JP4735158B2 - インフレーションフィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はエチレン−α−オレフィン共重合体からなるインフレーションフィルムの製造方法に関する。
エチレン系重合体からなるフィルムは、包装用、農業用、規格袋用、マスキング用等、幅広い分野で用いられている。これらフィルムの材料となる代表的なエチレン系重合体としては、高圧法低密度ポリエチレンやエチレン−α−オレフィン共重合体が挙げられる。またフィルムの成形方法としては、インフレーション成形法が一般的である。
エチレン系重合体のインフレーション成形によるフィルム製造にあたっては、コスト面からは高速の成形が、衛生性等の観点から170℃以下という低い押出温度による成形が求められている。しかしながらこれまでは、高速成形と低温成形の両立は困難であった。
特開平7−205280号公報
本発明は、低温で高速成形を安定的に実施可能なエチレン−α−オレフィン共重合体からなるインフレーションフィルムの製造方法を提供するものである。
すなわち本発明は、エチレン−α−オレフィン共重合体からなるインフレーションフィルムの製造方法であって、下記関係式(A)を満たすエチレン−α−オレフィン共重合体を用い、該共重合体を押出機で溶融混練した後、リップギャップ0.4〜2.5mmに設定された環状ダイから押出しインフレーション成形するインフレーションフィルムの製造方法である。
MTV(150)/MTV(190)≧0.6 式(A)
MTV(150):150℃において計測される最大引取り速度(m/分)
MTV(190):190℃において計測される最大引取り速度(m/分)
本発明のインフレーションフィルムの製造方法によれば、170℃以下の押出温度において高速でインフレーション成形することが可能である。
本発明で用いるエチレン−α−オレフィン共重合体は、エチレンから誘導される構成単位と炭素原子数3〜20のα−オレフィンから誘導される構成単位を含むエチレン−α−オレフィン共重合体である。
エチレンから誘導される構成単位とは、単量体であるエチレンから誘導され、エチレン−α−オレフィン共重合体に含有される単位である。炭素原子数3〜20のα−オレフィンから誘導される構成単位とは、単量体である炭素原子数3〜20のα−オレフィンから誘導され、エチレン−α−オレフィン共重合体に含有される単位である。炭素原子数3〜20のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられる。より好ましくは、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセンである。
エチレンから誘導される構成単位の含有量は、エチレン−α−オレフィン共重合体の全重量(100重量%)に対して、通常50〜99重量%である。炭素原子数3〜20のα−オレフィンから誘導される構成単位の含有量は、エチレン−α−オレフィン共重合体の全重量(100重量%)に対して、通常1〜50重量%である。
本発明で用いるエチレン−α−オレフィン共重合体は、上記のエチレンから誘導される構成単位および炭素原子数3〜20のα−オレフィンから誘導される構成単位以外の他の単量体から誘導される構成単位を含有していても良い。他の単量体としては、例えば、共役ジエン(例えばブタジエンやイソプレン)、非共役ジエン(例えば1,4−ペンタジエン)、アクリル酸、アクリル酸エステル(例えばアクリル酸メチルやアクリル酸エチル)、メタクリル酸、メタクリル酸エステル(例えばメタクリル酸メチルやメタクリル酸エチル)、酢酸ビニル等が挙げられる。
本発明で用いるエチレン−α−オレフィン共重合体として好ましくは、エチレンと炭素原子数4〜10のα−オレフィンとの共重合体であり、より好ましくは、エチレンと炭素原子数5〜10のα−オレフィンとの共重合体であり、さらに好ましくは、エチレンと炭素数6〜10のα−オレフィンとの共重合体である。例えば、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体等が挙げられ、好ましくはエチレン−1−ヘキセン共重合体である。また、エチレンと炭素原子数6〜10のα−オレフィンと1−ブテンとの3元共重合体も好ましく、例えばエチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ブテン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−オクテン共重合体等が挙げられ、より好ましくはエチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体である。
本発明で用いるエチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレート(MFR、単位はg/10分である。)は、通常0.01〜100であり、好ましくは0.05〜20であり、より好ましくは0.1〜5であり、さらに好ましくは0.1〜1.5である。
メルトフローレート(MFR;単位はg/10分である。)は、JIS K7210−1995に規定された方法に従い、190℃において、荷重21.18N(2.16Kg)で測定された値である。そして、上記のメルトフローレートの測定には、予め酸化防止剤を1000ppm配合した共重合体を用いる。
本発明で用いるエチレン−α−オレフィン共重合体の密度は、通常、890〜970kg/m3である。密度はJIS K6760−1981に規定された方法に従い測定される。本発明の方法により得られるフィルムの剛性と衝撃強度のバランスの観点から、使用するエチレン−α−オレフィン共重合体の密度は、905〜940kg/m3であることが好ましく、907〜930kg/m3であることがより好ましい。
本発明で用いるエチレン−α−オレフィン共重合体は、150℃における最大引取り速度MTV(150)(単位:m/分)と190℃における最大引取り速度MTV(190)(単位:m/分)が下記式(A)の関係を満たすものである。
MTV(150)/MTV(190)≧0.6 式(A)
MTVは後述する溶融張力測定においてストランドが切れた時の巻き取りローラーの周速度(単位:m/分)として計測される。
上記、MTV(150)とMTV(190)の関係は下記式(A’)を満たすとより好ましい。
MTV(150)/MTV(190)≧0.8 式(A’)
上記、MTV(150)とMTV(190)の関係は下記式(A'')を満たすとより好ましい。
MTV(150)/MTV(190)≧1.0 式(A'')
上記、MTV(150)とMTV(190)の関係は下記式(A''')を満たすとより好ましい。
MTV(150)/MTV(190)≧1.2 式(A''')
本発明におけるエチレン−α−オレフィン共重合体の溶融張力(MT;単位はcNである。)とは、東洋精機製作所等から販売されているメルトテンションテスターを用いて、190℃、直径9.5mmのピストンを5.5mm/分の速度で降下させて、直径2.09mm、長さ8mmのオリフィスから溶融樹脂ストランドを押し出し、前記ストランドを直径50mmのローラーを用いて毎分40rpm/分ずつ回転速度を上昇させながら巻き取ったときに、前記ストランドが切れる直前の張力値である。
式(A)を満たす本発明で用いるエチレン−α−オレフィン共重合体は、従来から知られている通常のエチレン−α−オレフィン共重合体に比べて、流動の活性化エネルギーがより高い。
本発明で用いるエチレン−α−オレフィン共重合体の流動の活性化エネルギー(Ea、単位はkJ/molである。)は、通常50kJ/mol以上である。従来から知られている通常のエチレン−α−オレフィン共重合体の流動の活性化エネルギーは、通常50kJ/mol未満であり、このような従来の共重合体をインフレーション成形に用いた場合には、押出機負荷の上昇やバブル安定性の不良を招くなどの問題が生じ、高速成形することが困難であった。
本発明で用いるエチレン−α−オレフィン共重合体の流動の活性化エネルギー(Ea)として、より好ましくは55kJ/mol以上であり、さらに好ましくは60kJ/mol以上である。また、高温で溶融粘度を低下させずに十分な成形性を得るという観点や、外観良好なフィルムが得られるという観点から、Eaは、好ましくは100kJ/mol以下であり、より好ましくは90kJ/mol以下である。
流動の活性化エネルギー(Ea)は、粘弾性測定装置として、Rheometrics社製Rheometrics Mechanical Spectrometer RMS−800を用いて、下記の条件(1)〜(4)で測定される各温度T(単位はKである。)における動的粘弾性データを、温度−時間重ね合わせ原理に基づいてシフトさせて190℃での動的粘度(η;単位はPa・secである。)の剪断速度(ω:単位はrad/secである。)依存性を示すマスターカーブを作成する際のシフトファクター(aT)のアレニウス型方程式から算出される数値であって、加工性の指標となるものである。
各温度T(K)における動的粘弾性データの測定条件
(1)ジオメトリー:パラレルプレート、直径25mm、プレート間隔:1.5〜2mm
(2)ストレイン:5%
(3)剪断速度:0.1〜100rad/sec
(4)温度:190、170、150、130℃
また、サンプルには予めイルガノックス1076などの酸化防止剤を、適量(例えば1000ppm以上)配合し、測定はすべて窒素下で実施する。
シフトファクター(aT)のアレニウス型方程式
log(aT)=Ea/R(1/T−1/T0
(Rは気体定数であり、T0は基準温度(463K)である。)
また、計算ソフトウェアには、Rheometrics社 Rhios V.4.4.4を使用し、アレニウス型プロットlog(aT)−(1/T)において、直線近似をした時に得られる相関係数r2が0.99以上であるときのEa値を、エチレン−α−オレフィン共重合体の流動の活性化エネルギーとする。
本発明で用いるエチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレート(MFR;単位はg/10分である。)と190℃の剪断速度100rad/secにおける溶融粘度(η;単位はPa・secである。)とは、式(1)の関係を満たすことが好ましい。
η<1550×MFR-0.25−420 式(1)
このようなエチレン−α−オレフィン共重合体は、インフレーション成形した際に押出機への負荷が小さく、バブル安定性に優れるものである。
本発明で用いるエチレン−α−オレフィン共重合体の190℃の剪断速度100rad/secにおける溶融粘度ηとは、前述の粘弾性測定において測定される剪断溶融粘度である。
本発明で用いるエチレン−α−オレフィン共重合体が満たすメルトフローレート(MFR)と190℃の剪断速度100rad/secにおける溶融粘度ηとの関係は、式(1’)を満たすことが好ましく、式(1'')を満たすことがより好ましく、式(1''')を満たすことがもっとも好ましい。
η<1500×MFR-0.25−420 式(1’)
η<1450×MFR-0.25−420 式(1'')
η<1350×MFR-0.25−420 式(1''')
本発明で用いるエチレン−α−オレフィン共重合体の分子量分布としては、好ましくは7.0〜25であり、より好ましくは7.5〜20であり、さらに好ましくは11〜17である。分子量分布が狭すぎる場合は、押出負荷が上昇してインフレーション成形性が損なわれ、一方で、分子量分布が広すぎる場合は、フィルムの耐ブロッキング性が悪化する場合がある。上記の分子量分布とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定によってポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)とを算出し、MwをMnで除した値(Mw/Mn)である
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定の条件は、以下の(1)〜(6)のとおりである。
(1)装置:Water製Waters150C
(2)分離カラム:TOSOH TSKgelGMH−HT
(3)測定温度:145℃
(4)キャリア:オルトジクロロベンゼン
(5)流量:1.0mL/分
(6)注入量:500μL
一般的に、エチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレート(MFR)と溶融張力の間には関係があり、MFRが増大するにつれて、溶融張力が低下することが知られている。
本発明で用いるエチレン−α−オレフィン共重合体は、メルトフローレート(MFR;単位はg/10分である。)と190℃における溶融張力(MT;単位はcNである。)とが下記式(4)の関係を満たすことが好ましい。
2×MFR-0.59<MT<40×MFR-0.59 式(4)
従来のエチレン−α−オレフィン共重合体は、式(4)の左辺を通常満たさない。
溶融張力が低すぎると、インフレーション成形におけるバブル安定性が悪化することがあり、溶融張力が高すぎると、高速製膜が困難となることがある。
本発明で用いるエチレン−α−オレフィン共重合体が満たすメルトフローレート(MFR)と溶融張力(MT)の関係は、式(4')を満たすことがより好ましく、式(4'')を満たすことが更に好ましい。
2.2×MFR-0.59<MT<25×MFR-0.59 式(4’)
2.5×MFR-0.59<MT<15×MFR-0.59 式(4'')
本発明で用いるエチレン−α−オレフィン共重合体は、好ましくは、前記したゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定によって得られる鎖長分布曲線を、少なくとも2つの対数正規分布曲線に分割して得られる対数正規分布曲線のうち、最も高分子量である成分に相当する対数正規分布曲線のピーク位置の鎖長Aと前記MFRとが下記式(5)の関係を満たすものである。
3.30<logA<−0.0815×log(MFR)+4.05 式(5)
本発明で用いるエチレン−α−オレフィン共重合体が上記式(5)の関係を満たすと、溶融張力がより高く、バブル安定性により優れ、または、押出機負荷がより低く押出加工性により優れ、さらに得られるフィルムの外観に優れる。
本発明で用いるエチレン−α−オレフィン共重合体が満たすメルトフローレート(MFR)と鎖長A(logA)の関係は、下記式(5')を満たすことがより好ましく、式(%'')を満たすことがさらに好ましい。
3.30<logA<−0.0815×log(MFR)+4.03 式(5’)
3.30<logA<−0.0815×log(MFR)+4.02 式(5'')
鎖長分布曲線の分割は以下のとおりに行う。
初めに、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定によって、鎖長Awの対数であるlogAw(x値)に対して重量割合dW/d(logAw)(y値)がプロットされた鎖長分布曲線を実測する。プロットデータ数は、連続的な分布曲線になるよう、通常少なくとも300以上ある。次に、上記のx値に対して、標準偏差0.30を有し、任意の平均値(通常、ピーク位置の鎖長Aに相当する。)を有する4つの対数正規分布曲線(x−y曲線)を任意の割合で足し合わることによって、合成曲線を作成する。さらに、実測された鎖長分布曲線と合成曲線との同一x値に対するy値の偏差平方和が最小値になるように、平均値と割合を求める。偏差平方和の最小値は、各ピークの割合がすべて0の場合の偏差平方和に対して通常0.5%以下になる。そして、偏差平方和の最小値を与える平均値と割合が得られたときに、4つの対数正規分布曲線に分割して得られる対数正規分布曲線のうち、最も高分子量である成分に相当する対数正規分布曲線のピーク位置の鎖長AからlogAが算出される。この最も高分子量である成分に相当する対数正規分布曲線のピークの割合は、通常10%以上である。
さらに本発明で用いるエチレン−α−オレフィン共重合体は、190℃での特性緩和時間(τ;単位はsecである。)と前記MFRとが下記式(6)の関係を満たすことが好ましい。
2<τ<8.1×MFR-0.746 式(6)
本発明で用いるエチレン−α−オレフィン共重合体は、下記式(6')を満たすことがより好ましく、式(6'')を満たすことがさらに好ましい。
2<τ<7.9×MFR-0.746 式(6’)
2<τ<7.8×MFR-0.746 式(6'')
190℃での特性緩和時間(τ)は、粘弾性測定装置として、Rheometrics社製Rheometrics Mechanical Spectrometer RMS−800を用いて、下記の条件(1)〜(4)で測定される各温度T(単位はKである)における動的粘弾性データを、温度−時間重ね合わせ原理に基づいてシフトさせて190℃での動的粘度(η;単位はPa・secである。)の剪断速度(ω:単位はrad/secである。)依存性を示すマスターカーブを得たのちに、そのマスターカーブを下記のクロス式で近似する際に算出される数値である。
各温度T(K)における動的粘弾性データの測定条件
(1)ジオメトリー:パラレルプレート、直径25mm、プレート間隔:1.5〜2mm
(2)ストレイン:5%
(3)剪断速度:0.1〜100rad/sec
(4)温度:190、170、150、130℃
また、サンプルには予めイルガノックス1076などの酸化防止剤を、適量(例えば1000ppm以上)配合し、測定はすべて窒素下で実施する。
クロスの近似式
η=η0/[1+(τ×ω)n
(η0およびnはそれぞれ、特性緩和時間τと同様に、測定に用いるエチレン−α−オレフィン共重合体ごとに求められる定数である。)
また、マスターカーブの作成やクロス式近似のための計算ソフトウェアには、Rheometrics社 Rhios V.4.4.4を使用する。
本発明で用いるエチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレート比(MFRR)としては、流動性の観点から高いほどよく、60以上であると、押出負荷がより低く、押出加工性により優れる。
上記のメルトフローレート比(MFRR)は、JIS K7210−1995に規定された方法に従い、190℃、荷重211.82N(21.60kg)で測定されたメルトフローレート値を、荷重21.18N(2.16kg)で測定されたメルトフローレート値で除した値である。なお、上記のメルトフローレート測定には、予め酸化防止剤を1000ppm配合した重合体を用いる。
本発明で用いるエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法は、下記のメタロセン系オレフィン重合用触媒を用いて、エチレンとα−オレフィンとを共重合する方法である。
本発明で用いるエチレン−α−オレフィン共重合体の製造に用いられるメタロセン系オレフィン重合用触媒は、助触媒担体(A)、架橋型ビスインデニルジルコニウム錯体(B)、有機アルミニウム化合物(C)および電子供与性化合物(D)を接触させて得られる触媒であり、前記助触媒担体(A)はジエチル亜鉛(a)、2種類のフッ素化フェノール(b)と(c)、水(d)、無機化合物の粒子(e)および(f)トリメチルジシラザン(((CH33Si)2NH)を接触させて得られる担体である。
2種類のフッ素化フェノール(b)と(c)として、好ましくはペンタフルオロフェノール、トリフルオロフェノールである。
無機化合物の粒子(e)として、好ましくはシリカゲルである。
上記(a)、(b)、(c)、(d)各化合物の使用量は特に制限はないが、各化合物の使用量のモル比率を(a):(b):(c):(d)=1:x:y:zのモル比率とすると、x、yおよびzが下記の式(7)を満足することが好ましい。
|2−(x+y)−2z|≦1 式(7)
上記の式(7)における(x+y)として好ましくは0.01〜1.99の数であり、より好ましくは0.10〜1.80の数であり、さらに好ましくは0.20〜1.50の数であり、最も好ましくは0.30〜1.00の数である。
また、(a)に対して使用する(e)の量としては、(a)と(e)との接触により得られる粒子に含まれる(a)に由来する亜鉛原子が、得られる粒子1gに含まれる亜鉛原子のモル数にして、0.1mmol以上となる量であることが好ましく、0.5〜20mmolとなる量であることがより好ましい。(e)に対して使用する(f)の量としては、(e)1gにつき(f)0.1mmol以上となる量であることが好ましく、0.5〜20mmolとなる量であることがより好ましい。
架橋型ビスインデニルジルコニウム錯体(B)として、好ましくはラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシドである。
また、有機アルミニウム化合物(C)として、好ましくはトリイソブチルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウムである。
また、電子供与性化合物(D)として、好ましくはトリエチルアミン、トリノルマルオクチルアミンである。
架橋型ビスインデニルジルコニウム錯体(B)の使用量は、助触媒担体(A)1gに対し、好ましくは5×10-6〜5×10-4molである。また有機アルミニウム化合物(C)の使用量として、好ましくは、架橋型ビスインデニルジルコニウム錯体(B)のジルコニウム原子モル数に対する有機アルミニウム化合物(C)のアルミニウム原子のモル数の比(Al/Zr)で表して、1〜2000である。
また、電子供与性化合物(D)の使用量は、有機アルミニウム化合物(C)のアルミニウム原子のモル数に対して、0.1〜10mol%である。
重合方法として、好ましくは、エチレン−α−オレフィン共重合体の粒子の形成を伴う連続重合方法であり、例えば、連続気相重合、連続スラリー重合、連続バルク重合であり、好ましくは、連続気相重合である。
気相重合反応装置としては、通常、流動層型反応槽を有する装置であり、好ましくは、拡大部を有する流動層型反応槽を有する装置である。反応槽内に攪拌翼が設置されていてもよい。
本発明で用いるエチレン−α−オレフィン共重合体の製造に用いられるメタロセン系オレフィン重合用触媒の各成分を反応槽に供給する方法としては、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス、水素、エチレン等を用いて、水分のない状態で供給する方法、各成分を溶媒に溶解または稀釈して、溶液またはスラリー状態で供給する方法が用いられる。触媒の各成分は個別に供給してもよく、任意の成分を任意の順序にあらかじめ接触させて供給してもよい。
また、本重合を実施する前に、予備重合を実施し、予備重合された予備重合触媒成分を本重合の触媒成分または触媒として使用することが好ましい。
重合温度としては、通常、共重合体が溶融する温度未満であり、好ましくは0〜150℃であり、より好ましくは30〜100℃である。
また、共重合体の溶融流動性を調節する目的で、水素を分子量調節剤として添加してもよい。そして、混合ガス中に不活性ガスを共存させてもよい。
上記のような方法で得られるエチレン−α−オレフィン共重合体は、長鎖分岐が緊密に絡み合った構造であるため、従来のエチレン−α−オレフィン共重合体よりも高い流動の活性化エネルギーが得られ、インフレーション成形性に優れるものと考えられる。
本発明は、上記のようにして得られるエチレン−α−オレフィン共重合体を用いてインフレーション成形法によりフィルムを製造する方法である。インフレーション成形機としては環状ダイを備えた公知のインフレーション成形機を使用することができる。
本発明のインフレーションフィルムの製造方法は、インフレーション成形機に備えられた環状ダイのリップギャップを0.4〜2.5mmとする。リップギャップが0.4mmよりも狭いとフィルムに肌荒れが生じる場合があり好ましくなく、リップギャップが2.5mmを超えると高速成形性に劣るため好ましくない。リップギャップは0.5mm〜1.5mmであればさらに好ましい。
エチレン−α−オレフィン共重合体を溶融混練する押出機における押出温度は、120℃〜170℃であることが好ましい。ここでいう押出温度とは、押出機の先端に取り付けられたいわゆる樹脂温度センサーによって計測される温度であり、流路を流れる溶融状態のエチレン−α−オレフィン共重合体の温度を直接計測したものである。通常、押出機にはこうした温度センサーが装備されている。
押出温度が120℃より低いとエチレン−α−オレフィン共重合体が十分に溶融せず、押出すことができない場合がある。また、押出温度が170℃を超えるとバブルが不安定になる、あるいはバブルが破断する場合がある。
押出機における押出温度は125〜165℃であることがより好ましく、130〜155℃であることがさらに好ましい。
本発明のインフレーションフィルム成形の過程において、環状ダイの温度は120〜150℃とすることが好ましく、125〜140℃とすることがさらに好ましい。また押出機シリンダーおよび押出機ヘッド温度は130〜170℃が好ましく、140〜160℃であればさらに好ましい。
また、押出機でエチレン−α−オレフィン共重合体を溶融混練すると発熱することから、上記の環状ダイの温度は押出機シリンダーの温度よりも低くすることが好ましい。具体的には、環状ダイ温度に対し押出機シリンダー温度を5℃以上高く設定して成形することが好ましい。
上記の押出機シリンダー温度とは押出機シリンダーの温度制御ブロックのうち、最も温度が高い部分をいう。押出機シリンダーの温度制御ブロックのうち、材料の投入口に最も近いブロックの温度は他のブロックの温度よりも低い温度に設定される場合がある。
温度設定の好ましい例として、押出機シリンダー温度を150℃、環状ダイ温度を130℃とする条件が挙げられる。
また、インフレーションフィルム成形の過程における吹き出しエアリングは特に制限されないが、複数の吹き出しスリットを有するものが好ましい。吹き出しリングの上部に配置されるチャンバーリングは特に制限されないが、2段以上、好ましくは3段以上のチャンバーリングを配置することが好ましい。
インフレーションフィルム成形の過程におけるBUR(ブローアップ比:環状ダイの出口直径とブローアップ終了後のバブル直径の比)は1.1〜5の範囲である。BURの好ましい範囲は1.2〜4であり、さらに好ましくは1.5〜3である。
本発明のインフレーションフィルムの製造方法においては、高速成形におけるバブルの冷却能力を確保する観点から、環状ダイ面とバブルを閉じる第一ニップロール間の距離を環状ダイ出口直径の20倍以上とすることが好ましく、30倍以上であればさらに好ましい。本発明のインフレーションフィルムの製造方法においては、バブルの安定性を増すために公知のバブル内部冷却装置を用いることもできる。
本発明のインフレーションフィルムの製造方法において製造されるフィルムの厚みは特に制限されないが、好ましくは5〜50μmであり、より好ましくは8〜30μmである。
本発明でいう高速成形とは、成形するフィルムの厚みや配合される添加剤等によって異なるため絶対的な基準はないが、例えばフィルム厚みが20μmの場合は、概ね100m/min以上を示し、フィルム厚みが30μmの場合は概ね80m/min以上を示す。
本発明で用いるエチレン−α−オレフィン共重合体には、必要に応じて、他の熱可塑性樹脂を配合してもよく、また、公知の添加剤を含有させてもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、耐候剤、滑剤、抗ブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、無滴剤、顔料、フィラー等が挙げられる。
次に、本発明を実施例によって説明する。
[1]評価方法
(1)MFR
JIS K7210−1995に規定された方法に従い、190℃において、荷重21.18N(2.16Kg)の条件によって測定した。
実施例1
[触媒成分の調製]
(1)助触媒担体の調製
特開2003−171415号公報の実施例10(1)および(2)に記載の成分(A)の合成と同様な方法で、固体生成物(以下、固体生成物(a)と称する。)を得た。
(2)予備重合
予め窒素置換した内容積210リットルの撹拌機付きオートクレーブに、上記助触媒担体(A)0.7kgと、ブタン100リットル、1−ブテン0.02kg、常温常圧の水素として12リットルを仕込んだ後、オートクレーブを42℃まで昇温した。さらにエチレンをオートクレーブ内のガス相圧力で0.1MPa分だけ仕込み、系内が安定した後、トリイソブチルアルミニウム225mmol、ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシド75mmolを投入して重合を開始した。50℃へ昇温するとともに、エチレンと水素を連続で供給しながら、50℃で合計6時間の予備重合を実施した。重合終了後、エチレン、ブタン、水素ガスなどをパージして残った固体を室温にて真空乾燥し、上記助触媒担体(a)1g当り13gのエチレン−1−ブテン共重合体が予備重合された予備重合触媒成分を得た。
(3)連続気相重合
連続式流動床気相重合装置を用いて、重合温度は85℃、重合圧力は2MPaとし、上記予備重合触媒成分、トリイソブチルアルミニウム、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセンおよび水素を反応器内に連続的に供給して、反応ガス中のエチレンに対する水素のモル比を1.12%、エチレンに対する1−ブテンのモル比を2.4%、エチレンに対する1−ヘキセンのモル比を0.3%、平均重合時間5hrの条件として、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセンの共重合を実施した。重合により、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体(以下、PE(1)と称する。)のパウダーを得た。
(4)エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体パウダーの造粒
上記で得たPE(1)のパウダーを、神戸製鋼所社製LCM50押出機を用いて、フィード速度50kg/hr、スクリュー回転数450rpm、ゲート開度50%、サクション圧力0.1MPa、樹脂温度200〜215℃の条件で造粒することにより、PE(1)のペレットを得た。
Figure 0004735158
[フィルム成形]
前記エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体を住友重機械モダン(株)製インフレーション成形機(環状ダイの樹脂吐出口の直径:125mm、押出機スクリュー径:55mm)にてフィルム成形した。
具体的には、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体を押出機に投入し、150℃の温度に設定した押出機中で溶融混練して130℃に温調した環状ダイに導き、環状ダイのリップから押出した。リップギャップは0.8mm、押出量は123kg/h、BURは2.0であり、得られるフィルムの厚みが20μmとなるようにした。エチレン−α−オレフィン共重合体の押出機における押出温度は162℃であった。この条件では、成形速度140m/minで安定的に製膜可能であった。

Claims (1)

  1. 記関係式(A)を満たすエチレン−α−オレフィン共重合体を用い、該共重合体を押出機で溶融混練した後、リップギャップ0.4〜2.5mmに設定された環状ダイから押出しインフレーション成形するフィルムの厚みが5〜50μmであるインフレーションフィルムの製造方法であって、該押出機のシリンダーの温度が140〜160℃であり、該環状ダイの温度が120〜150℃であり、該環状ダイの温度よりも、該押出機のシリンダーの温度を5℃以上高く設定するインフレーションフィルムの製造方法
    MTV(150)/MTV(190)≧0.6 式(A)
    MTV(150):150℃において計測される最大引取り速度(m/分)
    MTV(190):190℃において計測される最大引取り速度(m/分)
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