JP4737493B2 - 建物の空調設備 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,マルチユニットを使用した建物の空調設備に関する。
【0002】
【従来の技術】
建物の個別式空調方式として,マルチユニット(通称「ビルマルチ」又は「ビル用マルチパッケージ」)を用いた方式が知られている。特にテナントビルや小規模建物などでは,部屋ごとに空調運転の発停や冷・暖房の選択運転ができるなどのメリットがあるため,冷凍機・ボイラ・冷却塔などからなる中央式空調からマルチユニットを用いた方式にほとんど置き換わっている。個別式空調方式のなかでも,冷房時に室外機の凝縮器を空気で冷やす空気熱源方式の方が水冷式である水熱源方式より,工事費や保守性,建物の規模によっては構成機器の価格において優位であり,より普及している。そのなかでも,冷房能力を賄う蒸発器(冷却器)を備えた室内機を複数台まとめてより少ない台数の室外機に受け持たせる空調ユニット組によるシステムは,機器の低コスト化,省スペースなどの点で優位で,一般に採用されている。
【0003】
しかし,マルチユニットでは,HFC(ハイドロフルオロカーボン)などの代替フロン系の冷媒液(ガス)を搬送する冷媒配管の長さに制約がある。例えば,室内機から高い場所にある室外機に冷媒ガスを送る場合,室内機と室外機間の高さの分だけヘッドの損失があるため,室外機に設けた圧縮機の力だけでは,凝縮器に搬送する冷媒ガスの圧力が不足することがある。すなわち,室内機と室外機を接続する冷媒配管が長いほど,冷房又は暖房能力が劣る。
【0004】
そこで,従来,室内空気と熱交換した後の冷媒ガスと冷媒液とを,室内機廻りにおいて熱交換させて過冷却し,冷房能力の低下を防止する構成が提案されている(例えば,特許文献1参照)。また,冷媒自然循環方式のシステムに,冷媒を強制循環させるための循環ポンプ,補助ポンプを備え,補助ポンプの駆動によってヘッドの不足分を補う構成が提案されている(例えば,特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平4−254167号公報(第3,4頁,第2図)
【特許文献2】
特開平9−222243号公報(第3,4頁,第2図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,上記特許文献1に記載されたものは,室内機廻りに,冷媒液と冷媒ガスを熱交換させる熱交換部を備える必要があり,部材点数が多くなるとともに,熱交換部の設置スペースをとる必要がある。また,上記特許文献2に記載されたものは,室温の制御精度に改善の余地があるほか,補助ポンプ等の別途専用の機器を必要とするので,コストが増加する懸念がある。
【0007】
一方,マルチユニットの室外機は,一般に建物の屋上に設置されるが,屋上には,電気設備など他の設備機器も配置する必要がある。特に,大規模建物(例えば,10000坪以上)では,設置するマルチユニットの台数が多いため,屋上に配置する室外機の数も多く,スペースが不足する問題がある。また,室外機同士を密に配置した場合には,室外機から排出された高温排気が室外機の吸い込み口から吸い込まれ,冷房能力が低下する問題がある。通信施設や電算センタなどの屋上において,室外機を多段に積層することも提案されているが,床・室外機架台の強度やコストの面で問題があり,実用に至っていない。
【0008】
従って,本発明の目的は,マルチユニットの利点を損ねることなく省スペースを図ることができる空調設備を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために,本発明によれば,1又は2以上の室外機と,前記室外機よりも個数の多い複数の室内機を組み合わせ,前記室外機と室内機を互いに冷媒配管で接続したマルチユニットを構成し,前記マルチユニットを複数組み合わせて構成された空調ユニット組を,建物の複数階にそれぞれ設けた空調設備であって,前記複数の室外機が,建物の複数階と屋上階にわたって設置され,少なくとも一部の空調ユニット組の室外機が,建物の複数階にわたって設置され,かつ,何れの空調ユニット組においても,室内機の設置されている階に対して,室外機の設置されている階が同じかもしくは上の階となり,各空調ユニット組同士において,室内機の設置されている階がより低い空調ユニット組の室外機の設置されている階は,それよりも高い階に室内機が設置されている空調ユニット組の室外機の設置されている階を,越えない関係となっていることを特徴とする,建物の空調設備が提供される。なお,本明細書でいう「空調ユニット組」とは,複数のマルチユニットの組み合わせをいう。この空調設備にあっては,冷媒配管の高低差が大きくなりすぎることを避けることができ,空調ユニット組の予定された能力を損ねることを防止する。また,屋上に余裕をもって室外機その他の設備を配置できる。
【0010】
また,本発明によれば,1又は2以上の室外機と,前記室外機よりも個数の多い複数の室内機を組み合わせ,前記室外機と室内機を互いに冷媒配管で接続したマルチユニットを構成し,前記マルチユニットを複数組み合わせて構成された空調ユニット組を,建物の複数階にそれぞれ設けた空調設備であって,前記複数の室外機が,建物の複数階と低層階の開放空間にわたって設置され,少なくとも一部の空調ユニット組の室外機が,建物の複数階にわたって設置され,かつ,何れの空調ユニット組においても,室内機の設置されている階に対して,室外機の設置されている階が同じかもしくは下の階となり,各空調ユニット組同士において,室内機の設置されている階がより低い空調ユニット組の室外機の設置されている階は,それよりも高い階に室内機が設置されている空調ユニット組の室外機の設置されている階を,越えない関係となっていることを特徴とする,建物の空調設備が提供される。
【0011】
さらに,屋上階の他または開放空間の他では,建物のバルコニーまたは非常用階段に室外機が設置されていることが好ましい。なお,建物を真上から見ると,各バルコニーが,平面的に同じ位置に重なるように配置され,各バルコニーに設置された室外機が,建物を真上から見ると,平面的に同じ位置に重なるように配置されていることが好ましい。例えば,大規模建物の場合,一つの階に多くの室内機を配置する必要があり,これらに接続された複数の室外機を一つのバルコニー内に収めることができない虞や,避難経路や室外機のメンテナンスに必要なスペースが確保できない虞があるが,そのような場合,複数の階のバルコニーに分散させて配置することにより,これらの問題を解消できる。
【0012】
前記バルコニーに設置された室外機の排気を建物から離れた方向にガイドするガイド部材を装着しても良い。この場合,ショートサーキットを防止できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は,本発明を適用した建物の立面図である。建物1は,X+n階建てであり,1階からX−1階までの低層棟2と,X階(基準階)からX+n(nは任意の整数)階までの高層棟3によって構成されている。以下,説明のためn=3とする。低層棟2は,ホテルとして設計され,ホテル等の空調に適した中央式空調システムが備えられている。高層棟3は,建物1を真上から見たとき,図2及び図3に示すほぼ同じ形状・間取りの階が,X階からX+3階まで積層された形状となっている。X階からX+3階までの各階の階高は,それぞれ約4.4メートル程度である。X階からX+3階までの各部屋の用途は事務室,より具体的にはテナント用事務室であり,X階からX+3階までの各階にわたって,それぞれ,6セットのマルチユニットの組み合わせからなる空調ユニット組が設けられている。さらに,高層棟3の上には,図4に示す屋上階RFが設けられている。
【0014】
図1に示すように,高層棟3の各階には,バルコニー4が設けられている。X階からX+3階までの各階のバルコニー4は,高さ方向に揃えて形成されており,建物1を真上から見ると,各バルコニー4が,平面的に同じ位置に重なるように配置されている。
【0015】
X階からX+3階までは,ほぼ同じ形状を有するので,代表してX階の間取りについて説明する。図2は,X階における間取りと室内機・室外機の配置を平面的に示している。X階の内部には,2つのテナント室7,8,共用部分10が形成されている。テナント室7,8,共用部分10は,互いに壁によって仕切られている。共用部分10には,廊下11,物置12,階段室13,トイレ14,エレベータホール15が形成されている。
【0016】
バルコニー4は,X階の共用部分10の外側に張り出した状態で設けられている。建物1の外壁の外側には,図示しない複数の棒状の鋼材が,X階の床部分の躯体に支持され,外壁から張り出して形成されている。また,複数の棒状の鋼材は,それぞれ建物1の外壁と略直交するように,かつ,互いに所定の間隔をおいて略平行に,水平面内に並ぶように形成されている。そして,この複数の棒状の鋼材の上に鋼板が敷設されており,これにより,バルコニー4の底部が形成されている。このように,バルコニー4は底部にコンクリートを打設せず,壁を設けずに外側に形成されているため,バルコニー4の面積は建築面積には含まれない。
【0017】
X階以上のX+1階,X+2階,X+3階も,テナント室7,8,共用部分10が形成されている点で,以上に説明したX階と共通する。
【0018】
次に,X階からX+3階までの各階に設けられた空調ユニット組について説明する。各階の空調ユニット組は,6セットのマルチユニットによって構成されている。また,各マルチユニットは,2以上の室内機によって構成された室内機群と室外機とを配管によって接続して構成されている。室内機群の配置は,X階からX+3階まで,ほぼ同じであるので,代表して,X階の室内機群の配置について説明する。
【0019】
図2に示すように,X階のテナント室7には,6台の室内機21からなる室内機群22と,10台の室内機25からなる室内機群26と,9台の室内機29からなる室内機群30と,6台の室内機33からなる室内機群34と,が配置されている。テナント室8には,7台の室内機37からなる室内機群38と,7台の室内機41からなる室内機群42と,が配置されている。トイレ14と,エレベータホール15には,それぞれ,エアコンの室内機45,46が配置されている。なお,X階の室内機群22,26,30,34は,後述するように,それぞれ一台の室外機51,52,53,54に配管接続されており,これにより,4セットのマルチユニットが構成されている。X階の室内機群38,42は,後述するように,それぞれ一台の室外機55,56に配管接続されており,これにより,2セットのマルチユニットが構成されている。これら6セットのマルチユニットによって,X階の空調ユニット組が構成されている。室内機45,46は,後述するように,一台の室外機91に配管接続されており,トイレ用,エレベータホール用のエアコンが構成されている。
【0020】
また,図示はしないが,テナント室7に備えられる30台の室内機21,25,29,33のうち,27台は,冷房時に蒸発器(冷却器)として作用する熱交換器,送風機,膨張弁を備えた室内ユニットであり,残りの3台は,熱交換器,送風機,膨張弁,全熱交換器,加湿器が内蔵され除湿・加湿を行う外気処理ユニットである。また,テナント室に備えられる14台の室内機37,41のうち,12台は,冷房時に蒸発器(冷却器)として作用する熱交換器,送風機,膨張弁を備えた室内ユニットであり,残りの2台は,熱交換器,送風機,膨張弁,全熱交換器,加湿器が内蔵され除湿・加湿を行う外気処理ユニットである。室内ユニットと外気処理ユニットは,ともに冷媒配管を介して後述する室外機にそれぞれ接続されるため,本実施の形態では,室内ユニットと外気処理ユニットを室内機の名で総称するものとする。なお,室内機21,25,29,33,37,41の型式はすべて天吊型である。
【0021】
X階以上のX+1階,X+2階,X+3階も,6セットのマルチユニットからなる空調ユニット組を備え,テナント室7に室内機群22,26,30,34が配置され,テナント室8に室内機群38,42が配置される点,トイレ14とエレベータホール15にそれぞれエアコンの室内機45,46が配置される点で,以上に説明したX階と共通する。ここで,X+1階,X+2階,X+3階の室内機群22,26,30,34,38,42は,それぞれ20馬力,30馬力,30馬力,18馬力,24馬力,24馬力の出力を有するマルチユニットの室内機群である点で,X階の室内機群22,26,30,34,38,42と共通する。X階,X+1階,X+2階,X+3階における室内機群22,26,30,34,38,42の配置パターンは,互いに平面的にほぼ同一であり,建物1を真上から見たとき,図2に示すほぼ同じ配置パターンが,高さ方向に重なるように配置されている。この場合,設計,規格化,建設が容易である。
【0022】
次に,X階からX+3階のバルコニー4に配置された室外機51〜56,61〜66について説明する。図1及び図2に示すように,X階のバルコニー4には,X階の室内機群22,26,30に,それぞれ図示しない冷媒配管によって接続された,マルチユニットの室外機51,52,53が配置されている。室内機群22と室外機51,室内機群26と室外機52,室内機群30と室外機53の各組み合わせによって,それぞれ,20馬力,30馬力,30馬力の出力を有するマルチユニットが構成されている。図1及び図3に示すように,X+1階のバルコニー4には,X階の室内機群34,38,42に,それぞれ図示しない冷媒配管によって接続された,マルチユニットの室外機54,55,56が配置されている。室内機群34と室外機54,室内機群38と室外機55,室内機群42と室外機56の各組み合わせによって,それぞれ,18馬力,24馬力,24馬力の出力を有するマルチユニットが構成されている。なお,これら6セットのマルチユニットの組み合わせによって,X階の空調ユニット組が構成されている。
【0023】
図1に示すように,X+2階のバルコニー4には,X+1階の室内機群22,26,30に,それぞれ図示しない冷媒配管によって接続された,マルチユニットの室外機61,62,63が配置されている。室内機群22と室外機61,室内機群26と室外機62,室内機群30と室外機63の各組み合わせによって,それぞれ,20馬力,30馬力,30馬力の出力を有するマルチユニットが構成されている。X+3階のバルコニー4には,X+1階の室内機群34,38,42に,それぞれ図示しない冷媒配管によって接続された,マルチユニットの室外機64,65,66が配置されている。室内機群34と室外機64,室内機群38と室外機65,室内機群42と室外機66の各組み合わせによって,それぞれ,18馬力,24馬力,24馬力の出力を有するマルチユニットが構成されている。なお,これら6セットのマルチユニットの組み合わせによって,X+1階の空調ユニット組が構成されている。
【0024】
図4に示す屋上階RFには,X+2階の室内機群22,26,30,34,38,42に,それぞれ図示しない冷媒配管によって接続された,マルチユニットの室外機71,72,73,74,75,76が配置されている。室内機群22と室外機71,室内機群26と室外機72,室内機群30と室外機73,室内機群34と室外機74,室内機群38と室外機75,室内機群42と室外機76の各組み合わせによって,それぞれ,20馬力,30馬力,30馬力,18馬力,24馬力,24馬力の出力を有するマルチユニットが構成されている。なお,これら6セットのマルチユニットの組み合わせによって,X+2階の空調ユニット組が構成されている。
【0025】
さらに,屋上階RFには,X+3階の室内機群22,26,30,34,38,42に,それぞれ図示しない冷媒配管によって接続された,マルチユニットの室外機81,82,83,84,85,86が配置されている。室内機群22と室外機81,室内機群26と室外機82,室内機群30と室外機83,室内機群34と室外機84,室内機群38と室外機85,室内機群42と室外機86の各組み合わせによって,それぞれ,20馬力,30馬力,30馬力,18馬力,24馬力,24馬力の出力を有するマルチユニットが構成されている。なお,これら6セットのマルチユニットの組み合わせによって,X+3階の空調ユニット組が構成されている。
【0026】
このように,建物1においては,X階からX+3階までの各階に設けられた4つのバルコニー4及び屋上階RFが,開放空間(室外機を配置した際に大気中への排気が可能なスペース)として利用されている。また,X階からX+3階までの,何れの階の空調ユニット組においても,室外機51〜56,室外機61〜66,室外機71〜76,又は室外機81〜86が,建物1の2つの上下に隣り合う階にわたって3台ずつ分散させて設置されるか,もしくは屋上階RFに設置されている。かつ,何れの階の空調ユニット組においても,室内機群22,26,30,34,38,42の設置されている階に対して,室外機51〜56,室外機61〜66,室外機71〜76,又は室外機81〜86の設置されている階が,同じ高さの階か,もしくはそれよりも上の階となっている。
【0027】
さらに,X階の空調ユニット組の室外機51〜56が設置されている階は,X階とX+1階であり,X+1階の空調ユニット組の室外機61〜66が設置されている階であるX+2階とX+3階,及び,X+2階,X+3階の各空調ユニット組の室外機71〜76,81〜86が設置されている屋上階RFを,超えない関係となっている。同様に,X+1階の空調ユニット組の室外機61〜66が設置されている階は,X+2階とX+3階であり,X+2階,X+3階の各空調ユニット組の室外機71〜76,81〜86が設置されている屋上階RFを,超えない関係となっている。
【0028】
ここで,X階からX+3階の各バルコニー4に配置された室外機51〜56,61〜66について,詳細に説明する。図2に示すように,室外機51,52,53は,X階のバルコニー4の外縁付近に沿って,一列に並ぶように配列されている。バルコニー4において,室外機51,52,53と,建物1の壁との間は,避難経路として確保されたスペースとなっている。また,このスペースは,室外機51,52,53の保守点検の際にも利用される。
【0029】
図3は,X+1階における間取りと室内機・室外機の配置を平面的に示している。図3に示すように,X+1階におけるバルコニー4の室外機54,55,56の配置は,X+1階のバルコニー4の外縁付近に沿って,一列に並ぶように配列されている点,室外機54,55,56と建物1の壁との間は避難経路及び保守点検のためのスペースとして確保されている点で,X階におけるバルコニー4の室外機51,52,53の配置と共通する。さらに,図示はしないが,X+2階におけるバルコニー4の室外機61,62,63の配置,X+3階におけるバルコニー4の室外機64,65,66の配置も,各バルコニー4の外縁付近に沿って,一列に並ぶように配列されている点,建物1の壁との間は避難経路及び保守点検のためのスペースとして確保されている点で,X階のバルコニー4と共通する。また,図1に示すように,建物1を横から見ると,X階からX+3階までの各バルコニー4に,室外機51,54,61,64が,この順に下から高さ方向に並べて配置された状態となっており,X階からX+3階までの各バルコニー4に,室外機52,55,62,65が,この順に下から高さ方向に並べて配置された状態となっており,X階からX+3階までの各バルコニー4に,室外機53,56,63,66が,この順に下から高さ方向に並べて配置された状態となっている。このようにすると,建物の設計,規格化,建設が容易である。
【0030】
なお,X階のバルコニー4には,X階の室外機45,46に接続された室外機91が取り付けられ,将来的に冷房能力を向上させるための予備の室外機置き場92が確保されている。X+1階のバルコニー4には,X+1階の室外機45,46に接続された室外機93が取り付けられ,将来的に冷房能力を向上させるための予備の室外機置き場94が確保されている。X+2階のバルコニー4には,X+2階の室外機45,46に接続された室外機95が取り付けられ,将来的に冷房能力を向上させるための予備の室外機置き場96が確保されている。X+3階のバルコニー4には,X+3階の室外機45,46に接続された室外機97が取り付けられ,将来的に冷房能力を向上させるための予備の室外機置き場98が確保されている。
【0031】
室外機51〜56,61〜66は,冷却能力が異なる他は,互いにほぼ同様の構成を有する。そこで,次に,室外機51〜56,61〜66のうち,代表して室外機51の構成について説明する。図5は,X階のバルコニー4に設けられた室外機51,52,53の斜視図であり,図6は,室外機51の立面図を概略的に示したものである。室外機51は,図示はしないが,冷房時に凝縮器として作用する熱交換器,圧縮機及び送風機を備えている。図6に示すように,室外機51の側部には,室外機51に大気中の空気を導入する吸い込み口101が設けられている。熱交換器は,冷房時に吸い込み口101から吸い込まれた空気によって冷却される。また,図5,図6に示す態様では,吸い込み口101がバルコニー4の外側に向かうように配置されている。
【0032】
図5に示すように,室外機51は,室外機51からの排気を大気中に放出する筒状のフード102を備えている。フード102は,室外機51の上面に略垂直に突出させて設けられており,フード102の端部である排気口がバルコニー4の外側に向かうように,略直角に曲げられている。
【0033】
一方,図5に示すように,バルコニー4の外縁に沿って,ルーバ105が備えられている。このルーバ105は,水平方向(図5,図6,図7においてx方向)に所定の間隔をおいて立設された複数本の棒状部材106によって構成されている。各棒状部材106はアルミ製である。また,各棒状部材106の形状は,例えば,幅(複数本の棒状部材106が並ぶ方向(x方向)の長さ)が約50mm程度,厚さ(バルコニー4の内側から外側に向かう方向(図5,図6,図7においてy方向)の長さ)が約150mm程度の四角柱状である。また,ルーバ105は,人がバルコニー4を歩行する際の落下防止の機能を兼用する。さらに,ルーバ105を構成する棒状部材106の室内側には,それぞれ目隠し羽根108が設けられている。各目隠し羽根108は,上方から見ると,くの字型に曲げた板状に形成されており,互いに略平行に水平方向(x方向)に並べて,それぞれ立設されている。
【0034】
図7は,フード102の排気口とルーバ105の周辺を上方(垂直方向,図5,図6,図7においてz方向)から見た状態を拡大して示したものである。フード102の排気口は,ルーバ105を構成する棒状部材106のうちフード102の排気口の正面に位置する6本に近接している。なお,各目隠し羽根108は,棒状部材106にフード102の排気口を近接させるため,フード102の形状に合わせて切り取られている。施工手順としては,先ず目隠し羽根108を立設した後に,隣接する複数の目隠し羽根108の一部をそれぞれ切り取ることにより,フード102を納める穴を形成し,その後,フード102を穴に納めるようにして,フード102の排気口を棒状部材106に近接させて配置する。また,目隠し羽根108とフード102内部は,同色に彩色されている。即ち,目隠し羽根108は,くの字に曲がった形状をしているため,バルコニー4の外側から見たときに目隠しとなっており,ルーバ105の隙間から室内側が見えず,さらに,目隠し羽根108とフード102内部が同色に彩色されていることにより,美観上好ましい効果がある。本実施の形態において,高温排気を建物1から離れた方向にガイドするガイド部材は,ルーバ105と目隠し羽根108によって構成されている。
【0035】
図6に示すように,大気中の空気は,吸い込み口101から室外機51内に吸い込まれ,室外機51内の熱交換器を冷却し,高温排気となってフード102によって放出される。フード102の排気口から放出された高温排気は,ルーバ105の隙間,即ち棒状部材106同士の間を通過して,ルーバ105の外側に放出される。高温排気は,ルーバ105の隙間を通過する際に増速され,ノズル効果により,バルコニー4から離隔した遠方まで吹き飛ばされる。このように,高温排気を建物1から離れた方向にガイドすると,室外機51からの高温排気が,再び室外機51に吸い込まれたり,室外機51の隣りに配置された室外機52,53や,直上のX+1階のバルコニー4に配置された室外機54,55,56,さらに,X+2階,X+3階のバルコニー4に配置された室外機61〜66に吸い込まれることを効果的に防止できる。
【0036】
また,図6に示すように,室外機51の吸い込み口101に向かって微細液滴を噴霧するノズル109が,吸い込み口101に対して上下2箇所に設けられており,給水配管110を通じて噴霧用の水が各ノズル109に対して給水されるようになっている。さらに,吸い込み口101から吸い込まれる空気の温度を測定する温度センサが,室外機51に内蔵されており(図示せず),温度センサによって検出された吸い込み空気の温度が,所定の値を超えた場合に,ノズル109から熱交換器(凝縮器)に微細液滴を噴霧させるようになっている。その他,突風が吹いたときや,強風が続くときに,フード102から排出された高温排気が風に押されて,吸い込み口101に向かって押されてしまうことがあり,このとき,各ノズル109から熱交換器のフィンに向けて微細液滴を噴霧させる。これらのときに,当該微細液滴は直ちに蒸発し,微細液滴が蒸発する際の蒸発潜熱により,熱交換器の凝縮圧力が低下する。また,吸い込み口101から吸い込まれる空気の温度が下がる。従って,外気温が設定した温度を超えた場合や,ショートサーキットが生じた場合等に,室外機51の熱交換能力が低下したり,室外機51が停止することを防止できる。
【0037】
なお,室外機52〜56,61〜66も,熱交換器,圧縮機,送風機,吸い込み口101,フード102,温度センサを備える点,ルーバ105,目隠し羽根108,ノズル109が対応して設けられている点で,室外機51と共通する。即ち,X階からX+3階までの各バルコニー4に配置した室外機51〜56,61〜66に対して,フード102,ルーバ105,目隠し羽根108をそれぞれ設けることにより,互いの高温排気を吸い込むことを防止できる。
【0038】
次に,室外機51〜56,61〜66にそれぞれ接続される冷媒配管について説明する。室外機51〜56,61〜66にそれぞれ接続される冷媒配管は,互いにほぼ同様の構成を有するので,代表して,室内機群22と室外機51を接続する冷媒配管について説明する。冷媒配管は,図示しないが,冷媒ガスを各室内機21から室外機41に搬送する冷媒ガス配管と,冷媒液を室外機41から各室内機21に搬送する冷媒液配管によって構成されている。これら冷媒ガス配管,冷媒液配管は,室内機群22と室外機51を接続する電線とともに束ねられ,断熱材によって被覆されている。
【0039】
冷媒ガス配管は,室内機群22を構成する6台の室内機21の各冷媒ガス配管接続口に接続され,途中で合流して1本の冷媒ガス配管となり,室内機41の冷媒ガス配管接続口に接続されている。冷媒液配管は,室内機41の冷媒液配管接続口に接続され,途中で6本に分岐して,6本の分岐管が6台の室内機21の各冷媒液配管接続口にそれぞれ接続されている。
【0040】
なお,冷媒配管には,フロン系冷媒や二酸化炭素冷媒のように,常態では気体の冷媒が封入される。冷媒は,室外機51において圧縮されて液化され,冷媒液配管によって室内機21に搬送され,室内機21の膨張弁によって膨張させられ,蒸発器において蒸発してガス状となる。冷媒が蒸発器において蒸発する際,蒸発器周囲の空気が冷却され,室内機21からテナント室7に冷却された空気が放出される。室内機21の蒸発器においてガス状となった冷媒は,冷媒ガス配管によって室外機51に搬送され,室外機51の凝縮器によって冷却され,再び圧縮されて液化する。このように,冷媒は冷媒配管内で室内機21と室外機51との間を循環する。
【0041】
室外機52〜56,61〜66にそれぞれ接続される冷媒配管も,冷媒ガス配管,冷媒液配管によって構成される点,電線,断熱材を備える点で,室内機群22と室外機51を接続する冷媒配管と共通する。
【0042】
ここで,室外機52〜56,61〜66にそれぞれ接続される各冷媒配管の配設について説明する。室外機51,52,53にそれぞれ接続された各冷媒配管は,X階の天井裏において室内機群22,26,30に接続され,X階の天井裏を通って敷設されており,それぞれ建物1の外壁を貫通して,X階のバルコニー4に至り,それぞれ室外機51,52,53に向けてたち下がって敷設され,室外機51,52,53に接続されている。一方,室外機54,55,56にそれぞれ接続された各冷媒配管は,X階の天井裏において室内機群34,38,42に接続され,X階の天井裏を通って敷設されており,図示しないパイプシャフトの内部を通り,X+1階において,パイプシャフトの内部から建物1の外壁を貫通して,X+1階のバルコニー4に至り,それぞれ室外機54,55,56に接続されている。
【0043】
室外機61〜66にそれぞれ接続された各冷媒配管は,室外機54,55,56にそれぞれ接続された各冷媒配管と,ほぼ同様の配設がされている。即ち,X階の天井裏において室内機群22,26,30,34,38,42に接続され,X+1階の天井裏を通り,天井裏から図示しないパイプシャフトの内部に延出して,この内部においてたち上がるように設けられ,X+2階又はX+3階において,パイプシャフトの内部から建物1の外壁を貫通して外部に延出し,該当する室外機61〜66にそれぞれ接続されている。
【0044】
次に,屋上階RFに配置された室外機71〜76,81〜86及びその他の機器について説明する。前述のように,図4に示す屋上階RFには,室外機71〜76,81〜86が配置されている。各室外機71〜76,81〜86は,互いに十分な間隔を空けて配置され,他の室外機71〜76,81〜86からの高温排気がそれぞれの吸い込み口101から吸い込まれないようになっている。
【0045】
室外機71〜76,81〜86は,熱交換器,圧縮機,送風機,吸い込み口101,温度センサを備える点,ノズル109が対応して設けられている点で,室外機51と共通する。また,室外機71〜76,81〜86には,上方に向かって大気中に排気を放出する図示しないフードが備えられている。
【0046】
屋上階RFの各室外機71〜76,81〜86とX+2階とX+3階にそれぞれ配設された室内機群22,26,30,34,38,42とを接続する冷媒配管は,冷媒ガス配管,冷媒液配管によって構成される点,電線,断熱材を備える点で,室内機群22と室外機51を接続する冷媒配管と共通する。また,室外機71〜76,81〜86にそれぞれ接続された各冷媒配管は,室外機54,55,56にそれぞれ接続された各冷媒配管と,ほぼ同様の配設がされている。即ち,X+2階又はX+3階の天井裏において各室内機群22,26,30,34,38,42に接続され,X+2階又はX+3階の天井裏を通り,天井裏から図示しないパイプシャフトの内部に延出して,この内部においてたち上がるように設けられ,屋上階RFにおいて,パイプシャフトの内部から建物1の外壁を貫通して外部に延出し,該当する室外機71〜76,81〜86にそれぞれ接続されている。
【0047】
その他,屋上階RFには,電気設備としてのキュービクル115が配置されている。また,空調設備としてコージェネレーション用ガスタービン116,空調用冷却塔117,空調用冷却水ポンプ118が配置されている。これら空調設備は,前述の低層棟2の熱源機器である。さらに,将来の通信・情報機器の導入を考慮に入れた将来機器設置スペースとして,将来IT対応用冷却塔置き場120と,将来IT対応用冷却水ポンプ置き場121が確保されており,設備の拡張性を有する建物となっている。また,屋上階RFにおいて,X階からX+3階の共用部分10の上に該当する位置には,排煙機125,オイルタンク室126,階段室127,高置水槽128が備えられている。X階からX+3階のエレベータホール15の上部に該当する位置は,エレベータホール15に設けられたエレベータを保守点検するためのエレベータ保守点検スペース130となっており,保守点検のための設備が配設されている。
【0048】
以上に説明したように,建物1の高層棟3の各階に設けた空調ユニット組と,高層棟3の各階のトイレ14及びエレベータホール15に設けたエアコン,及び,建物1の低層棟2に設けた中央式空調システムによって,建物1の空調設備が構成されている。
【0049】
かかる空調設備によれば,X階からX+3階の空調システムの合計24台の室外機52〜56,61〜66,71〜76,81〜86のうち,X階とX+1階の室外機52〜56,61〜66をバルコニー4に配置することにより,屋上階RFに配置する室外機の個数を,室外機71〜76,81〜86の12台に少なくすることができる。この場合,室外機71〜76,81〜86を,限られた屋上階RFのスペースに余裕をもって配置し,室外機71〜76,81〜86同士の間の間隔を,十分広く形成することができるので,互いの高温排気を吸い込むことにより生じるマルチユニットの能力低下や,室外機71〜76,81〜86が運転停止する事態を防止できる。さらに,建物1の設備に通信・情報機器を導入する場合も,通信・情報機器に要する機器設置スペースを確保することができる。また,室外機52〜56,61〜66を2つのバルコニー4に分散させて配置することにより,避難経路や室外機52〜56,61〜66のメンテナンスに必要なスペースを十分に確保できる。
【0050】
また,高層棟3のうち屋上階RFに比較的近い上側のX+2階,X+3階にそれぞれ配置された室内機群22,26,30,34,38,42に接続された室外機71〜76,81〜86は,屋上階RFに配置され,屋上階RFから比較的遠い下側のX階,X+1階にそれぞれ配置された室内機群22,26,30,34,38,42に接続された室外機51〜56,61〜66は,X階からX+3階のバルコニー4に配置される。さらに,X階の上のX+1階に配置された室内機群22,26,30,34,38,42に接続された室外機61〜66は,X階に配置された室内機群22,26,30,34,38,42に接続された室外機51〜56より,上のバルコニー4に配置される。従って,高層棟3の中で最も屋上階RFから遠い最も下のX階や,X+1階においても,冷却配管の高低差が大きくなりすぎて冷媒配管の長さ・高さが過剰に長くなることを避けることができ,マルチユニットの予定された能力を損なうことを防止する。
【0051】
以上,本発明の好適な実施の形態の一例を示したが,本発明はここで説明した形態に限定されないことは勿論であり,適宜変更実施することが可能である。本実施の形態では,n=3として,即ち,X+3階建ての建物のうち,X階からX+3階までの各階にマルチユニットを備える構成として説明したが,勿論,n=3以外の他のX+n階の建物において,X階からX+n階までの各階にマルチユニットを備える構成としても良い。即ち,X階から,X+n階のバルコニーに設置された室外機を有する空調ユニット組が設けられた階までは,バルコニー4に室外機を設置し,X+n階のバルコニー4に設置された室外機を有する空調ユニット組が設けられた階より上の階においては,屋上RFに室外機を設置する。さらに,各空調ユニット組同士において,室内機群22,26,30,34,38,42の設置されている階が低いほうの空調ユニット組の室外機の設置されている階は,それよりも高い階に室内機群22,26,30,34,38,42が設置されている空調ユニット組の室外機の設置されている階を,越えない関係とする。これにより,各空調ユニット組において,室内機群22,26,30,34,38,42が配設される階と室外機が配設されるバルコニー4との距離を小さくでき,冷媒配管長さが過剰に長くなることなく配設できるので,冷房又は暖房能力を損なうことを防止できる。さらに,X階からX+n階までの総ての階に空調ユニット組を備える場合に限定されず,建物1の任意の各階に空調ユニット組を備える場合に適用可能である。
【0052】
本出願人は,ある高層ビルに本実施の形態にかかる空調設備を備えた場合における各冷媒配管の長さ(ある室内機21,25,29,33,37,41と,その室内機と接続された室外機を結ぶ冷媒ガス配管又は冷媒液配管において,室外機の冷媒ガス配管接続口又は冷媒液配管接続口から分岐部分までの長さと,分岐部分から各室内機21,25,29,33,37,41の冷媒ガス配管接続口又は冷媒液配管接続口までの長さとを合計した長さ)を試算した。試算の対象とする高層ビルは,低層棟2と高層棟3を有する点で建物1と共通し,最上階より数えて14階下の階から,最上階までの計14階に,それぞれ実施の形態にかかる空調ユニット組を備えたものである。また,最上階より数えて14階下の階から最上階までの各階の階高は,総て4.4mとした。その結果,最も長い冷媒配管の長さは約84mであり,このマルチユニットの性能を十分に保証できる長さであることを確認した。これより,この高層ビルに備えた総てのマルチユニットの性能を保証できることを確認した。
【0053】
1つの空調ユニット組を構成するマルチユニットの個数は,6つに限定されない。また,各マルチユニットを構成する室内機群,室内機,室外機の個数は,本発明の実施の形態に示した数に限定されず,1又は2以上の室外機と,室外機よりも個数の多い複数の室内機を冷媒配管で接続したものであればよい。
【0054】
本実施の形態ではバルコニー4に室外機51〜56,61〜66を配置したが,建物1の側面に張り出して設けられた,建築面積に含まれない非常用階段を広くとり,ここに室外機51〜56,61〜66を設置しても本発明の課題を解決する。
【0055】
マルチユニットは,冷房を行うものに限定されず,暖房を行うものであっても良く,例えば,ヒートポンプ方式のパッケージエアコンであっても良い。即ち,室内機の熱交換器を,冷房時に蒸発器として作用し,暖房時に凝縮器として作用するものとし,室外機の熱交換器を,冷房時に凝縮器として作用し,暖房時に蒸発器として作用するものとして構成する。そして,冷房時には冷媒ガス配管を介して室外機から室内機へ,冷媒液配管を介して室内機から室外機へ,冷媒を搬送させ,暖房時にこの冷房回路を可逆とし,冷媒液配管を介して室外機から室内機へ,冷媒ガス配管を介して室内機から室外機へ,冷媒を搬送させるように構成する。この場合も,本発明を好適に実施可能である。
【0056】
また,本実施の形態では,各バルコニー4にそれぞれ3台ずつ室外機51〜56,61〜66を分散させて配置したが,一つのバルコニー4に配置する室外機を4台以上又は2台以下にしても良い。これにより,屋上階RFのスペースにさらに余裕を持たせたり,各バルコニー4を避難経路として利用するために必要なスペースや,室外機51〜56,61〜66のメンテナンスに必要なスペースを確保できる。
【0057】
本実施の形態では,一つのバルコニー4に,同一の階に配置された室内機に接続された室外機を配置したが,一つのバルコニー4に,複数の異なる階に配置された空調ユニット組の室外機を配置しても良い。
【0058】
なお,上側の階ほど冷媒配管の長さがより長くなるので,冷媒配管の長さ・高さが過剰に長くなるような高さの建物もありうるが,この場合は,任意の階や部位に設けるエアコンの型式の一部を変更し,例えば室外機を別に有さないウォールスルー型エアコンに変更するなどの対処をすることにより,室外機の個数を減少させ,室内機群が配設される階と室外機が配設されるバルコニー4との距離を小さくするなどの対処を行っても良い。
【0059】
ルーバ105は,高さ方向(z方向)に立設させ水平方向(x方向)に並ぶように設けたが,このような縦桟状でなく,横桟状に設置しても,ノズル効果により高温排気を遠方に放出することができる。
【0060】
次に本発明の第2の実施の形態を示す。図8に示すように,建物131に隣接して庭132などの開放空間がある場合,屋上階RFに代えてこの開放空間に室外機を配置しても良い。図8において建物131は,低層棟2と高層棟3によって構成される点は建物1と共通するが,開放空間としての屋上階RFが設けられていない点が異なる。また,建物131に隣接して開放空間としての庭132が設けられている。建物131の高層棟3には,室外機を室内機より下方に配置して配管内の冷媒を循環させる方式のマルチユニットが備えられている。この場合も,X階からX+3階の空調システムの合計24台の室外機52〜56,61〜66,71〜76,81〜86のうち,例えばX階とX+1階の室外機52〜56,61〜66を庭132に配置し,室外機71〜76,81〜86バルコニー4に配置することにより,庭132を庭園として広く利用できるとともに,バルコニー4に室外機71〜76,81〜86を余裕をもって配置できる。また,各空調ユニット組同士において,室内機群22,26,30,34,38,42の設置されている階が低いほうの空調ユニット組の室外機の設置されている階は,それよりも高い階(庭132を地上階として含む)に室内機群22,26,30,34,38,42が設置されている空調ユニット組の室外機の設置されている階を,越える関係とすることが好ましい。さらに,X+n階(図8においてX+3階)から,X階のバルコニー4に設置された室外機を有する空調ユニット組が設けられた階(図8においてX+2階)までは,バルコニー4に室外機を設置し,X+n階のバルコニー4に設置された室外機を有する空調ユニット組が設けられた階より下の階においては,庭132に室外機を設置することが好ましい。例えば,図8に示すn=3の建物131について説明すると,X+3階のバルコニー4に室外機81,82,83を配置し,X+2階のバルコニー4に室外機84,85,86を配置し,X+1階のバルコニー4に室外機71,72,73を配置し,X階のバルコニー4に室外機74,75,76を配置し,庭132に室外機51〜56,61〜66を設置すると良い。この場合も,冷却配管の高低差が大きくなりすぎて冷媒配管の長さ・高さが過剰に長くなることを避けることができ,マルチユニットの予定された能力を損なうことを防止できる。
【0061】
さらに,本発明の第3の実施の形態を示す。図9に示すように,建物135の低層棟2の上に高層棟3と並んで屋上駐車場136が設けられ,屋上駐車場136を開放空間として利用できる場合,屋上階RFに代えてこの屋上駐車場136に室外機71〜76,81〜86を配置しても良い。図9において建物135は,低層棟2と高層棟3によって構成される点は建物1と共通するが,開放空間としての屋上階RFが設けられていない点が異なる。また,低層棟2は平面的にみて高層棟3より広く構成されており,高層棟3より広い部分が屋上駐車場136として利用されている。建物135の高層棟3には,建物131と同様に,室外機を室内機より下方に配置して配管内の冷媒を循環させる方式のマルチユニットが備えられている。この場合も,X階からX+3階の空調システムの合計24台の室外機52〜56,61〜66,71〜76,81〜86のうち,例えばX階とX+1階の室外機52〜56,61〜66を屋上駐車場136に配置し,室外機71〜76,81〜86バルコニー4に配置することにより,屋上駐車場136を駐車スペースとして広く利用できるとともに,バルコニー4に室外機71〜76,81〜86を余裕をもって配置できる。さらに,例えば,図9に示すn=3の建物135について説明すると,X+3階のバルコニー4に室外機81,82,83を配置し,X+2階のバルコニー4に室外機84,85,86を配置し,X+1階のバルコニー4に室外機71,72,73を配置し,X階のバルコニー4に室外機74,75,76を配置し,屋上駐車場136に室外機51〜56,61〜66を設置すると良い。この場合も,冷却配管の高低差が大きくなりすぎて冷媒配管の長さ・高さが過剰に長くなることを避けることができ,マルチユニットの予定された能力を損なうことを防止できる。
【0062】
さらに,本発明の第4の実施の形態を示す。図10に示すように,建物138の高層棟3の上に屋上階RFが設けられ,かつ,低層棟2の上に高層棟3と並んで屋上駐車場136が設けられ,屋上階RFも屋上駐車場136も開放空間として利用できる場合は,複数のバルコニー4,屋上階RF,屋上駐車場136に室外機を分散させて配置しても良い。図10において建物138は,低層棟2,高層棟3,屋上駐車場136を有する点が建物135と共通する。さらに,屋上階RFを有する点で建物1と共通する。また,建物138のX階には,室外機を室内機より下方に配置して配管内の冷媒を循環させる方式のマルチユニットが備えられ,X+1階からX+3階には,室外機を室内機より上方に配置して配管内の冷媒を循環させる方式のマルチユニットが備えられている。そして,屋上駐車場136に室外機51,52,53,54を配置し,X階のバルコニー4に室外機55,56を配置し,X+1階のバルコニー4に室外機61,62を配置し,X+2階のバルコニー4に室外機63,64を配置し,X+3階のバルコニー4に室外機65,66を配置し,屋上階RFに室外機71〜76,81〜86を配置すると良い。なお,建物138に隣接して,建物131と同様に庭132が設けられている場合は,屋上駐車場136に代えて庭132に室外機51,52,53,54を配設しても良い。この場合も,冷却配管の高低差が大きくなりすぎて冷媒配管の長さ・高さが過剰に長くなることを避けることができ,マルチユニットの予定された能力を損なうことを防止できる。
【0063】
【発明の効果】
本発明によれば,冷媒配管の高低差が大きくなりすぎることを避けることができ,マルチユニットの予定された能力を損なうことを防止する。屋上に配置する室外機の個数を少なくすることができる。この場合,室外機を,屋上に余裕をもって配置し,室外機同士の間の間隔を,十分広く形成することができるので,マルチユニットの能力低下や運転停止を防止できる。さらに,建物に通信・情報機器を導入する場合も,通信・情報機器に要する機器設置のためのスペースを確保できる。また,例えば,近年注目される屋上緑化のためのスペースを提供できる。バルコニーに余裕をもって室外機を配置できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した建物の立面図である。
【図2】X階の間取りと室内機・室外機の配置を説明する平面図である。
【図3】X+1階の間取りと室内機・室外機の配置を説明する平面図である。
【図4】建物の屋上の平面図である。
【図5】室外機周辺の斜視図である。
【図6】室外機周辺の立面図である。
【図7】フードとルーバの周辺の構成を示す説明図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態を示す説明図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態を示す説明図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態を示す説明図である。
【符号の説明】
RF 屋上階
1 建物
2 低層棟
3 高層棟
4 バルコニー
7,8 テナント室
21,25,29,33,37,41 室内機
22,26,30,34,38,42 室内機群
51〜56,61〜66,71〜76,81〜86 室外機
102 フード
105 ルーバ
106 棒状部材
108 目隠し羽根
109 ノズル

Claims (6)

  1. 1又は2以上の室外機と,前記室外機よりも個数の多い複数の室内機を組み合わせ,前記室外機と室内機を互いに冷媒配管で接続したマルチユニットを構成し,前記マルチユニットを複数組み合わせて構成された空調ユニット組を,建物の複数階にそれぞれ設けた空調設備であって,
    前記複数の室外機が,建物の複数階と屋上階にわたって設置され,少なくとも一部の空調ユニット組の室外機が,建物の複数階にわたって設置され,
    かつ,何れの空調ユニット組においても,室内機の設置されている階に対して,室外機の設置されている階が同じかもしくは上の階となり,
    各空調ユニット組同士において,室内機の設置されている階がより低い空調ユニット組の室外機の設置されている階は,それよりも高い階に室内機が設置されている空調ユニット組の室外機の設置されている階を,越えない関係となっていることを特徴とする,建物の空調設備。
  2. 1又は2以上の室外機と,前記室外機よりも個数の多い複数の室内機を組み合わせ,前記室外機と室内機を互いに冷媒配管で接続したマルチユニットを構成し,前記マルチユニットを複数組み合わせて構成された空調ユニット組を,建物の複数階にそれぞれ設けた空調設備であって,
    前記複数の室外機が,建物の複数階と低層階の開放空間にわたって設置され,少なくとも一部の空調ユニット組の室外機が,建物の複数階にわたって設置され,
    かつ,何れの空調ユニット組においても,室内機の設置されている階に対して,室外機の設置されている階が同じかもしくは下の階となり,
    各空調ユニット組同士において,室内機の設置されている階がより低い空調ユニット組の室外機の設置されている階は,それよりも高い階に室内機が設置されている空調ユニット組の室外機の設置されている階を,越えない関係となっていることを特徴とする,建物の空調設備。
  3. 室外機が,屋上階と,建物のバルコニーまたは非常用階段に設置されていることを特徴とする,請求項1に記載の建物の空調設備。
  4. 室外機が,開放空間と,建物のバルコニーまたは非常用階段に設置されていることを特徴とする,請求項2に記載の建物の空調設備。
  5. 室外機がバルコニーに設置され,建物を真上から見ると,各バルコニーが,平面的に同じ位置に重なるように配置され,各バルコニーに設置された室外機が,建物を真上から見ると,平面的に同じ位置に重なるように配置されていることを特徴とする,請求項3または4に記載の建物の空調設備。
  6. 室外機がバルコニーに設置され,前記バルコニーに設置された室外機の排気を建物から離れた方向にガイドするガイド部材を装着したことを特徴とする,請求項3〜5のいずれかに記載の建物の空調設備。
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