな条件下で、配列番号:1、3または5のセンス配列、または配列番号:1、3または5の天然に存する対立遺伝子の変異体または突然変異体の少なくとも約12または15、好ましくは約20または25、より好ましくは、約30、35、40、45、50、55、60、65、75または100個の連続したヌクレオチドとハイブリッド形成するヌクレオチド配列の領域を含む。典型的な具体例において、本発明の核酸分子は、少なくとも350、400、450、500、550、600、650、700、750または800、900、1000または1100ヌクレオチドの長さであり、ストリンジェントなハイブリッド形成条件下で、配列番号:1、3または5の核酸分子配列とハイブリッド形成するヌクレオチド配列を含む。
【0043】
他の具体例において、第2の核酸分子は、配列番号:1、3または5の少なくとも約500、600、700、800、900、1000または1100個の連続したヌクレオチドを含む。
1の具体例において、例えば、プローブとして使用される本発明の核酸分子は配列番号:1の一部、配列番号:5のヌクレオチドほぼ1−370を含まない。
好ましくは、本発明の単離核酸分子は、少なくとも、配列番号:1のコーディング領域(ヌクレオチド67−1032中に示される)または配列番号:3のコーディング領域(ヌクレオチド1−1041中に示される)または配列番号:5のコーディング領域(ヌクレオチド24−950中に示される)の一部を含む。もう1つの具体例において、本発明の核酸分子は配列番号:1、3または5のコーディング領域全体を含む。
他の具体例において、本発明の核酸分子は、配列番号:1、3または5の少なくとも約300、400、500、600、700、800または少なくとも約900個のヌクレオチド、あるいは配列番号:1または3の少なくとも約1000または1100個の連続したヌクレオチドに対して、少なくとも70%の同一性、より好ましくは80%の同一性、およびさらにより好ましくは90%の同一性を有する。
GL50ヌクレオチド配列に基づくプローブは、同一または相同蛋白をコードする転写またはゲノム配列の検出に使用できる。好ましい具体例において、さらに、プローブは付着した標識群を含み、例えば、標識群は、放射性同位体、蛍光化合物、酵素または酵素共コファクターであることができる。このようなプローブは、GL50ポリペプチドを誤って発現する細胞または組織の同定用の診断試験キットの一部として、被験者から得た細胞の試料中のGL50をコードする核酸レベルの測定、例えば、GL50 mRNAレベルの検出、またはゲノムGL50遺伝子が変化または欠失しているかどうかを決定することにより使用できる。
「GL50ポリペプチドの生物学的活性部分」をコードする核酸フラグメントは、GL50の生物学的活性(GL50ポリペプチドの生物学的活性は本明細書に記載されている)を有し、GL50ポリペプチドのコードされた一部を発現し(例えば、インビトロでの組み換え発現により)、GL50ポリペプチドのコードされた一部の活性を評価するポリペプチドをコードする配列番号:1、3または5のヌクレオチド配列の一部を単離することにより調製できる。
【0044】
遺伝学的コードの縮重のため配列番号:1、3または5と異なっているが、配列番号:1、3または5によりコードされたものと同一のGL50ポリペプチドをコードする核酸分子は、本発明に包含される。したがって、他の具体例において、本発明の単離核酸分子は、配列番号:2、4または6に示されたアミノ酸配列を有する蛋白をコードするヌクレオチド配列を有する。他の具体例において、本発明の単離核酸分子は、GL50ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有する。
配列番号:1、3または5に示されたGL50ヌクレオチド配列に加えて、GL50ポリペプチドのアミノ酸配列の変化を導くDNA配列多型が、集団(例えば、ヒト集団)中に存在できることは、当業者により理解されるだろう。このようなGL50遺伝子のゲノム多型は、天然の対立遺伝子の変異のため集団中の個体に存在できる。本明細書の用語「遺伝子」および「組み換え遺伝子」は、GL50ポリペプチド、好ましくは、哺乳類のGL50ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム(open reading frame)を含み、さらに、非コーディング調節配列およびイントロンを含むことができる核酸分子をいう。このような天然の対立遺伝子の変異は、機能的および非機能的なGL50ポリペプチドの両方を含み、典型的には、GL50遺伝子のヌクレオチド配列中の1〜5%の変異を起こすことができる。天然の対立遺伝子の変異の結果得られ、GL50ポリペプチドの機能活性を変化させないGL50遺伝子中のこのようなヌクレオチドの変異および得られたアミノ酸多型は、本発明の範囲に含まれる。
さらに、他のGL50ファミリーのメンバーをコードしているが、配列番号:1、3または5のGL50ファミリー配列とは異なるヌクレオチド配列を有する核酸分子は、本発明に含まれる。例えば、他のmGL50 cDNAはhGL50のヌクレオチド配列に基づいて同定できる。さらに、異なる種から得られるGL50ポリペプチドをコードしているが、配列番号:1、3または5のGL50配列とは異なるヌクレオチド配列を有する核酸分子は、本発明の範囲に含まれる。例えば、mGL50 cDNAはネズミのヌクレオチド配列に基づいて同定できる。
【0045】
本発明のGL50 cDNAの天然の対立遺伝子変異体およびホモログに対応する核酸分子は、本明細書に開示されるGL50核酸に対する相同性に基づいて、標準的なハイブリッド形成法によるハイブリッド形成プローブとして本明細書に開示されるcDNAまたはその一部を使用して、単離できる。例えば、GL50 DNAは、ヒトゲノムDNAライブラリーから、ハイブリッド形成プローブとして配列番号:1、3または5のすべてまたは一部、および標準的なハイブリッド形成法を使用して単離できる(例えば、Sambrook, J., et al. Molecular Cloning: A Laboratory Manual. 2nd, ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY, 1989に記載のように)。さらに、GL50遺伝子のすべてまたは一部を含む核酸分子は、配列番号:1、3または5の配列に基づいて設計されるオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、ポリメラーゼ連鎖反応により単離できる。例えば、mRNAは細胞から単離でき(例えば、The guanidinium-thiocyanate extraction procedure of Chirgwin et al. (1979) Biochemistry 18: 5294-5299により)、cDNAは逆転写を使用して調製できる(例えば、Moloney MLV reverse transcriptase, available from Gibco/BRL, Bethesda, MD; or AMV reverse transcriptase, available from Seikagaku America, Inc., St. Petersburg, FL)。PCR増幅用の合成オリゴヌクレオチドプライマーは、配列番号:1、3または5に示されたヌクレオチド配列に基づいて設計できる。本発明の核酸分子は、にテンプレートとしてcDNA、または代わりゲノムDNA、および適当なオリゴヌクレオチドプライマーを使用して標準的なPCR増幅法によって増幅できる。そのようにして増幅された核酸は、適当なベクター中にクローン化でき、DNA配列分析により特徴付けられる。さらに、GL50ヌクレオチド配列に対応するオリゴヌクレオチドは、標準的な合成法により、例えば、自動DNA合成装置を使用して調製できる。
もう1つの具体例において、数学的アルゴリズムを用いて、共有されるヌクレオチド配列同一性に基づいて本発明の単離核酸分子を同定することができる。かかるアルゴリズムを後でより詳細に説明する(例えば、セクションIII参照)。
【0046】
もう1つの具体例において、本発明の単離核酸分子は、少なくとも15、20、25、30またはそれ以上のヌクレオチドの長さであり、ストリンジェントな条件下で、配列番号:1、3または5のヌクレオチド配列を含む核酸分子とハイブリッド形成する。他の具体例において、核酸分子は、少なくとも30、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550または600ヌクレオチドの長さである。本明細書の用語「ストリンジェントな条件下でのハイブリッド形成」は、ハイブリッド形成ならびにヌクレオチド配列が、互いに少なくとも30%、40%、50%または60%の相同性で、典型的に互いにハイブリッド形成したままでの洗浄のための条件を説明するものである。好ましくは、配列が、互いに少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%、さらにより好ましくは少なくとも約85%または90%の相同性で、典型的に、互いにハイブリッド形成したままであるような条件である。このようなストリンジェントな条件は、当業者に公知のものであり、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N. Y. (1989), 6.3.1.- 6.3.6.に見ることができる。ストリンジェントなハイブリッド形成条件の好ましく非制限的な例は、約45℃で6Xの塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中でのハイブリッド形成、ついで、50〜65℃で0.2XのSSC、0.1%のSDSでの1回またはそれ以上の洗浄である。好ましくは、ストリンジェントな条件下での、配列番号:1、3または5の配列とハイブリッド形成する本発明の単離核酸分子は、天然に存する核酸分子に対応する。
本明細書の用語「天然に存する」核酸分子は、天然に存する(例えば、天然蛋白をコードする)ヌクレオチド配列を有するRNAまたはDNA分子をいう。配列番号:1、3または5に示されるGL50ヌクレオチド配列に加えて、B7−4またはPD−1のヌクレオチドまたはアミノ酸配列の軽微な変化を導くDNA配列多型が、集団に存在しうることは当業者により理解されるだろう。GL50遺伝子中のこのようなゲノム多型は、天然対立遺伝子の変異により集団中の個体に存在できる。このような天然対立遺伝子の変異は、典型的に、遺伝子のヌクレオチド配列中に1〜2%の変異を与えることができる。天然対立遺伝子の変異の結果得られ、GL50ポリペプチドの機能活性を変化させないGL50中のこのようなヌクレオチド変異体および得られたアミノ酸多型は、本発明の範囲に含まれる。
集団中に存在できるGL50の天然に存する対立遺伝子の変異体に加えて、さらに、当業者は、例えば、配列番号:1、3または5のヌクレオチド配列への突然変異により軽微な変化を導くとこができ、したがって、GL50ポリペプチドの機能活性を変えることなく、コードされた蛋白のアミノ酸配列の変化を導くことができることを理解するだろう。例えば、「非必須」なアミノ酸残基でのアミノ酸置換を導くヌクレオチド置換は、配列番号:1、3または5の配列中で形成できる。「非必須」なアミノ酸残基は、GL50分子の機能活性を変えることなしに、GL50核酸分子の野生型の配列(例えば、配列番号:1、3または5の配列)から変化させることができる残基である。非必須であり、したがって、置換されやすい代表的な残基は、B7ファミリーメンバー(またはGL50ファミリーメンバー)のアミノ酸配列の並置比較を行い、保存されない残基を決定することにより、当業者により同定できる。このような残基は保存されないので、より置換されやすい傾向がある。
【0047】
したがって、本発明の他の態様は、GL50活性に必須でないアミノ酸残基の変化を含むGL50ポリペプチドをコードする核酸分子に関する。このようなGL50ポリペプチドは、配列番号:2、4または6から得るアミノ酸配列とは異なっているが、やはり固有のGL50活性を維持している。GL50ポリペプチドの非天然変異体をコードする単離核酸分子は、コードされる蛋白中に1つまたはそれ以上のアミノ酸置換、付加または欠失が導入されるように、配列番号;1、3または5のヌクレオチド配列中に1つまたはそれ以上のヌクレオチド置換、付加または欠失を導入することができる。突然変異は、位置特異的突然変異誘発およびPCR媒介突然変異誘発のような標準的な方法により、配列番号:1、3または5中に導入されることができる。好ましくは、保存的アミノ酸置換は、1つまたはそれ以上の非必須アミノ酸残基で起こる。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基を同様の側鎖を有するアミノ酸残基で置換する方法の1つである。同様の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該分野で定義され、塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非電荷の極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分岐側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む。したがって、好ましくは、GL50中の非必須なアミノ酸残基は、同様の側鎖ファミリーの他のアミノ酸残基に置換される。
あるいは、他の具体例において、突然変異体は、例えば、飽和突然変異誘発により、GL50コーディング配列の全てまたは一部と共にランダムに導かれ、得られた突然変異体は、DNAに結合するおよび/または転写を活性化する能力をスクリーニングでき、機能活性を維持する突然変異体を同定できる。突然変異誘発についで、コードされたGL50突然変異蛋白は、宿主細胞中に、組み換え法により発現でき、突然変異蛋白の機能活性は、GL50活性を評価するための当該分野で利用できる分析を使用して決定できる。
したがって、本発明の他の態様は、活性化に必須でないアミノ酸残基の変化を含むGL50ポリペプチドをコードする核酸分子に関する。本明細書に示すパイル−アップ(pile-up)分析のごとき相同性並置比較を用いて、変化させやすいアミノ酸を選択することができる。例えば、6種すべての分子の細胞外ドメインに関して同じように並置される18個のアミノ酸の位置は十分に保存されたものであり、それゆえ、変化させにくい。同様に、B7ファミリーの分子の推定上のIgV様およびIgC様フォールドを画定する32個の位置のうち、13個の位置は6種すべての分子において同じように保存されており、最も著しくは、ドメインの分子内フォールディングを可能にしている4個のシステインが保存されている。それゆえ、これらのアミノ酸は変化させにくい。細胞外ドメイン中には有意な配列保存がされている他の領域も見られる。例えば、mGL50−1の位置86に対応するバリン残基はhGL50およびB7−2により共有されており、変化させにくい。同様に、nGL50−1の位置87のチロシンはhGL50およびB7−1中の対応位置において保存されている。同一性スコア8を有する16個の位置(5つの位置がマウスmGL50−1/hGL50およびB7−1により共有されており、4つの位置がmGL50−1/hGL50およびB7−2間で共有されており、6つの位置がB7−1とB7−2間で共有されている)は変化させにくい。さらに、膜貫通および/または細胞質ドメイン中に位置はGL50ファミリーのメンバー間で保存されている(特に、GL50分子の膜貫通または細胞質ドメイン中のチロシン残基)。さらに、GL50活性を維持すべき場合には、これらの位置は変化させにくい。
【0048】
本発明のさらにもう1つの態様は、本来的には含まないGL50膜貫通または細胞質ドメインをコードする核酸を含むという点でキメラである天然に生じないGL50核酸分子に関する。例えば、1の具体例において、標準的な分子生物学的方法を用いてGL50ドメインの膜貫通および/または細胞質ドメインを「入れ換え」あるいは「シャッフル」して、天然に存するGL50分子と比較して変化したシグナルトランスダクション特性を有するGL50分子を作成することができる。かかる核酸およびポリペプチド分子もまた本発明に包含される。
さらにもう1つの態様において、GL50核酸分子を加工して、別のB7ファミリーのメンバー、例えば、B7−1またはB7−2の少なくとも一部をコードする核酸配列を含むようにすることができる。例えば、標準的な方法を用いて、天然に存する分子とは異なるリガンド結合および/またはシグナリング特性を有するハイブリッドGL50/B7をコードする核酸分子を作成することができる。例えば、1の具体例において、ニワトリGL50の配列(Y08823)を用いて、変化したシグナリングおよび/または結合特性を有する分子を設計することができる。鳥類GL50および該分子の哺乳動物形態の間における配列類似性ならびにリガンド指向性の相違を、この目的のために用いることができる。例えば、鳥類GL50様蛋白(Y08823)およびGL50間で保存されている残基を、GL50中に見出される残基で置換する(よりGL50に近い分子を作成するため)ことにより、ICOSおよびCD28およびCTLA4に結合する機能的分子を得ることができる。ハイブリッドGL50/B7蛋白を含むIg−融合物または他の構築物を用いて、標的細胞集団の差別的活性化または阻害ならびにT細胞表現型の変形を行うことができる。かかる核酸およびポリペプチド分子もまた本発明に包含される。
さらなる本発明の他の態様は、GL50融合蛋白をコードする単離核酸分子に関する。非GL50ポリペプチド、ポリペプチドまたはペプチドをコードする第2のヌクレオチド配列に作動可能に結合される、少なくともGL50ポリペプチド、ポリペプチドまたはペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列を含むこのような核酸分子は、標準的な組み換えDNA法により調製できる。
好ましい具体例において、突然変異GL50蛋白は:1)活性化されたT細胞の増殖および/またはエフェクター機能(例えば、サイトカイン(例、IL−2またはIL−10)の分泌)を共刺激(または、例えば、可溶性形態の場合には共刺激の阻害)する能力;2)抗−B7抗体に結合する能力;および/または3)GL50リガンド(例えば、CD28、CTLA4および/またはICOS)に結合する能力に関してアッセイされうる。
【0049】
上記GL50ポリペプチドをコードする核酸分子に加えて、さらに、アンチセンスな単離核酸分子は、モジュレーション作用剤として使用できる。「アンチセンス」核酸は蛋白をコードする「センス」核酸に相補的なヌクレオチド配列、、例えば、二重ストランドcDNA分子のコーディングストランドに相補的なヌクレオチド配列、またはmRNA配列に相補的なヌクレオチド配列を含む。したがって、アンチセンス核酸は、センス核酸と水素結合しうる。アンチセンス核酸は、GL50コーディングストランド全体、またはその蛋白にのみ相補的であり得る。1つの具体例において、アンチセンス核酸分子は、GL50をコードするヌクレオチド配列のコーディングストランドの「コーディング領域」に対してアンチセンスである。用語「コーディング領域」は、アミノ酸残基に翻訳されるコドンを含むヌクレオチド配列の領域をいう。他の具体例において、アンチセンス核酸分子は、GL50をコードするヌクレオチド配列のコーディングストランドの「非コーディング領域」にアンチセンスである。用語「非コーディング領域」は、アミノ酸に翻訳されないコーディング領域に隣接する5’および3’配列をいう(例えば、また、5’および3’非翻訳領域をいう)。
本明細書で開示されたGL50をコードするコーディングストランド配列が得られたならば、本発明のアンチセンス核酸は、Watson and Crick塩基対合の法則により設計できる。アンチセンス核酸分子は、GL50 mRNAの完全なコーディング領域に相補的でありえるが、より好ましくは、GL50 mRNAのコーディングまたは非コーディング領域の蛋白だけにアンチセンスなオリゴヌクレオチドである。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、GL50 mRNAの翻訳開始部位の周囲の領域に相補的であり得る。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45または50ヌクレオチドの長さであり得る。本発明のアンチセンス核酸は、化学合成および当該分野で公知の工程を使用する酵素ライゲーション反応(enzymatic ligation reaction)を使用して構築できる。例えば、アンチセンス核酸分子(例えば、アンチセンスヌクレオチド)は、天然に存するヌクレオチドまたは分子の生物学的安定性を増加し、アンチセンスとセンス核酸の間に形成される二重鎖の物理的安定性を増加するように設計された様々に修飾されたヌクレオチドを使用して化学的に合成でき、例えば、ホスホロチオエート誘導体およびアクリジン置換ヌクレオチドが使用できる。アンチセンス核酸の生成に使用できる修飾ヌクレオチドの例は、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨウドウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、ベータ−D−ガラクトシルクエオシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデシン、1−メチルグアニン、1−メチルリノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、ベータ−D−マンノシルクエオシン、5’−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン、プソイドウラシル、クエオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、および2,6−ジアミノプリンを包含する。代わりに、アンチセンス核酸は、核酸をアンチセンス配向(すなわち、挿入核酸から転写されたRNAは、関連する標的核酸にアンチセンス配向であり、これは以下のサブセクションにさらに記載する)にサブクローニングする発現ベクターを使用して生物学的に生産できる。
本発明のアンチセンス核酸分子は、典型的には、対象に投与され、またはin situにおいて生産され、これらはハイブリッド形成し、またはGL50ポリペプチドをコードする細胞のmRNAおよび/またはゲノムDNAに結合し、したがって、例えば、転写および/または翻訳を阻害することにより、蛋白の発現を阻害する。ハイブリッド形成は、保存ヌクレオチド相補性により、または例えば、DNAデュプレックスに結合するアンチセンス核酸分子の場合、二重螺旋の主要な溝での特別な相互作用により、安定なデュプレックスを形成できる。本発明のアンチセンス核酸分子の投与経路の例は、組織部位での直接注入を含む。別法として、アンチセンス核酸分子を修飾して選択された細胞を標的化し、ついで、全身に投与できる。例えば、全身投与するために、例えば、アンチセンス核酸分子を、細胞表面の受容体または抗原に結合するペプチドまたは抗体に結合することにより、アンチセンス分子が選択された細胞表面で発現した受容体または抗原に結合するように特異的に修飾できる。また、アンチセンス核酸分子は、本明細書記載のベクターを使用して細胞にデリバリーできる。アンチセンス分子の十分な細胞内濃度を実現させるため、アンチセンス核酸分子が、強力なpolIIまたはpolIIIプロモーターの制御下に置かれるベクター構造が好ましい。
【0050】
さらなる具体例において、本発明のアンチセンス核酸分子は、α−アノマー核酸分子である。α−アノマー核酸分子は、相補的なRNAと特異的な二重ストランドハイブリッドを形成し、そこでは通常のβ−ユニットとは対照的にストランドは互いに平行に伸長する(Gaultier et al. (1987) Nucleic Acids. Res. 15:6625-6641)。また、アンチセンス核酸分子は、2’−o−メチルリボヌクレオチドを含むことができ(Inoue et al. (1987) Nucleic Acids Res. 15:6431-6148)またはキメラRNA−DNAアナログを含むことができる(Inoue et al. (1987) FEBS Lett. 215:327-330)。
【0051】
さらなる他の具体例において、本発明のアンチセンス核酸分子は、リボザイムである。リボザイムは、それに相補的な領域を有するmRNAのような一重ストランド核酸分子を切断することができるリボヌクレアーゼ活性を有する触媒RNA分子である。したがって、リボザイム(例えば、ハンマーヘッドリボザイム(hammerhead ribozymes)(Haseloff and Gerlach (1988) Nature 334:585-591に記載)は、GL50 mRNA転写物を触媒的に切断でき、したがって、GL50 mRNAの翻訳を阻害することに利用できる。GL50をコードする核酸に対して特異性を有するリボザイムは、本明細書に開示のGL50のヌクレオチド配列(すなわち、配列番号:1、3または5)に基づいて設計できる。例えば、Tetrahymena L−19 IVS RNAの誘導体は、活性部位のヌクレオチド配列が、B7−4またはPD−1−コーディングmRNAに切断されるヌクレオチド配列に相補的であるように構築できる。例えば、Cech らの米国特許第4,987,071号;およびCechらの米国特許第5,116,742号参照。別法として、GL50 mRNAは、RNA分子のプールから特異的なリボヌクレアーゼ活性を有する触媒RNAを選択することに使用できる。例えば、Bartel, D. and Szostak, J. W. (1993) Science 261:1411-1418参照。
【0052】
別法として、GL50遺伝子発現は、GL50の調節領域(regulatory region)(例えば、GL50プロモーターおよび/またはエンハンサー)に相補的なヌクレオチド配列をターゲティングすることにより阻害でき、標的細胞中のGL50遺伝子の転写を防ぐ三重螺旋構造を形成する。一般的に、Helene, C. (1991) Anticancer Drug Des. 6(6): 569-84; Helene, C. et al (1992) Ann. N.Y. Acad. Sci. 660:27-36; and Maher, L. J. (1992) Bioessays 14(12):807-15参照。
さらなる他の具体例において、本発明のGL50核酸分子は、塩基部、糖部、またはリン酸骨格において修飾でき、例えば、安定性、ハイブリッド形成、または分子の溶解性を改善できる。例えば、核酸分子のデオキシリボースリン酸骨格は、ペプチド核酸を生じるよう修飾できる(Hyrup, B. and Nielsen, P. E. (1996) Bioorg. Med. Chem. 4(1):5-23)。本明細書の用語「ペプチド核酸」または「PNA」は、デオキシリボースリン酸骨格を、擬似ペプチド骨格により置換し、4つの天然核塩基だけを維持た核酸模倣物、例えば、DNA模倣物を意味する。PNAの天然の骨格は、低イオン強度の環境下でDNAおよびRNAに特異的なハイブリッド形成を可能にすることが示されている。PNAオリゴマーの合成は、標準的な、Hyrup and Nielsen (1996) supra and Perry-O'Keefe et al. (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:14670-675に記載のように固相ペプチド法を使用して実行できる。
【0053】
GL50核酸分子のPNAは、治療および診断用に使用できる。例えば、PNAは、アンチセンスまたは抗原作用剤として、遺伝子発現の配列特異的なモジュレーションに、例えば、転写または翻訳の停止を誘発し、または複製を阻害することにより、使用できる。また、B7−4またはPD−1核酸分子のPNAは、遺伝子中の単塩基対突然変異体の分析に(例えば、PNA−指向性PCR制限)、他の酵素を組み合わせて使用される場合には「人工制限酵素」として(例えば、上記S1ヌクレアーゼ(Hyrup and Nielsen (1996) supra))、またはDNA配列またはハイブリッド形成用のプローブまたはプライマーとして(Hyrup and Nielsen (1996) supra; Perry-O'Keefe et al. (1996) supra)使用できる。
GL50核酸分子のPNAを治療および診断用途に使用することができる。例えば、転写または翻訳停止を誘導することにより、あるいは複製を阻害することにより、遺伝子発現の配列特異的モジュレーションのためのアンチセンスまたは抗原としてPNAを使用することができる。また、GL50核酸分子のPNAを、遺伝子中の単一塩基対変異の分析に(例えば、PNAに指向されたPCRクランピングにより);他の酵素(例えば、S1ヌクレアーゼ(上記Hyrup and Nielsen (1996)))と組み合わせた場合に人工制限酵素として;あるいはDNA配列決定またはハイブリダイゼーションのためのプローブまたはプライマーとして(上記Hyrup and Nielsen (1996); 上記Perry-O'Keefe (1996))使用することもできる。
他の具体例において、GL50のPNAは、親油性または他のヘルパー基をPNAに付着することにより、PNA−DNAキメラの形成により、またはリポソームまたは当業者に公知の薬剤デリバリーの他の方法により、(例えば、安定性または細胞摂取を高めるため)修飾できる。例えば、PNAおよびDNAの有利な特性を組み合わせることができるGL50核酸分子のPNA−DNAキメラを得ることができる。このようなキメラは、DNA認識酵素(例えば、RNAse HおよびDNAポリメラーゼ)に、DNA部分との相互作用を可能ならしめ、その一方で、PNA部分は、高い結合アフェニティーおよび特異性を提供するであろう。PNA−DNAキメラは、塩基のスタッキング、核塩基間の結合の数、および配向性に関して選択される適当な長さのリンカーを使用して結合できる(Hyrup B. and Nielsen (1996) supra)。PNA−DNAキメラの合成は、Hyrup B. and Nielsen(1996) supra および Finn P. J. et al. (1996) Nucleic Acids Res. 24(17):3357-63に記載のように実行できる。例えば、DNA鎖は、標準的なホスホラミドカップリング化学物質を使用して、固体支持体上で合成できる。修飾ヌクレオシドアナログ(例えば、5’−(4−メトキシトリチル)アミノ−5’−デオキシ−チミジンホスホラミド)は、PNAとDNAの5’末端間のリンカーとして使用できる(Mag, M. et al. (1989) Nucleic acid Res. 17:5973-88)。ついで、PNAモノマーは、キメラ分子を生成する段階的な方法で、5’PNAセグメントおよび3’DNAセグメントとカップリングする(Finn P. J. et al. (1996) supra)。代わりに、キメラ分子は、5’DNAセグメントおよび3’PNAセグメントで合成できる(Peterser, K. H. et al. (1975) Bioorganic Med. Chem. Lett. 5:1119-11124)。
【0054】
他の具体例において、オリゴヌクレオチドは、ペプチドのような他の付加基(例えば、インビボでの宿主細胞受容体のターゲティングのために)、あるいは細胞膜(例えば、Letsinger et al. (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:6553-6556; Lemaitre et al. (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:648-652; PCT出願WO88/09810参照)または血液脳関門(例えば、PCT出願WO89/10134)の貫通を促進する作用剤を包含する。加えて、オリゴヌクレオチドは、ハイブリッド形成により誘発される切断剤(例えば、Krol et al. (1988) Biotechniques 6:958-976参照)または挿入剤(例えば、Zon (1988) Pharm. Res. 5:539-549参照)で修飾できる。このために、オリゴヌクレオチドは、他の分子(例えば、ペプチド、ハイブリッド形成により誘発される架橋剤、運搬剤またはハイブリッド形成により誘発される切断剤)に結合できる。
【0055】
III. 単離GL50ポリペプチドおよび抗GL50抗体
本発明の1の態様は、単離されたGL50ポリペプチド、およびその生物活性部分、並びに抗GL50抗体を生じさせる免疫原としての使用に適したポリペプチドフラグメントに関する。一態様において、ネイティブなGL50ポリペプチドは、標準蛋白精製技術を用いた適当な精製計画により細胞または組織供給源から単離され得る。別の態様において、GL50ポリペプチドは、組換えDNA技術により製造される。組換え発現に代わるものとして、GL50ポリペプチドまたはポリペプチドは、標準ペプチド合成技術を用いて化学合成され得る。
「単離」または「精製」された蛋白またはその生物学的に活性のある蛋白は、GL50ポリペプチドが由来した細胞または組織源由来の細胞性物質または他の混入蛋白を実質的に含まず、あるいは化学合成の場合には化学前駆体または他の化学試薬を含まない。用語「細胞性物質を実質的に含まない」は、GL50ポリペプチドが単離されあるいは組み換え法により製造される細胞の細胞性成分から分離されているGL50ポリペプチドの調合物を意味する。1の具体例において、用語「細胞性物質を実質的に含まない」は、約30%(乾燥重量で)未満の非GL50ポリペプチド(本明細書において「混入蛋白」ともいう)、より好ましくは約20%の非GL50ポリペプチド、さらに好ましくは約10%未満の非GL50ポリペプチド、最も好ましくは約5%未満の非GL50ポリペプチドを有するGL50ポリペプチドの調合物を包含する。また、GL50ポリペプチドまたはその生物学的に活性のある部分が組み換え法により製造される場合、好ましくは、それは培地を含まないものであり、すなわち、培地が蛋白調合物の体積の約20%未満、より好ましくは約10%未満、最も好ましくは約5%未満である。
【0056】
用語「化学前駆体または他の化学試薬を実質的に含まない」は、蛋白合成に使用される化学前駆体または化学試薬から蛋白が分離されているGL50ポリペプチドの調合物を包含する。1の具体例において、用語「化学前駆体または他の化学試薬を実質的に含まない」は約30%(乾燥重量で)未満の化学前駆体または非GL50化学試薬、より好ましくは約20%未満の化学前駆体または非GL50化学試薬、さらに好ましくは約10%未満の化学前駆体または非GL50化学試薬、最も好ましくは約5%未満の化学前駆体または非GL50化学試薬を有するGL50蛋白調合物を包含する。
本発明のもう1つの態様は単離GL50ポリペプチドに関する。好ましくは、GL50ポリペプチドは配列番号:1、3または5によりコードされるアミノ酸配列を含む。もう1つの具体例において、蛋白は配列番号:2、4または6のアミノ酸配列を含む。他の具体例において、蛋白は、配列番号:2、4または6に示すアミノ酸配列に対して少なくとも50%、少なくとも60%、より好ましくは70%、より好ましくは80%、さらに好ましくは90%または95%のアミノ酸同一性を有する。
他の具体例において、本発明は、単離されたGL50ポリペプチドの部分を提供する。GL50ポリペプチドはGL50ポリペプチドドメインを含む。典型的なGL50ポリペプチドドメインは図12に示されるものであり、IgV様、IgC様、膜貫通、および細胞質ドメインを包含する。
さらに本発明は、可溶性形態のGL50ポリペプチドに関する。かかる形態は天然に存する形態であってもよく、あるいは加工された形態であってもよく、例えば、GL50ポリペプチドの細胞外ドメインを含むものであってもよい。1の具体例において、GL50ポリペプチドの細胞外ドメインは、シグナル配列の開裂後にはIgVおよびIgCドメインを含むが、GL50ポリペプチドの膜貫通および細胞質ドメイン(例えば、配列番号:2のアミノ酸ほぼ47−279のアミノ酸配列または配列番号:6のアミノ酸ほぼ22−258)は含まない。
GL50ポリペプチドの生物活性部分は、GL50ポリペプチドのアミノ酸配列と充分な相同性を示すかまたはそこから誘導されたアミノ酸配列を含むペプチドを含んでおり、完全長GL50ポリペプチドより少ないアミノ酸を含み、GL50ポリペプチドの少なくとも一活性、好ましくは天然結合相手への結合能力を呈する。典型的には、生物活性部分は、GL50ポリペプチドの少なくとも一活性を伴うドメインまたはモチーフを含む。GL50ポリペプチドの生物活性部分は、例えば少なくとも10、25、50、100、150、200またはそれ以上のアミノ酸長であるポリペプチドであり得る。
【0057】
2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列の同一性パーセントを測定するため、最適な比較を目的として配列を並置する(例、ギャップは、最適なアラインメント(並置)のために第1および第2アミノ酸または核酸配列の一方または両方に導入され得、非相同性配列は比較目的に関しては無視され得る)。好ましい態様において、比較目的用に並置させたレファレンス配列の長さは、レファレンス配列の長さの少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、さらに好ましくは少なくとも50%、さらに好ましくは少なくとも60%、さらに好ましくは少なくとも70%、80%または90%である。次いで、対応する位置にある残基を比較し、一配列における位置を他の配列で対応する位置と同じ残基が占めるとき、分子はその位置において同一である。従って、2配列間の同一性パーセントは、2配列が共有する同一位置の数の関数である(すなわち、同一性%=同一位置の数/位置の総数×100)。2配列間の同一性%は、2配列の最適アラインメントのために導入される必要がある、ギャップの数および各ギャップの長さを考慮した上での、配列が共有する同一位置の数の関数である。ここで使用されているアミノ酸または核酸「同一性」は、アミノ酸または核酸「相同性」と均等内容である。
配列比較および2つの配列間の同一性パーセントの測定は、数学的アルゴリズムを用いて行うことができる。配列比較に使用される数学的アルゴリズムの非限定的な例はKarlin and Altschul (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 5873中で改変されたKarlin and Altschul (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87: 2264に記載のものである。かかるアルゴリズムはAltshul et al. (1990) J. Mol. Biol. 215: 403のNBLASTおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)中に含まれている。NBLASTプログラム、スコア=100、語長=12としてBLASTヌクレオチド検索を行って、本発明の核酸分子に相同的なヌクレオチド配列を得ることができる。XBLASTプログラム、スコア=50、語長=3としてBLAST蛋白検索を行って、本発明の蛋白分子に相同的なアミノ酸配列を得ることができる。比較目的の場合には、Altshul et al., (1997) Nucleic Acids Research 25(17): 3389に記載されたようにしてギャップを有する並置比較であるGapped BLASTを用いることができる。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを用いる場合には、個々のプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォールトパラメーターを用いることができる。http://www/ncbi.nlm.nih.gov参照。配列比較のためのアルゴリズムのもう1つの好ましい非限定的な例はMeyers and Miller, CABIOS (1989)である。かかるアルゴリズムはALIGNプログラム(バージョン2.0または2.0U)中に含まれており、それはGCG配列配置比較ソフトウェアパッケージ中に含まれている。アミノ酸配列の比較にALIGNプログラムを用いる場合、PAM120 weight residue table、ギャップ長ペナルティー12、およびギャップペナルティー4を用いることができる。
さらなる例として、Geneworksプログラム(Oxford Molecular;例えば、バージョン2.5)中の並置比較プログラムを、下記のようにパラメーターをセットして使用することもできる:ギャップクリエイション=16、伸長ペナルティー=4、スコアリングマトリックス=fastadna.cmp、および一定PAMファクター。
蛋白配列の並置比較に使用される数学的アルゴリズムのさらなる非限定的な例はLipman-Pearsonアルゴリズム(Lipman and Pearson (1985) Science 227: 1435)である。Lipman-Pearsonアルゴリズムを用いる場合、PAM250重量残基表(weight residue table)、ギャップ長ペナルティー(gap length penalty)12、ギャップペナルティー4、およびKutple2を用いることができる。核酸配列の並置比較に使用される数学的アルゴリズムの好ましい非限定的な例はWilbur-Lipmanアルゴリズム(Wilbur and Lipman (1983) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80: 726)である。Wilbur-Lipmanアルゴリズムを用いる場合、ウインドウ(window)20、ギャップペナルティー3、Ktuple3を用いることができる。Lipman-PearsonアルゴリズムおよびWilbur-Lipmanアルゴリズムは両方とも、例えば、DNASTAR配列分析ソフトウェアパッケージの一部であるMegAlignプログラム(例えば、バージョン3.1.7)に含まれている。
配列分析用のさらなるアルゴリズムが当該分野において知られており、Torelli and Robotti (1994) Comput. Appl. Biosci. 10: 3に記載されたADVANCEおよびADAM、ならびにPearson and Lipman (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 2444に記載されたFASTAを包含する。
好ましい態様において、2アミノ酸配列間の同一性パーセントは、ブロサム62マトリックスまたはPAM250マトリックス、および16、14、12、10、8、6または4のギャップ重量(gap weight)および1、2、3、4、5または6の長さ重量(length weight)を用いた、GCGソフトウェアパッケージにおけるGAPプログラムを用いて測定される。さらに別の好ましい態様において、2ヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、NWSgapdna.CMPマトリックスおよび40、50、60、70または80のギャップ重量および1、2、3、4、5または6の長さ重量を用いた、GCGソフトウェアパッケージにおけるGAPプログラムを用いて測定される。
オープンギャップに対するコストを5、伸長ギャップに対するコストを5、最小対角線長を4、最大対角線オフセットを130、コンセンサスカットオフを50%にセットし、Pam 250マトリックスを用いてGeneworks global蛋白並置比較プログラム(例えば、バージョン2.5.1)を使用して蛋白の並置比較を行うこともできる。
さらに本発明の核酸および蛋白配列を「クウェリー(query)配列」として使用することにより、パブリックデータベースに対する検索が遂行され、例えば他のファミリー構成員または関連配列が同定され得る。かかる検索は、Altschulら(1990)J.Mol.Biol.215:403−10のNBLASTおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)を用いて遂行され得る。BLASTヌクレオチド検索を、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12で遂行することにより、本発明のGL50核酸分子と相同的なヌクレオチド配列が得られる。BLAST蛋白検索を、XBLASTプログラム、スコア=50、語長=3で遂行することにより、本発明のGL50ポリペプチド分子と相同的なアミノ酸配列が得られる。比較目的用のギャップトアラインメントを得るためには、Altschulら(1997)Nucleic Acids Res.25(17):3389−3402記載の要領でギャップトBLASTが利用され得る。BLASTおよびギャップトBLASTプログラムを用いるとき、それぞれのプログラム(例、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメーターが使用され得る。例えば、存在11および伸長1で設定されたギャップペナルティーでデフォルトBlastnマトリックス1−3を用いて、本発明のヌクレオチド配列を分析した。デフォルト設定:存在11および伸長1で設定されたギャップペナルティーでのブロサム62マトリックスを用いて、本発明のアミノ酸配列を分析した。http://www.ncbi.nlm.nih.gov参照。
【0058】
配列並置比較により示されるRACEクローン上の多様なカルボキシル領域の存在は、これらの分子の細胞内ドメイン中のさらなるチロシンにより、これらの異なった分子によって別のシグナリング機能を行われうることを示唆する。現在に至るまで、B7−1またはB7−2に関する細胞内シグナリングを調べたいくつかの研究があっただけである。GL50配列上の細胞質ドメインのチロシンの存在を基礎として、かかるシグナリングが存在することを予想することができる。マウスおよびヒトのB7−1およびB7−2の細胞質ドメインを調べることにより無視できる類似性が示され、完全に細胞質配列を欠いているgpi−アンカード構築物中においてB7分子が機能しうるという報告に基づいてB7細胞質ドメインが全くなくてもよいことが示唆された。したがって、1の具体例において、GL50チロシン分子の細胞内ドメイン中のチロシン残基を変化させて、GL50ポリペプチドを介する細胞内シグナルをモジュレーションすることができる。
本発明はまた、GL50キメラまたは融合蛋白を提供する。ここで使用されているGL50「キメラ蛋白」または「融合蛋白」は、非GL50ポリペプチドに作動可能に結合されたGL50ポリペプチドを含む。「GL50ポリペプチド」は、GL50ポリペプチドに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドを包含し、「非GL50ポリペプチド」は、GL50ポリペプチドと実質的に相同的ではない蛋白、例えばGL50ポリペプチドとは異なり、同一または異なる生物体に由来する蛋白に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドを包含する。GL50融合蛋白内では、GL50ポリペプチドは、GL50ポリペプチドの全部または一部に対応し得る。好ましい態様において、GL50融合蛋白は、GL50ポリペプチドの少なくとも1つの生物活性部分、例えばGL50ポリペプチドの細胞外ドメインを含む。融合蛋白内では、「作動可能に結合された」の語は、GL50ポリペプチドおよび非GL50ポリペプチドが互いに枠内(in-frame)融合されていることを示すものとする。非GL50ポリペプチドは、GL50ポリペプチドのN−末端またはC−末端に融合され得る。
例えば、一態様では、融合蛋白は、GL50メンバーの配列がGST配列のC−末端に融合されているGST−GL50メンバーの融合蛋白である。別の態様では、融合蛋白は、GL50ヌクレオチド配列がベクター、例えばpCEP4−HAベクター(Herrscher,R.F.ら(1995)Genes Dev.9:3067−3082)に挿入されているGL50融合蛋白であり、例えばGL50メンバーの配列はインフルエンザ血球凝集素エピトープ標識に枠内融合されている。かかる融合蛋白は、組換えGL50メンバーの精製を容易にし得る。
【0059】
GL50融合蛋白は、GL50活性を有する第1ペプチドをコードするヌクレオチド配列および第1ペプチドの溶解性、親和力、安定性または結合価を改変する部分、例えば免疫グロブリン定常部に対応する第2ペプチドをコードするヌクレオチド配列の組換え発現により製造され得る。好ましくは、第1ペプチドは、B7−4ポリペプチドの一部から成る(例えば、活性化T細胞を共刺激するに十分な配列番号:2、4または6に示された配列の一部のアミノ酸残基(例えば、シグナル配列の開裂後の、例えば、配列番号:2のアミノ酸1−44付近に対応するもの))。第2ペプチドは、免疫グロブリン定常部、例えばヒトCγ1ドメインまたはCγ4(例、ヒトIgCγ1またはヒトIgCγ4のヒンジ、CH2およびCH3領域、例えばCaponら、米国特許5116964、5580756、5844095など参照、出典明示により本明細書の一部とする)を含み得る。
特に好ましいGL50 Ig融合蛋白は、免疫グロブリン定常部(例、Fc領域)に結合されたhGL50の細胞外ドメイン部分または可変部様ドメインを含む。免疫グロブリン定常部は、免疫グロブリン構造に固有のエフェクター活性を低減化または排除する遺伝子修飾を含み得る。例えば、GL50ポリペプチドの細胞外部分をコードするDNAは、例えばWO97/28267で示されている通り、位置指定突然変異導入法により修飾されたヒトIgGγ1および/またはIgGγ4のヒンジ、CH2およびCH3領域をコードするDNAに連結され得る。
【0060】
典型的な可溶性GL50およびICOS構築物のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を図26−29に示す。図26は典型的なヒトICOS融合淡白の核酸およびアミノ酸配列を示す。図27は典型的なネズミICOS融合蛋白の核酸およびアミノ酸配列を示す。図28は典型的なヒトGL50融合淡白の核酸およびアミノ酸配列を示し、図29は典型的なネズミGL50融合蛋白の核酸およびアミノ酸配列を示す。
【0061】
生成したGL50−Ig融合蛋白は、改変された溶解性、結合親和力、安定性および/または結合価(すなわち1分子当たりで利用可能な結合部位の数)を有し得、蛋白精製効率を高め得る。組換え技術により製造される融合蛋白およびペプチドは、蛋白またはペプチドを含む細胞および培地の混合物から分泌され単離され得る。別法として、蛋白またはペプチドを細胞質により保持し、細胞を採取し、溶解し、蛋白を単離し得る。細胞培養物は、典型的には宿主細胞、培地および他の副産物を含む。細胞培養に適した培地は当該分野で公知である。蛋白およびペプチドは、蛋白およびペプチド精製に関し当該分野で公知の技術を用いて細胞培養培地、宿主細胞またはその両方から単離され得る。宿主細胞をトランスフェクションし、蛋白およびペプチドを精製する技術は当該分野で公知である。
好ましくは、本発明のGL50融合蛋白は、標準組換えDNA技術により製造される。例えば、異なるポリペプチド配列をコードするDNAフラグメントは、慣用的技術に従い枠内で一緒に連結され、例えば平滑端状またはスタッガー端状末端を用いて連結させ、制限酵素消化により適当な末端を提供し、適当な場合付着末端を補充し、アルカリ性ホスファターゼ処理により望ましくない連結を回避し、酵素連結反応させる。別の態様において、融合遺伝子は、自動DNA合成装置を含む慣用的技術により合成され得る。別法として、遺伝子フラグメントのPCR増幅は、アンカープライマーを用いて実施され得、これらは2つの連続遺伝子フラグメント間に相補的オーバーハングを生じさせ、それに続いてアニーリングさせ、再増幅させてキメラ遺伝子配列を生成させ得る(例えば、Current Protocols in Molecular Biology、Ausubelら編、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ:1992参照)。さらに、既に融合部分(例、GSTポリペプチドまたはHAエピトープ標識)をコードする多くの発現ベクターが市販されている。GL50をコードする核酸は、融合部分がGL50ポリペプチドへ枠内融合されるようにかかる発現ベクター中へクローン化され得る。
別の態様では、融合蛋白は、そのN−末端に異種シグナル配列を含むGL50ポリペプチドである。ある種の宿主細胞(例、哺乳類宿主細胞)では、GL50の発現および/または分泌は、異種シグナル配列の使用を通して高められ得る。
【0062】
本発明のGL50融合蛋白は、医薬組成物に組込まれ、対象にインビボ投与され得る。GL50融合蛋白の使用は、免疫疾患、例えば自己免疫疾患の処置、または移植体の拒絶阻害の症例に治療上有用である。さらに、本発明のGL50融合蛋白を免疫原として使用することにより、対象において抗GL50抗体が産生され、GL50が精製され、スクリーニングアッセイでGL50受容体、例えば、GL50とGL50リガンドとの相互作用を阻止する分子が同定され得る。
本発明はまた、GL50アゴニスト(ミメティクス(擬似物質)mimetics)としてまたはGL50アンタゴニストとして機能するGL50ポリペプチドの変異体に関するものである。GL50ポリペプチドの変異体は、突然変異導入、例えばGL50ポリペプチドの離散した点突然変異または末端切断により生成され得る。GL50ポリペプチドのアゴニストは、GL50ポリペプチドの天然に存する形態の生物活性と実質的に同じものまたはそのサブセットを保持し得る。GL50ポリペプチドのアンタゴニストは、例えばGL50ポリペプチドの細胞活性を競争的にモジュレーションすることにより、GL50ポリペプチドの天然に存する形態の活性の一つまたはそれ以上を阻害し得る。すなわち、特異的生物作用は、制限された機能の変異型で処理することにより誘導され得る。一態様では、蛋白の天然に存する形態の生物活性のサブセットを有する変異体で対象を処置すると、GL50ポリペプチドの天然に存する形態で処置した場合に対して対象における副作用が少なかった。
1の具体例において、GL50アゴニスト(ミメティクス)としてまたはGL50アンタゴニストとして機能するGL50ポリペプチドの変異体は、GL50ポリペプチドアゴニストまたはアンタゴニスト活性についてGL50ポリペプチドの突然変異体、例えば先端切除突然変異体のコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることにより同定され得る。1の具体例において、GL50変異体の雑多なライブラリーは、核酸レベルでの組み合わせ突然変異導入により生成され、雑多な遺伝子ライブラリーによりコードされる。GL50変異体の雑多な(variegated)ライブラリーは、例えば、合成オリゴヌクレオチドの混合物を遺伝子配列へ酵素的に連結させることにより製造され得、その場合、潜在的なGL50配列の縮重セットは、個々のポリペプチドとして、または別法として、そこにGL50配列のセットを含む大型融合蛋白(例、ファージディスプレーの場合)のセットとして発現可能である。縮重オリゴヌクレオチド配列から潜在的なGL50変異体のライブラリーを製造するのに使用され得る様々な方法がある。縮重遺伝子配列の化学合成は、自動DNA合成装置で遂行され得、次いで合成遺伝子は適当な発現ベクターへ結合され得る。遺伝子の縮重セットの使用により、一混合物で、潜在的なGL50配列の目的とするセットをコードする配列が全て提供され得る。縮重オリゴヌクレオチドの合成方法は当業界では公知である(例えば、Narang,S.A.(1983)Tetrahedron 39:3、Itakuraら(1984)Annu.Rev.Biochem.53:323、Itakuraら(1984)Science198:1056、Ikeら(1983)Nucleic Acid Res.11:477参照)。
【0063】
さらに、GL50ポリペプチドコーディング配列のフラグメントのライブラリーを用いて、GL50フラグメントの雑多な集団を生成することにより、GL50ポリペプチドの変異体がスクリーニングされ、それに続いて選択され得る。1の具体例において、コーディング配列フラグメントのライブラリーは、1分子につきほぼ1回のみニッキングが行なわれ、二本鎖DNAを変性させ、DNAを再生することにより異なるニック産物からセンス/アンチセンス対を含み得る二本鎖DNAを形成させ、S1ヌクレアーゼ処理により再形成二本鎖から一本鎖部分を除去し、そして生成したフラグメントライブラリーを発現ベクターへ結合させる条件下、ヌクレアーゼでGL50コーディング配列の二本鎖PCRフラグメントを処理することにより生成され得る。この方法により、様々なサイズのGL50ポリペプチドのN−末端、C−末端および内部フラグメントをコードする発現ライブラリーが誘導され得る。
点突然変異または先端切除により製造された組み合わせライブラリーの遺伝子産物をスクリーニングするため、および選択された特性を有する遺伝子産物に関してcDNAライブラリーをスクリーニングするための幾つかの技術が当該分野において知られている。上記技術は、GL50ポリペプチドの組み合わせ突然変異導入により生成された遺伝子ライブラリーの迅速なスクリーニングに適合し得る。高処理量分析ができる、大きな遺伝子ライブラリーのスクリーニングに最も広範に使用されている技術は、典型的には遺伝子ライブラリーを複製可能な発現ベクターへクローニングし、生成したベクターのライブラリーで適当な細胞を形質転換し、そして目的とする活性の検出により、産物が検出された遺伝子をコードするベクターの単離が容易になる条件下で組み合わせ遺伝子を発現させることを含む。再帰アンサンブル突然変異導入法(Recursive ensemble mutagenesis, REM)という、ライブラリーにおける機能性突然変異体の頻度を高める新規技術を、スクリーニングアッセイと組み合わせて使用することにより、GL50変異体が同定され得る(ArkinおよびYouvan(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:7811−7815、Delagraveら(1993)Protein Eng.6(3):327−331)。
1の具体例において、細胞に基くアッセイを利用することにより、雑多なGL50ライブラリーが分析され得る。例えば、発現ベクターのライブラリーは、GL50を普通に合成し、分泌する細胞系へトランスフェクションされ得る。次いで、GL50および特定突然変異体GL50が分泌されるようにトランスフェクション細胞を培養すると、細胞上清でのGL50活性に対する突然変異体の発現効果が、例えば若干数の機能的アッセイのいずれかにより検出され得る。次いで、プラスミドDNAを細胞から回収し、GL50活性の阻害、あるいは別法として増強について評価し、そして個々のクローンはさらに特性確認され得る。
【0064】
天然に存するアミノ酸のみで構成されるGL50ポリペプチドに加えて、GL50ペプチドミメティクスもまた提供される。ペプチド類似体は、鋳型ペプチドの場合と類似した特性をもつ非ペプチド薬剤として製薬業界では常用されている。これらのタイプの非ペプチド化合物は、「ペプチド・ミメティクス」または「ペプチドミメティクス」と呼ばれ(Fauchere,J.(1986)Adv.Drug Res.15:29、Veberおよび Freidinger(1985)TINS 392頁、および Evansら、(1987)J.Med.Chem.30:1229、出典明示により本明細書の一部とする)、通常コンピューター化分子モデリングの助けにより開発される。治療上有用なペプチドと構造的に類似したペプチドミメティクスを用いることにより、均等内容の治療または予防効果が生成され得る。一般的に、ペプチドミメティクスは、パラダイムポリペプチド(すなわち、生物または薬理活性を有するポリペプチド)、例えばヒトGL50と構造的に類似しているが、当業界では公知であり、さらに次の参考文献:Spatola,A.F.、“Chemistry and Biochemistry of Amino Acids,Peptides,and Proteins”中、Weinstein,B.編、Marcel Dekker、ニューヨーク、267(1983)、Spatola,A.F.、Vega Data(1983年3月)、第1巻、3刷、“Peptide Backbone Modifications”(概観)、Morley,J.S.(1980)Trends Pharm.Sci.463−468頁(概観)、Hudson,D.ら(1979)Int.J.Pept.Prot.Res.14:177−185(−CH2NH、CH2CH2−)、Spatola,A.F.ら(1986)Life Sci.38:1243−1249(−CH2−S)、Hann,M.M.(1982)J.Chem.Soc.Perkin Trans.I.307−314(−CH−CH−、シスおよびトランス)、Almquist,R.G.ら(190)J.Med.Chem.23:1392−1398(−COCH2−)、Jennings−White,C.ら(1982)Tetrahedron Lett.23:2533(−COCH2−)、Szelke,M.ら、ヨーロッパ出願EP45665(1982)CA:97:39405(1982)(−CH(OH)CH2−)、Holladay,M.W.ら(1983)Tetrahedron Lett.(1983)24:4401−4404(−C(OH)CH2−)、および Hruby,V.J.(1982)Life Sci.(1982)31:189−199(−CH2−S−)に記載されている方法により(各々、出典明示により本明細書の一部とする)、−CH2NH−、CH2S−、−CH2−CH2−、−CH=CH−(シスおよびトランス)、−COCH2−、−CH(OH)CH2−および−CH2SO−から成る群から選択された結合によって所望により置換されていてもよい1個またはそれ以上のペプチド結合を有する。特に好ましい非ペプチド結合は−CH2NH−である。かかるペプチドミメティクスは、例えば、生産性がより経済的である、化学的安定性が大きい、薬理学的特性(半減期、吸収、有効性、効力等)が高い、特異性が改変されている(例、広域スペクトルの生物活性)、抗原性が低いことなどを含め、ポリペプチド態様を凌ぐ顕著な利点を有し得る。ペプチドミメティクスの標識は、直接的またはスペーサー(例、アミド基)を介して、定量的構造活性データおよび/または分子モデリングにより予測されるペプチドミメティクス上の非干渉性位置(複数も可)への1個またはそれ以上の標識の共有結合を通常伴う。上記非干渉性位置は、一般的にペプチドミメティクスが結合することにより治療効果を生じる高分子(複数も可)との直接接触を形成しない位置である。ペプチドミメティクスの誘導体化(例、標識)は、ペプチドミメティクスの目的とする生物学的または薬理学的活性に実質的には干渉するものであってはならない。
【0065】
GL50アミノ酸配列の1個またはそれ以上のアミノ酸を同じタイプのD−アミノ酸(例、L−リジンの代わりにD−リジン)と系統的に置換する方法を用いることにより、さらに安定したペプチドが生成され得る。さらに、GL50アミノ酸配列または実質的に同一となる配列変化を含む強制的(constrained)ペプチドは、例えば、ペプチドを閉環する分子内ジスルフィド架橋を形成し得る内部システイン残基を付加することによる、当該分野で公知の方法により生成され得る(RizoおよびGierasch(1992)Annu.Rev.Biochem. 61:387、出典明示により本明細書の一部とする)。
ここで同定されたGL50ポリペプチドのアミノ酸配列によると、当業者であれば、GL50ペプチド配列およびその配列変異型に対応するポリペプチドを製造することは可能なはずである。上記ポリペプチドは、多くの場合大型ポリペプチドの一部として、GL50ペプチド配列をコードするポリヌクレオチドの発現により原核生物または真核生物宿主細胞で製造され得る。別法として、上記ペプチドは、化学的方法により合成され得る。組換え宿主における異種蛋白の発現、ポリペプチドの化学合成およびインビトロ翻訳に関する方法は、当業界ではよく知られており、Maniatisら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(1989)、第2版、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク、Bergerおよび Kimmel、Methods in Enzymology、152巻、Guide to Molecular Cloning Techniques(1987)、アカデミック・プレス、インコーポレイテッド、サンディエゴ、カリフォルニア、Merrifield,J.(1969)J.Am.Chem.Soc.91:501、Chaiken I.M.(1981)CRC Crit.Rev.Biochem.11:255、Kaiserら(1989)Science 243:187、Merrifield,B.(1986)Science232:342、Kent,S.B.H.(1988)Annu.Rev.Biochem.57:957、および Offord,R.E.(1980)Semisynthetic Proteins、ウィリー・パブリッシング(これらは出典明示により本明細書の一部とする)にさらに詳述されている。
【0066】
ペプチドは、典型的には直接化学合成により製造され、例えばGL50リガンド相互作用のアゴニストまたはアンタゴニストとして使用され得る。ペプチドは、非ペプチド部分がN−末端および/またはC−末端への共有結合により結合している、修飾ペプチドとして製造され得る。ある好ましい態様では、カルボキシ末端またはアミノ末端、またはその両方が化学的に修飾されている。末端アミノおよびカルボキシ基の最も一般的な修飾は、それぞれアセチル化およびアミド化である。アミノ末端修飾、例えばアシル化(例、アセチル化)またはアルキル化(例、メチル化)およびカルボキシ末端修飾、例えばアミド化、並びに他の末端修飾、例えば閉環は、本発明の様々な態様に組込まれ得る。ある種のアミノ末端および/またはカルボキシ末端修飾および/またはコア配列へのペプチド伸長により、有利な物理的、化学的、生化学的および薬理学的特性、例えば高い安定性、強い効力および/または有効性、血清プロテアーゼに対する耐性、望ましい薬物動態学的特性などが提供され得る。ペプチドを治療に使用することにより、例えば患者における共刺激を改変することによって病気が処置され得る。
単離されたGL50ポリペプチド、またはその一部もしくはフラグメント(またはかかるポリペプチドをコードする核酸分子)を免疫原として使用すると、標準的なポリクローナルおよびモノクローナル抗体製造技術を用いることによりGL50に結合する抗体が産生され得る。完全長GL50ポリペプチドも使用され得、または別法として、本発明は、免疫原として使用されるGL50の抗原性ペプチドフラグメントを提供する。GL50の抗原性ペプチドが、少なくとも8個のアミノ酸残基を含み、GL50のエピトープを含むことから、ペプチドに対して産生した抗体はGL50との特異的免疫複合体を形成する。好ましくは、抗原性ペプチドは、少なくとも10個のアミノ酸残基、さらに好ましくは少なくとも15個のアミノ酸残基、さらに好ましくは少なくとも20個のアミノ酸残基、および最も好ましくは少なくとも30個のアミノ酸残基を含む。
別法として、GL50ポリペプチドの抗原性ペプチドフラグメントは、免疫原として使用され得る。GL50ポリペプチドの抗原性ペプチドフラグメントは、典型的には配列番号2、4または6に示されたアミノ酸配列の少なくとも8個のアミノ酸残基を含み、GL50ポリペプチドのエピトープを含むことにより、ペプチドに対して産生した抗体はGL50分子との免疫複合体を形成する。抗原性ペプチドに含まれる好ましいエピトープは、蛋白表面に位置するGL50の領域、例えば親水性領域である。1の具体例において、抗体は、GL50分子に実質的には特異的に結合する。別の具体例において、抗体はGL50ポリペプチドに特異的に結合する。
好ましくは、抗原性ペプチドは、少なくとも約10個のアミノ酸残基、さらに好ましくは少なくとも約15個のアミノ酸残基、さらに好ましくは少なくとも約20個のアミノ酸残基、および最も好ましくは少なくとも約30個のアミノ酸残基を含む。抗原性ペプチドに含まれる好ましいエピトープは、蛋白表面に位置するGL50ポリペプチドの領域、例えば親水性領域であり、GL50またはPD−1ポリペプチドに特有である。一態様において、上記エピトープは、一つの種、例えばマウスまたはヒト由来のGL50ポリペプチドに特異的であり得る(すなわち、種全体にわたって保存されているわけではないGL50ポリペプチドの領域に及ぶ抗原性ペプチドが免疫原として使用される。上記非保存残基はアラインメント、例えば本明細書記載のものを用いて測定され得る)。GL50ポリペプチドの標準的な疎水性分析を遂行することにより、親水性領域が確認され得る。
典型的には、GL50免疫原を用いて、適当な対象(例、ウサギ、ヤギ、マウスまたは他の哺乳類)を免疫原で免疫化することにより抗体が産生される。適当な免疫原性調合物は、例えば組換え発現GL50ポリペプチドまたは化学合成GL50ペプチドを含み得る。さらにこの調合物は、アジュバント、例えばフロイント完全または不完全アジュバント、または同様の免疫刺激剤を含み得る。免疫原性GL50調合物で適当な対象を免疫化すると、ポリクローナル抗GL50抗体応答が誘導される。
【0067】
したがって、ポリクローナル抗GL50抗体は、適当な対象をGL50免疫原で免疫化することにより上記要領で製造され得る。免疫化対象における抗GL50抗体力価は、標準的技術、例えば固定化GL50ポリペプチドを用いた酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)により時間経過とともにモニターされ得る。所望ならば、GL50ポリペプチドに対して指向した抗体分子を、哺乳類から(例、血液から)単離し、さらに公知技術、例えばプロテインAクロマトグラフィーにより精製すると、IgGフラクションが得られる。免疫後適当な時点で、例えば抗GL50抗体力価が最高であるとき、抗体産生細胞は、対象から入手され、標準的技術、例えばKohlerおよびMilstein(1975)Nature 256:495−497により最初に報告されたハイブリドーマ技術(また、Brownら(1981)J.Immunol.127:539−46、Brownら(1980)J.Biol.Chem. 255:4980−83、Yehら(1976)Proc.Natl.Acad.Sci. 76:2927−31、および Yehら(1982)Int.J.Cancer 29:269−75も参照)、さらに最近のヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozborら(1983)Immunol.Today 4:72)、EBV−ハイブリドーマ技術(Coleら(1985)Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、アラン R.リス、インコーポレイテッド、77−96頁)またはトリオーマ技術によるモノクローナル抗体の製造に使用され得る。モノクローナル抗体ハイブリドーマ製造技術は公知である(一般的には、Kenneth,R.H.、Monoclonal Antibodies: A New Dimension In Biological Analyses、プレナム・パブリッシング・コーポレーション、ニューヨーク、ニューヨーク(1980)、Lerner,E.A.(1981)Yale J.Biol.Med.54:387−402、Gefter,M.L.ら(1977)Somatic Cell Genet.3:231−36参照)。簡単に述べると、不死細胞系(代表的には骨髄種)を、上記要領でGL50免疫原により免疫化した哺乳類からのリンパ球(代表的には脾臓細胞)に融合させ、生成したハイブリドーマ細胞の培養上清をスクリーニングにかけると、GL50ポリペプチと好ましくは特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマが同定される。
リンパ球および不死化細胞系の融合に用いられる多くの公知プロトコルのいずれかが、抗GL50モノクローナル抗体産生目的に適用され得る(例えば、Galfre,G.ら(1977)Nature 266:55052、Gefterら(1977)前出、Lerner(1981)前出、Kenneth(1980)前出参照)。さらに、当業者にとって、同様に有用である上記方法の多くの変形があることは明らかである。典型的には、不死細胞系(例、骨髄種細胞系)は、リンパ球と同じ種の哺乳類に由来する。例えば、ネズミハイブリドーマは、本発明免疫原性調合物により免疫化したマウスからのリンパ球を不死化マウス細胞系と融合させることにより製造され得る。好ましい不死細胞系は、ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含む培養培地(「HAT培地」)に感受性を示すマウス骨髄種細胞系である。若干の骨髄種細胞系のいずれかは、標準的技術による融合相手として使用され得、例えばP3−NS1/1−Ag4−1、P3−x63−Ag8.653またはSp2/O−Ag14骨髄種系がある。これらの骨髄種系は、メリーランド、ロックビルのアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)から入手可能である。典型的には、HAT感受性マウス骨髄種細胞は、ポリエチレングリコール(「PEG」)を用いてマウス脾臓細胞に融合される。次いで、融合から生成したハイブリドーマ細胞はHAT培地を用いて選択され、この場合非融合および非生産的融合骨髄種細胞は殺される(非融合脾臓細胞は、形質転換されていないため数日後に死ぬ)。本発明モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞は、例えば標準ELISAアッセイを用いて、GL50分子と結合する抗体についてハイブリドーマ培養上清をスクリーニングすることにより検出される。
モノクローナル抗体分泌性ハイブリドーマの別の製造方法として、モノクローナル抗GL50抗体はGL50を伴う組換え組み合わせ免疫グロブリンライブラリー(例、抗体ファージディスプレーライブラリー)のスクリーニングによって、GL50ポリペプチドと結合する免疫グロブリンライブラリー構成員が単離されることにより同定および単離され得る。ファージディスプレーライブラリーを作成し、スクリーニングするキットは市販されている(例、ファルマシア・レコンビナント・ファージ・アンチボディー・システム、カタログ番号27−9400−01、およびストラタジーンSurfZAP(商標)ファージ・ディスプレー・キット、カタログ番号240612)。さらに、抗体ディスプレーライブラリーの作成およびスクリーニングにおいて特に使用され易い方法および試薬の例は、例えばLadnerら、米国特許第5223409号、Kangら、国際公開番号WO92/18619、Dowerら、国際公開番号WO91/17271、Winterら、国際公開WO92/20791、Marklandら、国際公開番号WO92/15679、Breitlingら、国際公開WO93/01288、McCaffertyら、国際公開番号WO92/01047、Garrardら、国際公開番号WO92/09690、Ladnerら、国際公開番号WO90/02809、Fuchsら(1991)Biotechnology(NY)9:1369−1372、Hayら(1992)Hum.Antibod.Hybridomas 3:81−85、Huseら(1989)Science246:1275−1281、Griffithsら(1993)EMBO J. 12:725−734、Hawkinsら(1992)J.Mol.Biol.226:889−896、Clarksonら(1990)Nature352:624−628、Gramら(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA89:3576−3580、Garrardら(1991)Biotechnology(NY)9:1373−1377、Hoogenboomら(1991)Nucleic Acids Res.19:4133−4137、Barbasら(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA88:7978−7982、および McCaffertyら(1990)Nature348:552−554において見出され得る。
【0068】
さらに、組換え抗GL50抗体、例えばキメラおよびヒト化モノクローナル抗体は、ヒトおよび非ヒト部分の両方を含み、標準的組換えDNA技術を用いて製造され得るものであり、本発明の範囲内に包含される。上記キメラおよびヒト化モノクローナル抗体は、例えばRobinsonら、国際特許公開PCT/US86/02269、Akiraら、ヨーロッパ特許出願184187、Taniguchi,M.、ヨーロッパ特許出願171496、Morrisonら、ヨーロッパ特許出願173494、Neubergerら、PCT出願WO86/01533、Cabillyら、米国特許第4816567号、Cabillyら、ヨーロッパ特許出願125023、Betterら(1988)Science240:1041−1043、Liuら(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA84:3439−3443、Liuら(1987)J.Immunol. 139:3521−3526、Sunら(1987)Proc.Natl.Acad.Sci. 84:214−218、Nishimuraら(1987)Cancer Res.47:999−1005、Woodら(1985)Nature314:446−449、およびShawら(1988)J.Natl.Cancer Inst.80:1553−1559、Morrison,S.L.(1985)Science229:1202−1207、Oiら(1986)Biotechniques 4:214、Winter 米国特許5225539、Jonesら(1986)Nature321:552−525、Verhoeyanら(1988)Science239:1534、およびBeidlerら(1988)J.Immunol.141:4053−4060に記載された方法を用いることにより、当業界で公知の組換えDNA技術により製造され得る。
【0069】
さらに、ヒト化抗体は、標準的プロトコル、例えば米国特許5565332に開示されたものに従い製造され得る。別の態様において、抗体鎖または特異的結合対構成成分は、当業界公知の技術を用いて、例えば米国特許5565332、5871907または5733743の記載に従い、特異的結合対構成成分のポリペプチド鎖および複製可能遺伝子ディスプレーパッケージの一成分の融合体をコードする核酸分子を含むベクターおよび単結合対構成成分の第2ポリペプチド鎖をコードする核酸分子を含むベクター間の組換えにより製造され得る。細胞内抗体の使用による細胞での蛋白機能の阻害もまた、当該分野で公知である(例えば Carlson,J.R.(1988)Mol.Cell.Biol.8:2638−2646、Biocca,S.ら(1990)EMBO J.9:101−108、Werge,T.M.ら(1990)FEBS Lett.274:193−198、Carlson,J.R.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:7427−7428、Marasco,W.A.ら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:7889−7893、Biocca,S.ら(1994)Biotechnology(NY)12:396−399、Chen,S-Yら(1994)Hum.Gene Ther.5:595−601、Duan,L.ら(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:5075−5079、Chen,S-Yら(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:5932−5936、Beerli,R.R.ら(1994)J.Biol.Chem.269:23931−23936、Beerli,R.R.ら(1994)Biochem.Biophys.Res.Commun.204:666−672、Mhashilkar,A.M.ら(1995)EMBO J.14:1542−1551、Richardson,J.H.ら(1995)Proc.Natl.Acad.Sci.USA92:3137−3141、MarascoらによるPCT公開番号WO94/02610、および DuanらによるPCT公開番号WO95/03832参照)。
1の具体例において、本発明で使用される抗体は、二重特異性抗体である。二重特異性抗体は、単一抗体分子内に2種の異なる抗原に関する結合部位を有する。抗原結合は、同時または逐次的であり得る。トリオーマおよびハイブリッドハイブリドーマは、二重特異性抗体を分泌し得る細胞系の2例である。ハイブリッドハイブリドーマまたはトリオーマが産生する二重特異性抗体の例は、米国特許4474893に開示されている。二重特異性抗体は、化学的手段(Staerzら(1985)Nature314:628、および Perezら(1985)Nature316:354)およびハイブリドーマ技術(Staerzおよび Bevan(1986)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、83:1453、および StaerzおよびBevan(1986)Immunol,Today7:241)により構築された。二重特異性抗体はまた、米国特許5959084に記載されている。二重特異性抗体のフラグメントは米国特許5798229に記載されている。
二重特異性作用剤はまた、異なる抗体を産生するハイブリドーマまたは他の細胞を融合することによって異種ハイブリドーマを製造した後、両抗体を生産および共構築(co-assenmling)するクローンを同定することにより生成され得る。それらはまた、完全免疫グロブリン鎖またはその一部分、例えばFabおよびFv配列の化学的または遺伝子的コンジュゲーションにより生成され得る。例えば、T細胞受容体複合体、B細胞受容体複合体、CD40、CD40リガンド、CD2またはCD45(GL50またはICOSのほかに)に結合する二重特異性作用剤を得ることができる。
【0070】
抗GL50抗体(例、モノクローナル抗体)を用いると、標準的技術、例えばアフィニティークロマトグラフィーまたは免疫沈降によりGL50ポリペプチドが単離され得る。抗GL50抗体により、細胞からの天然GL50ポリペプチドおよび宿主細胞において発現される遺伝的組換えにより製造されたGL50ポリペプチドの精製は容易になり得る。さらに、抗GL50抗体は、GL50ポリペプチドの検出(例、細胞リゼイトまたは細胞上清において)に使用され得る。抗体を検出可能な物質にカップリング(すなわち、物理的結合)させることにより検出は容易になり得る。従って、1の具体例において、本発明の抗GL50抗体は、検出可能な物質により標識される。検出可能な物質の例には、様々な酵素、補欠分子族、蛍光物質、ルミネセンス(発光)物質および放射性物質がある。適当な酵素の例には、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼまたはアセチルコリンエステラーゼがあり、適当な補欠分子族複合体の例にはストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンがあり、適当な蛍光性物質の例には、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリドまたはフィコエリスリンがあり、ルミネセンス物質の例にはルミノールがあり、そして適当な放射性物質の例には125I、131I、35SおよびHがある。
【0071】
本発明のさらに別の態様は、次の工程を含む方法により得られる抗GL50抗体に関するものである:
(a)免疫原性GL50ポリペプチドまたはGL50ポリペプチドに特有なその免疫原性部分により動物を免疫化し、そして
(b)GL50ポリペプチドに特異的に結合する抗体を動物から単離する。
【0072】
IV.組み換え発現ベクターおよび宿主細胞
本発明のもう1つの態様は、GL50ファミリーの蛋白(またはその一部分)をコードする核酸分子を含むベクター、好ましくは発現ベクターに関する。ここで使用されている「ベクター」の語は、それに結合されている別の核酸を輸送し得る核酸分子を包含する。ベクターの1のタイプは「プラスミド」であり、追加的DNAセグメントが連結され得る環状二本鎖DNAループを包含する。別のタイプのベクターはウイルスベクターであり、その場合追加的DNAセグメントがウイルスゲノムへ連結され得る。ある種のベクターは、それらが導入される宿主細胞において自己複製し得る(例、細菌性複製起点を有する細菌性ベクターおよびエピソーム性哺乳類ベクター)。他のベクター(例、非エピソーム性哺乳類ベクター)は、宿主細胞への導入時に宿主細胞のゲノムへ組込まれ、それによって宿主ゲノムと一緒に複製される。さらに、ある種のベクターは、それらが作動可能に結合されている遺伝子の発現を指令し得る。上記ベクターは、ここでは「発現ベクター」と称される。一般に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターはプラスミド形態であることが多い。本明細書の場合、プラスミドがベクターの最も一般的に使用される形態であることから、「プラスミド」および「ベクター」は互換的に使用され得る。しかしながら、本発明は、かかる他の形態の発現ベクターで均等内容の機能を果たすもの、例えばウイルスベクター(例、複製能欠損レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ伴生ウイルス)を包含するものと考えられる。
組換え発現ベクターは、宿主細胞における核酸の発現に適した形態の核酸お含み、このことは、組換え発現ベクターが、発現に使用される宿主細胞に基いて選択された1つまたはそれ以上の調節配列を含むことを意味するもので、調節配列は、発現されるべき核酸配列に作動可能に結合されている。組換え発現ベクター内で、「作動可能に結合されている」は、興味の対象であるヌクレオチド配列が、ヌクレオチド配列の(例、インビトロ転写/翻訳系における、またはベクターが宿主細胞へ導入されたとき宿主細胞における)発現を可能にする状態で調節配列(複数も可)に結合されていることを意味するものとする。「調節配列」の語は、プロモーター、エンハンサーおよび他の発現制御エレメント(例、ポリアデニル化シグナル)を包含する。上記調節配列は、例えば Goeddel(1990)Methods Enzymol.185:3−7に記載されている。調節配列には、多くのタイプの宿主細胞におけるヌクレオチド配列の構成的発現を指令するものおよびある種の宿主細胞においてのみヌクレオチド配列の発現を指令するもの(例、組織特異的調節配列)がある。当業者であれば、発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択、目的蛋白の発現レベルなどの因子により異なり得ることを認識するはずである。本発明の発現ベクターは、宿主細胞に導入されることにより、ここに記載されたように(例、GL50ファミリーの蛋白、GL50蛋白の変異形態、融合蛋白など)核酸によりコードされる、融合蛋白またはペプチドを含む蛋白またはペプチドを製造し得る。
本発明の1の具体例において、GL50分子の膜貫通ドメインまたは細胞内ドメインを含むベクターを加工することができる。かかる構築物を用いて、GL50分子を介する細胞内シグナリングをモジュレーションすることができ、優性な負の変異体として作用しうる。
【0073】
本発明の組換え発現ベクターは、原核生物または真核生物細胞におけるGL50ポリペプチドの発現を目的として設計され得る。例えば、GL50ポリペプチドは、細菌細胞、例えばエシェリシア・コリ(E.coli)、昆虫細胞(バキュロウイルス発現ベクターを用いる)、酵母細胞または哺乳類細胞で発現され得る。適当な宿主細胞については、Goeddel(1990)前出でさらに検討されている。別法として、組換え発現ベクターは、例えばT7プロモーター調節配列およびT7ポリメラーゼを用いてインビトロで転写および翻訳され得る。
原核生物における蛋白の発現は、融合または非融合蛋白の発現を指令する構成的または誘導性プロモーターを含むベクターによりエシェリシア・コリ(E.coli)で行なわれることが多い。融合ベクターは、その中にコードされた蛋白に若干のアミノ酸を、通常には組換え蛋白のアミノ末端に付加する。上記融合ベクターは、典型的には1)組換え蛋白の発現を高める、2)組換え蛋白の溶解性を高める、および3)アフィニティー精製におけるリガンドとして作用することにより組換え蛋白の精製で有用である、といった3つの目的に適うものである。多くの場合、融合発現ベクターでは、蛋白分解性開裂部位が融合部分および組換え蛋白の接合点に導入されることにより、融合蛋白精製後に続いて組換え蛋白が融合部分から分離され得る。上記酵素およびそれらの同族認識配列には、因子Xa、トロンビンおよびエンテロキナーゼがある。典型的融合発現ベクターには、pGEX(ファルマシア・バイオテク・インコーポレイテッド、Smith,D.B.および Johnson,K.S.(1988)Gene67:31−40)、pMAL(ニューイングランド・バイオラブズ、ベヴァリー、マサチューセッツ)およびpRIT5(ファルマシア、ピスキャタウェイ、ニュージャージー)があり、それぞれグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合蛋白またはプロテインAを標的組換え蛋白に融合させる。
精製融合蛋白は、GL50活性アッセイ(例、下記で詳述されている直接アッセイまたは競争的アッセイ)において、または例えばGL50ポリペプチドに特異的な抗体の生成に使用され得る。
【0074】
適当な誘導性非融合エシェリシア・コリ(E.coli)発現ベクターの例には、pTrc(Amannら(1988)Gene69:301−315)およびpET11d(Studierら(1990)Methods Enzymol.185:60−89)がある。pTrcベクターからの標的遺伝子発現は、ハイブリッドtrp−lac融合プロモーターからの宿主RNAポリメラーゼ転写に依存する。pET11dベクターからの標的遺伝子発現は、共発現されたウイルス性RNAポリメラーゼ(T7gn1)が介在するT7gn10−lac融合プロモーターからの転写に依存する。このウイルス性ポリメラーゼは、lacUV5プロモーターの転写制御下T7gn1遺伝子をもつ内在プロファージから宿主株BL21(DE3)またはHMS174(DE3)により供給される。
エシェリシア・コリ(E.coli)における組換え蛋白発現を最大化させる1の戦略は、蛋白加水分解的に組換え蛋白を開裂する能力が損なわれた宿主細菌で蛋白を発現させることである(Gottesman,S.(1990)Methods Enzymol.185:119−128)。別の戦略は、発現ベクターへ挿入される核酸の核酸配列を改変することにより、各アミノ酸に関する個々のコドンが優先的にエシェリシア・コリ(E.coli)で利用されるものとなるようにする方法である(Wadaら(1992)Nucleic Acids Res.20:2111−2118)。本発明の核酸配列の上記改変は、標準的なDNA合成技術により実施され得る。
【0075】
もう1つの具体例において、GL50発現ベクターは、酵母発現ベクターである。酵母エス・セレベシアエ(S.cerevisiae)で発現するベクターの例には、pYepSec1(Baldariら(1987)EMBO J.6:229−234)、pMFa(KurjanおよびHerskowitz(1982)Cell30:933−943)、pJRY88(Schultzら(1987)Gene54:113−123)、pYES2(インビトロゲン・コーポレーション、サンディエゴ、カリフォルニア)およびpicZ(インビトロゲン・コーポレーション、サンディエゴ、カリフォルニア)がある。
【0076】
別法として、GL50ポリペプチドは、バキュロウイルス発現ベクターを用いて昆虫細胞で発現され得る。培養昆虫細胞(例、Sf9細胞)における蛋白発現に利用可能なバキュロウイルスベクターには、pAcシリーズ(Smithら(1983)Mol.Cell Biol.3:2156−2165)およびpVLシリーズ(Lucklow,V.A.および Summers,M.D.(1989)Virology170:31−39)がある。
【0077】
さらに別の具体例において、本発明の核酸は、哺乳類発現ベクターを用いて哺乳類細胞で発現される。哺乳類発現ベクターの例には、pMex−NeoI、pCDM8(Seed,B.(1987)Nature329:840)およびpMT2PC(Kaufmanら(1987)EMBO J.6:187−195)がある。哺乳類細胞で使用される場合には、発現ベクターの制御機能は、ウイルス調節エレメントにより提供されることが多い。例えば、一般的に使用されるプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルスおよびシミアンウイルス40から誘導される。原核生物および真核生物の両細胞に関する他の適当な発現系については、Sambrook,J.ら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual.2nd,ed.,Cold Spring Harbor Laboratory、コールドスプリングハーバー・ラボラトリー・プレス、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク(1989)の16および17章参照。
【0078】
もう1つの具体例において、組換え哺乳類発現ベクターは、特定細胞型で優先的に核酸の発現を指令し得る(例、組織特異的調節エレメントは核酸の発現に使用される)。組織特異的調節エレメントは当業界では公知である。適当な組織特異的プロモーターの非限定的な例には、アルブミンプロモーター(肝臓特異的、Pinkertら(1987)Genes Dev.1:268−277)、リンパ特異的プロモーター(Calameおよび Eaton(1988)Adv.Immunol.43:235−275)、特にT細胞受容体プロモーター(Winotoおよび Baltimore(1989)EMBO J.8:729−733)および免疫グロブリン(Banerjiら(1983)Cell33:729−740、Queenおよび Baltimore(1983)Cell33:741−748)、ニューロン特異的プロモーター(例、ニューロフィラメントプロモーター、Byrneおよび Ruddle(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA86:5473−5477)、膵臓特異的プロモーター(Edlundら(1985)Science 230:912−916)、および乳腺特異的プロモーター(例、乳漿プロモーター、米国特許第4873316号およびヨーロッパ出願公開第264166号)がある。また、発達的調節プロモーター、例えばネズミホックス(hox)プロモーター(Kesselおよび Gruss(1990)Science249:374−379)およびα−フェトプロテインプロモーター(Campesおよび Tilghman(1989)Genes Dev.3:537−546)も包含される。
さらに、哺乳類細胞で使用される誘導性調節系は当該分野では公知であり、例えば遺伝子発現が重金属イオン(例えば、Mayoら(1982)Cell 29:99−108、Brinsterら(1982)Nature296:39−42、Searleら(1985)Mol.Cell.Biol.5:1480−1489参照)、熱ショック(例、Nouerら(1991)Heat Shock Response中、Nouer,L.編、CRC、ボカラトン、フロリダ、167−220頁参照)、ホルモン(例、Leeら(1981)Nature294:228−232、Hynesら(1981)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:2038−2042、Klockら(1987)Nature329:734−736、Israelおよび Kaufman(1989)Nucl.Acids Res.17:2589−2604、およびPCT公開番号WO93/23431参照)、FK506−関連分子(例、PCT公開番号WO94/18317参照)またはテトラサイクリン類(Gossen,M.および Bujard,H.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:5547−5551、Gossen,M.ら(1995)Science268:1766−1769、PCT公開番号WO94/29442、およびPCT公開番号WO96/01313参照)により調節される系がある。従って、別の態様では、本発明は、GL50 DNAが誘導性真核生物プロモーターに作動可能に結合されていることにより、真核生物細胞におけるGL50ポリペプチドの誘導性発現が可能となる組換え発現ベクターを提供する。
【0079】
さらに本発明は、アンチセンス方向で発現ベクターへクローン化された本発明DNA分子を含む組換え発現ベクターを提供する。すなわち、DNA分子は、GL50 mRNAに対してアンチセンスであるRNA分子の発現(DNA分子の転写による)を可能にする形で調節配列に作動可能に結合されている。アンチセンス方向でクローン化された核酸に作動可能に結合された調節配列であって、様々な細胞タイプにおけるアンチセンスRNA分子の連続発現を指令するもの、例えばウイルスプロモーターおよび/またはエンハンサーが選択され得るか、またはアンチセンスRNAの構成的、組織特異的または細胞型特異的発現を指令する調節配列が選択され得る。アンチセンス発現ベクターは、アンチセンス核酸が高効率調節領域の制御下で製造される組換えプラスミド、ファージミドまたは弱毒化ウイルス形態であり得、その活性はベクターが導入されている細胞型により決定され得る。アンチセンス遺伝子を用いた遺伝子発現の調節を検討したものについては、Weintraub,H.ら(1986)“Antisense RNA as a molecular tool for genetic analysis”Reviews-Trends in Genetics、第1巻(1)を参照。
【0080】
さらに本発明は、本発明組換え発現ベクターが導入されている宿主細胞に関するものである。「宿主細胞」および「組換え宿主細胞」の語は、ここでは互換的に使用されている。上記の語は特定対象細胞だけでなくかかる細胞の子孫または潜在的子孫も包含するものと理解すべきである。突然変異または環境的影響故にある種の修飾が後続の世代で行われ得るため、上記子孫は事実上親細胞と同一ではあり得ないが、依然としてここで使用されている語の範囲内に包含される。
宿主細胞は原核生物または真核生物であり得る。例えば、GL50ポリペプチドは、細菌細胞、例えばエシェリシア・コリ(E.coli)、昆虫細胞、酵母または哺乳類細胞(例えばチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)またはCOS細胞)で発現され得る。他の適当な宿主細胞も当業者に公知である。
【0081】
ベクターDNAは、慣用的形質転換またはトランスフェクション技術により原核生物または真核生物細胞へ導入され得る。ここで使用されている「形質転換」および「トランスフェクション」の語は、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共沈澱、DEAE−デキストラン介在トランスフェクション、リポフェクション(脂質小胞を介する遺伝子導入)または電気穿孔を含め、外来核酸(例、DNA)を宿主細胞へ導入するための様々な当業界公認の技術を包含するものとする。宿主細胞の適当な形質転換またはトランスフェクション方法は、Sambrookら(Molecular Cloning:A Laboratory Manual.2nd,ed.,Cold Spring Harbor Laboratory、コールドスプリングハーバー・ラボラトリー・プレス、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク、1989)、および他の研究室マニュアルに見出され得る。
哺乳類細胞の安定したトランスフェクションを行うために、使用される発現ベクターおよびトランスフェクション技術により、細胞の小フラクションのみが外来DNAをそれらのゲノムへ組込み得ることは知られている。これらの成分を同定および選択するために、選択マーカー(例、抗生物質に対する耐性)をコードする遺伝子は、一般的に興味の対象である遺伝子と一緒に宿主細胞へ導入される。好ましい選択マーカーには、薬剤、例えばG418、ハイグロマイシンおよびメトトレキセートに対する耐性を付与するものがある。選択マーカーをコードする核酸は、GL50ポリペプチドをコードするものと同じベクターで宿主細胞へ導入され得るかまたは別々のベクターで導入され得る。導入された核酸により安定してトランスフェクションされた細胞は、薬剤選別により同定され得る(例、選択マーカー遺伝子が組込まれた細胞は生残り、他の細胞は死ぬ)。
【0082】
本発明の宿主細胞、例えば培養された原核生物または真核生物宿主細胞は、GL50ポリペプチドの製造(すなわち発現)に使用され得る。従って、本発明は、さらに本発明の宿主細胞を用いたGL50ポリペプチドの製造方法を提供する。前記方法の一態様は、GL50ポリペプチドが製造されるように、本発明の宿主細胞(GL50ポリペプチドをコードする組換え発現ベクターが導入された)を適当な培養培地で培養することを含む。別の態様において、前記方法はさらに、培地または宿主細胞からのGL50ポリペプチドの単離を含む。
ある種の宿主細胞はまた、ヒト以外のトランスジェニック動物の製造に使用され得る。例えば、一態様において、宿主細胞は、GL50コーディング配列が導入された受精卵母細胞または胚性幹細胞である。次いで、上記宿主細胞を用いることにより、外来性GL50配列がゲノムに導入された非ヒトトランスジェニック動物または内在性GL50配列が改変された相同的組換え動物が製造され得る。上記動物は、GL50ポリペプチドの機能および/または活性を研究並びにGL50活性のモジュレーターを同定および/または評価するのに有用である。ここで使用されている「トランスジェニック動物」は、ヒト以外の動物、好ましくは哺乳類、さらに好ましくはげっ歯動物、例えばラットまたはマウスであり、この場合動物の細胞の1個またはそれ以上が導入遺伝子(トランスジーン)を含んでいる。トランスジェニック動物の他の例には、ヒト以外の霊長類、ヒツジ、イヌ、雌牛、ヤギ、ニワトリ、両生類などがある。導入遺伝子は、トランスジェニック動物が発生する細胞のゲノムに組込まれており、成熟動物のゲノムに残存している外性DNAであり、それによってトランスジェニック動物の1種またはそれ以上の細胞型または組織におけるコードされた遺伝子産物の発現が指令される。ここで使用されている「相同的組換え動物」は、ヒト以外の動物、好ましくは哺乳類、さらに好ましくはマウスであり、この場合内在性GL50遺伝子は、動物の発生前に、動物の1の細胞、例えば動物の胚性細胞へ導入された内在性遺伝子および外来性DNA分子間の相同的組換えにより改変されている。
【0083】
トランスジェニック動物は、例えば、マイクロインジェクション、レトロウイルス感染により、GL50をコードする核酸分子を受精卵母細胞の雄性前核へ導入し、偽妊娠した雌フォスター(養育)動物において卵母細胞を発達させることにより製造され得る。配列番号1、3または5のGL50 cDNA配列は、非ヒト動物のゲノムへ導入遺伝子として導入され得る。別法として、hGL50遺伝子の非ヒト相同体、例えばマウスまたはラットGL50遺伝子が導入遺伝子として使用され得る。別法として、GL50遺伝子相同体、例えば別のGL50ファミリーの構成員が、配列番号1、3または5のGL50ファミリーcDNA配列とのハイブリダイゼーションに基いて単離され(さらに上記サブセクションIで詳記されている)、導入遺伝子として使用され得る。また、イントロン配列およびポリアデニル化シグナルを導入遺伝子に含ませることにより、導入遺伝子の発現効率を高められ得る。組織特異的調節配列(複数も可)は、GL50導入遺伝子へ作動可能に結合されることにより、特定細胞に対してGL50ポリペプチドの発現を指令し得る。胚操作および顕微注入によるトランスジェニック動物、特に例えばマウスといった動物の製造方法は、当業界では既に慣用的なものになっており、例えば、両方ともLederらによる米国特許第4736866号および同4870009号、Wagnerらによる米国特許第4873191号および Hogan,B. Manipulating the Mouse Embryo(コールドスプリングハーバー・ラボラトリー・プレス、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク、1986)で報告されている。他のトランスジェニック動物の製造には類似方法も使用される。トランスジェニック創始動物は、そのゲノムにおけるGL50導入遺伝子の存在および/または動物の組織または細胞におけるGL50 mRNAの発現に基いて同定され得る。次いで、トランスジェニック創始動物を用いることにより、導入遺伝子を有する動物が追加的に産み出され得る。さらに、GL50ポリペプチドをコードする導入遺伝子をもつトランスジェニック動物は、他の導入遺伝子をもつ他のトランスジェニック動物へとさらに繁殖され得る。
【0084】
相同組換え動物を作製するため、GL50遺伝子の少なくとも一部分を含むもので、そこに欠失、付加または置換が導入されていることによりGL50遺伝子が改変、例えば機能的に崩壊されているベクターを製造する。GL50遺伝子はヒト遺伝子(例、配列番号1、3または5)であり得るが、さらに好ましくはヒトGL50遺伝子の非ヒト相同体である(例、配列番号1、3または5のヌクレオチド配列とのストリンジェントなハイブリダイゼーションにより単離されたcDNA)。例えば、GL50遺伝子を用いることにより、マウスゲノムにおいて内在性GL50遺伝子を改変するのに適した相同組換えベクターが構築され得る。好ましい態様では、相同組換え時、内在性GL50遺伝子が機能崩壊されるようにベクターが設計される(すなわち、もはや機能性蛋白をコードしない、「ノックアウト」ベクターとも称される)。別法として、相同組換え時、内在性GL50遺伝子は突然変異誘発または他の形で改変されるが、依然として機能性蛋白をコードするようにベクターが設計され得る(例、上流調節領域を改変することにより、内在性GL50ポリペプチドの発現が改変され得る)。相同的組換えベクターでは、GL50遺伝子の改変部分の5’および3’両末端にGL50遺伝子の追加的核酸配列が隣接していることにより、ベクターが担う内在性GL50遺伝子および胚性幹細胞における内在性GL50遺伝子間で相同組換えが行われ得る。付加的な隣接GL50核酸配列は、内在性遺伝子との有効な相同的組換えにとって充分な長さを有する。典型的には、数キロベースのフランキングDNA(5’および3’の両末端)がベクターに含まれている(例、相同的組換えベクターの記載については、Thomas,K.R.および Capecchi,M.R.(1987)Cell51:503参照)。ベクターは胚性幹細胞系へ(例、電気穿孔により)導入され、導入されたGL50遺伝子が内在性GL50遺伝子と相同的に組換えられている細胞が選択される(例、Li,E.ら(1982)Cell69:915参照)。次いで、選択された細胞は動物(例、マウス)の未分化胚芽細胞へ注入され、凝集キメラが形成される(例、Bradley,A.、Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells:A Practical Approach、Robertson,E.J.編(IRL、オクスフォード、1987)113−152頁参照)。次いで、キメラ胚を適当な偽妊娠雌養育(フォスター)動物へ移植し、胚を分娩させ得る。生殖細胞に相同的組換えDNAをもつ子孫を用いることにより、動物の全細胞が導入遺伝子の生殖系列伝達により相同的組換えDNAを含む動物が産み出され得る。相同的組換えベクターおよび相同的組換え動物の構築方法は、Bradley,A.(1991)Curr.Opin.Biotechnol.2:823−829および Le MouellecらによるPCT国際公開第WO90/11354号、Smithiesらによる同第WO91/01140号、Zijlstraらによる同第WO92/0968号、および Bernsらによる同第WO93/04169号に詳述されている。
【0085】
前述のものに加えて、当業者であれば、相同的組換えに関して当該分野で知られている他の方法も本発明に適用され得ることを認識するはずである。酵素補助部位特異的組込み系は当該分野では公知であり、第2標的DNA分子において予め決められた位置にDNA分子を組込むのに適用され得る。上記酵素補助組込み系の例には、Creリコンビナーゼ−lox標的系(例、Baubonis,W.および Sauer,B.(1993)Nucl.Acids Res.21:2025−2029、および Fukushige,S.および Sauer,B.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA89:7905−7909に記載されたもの)およびFLPリコンビナーゼ−FRT標的系(例、Dang,D.T.および Perrimon,N.(1992)Dev.Genet.13:367−375、および Fiering,S.ら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:8469−8473に記載のもの)がある。テトラサイクリン調節誘導性相同的組換え系、例えばPCT公開第WO94/29442号およびPCT公開第WO96/01313号に記載されたものもまた使用され得る。
例えば、別の態様では、導入遺伝子の発現調節を可能にすべく選択された系を含むトランスジェニック非ヒト動物が製造され得る。かかる系の一例は、バクテリオファージP1のcre/loxPリコンビナーゼ系である。cre/loxPリコンビナーゼ系の記述については、例えば Laksoら(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA89:6232−6236参照。リコンビナーゼ系の別の例は、サッカロマイシス・セレヴィシアエ(Saccharomyces cerebvisiae)のFLPリコンビナーゼ系である(O'Gormanら(1991)Science251:1351−1355)。cre/loxPリコンビナーゼ系を導入遺伝子の発現調節に使用する場合、Creリコンビナーゼおよび選択された蛋白の両方をコードする導入遺伝子を含む動物が要求される。上記動物は、例えば、一方は選択された蛋白をコードする導入遺伝子を含み、他方はリコンビナーゼをコードする導入遺伝子を含む2種のトランスジェニック動物を交配することにより、「二重」トランスジェニック動物の構築を通して提供され得る。
【0086】
また、ここに記載されているヒト以外のトランスジェニック動物のクローンは、Wilmut,I.ら(1997)Nature385:810−813およびPCT国際公開第WO97/07668号および同第WO97/07669号記載の方法により製造され得る。簡単に述べると、トランスジェニック動物からの細胞、例えば体細胞は、単離され、成長周期を脱し、G期へ入るように誘導され得る。次いで、静止細胞は、例えば電気パルスの使用を通じて、静止細胞が単離されたのと同種の動物からの除核卵母細胞へ融合され得る。次いで、再構築された卵母細胞は、それが桑実胚または芽細胞に発達するように培養され、次いで偽妊娠した雌フォスター動物へ移される。この雌フォスター動物から生まれた子孫は、細胞、例えば体細胞が単離された動物のクローンとなる。
【0087】
V.医薬組成物
GL50モジュレーター(例、GL50阻害または刺激剤、例えば上記のGL50核酸分子、ポリペプチド、抗体または、GL50活性のモジュレーターとして同定された化合物)は、投与に適した医薬組成物に含有され得る。上記組成物は、典型的には核酸分子、蛋白または抗体および医薬的に許容される担体を含む。ここで使用されている「医薬的に許容される担体」の語は、医薬投与に適合したあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤などを全て包含するものとする。医薬活性物質に関する上記媒質および薬剤の使用については当該分野では公知である。慣用的媒質または薬剤が活性化合物と不適合性である場合を除いて、組成物中におけるその使用が考えられる。補足的活性化合物もまた、組成物中に含有され得る。
【0088】
本発明医薬組成物は、意図されたその投与経路と適合するように製剤化される。投与経路の例には、非経口、例えば静脈内、皮内、皮下、経口(例、吸入)、経皮(局所)、経粘膜および直腸投与がある。非経口、皮内または皮下適用に使用される溶液または懸濁液は、次の成分:滅菌希釈剤、例えば注射用水、食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒、抗菌剤、例えばベンジルアルコールまたはメチルパラベン、酸化防止剤、例えばアスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウム、キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸、緩衝液、例えばアセテート、シトレートまたはホスフェートおよび等張性調節剤、例えば塩化ナトリウムまたはデキストロースを含み得る。pHは酸または塩基、例えば塩酸または水酸化ナトリウムにより調節され得る。非経口製剤は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨て注射器またはマルチプルドーズバイアル(multiple dose vial)に封入され得る。
【0089】
注射可能用途に適した医薬組成物には、滅菌水溶液(水溶性の場合)または分散液および滅菌注射可能溶液または分散液をその場で製造するための滅菌粉末が含まれ得る。静脈内投与の場合、適当な担体には、生理食塩水、静菌水、クレモフォーEL(商標)(BASF、パーシッパニー、ニュージャージー)またはリン酸緩衝食塩水(PBS)がある。どの場合も、組成物は無菌状態でなくてはならず、容易に注射できる程度には流動性であるべきである。組成物は、製造および貯蔵条件下で安定していなくてはならず、微生物、例えば細菌および真菌の汚染作用に対して保存されなければならない。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセリン、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)を含む溶媒または分散液媒質およびその適当な混合物であり得る。例えば、コーティング、例えばレシチンの使用により、分散液の場合に必要とされる粒子サイズの維持により、および界面活性剤の使用により適切な流動性が維持され得る。微生物作用の阻止は、様々な抗菌および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどにより達成され得る。多くの場合、組成物中に等張剤、例えば糖類、ポリアルコール類、例えばマニトール、ソルビトール、塩化ナトリウムを含むのが好ましい。注射可能組成物の長期間吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物に含ませることにより達成され得る。
滅菌注射可能溶液は、上記で列挙した成分の1種または組み合わせと共に適当な溶媒に必要量の活性化合物(例、GL50ポリペプチドまたは抗GL50抗体)を含有させ、次いで必要に応じて滅菌濾過することにより製造され得る。一般的に、分散液は、塩基性分散媒質および上記で列挙されたものから必要とされる他の成分を含む滅菌賦形剤に活性化合物を組込むことにより製造される。滅菌注射可能溶液製造用滅菌粉末の場合、好ましい製造方法は真空乾燥および凍結乾燥であり、予め滅菌濾過しておいたその溶液から有効成分に加えて所望の追加的成分から成る粉末を得ることができる。
【0090】
経口組成物は、一般的に不活性希釈剤または食用担体を含む。それらはゼラチンカプセルに封入されるかまたは錠剤に圧縮成型され得る。経口治療投与を目的とする場合、活性化合物は賦形剤と共に組込まれ、錠剤、トローチまたはカプセル形態で使用され得る。経口組成物はまた、口内洗浄剤として使用される流動担体を用いて製造され得、流動担体中の化合物は経口適用され、スイッシュ(swish)され、吐き出されるかまたは嚥下される。医薬的に適合し得る結合剤、および/またはアジュバント材料は、組成物の一部として含まれ得る。錠剤、丸薬、カプセル、トローチなどは、下記成分のいずれか、または似た性質の化合物:結合剤、例えば微晶性セルロース、トラガカントゴムまたはゼラチン、賦形剤、例えば澱粉または乳糖、崩壊剤、例えばアルギン酸、プリモゲルまたはコーンスターチ、滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウムまたはステロテス(Sterotes)、滑剤、例えばコロイド状二酸化珪素、甘味剤、例えばしょ糖またはサッカリン、または香味料、例えばペパーミント、サリチル酸メチルまたはオレンジ香味料を含み得る。
【0091】
吸入投与の場合、化合物は、適当な推進剤、例えば気体、例えば二酸化炭素を含む加圧容器またはディスペンサーからのエアゾールスプレー、またはネブライザーの形態でデリバリーされる。
【0092】
全身投与はまた、経粘膜または経皮手段で行われ得る。経粘膜または経皮投与の場合、浸透させるべきバリアーに適した浸透剤が製剤に使用される。上記浸透剤は一般的に当業界では公知であり、例えば、経粘膜投与の場合、デタージェント、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体を含む。経粘膜投与は、鼻用スプレーまたは坐剤の使用を通して達成され得る。経皮投与の場合、活性化合物は、当該分野で一般的に知られている通り軟膏、膏薬、ゲルまたはクリームに製剤化される。
【0093】
化合物はまた、直腸デリバリー用の坐薬(例、慣用的坐薬基剤、例えばカカオバターおよび他のグリセリド類による)または停留浣腸形態で製造され得る。
1の具体例において、モジュレーター剤は、体内からの急速な排出から化合物を保護する担体を用いて製造され、例えば移植体(インプラント)およびマイクロカプセル封入デリバリー系を含む放出制御製剤がある。生物分解性、生物適合性ポリマー、例えばエチレンビニルアセテート、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸が使用され得る。上記製剤の製造方法は、当業者には当然明白なものである。これらの材料はまた、アルザ・コーポレーションおよびノヴァ・ファーマシューティカルズ、インコーポレイテッドから購入され得る。リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体により感染した細胞に標的化されたリポソームを含む)はまた、医薬的に許容され得る担体としても使用され得る。これらは、例えば米国特許第4522811号に記載された通り、当業者に公知の方法に従い製造され得る。
投与し易く用量を均一にするために単位用量形態で経口または非経口組成物を製剤するのは特に有利である。ここで使用されている単位用量形態は、処置される対象にとって単位用量として適する物理的に独立した単位を包含しており、各単位は必要とされる医薬用担体と共に所望の治療効果を生じるように計算された予め定められた量の活性化合物を含む。本発明の単位用量形態に関する詳細は、活性化合物特有の特徴および達成すべき特定治療効果、および個体の処置を目的としたかかる活性化合物調合の当該分野における制限に直接的に左右される。
【0094】
上記化合物の毒性および治療効率は、例えばLD50(集団の50%に対する致死用量)およびED50(集団の50%における治療有効量)を決定するため、細胞培養物または実験動物における標準製薬方法により測定され得る。毒性および治療効果間の用量比が治療指数であり、LD50/ED50比として表され得る。大きな治療指数を呈する化合物が好ましい。毒性副作用を呈する化合物が使用され得る場合、非感染細胞への潜在的損傷を最小にすることにより副作用を低減するためには罹患組織部位へ上記化合物を標的化するデリバリー系の設計は慎重に行うべきである。
細胞培養アッセイおよび動物試験から得られたデータは、ヒトで使用するための範囲の用量を製剤化するのに使用され得る。上記化合物の用量は、好ましくは毒性を全くまたはほとんど伴わずにED50を含む循環濃度範囲内に存する。用量は、使用される用量形態および使用される投与経路によりこの範囲内で変動し得る。本発明方法で使用される化合物の場合、治療有効量は最初に細胞培養アッセイから評価され得る。用量を動物モデルで製剤化することにより、細胞培養で測定されたIC50(すなわち、徴候の半最大阻害を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲が得られる。上記情報を使用することにより、より正確にヒトにおける有用な用量が測定され得る。血漿レベルは、例えば高速液体クロマトグラフィーにより測定され得る。
【0095】
本発明核酸分子は、ベクターへ挿入され、遺伝子治療ベクターとして使用され得る。遺伝子治療ベクターは、例えば静脈内注射、局所投与(米国特許5328470参照)または定位注射(例えば Chenら(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA91:3054−3057参照)により対象へデリバリーされ得る。遺伝子治療ベクターの医薬製剤は、許容し得る希釈液中に遺伝子治療ベクターを含み得るか、または遺伝子デリバリービークルが埋封された遅速放出マトリックスを含み得る。別法として、完全な遺伝子デリバリーベクターが組換え細胞から無傷で製造され得る場合(例、レトロウイルスベクター)、医薬製剤は遺伝子デリバリー系を生産する1個またはそれ以上の細胞を含み得る。
医薬組成物は容器、投与に関する使用説明書と一緒にパックまたはディスペンサー中に封入され得る。
【0096】
VI.本発明の使用および方法
ここに記載されている核酸分子、ポリペプチド、蛋白相同体および抗体は、下記方法の一つまたはそれ以上において使用され得る:a)例えば免疫応答のアップまたはダウンモジュレーションによる処置方法、b)スクリーニングアッセイ、c)予測的医学(例、診断的アッセイ、予知検査、モニター的臨床試験、および薬理遺伝学)。単離された本発明核酸分子は、下記で詳述されている通り、例えば、GL50ポリペプチドを発現させ(例えば、遺伝子治療適用での宿主細胞における組換え発現ベクターによる)、GL50 mRNA(例、生物学的サンプル中)またはGL50遺伝子における遺伝的改変を検出し、そしてGL50活性をモジュレーションするのに使用され得る。GL50ポリペプチドは、GL50阻害剤の不十分または過剰な生産を特徴とする疾患の処置に使用され得る。さらに、GL50ポリペプチドは、天然に存するGL50リガンドに関するスクリーニング、GL50活性をモジュレーションする薬剤または化合物に関するスクリーニング、およびGL50ポリペプチドの不十分または過剰な生産またはGL50野生型ポリペプチドと比べて低下または異常活性を有するGL50ポリペプチド形態の生産を特徴とする疾患の処置に使用され得る。さらに、本発明の抗GL50抗体は、GL50ポリペプチドの検出および単離、GL50ポリペプチドの生物学的利用能の調節、ならびにGL50活性のモジュレーション、例えば、免疫応答のモジュレーションに使用され得る。
【0097】
A.処置方法
本発明は、異常なB7−4またはPD−1発現または活性に伴う疾患の危険がある(または感受性がある)かまたは罹患している対象の予防的および治療的処置方法を提供する。
【0098】
1.予防方法
1の態様において、本発明は、GL50ポリペプチドあるいはGL50ポリペプチド発現または少なくとも1つのGL50活性をモジュレーションする薬剤を対象に投与することによる、対象において異常なGL50発現または活性に伴う疾患または病状を防ぐ方法を提供する。異常なGL50発現または活性により誘発されるかまたはそれに起因する疾患の危険がある対象は、例えばここに記載されている診断または予知検査法のいずれかまたは組み合わせにより確認され得る。予防薬の投与は、疾患または障害を阻止するかまたは他の場合その進行を遅らせるように、GL50の異常を特徴とする徴候が現れる前に行われ得る。GL50の異常または症状のタイプにより、例えば、GL50ポリペプチド、GL50アゴニストまたはGL50アンタゴニスト薬剤が対象を処置するために使用され得る。適当な薬剤は、臨床的徴候に基いて決定され得、例えばここに記載されているスクリーニングアッセイを用いて確認され得る。
【0099】
2.治療方法
本発明のもう1つの態様は、治療目的でGL50の発現または活性をモジュレーションする方法に関する。したがって、典型的な具体例において、本発明のモジュレーション方法は、GL50ポリペプチドまたは細胞に結合したGL50ポリペプチドの1またはそれ以上の活性をモジュレーションする作用剤と細胞とを接触させることを含む。GL50ポリペプチド活性をモジュレーションする作用剤は本明細書に記載の作用剤、例えば、核酸またはポリペプチド、GL50ポリペプチドの天然に存する標的分子(例えば、GL50リガンド)、GL50抗体、GL50アゴニストまたはアンタゴニスト、GL50アゴニストまたはアンタゴニストのペプチドミネティクス、あるいは他の小型分子でありうる。1の具体例において、作用剤は1またはそれ以上のGL50活性を刺激する。かかる刺激性の作用剤の例は、GL50と刺激性受容体との相互作用を刺激する作用剤、あるいはGL50と阻害性受容体との相互作用を阻害する作用剤等が挙げられ、例えば、GL50ポリペプチド、ある種の可溶性形態のGL50分子、および細胞中に導入されたGL50ポリペプチドをコードする核酸分子である。もう1つの具体例において、作用剤は1またはそれ以上のGL50活性を阻害する。かかる阻害性作用剤の例は、GL50と共刺激受容体との相互作用を減じる作用剤、あるいはGL50と阻害性受容体との相互作用を促進する作用剤等が挙げられ、例えば、アンチセンスGL50核酸分子、抗GL50抗体、およびGL50阻害剤である。これらのモジュレーション方法をインビトロにおいて(例えば、細胞を作用剤とともに培養することにより)、あるいはインビボにおいて(例えば、作用剤を対象に投与することにより)行うことができる。そのようなものとして、本発明は、GL50ポリペプチドのモジュレーションにより利益を受けるであろう疾病または疾患、例えば、免疫応答のアップモジュレーションまたはダウンモジュレーションから利益を受けるであろう疾病、あるいはGL50ポリペプチドまたは核酸の異常な発現または活性により特徴づけられる疾病にかかっている個体の治療方法を提供する。1の具体例において、該方法は、GL50発現または活性をモジュレーション(例えば、アップレギュレーションまたはダウンレギュレーション)する作用剤(例えば、本明細書記載のスクリーニングアッセイにより同定される作用剤)または作用剤の組み合わせを投与することを含む。もう1つの具体例において、該方法は、治療薬としてのGL50ポリペプチドまたは核酸を投与して、低下したあるいは異常なGL50発現または活性を補償することを含む。
GL50が異常にダウンレギュレーションされている状況および/またはGL50活性の増大が有益な効果を奏する可能性のある状況においてはGL50活性の刺激が望ましい。同様に、GL50が異常にアップレギュレーションされている状況および/またはGL50活性の低下が有益な効果を奏する可能性のある状況においてはGL50活性の阻害が望ましい。
【0100】
3.免疫応答のダウンレギュレーション
GL50ポリペプチドの機能をダウンレギュレーションし、そのことにより免疫応答をダウンレギュレーションすることが、多くの方法において可能である。ダウンレギュレーションはすでの進行中の免疫応答を阻害またはブロックする形態であってもよく、あるいは免疫応答の誘導を防止することを含むものであってもよい。T細胞応答を抑制することにより、あるいはT細胞において特異的な寛容を誘導することにより、あるいは免疫応答を弱めるサイトカインの産生を誘導することにより、活性化されたT細胞の機能を阻害することができる。一般的には、T細胞応答の免疫抑制は活発で非抗原特異的なプロセスであり、T細胞応答性の低下を導くものであるが、T細胞の抑制剤への連続的な曝露が必要である。寛容とはT細胞の無応答性またはアネルギーを包含するものであり、一般的には抗原特異的あり、寛容化剤の投与を止めた後も持続的であるという点で、免疫抑制とは区別できる。機能的には、寛容は、寛容化剤不存在下で特異的抗原にT細胞が再曝露されてもT細胞がそれに応答しないことにより示される。
例えば、GL50ポリペプチド(非活性化形態のGL50ポリペプチドを包含)または一次活性化シグナルを受け取ったT細胞に共刺激シグナルを送達しないようにする抗GL50抗体を用いて、GL50とT細胞上のそのリガンドとの相互作用をブロックし、そのことにより対象において免疫抑制を引き起こし、そして/あるいは寛容を誘導する特異的手段を提供することができる。かかる遮断性または阻害性形態のGL50ポリペプチドおよび融合蛋白およびブロッキング抗体は、本明細書に記載され当該分野で知られたインビトロ共刺激アッセイに添加された場合にT細胞増殖および/またはサイトカイン産生を阻害する能力により同定されうる。阻害性形態nGL50ポリペプチドとは対照的に、活性化形態(インタクトな細胞表面上のGL50ポリペプチドおよびある種の可溶性形態のGL50のごとき)は、好ましくは、共刺激シグナルをT細胞に伝達して、共刺激シグナルを受け取っていない活性化T細胞と比較して増大したサイトカイン(例えば、IL−10)分泌を生じさせるものである。
1の具体例において、GL50第1ペプチドが別のBリンパ球抗原(例、B7−1またはB7−2)の活性を有する第2ペプチドに融合されて成る融合蛋白を用いることにより、T細胞により媒介される免疫応答がモジュレーションされうる。別法として、Bリンパ球抗原の活性を有する2種の別々のペプチド(例えば、GL50ポリペプチドとB7−2および/またはB7−1ポリペプチド)、または阻止抗体の組み合わせ(例、GL50ポリペプチドに対する抗体と抗B7−2および/またはB7−1モノクローナル抗体)を、単一組成物として合わせるかまたは別々に投与(同時または連続して)することにより、対象においてT細胞により媒介される免疫応答がアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションされ得る。さらに、GL50ポリペプチド活性、B7−1および/またはB7−2活性を有する治療上有効量の1つまたはそれ以上のペプチドを他の免疫モジュレーション剤と一緒に用いて免疫応答に影響を及ぼすことができる。他の免疫モジュレーション剤の例は阻止抗体(例えば、CD28、CTLA4、および/またはICOSに対するもの、あるいは他のT細胞マーカーに対するもの、あるいはサイトカインに対するもの)、融合蛋白(例えば、CTLA4Ig)、または免疫抑制剤(例えば、ラパマイシン、シクロスポリンAまたはFK506)を包含する。
本発明の核酸分子から得られるペプチドは、T細胞の破壊によりT細胞機能をブロックする治療薬の構築に有用である。例えば、説明するように、T細胞上のリガンドに結合する可溶性、分泌形態のGL50ポリペプチドまたは抗体を用いることができる。標準的な遺伝子操作法によりかかる分泌形態を構築することができる。可溶性形態のGL50ポリペプチドまたは抗体をリシンのごとき毒素に連結することにより、T細胞活性化を防止できる作用剤を作成することができる。1またはそれ以上の免疫毒素の組み合わせ(例えば、B7−2−リシンおよび/またはB7−1−リシンとGL50−リシンとの組み合わせ)を患者に輸液して、T細胞、特に多量のCD28、CTLA4、および/またはICOSまたはGL50を発現する活性化T細胞の死滅を引き起こすことができる。
GL50ポリペプチドの機能を防止するもう1つの方法はアンチセンスまたは三重鎖オリゴヌクレオチドの使用によるものである。例えば、GL50ポリペプチド翻訳開始部位周辺領域に相補的なオリゴヌクレオチドを合成することができる。典型的には200μg/mlの1またはそれ以上のアンチセンスオリゴヌクレオチドを細胞培地に添加することができ、あるいは患者に投与してGL50ポリペプチドの合成を防止することができる。アンチセンスオリゴヌクレオチドは細胞により摂取され、GL50 mRNAとハイブリダイゼーションして翻訳を妨害する。別法として、二本鎖DNAに結合して三重鎖構築物を形成し、DNAをほどけないようにし、転写を妨げるオリゴヌクレオチドを用いることもできる。いずれの場合にも、結果としてGL50ポリペプチドの合成がブロックされる。
GL50ポリペプチド機能、例えば、活性化T細胞による高レベルのリンホカイン合成の防止は、例えば組織、皮膚および臓器移植の状況、移植片対宿主病(GVHD)において有用であろう。例えば、T細胞機能のブロックは組織移植における組織破壊を減少させるはずである。典型的には、組織移植において、免疫細胞が異物として認識後、移植体を破壊する免疫反応により移植拒絶が開始される。B7リンパ球抗原と免疫細胞上のその本来のリガンドとの相互作用を阻害またはブロックする分子(例えば、可溶性、モノマー形態のGL50ポリペプチド単独、あるいはモノマー形態の異なるB7ペプチド(例、B7−1、B7−2)または阻止抗体との混合)の移植前の投与は、対応する共刺激シグナルの伝達なしに、その分子と免疫細胞上の本来のリガンドとの結合を誘導する。この様式でのBリンパ球抗原機能のブロックは、T細胞のごとき免疫細胞によるサイトカイン合成を防止し、かくして、免疫抑制剤として作用する。さらに、共刺激の欠如はT細胞をアネルギー化させるに十分でもあり、そのことにより対象に寛容が誘導される。Bリンパ球抗原ブロック剤により長期の寛容の誘導により、これらのブロッキング剤の繰り返し投与を回避することができる。対象において十分な免疫抑制または寛容を達成するためには、Bリンパ球抗原の組み合わせの機能をブロックすることも必要であるかもしれない。例えば、移植前に、これらの各抗原の活性を有する可溶性形態のペプチドの組み合わせまたはこれらの抗原に対するブロッキング抗体を投与(別々に、あるいは1の組成物中に一緒にして)することにより、B7−1とGL50、B7−2とGL50、あるいはB7−1とB7−2とGL50ポリペプチドの機能をブロックすることが望ましいかもしれない。別法として、他のT細胞マーカーに対するブロッキング抗体またはサイトカインに対するブロッキング抗体、他の融合蛋白、例えば、CTLA4Ig、あるいは免疫抑制剤のごとき他の抑制剤とともに阻害性形態のGL50ポリペプチドを用いることもできる。
器官移植拒絶反応またはGVHDを防止することにおける特定のブロッキング剤の有効性を、動物モデルを用いて評価することができ、それらはヒトにおける有効性を予測するものである。B7ポリペプチドは種間でアミノ酸保存性を示すので、他のGL50抗原は種間で機能発揮でき、そのことによりヒト蛋白から恒星される剤を動物系において使用することができる。使用できる適当な系の例は、ラットにおける同種心臓移植片およびマウスにおける異種膵臓島細胞移植片を包含し、いずれも、Lenschow et al., Science, 257: 789-792 (1992)およびTurka et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:11102-11105 (1992)に記載されたように、インビボにおけるCTLA4Ig融合蛋白の免疫抑制効果を試験するために使用されている。さらに、GVHDのネズミモデル(Paul ed., Fundemental Immunology, Raven Press, New York, 1989, pp. 846-847参照)を用いて、インビボにおいて疾病の発症に対するGL50ポリペプチドのブロッキング機能の効果を調べることができる。
例えば、GL50ポリペプチド活性を有するペプチド単独、あるいはB7−1活性を有するペプチドおよび/またはB7−2活性を有するペプチドとの組み合わせを用いてGL50ポリペプチド機能をブロックすることも、自己免疫疾患の治療に有用でありうる。多くの自己免疫疾患は、自己組織に対し反応性を示し、疾患の病状に関与するサイトカインおよび自己抗体の生産を促す免疫細胞の不適当な活性化の結果である。自己反応性免疫細胞の活性化を阻止することにより、病気の徴候が低減化または排除され得る。共刺激性受容体とB7分子の受容体:リガンド相互作用を破壊することによる免疫細胞の共刺激性を遮断する試薬を投与することは、免疫細胞活性化を阻止し、病気のプロセスに関与し得る自己抗体またはサイトカインの生産を阻止するのに有用である。さらに、ブロッキング剤は、病気の長期にわたる緩和を導くことのできる自己反応性T細胞の抗原特異的寛容を誘導しうる。自己免疫疾患の防止または軽減におけるブロッキング剤の効力は、ヒト自己免疫疾患の充分に特性確認された動物モデルを用いて測定され得る。例としては、ネズミの実験的自己免疫脳炎、MRL/lpr/lprマウスまたはNZBハイブリッドマウスにおける全身性エリテマトーデス、ネズミの自己免疫コラーゲン関節炎、NODマウスおよびBBラットにおける真性糖尿病、およびネズミの実験的筋無力症がある(Paul編、Fundamental Immunology,ラベン・プレス、ニューヨーク、1989、840−856頁参照)。
アトピー性アレルギーにおけるIgE抗体応答は非常にT細胞依存性であり、かくして、Bリンパ球抗原により誘導されるT細胞活性化の阻害はアレルギーおよびアレルギー反応の処置において治療上有用でありうる。阻害形態のGL50ポリペプチド、例えば、GL50活性を有するペプチドのみ、あるいはB7−1またはB7−2のごとき別のBリンパ球抗原との組み合わせをアレルギー対象に投与して、対象中のT細胞により媒介されるアレルギー性応答を阻害することができる。適当なMHC分子と抱合したアレルゲンに曝露することにより、T細胞のGL50共刺激の阻害を行うことができる。アレルゲンの侵入経路および肥満細胞または好塩基球上のIgEの着生パターンにより、アレルギー反応は本来的に全身的であっても、局所的であってもよい。かくして、阻害形態のGL50ポリペプチドを適切に投与することにより、T細胞により媒介されるアレルギー応答を局所的または全身的に阻害することが必要となりうる。
GL50抗原機能のブロックによるT細胞活性化の阻害はまた、免疫細胞のウイルス感染症において治療上重要であり得る。例えば、後天性免疫不全症候群(AIDS)の場合、免疫細胞活性化によりウイルス複製が刺激される。GL50機能のブロックにより、ウイルス複製が低レベルとなり、それによって、AIDSの経過が改善され得る。さらに、Bリンパ球抗原の組み合わせ、すなわち、GL50とB7−2および/またはB7−1の機能をブロックすることも望ましいかもしれない。
本発明の1の具体例において、GL50ファミリーのメンバーは、T細胞によるIL−10分泌を優先的に誘導する(Hutloff et al. (1990) Nature 397:263)。IL−10はTh2タイプの応答の発生を促進する一方で、例えば、マクロファージ活性化を減じることにより、ある種のサイトカインの産生のダウンモジュレーション、および細胞により媒介される免疫のダウンモジュレーションを導く(Bai et al. (1997) Clin. Immunol. Immunopathol. 83:117; Koch et al. (1996) J. Exp. Med. 184:741; de Vries (1995) Ann. Med. 27:537)。したがって、本発明の1の具体例において、GL50ファミリーのメンバーの活性を増大させることにより、細胞により媒介される免疫応答のダウンモジュレーションを誘導することができる。かくして、本発明の1の具体例において、GL50活性を増大させることにより、細胞により媒介される免疫応答が減じられる。
【0101】
4.免疫応答のアップレギュレーション
例えば、GL50の刺激活性を促進することによる免疫応答のアップレギュレーションもまた治療において有用でありうる。免疫応答のアップレギュレーションは、存在する免疫応答を高めるかまたは初回免疫応答を誘導する形態であり得る。例えば、GL50活性を刺激することによる免疫応答の増大はウイルス感染のケースにおいて有用でありうる。ウイルス感染は主に細胞毒性T細胞により排除される。本発明によれば、T細胞上のその本来のリガンドと相互作用するGL50ポリペプチドは、少なくともいくつかのT細胞の細胞毒性活性を増大させうえう。活性化形態のGL50単独のほかに、活性化形態の別のB7ファミリーのポリペプチドと組み合わせて、共刺激経路によりT細胞活性を刺激することにより、ウイルスのより迅速な排除または完全な排除が有益であろう状況において治療上有用となるであろう。これらの状況は、ウイルス性皮膚疾患、例えばヘルペスまたは帯状疱疹を包含し、それえらの場合において、1価または多価の可溶性GL50ポリペプチドまたはかかるペプチドとB7−1活性を有するペプチドおよび/またはB7−2活性を有するペプチドとの組み合わせを局所的に皮膚にデリバリーする。さらに、インフルエンザ、通常のカゼ、および脳炎のごtき全身性ウイルス疾患を、刺激性形態のGL50を全身投与することにより軽減することができる。
別法として、T細胞を患者から取り、インビトロにおいてT細胞をウイルス抗原を付加したAPCあるいはGL50ペプチド発現APC(単独で、あるいはB7−1活性を有するペプチドおよび/またはB7−2活性を有するペプチドとともに)で、あるいはこれと刺激性形態の可溶性GL50ペプチド(単独で、あるいはB7−1活性を有するペプチドおよび/またはB7−2活性を有するペプチドとともに)と一緒にしてT細胞を共刺激し、次いで、インビトロで活性化されたT細胞を患者に再導入することにより、感染した患者において抗ウイルス免疫応答を増強してもよい。抗ウイルス応答を増強させるもう1つの方法は、患者から感染細胞を単離し、本明細書記載のBリンパ球抗原の活性を有するペプチドをコードする核酸分子で感染細胞をトランスフェクションして、細胞がその表面上にGL50分子の全体または一部を発現するようにし、そしてトランスフェクション細胞を患者に再導入することである。感染細胞は共刺激シグナルをT細胞にデリバリーでき、そのことによりT細胞をインビボにおいて活性化させる。
種々の病原体に対するワクチン中に刺激性形態のGL50分子を予防的に使用してもよい。病原体、例えばウイルスに対する免疫性は、適当なアジュバント中の刺激性形態のGL50とともにウイルス蛋白を接種することにより誘導されうる。別法として、病原性抗原およびGL50抗原活性を有するペプチドの両方の遺伝子をコードする発現ベクター、例えば、ウイルス蛋白をコードする核酸分子および本明細書記載のGL50ポリペプチドをコードする核酸分子を発現するように加工されたワクシニアウイルス発現ベクターを接種に使用することができる。種々の手段により、例えば、注射(例えば筋肉内、皮内、または粒子加速物質または圧縮気体を用いて粒子を皮膚へ注入させる遺伝子銃による表皮へのDNA被覆金粒子のバイオリスティック注射(Haynesら、1996、J.Biotechnol.44:37))によりDNAワクチンを投与することができる。別法として、非侵襲的手段によりDNAワクチンを投与することもできる。例えば、純粋または脂質製剤化DNAは、呼吸器系または標的とされる他の場所へデリバリーされ得、例えばDNAの経口デリバリーによるパイエル板がある(Schubbert.1997、Proc.Natl.Acad.Sci.USA94:961)。弱毒化微生物は、粘膜表面へのデリバリーに使用され得る(Sizemoreら、1995、Science、270:29)。1の具体例において、刺激性形態のGL50分子と同時に抗原を投与する。
別の適用例において、GL50機能のアップレギュレーションまたは促進は腫瘍免疫の誘導に有用である。1の具体例において、GL50分子を細胞に結合させる。少なくとも1種のGL50抗原をコードする核酸分子でトランスフェクションされた腫瘍細胞(例、肉腫、黒色腫、リンパ腫、白血病、神経細胞芽細胞腫、癌腫)を対象に投与することにより、対象における腫瘍特異的寛容が克服され得る。所望ならば、腫瘍細胞は、B7ポリペプチド(例、B7−1、B7−2、GL50)の組み合わせを発現するようにトランスフェクションされ得る。例えば、患者から得られた腫瘍細胞は、GL50ポリペプチド単独またはB7−1活性および/またはB7−2活性を有するペプチドとの組み合わせの発現を指令する発現ベクターによりエクスビボでトランスフェクションされ得る。トランスフェクションされた腫瘍細胞を患者に戻すことにより、トランスフェクションされた細胞の表面でペプチド発現が誘発される。別法として、遺伝子療法技術は、インビボトランスフェクション用腫瘍細胞の標的化に使用され得る。
腫瘍細胞表面上のGL50分子の活性を有するペプチドの存在は、T細胞に必要な共刺激シグナルを提供して、トランスフェクションされた腫瘍細胞に対するT細胞により媒介される免疫応答を誘導する。さらに、MHCクラスIまたはMHCクラスII分子を欠くか、または充分な量のMHCクラスIまたはMHCクラスII分子を発現し得ない腫瘍細胞は、MHCクラスIα鎖蛋白およびβミクログロブリン蛋白またはMHCクラスIIα鎖蛋白およびMHCクラスIIβ鎖蛋白の全部または一部(例、細胞質−ドメイン先端切除部分)をコードする核酸でトランスフェクションされることにより、細胞表面でMHCクラスIまたはMHCクラスII蛋白を発現し得る。Bリンパ球抗原(例、B7−1、B7−2、GL50)の活性を有するペプチドと共に適当なクラスIまたはクラスII MHCを発現させると、トランスフェクション腫瘍細胞に対してT細胞仲介免疫応答が誘導される。所望により、MHCクラスII関連蛋白、例えばインバリアント(invariant)鎖の発現を遮断するアンチセンス構築物をコードする遺伝子はまた、GL50ポリペプチドをコードするDNAと共トランスフェクションされることにより、腫瘍関連抗原の提示を促進し、腫瘍特異的免疫性を誘導し得る。B7陰性ネズミ腫瘍細胞によるB7−1の発現は、腫瘍拒絶および長期間防御を伴うT細胞により媒介される特異的免疫を誘導することにより、マウスにおける腫瘍攻撃を行うことが示された(Chen,L.ら(1992)Cell71、1093−1102、Townsend,S.E.および Allison,J.P.(1993)Science259、368−370、Baskar,S.ら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.90、5687−5690)。かくして、ヒト対象における免疫細胞により媒介される免疫応答の誘導は、対象において腫瘍特異的寛容を克服するのに充分であり得る。
もう1つの具体例において、当該分野において知られている方法を用いて、活性化形態の1またはそれ以上のGL50ペプチド(例えば、細胞表面上に発現される)を、腫瘍を有する患者に投与してT細胞への共刺激シグナルを提供し、抗腫瘍免疫を誘導することができる。
特別な具体例において、免疫細胞を対象から入手し、エクスビボで培養してT細胞集団を増大させる。さらなる態様において、その後、免疫細胞を対象に投与する。例えば、当該分野において知られているように、T細胞に一次活性化シグナルおよび共刺激シグナルを提供することにより、T細胞をインビトロで刺激して増殖させることができる。また、様々な形態のGL50ポリペプチドを用いてT細胞の増殖を共刺激することもできる。1の具体例において、PCT出願第WO94/29436号記載の方法に従い免疫細胞をエクスビボで培養する。共刺激分子は、可溶性であり得、細胞膜に結合されるかまたは固体表面、例えばビーズに結合され得る。
【0102】
B.GL50により媒介される共刺激により誘導されるサイトカインの同定
ここに記載されているGL50分子を用いて、GL50ポリペプチドによる刺激に応答してT細胞により産生されるサイトカインを同定することができる。T細胞は1次活性化シグナルで最適以下にインビトロ刺激され得、例えば、T細胞は、ホルボールエステル、抗CD3抗体または好ましくはMHCクラスII分子を随伴した抗原で刺激されることができ、刺激性形態のGL50抗原により共刺激シグナルを与えられることができ、例えばGL50ポリペプチドをコードしその表面でペプチドを発現させる核酸でトランスフェクションされた細胞により、またはペプチドの可溶性刺激性形態により、共刺激シグナルを与えられることができる。培地へ放出された既知サイトカインは、ELISAによって、あるいはサイトカインを遮断してサイトカインにより誘導されるT細胞増殖または他の細胞タイプの増殖を阻止する抗体の能力によって同定され得る。IL−4 ELISAキットはIL−7阻止抗体の場合と同様ジェンザイム(ケンブリッジ、マサチューセッツ)から入手できる。IL−9およびIL−12に対する阻止抗体は、ジェネティクス・インスティテュート(ケンブリッジ、マサチューセッツ)から入手できる。
上記のインビトロT細胞共刺激性アッセイは、共刺激によりモジュレーションされ得る新規サイトカイン同定方法においても使用され得る。例えば、CD28/CTLA4経路の刺激がIL−2分泌を促進すると思われる場合、ICOS経路の刺激はIL−10分泌を促進すると思われる(Hutloffら、199、Nature 397:263)。共刺激時、例えば免疫細胞増殖時に誘導された特定活性が既知サイトカインに対する阻止抗体の付加により阻止され得ない場合、この活性は未知サイトカインの作用から生じ得る。共刺激後、このサイトカインは慣用的方法により培地から精製され、その活性はT細胞増殖誘導能力により測定され得る。
寛容の誘導においてある一定の役割を演じ得るサイトカインを同定するため、上記のインビトロT細胞共刺激性アッセイが使用され得る。この場合、T細胞は、1次活性化シグナルを与えられ、選択されたサイトカインと接触させられるが、共刺激性シグナルは与えられない。免疫細胞を洗浄し、休止させた後、細胞を1次活性化シグナルおよび共刺激性シグナルの両方により再攻撃する。免疫細胞が応答(例、サイトカインを増殖または生産)しない場合、それらは寛容にされており、サイトカインは寛容の誘導を阻止していない。しかしながら、免疫細胞が応答する場合、寛容の誘導はサイトカインにより阻止されている。寛容の誘導を阻止し得るそれらのサイトカイン類は、移植レシピエントまたは自己免疫疾患対象において寛容を誘導するより有効な手段としてBリンパ球抗原を遮断する試薬と共にインビボ遮断に関して標的化され得る。例えば、サイトカイン阻止抗体とともにGL50阻止薬剤を投与することができる。
【0103】
C.共刺激に影響する分子の同定
本発明の新規Bリンパ球抗原の活性を有するペプチドのもう1つの適用例は、共刺激リガンド結合および/または共刺激後のT細胞を介する細胞内シグナリングのモジュレーターである未同定分子を発見するためのスクリーニングアッセイにおいてこれらのペプチドの1種またはそれ以上を使用することである。例えば、GL50分子の活性を有するペプチドを用いる固相結合アッセイを用いて、GL50が結合する分子および/または抗原と適当なT細胞リガンド(例えば、CD28、CTLA4またはICOS)との結合を阻害する分子を同定することができる。さらに、上記のインビトロT細胞共刺激アッセイを用いて、T細胞増殖および/またはサイトカイン産生を阻害するこれらの分子の能力を調べることにより、共刺激後にT細胞を介する細胞内シグナリングを妨害する分子(しかし、GL50分子のそのリガンドへの結合を妨害しない)を同定することができる。例えば、化合物シクロスポリンAおよびラパマイシンはT細胞受容体経路を介する刺激によるT細胞活性化を阻害するが、CD28/CTLA4経路を介する刺激によるT細胞活性化を阻害しない。それゆえ、異なった細胞内シグナリング経路が共刺激に関与している。CD28/CTLA4および/またはICOS経路を介する細胞内シグナリングを妨害する分子は、シクロスポリンAまたはラパマイシンのごときさらなる免疫抑制剤の使用とともに、あるいはその使用をしなくても、免疫抑制剤として有効でありうる。
【0104】
D.GL50ポリペプチドの発現をモジュレーションする分子の同定
本発明の蛋白およびペプチドを用いて生産される抗体は、細胞上のGL50ポリペプチド発現をモジュレーションする分子に関するスクリーニングアッセイで使用され得る。例えば、GL50ポリペプチド発現の変化(例、活性化シグナルに応答して)において最高点を極める細胞内シグナル伝達経路をモジュレーションする分子は、細胞表面における1またはそれ以上のGL50ポリペプチドの発現をアッセイすることにより同定され得る。分子の存在下における抗GL50抗体による免疫蛍光染色の低減化は、分子が細胞内シグナリングを阻止することを示す。GL50ポリペプチド発現をアップレギュレーションする分子により、免疫蛍光染色が促進される。別法として、ポリペプチド発現に対する分子の作用は、本発明プローブを用いて細胞のGL50 mRNAレベルを検出することにより測定され得る。例えば、GL50ポリペプチドを発現する細胞を、試験される分子と接触させると、細胞におけるmRNAレベルの増加または減少が、標準的技術、例えばノーザン・ハイブリダイゼーション分析または検出可能マーカーで標識されたcDNAプローブを用いるmRNAまたは総ポリ(A)RNAの慣用的ドットブロットにより検出され得る。GL50ポリペプチドの発現をモジュレートする分子は、免疫応答を単独または上記の可溶性の阻止性または刺激性試薬と共にアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションするのに治療上有用である。例えば、GL50の発現を阻害する分子は免疫抑制を目的としてGL50阻止剤と一緒に投与され得る。上記アッセイにおいて試験され得る分子の例としては、例えば、IL−4、γINF、IL−10、IL−12、GM−CSFおよびプロスタグランジンのごときサイトカイン類がある。
【0105】
【0106】
E.スクリーニングアッセイ
本発明により、GL50ポリペプチドまたはその部分に結合するモジュレーターであって、例えばGL50の発現またはGL50の活性に刺激または阻害作用を有するモジュレーター、すなわち候補もしくは試験化合物または薬剤(例えば、ペプチド、ペプチドミメティクス、小型分子または他の薬物)を同定するための方法が提供される。
1の具体例では、本発明により、GL50ポリペプチドもしくはポリペプチドまたはその生物活性部分に結合する、またはその活性を調節する候補もしくは試験化合物、例えばGL50ポリペプチドが結合パートナー(例えば同種リガンドまたは細胞内相互作用物質)と相互作用する能力を調節する候補もしくは試験化合物をスクリーニングするためのアッセイが提供される。例えば、1の具体例では、GL50の細胞外ドメインの部分を用いることができる。他の具体例では、GL50分子の細胞質ドメインの部分を用いることができる。他の具体例では、GL50分子の膜貫通ドメインの部分を用いることができる。
【0107】
1の具体例では、GL50ドメインを含んでいるポリペプチドの変種型をスクリーニングアッセイに用いることができる。例えば、(例えば、例えばランダムまたはカセット変異形成を用いて変異形成された)アミノ酸の変更を含むGL50ドメインを、目的のスクリーニングアッセイに用いることができる。別に、GL50細胞内ドメインのスプライシング変種(例えば、GL50-1細胞内ドメイン、GL50-2細胞質ドメインまたは、染色体21の配列決定で同定される、もしくはRACE・PCRにより同定される追加エキソン)を用いて化合物をスクリーニングすることができる。そのようなGL50変種を用いて、一定範囲のGL50分子に対して活性を有する化合物を同定することができ、およびGL50の活性に不可欠なアミノ酸残基を同定することができる。
【0108】
本発明の試験化合物は、生物学的ライブラリー;空間的にアドレス可能な平行(spatially addressable parallel)固相または液相ライブラリー;デコンボリューションを要する合成ライブラリー法;「1-ビーズ1-化合物」ライブラリー法;およびアフィニティクロマトグラフィー選抜を用いる合成ライブラリー法を含む、当該分野で公知のコンビナトリアルライブラリー法における多くの方法のいずれかを用いて得ることができる。生物学的ライブラリー法はペプチドのライブラリーに限定されるが、他の4つの方法は、ペプチド、非ペプチドオリゴマーまたは化合物の小型分子ライブラリーに適用することができる(Lam, K. S. (1997) Anticancer Drug Des. 12:145)。
【0109】
分子ライブラリーの合成に関する方法の例は、当該分野において、例えばDeWitt et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6909; Erb et al. (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:11422; Zuckermann et al. (1994) J. Med. Chem. 37:2678; Cho et al. (1993) Science 261:1303; Carrell et al. (1994) Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33:2059; Carell et al. (1994) Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33:2061; and in Gallop et al. (1994) J. Med. Chem. 37:1233において見出すことができる。
【0110】
化合物のライブラリーは、溶液中(例えば、Houghten (1992) Biotechniques 13:412-421)またはビーズ(Lam (1991) Nature 354:82-84)、チップ(Fodor (1993) Nature 364:555-556)、細菌(Ladner USP 5,223,409)、胞子(Ladner USP '409)、プラスミド(Cull et al. (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:1865-1869)またはファージ上に(Scott and Smith (1990) Science 249:386-390)提供され得る(Cwirla et al. (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. 87:6378-6382); (Felici (1991) J. Mol. Biol. 222:301-310); (Ladner 既出)。
【0111】
他の具体例では、アッセイは、GL50標的分子(例えば、ICOSなどのGL50リガンドまたは細胞内相互作用分子)を発現している細胞を試験化合物と接触させること、および試験化合物がGL50標的分子の活性を調節する(例えば、刺激または阻害する)能力を測定することを含む、細胞に基づくアッセイである。1の具体例では、GL50標的分子は例えば2または3のハイブリッドアッセイで同定される。他の具体例では、GL50相互作用分子はGL50を隣接分子に架橋結合させた後、抗GL50抗体を用いて免疫沈降させる標準的な方法を用いて同定される。
【0112】
1の具体例では、ヒドロパシープロットにより限定される膜貫通および/または細胞内領域の部分、またはエキソン構造により限定されるドメインを2-ハイブリッドアッセイでエサ(bait)として用いて、これらのドメインに対する結合パートナーを決定することができる。相互作用している蛋白をアッセイに用いて、可能ならば産生または質的対照アッセイとして、相互作用パートナーへのGL50の結合程度を定量することができる。他の具体例では、細胞質ドメインスプライス変種を異なる2-ハイブリッドアッセイに用いて、いずれかのGL50スプライス変種に結合するあらゆる範囲の蛋白相互作用物質を収集することができる。
【0113】
GL50標的分子の活性を調節する試験化合物の能力を決定することは、例えばGL50ポリペプチドがGL50標的分子またはそのリガンドに結合、もしくはそれらと相互作用する能力を測定することにより達成することができる。GL50ポリペプチドがGL50分子のリガンドに結合する、またはそれらと相互作用する能力を測定することは、例えば直接結合により達成することができる。
直接結合アッセイにて、GL50ポリペプチドをラジオアイソトープまたは酵素ラベルと結合させ、GL50標的分子に対するGL50ポリペプチドの結合を、複合体中の標識GL50ポリペプチドを検出することにより測定することができる。例えば、GL50分子、例えばGL50ポリペプチドは、125I、35S、14CまたはHで、直接的または間接的に標識することができ、そしてラジオアイソトープは放射崩壊直接測定またはシンチレーション測定により検出することができる。別に、GL50分子は、例えばセイヨウワサビペロキシダーゼ、アルカリホスファターゼまたはルシフェラーゼ、および適当な基質の生成物への変換の測定により検出することができる酵素標識で酵素標識することができる。
【0114】
また、GL50とその標的分子の間の相互作用を調節する化合物の能力を、相互作用物質を全く標識せずに決定することも、本発明の範囲内にある。例えば、マイクロフィジオメーターを用いて、GL50も標的分子も標識せずに、GL50とその標的分子との相互作用を検出することができる。McConnell, H. M. et al. (1992) Science 257: 1906-1912。本明細書中に用いる「マイクロフィジオメーター」(例えば、サイトセンサー)は、細胞がその周囲を酸性化する速度を、光-アドレス可能電位差センサー(light-addressable potentiometric sensor)(LAPS)を用いて測定する分析装置である。この酸性化速度の変化を、化合物とレセプターの間の相互作用の指標として用いることができる。
【0115】
好ましい具体例では、GL50ポリペプチドがGL50結合パートナーに結合する、またはそれと相互作用する能力を決定することは、結合パートナーの活性を測定することにより達成することができる。例えば、標的分子の活性(例えば、チロシン残基にてGL50または他の基質をリン酸化する)は、標的の細胞セカンドメッセンジャーの誘導を検出すること、適当な基質における標的の触媒/酵素活性を検出すること、レポーター遺伝子(検出可能なマーカー、例えばクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼをコードしている核酸に作用的に結合する標的-反応調節因子を含む)の誘導を検出すること、あるいは標的-調節細胞反応を検出することにより決定することができる。例えば、GL50ポリペプチドがGL50標的分子に結合する能力、または相互作用する能力を決定することは、例えば、増殖アッセイで化合物がT細胞の共刺激をダウンモジュレートする能力を測定することにより、あるいはGL50ポリペプチドがGL50ポリペプチドの一部を認識する抗体に結合するその能力を妨害することにより達成することができる。
【0116】
さらに別の具体例では、本発明のアッセイは、GL50ポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分を試験化合物と接触させ、そして試験化合物がGL50ポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分に結合する能力を決定する無細胞アッセイである。試験化合物のGL50ポリペプチドへの結合は、前記のように直接または間接的に決定することができる。好ましい具体例では、アッセイは、GL50ポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分を、GL50ポリペプチドと結合してアッセイ混合物を形成する公知化合物と接触させること、アッセイ混合物を試験化合物と接触させること、次いで試験化合物がGL50ポリペプチドと相互作用する能力を決定することを特徴とするが、該アッセイにおいては、試験化合物がGL50ポリペプチドと相互作用する能力を決定することは、公知化合物と比較して試験化合物がGL50ポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分に選択的に結合する能力を決定することを特徴とする。
【0117】
他の具体例では、アッセイは、GL50ポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分を試験化合物と接触させ、そして試験化合物がGLポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分の活性を調節(例えば、刺激または阻害)する能力を決定する無細胞アッセイである。試験化合物がGL50ポリペプチドの活性をモジュレートする能力を決定することは、例えば、GL50ポリペプチドがGL50標的分子またはリガンドに結合する能力を、前記の直接的に結合を決定するための方法の一つにより測定することにより達成することができる。GL50ポリペプチドがGL50標的分子に結合する能力を決定することは、リアルタイム・バイオモレキュラー・インターアクション分析(BIA)などの方法を用いて達成することもできる。Anal. Chem. 63:2338-2345 and Szabo et al. (1995) Curr. Opin. Struct. Biol. 5:699-705。本明細書中に用いる「BIA」は、生物特異的な相互作用をリアルタイムで、相互作用物質(例えばBIAコア)を標識することなく研究するための方法である。表面プラズモン共鳴(SPR)の視覚現象を、生物分子間のリアルタイムの反応の指標として用いることができる。
【0118】
他の具体例では、試験化合物がGL50ポリペプチドの活性を調節する能力を測定することは、GL50ポリペプチドがGL50標的分子(例えばGL50媒介性シグナル伝達経路成分)の活性をさらに調節する能力を測定することにより達成することができる。例えば、適当な標的に対するエフェクター分子の活性、または適当な標的へのエフェクターの結合を、前記のように決定することができる。
さらに別の具体例では、無細胞アッセイは、GL50ポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分を、GL50ポリペプチドと結合してアッセイ混合物を形成する公知化合物と接触させること、アッセイ混合物を試験化合物と接触させること、次いで試験化合物がGL50ポリペプチドと相互作用する能力を決定することを特徴とするが、該アッセイにおいては、試験化合物がGL50ポリペプチドと相互作用する能力を測定することは、GL50ポリペプチドがGL50標的分子に選択的に結合する能力、またはその活性を選択的に調節する能力を決定することを特徴とする。
【0119】
本発明の無細胞アッセイは、蛋白(例えば、GL50ポリペプチドまたは生物学的に活性なその部分、またはGL50が結合するレセプター)の可溶性形態および/または膜結合形態の両方の使用に基づく。膜結合形態の蛋白(例えば、細胞表面GL50レセプター)を用いる無細胞アッセイの場合、膜結合形態の蛋白が溶液中で維持されるように溶解剤を用いることが望ましい。そのような溶解剤の例には、n-オクチルグルコシド、n-ドデシルマルトシド、オクタノイル-N-メチルグルカミド、デカノイル-N-メチルグルカミド、トライトン(登録商標)X-100、トライトン(登録商標)X-114、テシト(登録商標)、イソトリデシポリ(エチレングリコールエーテル)n、3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアミニオ]-1-プロパンスルホネート(CHAPS)、3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアミニオ]-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホネート(DHAPSO)または、N-ドデシル=N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホネートなどの非イオン性界面活性剤が含まれる。
【0120】
本発明の前記アッセイ法の1具体例では、1または両方の蛋白の、複合体を形成していない形態からのその複合体形態の分離を促進するため、ならびにアッセイの自動化を図るために、GL50またはその標的分子いずれかを固定することが望ましい。試験化合物のGL50ポリペプチドに対する結合、または候補化合物の存在下および不在下でのGL50ポリペプチドの標的分子との相互作用は、反応物を入れるのに適したいずれかの容器中で達成することができる。そのような容器の例には、マイクロタイタープレート、試験管、およびマイクロ遠心管が含まれる。1具体例では、1または両方の蛋白がマトリックスに結合するのを可能とするドメインを付加する融合蛋白を提供することができる。例えば、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ/GL50融合蛋白またはグルタチオン-S-トランスフェラーゼ/標的融合蛋白をグルタチオンセファローゼビーズ(Sigma Chemical, St. Louis, MO)またはグルタチオン誘導性マイクロタイタープレートに吸着させ、次いでこれを試験化合物、または試験化合物および非吸着標的蛋白もしくはGL50ポリペプチドのいずれかと結合させ、そして混合物を複合体形成に資する条件下(例えば、塩およびpHの生理的条件)でインキュベートする。インキュベーション後、ビーズまたはマイクロタイタープレートウェルを洗浄して、全ての結合していない成分を除き、ビーズの場合、マトリックスを固定化し、複合体を、例えば前記のように直接的または間接的に決定する。別に、複合体をマトリックスから分離し、GL50結合または活性のレベルを標準的な方法を用いて決定することができる。
【0121】
蛋白をマトリックス上に固定するための他の方法を、本発明のスクリーニングアッセイに用いることもできる。例えば、GL50ポリペプチドまたはGL50標的分子のいずれかを、ビオチンおよびストレプトアビジンの結合を利用して固定化することができる。ビオチン化GL50ポリペプチドまたは標的分子は、当該分野で周知の方法(例えば、ビオチン化キット、Pierce Chemicals, Rockford, IL)を用いてビオチン-NHS(N-ヒドロキシ-スクシンイミド)から調製することができ、ストレプトアビジンでコートされた96ウェルのプレート(Pierce Chemical)に固定することができる。別法として、GL50ポリペプチドまたは標的分子と反応するがGL50ポリペプチドのその標的分子への結合を妨害しない抗体をプレートのウェルに誘導体化して、未結合性標的またはGL50ポリペプチドをウェル中で抗体結合によりトラップすることができる。GST-固定化複合体に関する前記方法に加え、そのような複合体を検出するための方法には、GL50ポリペプチドまたは標的分子と反応する抗体を用いる複合体の免疫検出、ならびにGL50ポリペプチドまたは標的分子に関連する酵素活性を検出することに依存する酵素-結合アッセイが含まれる。
【0122】
他の具体例では、細胞を候補化合物と接触させ、そしてGL50mRNAまたは蛋白の細胞中での発現を決定する方法にて、GL50の発現のモジュレーターを同定する。GL50mRNAまたは蛋白の候補化合物の存在下での発現のレベルを、GL50mRNAまたは蛋白の候補化合物の不在下での発現のレベルと比較する。次いでこの比較に基づき、候補化合物をGL50の発現のモジュレーターとして同定することができる。例えば、GL50mRNAまたは蛋白の発現が、候補化合物の存在下において、その不在下におけるよりも大きい(例えば、統計学的に有意に大きい)場合、候補化合物は、GL50mRNAまたは蛋白の発現の刺激物質と同定される。あるいは、GL50mRNAまたは蛋白の発現が、候補化合物の存在下において、その不在下におけるよりも少ない(例えば、統計学的に有意に少ない)場合、候補化合物はGL50mRNAまたは蛋白の発現の阻害物質と同定される。GL50mRNAまたは蛋白の細胞中での発現のレベルは、本明細書中に開示するGL50mRNAまたは蛋白を検出するための方法により決定することができる。
【0123】
本発明のさらに別の態様では、GL50ポリペプチド、例えば可溶性または膜結合分子またはその部分(例えば、膜貫通または細胞質部分)を、2-ハイブリッドアッセイまたは3-ハイブリッドアッセイにおいて「エサ(bait)蛋白」として用いて(U.S. 特許No. 5,283,317; Zervos et al. (1993) Cell 72:223-232; Madura et al. (1993) J. Biol. Chem. 268:12046-12054; Bartel et al. (1993) Biotechniques 14:920-924; Iwabuchi et al. (1993) Oncogene 8:1693-1696; and Brent WO94/10300を参照されたい)、GL50と結合するまたはそれらと相互作用する他の蛋白(「GL50結合蛋白」または「GL50bp」)、ならびにGL50活性に関与する他の蛋白を同定することができる。そのようなGL50-結合蛋白は、例えば、GL50により媒介される情報伝達経路のダウンストリームエレメントとして、GL50ポリペプチドまたはGL50標的によるシグナルの伝達に関与している可能性もある。あるいは、そのようなGL50-結合蛋白は、GL50阻害物質である可能性がある。
【0124】
2-ハイブリッドシステムは、分離可能なDNA結合および活性化ドメインから成る、ほとんどの転写因子の基本単位性に基づく。簡単には、アッセイは2つの異なるDNA構築物を利用する。一構築物において、GL50ポリペプチドをコードする遺伝子を公知の転写因子(例えば、GAL-4)のDNA結合ドメインをコードしている遺伝子に結合させる。他の構築物において、DNA配列のライブラリー由来の、同定されていない蛋白(「プレイ(prey)」または「サンプル」)をコードするDNA配列を、公知の転写因子の活性化ドメインをコードする遺伝子に結合させる。「バイト(bait)」と「プレイ」蛋白がインビボで相互作用してGL50-依存性複合体を形成することができる場合、転写因子のDNA結合ドメインと活性化ドメインが接近する。この接近により、転写因子に反応する転写調節部位に作動可能な状態で連結されているレポーター遺伝子(例えば、LacZ)の転写が可能となる。レポーター遺伝子の発現は検出することができ、機能的転写因子を含んでいる細胞コロニーを単離し、そしてそれを用いてGL50ポリペプチドと相互作用する蛋白をコードするクローン遺伝子を得ることができる。
【0125】
本発明は、前記スクリーニングアッセイにより同定される新規な薬剤に関する。従って、本明細書中に開示するように同定された薬剤を適当な動物モデルでさらに用いることは、本発明の範囲内のことである。例えば、本明細書中に開示するように同定される薬剤(例えば、GL50調節剤、アンチセンスGL50核酸分子、GL50-特異的抗体、またはGL50-結合パートナー)を動物モデルに用いて、そのような薬剤を用いた処置の効力、毒性または副作用を決定することができる。別に、本明細書中に記載するように同定される薬剤を動物モデルに用いて、そのような薬剤の活性のメカニズムを決定することができる。さらに、本発明は、前記スクリーニングアッセイにより同定される新規薬剤の本明細書に開示する処置のための使用に関する。
【0126】
F.検出アッセイ
本明細書中で同定されるcDNA配列(および対応する完全遺伝子配列)の部分またはフラグメントを、多くの方法でポリヌクレオチド試薬として用いることができる。例えば、これらの配列を用いて、(i)染色体上にそのそれぞれの遺伝子をマッピングし、こうして遺伝的疾患に関連する遺伝子領域の位置を確認する;(ii)微量な生物試料から個人を同定する(組織タイピング);および、(iii)生物試料の法医学的同定に役立てることができる。これらの適用を、以下のサブセクションに記載する。
【0127】
1.染色体マッピング
GL50はヒト染色体21q22に位置付けられている。従って、本明細書中に開示するGL50ヌクレオチド配列の部分またはフラグメント(コーディングおよび非コーディング両方)を用いて、これらの配列を疾患に関連する遺伝子と関連付けることができる。
【0128】
染色体上の配列の物理的な位置を、遺伝子マップデータと関連付けることができる。(そのようなデータは、例えば、Johns Hopkins University Welch Medical Libraryよりオンラインで入手できるV. McKusick, Mendelian Inheritance in Manに見出される。)同じ染色体領域にマップされた場合、遺伝子と疾患の間の関連性を、次いで、例えばEgeland, J. et al. (1987) Nature, 325: 783-787に開示されている連鎖分析(物理的に隣接した遺伝子の同時遺伝)により同定することができる。
【0129】
さらに、GL50遺伝子に関連する疾患に罹患している個人と罹患していない個人の間のDNA配列の違いを決定することができる。罹患している個人の幾人かまたは全員に変異が認められるが、罹患していない個人には全く認められない場合、変異が特定疾患の原因であることが考えられる。罹患している個人と罹患していない個人の比較には、一般に、染色体展開から確認可能な、またはそのDNA配列に基づくPCRを用いて検出可能な染色体における構造変更、欠失または転座などをまず探すことが含まれる。最終的に、数人の個人からの遺伝子の完全な配列決定を行い、変異の存在を確認し、変異を遺伝子多型から区別することができる。
【0130】
2.組織タイピング
本発明のGL50配列を用いて、微量生物試料から個人を同定することもできる。例えば、合衆国軍は、その人員の同定のために制限酵素フラグメント長遺伝子多型(RFLP)を用いることを考えている。この方法では、個人のゲノムDNAを1またはそれ以上の制限酵素で消化し、サザンブロットにおけるプローブとし、同定のためのユニークなバンドを得る。この方法は、ポジティブな同定を困難にしている、失われる、切断される、または盗用される可能性のある「ドッグ・タグ(Dog Tags)」の現在の制限に影響されない。本発明の配列は、(U.S.特許5,272,057に記載されている)RFLPのための追加的DNAマーカーとして有用である。
【0131】
さらに、本発明の配列を用いて、個人のゲノムの選択された部分の実際の塩基-対-塩基DNA配列を決定する別の方法を提供することができる。つまり、本明細書中に開示するGL50ヌクレオチド配列を用いて、配列の5’および3’末端から2つのPCRプライマーを調製することができる。次いで、これらのプライマーを用いて個人のDNAを増幅し、その後、それを配列決定することができる。
この方法で調製された、個人からの対応するDNA配列のパネルより、各個人は対立遺伝子の違いによりそのようなDNA配列のユニークなセットを有するので、ユニークに個人を同定することができる。本発明の配列を用いて、個人および組織からそのような同定配列を得ることができる。本発明のGL50ヌクレオチド配列は、ヒトゲノムの部分をユニークに表す。対立遺伝子の変化は、ある程度はこれらの配列のコーディング領域に生じるが、大部分は非コーディング領域に生じる。個々人の間の対立遺伝子の変化は、各500塩基につき約1つの頻度で起こることが見積もられる。本明細書中に開示する配列のそれぞれは、ある程度まで、個人からのDNAを同定目的のために比較することができるスタンダードとして用いることができる。多くの遺伝子多型は非コーディング領域に生じるので、各人を区別するのに少数の配列が必要である。それぞれが100塩基の非コーディング増幅配列を生じる配列番号1、3または5の非コーディング配列により、プライマーのパネルを用いてポジティブな個人の同定が容易に提供され得る。予測されたコーディング配列を用いる場合、ポジティブな個人の同定のためのより適当なプライマーの数は500-2,000であろう。
【0132】
本明細書に開示するGL50ヌクレオチド配列由来の試薬のパネルを用いて個人に関するユニークな同定データベースを作成する場合、これらの同じ試薬を後で用いてその個人からの組織を同定することができる。ユニークな同定データベースを用いて、生存している、または死亡した個人のポジティブな同定を、極端に少量の組織試料からなすことができる。
【0133】
3.法生物学 (forensic biology) における部分GL50配列の使用
DNAに基づく同定法は、法生物学にも用いることができる。法生物学は、犯罪現場で見出される生物学的証拠の遺伝学的分類を、例えば犯罪の犯人をポジティブに同定するための手段として用いている科学分野である。そのような同定を行うのに、PCR技術を用いて、犯罪現場で見出される組織、例えば髪もしくは皮膚、または体液、例えば血液、唾液、または精液などの非常に少量の生物学的試料から採取されたDNA配列を増幅することができる。増幅された配列を次いでスタンダードと比較することができ、これにより生物試料の起源を同定することが可能となる。
【0134】
本発明の配列を用いて、ヒトゲノムの特定の位置に標的され、例えば別の「同定マーカー」(即ち、特定の個人にユニークな他のDNA配列)を提供することによりDNAに基づく法的同定の確実性を高めることができるポリヌクレオチド試薬、例えばPCRプライマーを提供することができる。前記のように、実際の塩基配列情報を、制限酵素により作成されたフラグメントにより形成されるパターンに確実に代わるものとして同定に用いることができる。遺伝子多型の大部分は非コーディング領域に生じるので、非コーディング領域に標的化される配列がこの使用のために特に適当であり、この方法を用いて、個人を区別することがいっそう容易になる。ポリヌクレオチド試薬の例には、GL50ヌクレオチド配列、または少なくとも20塩基、好ましくは少なくとも30塩基の長さを有するその部分が含まれる。
【0135】
本明細書中に開示するGL50ヌクレオチド配列をさらに用いて、特定組織、例えば脳組織を同定するために、例えばインサイチュハイブリダイゼーション法で用いることができるポリヌクレオチド試薬、例えば標識プローブ、または標識可能なプローブを提供することができる。これは、法病理学者が未知起源の組織を与えられる場合に非常に有用であり得る。そのようなGL50プローブのパネルを用いて、組織を種により、および/または器官のタイプにより組織を同定することができる。
同様に、これらの試薬、例えばGL50プライマーまたはプローブを用いて、コンタミネーションに関して組織培養物をスクリーニングする(即ち、培養物中の異なるタイプの細胞の混合物の存在をスクリーニングする)ことができる。
【0136】
G.予測薬
本発明は、予後(予測)目的のために診断アッセイ、予後アッセイ、および臨床試験をモニターすることを用い、それにより個人を予防的に処置する予測医学の分野にも適する。従って、本発明の一態様は、生物学的試料(例えば、血液、血清、細胞、組織)中でのGL50ポリペプチドおよび/または核酸の発現ならびにGL50の活性を測定し、それにより、個人が異常なGL50の発現または活性に関連する病気または疾患に罹患しているかどうか、または疾患が進行する危険にあるかどうかを決定するための診断アッセイに関する。本発明により、個人がGL50ポリペプチド、核酸の発現または活性に関連する疾患を進行させる危険にあるかどうかを決定するための予後(または予測)アッセイも提供される。例えば、GL50遺伝子の変異を、生物試料中でアッセイすることができる。そのようなアッセイを予後または予測目的のために用い、それにより個人を、GL50ポリペプチド、核酸の発現または活性により特徴付けられる、またはそれに関連する疾患の発症前に予防的に処置することができる。
本発明の他の態様は、臨床試験で、GL50の発現または活性における試薬(例えば、薬物、化合物)の影響をモニターすることに関する。
これらのおよび他の試薬を、以下のセクションにさらに詳細に記載する。
【0137】
1.診断アッセイ
GL50ポリペプチドまたは核酸の生物試料中での存在または不在を検出するための典型的な方法は、生物試料を試験対象から得、次いでGL50ポリペプチドまたはGL50ポリペプチドをコードする核酸(例えば、mRNA,ゲノムDNA)を検出することができる化合物または試薬と生物試料と接触させて、生物試料中のGL50ポリペプチドまたは核酸の存在を検出することを特徴とする。GL50mRNAまたはゲノムDNAを検出するのに好ましい試薬は、GL50mRNAまたはゲノムDNAにハイブリダイズすることができる標識核酸プローブである。核酸プローブは、例えば、配列番号1、3または5の核酸のようなhGL50核酸、またはその部分、例えば少なくとも15、30、50、100、250または500ヌクレオチドの長さの、およびGL50mRNAまたはゲノムDNAに対してストリンジェントな条件下で特異的にハイブリダイズするのに十分なオリゴヌクレオチドであり得る。本発明の診断アッセイにおける使用に適した他のプローブを、本明細書中に記載する。
【0138】
GL50ポリペプチドを検出するのに好ましい試薬は、GL50ポリペプチドに結合することができる抗体、好ましくは検出可能なラベルを有する抗体である。抗体は、ポリクローナル、またはより好ましくはモノクローナルであり得る。非処置の抗体、またはそのフラグメント(例えばFabまたはF(ab’))を用いることができる。プローブまたは抗体に関して「標識された」なる用語は、プローブまたは抗体に検出可能な物質を結合させる(即ち、物理的に結合させる)ことによりプローブまたは抗体を直接的に標識すること、ならびに、プローブまたは抗体を直接標識される他の試薬と反応させることにより間接的に標識することが含まれるものとする。間接標識の例には、蛍光標識された二次抗体を用いる一次抗体の検出、およびDNAプローブをビオチンで末端標識して、それを蛍光標識されたストレプトアビジンで検出することが含まれる。「生物試料」なる用語には、対象から単離された組織、細胞および生物体液、ならびに対象中に存在する組織、細胞および体液が含まれるものとする。即ち、本発明の検出方法を用いて生物試料においてGL50mRNA、蛋白またはゲノムDNAを、インビトロならびにインビボで検出することができる。例えば、GL50mRNAのインビトロでの検出法には、ノーザンハイブリダイゼーションおよびインサイチュハイブリダイゼーションが含まれる。GL50ポリペプチドのインビトロでの検出法には、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISAs)、ウェスタン・ブロット、免疫沈降および免疫蛍光法が含まれる。GL50ゲノムDNAのインビトロでの検出法にはサザンハイブリダイゼーションが含まれる。GL50ゲノムDNAの検出のためのインビトロ法には、サザンハイブリダイゼーションが含まれる。さらに、GL50ポリペプチドのインビボでの検出法には、標識された抗-GL抗体を対象に導入することが含まれる。例えば、抗体は、対象におけるその存在および位置を標準的な画像処理法で検出することができる放射能活性マーカーで標識することができる。
【0139】
1の具体例において、生物試料は試験対象からの蛋白分子を含む。別法として、生物試料には試験対象からのmRNA分子または試験対象からのゲノムDNA分子を含むことができる。好ましい生物試料は、対象から慣用的方法により単離される血清試料である。
他の具体例では、該方法はさらに、対照の生物試料を対照の対象から得ること、対照の試料をGL50ポリペプチド、mRNAまたはゲノムDNAを検出することができる化合物または試薬と接触させて、生物試料中のGL50ポリペプチド、mRNAまたはゲノムDNAの存在を検出すること、および対照試料中のGL50ポリペプチド、mRNAまたはゲノムDNAの存在を、試験試料中のGL50ポリペプチド、mRNAまたはゲノムDNAの存在と比較することを特徴とする。
【0140】
本発明には、生物試料中のGL50の存在を検出するためのキットも包含される。例えば、該キットには、生物試料中のGL50ポリペプチドまたはmRNAを検出することができる標識化合物または試薬、試料中のGL50の量を測定する装置、および試料中のGL50の量をスタンダードと比較する装置を含めることができる。該化合物または試薬は適当な容器に封入することができる。キットには、さらに、キットをGL50ポリペプチドまたは核酸を検出するのに用いるための使用説明書を含めることができる。
【0141】
2.予後アッセイ
本明細書中に開示する診断法をさらに用いて、異常なGL50の発現または活性に関連する病気または疾患を有する、またはそれらを進行させる危険にある対象を同定するのに用いることができる。例えば、本明細書に開示するアッセイ、例えば前記の診断アッセイまたは以下のアッセイを用いて、GL50ポリペプチド、核酸の発現または活性に関連する疾患を有するまたは進行させる危険性を有する対象を同定することができる。つまり、本発明により、異常なGL50の発現または活性に関連する病気または疾患を同定するための方法であって、試験試料を対象から得、GL50ポリペプチドまたは核酸(例えば、mRNA、ゲノムRNA)を検出する方法が提供され、ここで、GL50ポリペプチドまたは核酸の存在が、異常なGL50の発現または活性に関連する病気または疾患を有する、またはそれらを進行させる危険にある患者の診断的特徴である。本明細書中で使用する「試験試料」は、関心の対象から得られる生物試料をいう。例えば、試験試料は、生物学的液体(例えば血清)、細胞試料、または組織から得ることができる。
【0142】
さらに、本明細書に開示する予知アッセイを用いて、薬剤(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、ペプチドミメティクス、蛋白、ペプチド、核酸、小型分子または他の薬物候補)を対象に投与して、異常なGL50の発現または活性に関連する病気または疾患を処置することができるかどうかを決定することができる。つまり、本発明により、異常なGL50の発現または活性に関連する疾患のための薬剤を用いて対象を効果的に処置することができるかどうかを決定するための方法であって、試験試料を得、GL50ポリペプチドまたは核酸の発現または活性を検出する方法(例えば、ここで、GL50ポリペプチドまたは核酸の発現または活性が大きいことは、異常なGL50の発現または活性に関連する疾患を治療するための薬剤を投与することができる対象の診断的特徴である)が提供される。
【0143】
本発明の方法を用いて、GL50遺伝子の遺伝学的変化を検出し、それにより、変化した遺伝子を有する対象がGL50遺伝子に関連する疾患を患う危険にあるかどうかを決定することができる。好ましい具体例では、該方法は、対象からの細胞の試料において、GL50-蛋白をコードしている遺伝子の完全性に影響を与える少なくとも一つの変化により特徴付けられる遺伝学的変化の存在または不在、またはGL50遺伝子の誤発現を検出することを特徴とする。例えば、そのような遺伝学的変化は、1)GL50遺伝子からの1またはそれ以上のヌクレオチドの欠失;2)GL50遺伝子への1またはそれ以上のヌクレオチドの付加;3)GL50遺伝子の1またはそれ以上のヌクレオチドの置換;4)GL50遺伝子の染色体転位;5)GL50遺伝子のメッセンジャーRNA転写のレベルでの変化;6)GL50遺伝子、例えばゲノムDNAのメチル化パターンの異常な変化;7)GL50遺伝子のメッセンジャーRNA転写物の非野生型スプライシングパターンの存在;8)GL50ポリペプチドの非野生型レベル;9)GL50遺伝子の対立遺伝子欠失、および10)GL50ポリペプチドの翻訳後の不適当な変更、の少なくとも一つの存在を確認することにより検出することができる。本明細書に開示するように、GL50遺伝子の変更を検出するのに用いることができる、当該分野で公知の多数のアッセイ法が存在する。好ましい生物試料は、対象から慣用的手段により単離された組織または血清試料、例えば心臓組織の試料である。
【0144】
ある具体例において、変更の検出には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(例えば、U.S.特許第4,683,195および4,683,202を参照されたい)、例えばアンカーPCRまたはRACE・PCRにおける、あるいは、ライゲーション連鎖反応(LCR)における(例えば、Landegran et al. (1988) Science 241: 1077-1080; and Nakazawa et al. (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 360-364を参照されたい)プローブ/プライマーの使用が含まれ、後者はGL50遺伝子における点突然変異を検出するのに特に有用であり得る(Abravaya et al. (1995) Nucleic Acids Res. 23: 675-682を参照されたい)。この方法は、対象から細胞の試料を収集すること、試料の細胞から核酸(例えば、ゲノム、mRNAまたは両方)を単離すること、GL50遺伝子(存在する場合)のハイブリダイゼーションおよび増幅が生じる条件下で、GL50遺伝子に特異的にハイブリダイズする1またはそれ以上のプライマーと核酸試料を接触させること、次いで増幅産物の存在または不在を検出すること、あるいは増幅産物のサイズを検出し、および対照試料と長さを比較することを特徴とする。PCRおよび/またはLCRは、本明細書に開示する変異を検出するのに用いられる方法のいずれかと組み合わせて予備的増幅ステップとして用いられることが望ましいかもしれないと考えられる。
【0145】
別の増幅法には、自己保存配列複製(Guatelli, J. C. et al., (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87: 1874-1878)、転写増幅システム(Kwoh, D. Y. et al. (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 1173-1177)、Q-ベータレプリカーゼ(Lizardi, P. M. et al. (1988) Bio-Technology 6: 1197)またはいずれかの他の核酸増幅法が含まれ、この後、当業者に周知の方法を用いる増幅分子の検出を行う。これらの検出スキームは、核酸分子が非常に少数で存在している場合に核酸分子を検出するのに特に有用である。
【0146】
他の具体例では、試料細胞からのGL50遺伝子における変異は、制限酵素切断パターンの変化により同定することができる。例えば、試料および対照DNAを単離し、増幅し(任意に)、1またはそれ以上の制限エンドヌクレアーゼで消化し、フラグメントの長さのサイズをゲル電気泳動により決定し、そして比較する。フラグメントの長さのサイズに関する試料および対照DNA間の違いが、試料DNAにおける変異を示す。さらに、配列特異的リボザイムを使用して(例えば、U.S.特許第5,498,531を参照されたい)、リボザイム切断部位の発生または消失により特異的変異の存在を評価することができる。
【0147】
他の具体例では、GL50の遺伝的変異は、試料および対照の核酸、例えばDNAまたはRNAを、数百または数千のオリゴヌクレオチドプローブを含む高密度アレイにハイブリダイズさせることにより同定することができる(Cronin, M. T. et al. (1996) Human Mutation 7: 244-255; Kozal, M. J. et al. (1996) Nature Medicine 2: 753-759)。例えば、GL50の遺伝的変異は、Cronin, M. T. et al(既出)に開示されているような光により生成する(light-generated)DNAプローブを含む二次元アレイ中にて同定することができ、プローブの第一ハイブリダイゼーションアレイを用いて、試料および対照中のDNAの長い鎖を探査し、配列がオーバーラップしているプローブの線状アレイ(array)を作成することにより配列間の塩基変化を同定することができる。この工程により点突然変異の同定が可能となる。この工程を行った後に、検出された全ての変種または変異に相補的な、小さな、特異化されたプローブアレイを用いることにより特異的変異の特定を可能とする二次ハイブリダイゼーションアレイを用いる。各変異アレイはパラレルなプローブのセットから構成され、一方は野生型遺伝子に相補的であり、もう一方は、変異遺伝子に相補的である。
【0148】
さらにもう一つの具体例では、当該分野で公知の種々の配列決定反応のいずれかを用いてGL50遺伝子を直接配列決定し、試料GL50の配列を対応する野生型(対照)の配列と比較することにより変異を検出することができる。配列決定反応の例には、Maxam and Gilbert((1977) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74:560)またはSanger((1977) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74: 5463)により開発された方法に基づくものが含まれる。診断アッセイ((1995) Biotechniques 19: 448)を行う場合、質量分析(例えば、PCT国際公開NO.WO94/16101;Cohen et al. (1996) Adv. Chromatogr. 36: 127-162; およびGriffin et al. (1993) Appl. Biochem. Biotechnol. 38: 147-159を参照されたい)を含む種々の自動配列決定法のいずれかを用いることができることも考えられる。
【0149】
GL50遺伝子の変異を検出するための他の方法には、切断試薬からの保護を用いてRNA/RNAまたはRNA/DNAヘテロ二本鎖におけるミスマッチ塩基対を検出する方法が含まれる(Myers et al. (1985) Science 230: 1242)。一般に、「ミスマッチ切断」の当該分野における方法は、野生型GL50配列を含む(標識された)RNAまたはDNAを、組織試料から得られる潜在的変異RNAまたはDNAとハイブリダイズさせることにより形成されるヘテロ二本鎖を提供することで始まる。二本鎖の分子を、対照および試料鎖間の塩基対ミスマッチのために存在しているであろう二本鎖分子の一本鎖領域を切断する薬剤を用いて処理する。例えば、RNA/DNA二本鎖はRNaseで処理することができ、およびDNA/DNAハイブリッドはS1ヌクレアーゼで処理してミスマッチ領域を酵素消化することができる。他の具体例では、ミスマッチ領域を消化するために、DNA/DNAまたはRNA/DNA二本鎖のいずれかをヒドロキシルアミンまたは四酸化オスミウム、およびピペリジンで処理することができる。ミスマッチ領域の消化後、生じた物質を変性ポリアクリルアミドゲル上でサイズ分けし、変異の部位を決定する。例えば、Cotton et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 4397; Saleeba et al.(1992) Methods Enzumol. 217: 286-295を参照されたい。好ましい具体例では、対照DNAまたはRNAを、検出のために標識することができる。
【0150】
さらに別の具体例では、ミスマッチ切断反応は、二本鎖DNAにおけるミスマッチ塩基対を認識する1またはそれ以上の蛋白(いわゆる「DNAミスマッチ修復」酵素)を、細胞の試料から得られたGL50における点突然変異を検出およびマッピングするために規定されたシステムにて利用する。例えば、イー・コリのmutY酵素はG/TミスマッチでAを切断し、ヒーラ細胞からのチミジンDNAグリコシラーゼはG/TミスマッチでTを切断する(Hsu et al. (1994) Carcinogenesis 15: 1657-1662)。典型的な具体例に従い、GL50配列、例えば野生型GL50配列に基づくプローブを、試験細胞からのcDNAまたは他のDNA産物にハイブリダイズさせる。二本鎖をDNAミスマッチ修復酵素で処理し、そして切断産物を、それが存在する場合には、電気泳動プロトコールなどから検出することができる。例えば、U.S.特許第5,459,039を参照されたい。
【0151】
他の具体例では、電気泳動の移動度の変化を用いてGL50遺伝子における変異を同定する。例えば、一本鎖構造遺伝子多型(SSCP)を用いて変異型および野生型核酸間の電気泳動の移動度の違いを検出してよい(Orita et al. (1989) Proc. Natl. Acad. Sci USA: 86: 2766、Cotton (1993) Mutat. Res. 285: 125-144; およびHayashi (1992) Genet. Anal. Tech. Appl. 9: 73-79)。試料および対照のGL50核酸の一本鎖DNAフラグメントを変性させ、次いで復元させる。一本鎖核酸の二次構造は、配列によって異なり、電気泳動の移動度に関して結果的に生じる変化から、わずか一つの塩基変化も検出することができる。DNAフラグメントは標識プローブを用いて標識または検出することができる。アッセイの感度は、(DNAよりも)二次構造が配列の変化に対してよりセンシティブなRNAを用いることにより高めることができる。好ましい具体例では、目的の方法は、ヘテロ二本鎖の分析を利用して、電気泳動の移動度の変化に基づいて二本鎖のヘテロ二本鎖分子を分離するものである(Keen et al. (1991) Trends Genet 7:5)。
【0152】
さらに別の具体例では、変性剤の勾配を含むポリアクリルアミドゲル中での変異型または野生型フラグメントの移動を、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)を用いてアッセイする(Myers et al. (1985) Nature 313: 495)。DGGEを分析法として用いる場合、例えば約40bpの高融点のGCに富むDNAのGCクランプをPCRにより追加することによりDNAを修飾して、DNAが完全に変性しないことを保証する。さらなる具体例では、温度勾配を変性勾配の代わりに用いて、対照と試料DNAの移動度の違いを同定する(Rosenbaum and Reissner (1987) Biophys. Chem. 265: 12753)。
【0153】
点突然変異を検出するための他の方法の例には、制限するものではないが、選択的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、選択的増幅または選択的プライマー伸張が含まれる。例えば、公知の変異が中心に位置するオリゴヌクレオチドプライマーを調製し、次いで完全なマッチが認められる場合にのみハイブリダイゼーションを許容する条件下で標的DNAにハイブリダイズさせることができる(Saiki et al. (1986) Nature 324: 164); Saiki et al. (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 6230)。オリゴヌクレオチドがハイブリダイジング膜に結合し、そして標識された標的DNAとハイブリダイズする場合、そのような対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドは、PCR増幅された標的DNAまたは多くの異なる変異体にハイブリダイズする。
【0154】
別法として、選択的PCR増幅に依存する対立遺伝子特異的増幅法を、本発明と組み合わせて用いてよい。特異的増幅のためのプライマーとして用いられるオリゴヌクレオチドは、分子の中心に興味ある変異を有していてもよく(その結果、増幅はディファレンシャルハイブリダイゼーションに依存する)(Gibbs et al. (1989) Nucleic Acids Res. 17: 2437-2448)、あるいは、適当な条件下でミスマッチによりポリメラーゼの伸張が妨げられ、または減じられ得る1プライマーの3’末端に興味ある変異を有していてもよい(Prossner et al. (1993) Tibtech 11: 238)。加えて、新規な制限酵素部位を変異の領域に導入して、切断に基づいて検出を行うことが望ましい可能性もある(Gasparini et al. (1992) nol. Cell Probes 6:1)。所定の具体例において、増幅は、増幅のためのTaqリガーゼを用いて行ってもよいことが予想される(Barany (1991) Proc. Natl. Acad. Sci USA 88: 189)。そのような場合、ライゲーションは、5’配列の3’末端に完全なマッチ(match)が存在する場合にのみ起こり、増幅の存在または不在を調べることにより特定部位での公知の変異の存在を検出することができる。
【0155】
例えば、本明細書に開示する少なくとも一つのプローブ核酸または抗体試薬を含む予め包装された診断用キットであって、例えばGL50遺伝子に関与する疾患または病気の兆項またはファミリーヒストリーを示している患者を診断するために臨床環境で簡便に用いることができる診断用キットを利用することにより、本明細書に記載した方法を行うことができる。
さらに、GL50を発現するあらゆる細胞タイプまたは組織を本明細書に開示する予後アッセイに用いてよい。
【0156】
VII.GL50モジュレーション剤の投与
本発明のGL50モジュレーション剤を、T細胞媒介免疫反応を高めるため、または抑制するために、インビボでの医薬的投与に適した生物学的に適合した形態で対象に投与する。「インビボでの投与に適した生物学的に適合した形態」とは、蛋白の治療的効果があらゆる毒性作用に勝っている、投与される蛋白の形態を意味する。対象なる用語には、免疫反応を誘発することができる生きている生物体、例えば哺乳動物が含まれるものとする。対象の例には、ヒト、イヌ、ネコ、マウス、ラットおよびそれらの形質転換種が含まれる。本明細書に開示する薬剤の投与は、薬剤単独、あるいは医薬上許容される担体と組み合わせた薬剤の治療上有効量を含むいずれかの薬理学的形態であり得る。
【0157】
本発明の治療用組成物の治療上有効量の投与は、所望の結果を達成するのに必要な投与量および期間で有効な量として定義される。例えば、GL50調節剤の治療上有効量は、個人の疾患状態、年齢、性および体重などの要因、および個人において所望の反応を誘発するペプチドの能力により変化する可能性がある。最適の治療的反応が提供されるように投与管理を調整してよい。例えば、いくつかに分割した投与量を毎日投与してよく、または投与量は治療状況の緊急度合いにより示されるように比例的に減じてもよい。
【0158】
GL50調節剤(例えば、ペプチド、核酸分子または抗体)は、注射(皮下、静脈内など)、経口投与、吸入、経皮適用または直腸投与によるなど、慣用的方法で投与してよい。投与の経路により、化合物を酵素、酸または化合物を不活性化させる可能性のある他の自然条件の作用から保護するための物質で活性化合物をコーティングしてもよい。例えば、GL50モジュレーション剤を非経口投与以外の投与で投与するためには、その不活性化を防ぐための物質でペプチドをコーティングする、またはそのような物質とペプチドを同時投与することが必要であり得る。
【0159】
GL50モジュレーション剤は、適当な担体、希釈剤またはアジュバントにて個人に投与してよく、酵素インヒビターと共に、またはリポソームなどの適当な担体中にて同時投与してよい。医薬上許容される希釈剤には、生理的食塩水およびバッファー水溶液が含まれる。アジュバントはその最も広い意味で用いられ、およびインターフェロンなどのいずれかの免疫刺激化合物を含む。本明細書中で意図されるアジュバントには、レゾシノール、非イオン界面活性剤、例えばポリオキシエチレンオレイルエーテルおよびn-ヘキサデシルポリエチレンエーテルなどが含まれる。酵素インヒビターには、膵臓トリプシンインヒビター、ジイソプロピルフルオロホスフェート(DEEP)およびトラシロールが含まれる。リポソームには、ウォーター-イン-オイル-イン-ウォーターエマルジョンならびに常套のリポソーム(Sterna et al., (1984) J. Neuroimmunol 7:27)が含まれる。
【0160】
活性化合物はまた、非経口または腹腔内投与してよい。分散物は、グリセロール、液体ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物中に、およびオイル中に調製することもできる。通常の保存および使用条件下で、これらの調製物は微生物の生育を妨げるための保存剤を含んでもよい。
注射使用に適した医薬組成物には、無菌水溶液(水溶性である場合)または分散物、および無菌注射用溶液または分散物を即席調製するための無菌粉末が含まれる。全ての場合に組成物は無菌でなければならず、さらに容易に注射できる程度まで流動的でなければならない。それは、製造および保存の条件下で安定でなければならず、および細菌および真菌などの微生物の汚染作用から保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)および適当なそれらの混合物を含む溶媒または分散物であり得る。適当な流動性は、例えばレシチンなどのコーティングの使用により、分散物の場合は所望される粒子サイズの維持により、さらに界面活性剤の使用により維持することができる。微生物の作用の防止は、種々の抗細菌および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどにより達成することができる。多くの場合、等張剤、例えば、砂糖、ポリアルコール、例えばマンニトールなど、ソルビトール、塩化ナトリウムが組成物中に含まれることが好ましい。注射用組成物の長期吸収は、組成物中に吸収を遅延させる薬剤、例えばアルミニウムモノステアレートおよびゼラチンを含めることによりもたらすことができる。
【0161】
無菌注射用溶液は、活性化合物(例えば、GL50ポリペプチドまたは抗-GL50抗体)を所望の量で適当な溶媒中に、前記活性成分の1またはその組み合わせを所望のように含有させた後、濾過滅菌を行うことにより調製することができる。一般に、分散物は、活性化合物を、塩基性分散物媒質、および前に列記したものからの所望の他の活性成分を含む無菌ビヒクルに組み入れることにより調製される。無菌注射用溶液の調製のための無菌粉末の場合、好ましい調製方法は、真空乾燥および凍結乾燥であり、これにより活性成分(例えば、ペプチド)といずれかの所望される追加の活性成分から成る粉末が、予め滅菌濾過したそれらの溶液から得られる。
【0162】
活性成分が前記のように適切に保護される場合、蛋白は、例えば不活性希釈剤または同化性食用担体を用いて経口投与することができる。本明細書に用いられる「医薬上許容される担体」には、いずれかおよび全ての溶媒、分散物媒質、コーティング、抗細菌および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤などが含まれる。医薬上許容される活性物質のためのそのような媒質および薬剤の使用は当該分野で周知である。いずれかの常套の媒質または薬剤が活性化合物と適合しない場合を除き、治療用組成物におけるそれらの使用が意図される。補足的活性化合物を組成物に組み込むこともできる。
【0163】
投与の簡便さ、および投与量の均一化のために、非経口組成物を投与単位形態として処方することが特に有利である。本明細書に用いられる投与単位は、治療される哺乳動物対象に単一投与製剤として適した物理的に別個の単位を言い、各単位は所望の治療効果を生ずるべく計算された所定の活性化合物を所望の医薬担体と共に含む。本発明の投与単位製剤の詳細は、(a)活性化合物特有の特性および達成されるべき特定の治療効果、および(b)個人の感受性を処置するためにそのような活性化合物を配合することに関する当該分野固有の制限により示され、直接これらに依存する。
【0164】
本発明の1の具体例では、GL50ポリペプチドに対する治療上有効量の抗体が対象に投与される。本明細書中に規定するように、治療上有効量の抗体(すなわち、有効投与量)は、約0.001〜30mg/kg体重、好ましくは約0.01〜25mg/kg体重、より好ましくは約0.1〜20mg/kg体重、およびよりいっそう好ましくは約1〜10mg/kg、2〜9mg/kg、3〜8mg/kg、4〜7mg/kgまたは5〜6mg/kg体重の範囲である。病気または疾患の重篤度、これまでの治療、対象の一般的健康状態および/または年齢、および存在する他の病気を含むがこれらには制限されない所定の要因が、対象を効果的に処置するのに必要とされる投与量に影響を与える可能性があることが当業者は認識するであろう。さらに、治療上有効量の抗体を用いる対象の処置には、単一の処置が含まれ得、好ましくは処置のシリーズが含まれ得る。好ましい具体例では、対象を約0.1〜20mg/kg体重の範囲で、週に1回約1〜10週間、好ましくは2〜8週間、より好ましくは約3〜7週間およびよりいっそう好ましくは約4、5または6週間処置する。治療に用いられる抗体の有効投与量は、特定の処置中に、増加または減じてもよい。投与量の変更は、前記のような診断アッセイの結果から得てもよい。
【0165】
GL50ポリペプチドの発現または活性における薬剤(例えば、薬物または化合物)の影響をモニターすることは、基礎的な薬物のスクリーニングのみならず、臨床試験にも適用することができる。例えば、本明細書に開示するスクリーニングアッセイにより決定される、GL50遺伝子の発現、蛋白レベルを増すための、またはGL50の活性をアップレギュレートするための試薬の有効性は、低下したGL50遺伝子発現、蛋白レベルまたはダウンレギュレートされたGL50の活性を示している対象の臨床試験でモニターすることができる。別法として、スクリーニングアッセイにより決定される、GL50遺伝子の発現、蛋白レベルを減じるための、またはGL50の活性をダウンレギュレートするための試薬の有効性は、増加したGL50遺伝子発現、蛋白レベルまたはアップレギュレートされたGL50の活性を示している対象の臨床試験でモニターすることができる。このような臨床試験では、GL50遺伝子、および好ましくは疾患に影響を与えた他の遺伝子の発現または活性を、特定の細胞の表現型の「リードアウト(read out)」またはマーカーとして用いることができる。
【0166】
例えば、および制限するものではないが、(例えば、前記のスクリーニングアッセイで同定される)GL50の活性を調節する薬剤(例えば、化合物、薬物または小型分子)を用いた処置により細胞中で調節される、GL50含有遺伝子を同定することができる。つまり、GL50関連疾患における薬剤の影響を、例えば臨床試験で研究するために、細胞を単離し、RNAを調製し、そしてGL50およびGL50関連疾患に関わる他の遺伝子、それぞれの発現レベルを分析することができる。遺伝子発現のレベル(即ち、遺伝子発現パターン)は、本明細書中に開示するノーザンブロット分析またはRT-PCRにより、別法として、産生される蛋白の量を測定することにより、本明細書中に開示する方法の一つにより、あるいはGL50または他の遺伝子の活性のレベルを測定することにより定量することができる。この方法では、遺伝子の発現パターンを、薬剤に対する細胞の生理的反応の指標であるマーカーとして供することができる。従って、この反応状態を、薬剤を用いた個人の処置前、およびその処置中の種々の時点で測定してもよい。
【0167】
好ましい具体例では、本発明により、薬剤(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、ペプチドミメティクス、蛋白、ペプチド、核酸、小型分子、または本明細書中に開示するスクリーニングアッセイにより同定される他の薬物候補)を用いる対象の処置の有効性をモニターするための方法であって、(i)薬剤の投与前に対象から投与前試料を得ること、(ii)GL50ポリペプチド、mRNAまたはゲノムDNAの、投与前試料中での発現のレベルを検出すること、(iii)対象から1またはそれ以上の投与後試料を得ること、(iv)GL50ポリペプチド、mRNAまたはゲノムDNAの投与後試料中での発現または活性のレベルを検出すること、(v)GL50ポリペプチド、mRNAまたはゲノムDNAの投与前試料中での発現または活性のレベルを、投与後試料または試料(複数も可)中のGL50ポリペプチド、mRNAまたはゲノムDNAのものと比較すること、次いで(vi)それに応じて対象への薬剤の投与を変更することを特徴とする方法が提供される。例えば、GL50の発現または活性を検出されるレベル以上のレベルに増加させるために、すなわち、薬剤の有効性を増すために、薬剤を増加して投与することが望ましい。別法として、GL50の発現または活性を検出されるレベルより低いレベルに低下させるために、すなわち、薬剤の有効性を減じるために、薬剤を減じて投与することが望ましい。そのような具体例によれば、観察可能な表現型の応答が認められない場合でも、GL50の発現または活性を薬剤の有効性の指標として用いることができる。
本発明を以下の実施例によりさらに説明するが、これは制限するものとして解釈されるべきではない。本出願中に引用される全文献、特許および公開特許出願の内容ならびに図および配列表を参照により本明細書中に組み込む。
【0168】
実施例
以下の材料および方法を実施例で用いた。
マウス系統およびRNAの単離:10E5MB49膀胱癌細胞を注射したマウス(C57B1/6)を、1μg/マウス組換えIL12で7-11日目および14-18日目に処置した。RNAをリンパ節から9(75%)、12(20%)および19(5%)日目に単離し、次いでプールした。RNAStat60(teltestB)を用いてRNAを抽出した後、ポリAttract磁気単離システム(Promega)を用いてポリA+RNAを濃縮した。cDNAをスーパークリプトRT(Gibco BRL)を用いて合成した。さらなるcDNA源に、マウス胎児胸腺ライブラリー(C3H/Hej)およびC57B1/6の心臓穿刺由来のマウス末梢血リンパ球を含めた。
【0169】
シグナルトラップ:シグナルトラッププロトコルを、Jacobs et al. (1997. Gene. 198: 289)により記載されるように行った。簡単には、サイズ分けしたcDNAをインベルターゼ発現プラスミドpSUC2T7M13ORIに単一方向にクローニングした。プラスミドクローンの発現ライブラリーをイー.コリにて作成し、次いで酵母のインベルターゼ欠損suc2−株に導入した。酵母ライブラリー中に示されるシグナルトラップされたクローンを、YPR寒天プレートで2日培養することにより選抜した。333クローンをランダムに選択し、ミニプレップし、次いで配列決定した。
【0170】
配列分析:GCGウィスコンシンパッケージのTBlastX、FastX、pFam、Pileup、GrowTreeおよびSigcleave、およびGeneworks2.5.1をDNA配列決定操作、データベース検索および配列分析に用いた。図12で、パイルアップ分析のための同一性スコアは以下の値に従い決定した。1x pair = 1; 2x pair = 2; 3x pair = 3; 3-of-a-kind = 4; 3-of-a-kind plus 1x pair = 5; 2x 3-of-a-kind = 6; 4-of-a-kind = 7; 4-of-a-kind plus 1x pair = 8; 5-of-a-kind = 9。Lasergene DNAstar GenequestモジュールをGenbank受託番号HS21C098に対して用いて、hGL50のイントロン-エキソン境界を明確にした。さらなる分析をTFASTA、TBLASTN、ProfileScanを用いるSeqWeb Wisconsin GCGパッケージを用いて行った。距離に比例する系統図を、Kimuraコレクションアルゴリズムを用いて、遺伝子距離に基づきGrowTreeにより作成した。次いで図を再度作成し、ファミリークラスターを表した。
【0171】
cDNA末端の3’迅速増幅:プライマー(GL50)VL118 (CCCGCAGTCTGCGCTCGCACC;配列番号:7)、VL116 (GTCGACCCACCATGCAGCTAAAGTGTCCCTG; 配列番号:8), (AB014553) VL141 (CGTGTACTGGATCAATAAGACGG; 配列番号:9)、VL142 (ACAACAGCCTGCTGGACCAGGC; 配列番号:10), (ポリ A-オリゴ)VL054 (CCAGTGAGCAGAGTGACG; 配列番号:11)、VL055 (GAGGACTCGAGCTCAAGC; 配列番号:12)を用いて3’RACEを行った。リンホライト(lympholyte)Mを製造業者のプロトコルに従って用いて密度遠心分離によりリンパ球に関してマウス末梢血リンパ球(PBLs)を濃縮した。ヒトPBLをヒトロイコパック試料(human leukopac samples)のFicoll-paque密度遠心分離により単離した。全RNAを以下に記載されるようにリンパ球から抽出した。プライマーVLO53(VL053 (CCAGTGAGCAGAGTGACGAGGACTCGAGCTCAAGCTTTTTTTTTTTT;配列番号:18))、5μgの全RNAおよびスーパークリプトRT(Gibco-BRL)を製造業者のプロトコルに従い20μl反応液中で用いて逆転写を行った。0.5-1.0μlのRT合成されたcDNAをRACE操作一回当たりに用いた。3’RACEはFrohman, M. A. (1993) Methods Emzymol. 218: 340-356の方法に従い行った。
【0172】
RNAの単離および分析:全RNAをCCE・ES細胞、Swiss Webster胚/卵黄嚢およびC57B1/6末梢血リンパ球から得て、フェーズ-ロック(Phase-lock)ゲルバリア(Eppendorf)を備えたRNAstat60(Tel-Test B, Friendswood TX)を用いて抽出した。RNAをノーザン・マックス・システム(Ambion)を用いて分画し、ZetaProbe・GT(BioRad)上に、製造業者のプロトコルに従いブロットした。複数組織RNAパネルを購入し(Clontech)、製造業者の指示に従い用いた。3’非翻訳領域に対応する、mGL50-2クローンのヌクレオチド984-1340(357bp;配列番号:3)のいずれかを含む放射能標識したDNAフラグメントにブロットをハイブリダイズさせ、一方、mGL50のコーディング配列に対応するフラグメントを用いてmGL50-1およびmGL50-2両転写産物を検出した。ハイブリダイゼーションは、65℃で、Express Hyb(Clontech)を用いて一晩行い、次いで、0.1×SSCおよび1%SDSをハイブリダイゼーション温度で用いて、適当なシグナル:ノイズ比が達されるまで洗浄した。ブロットを画像処理のためにホスホイメージプレートおよびオートラジオグラフィーフィルムに露出した。
【0173】
遺伝子発現分析:RT-PCT分析のために、まず鎖cDNA合成をRACE法に関して前に記載したように行った後、重複25μl増幅反応(Advantage Taq, Clontechを用いる)を、mGL50-1に関してはプライマーRLEE001およびRLEE005を、およびmGL50-2に関してはプライマーRLEE001およびRLEE003を用いて行った。プライマーGAPDH-FおよびGAPDH-Rをポジティブな増幅対照として用いた。オリゴヌクレオチドGAPDH-F (TGAAGGTCGGTGTGAACGGATTTGGC; 配列番号:19); GAPDH-R (CATGTAGGCCATGAGGTCCACCAC (配列番号:20); RLEE001 (CATCACTAGCATTAGCCAGGC; 配列番号:13); RLEE003 (TGATGTTGTGAAGCTGAGTGC; 配列番号:14); RLEE005 (TCATGAGCATCGAGCATCG; 配列番号:15); VL142 (ACAACAGCCTGCTGGACCAGGC; 配列番号:10); VL162B (TCACGAGAGCAGAAGGAGCAGGTTCC; 配列番号:16); および VL163B (GGGCCCCCCAGAACCTGCTGCTTCC; 配列番号:17)を、mGL50-1、GL50-RACE、AB014553cDNAおよびAB014553-RACEクローンの細胞外ドメイン領域のPCR増幅のために設計した。ポリA+RNAを含むリンパ組織および非リンパ組織(Clontech)から誘導されたマウスおよびヒトのcDNAパネル(Clontech)を、PCR分析のための材料として用いた。サイクル条件は5分間95℃の変性段階の後、95℃で1分、60℃で1分および72℃で1分の35サイクルを行うものであった。反応は、72℃で10分延長した後に終えた。mGL50およびmGL50-2PCRのためのサイクル条件は、95℃で1分間、60℃で1分間、および72℃で2分間を33サイクル行うものであり、一方、GAPDH PCRは30サイクルで行った。
【0174】
ノーザンブロット分析に関しては、商業的に調製されたRNAブロット(Clontech)を、mGL50-1のヌクレオチド1065-1588(494bp;配列番号:1)またはmGL50-2クローンのヌクレオチド984-1340(357bp;配列番号:3)を含む放射能標識されたDNAフラグメントにハイブリダイズさせた。
フローサイトメトリー:COS細胞に、pcDNA3.1-CTGFP発現ベクター中のmGL50-1またはDAP-12cDNAをトランスフェクションした。トランスフェクションはリポフェクタミントランスフェクション試薬(Life Technologies)を製造業者のプロトコルに従って用いて行った。細胞をトランスフェクションの3日後に回収した。10%ウサギ血清を用いて細胞に対する非特異的結合をブロックした。細胞を室温で20分間、100μlのPBS2%FCS中200ngの融合蛋白で染色した。細胞を洗浄し、PEを結合したヤギ抗マウスIgGを用いて二次染色を行った。細胞は、フローサイトメトリーの直前にプロピジウムヨーダイドで染色した。ポジティブな対照としてCOS細胞をhCTLA4cDNAでトランスフェクションした後、PEを結合した抗CTLA4を用いて、ポジティブに染色している細胞を同定した。
【0175】
サイトメトリー分析のための細胞懸濁液をBalb/c脾細胞(〜3月齢)から単離し、DMEM、10%(体積/体積)熱不活性化子牛血清(JR BioScience)、2mM L-グルタミン、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン(Irvine Scientific, Santa Ana, CA)、20μM 2-ベータメルカプトエタノール(Sigma Co.,St. Louis, MO)、MEMピルビン酸ナトリウム、およびMEM非必須アミノ酸(Life Technologies, Rockville, MD)で1回洗浄した。赤血球細胞をACT溶解バッファーで溶解し、1回洗浄した。Balb/cマウスからの脾細胞(〜1×107細胞/ml/ウェル)を25μg/mlのLPS(Sigma)または10ng/mlのPMA、1μg/mlのイオノマイシンと共に培養した。細胞をFITC標識抗体(BD-Pharmingen)およびmICOS-mIgG2am試薬を用いて染色した後、FACaliburおよびCellQuestソフトウェアパッケージ(BD)を用いてフローサイトメトリー分析を行った。細胞の分離を、抗-FITCマイクロビーズ磁気選択(Miltenyi Biotec)を用いて行った後、T-細胞の豊富化に関するフローサイトメトリー測定を行った。
【0176】
Ig融合蛋白:IgG2aと、mICOS、hICOS、mGL50-1、およびhGL50との融合蛋白を、以下の実施例で用いるために構築した。IgG2amの表記は、IgG2aドメインが変異してエフェクター機能が低下したことを示す(Steurer, W. et al. (1995) J. Immunol. 155: 1165-74に記載)。hICOS-mIgG2amのヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を図26に示し、それぞれ配列番号:23および24として示す。mICOS-mIgG2amのヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を図27に示し、それぞれ配列番号:25および26として示す。hGL50-mIgG2amのヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を図28に示し、それぞれ配列番号27および28として示す。mGL150-mIgG2amのヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は図29に示し、それぞれ配列番号29および30として示す。
【0177】
実施例1.mGL50 - 1分子の単離
IL-12処置したマウスのリンパ節のRNAに由来する、分泌たんぱく質をコードしているcDNAを、サッカロマイセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)シグナル配列トラップ法(Jacobs et al)を用いることにより、シグナル配列の遺伝子選択下に置いた。単離、次いで配列決定した全部で333個のcDNA:インベルターゼクローンの中に、B7-1と限られた配列同一性を有する1の部分cDNAクローンが同定され、これをmGL50-1(図1、配列番号:1)と名づけた。マウス胎児胸腺cDNAライブラリーからRecA媒介性全長cDNAを単離して、3’非翻訳領域を含み、該部分シグナルトラップ配列クローンをオーバーラップしている4つのcDNAをさらに得た。
【0178】
コンセンサスを得ている2718個のヌクレオチドから成るmGL50-1配列は、36kDaの推定質量を有する322のアミノ酸蛋白をコードしていた。オープンリーディングフレームのヒドロパシープロットにより、リーダー配列(配列番号:1のおよそヌクレオチド67〜195によりコードされる配列番号:2のおよそアミノ酸1-46)、細胞外ドメイン(配列番号:1のおよそヌクレオチド196〜904によりコードされる配列番号:2のおよそアミノ酸47-279)、疎水性膜貫通領域(配列番号:1のおよそヌクレオチド905〜961によりコードされる配列番号:2のおよそアミノ酸280-298)、および潜在的細胞内細胞質ドメイン(配列番号:1のおよそヌクレオチド962〜1032によりコードされる配列番号:2のおよそアミノ酸299-322)に対応する構造が予測された。シグナルペプチドの切断は、アミノ酸配列の46位で予測された。Pfam蛋白モチーフ予測プログラムによるmGL50-1の分析により、蛋白の細胞質ドメイン中に、Ig-ドメインに対する構造類似性が示唆された。Ig-様構造の保持に関し、分子内結合およびIgV-様ドメインとIgC-様ドメインに対応する別個の構造配置を可能性としている4つのシステインが、ドメイン図に基づき細胞外ドメインに見出された。翻訳された蛋白をGenBankデータベースより探索するFastX配列比較により、AB014553、B7-1、B7-2およびY08823を含む、配列類似性を有する多くの同定cDNAクローンが得られた。B7ファミリーのポリペプチド中で対応しているドメインを図12に示す。
【0179】
実施例2.GL50の別のスプライス形態の単離
転写不均一度を決定するために、3’RACEを行い、ネズミのGL50-1のスプライス変種を単離した。上流配列に対応し、およびmGL50-1のイニシエーション開始部位を含む特異的入れ子5’オリゴヌクレオチドプライマーを用いて、増幅PCR産物を、マウスPBLから誘導されたcDNAから得た。mGL50-1コーディング領域内部の放射能活性オリゴヌクレオチドに対してハイブリダイゼーションさせて、明らかなハイブリダイゼーションシグナルが検出された。次いで、ポジティブにハイブリダイズしているPCR産物をクローニングした後、配列分析を行い、そのRACE配列が、いずれも、マウス胎児胸腺ライブラリーから誘導されたコンセンサスmGL50-1配列と同一ではないことが明らかであった。異なる長さの伸張ポリアデニル化を有する複数のクローンにより示される2セットのPCR産物が、GL50の別のスプライス形態をコードすることが見出された。1759bpの産物、すなわちmGL50-2と名付けた1の典型的な産物は、39kDaの予想分子量を有する、長さにして347アミノ酸残基のポリペプチドをコードしていた(図2、図15)。
【0180】
mGL50-1とmGL50-2の並置を図3に示す。mGL50-1とmGL50-2配列の並置から、cDNAのヌクレオチド67(開始メチオニン/mGL50-2 RACEプライミング部位)からヌクレオチド1027までの完全な同一性が示されたが、複数のmGL50-2産物中に見出される2個のヌクレオチドは例外であった(ヌクレオチド531および710、推定アミノ酸配列の237位のアルギニンをヒスチジン残基にする(図3))。複数の他のPCR産物が同じミスマッチをコードしたので、これらの2つのヌクレオチドの相異が、RNA出発物質のために用いたマウス間の系統上の違いによるものであることが最も考えられる。mGL50-1の1027位およびmGL50-2の961位の下流の配列は2分子間で異なっていた(図3)。mGL50-1およびmGL50-2両配列は、ポリAテイルから上流に(mGL50-2に関しては13bp、mGL50-1に関しては16bp)コンセンサスAATAAAポリアデニル化シグナルを含んでいた。異なる3’配列がカルボキシ末端をコードする結果として、mGL50-2ではmGL50-1の最後の2アミノ酸が欠乏していたが、細胞質ドメインに追加の27の新規アミノ酸が挿入されていた。mGL50-2に関して予測されるアミノ酸配列により、mGL50-1およびmGL50-2両分子に共通するチロシン残基Y299およびY307に加えて、カルボキシ末端に3つのユニークなチロシン残基、Y325、Y328およびY333が存在することが示された。GenBankデータベース検索により、多くのゲノム配列(例えば、受託番号AC005818、AC006508、およびAF115517)、ならびに公知mRNA(マウスデスミン:Z18892;およびマウスセルビビン:AF115517)にも見出される複合反復配列(塩基1349-1554)を除き、mGL50-2産物の異なるコーディング3’ドメインに類似性を有するcDNA配列はないことが明らかにされた。そのような非翻訳反復配列はmGL50-1には見出されなかった。
【0181】
実施例3.GL50のヒトオーソログの同定
ネズミのGL50クローン同定後、データベース検索およびその後の比較により、マウスのmGL50-1とmGL50-2クローンが、ヒトの脳から単離されたcDNA、KIAAクローン0653(受託番号AB014553;Ishikawa et al. (1998) DNA Res. 5: 169)と相同性を有する可能性があることが示唆された。AB014553は、分子量60kDaの推定558個のアミノ酸からなる蛋白をコードする、染色体21上に位置する4.3kbのcDNAとして記載されている。AB014553 cDNAの長さもコードされる蛋白の長さもmGL50-1のものよりほぼ2倍大きいので、AB014553がマウスGL50配列のヒト相同分子種であるとは考えられなかった。しかし、推定AB014553蛋白配列の始めの303残基の分析により、cDNAのシグナルペプチド領域を除き、mGL50-1との類似性が示された。
【0182】
AB014553は大きなcDNAのサイズ分別により得られたので、AB014553はもっと小さな遺伝子産物としても存在する変種転写産物を表すと考えられた。そのような、より小さな産物が存在するかどうかを確認するために、GL50と配列相同性を有するAB014553の細胞外ドメインに対応するオリゴヌクレオチドプライマー(VL142(ACAACAGCCTGCTGGACCAGGC; 配列番号:10)およびVL141 (CGTGTACTGGATCAATAAGACGG;配列番号:9))を用いて、ヒトPBLの3’RACE分析を行った。アミノ酸残基24(RACEプライマーの開始点)から残基123に、AB014553に一致するオープンリーディングフレームをコードしている4つのRACE産物が単離された(図6)。残基123から先で、AB014553RACE産物はcDNA配列から異なり、9個のアミノ酸をコードしている3’コーディング領域、終結コドン、および短い非翻訳ドメインを有する別の88個のヌクレオチドを生じる。このような別の3’領域によって、AB014553RACEクローン中に、AB014553cDNAと比較して未成熟の終結コドンが生じた(図7)。AB014553cDNAの共通5’配列と融合させた後、この別に転写される産物によりコードされる推定ポリペプチドに関して予測される全長は309アミノ酸であり、マウスGL50蛋白配列に対してオーソログである、hGL50と呼ばれるヒトの蛋白と一致した(図8)。
【0183】
実施例4.ニワトリB7 - 1との並置
すでに特徴付けられているニワトリのB7-1(受託番号Y08823)と並置して、1パターンの保存された細胞質ドメイン配列がこれらの分子間で現れた。細胞内領域内において、hGL50蛋白配列はmGL50-1と34%(並べられた残基の9/26)の同一性を示し、一方、ニワトリY08823はヒトもしくはマウスのGL50またはGL50-2いずれとも57%の同一性(並べられた残基の8/14)を示し、(R)(R)(R)[XX](Q)(H)(X/-)SY(T)(G)(P)(配列番号:21)のコンセンサスモチーフ(鍵括弧中のアミノ酸は3つの遺伝子間で異なり、丸括弧中のアミノ酸は3つの遺伝子の中の2つに共通し、および鍵括弧または丸括弧をつけていないアミノ酸は3つの遺伝子間で共通する)を得た。このモチーフと相同性を有する蛋白に関するFastAデータベース検索により、モチーフRRRQQHHSYT(配列番号:22)と同一の配列をコードしている2つのマウスのエントリー、Veli-2(受託番号AF087694)、およびC.elegansLIN-7の相同体であるMALS-2(受託番号AF173082)を得た。このユニークなドメインはVeli-2のカルボキシ末端に位置するが、異形態Veli-1またはVeli-3には存在せず、シー・エレガンスLIN-7と相同する領域を越えて伸張している。
【0184】
実施例5.GL50分子の発現
市販のcDNAパネルにおけるmGL50-1およびmGL50-2特異的RT-PCR反応により、心臓、脾臓、肺、肝臓、骨格筋、腎臓、精巣、7-15日目の胚およびPBLにおいて、豊富なPCR産物の生成を得た。mGL50-1およびmGL50-2のいずれの転写産物に関しても、脳試料ではわずかな産物しか検出されなかったが、mGL50-2に関して精巣試料で低レベルの産物が検出された(図4)。mGL50-1およびmGL50-2の共通細胞外ドメインのいずれか、またはmGL50-2またはmGL50-1いずれかの3’非翻訳領域に特異的なプローブを用いる市販のRNAブロットのノーザンブロット分析により、差異のあるハイブリダイゼーションが2つの分子間で認められた。細胞外ドメインプローブおよびmGL50-1特異的プローブは共に、心臓、脳、脾臓、肺、肝臓、骨格筋、腎臓および精巣試料において明らかに検出可能な〜2.7kbのメッセージにハイブリダイズしたが(これは、mGL50-1に特異的なブロットにおいてすでに見られているパターンと同一である(Ling et al. (2000) J. Immunol. 164: 1653-7))、mGL50-2特異的プローブは、心臓、脾臓および腎臓試料でのみ検出される1.7kbの転写産物にハイブリダイズし、mGL50-2転写産物が、組織の制限されたサブセットとして最高のmGL50-1の発現と同時に転写されることが示唆された(図5)。ポリA+RNAブロットでは、mGL50-23’UTR特異的プローブを用いるハイブリダイゼーションが、未分化ES細胞、10日目の胚様体、12.5日目の胚卵黄嚢、および15日目の胎児肝臓を示す試料で明らかに検出された。これに対して、mGL50-1cDNAコーディング配列プローブを用いるハイブリダイゼーションでは、試験された全試料において転写が明らかであった。
【0185】
AB014553cDNAおよびAB014553RACEクローンの組織分布を評価するために、RT-PCR/サザンブロット分析を、前記GL50配列に関するものと同じ条件下で行った。公表されているAB014553cDNAの増幅に特異的なオリゴヌクレオチドプライマー(VL142 (ACAACAGCCTGCTGGACCAGGC; 配列番号:10) およびVL163B (GGGCCCCCCAGAACCTGCTGCTTCC; 配列番号:17))を用いるPCRの結果から、試験された全試料に関して検出可能なAB014553cDNAのシグナルは全く存在しなかった(図10)。公表されているAB014553cDNA配列を表すRT-PCR産物がないことの説明としては、最適化されていないオリゴヌクレオチドを使用したこと、目的の転写産物が極端に少量しか発生していないこと、またはこの形態の産物が実際にないことが考えられる。オリゴヌクレオチドプライマーVL142およびVL162Bを用いる、AB014553RACEに特異的なRT-PCR条件で、腎臓、肺、卵巣、胎児肝臓、および白血球において、350bpの増幅産物の検出を得、胎児肝臓において最高レベルの増幅産物が検出された。驚くべきことに、脾臓、肺、胸腺、またはリンパ節ではシグナルは実質的に全く検出されなかった。これらの結果は、組織cDNAパネルのより小規模の調査においてAB014553転写産物の分布に関して公表されている報告(Ishikawa et al. (1998) DNA Res. 5:169)と一致するが、GL50分子に関して観察された組織分布パターンとは相補しない。
【0186】
長く、そして異なる3’非翻訳領域が存在するmGL50-1およびmGL50-2クローンと異なり、AB014553RACE産物は、AB014553cDNAのものと異なるわずか88bpの配列しか含まなかった。このために、RACE産物の検出に十分特異的な活性を有するヌクレオチドプローブを設計することができなかった。hGL50のコーディング領域プローブを用いて、市販のヒト複数組織RNAブロットにおいてノーザンハイブリダイゼーションを行い、転写産物の分布を評価した(図11)。結果は、全組織に2.4kb、3.0kb、7.0kgのおよその分子サイズを有する多くの転写産物の存在が認められることを示し、最高レベルのシグナルが脳、心臓、腎臓、および肝臓試料に見られた。低いハイブリダイゼーションのシグナルが結腸および胸腺で検出された。8.5kbのさらなる転写産物が胸腺、脾臓、腎臓、肝臓、肺およびPBLを含むパネルのサブセットに検出されたのに対して、3.8kbの転写産物が肺およびPBL試料に検出された。ユニークな1.1kbの転写産物はPBL試料においてのみ検出され、これは、5’および3’非翻訳配列を含む場合のhGL50に関して予測されるサイズに対応した。他の少数の転写産物の検出は、ブロットの感度範囲が限られているために困難であった。4.3kbの公表されたAB014553cDNAと相関のある明らかな転写産物はなく、この配列が天然に存在している可能性がないこと、または検出可能な限界より低いレベルで発現される可能性があることが示唆される。hGL50ブロットとhGL50-PCR測定結果を比較したところ、腎臓組織で最大のシグナルを有し、胸腺、脾臓およびPBLなどのリンパ関連組織においてシグナルが少ないという共通の特徴が認められた。
【0187】
実施例6.GL50ポリペプチドの他のポリペプチドに対する関連性
mGL50-1、hGL50、およびヒトとマウスのB7-1およびB7-2間の関連度を決定するために、蛋白配列の並置を行った。Pileup分析(図12)から、18のアミノ酸の位置が全6つの分子間で細胞外ドメイン内に一致して並置された。B7分子の予測IgV-様およびIgC-様折りたたみ構造を規定する32の位置のうち、13の位置が全6つの分子間で一致して保存されており、最も顕著には、ドメインの分子内の折りたたみを可能とする4つのシステインが一致して保存されている。他の意義ある配列保存領域が細胞外ドメインにも見られたが、興味深いことに、hGL50/mGL50の配列が一致する所定の位置で、それらはB7-1またはB7-2いずれかと接近して整列した(同一性スコア8)。例えば、mGL50-1の77位に対応するバリン残基は、hGL50、およびネズミとヒトのB7-2配列に共通するが、B7-1とは共通しない。同様に、mGL50-1の78位のチロシンは、hGL50、およびネズミとヒトのB7-1において、対応する位置で保存されているが、B7-2に関しては保存されていない。同一スコア8を有する16の位置の中で、5つの位置がmGL50-1/hGL50およびB7−1に共通し、4つの位置がmGL50-1、hGL50およびB7-2間に共通し、および6つの位置がB7-1およびB7-2間に共通する。
ペプチド構造に基づき、これらの結果によりmGL50/hGL50配列がB7ファミリーの蛋白にパラレルな系統発生的な空間を占めることが示唆される。100個のアミノ酸当たりの置換に関して遺伝学的距離を測定する分子系統発生分析(GrowTree)より、mGL50/hGL50(85)、m/hB7-2(68)およびm/hB7-1(88)が独立してクラスター形成する樹形図(図13)を得た。外集団(outgroup)として、mmu67065_1(マウス・ブチロフィリン)を用いた。ニワトリのクローンY08823は、B7配列(215-320)よりもGL50/AB014553配列(〜140)と並置されることが認められ、これらの配列が蛋白の別のサブファミリーから成ることが示唆された。GL50/AB014553、B7-2およびB7-1枝間の距離は大きく(216-284)、ヒトとネズミの系統化開始以来、これらの分子間で多数の置換が生じたことが示唆された。
【0188】
マウスとヒトのCTLA4(例えば、Dariavach, P. et al. (1988) Eur. J. Immunol. 18:1901; GenBank Accession Number L15006; U.S. patent 5,434,131を参照されたい)およびICOS(Hutloff et al. (1999) Nature 397:263; WO 98/38216)を、同じパラメータを用いて系統発生的関連性に関してさらに分析した。遺伝学的距離により、B7-様蛋白に関して認められるものと異なるパターンが明らかにされた。これまでの報告に示されているように、マウスとヒトのICOSおよびCD28間の遺伝学的距離(176-2570)は、CTLA4のもの(261-405)よりも接近していた。比較により、CD28とCTLA4間の遺伝学的距離はもっと小さく(143-1670)、レセプターファミリーのメンバー間の構造的関連性がリガンドファミリーのものとパラレルではないことが示唆された。
【0189】
実施例7.GL50のICOSに対する結合の証明
GL50がネズミCTLA4、CD28またはICOSのリガンドであるかどうかを決定するために、トランスフェクション結合研究を、mGL50-1発現ベクターを用いて行った(図14)。mGL50-1またはヒトDAP-12ネガティブ対照cDNAをCOS細胞にトランスフェクションした後、ICOS-Ig、CD28-IgまたはCTLA-4-Ig融合蛋白または正常ネズミIgのいずれかで染色した。COS細胞を、トランスフェクションの2日後に、5μg/mlの融合蛋白で染色した後、ヤギ抗-マウスPE標識抗体で染色した。フローサイトメトリーにより、GL50トランスフェクションCOS細胞の結合が、ICOS-Ig試薬でのみ検出された(15%)が、CD28-Ig、CTLA4-Ig、またはネガティブな染色試薬として使用された正常マウスIgに関してはわずかな結合しか検出されなかった。DAP-12cDNAトランスフェクション体に関しては、いずれの融合蛋白の結合も検出されなかった。これらの結果により、GL50がICOS-Igのリガンドであることが示唆される。
【0190】
本明細書中の特定の結合条件下では認められなかったが、細胞に基づくアッセイにおいて、B7分子の結合活性がCTLA-4よりもCD28に対して弱いことを示している公表データを考慮すると(Greenfield, E. A. et al. (1998) Crit. Rev. Immunol. 18:389)、GL50がCD28またはCTLA-4のいずれかによりシグナル伝達できる可能性があることも考えられる。
【0191】
実施例8.mGL50 - 2転写産物は機能性細胞表面蛋白をコードする。
mGL50-2転写産物が機能性細胞表面蛋白をコードすることを立証するために、EF-1アルファプロモーターの転写コントロール下にmGL50コーディング領域を発現しているベクターをCOS細胞にトランスフェクションした。フローサイトメトリーにより、mICOS-mIgG2amおよびhICOS-mIgG2am両方がmGL50-1およびmGL50-2トランスフェクション細胞に結合することが見出され(9-14%)、一方、mCTLA4-mIgG2amを用いてはわずかな結合しか認められず(<1%)、mGL50-2に認められる異なるカルボキシ-テイルにおける追加残基によりコードされるドメインがこの蛋白の表面の可動化(surface mobilization)に影響しないことが示される(図17)。hICOS-mIgG2amが両分子に結合することも注目に値することであり、CTLA4およびCD28レセプター同様、霊長類/齧歯類の種の境界を越えてターゲットに対してアッセイした場合に、ICOSレセプターがリガンド結合力を持つことが示唆される。他のマウス細胞系統を、表面ICOS-リガンドの存在に関して試験した。WEHI231細胞はB7-1およびB7-2両方を表面で発現することがすでに示されており、一方、ES細胞はB7-1のみを提示することが示されている。WEHI231細胞のmCTLA4-mIgG2am染色が、8ng/mlの試薬を用いて明らかに検出され、一方、mICOS-mIgG2amの染色は1μg/mlで始まるレベルでわずかに検出された。これらの結果は、B7分子へのmCTLA4-mIgG2am試薬の結合親和力が、WEHI細胞上のGL50へのmICOS-mIgG2am試薬の結合(CD28-IgとB7蛋白の間で測定された低い結合親和性に類似する)よりも少なくとも100倍大きいことを示すものである。ブロッキング抗体の存在下で、WEHI231へのmCTLA4-mIgG2amの結合は完全に排除されたが、細胞へのmICOS-mIgG2amの結合に影響は認められず、WEHI23B7-1もB7-2も、mICOS-mIgG2amとの特異的結合を強化しないことが確認された(図18)。非常に初期の胚環境の典型である細胞におけるGL50の存在を示しているRNAブロット分析からの証拠を確証するために(前記を参照されたい)、未分化なCCE ES細胞を、B7-1に対する抗体で直接的に染色することにより、およびmICOS-mIgG2am融合蛋白で間接的に染色することにより分析した。抗-B7-1で染色された未分化ES細胞は(図19)バックグラウンドに対して、以前の観察(Ling, V. et al. (1998) Exp. Cell. Res. 241: 55-65)と一致する1ログ(1log)の蛍光シフトを示し、mICOS-mIgG2am染色では、バックグラウンドに対して1/2ログの蛍光シフトを示し、着床前の初期胚の未分化内部細胞集団を反映するシステムにおける、B7およびGL50タイプの両分子の同時表面提示が立証された。
【0192】
実施例9.脾臓部分母集団におけるGL50の発現
GL50表面蛋白を示している主要脾臓細胞型の表現型分析により、mICOS-mIgの結合が表現型CD19+B細胞で最も容易に検出可能であることが明らかであり、一方、他の脾細胞型がICOS-Ig染色を示すことが明らかであった(図30を参照されたい)。GL50を提示する他の新たに単離された細胞をさらに同定するために、野生型Balb/C脾細胞を、成熟BおよびT細胞を含まないRAG1−/−脾細胞と比較した。結果を図20および表3に示す。
【0193】
【表4】
Figure 0004737905
【0194】
予想通り、Balb/C脾細胞で、表現型B細胞に対して高レベルのmICOS-mIgG2amの結合(図20AおよびB)が明らかにされ(CD19、B220、CD40>94%)、一方、表現型T細胞およびT細胞のサブセット(CD3+、CD4+、およびCD8+;<10%)、マクロファージ(CD11b、26%)、樹状細胞(CD11c、43%)およびNK細胞(pan-NK、20%)において低レベルの結合が認められた。mICOS-mIgG2amの結合は、もっと一般的なリンパマーカーCD24およびクラスII(94%)細胞でも検出された。(mGL50-1特異的プローブを用いる)ノーザンブロット分析により、GL50転写産物がRAG1−/−マウスの脾細胞で発現されることが立証された。これにより、成熟TまたはB細胞の不存在下で、GL50が他の脾細胞部分母集団でも発現されることが示唆された。これらの観察と一致して、RAG1−/−脾細胞の分析(図20B)により、それらがCD3−、CD8−、CD19−、およびCD40−であり、残りのCD11b+(35%)およびCD11c+(55%)細胞がmICOS-mIgGamで容易に対比染色されることが立証された。低レベル(<5%)のICOS-Igの染色が、B220+、panNK+、およびCD69+細胞でも明らかであった。Balb/c脾細胞で検出された高いレベルと比較して、RAG1−/−脾細胞においてこれら3つのマーカー間のmICOS-mIg染色レベルになぜ格差が存在するのかは現在のところわからない。CD4+(45%)およびCD24+(28%)細胞のmICOS-mIgG染色も、他のT細胞マーカーに関して染色は認められなかったが、RAG1−/−脾細胞において明らかであった。CD4+の染色は樹状細胞においてすでに報告されており(Aicher, A. et al. (2000) J. Immunol. 164: 4689-96)、これは、これらのマウスにおけるCD4+、CD11c+2つのポジティブな細胞集団の存在により支持された(図20C)。RAG1−/−脾細胞における表現型マクロファージと樹状細胞サブセットがmICOS-mIgGと結合したことと合わせて、GL50転写産物の存在から、インビボでICOSによるシグナル伝達を強化する可能性のある、専門の(professional)抗原提示細胞におけるICOS-リガンドの存在が立証される。
【0195】
実施例10.脾細胞部分母集団および胚細胞におけるGL50スプライス変種mRNAの発現
ICOS-リガンドは少なくとも2つのスプライス変種として存在することが考えられるため、実験を行い、脾細胞細胞集団におけるGL50-1およびGL50-2転写産物の存在を半定量的に評価した。LPSまたはConAの存在下で培養されたBalb/C脾細胞は、試験された全脾細胞においてICOS-リガンドをアップレギュレートすることが見出された(図20)。これらの細胞の選択的刺激がGL50-1またはGL50-2転産物の特異的アップレギュレーションを引き起こすかどうかを決定するために、GL50-1およびGL50-2転写産物を、転写特異的オリゴヌクレオチドプライマーとハイブリダイゼーションプローブのセットを用いてRT-PCRにより検出した。結果を表4に示す。
【0196】
【表5】
Figure 0004737905
【0197】
Balb/CのCD4+、CD8+とCD19+細胞のサブセット、およびRAG1−/−のCD11b+とCD11c+細胞のサブセットを>90%純度までビーズ分離により豊富化した。量を規格化したRNA試料の2回のRT-PCR分析により、GL50-1およびGL50-2転写産物が非処置CD4+T細胞とCD19+B細胞に存在していることが明らかにされ、フローサイトメトリー分析からの結果と一致した。しかし、FACSにより表面蛋白が検出され、およびICOS-リガンドポジティブの細胞が多いにもかかわらず、GL50-1転写産物もGL50-2転写産物も、CD8+T細胞においては増幅されなかった。CD8GL50の発現がRT-PCRによる検出能力の閾値未満であり、またはCD8+ICOS-リガンドがこのアッセイによる検出に関してターゲットされないGL50のさらに他の変種である可能性がある。また、CD8+細胞上に出現しているICOSリガンドの形態が本明細書に記載するGL50-1またはGL50-2でない可能性があること、またはCD8+ICOSリガンドが可溶性蛋白として他の場所に生じ、この細胞型に移動される可能性があることは除外できない。低レベルのGL50-1がCD8+試料で検出されたことを除いて、LPSの活性化により、対照細胞に見出されるものに類似する特徴が導かれ、B細胞をLPSで刺激することにより、T細胞上でのこの形態のICOS-リガンドの発現が間接的にアップレギュレートされる可能性があることが示唆される。脾細胞のConA刺激により、全試料に渡ってGL50-1転写産物が増幅されたが、CD19+細胞では産物は低下した。GL50-2転写産物はCD8+試料で誘導され、CD19+試料では検出されなかった。CD19+細胞においてGL50-1およびGL50-2両者の増幅産物量が低下することにより、ConAに暴露された場合にB細胞の転写が調節されることが示唆される。RAG1−/−脾細胞では、GL50-1およびGL50-2がCD11b+およびCD11c+ポジティブ細胞で検出され、一方、培養樹状F5MおよびWEHI231細胞ではGL50-1の転写が示された。低レベルのGL50-2が、WEHI231およびLPS活性化F5M細胞で検出され、一方、非誘導性F5M細胞では増幅産物は検出されなかった。胚組織を示している試料において、GL50-1およびGL50-2は全試料で検出され、D0ES細胞において、高レベルの両スプライス変種が存在した。高レベルのGL50-1が、12.5日目の胚および11.5日目の卵黄嚢試料でも検出された。これらの結果はRNAブロット分析(前記を参照されたい)により示される転写ハイブリダイゼーションの程度と相関を有する。
【0198】
実施例11.ニワトリのGL50 - 様分子Y08823はICOSに結合しない
ごく最近、B7-1の結晶構造が3オングストロームレベルで解明され、B7-1のアミノ末端領域にCD28/CTLA4との直接的相互作用の原因である荷電残基を有する、平行する2つの折りたたみ回転対称ホモダイマーから成る構造が明らかにされた。ヒトとマウスのGL50、B7-1、およびB7-2蛋白配列は19-27%の配列同一性を示し(表5)、それらが構造的に類似している可能性があることも示唆される。
【0199】
【表6】
Figure 0004737905
【0200】
Y08823に関するこれまでの分析により、アミノ末端ドメイン内にDEBおよび非ねじれAGFCC’C’’ベータシートを形成しているベータ鎖が、Y08823とB7-1の間で保存されていると予想されることが示唆された(Ikemizu, S. et al. (2000) Immunity 12: 51-60)。興味深いことに、GL50配列とY08823の間の高程度の予測二次構造の保存が、対応するアミノ末端ドメインのDEBベータシートを含む領域内にも存在した。これらの構造相同性に基づく予測から、この領域における配列同一性により内部ドメインコア内に重要な内部ドメイン静電気的接触が提供され、そして疎水性度が保存されて、GL50およびB7分子に共通する同様の分子骨格が生じることが示唆される(図16)。これらの観察に基づき、ニワトリのY08823を、ICOSレセプターに結合するその能力に関して評価した。成熟Y08823ペプチドを表す配列をRT-PCRにより得、発現ベクターにサブクローニングし、COS細胞にトランスフェクションして機能性表面蛋白を得た。Y08823トランスフェクション細胞はCTLA4-Igには結合したが、hICOS-mIgG2amおよびmICOS-mIgG2amには結合しないことが認められた(図17)。Y08823のICOSへの結合が検出未満のレベルで起こることは除外できないが、本明細書中で用いたアッセイ条件に基づき、GL50様蛋白Y08823が、ヒトまたはマウスのICOSレセプターのためのリガンドとして交差作用(cross-function)する可能性はないと考えられる。
【0201】
構造および遺伝的類似性により、B7/GL50型蛋白が極端な系統発生的境界を越えて保存されていることが示唆されるが、この解釈には、これらの蛋白を利用している機械論的経路も共通しているということが含まれる。これらの蛋白がT細胞のシグナル伝達において同じ機能を有するという証拠から、共刺激リガンド、その同種レセプター、および存在する誘導スプライス変種の絶対数および起源に関して疑問が生じる。B7-Ig-スーパーファミリーの構造に当てはまる他の蛋白にはMOGおよびブチロフィリンが含まれるが、これらの蛋白が、いずれかの共刺激経路においてリガンドとして関与することは認められていない(Henry, J. et al. (1999) Immunol. Today 20: 285-8)。染色体21の配列(Hattori, M. et al. (2000) Nature 405: 311-9)を利用して、ヒトICOS-リガンドのゲノム構成が決定され、hGL50(Ling, V. et al. (2000) J. Immunol. 164: 1653-7)およびKIAAクローン0653(Genbank受託番号:AB014453)の形態の、少なくとも2つのスプライス変種の存在が示された。B7-様遺伝子のメンバーの中で、B7-1、B7-2、ブチロフィリンおよびhGL50の遺伝子構造が報告されている。これらの遺伝子を含むエキソンの絶対数は5〜12で変化するが、これらの遺伝子は、別個のエキソンが2つのIg-様細胞外ドメインをコードする点、一つのエキソンが膜貫通ドメインをコードする点、そして複数のエキソンが細胞質ドメインをコードする点(例えば、hGL50に関して2個のエキソン、B7-2に関して2個のエキソン(Jellis, C. E. et al. (1995) Immunogenetics 42: 85-9; Borriello, F. et al. (1995) J. Immunol. 155: 5490-7))、B7-1に関して1〜2個のエキソン(Borriello, F. et al. (1994) J. Immunol. 153: 5038-48)、そしてブチロフィリンに関して3個のエキソン(Ogg, S. L. et al. (1996) Mamm. Genome 7: 900-5))で構造が共通する。KIAA0653に関し、細胞質ドメイン1および2をコードしているエキソン間にスプライス結合は用いられておらず、推定イントロン6に2.9kbの読み過しが生じている。染色体21BACクローンHS21C098とKIAA0653を並置したところ、KIAA0653の異なる3’細胞質ドメインが一致していないことが認められ、7つのミスマッチと1つの17bpの欠失からなる8の配列不一致が認められた。これに対し、ヒトGL50をHS21C098に対してエキソン配列を並置したところ、ポリアデニル化部位を含めて、ポリアデニル化部位まで完全に配列が一致していることが明らかであった。前記の例により、ヒトGL50、mGL50-1および変種mGL50-2が、細胞質ドメイン1および2のスプライス部位の近く(mGL50-1残基316-318:E-L-T;図16)にいくらかのアミノ酸配列同一性を示すことが示される。hGL50/AB014553間およびmGL50-1/mGL50-2間のスプライシング変化の共通点により、細胞質ドメイン2の異なるスプライシングを可能とし、または促進して、異なる機能ドメインを組み合わせ付加することにより異なるシグナル伝達をおそらく提供する、保存されたメカニズムの可能性が示唆される。mGL50-2ともとのmGL50-1が異なる組織特異性で転写されるという所見から、細胞シグナル伝達におけるこれらの分子の調節が生理学的場所および活性化部位に依存するという見解が支持される。
【0202】
異なるカルボキシル領域を有する複数形態のGL50の存在とともに、哺乳類GL50と鳥類Y08823間で保存された細胞内モチーフの存在により、これらの分子の細胞内領域における違いが異なるシグナル伝達機能を導いている可能性があることがさらに示唆される。これは、mGL50-1と共通する2残基に加えて、mGL50-2の細胞内ドメインに3つのさらなるチロシン残基が存在しているのが認められることによりさらに支持される。これは、細胞内領域に明らかな保存配列が全くなく、共刺激活性が損なわれることなく細胞内領域が削除されているB7-1およびB7-2の構造と対照的であり、細胞内シグナル伝達がこれらのB7蛋白の重要な特徴ではないことが示唆される(Brunschwig, E. B. et al. (1995) J. Immunol. 155: 5498-505)。hGL50の保存されたモチーフは、疎水性度分析により分子の細胞内部分に存在することが予測されたが、エキソン5の膜貫通ドメインによりコードされており、エキソン6細胞内ドメイン-1によってはコードされていないことが見出された。ニワトリY08823cDNAクローンでは、配列相同性は、対応するエキソン6/細胞質ドメイン-1の後3つのアミノ酸残基内で終結する。もし、hGL50のゲノム構成がY08823中で維持されており、そこで保存されたモチーフがエキソン-5膜貫通ドメインの細胞内部分によりコードされているならば、hGL50中の細胞質ドメインをコードしているエキソン6およびエキソン7に対するオーソログであるDNAセグメントは、ニワトリには全く存在しない可能性があるといえる。B7細胞質ドメインの構造研究で、これらの配列はほとんどなくてもよいものである可能性があると主張されている(Brunschwig, E. B. et al. (1995) J. Immunol. 155: 5498-505)。しかし、異なる細胞質エキソンがB7-1およびGL50で用いられているという事実により、異なるエキソンドメインの付加が新規B7-様蛋白が生じる間に起こった可能性があることが示唆される。B7-様ブチロフィリン蛋白は、その支配的な形態が、この分子からのシグナル伝達を変換するのにおそらく用いられる細胞内リングフィンガーモチーフ(Ring finger motif)をコードしている細胞質ドメイン3を含む(Ogg, S. O. et al. (1996) Mamm. Genome 7: 900-5) 多くのスプライス変種によりコードされる。これらの所見は、エキソン5および他の細胞質ドメイン由来の保存された細胞内モチーフを有するGL50およびY08823などの他のリガンドタイプの分子が、細胞が見出される環境(environmental millieu)に依存して、シグナル送達およびシグナルレセプター分子としての別の役割を有する可能性があるという考えを支持する。
GL50の表面発現を示す細胞のサブセットを明確に規定するために、RAG1−/−およびBalb/C脾細胞のサブセットの比較表現型タイピングを行った。前記の実施例は、新たに単離されたCD4+およびCD8+細胞ならびにRAG1−/−のCD11c+細胞がICOS-リガンドを発現している細胞の下位集団を含んだことを示す。これらの結果は、ICOS-リガンドがT細胞系統(Aicher, A. et al. (2000) J. Immunol. 164(9): 4689-96)および樹状細胞系統(Yoshinaga, S. K. et al. (1999) Nature 402: 827-32)には無いことを示したこれまでの研究とは異なる。精製された細胞のサブセットのRT-PCR分析により、GL50-1およびGL50-2両者が同じ細胞で発現されることが確認され、両転写産物がICOS結合の表面提示に貢献し得ることが示唆された。抗原提示細胞に加えて、共刺激リガンドの初期発現が胚発生のES細胞モデルで初期に起こり、未分化細胞およびインビトロで10日培養した胚様体においてB7-1およびGL50-1転写産物が存在することが立証された(Ling, V. et al. (1998) Exp Cell Res. 241: 55-65)。この研究で、RNA分析によりGL50-2転写産物がこれらの組織内で見出されることがさらに立証される。コロニー形成アッセイにおいて、c-kit+/PECAM-1+細胞が混合造血前駆体を産生する能力、およびCD45+細胞がマクロファージ前駆体を産生する能力により証明されるように(Ling, V. and Neben, S. (1997) J. Cell Physiol. 171: 104-15; Ling, V. et al. (1997) Eur. J. Immunol. 27: 509-14)、胚様体分化の9日までは、新生造血細胞はインビボにおいて卵黄嚢造血前駆体に表現型的に類似する。これらのCD45+細胞は、B7-1+およびB7-2+であることも見出され、共刺激リガンドの発現がリンパ球生成の非常に初期に起こることが強く示唆される。これに相応して、高レベルのGL50-1およびGL50-2の発現が、胚期の卵黄嚢および胎児肝臓などの胎児造血部位で認められた。最終的なリンパ球形成の直前のものから得られた細胞型である胎児繊維芽細胞培養物においてICOS-リガンドが誘導され得ることは注目に値し、共刺激シグナル伝達カスケードのメカニズムが初期の適応的免疫反応の形成とは無関係に平衡を保っている可能性があることが示唆される。後生動物が、胚発生の系統化段階でおこる共通の発達経路を共有し、複雑な進化に関連する特性を有する、ある中心的な生理学的プロセスが、胚発生のこの期間中に、および成人の生理機能において後ほど反映されることが仮定されている(Kirschner, M. and Gerhart, J. (1998) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95: 8420-7)。共刺激リガンドが、胚および成人の両系により用いられるいくらかの中心的プロセスの一部であるかどうかは未だ決定されていない。
【0203】
B7ファミリーメンバー間の大きな遺伝子距離にもかかわらず、霊長類とネズミのB7-1およびB7-2が系統発生系列を越えてCTLA4およびCD28への交差結合を保持しているという事実により、自然史の時間系列を通じたこれらのシグナル伝達分子内でのヌクレオチド置換に対する耐性が示唆される。共刺激リガンドとそのレセプター間の系統発生的に相異するパターンを比較するために、マウス、ヒトおよびニワトリからのCTLA4(Genbank受託番号NM_009843およびNM_005214)、CD28(受託番号NM_007642、NM_006139、およびX67915)、およびICOS(Genbank受託番号AJ250559およびGenseq受託番号V53199)レセプターの蛋白配列を分析した。グラフで表した場合、これらのレセプターの遺伝子距離値により(表6)、ICOSおよびCD28蛋白間の距離がICOSおよびCTLA4間の距離よりも接近しているパターンが明らかなった(図21)。
【0204】
【表7】
Figure 0004737905
【0205】
種間のレセプター配列の関連性を比較した場合、ヒトCD28/ICOSの距離値(176)はマウスCD28/ICOSの値(257)よりも小さかった。同様に、ヒトCTLA4/ICOSの距離値(261)はマウスCTLA4/ICOSの距離値(405)よりも小さいことも認められた。これらのデータにより、ICOS分子の構造が、CTLA4の形態よりもCD28の形態から由来したと考えられることが示唆される。これに対し、共刺激リガンドの系統発生的分析により、GL50およびB7-1間の距離値(243-282)は、GL50-B7-1間の距離値(200-270)とほぼ等しいことが立証された。Y08823は、マウスとヒトのGL50蛋白に対してB7蛋白(23-30%、230-310)よりも高い配列同一性および低い遺伝学的距離値(36-37%;131-138)を示すことが見出された。GL50とB7-1/B7-2ファミリーメンバーの間で遺伝学的距離がほぼ等しいこと、ICOSとCD28/CTLA4ファミリーメンバーの間で遺伝学的距離が等値でないことは、レセプターファミリーを支配している進化/機能拘束が、リガンドファミリーを支配しているものと異なることを意味する。
【0206】
系統発生的配列関連性はこれらの分子のゲノム配置を反映し得る。B7-1およびB7-2はマウス染色体16とヒト染色体3に同時に存在し、CTLA4、CD28およびICOSはマウス染色体1とヒト染色体2q33に同時に存在する。これに対し、GL50の遺伝子配置はB7の配置と関連せず、ヒトGL50は染色体21q22に位置するが(Hattori, M. et al. (2000) Nature 405: 311-9)、マウスGL50は染色体10に位置する。TFastX分析により、さらなるGL50-様ホモログは染色体21に同定されず、GL50がB7-1およびB7-2の様に、共にまとめられる遺伝子のファミリーとしては存在しない可能性があることが示唆される。Y08823に関して、この分子がB7-1の真のオーソログであるかどうか、Y08823がそのオーソログが哺乳類系で規定されていない新規なB7-様分子を表すかどうかは明らかではない。しかし、荷電した残基部位に複数のアミノ酸の置換を含んでいるB7およびY08823間で共通する23-30%の配列同一性から、これらの蛋白がCTLA4(O'Regan, M. N. et al. (1999) Immunogenetics 49: 68-71)に対して機能的交差結合を保持していることは驚きであった(O'Regan, M.N. et al. (1999) Immunogenetics 49: 68-71)。Y08823がGL50に対して強い構造類似性を有し、さらにB7-1およびB7-2に特徴的な結合特性を保持しているという思いがけない結果から、これらの共刺激リガンドの多様性に対して構造的および機能的拘束が少ないことが示唆される。
【0207】
レセプターファミリーおよびリガンドファミリー間で測定される異なる遺伝学的距離は、多くのシナリオにより説明することができる。蛋白のGL50/B7ファミリーをコードしている遺伝子がCD28/CTLA4レセプターをコードしている遺伝子よりも早期に発生した可能性がある。ICOSレセプターをコードしている遺伝子の形成は、系統発生中後期に生じた可能性があり、およびCD28の構造に基づいたものである可能性があり、こうしてCTLA4分子よりもCD28に大きく類似することとなった可能性がある。この仮説により、多くのB7-様蛋白が存在し、一方、比較的少ないCD28-様レセプターしか開示されていないことを説明することができる。CTLA4の所定のエキソンが同義DNA変異のレベルでも懸著な配列拘束性を保持することは注目すべきことであり、ランダムな変異からその位置を保護する、未だ規定されていないメカニズムの存在が示唆される(Ling, Vl et al. (1999) Genomics 60: 341-355)。変異を拘束しているメカニズムがCTLA4/CD28/ICOS遺伝子座の長さを超えて共刺激レセプター領域を調節すること、またはこれらのレセプターの細胞内シグナル伝達ドメインへ付加される選択圧が多様性の低い割合を維持するのに十分であることが考えられる。
【0208】
共刺激リガンドおよびレセプターは、10-20%の範囲で免疫グロブリンとホモロジーを共有し、特徴的な鎖内ジスルフィド結合を有する蛋白として定義されている、蛋白のIg-スーパーファミリーに属する。Ig-スーパーファミリー蛋白は、異なる機能の蛋白中、および脊椎動物系統間に広く分布する。節足動物と脊椎動物の出現は6億年前まで遡り、Ig-スーパーファミリーの推定前駆体を表している分子はさらにもっと古く、おそらく扁形動物や線虫などの無脊椎動物に存在することが示唆されている。蛋白のIg-スーパーファミリーが少なくとも古代からのものであるという考えは、N-CAMなどのいくらかのIg-様蛋白が哺乳類ならびに昆虫で見出されるという知見により支持される。Ig-に基づく、組合せ適応性免疫系(combinatorial adaptive immune system)を生じさせた免疫学における「ビッグバン」事件(Marchalonis, J. J. et al. (1998) Immunol Rev. 166: 103-22およびその中の引用)は、理論的には1千-2千万年の地質学的に短い時間期間を超えて4億5千万年前、下あごのない魚の発生中に起こった。現在のところ、免疫グロブリン系を分子のIg-スーパーファミリーから発生させた可能性のあるメカニズムは明らかには定められていない。しかし、組合せ免疫系に必要なIg-ドメインと組換え酵素をコードしている遺伝子が、淘汰上の利点を提供するのに十分大きな規模で水平移動されたことを示唆する理論が提唱されている(Bernstein, R. M. et al. (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93: 9454-9)。細胞の活性化を誘発し、免疫グロブリン分子の変異を促進するのに役立ち、およびクラス転換(class switching)に影響を与えるIg-スーパーファミリー共刺激分子のサイレントなシグナル伝達の特徴を含んでいる包括的な生化学的機構の基礎は全くない。古代軟骨魚系統の現存するメンバー、サメなどが、共刺激分子を持つかどうかは現在知られていないが、CD28およびY08823などの共刺激関連蛋白がニワトリに存在しているという事実により、いくらかのタイプの共刺激経路が、少なくとも3億年前に出現した鳥類系統のメンバーに存在したことが示唆されており(Burt, D. W. et al. (1999) Nature 402: 411-3)、Y08823分子が、GL50またはB7いずれかの真のオーソログというよりも、むしろ模範的な共刺激リガンドと非常に類似する、GL50およびB7両方分子に対する同時代同系統(contemporary cousin)を表している可能性が開かれる。鳥類系統と対照的に、マウスとヒトの系統は約1億年前に分かれ、マウスゲノムがニワトリおよびヒトに見られるものと比較して広範囲にわたって染色体が再配置されていると仮定されている(Burt, D. W. et al. (1999) Nature 402: 411-3)。これらの再配置によりB7ファミリーメンバーとGL50分子コーディング遺伝子間の分離が導かれた可能性があるかどうかは知られていない。鳥類ICOSまたはその変種が存在するかどうかも知られていない。
【0209】
実施例12.可溶性GL50はヒトT細胞を共刺激することができる
可溶性hGL50-mIgG2amがヒトT細胞を共刺激する能力を、T細胞共刺激アッセイを用いて測定した。未処理のCD4+T細胞を精製し、ウェル当たり10%の細胞で蒔いた。細胞を、細胞1個当たり1個のビーズ、およびビーズ10個当たり1または2μgの抗-CD3を用いて、ビーズ上の抗-CD3で刺激した。細胞を、細胞1個当たり1個のビーズ、およびビーズ10個当たり3μgのhGL50-mIgG2amを用いて、ビーズ上のhGL50-mIgG2amで処理した。CD28のシグナル伝達を(抗-CD28(Pharmingen)を用いて)得、またはそれを刺激して、CD28媒介共刺激の調節がhGL50-mIgG2am媒介共刺激に影響を持つかどうかを測定した。
IL-2の産生、IL-10の産生、および増殖(Hの取り込み)を、共刺激の指標としてアッセイした。サイトカインおよび増幅を刺激72時間後に測定した。
【0210】
図22に見られるように、hGL50-mIgG2am(hGL50.Fcとも呼ばれる)は、増殖の増加ならびにIL-2およびIL-10産生の誘導により示されるように、T細胞を共刺激することができる。CD28媒介共刺激を誘導する、CD28に対する抗体の存在下、IL-2の産生も誘導される。図23は、増殖およびサイトカインの産生における種々の濃度の抗-CD3および抗-CD28の影響を示す。
【0211】
図24は、抗-CD3で、あるいは抗-CD3と可溶性hGL50-mIgG2amで(CD28媒介共刺激を刺激するために)刺激されたT細胞に抗-CD28を添加することによりIL-2の産生が誘導されるが、hGL50媒介IL-10の産生には影響がないことを示す。
【0212】
実施例13 ICOS/GL50経路の刺激を用いるネズミの腫瘍の処置
今のところ、抗腫瘍反応を発生させることに関するICOS/GL50共刺激の役割は報告されていない。本研究で、ICOS/GL50共刺激の相対的効力を、種々のネズミ腫瘍モデルにおけるCD28/B7の共刺激と比較した。腫瘍を有する動物の全身処置のために、ネズミB7.2-IgG2qおよびGL50-IgG2aの融合蛋白を作成し、それらはそれぞれB7.2およびGL50の細胞外ドメインと、ネズミIgG2aのFc部分とから成っていた。ネズミのアイソタイプIgG2aを対照として用いた。MethAまたはB16G1メラノーマ腫瘍を有するマウスを、50μg/注射のGL50-IgG2aまたはB7.2-IgG2a融合蛋白で週に2回3週間皮下処置した。MethAモデルにおいて、B7.2-IgG2aを用いた処置により、100%まで腫瘍が退化し(図25A)、マウスが治癒し(図25E)、およびGL50-IgG2aを用いた処置によりマウスの60-90%までが治癒し(図25E)、40%腫瘍の成長が明らかに遅延した(図25D).B16F1メラノーマでは、いずれかの蛋白を用いた全身処置により、前記のものに匹敵して明らかに腫瘍の成長が遅延した。両腫瘍モデルで、対照のIgG2a処置は効果を持たなかった(図25A、CおよびE)。腫瘍ワクチン研究では、B16F1メラノーマおよびMB49膀胱癌モデルを用いた。腫瘍細胞を、ネズミB7.1またはGL50いずれかを発現しているEF-1プロモーターを含むベクターでトランスダクションし、G418(ネオマイシン)により選択される腫瘍細胞をインビボ腫瘍形成実験のために皮下注射した。腫瘍細胞におけるGL50およびB7-1の発現を、抗-mB7-1モノクローナル抗体(Pharmingen、クローン16-10A1)またはICOS-IgG2a融合蛋白を用いたFACS分析により測定した。結果から、(i)B16F1モデルにおいて、GL50を発現している腫瘍細胞を注射したマウスの40%、およびB7.1を発現している腫瘍細胞を注射したマウスの20%がその腫瘍を拒絶すること(図31A);(ii)MB49モデルにおいて、GL50を発現している腫瘍細胞を注射したマウスの30%、およびB7.1を発現している腫瘍細胞を注射したマウスの10%がその腫瘍を拒絶すること(図31B)が立証された。これらの結果により、可溶性GL50-1または腫瘍細胞上でのGL50の発現のいずれかにより提供される、亢進されたインビボでのICOS/GL50相互作用が、ネズミ腫瘍モデルのCD28/B7経路に関して十分に説明されている抗腫瘍効能に匹敵する有意な抗腫瘍活性を有することが示される。
【0213】
同意義
当業者は、常套実験を用いるだけで、本明細書に開示される発明の特定態様に対する多くの均等物を認識、または確認することができる。そのような均等物は請求項に含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、シグナル配列クローン(位置1−519)およびRecA単離クローン(位置374−2718)に基づくネズミGL50−1(mGL50−1)の完全ヌクレオチド配列を示す。シグナル配列をコードする推定ヌクレオチドを箱で囲い、疎水性の膜貫通ドメインに下線を付した。
【図2】 図2は、ネズミGL50−2(mGL50−2)生成物のヌクレオチド配列を示す。
【図3】 図3は、mGL50−1およびmGL50−2生成物の配列並置比較を示す。配列多様性は、mGL50−1についてはヌクレオチド1027において、mGL50−2についてはヌクレオチド960において生じている。
【図4】 図4は、mGL50−1およびmGL50−2のアイソフォーム(isoform)特異的RT−PCRを示す。
【図5】 図5は、mGL50−1およびmGL50−2の特異的ノーザンブロット分析を示す。
【図6】 図6は、AB014553 RACE生成物のヌクレオチド配列を示す。ボックスで囲んだ領域は、公表されたAB014553 cDNA配列とRACE生成物との間の多様性領域である。最後のネステッドRACEプライマーは位置1から22まで伸長しており、ヌクレオチド655から676までに対応している。
【図7】 図7は、翻訳されたRACE生成物および公表されたAB014553 cDNAの並置比較を示す。多様性は、公表されたAB014553 cDNAの残基299およびRACE生成物の残基123において生じる。
【図8】 図8は、ヒトGL50(hGL50)の配列を示す。
【図9】 図9は、GL50、融合したAB014553 RACE生成物(hGL50)、ならびにマウスおよびヒトB7−1およびB7−2のハイドロパシープロット分析を示す。有意なハイドロパシープロファイルはGL50とAB014553との間に見られる。
【図10】 図10は、公表されたAB014553 cDNAおよびAB014553 RACE生成物のRT−PCRサザンブロット分析を示す。
【図11】 図11は、複数のヒト組織RNAブロットのノーザンブロット分析を示す。hGL50/AB014553のコーディング配列をプローブとして使用した。
【図12】 図12は、hGL50、mGL50−1、hB7−1、mB7−2、hB7−2、mB7−2のパイルアップ分析を示し、その中でシグナルペプチド、Ig−様ドメイン、膜貫通、および細胞質ドメインが示されている。推定疎水性膜貫通残基に下線を付し、アステリスクはIg構造に貢献する残基を示す。Ig構造のインジケーターである細胞外システインおよびトリプトファンを太字で示す。
【図13】 図13は、B7−1、B7−2およびGL50蛋白間の遺伝学的距離を示すデンドログラム分析を示す。Y08823はニワトリCD80−様蛋白であり、MM867065 1はマウスブチロフィリンである。
【図14】 図14は、GL50 COSトランスフェクション研究の結果を示す。mGL50−1はCOS細胞において発現され、次いで、ICOS−Ig、CD28−Ig、CTLA4−Igのいずれかで染色された。mGL50−1を発現する細胞によりICOS Igの結合が検出された。
【図15】 図15は、mGL50−1およびmGL50−2を図式的に示す。縦線により示される配列多様性は、mGL50−1についてはヌクレオチド1027から、mGL50−2についてはヌクレオチド960から生じている。反復配列(けば付きのボックス)はGL50−2の3’UTR中に見られ、ヌクレオチド1349−1554の範囲である。ダッシュおよび矢印の頭はRT−PCR分析に使用したオリゴヌクレオチドを示す。横線はノーザンブロット分析に使用したプローブを示す。
【図16】 図16は、mGL50−1、mGL50−2、hGL−50、およびY08823の間の蛋白配列の並置比較を示す。配列はPileUpを用いて並置比較され、これらの分子間で共有されている残基をボックスで囲んだ。配列上の文字は、B7−1の結晶構造に基づいてY08823に関して予想されるペプチドの2次構造を示す。hGL50細胞質ドメイン1配列をコードするエキソンはCy−1と表示されたバーにより示される。
【図17】 図17は、マウス、ヒト、およびニワトリのGL50関連蛋白に対するICOSの結合に関するフローサイトメトリー分析を示す。mGL50−1、mGL50−2、hGL50、およびニワトリB7様蛋白Y08823をコードする発現プラスミドでトランスフェクションされたCOS細胞を、mICOS−mIgG2am、hICOS−mIgG2amまたはmCTLA4−mIgG2amとともにインキュベーションし、その後、抗マウスIgG2aビオチンで染色し、ストレプトアビジン−PEを用いて検出した。
【図18】 図18は、WEHI231へのICOSの結合を示す。mICOS−mIgG2amまたはmCTLA4−mIgG2amの滴定量を用いて、ブロッキング抗B7−1およびB7−2抗体またはアイソタイプ対照の存在下においてWEHI231細胞を染色した。
【図19】 図19は、未分化ES細胞へのICOSの結合を示す。抗B7−1およびmICOS−mIgG2am試薬を用いる未分化ES細胞対比染色の分析により、B7−1およびICOS−リガンドに関して陽性染色が得られた。
【図20】 図20は、Balb/cおよびRAG1−/−脾臓細胞サブセットのイムノフェノタイピングを示す。10000個の染色細胞の2次元プロットを示す。50000個のデータポイントを伴う試料はアステリスクにより示される。(A)Balb/cおよびRAG1−/−マウスから豊富化された脾臓細胞を、mICOS−mIgG2amならびにCD3、CD24、CD45R/B220、panNK、MHCクラスIIまたはCD40に対するFITC−抱合抗体で染色した。さらにフェノタイプを決定するために、CD4+、ICOS−リガンド+細胞、RAG1−/−細胞をPE−標識抗CD4およびFITC−標識抗CD11cで染色した。(B)RAG1−/−およびBalb/cマウスから豊富化された脾臓細胞(未処理、ConA活性化、あるいはLPS活性化されたもの)を、mICOS−mIgG2amならびにCD4、CD8、CD19、CD11b、CD11cおよびCD69に対する抗体で染色した。
【図21】 図21は、GL50/B7リガンドおよびCD28/CTLA4/ICOS受容体を系統発生学的に示したものである。表5(GL50/B7リガンド)および表6(CD28/CTLA4/ICOS)からの値を用いて、隔たりに比例した系統発生樹が得られた。バーは、100個のアミノ酸あたりの置換として表現される遺伝学的隔たりを示す。(A)GL50/B7関連蛋白の系統発生樹。受託番号MMU67065 1はマウスブチロフィリンを示す。(B)ICOS/CD28/CTLA4蛋白の系統発生樹。
【図22】 図22は、抗CD28ブロッキング抗体の不存在下または存在下におけるT細胞のGL共刺激による増殖およびサイトカイン誘導を示す。注:hGL50.FcはhGL50−IgG2amと同じである。
【図23】 図23は、種々の濃度の抗CD28ブロッキング抗体および抗CD3刺激の存在下におけるGL50共刺激により誘導されたT細胞増殖を示す。
【図24】 図24は、CD28刺激の不存在下または存在下におけるGL50共刺激によるT細胞におけるサイトカイン誘導を示す。
【図25】 図25は、マウスにおける腫瘍増殖に対するGL50−IgG2aの阻害能を示す。
【図26】 図26は、hICOS−mIgG2am融合蛋白の配列を示す。(A)hICOS−mIgG2amをコードするヌクレオチド配列(配列番号:23として示す)。オンコスタチン−Mリーダー配列は下線を付したヌクレオチドによりコードされる。ボックスで囲んだヌクレオチドは融合蛋白のマウスIgG2amドメインをコードする。翻訳開始部位をXにより示す。イントロンおよび非翻訳領域を破線により示す。停止コドンを二重下線により示す。(B)hICOS−mIgG2am融合蛋白の推定アミノ酸配列(配列番号:24として示す)。
【図27】 図27は、mICOS−mIgG2am融合蛋白の配列を示す。(A)mICOS−mIgG2amをコードするヌクレオチド配列(配列番号:25として示す)。オンコスタチン−Mリーダー配列は下線を付したヌクレオチドによりコードされる。ボックスで囲んだヌクレオチドは融合蛋白のマウスIgG2amドメインをコードする。翻訳開始部位をXにより示す。イントロンおよび非翻訳領域を破線により示す。停止コドンを二重下線により示す。(B)mICOS−mIgG2am融合蛋白の推定アミノ酸配列(配列番号:26として示す)。
【図28】 図28は、hGL50−mIgG2am融合蛋白の配列を示す。(A)hGL50−mIgG2amをコードするヌクレオチド配列(配列番号:27として示す)。オンコスタチン−Mリーダー配列は下線を付したヌクレオチドによりコードされる。ボックスで囲んだヌクレオチドは融合蛋白のマウスIgG2amドメインをコードする。翻訳開始部位をXにより示す。イントロンおよび非翻訳領域を破線により示す。停止コドンを二重下線により示す。(B)hGL50−mIgG2am融合蛋白の推定アミノ酸配列(配列番号:28として示す)。
【図29】 図29は、mGL50−mIgG2am融合蛋白の配列を示す。(A)mGL50−mIgG2amをコードするヌクレオチド配列(配列番号:29として示す)。オンコスタチン−Mリーダー配列は下線を付したヌクレオチドによりコードされる。ボックスで囲んだヌクレオチドは融合蛋白のマウスIgG2amドメインをコードする。翻訳開始部位をXにより示す。イントロンおよび非翻訳領域を破線により示す。停止コドンを二重下線により示す。(B)mGL50−mIgG2am融合蛋白の推定アミノ酸配列(配列番号:30として示す)。
【図30】 図30は、種々の脾臓細胞タイプのICOS−Ig染色を示す。
【図31】 図31は、GL50でトランスフェクションされた腫瘍細胞の腫瘍形成性の低下を示す。
【配列表】
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Claims (18)

  1. 配列番号:3または5に示されるヌクレオチド配列を含む単離核酸分子。
  2. 配列番号:4または6に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする単離核酸分子。
  3. 下記のものからなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む単離核酸分子:
    a)配列番号:3または5のヌクレオチド配列と少なくとも98%同一であるヌクレオチド配列;および
    b)配列番号:4または6のアミノ酸配列に対して少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列。
  4. 請求項13のいずれか1項記載の核酸分子のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含む単離核酸分子。
  5. 請求項13のいずれか1項記載の核酸分子ならびに異種ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離核酸分子。
  6. 請求項13のいずれか1項記載の核酸分子を含むベクター。
  7. 下記のものからなる群より選択される単離ポリペプチド:
    a)配列番号:3または5のヌクレオチド配列のコーディング領域を含む核酸分子に対して少なくとも98%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸分子によりコードされるポリペプチド;および
    b)配列番号:4または6のアミノ酸配列に対して少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド。
  8. 配列番号:4または6のアミノ酸配列を含む請求項7記載の単離ポリペプチド。
  9. さらに異種アミノ酸配列を含む請求項8記載のポリペプチド。
  10. 異種アミノ酸配列が免疫グロブリン分子に由来するものである請求項9記載のポリペプチド。
  11. 配列番号:6のアミノ酸21〜247を含むGL50分子の細胞外ドメインを含む可溶性ポリペプチド。
  12. Ig融合ポリペプチドである請求項11記載の可溶性ポリペプチド。
  13. 請求項7記載のポリペプチドに選択的に結合する抗体。
  14. 請求項13記載の抗体を含む、免疫応答をモジュレーションするための医薬組成物。
  15. 7−1またはB7−2分子に結合する少なくとも1種の抗体をさらに含む、請求項14記載の医薬組成物。
  16. 請求項7記載の単離ポリペプチドを含む、T細胞共刺激をモジュレーションするための医薬組成物。
  17. 試料中の請求項7記載のポリペプチドの存在を検出する方法であって、
    a)該ポリペプチドに選択的に結合する抗体に試料を接触させ、次いで、
    b)該抗体が試料中の該ポリペプチドに結合するかどうかを調べて、そのことにより試料中の該ポリペプチドの存在を検出する
    ことを特徴とする方法。
  18. 列番号:6のアミノ酸21〜247を含むGL50分子の細胞外ドメインを含む可溶性ポリペプチドを含む、腫瘍細胞の増殖を抑制するための医薬組成物。
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