JP4736256B2 - 変速操作装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載された変速機の変速操作を行うための変速操作装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
変速機の変速操作を行う変速操作装置は、変速機構のシフトレバーをセレクト方向に作動するセレクトアクチュエータと、該シフトレバーをシフト方向に作動するシフトアクチュエータとからなっている。
このようなセレクトアクチュエータおよびシフトアクチュエータとしては、一般に空気圧や油圧等の流体圧を作動源とした流体圧シリンダが用いられている。この流体圧シリンダを用いたセレクトアクチュエータおよびシフトアクチュエータは、流体圧源と各アクチュエータとを接続する配管が必要であるとともに、作動流体の流路を切り換えるための電磁切り換え弁を配設する必要があり、これらを配置するためのスペースを要するとともに、装置全体の重量が重くなるという問題がある。
また近年、圧縮空気源や油圧源を具備していない車両に搭載する変速機の変速操作装置として、電動モータによって構成したセレクトアクチュエータおよびシフトアクチュエータが提案されている。電動モータによって構成したセレクトアクチュエータおよびシフトアクチュエータは、流体圧シリンダを用いたアクチュエータのように流体圧源と接続する配管や電磁切り換え弁を用いる必要がないので、装置全体をコンパクトで且つ軽量に構成することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
電動モータを用いたアクチュエータにおいては、所定の作動力を得るために減速機構が必要となる。この減速機構としては、ボールネジ機構を用いたものと、歯車機構を用いたものが提案されている。これらボールネジ機構および歯車機構を用いたアクチュエータは、ボールネジ機構および歯車機構の耐久性および電動モータの耐久性、作動速度において必ずしも満足し得るものではない。
【0004】
本出願人は、減速機構等を用いずにシフトレバーをシフト方向およびセレクト方向に作動することができるセレクトアクチュエータおよびシフトアクチュエータの駆動源として、電磁ソレノイドを用いた変速操作装置を特願2001−183470として提案した。而して、電磁ソレノイドは軸方向に作動する質量の大きい可動鉄心を有するため、可動鉄心が自体の重力および車両の加速度の影響を受けるので、電磁ソレノイドの配置および車両の運転状態によって作動力が変化する。即ち、セレクトアクチュエータおよびシフトアクチュエータは一般に水平に配置されるので、車両が傾斜路を走行している場合や加減速状態において電磁ソレノイドの可動鉄心はそれぞれの方向の加速度と重力の影響を受ける。特に、シフトアクチュエータは第1のシフト方向と第2のシフト方向へ作動するために一対の電磁ソレノイドを具備するため、運転状態によって作動力が減少した場合にはシフト作動力が不足する虞がある。
【0005】
本発明は上記事実に鑑みてなされたもので、その主たる技術的課題は、シフトアクチュエータを構成する一対の電磁ソレノイドの一対の可動鉄心に作用する重力の影響を互いに相殺するとともの加速度の影響をなくし、常に一定のシフト作動力を得ることができるシフトアクチュエータを備えた変速操作装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記技術的課題を解決するために、
「ケーシングと、該ケーシング内に配設されシフトレバーを軸方向に摺動可能で且つ回動可能に支持するシフトレバー支持機構と、該シフトレバーをセレクト方向である軸方向に作動するセレクトアクチュエータと、該シフトレバーをシフト方向に作動するシフトアクチュエータとを有する変速操作装置において、
該シフトアクチュエータは、上下方向に作動する第1の電磁ソレノイドおよび第2の電磁ソレノイドと、該シフトレバー支持機構に中間部が装着された作動レバーとを有し、
該作動レバーは、該シフトレバーと軸方向に離間した位置で該シフトレバー支持機構に挿通して装着されており、
該第1の電磁ソレノイドの作動ロッドが該作動レバーの一端部と連結され、該第2の電磁ソレノイドの作動ロッドが該作動レバーの他端部と連結されている」
ことを特徴とする変速操作装置が提供される。
【0007】
上記ケーシング内に配設されたシフトレバー支持機構は略水平状態に配置されており、上記シフトアクチュエータを構成する第1の電磁ソレノイドおよび第2の電磁ソレノイドはシフトレバー支持機構の下側に配置されている。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に従って構成された変速操作装置の好適実施形態を図示している添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
【0009】
図1は本発明に従って構成された変速操作装置の一実施形態の一部を破断して示す平面図、図2は図1におけるA−A線断面図、図3は図1におけるB−B線断面図である。 図示の実施形態における変速操作装置2は、後述するシフトレバーを支持する筒状のケーシング3と、該ケーシング3に装着されたセレクトアクチュエータ4およびシフトアクチュエータ7とから構成されている。ケーシング3は、一端部(図1および図2において右端部)における側部(図1において上側部)にセレクトアクチュエータ装着部31を備えているとともに、一端部(図1および図2において右端部)における下側部(図2において下側部)にシフトアクチュエータ装着部32を備えている。また、ケーシング3の中央部の下部には開口33が形成されている。
【0010】
上記のように構成されたケーシング3内には、コントロールシャフト35が回動可能に配設されている。即ち、コントロールシャフト35は、一端部(図1および図2において右端部)がケーシング3の一端部に配設された軸受361に回動可能に支持され、他端部(図1および図2において左端部)がケーシング3の他端部に配設された軸受362に回動可能に支持されている。このコントロールシャフト35にシフトレバー37が装着されている。このシフトレバー37は、上記コントロールシャフト35と嵌合する穴を備えた装着部371と該装着部371から径方向に突出して形成されたレバー部372とからなっており、レバー部372が図2に示すようにケーシング3の下部に形成された開口33を挿通して配設されている。シフトレバー37の装着部371にはコントロールシャフト35と嵌合する穴の内周面に形成された内歯スプライン部371aが設けられており、この内歯スプライン部371aがコントロールシャフト35の中央部に形成された外歯スプライン部351と軸方向に摺動可能にスプライン嵌合されている。このようにシフトレバー37を軸方向に摺動可能に支持するとともにケーシング31に回動可能に支持されたコントロールシャフト35は、ケーシング内に配設されたシフトレバー37を軸方向に摺動可能で且つ回動可能に支持するシフトレバー支持機構として機能する。なお、シフトレバー支持機構として機能するコントロールシャフト35は、図示の実施形態においてはケーシング3内に略水平状態に配置される。
【0011】
上述したようにシフトレバー支持機構としてのコントロールシャフト35によって軸方向に摺動可能で且つ回動可能に支持されたシフトレバー37は、レバー部372の先端部が第1のセレクト位置SP1、第2のセレクト位置SP2、第3のセレクト位置SP3、第4のセレクト位置SP4に配設された図示しない変速機のシフト機構を構成するシフトブロック301、302、303、304と適宜係合するようになっている。なお、図示の実施形態においては、第1のセレクト位置SP1は後進−1速段セレクト位置、第2のセレクト位置SP2は2速−3速段セレクト位置、第3のセレクト位置SP3は4速−5速段セレクト位置、第4のセレクト位置SP4は6速段セレクト位置に設定されている。
【0012】
次に、シフトレバー37を軸方向であるセレクト方向に作動するセレクトアクチュエータ4について、主に図1を参照して説明する。
図示の実施形態におけるセレクトアクチュエータ4は、駆動源となる電磁ソレノイド40と、該電磁ソレノイド40によって作動され上記シフトレバー37を作動せしめるセレクト作動機構50を具備している。電磁ソレノイド40は、 セレクトアクチュエータ装着部31にボルト等の固着手段401によって取り付けられた筒状のケース41と、該ケース41内に配設された電磁コイル42と、該電磁コイル42内に配設された固定鉄心43と、該固定鉄心43の一端面(図1において上端面)と対向して同一軸上に配設された可動鉄心44と、該可動鉄心44に装着された作動ロッド45と、上記筒状のケース41の一端(図1および図2において上端)に取り付けられたカバー46を具備している。
【0013】
上記筒状のケース41は、一端(図1において上端)には中央部に穴412を有する端壁411を備えており、他端(図1において下端)が開放されている。上記電磁コイル42は、合成樹脂等の非磁性材からなる環状のボビン47に捲回されケース41の内周に沿って配設されている。上記固定鉄心43は、磁性材によって形成され、他端(図1において下端)にはフランジ部431が設けられており、このフランジ部431を介してケース41の他端側(図1において下端側)に装着されている。上記可動鉄心44は、磁性材によって形成され、固定鉄心43に対して軸方向に接離可能に構成されている。上記作動ロッド45は、ステンレス鋼等の非磁性材によって形成され、その一端部(図1において上端部)に小径部451が設けられている。このように構成された作動ロッド45は、小径部451を上記可動鉄心44の中央部に形成された穴441に挿通し、一端をカシメることにより可動鉄心44に装着する。このようにして可動鉄心44に一端部が装着された作動ロッド45は、他端部が上記固定鉄心43の中央部に形成された穴432を貫通して軸方向に摺動可能に配置され、ケーシング31の側方に設けられたセレクト作動機構収容室313内に進退可能に構成されている。この作動ロッド45の他端部にはボールジョイント452が設けられている。上記カバー46は、ビス48によってケース41の一端に装着され、ケース41の一端および可動鉄心44の一端部を覆う。
【0014】
次に、セレクト作動機構50について説明する。
図示の実施形態におけるセレクト作動機構50は、上記セレクト作動機構収容室313内に収容されており、第1のレバー51と第2のレバー52と第3のレバー53および第4のレバー54を具備している。第1のレバー51は、一端部が上下方向(図1において紙面に垂直な方向)に配設された支持軸55に装着されており、他端部が上記電磁ソレノイド40の作動ロッド45の他端部に設けられたボールジョイント452と摺動可能に連結されている。第2のレバー52は、一端部が上記支持軸55に装着されており、他端部には係合ピン56が取り付けられている。第3のレバー53は、一端部が上下方向(図1において紙面に垂直な方向)に配設された支持軸57に装着され、その他端部には長穴531が形成されており、この長穴531に上記第2のレバー52の他端部に取り付けられた係合ピン56が嵌合するようになっている。第4のレバー54は、一端部が上記支持軸57に装着されており、その他端部に形成された作動部541が図3に示すように上記シフトレバー37の装着部371に形成された係合溝371bに嵌合するように構成されている。
【0015】
図示の実施形態におけるセレクトアクチュエータ4を構成する電磁ソレノイド40およびセレクト作動機構50は以上のように構成されており、電磁コイル42に通電すると固定鉄心43が磁化され、可動鉄心44は固定鉄心43に吸引されて可動鉄心44即ち作動ロッド45には図1において下方への推力が発生する。この可動鉄心44即ち作動ロッド45に発生する推力の大きさは、電磁コイル42に供給する電力量によって決まる。電磁コイル42に通電することによって可動鉄心44即ち作動ロッド45が図1において下方に移動すると、上記第1のレバー51と第2のレバー52と第3のレバー53および第4のレバー54がそれぞれ図1において実線および破線で示す位置から2点鎖線で示す位置まで作動せしめられる。この結果、第4のレバー54の作動部541によって作動せしめられるシフトレバー37は、図2において実線で示す第1のセレクト位置SP1から第4のセレクト位置SP4まで作動せしめられる。
【0016】
図示の実施形態におけるセレクトアクチュエータ4は、図2に示すように上記電磁ソレノイド40の電磁コイル42に供給する電力量に対応して可動鉄心44即ち作動ロッド45に発生する推力の大きさと協働してシフトレバー37を上記第1のセレクト位置SP1、第2のセレクト位置SP2、第3のセレクト位置SP3、第4のセレクト位置SP4に位置規制するためのセレクト位置規制機構6を具備している。セレクト位置規制機構6は、上記コントロールシャフト35の中央部において上記シフトレバー37の装着部371の図2において右側に軸方向に摺動可能に配設された第1の移動リング61と第2の移動リング62を具備している。第1の移動リング61は、ケーシング3の内周面に設けられた第1のストッパー3aによって図2において左方への移動が規制される。第2の移動リング62は、ケーシング3の内周面に第1のストッパー3aより所定間隔をおいて図2において右側に設けられた第2のストッパー3bによって図2において左方への移動が規制され、ケーシング3の内周面に第2のストッパー3bより図2において右側に設けられた第3のストッパー3cによって図2において右方への移動が規制される。従って、第2の移動リング62は、第2のストッパー3bと第3のストッパー3cとの間を移動可能に構成されている。なお、上記第1の移動リング61は、上記第2のストッパー3bの内径より小径に形成されており、従って、第2のストッパー3bを越えて図2において右方へ作動することができる。
【0017】
上記第1の移動リング61とシフトレバー37の装着部371との間には第1の圧縮コイルばね63が配設され、第1の移動リング61と第2の移動リング62との間には第2の圧縮コイルばね64が配設されている。また、第2の移動リング62と第3のストッパー3cとの間には第3の圧縮コイルばね65が配設されている。なお、第2の圧縮コイルばね64のばね力は第1の圧縮コイルばね63のばね力より大きく設定されており、第3の圧縮コイルばね65のばね力は第2の圧縮コイルばね64のばね力より大きく設定されている。従って、第1の移動リング61は、第1のストッパー3aに当接せしめられ、第2の移動リング62は第2のストッパー3bに当接せしめられている。
【0018】
図示の実施形態におけるセレクトアクチュエータ4は以上のように構成されており、以下その作用について説明する。
セレクトアクチュエータ4の電磁ソレノイド40を構成する電磁コイル42に電力が供給されていないとき(非通電時)には、電磁ソレノイド40を構成する可動鉄心44と作動ロッド45およびセレクト作動機構50は図1において実線で示す状態に位置付けられている。そして、セレクト位置規制機構6を構成する第1の移動リング61および第2の移動リング62は第1の圧縮コイルばね63と第2の圧縮コイルばね64および第3の圧縮コイルばね65のばね力が釣り合った図2に示す状態に位置付けら、この結果、シフトレバー37は第1の作動位置(P1)に位置付けられている。この第1の作動位置(P1)は本実施形態においては上述したように後進−1速段セレクト位置に設定されているので、電磁ソレノイド40が故障した場合にはセレクトアクチュエータ4はシフトレバー37を後進−1速段セレクト位置に位置付けることになる。従って、電磁ソレノイド40が故障した場合には、車両の発進が可能な1速段または後進段にシフトすることができるので、車両を修理工場などの所定の場所まで走行することができる。
【0019】
図1および図2に示す状態からセレクトアクチュエータ4の電磁ソレノイド40を構成する電磁コイル42に例えば2Vの電圧を印加すると、可動鉄心44は固定鉄心43に吸引され、可動鉄心44および作動ロッド45には図1において下方への推力が発生する。この結果、セレクト作動機構50を構成する各レバーが図1において実線で示す状態から2点鎖線で示す方向に作動され、図4の(a)に示すようにシフトレバー37が第1の圧縮コイルばね63のばね力に抗して図において右方に移動せしめられる。そして、シフトレバー37は、装着部371の右端面が第1の移動リング61に当接した位置で停止し、図4の(a)に示すように第2の作動位置(P2)に位置付けられる。
【0020】
次に、セレクトアクチュエータ4の電磁ソレノイド40を構成する電磁コイル42に例えば4Vの電圧を印加すると、可動鉄心44および作動ロッド45に発生する下方への推力が増大する。この結果、セレクト作動機構50を構成する各レバーが図1において2点鎖線で示す方向に更に作動され、図4の(b)に示すようにシフトレバー37が第1の移動リング61に当接した状態で第1の圧縮コイルばね63および第2の圧縮コイルばね64のばね力に抗して図において右方へ更に移動せしめられる。そして、シフトレバー37は、第1の移動リング61が第2の移動リング62に当接した位置で停止し、図4の(b)に示すように第3の作動位置(P3)に位置付けられる。
【0021】
次に、セレクトアクチュエータ4の電磁ソレノイド40を構成する電磁コイル42に例えば8Vの電圧を印加すると、可動鉄心44および作動ロッド45に発生する下方への推力が更に増大する。この結果、セレクト作動機構50を構成する各レバーが図1において2点鎖線で示す位置まで作動され、図4の(c)に示すようにシフトレバー37が第1の移動リング51を第2の移動リング62に当接した状態で第1の圧縮コイルばね63と第2の圧縮コイルばね64および第3の圧縮コイルばね65のばね力に抗して図において右方へ更に移動せしめられる。そして、シフトレバー37は、第2の移動リング62が第3のストッパー3cに当接した位置で停止し、図4の(c)に示すように第4の作動位置(P4)に位置付けられる。
【0022】
以上のように、変速操作装置2を構成するセレクトアクチュエータ4は、ケーシング3内に軸方向に摺動可能で且つ回動可能に支持されたシフトレバー37を電磁ソレノイド40によって作動するので、回転機構がないため耐久性が向上するとともに、電動モータを用いたアクチュエータのようにボールネジ機構や歯車機構からなる減速機構が不要となるので、コンパクトに構成することができるとともに、作動速度を速くすることができる。更に、図示のセレクトアクチュエータ4はセレクト位置規制機構6を備え、電磁コイル42に供給する電力量に対応して作動ロッド45に発生する推力に応じてシフトレバー37を複数のセレクト動位置に位置付けるように構成したので、1個の電磁ソレノイドによって複数のセレクト位置をとることができるため、コンパクトで且つ安価となる。
【0023】
次に、シフトアクチュエータ7について、主に図3を参照して説明する。
図示のシフトアクチュエータ7は、上記コントロールシャフト35をシフト方向に回動せしめる駆動源としての第1の電磁ソレノイド70および第2の電磁ソレノイド80と、該両電磁ソレノイドによって作動されコントロールシャフト35を回動せしめる作動レバー90を具備している。第1の電磁ソレノイド70および第2の電磁ソレノイド80は、コントロールシャフト35の下側に上下方向に作動するように互いに並列に配設されケーシング3の一端部に設けられたシフトアクチュエータ装着部32にボルト、ナット等の固着手段701によって取り付けられている。上記作動レバー90は、その中間部にはピン孔91が形成されており、その両端部にそれぞれ連結部92、93を備えている。このように形成された作動レバー90は、コントロールシャフト35の一端部に軸芯に直交するように形成された穴352に挿入し、コントロールシャフト35に形成されたピン孔353と上記ピン孔91にピン94を嵌入することによってコントロールシャフト35に装着される。
【0024】
次に、第1の電磁ソレノイド70について説明する。
第1の電磁ソレノイド70は、上記セレクトアクチュエータ4の電磁ソレノイド40と同様の構成であり、筒状のケース71と、該ケース71内に配設され合成樹脂等の非磁性材からなる環状のボビン77に捲回された電磁コイル72と、該電磁コイル72内に配設され磁性材によって形成された固定鉄心73と、該固定鉄心73の一端面と対向して同一軸上に配設され磁性材によって形成された可動鉄心74と、ステンレス鋼等の非磁性材からなり一端部が該可動鉄心74に装着され他端部が固定鉄心73の中央部に形成された穴731を貫通して軸方向に摺動可能に配置され作動ロッド75と、上記筒状のケース71の一端にビス78によって取り付けられたカバー76とからなっている。第1の電磁ソレノイド70を構成する作動ロッド75の他端部にはボールジョイント750が設けられている。このボールジョイント750に上記作動レバー90の一端部に設けられた連結部92を摺動可能に連結する。このように構成された第1の電磁ソレノイド70は、電磁コイル72に通電されると、可動鉄心74が固定鉄心73に吸引される。この結果、可動鉄心74に装着された作動ロッド75が図3において上方に移動し、該作動ロッド75と一端部に設けられた連結部92が連結されている作動レバー90がコントロールシャフト35を中心として図3において反時計方向に回動する。これにより、作動レバー90を装着したコントロールシャフト35が回動するので、コントロールシャフト35とスプライン嵌合されているシフトレバー37が第1の方向にシフト作動せしめられる。
【0025】
次に、第2の電磁ソレノイド80について説明する。
第2の電磁ソレノイド80も上記第1の電磁ソレノイド70と同様に、筒状のケース81と、該ケース81内に配設され合成樹脂等の非磁性材からなる環状のボビン87に捲回された電磁コイル82と、該電磁コイル82内に配設され磁性材によって形成された固定鉄心83と、該固定鉄心83の一端面と対向して同一軸上に配設され磁性材によって形成された可動鉄心84と、ステンレス鋼等の非磁性材からなり一端部が該可動鉄心84に装着され他端部が固定鉄心83の中央部に形成された穴831を貫通して軸方向に摺動可能に配置され作動ロッド85と、上記筒状のケース81の一端にビス88によって取り付けられたカバー86とからなっている。第2の電磁ソレノイド80を構成する作動ロッド85の他端部にはボールジョイント850が設けられている。このボールジョイント850に上記作動レバー90の他端部に設けられた連結部93を摺動可能に連結する。このように構成された第2の電磁ソレノイド80は、電磁コイル82に通電されると、可動鉄心84が固定鉄心83に吸引される。この結果、可動鉄心84に装着された作動ロッド85が図3において上方に移動し、該作動ロッド85と一端部に設けられた連結部93が連結されている作動レバー90がコントロールシャフト35を中心として図3において時計方向に回動する。これにより、作動レバー90を装着したコントロールシャフト35が回動するので、コントロールシャフト35とスプライン嵌合されているシフトレバー37が第2の方向にシフト作動せしめられる。
【0026】
以上のように図示の実施形態におけるシフトアクチュエータ7は、シフトレバー37を装着したコントロールシャフト35の下側に上下方向に作動するように互いに並列に配設された第1の電磁ソレノイド70および第2の電磁ソレノイド80と、中間部がコントロールシャフト35に装着された作動レバー90とからなり、第1の電磁ソレノイド70の作動ロッド75が作動レバー90の一端部と連結され、第2の電磁ソレノイド80の作動ロッド85が作動レバー90の他端部と連結されているので、作動ロッド75と85を装着した可動鉄心74と84に作用する重力影響を互いに相殺することができる。また、第1の電磁ソレノイド70および第2の電磁ソレノイド80は上記のように上下方向に作動するように配設されているので、車両の加減速による加速度の影響を受けることもないとともに、可動鉄心74と84の摺動抵抗も極めて小さくなる。従って、図示の実施形態におけるシフトアクチュエータ7によれば、第1の電磁ソレノイド70および第2の電磁ソレノイド80の電磁コイル72および82に供給する電力に対して常に一定のシフト作動力を得ることができる。
【0027】
図示の実施形態における変速操作装置2は、上記シフトレバー37の軸方向位置、即ちセレクト方向の位置を検出するためのセレクト位置検出センサ10を具備している。このセレクト位置検出センサ10はポテンショメータからなり、その回動軸101にレバー102の一端部が取り付けられており、このレバー102の他端部に取り付けられた係合ピン103が上記シフトレバー37の装着部371の側面に設けられた係合溝371cに係合している。従って、シフトレバー37が図2において左右に移動すると、レバー102が回動軸101を中心として揺動するため、回動軸101が回動してシフトレバー37の軸方向作動位置、即ちセレクト方向位置を検出することができる。
【0028】
また、図示の実施形態における変速操作装置2は、上記シフトレバー37の回動位置、即ちシフトストローク位置を検出するシフトストローク位置検出センサ11を具備している。このシフトストローク位置検出センサ11は、上記ケーシング31の他端(図2において左端)に装着されている。シフトストローク位置検出センサ11はポテンショメータからなり、その回動軸111がシフトレバー37とスプライン嵌合されているコントロールシャフト35の他端に連結されている。従って、シフトレバー37が回動するとコントロールシャフト35が回動してシフトレバー37の回動位置、即ちシフトストローク位置を検出することができる。
【0029】
以上のように図示の実施形態における変速操作装置2は、セレクトアクチュエータ4を構成する電磁ソレノイド40とシフトアクチュエータ7を構成する第1の電磁ソレノイド70および第2の電磁ソレノイド80がセレクトアクチュエータ3を構成するケーシングの一端側に配設され、シフトレバー37即ちコントロールシャフト35の回動量を検出するシフトストローク位置検出センサ11がケーシングの他端側に配設されているので、シフトストローク位置検出センサ11が上記各電磁ソレノイドに発生する磁界の影響を受けることはない。また、図示の実施形態においては、セレクト位置検出センサ10もケーシングの中央部に配設されているので、ケーシングの一端側に配設された上記各電磁ソレノイドに発生する磁界の影響を受けることはない。
【0030】
【発明の効果】
本発明による変速操作装置は以上のように構成されているので、以下に述べる作用効果を奏する。
【0031】
即ち、本発明によれば、シフトレバーをシフト方向に作動するシフトアクチュエータは、上下方向に作動する第1の電磁ソレノイドおよび第2の電磁ソレノイドと、シフトレバーを軸方向に摺動可能で且つ回動可能に支持するシフトレバー支持機構に中間部が装着された作動レバーとを有し、第1の電磁ソレノイドの作動ロッドが作動レバーの一端部と連結され、第2の電磁ソレノイドの作動ロッドが作動レバーの他端部と連結されているので、第1の電磁ソレノイドの作動ロッドと第2の電磁ソレノイドの作動ロッドを装着したそれぞれの可動鉄心に作用する重力影響を互いに相殺することができる。また、第1の電磁ソレノイドおよび第2の電磁ソレノイドは上記のように上下方向に作動するように配設されているので、車両の加減速による加速度の影響を受けることもないとともに、可動鉄心の摺動抵抗も極めて小さくなる。従って、本発明による変速操作装置を構成するシフトアクチュエータによれば、第1の電磁ソレノイドおよび第2の電磁ソレノイドの電磁コイルに供給する電力に対して常に一定のシフト作動力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って構成された変速操作装置の一実施形態を示すもので、一部を破談仕手示す平面図。
【図2】図1におけるA−A線断面図。
【図3】図1におけるB−B線断面図。
【図4】図1に示す変速操作装置を構成するセレクトアクチュエータの作動説明図。
【符号の説明】
2:変速操作装置
3:ケーシング
35:コントロールシャフト
361、362:軸受
37:シフトレバー
4:セレクトアクチュエータ
40:電磁ソレノイ
41:筒状のケース
42:電磁コイル
43:固定鉄心
44:可動鉄心
45:作動ロッド
452:ボールジョイント
46:カバー
50:セレクト作動機構
51:第1のレバー
52:第2のレバー
53:第3のレバー
54:第4のレバー
6:セレクト位置規制機構
61:第1の移動リング
62:第2の移動リング
53:第1の圧縮コイルばね
54:第2の圧縮コイルばね
55:第3の圧縮コイルばね
7:シフトアクチュエータ
70:第1の電磁ソレノイド
71:ケース
72:電磁コイル
73:固定鉄心
74:可動鉄心
75:作動ロッド
750:ボールジョイント
76:カバー
80:第2の電磁ソレノイド
81:ケース
82:電磁コイル
83:固定鉄心
84:可動鉄心
85:作動ロッド
850:ボールジョイント
86:カバー
90:作動レバー
10:セレクト位置検出センサ
11:シフトストローク位置検出センサ
Claims (2)
- ケーシングと、該ケーシング内に配設されシフトレバーを軸方向に摺動可能で且つ回動可能に支持するシフトレバー支持機構と、該シフトレバーをセレクト方向である軸方向に作動するセレクトアクチュエータと、該シフトレバーをシフト方向に作動するシフトアクチュエータとを有する変速操作装置において、
該シフトアクチュエータは、上下方向に作動する第1の電磁ソレノイドおよび第2の電磁ソレノイドと、該シフトレバー支持機構に中間部が装着された作動レバーとを有し、
該作動レバーは、該シフトレバーと軸方向に離間した位置で該シフトレバー支持機構に挿通して装着されており、
該第1の電磁ソレノイドの作動ロッドが該作動レバーの一端部と連結され、該第2の電磁ソレノイドの作動ロッドが該作動レバーの他端部と連結されていることを特徴とする変速操作装置。 - 該ケーシング内に配設された該シフトレバー支持機構は略水平状態に配置されており、該シフトアクチュエータを構成する該第1の電磁ソレノイドおよび該第2の電磁ソレノイドは該シフトレバー支持機構の下側に配置されている、請求項1記載の変速操作装置。
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