JP4734725B2 - 一液湿気硬化性ウレタン樹脂組成物 - Google Patents

一液湿気硬化性ウレタン樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐候性に優れかつ硬化速度と貯蔵安定性のバランスを高めた一液湿気硬化性ウレタン樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、揮発性有機化合物や廃棄物の削減、および製品のコストダウンの要望が高まっており、環境負荷が少なく、かつ経済的なプロセスで製造することが求められている。
こうした要請に応え、特開昭60−215007号公報では、スチレンとアクリル酸の共重合において、高温で連続塊状重合することにより、無溶媒で分子量が小さく分子量分布の狭いポリマーが得られることを開示している。この技術は、連鎖移動剤の添加を必要とせず、反応溶媒や重合開始剤は少量で足りることから、副原料に起因すると考えられる耐候性の低下が抑制されることが期待され、建築、自動車、土木または電子部品分野のシーリング材あるいは接着剤等への使用が注目されている。「工業材料 1999年10月号 Vol.47 No.10」では、この技術により合成した低OH価のアクリル樹脂とポリイソシアネート(ウレタンプレポリマーを含む)を混合することにより得られる二液型のシーリング材が提案されており、耐候性試験において強度と伸びの保持率が良好であったことが報告されている。
しかし、前記アクリル樹脂をイソシアネート変成したアクリルウレタンプレポリマーは硬化速度が遅いことと、強度と伸びのバランスが取れていないため、一液型のシーリング材としては使用できなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、塗料、土木、建築分野等におけるシーリング材あるいは接着剤として有用な、耐候性に優れかつ硬化速度と貯蔵安定性のバランスを高めた一液湿気硬化性ウレタン樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題を解決するため鋭意検討した結果、ポリオール成分として、高温高圧下で連鎖移動剤を用いずに製造した水酸基含有アクリル重合体と、汎用のポリオールとを併用して得られたアクリルウレタンプレポリマーを用いることにより、耐候性が非常によく、かつ硬化速度と貯蔵安定性のバランスが高い一液湿気硬化性ウレタン樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0005】
すなわち、本発明は、高温高圧下、連鎖移動剤を用いずに重合させてなる水酸基含有アクリル重合体(A)、(A)以外のポリオール(B)およびポリイソシアネートから得られるアクリルウレタンプレポリマーを含むことを特徴とする一液湿気硬化性ウレタン樹脂組成物を提供する。
また、本発明は、前記水酸基含有アクリル重合体(A)と前記ポリオール(B)との合計量に対する前記水酸基含有アクリル重合体(A)の重量比が、10重量%〜95重量%であることを特徴とする一液湿気硬化性ウレタン樹脂組成物を提供する。
さらに、本発明は、前記ポリイソシアネートのうち、脂肪族ポリイソシアネートおよび/または脂環式ポリイソシアネートが20重量%以上含まれることを特徴とする一液湿気硬化性ウレタン樹脂組成物を提供する。
【0006】
加えて、本発明は、前記アクリル重合体が、(1)連続的に(a)溶融樹脂混合物を含有する連続混合反応域に、(i)少なくとも1種のアクリル単量体と、(ii)重合開始剤と前記アクリル単量体のモル比が約0.0005:1〜0.06:1となる量の重合開始剤と、(iii )アクリル単量体重量基準で約0〜25%の反応溶媒とを供給し、前記溶融樹脂混合物は未反応アクリル単量体とアクリル重合体製品からなるものであり、(b)(i)前記反応域内の上記供給アクリル単量体の滞留時間を少なくとも約1分とし、そして(ii)前記反応域内での反応混合物を予め定めた量に維持するよう上記反応域通過流量を充分に維持し、(c)溶融樹脂混合物を加工が容易で、均一な、濃縮重合体製品に加速転化するのに充分な反応温度に昇温維持する工程からなることを特徴とする分子量分布が狭く、発色団含有量が低い、高固形分で低分子量のアクリル重合体製品を高収率で製造する連続塊状重合法により得られることを特徴とする一液湿気硬化性ウレタン樹脂組成物を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の一液湿気硬化性ウレタン樹脂組成物(以下、単に「本発明の樹脂組成物」ともいう。)について詳しく説明する。
本発明の樹脂組成物は、特定の製造方法により合成された水酸基含有アクリル重合体(A)、それ以外のポリオール(B)およびポリイソシアネートから得られるアクリルウレタンプレポリマーを含むことを特徴としている。なお、本明細書において、「アクリル重合体」というときは、アクリル重合体とメタクリル重合体の両方をいうこととする。「アクリル単量体」等についても同様である。
【0008】
<アクリルウレタンプレポリマー>
上述のように、本発明の樹脂組成物に用いられるアクリルウレタンプレポリマーは、ポリオール化合物として、高温高圧下、連鎖移動剤を用いずに重合させてなる水酸基含有アクリル重合体(A)と(A)以外のポリオール(B)とを併用し、これにポリイソシアネートを反応させて得られるプレポリマーである。アクリル重合体(A)とそれ以外のポリオール(B)とは、それぞれ別途にポリイソシアネートと反応させてもよいし、(A)と(B)とを予め混合し、その混合物とポリイソシアネートとを反応させてもよい。
【0009】
水酸基含有アクリル重合体(A)は、高温高圧下、連鎖移動剤を用いずに重合して得られる。この水酸基含有アクリル重合体の製造方法として、具体的には、連続的に(a)溶融樹脂混合物を含有する連続混合反応域に、(i)少なくとも1種のアクリル単量体と、(ii)重合開始剤と前記アクリル単量体のモル比が約0.0005:1〜0.06:1となる量の重合開始剤と、(iii )アクリル単量体重量基準で約0〜25%の反応溶媒とを供給し、前記溶融樹脂混合物は未反応アクリル単量体とアクリル重合体製品からなるものであり、(b)(i)前記反応域内の上記供給アクリル単量体の滞留時間を少なくとも約1分とし、そして(ii)前記反応域内での反応混合物を予め定めた量に維持するよう上記反応域通過流量を充分に維持し、(c)溶融樹脂混合物を加工が容易で、均一な、濃縮重合体製品に加速転化するのに充分な反応温度に昇温維持する工程からなる連続塊状重合法が好ましい。
【0010】
従来、アクリル重合体の製造には、連鎖移動剤や重合開始剤、および反応溶媒が必要であった。特に反応溶媒はモノマーと約同量添加する必要があり、反応溶媒を含め、あまりにも多量の不純物が重合体中に残留することから、耐候性には特徴がなかったが、上記の方法により製造された水酸基含有アクリル重合体(A)は、連鎖移動剤を添加する必要がなく、重合開始剤や反応溶媒の使用量が少ない。そのため、副原料に起因する耐候性の低下を抑制できると共に、分子量分布が狭く、発色団含有量が低い、高固形分で低分子量のアクリル重合体製品を高収率で得られる。
【0011】
アクリル単量体は、非官能性アクリル単量体と官能性アクリル単量体の少なくとも2種を用いるのが好ましい。非官能性アクリル単量体としては、アクリル酸アルキルエステルまたはメタクリル酸アルキルエステルが挙げられ、具体的には、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシルが挙げられる。
官能性アクリル単量体としては、アクリル酸ヒドロキシアルキル、メタクリル酸ヒドロキシアルキルが挙げられ、具体的には、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシヘキシル、メタクリル酸ヒドロキシヘキシル、およびこれらの混合物が好ましく挙げられる。
非官能性アクリル単量体と官能性アクリル単量体との割合は、非官能性アクリル単量体が約50重量%〜98重量%、官能性アクリル単量体が約2重量%〜30重量%であるのが好ましい。
【0012】
重合開始剤は、半減期が100℃で約10時間であることが好ましく、具体的には過酸化物またはヒドロペルオキシドが挙げられる。
反応溶媒としては、高沸点の(i)芳香族アルコール、(ii)アルコールまたはグリコール・エーテル、エステル、混合エーテル、混合エステル、(iii )(ポリ)アルキレン・グリコール・ジアルキル・エーテル、および(iv)炭化水素留分から選択されるのが好ましい。
なお、上記製造方法について、さらに詳しくは、特開昭60−215007号公報に開示されたとおりである。
【0013】
本発明のアクリルウレタンプレプリマーは、上記水酸基含有アクリル重合体(A)と併用して、(A)以外のポリオール(B)を用いる。
ポリオール(B)としては、(A)以外のポリオールであって、通常ウレタンプレポリマーの原料として用いられるポリオールを使用でき、例えばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、その他のポリオールおよびこれらの混合ポリオール等を挙げることができる。
【0014】
ポリエーテルポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、4,4’−ジヒドロキシフェニルプロパン、4,4’−ジヒドロキシフェニルメタン等の2価アルコール;グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール等の多価アルコール;エチレンジアミン、芳香族ジアミンなどのジアミン類;ソルビトール等の糖類;またはエチレングリコール、グリセリン等のポリオールの1種または2種以上に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドの1種または2種以上を付加して得られるポリオール;ポリオキシテトラメチレンオキサイド等が挙げられる。
【0015】
ポリエステルポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパンあるいはその他の低分子ポリオールの1種または2種以上と、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ダイマー酸あるいはその他の低分子カルボン酸やオリゴマー酸の1種または2種以上との縮合重合体;プロピオンラクトン、バレロラクトン等の開環重合体等が挙げられる。
【0016】
その他、主鎖が炭素−炭素結合よりなるポリオール、例えば、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、水素添加されたポリブタジエンポリオール等や、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール等の低分子ポリオールが好適に例示される。これらのポリオールは、1種でも2種以上を併用してもよい。
【0017】
本発明のアクリルウレタンプレポリマーを生成するポリイソシアネートとしては、通常のポリウレタン樹脂組成物に使用されるポリイソシアネートが各種例示されるが、具体的には、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’−MDI)、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’−MDI)、p−フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI),1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ノルボルナンジイソシアナートメチル(NBDI)等の脂肪族ポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート(IPDI)、H6 XDI(水添XDI)、H12MDI(水添MDI)等の脂環式ポリイソシアネート;上記各ポリイソシアネートのカルボジイミド変性ポリイソシアネート、またはこれらのイソシアヌレート変性ポリイソシアネート等が挙げられる。
また、立体障害の大きなイソシアネート基を少なくとも1個有するイソシアネート化合物を用いることもできる。具体的には、三井サイテック社製のTMI(モノイソシアネート化合物)、TMXDI(ジイソシアネート化合物)、サイセン(トリイソシアネート化合物)等が好ましく挙げられる。
これらは、1種でも2種以上を併用してもよい。併用する場合には、上記ポリイソシアネートの2種以上を混合する割合は特に限定されないが、ポリイソシアネートの全重量に対し、脂肪族ポリイソシアネートおよび/または脂環式ポリイソシアネートが20重量%以上含まれると耐候性が特に優れるので好ましい。より好ましくは、30重量%以上である。
【0018】
本発明のアクリルウレタンプレポリマーは、上述の水酸基含有アクリル重合体(A)と(A)以外のポリオール(B)とを併用して得られるものであれば特に限定されないが、水酸基含有アクリル重合体(A)とポリオール(B)との合計量に対する前記水酸基含有アクリル重合体(A)の重量比[(A)/{(A)+(B)}]が、10重量%〜95重量%であると耐候性と硬化速度のバランスが高いので好ましい。また、硬化物の強度と伸びのバランスにも優れる。より好ましくは、(A)/{(A)+(B)}の重量比が20重量%〜90重量%、さらに好ましくは30重量%〜80重量%であるとこれらのバランスが特に高い。上記範囲を超えて水酸基含有アクリル重合体(A)が多過ぎると、硬化速度が低下しやすく、硬化物の強度が著しく低下する傾向があり、逆に少な過ぎると所望の耐候性が得られない。
【0019】
また、ポリイソシアネートの配合量は、上記割合で用いられるポリオール成分{(A)+(B)}1当量(OH当量)に対し、ポリイソシアネート1.2当量以上(NCO当量)が好ましく、1.3当量〜2.5当量がより好ましい。本発明のアクリルウレタンプレポリマーは、上記割合でポリオール成分{(A)+(B)}とポリイソシアネートとを混合し、30℃〜120℃、好ましくは50℃〜100℃で加熱撹拌することによって製造される。必要に応じて触媒を添加してもよい。先に述べたように、2種のポリオール成分(A)および(B)は、それぞれ別途にポリイソシアネートと反応させてもよいし、予め混合した後ポリイソシアネートと反応させてもよい。これらの方法で製造されたアクリルウレタンプレポリマーはいずれの製造方法で製造した場合にも、耐候性と硬化速度に優れている。
このようにして製造される本発明のアクリルウレタンプレポリマーのNCO%は、好ましくは0.5%以上、より好ましくは0.7%〜3.0%であると、粘度上昇が抑制され、長期間貯蔵後も高い接着性が確保できる。ここで、NCO%は、アクリルウレタンプレポリマーの全重量に対するNCO基の重量%を表す。
また、本発明のアクリルウレタンプレポリマーの数平均分子量は、2000〜50000が好ましく、4000〜30000がより好ましい。
【0020】
本発明の樹脂組成物には、上記成分のほか、本発明の目的を損なわない範囲で、充填剤、可塑剤、溶剤、シランカップリング剤、老化防止剤、チクソトロピー付与剤、酸化防止剤、帯電防止剤、顔料、難燃剤、接着付与剤、脱水剤等を配合してもよい。
【0021】
充填剤としては、通常の一液型ウレタン樹脂組成物に配合される充填剤であれば特に限定はなく、各種形状の有機あるいは無機充填剤が使用できる。例えば炭酸カルシウム、シリカ、クレー、タルク、酸化チタン、カーボンブラック等が挙げられ、これらは1種でも2種以上を併用することもできる。
炭酸カルシウムは、沈降性炭酸カルシウムと重質炭酸カルシウムとがあり、本発明ではそのいずれを用いることもできる。前者は粒径が細かいため本発明の樹脂組成物のチクソ性の発現に有効であるが、その製法上、一液型として用いるには、脂肪酸あるいは脂肪酸エステル等の表面処理剤で処理されていることが好ましい。他方、後者はこのような表面処理を施す必要はなく、多量に添加しても粘度上昇を招かないが、一般に粒径が大きく、チクソ性を高める効果は前者に比べて低い。そのため、本発明の樹脂組成物に配合する場合は、これらを混合して用いるのが特に有効であり好ましい。チクソ性を高いレベルで安定化するには、ある程度の沈降性炭酸カルシウムを配合するのが有効であり、重質炭酸カルシウムを併用することにより、沈降性炭酸カルシウムの配合量が多いために懸念される粘度上昇を抑制でき、作業性を確保できるからである。
【0022】
沈降性炭酸カルシウムの表面処理に用いられる脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸などの直鎖飽和脂肪酸;セトレイン酸、ソルビン酸などの不飽和脂肪酸;安息香酸、フェニル酢酸などの芳香族カルボン酸等が挙げられる。また、脂肪酸エステルとしては、炭素数8以上の高級脂肪酸のエステルが好ましく、例えばステアリン酸ステアリル、ステアリン酸ラウリル、パルミチン酸ステアリル、パルチミン酸ラウリル、トリステアリン酸グリセライド、トリパルミチン酸グリセライド等が挙げられる。
沈降性炭酸カルシウムを上記脂肪酸あるいは脂肪酸エステルで表面処理する方法として、例えば、脂肪酸あるいは脂肪酸エステルを沈降性炭酸カルシウムに添加し、混練、噴霧または浸漬することにより沈降性炭酸カルシウムの表面に脂肪酸、樹脂酸または脂肪酸エステルを吸着させる方法が挙げられる。
脂肪酸あるいは脂肪酸エステルの表面処理量は、沈降性炭酸カルシウムに対して、通常1.0重量%〜10重量%である。
【0023】
シリカとしては、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ等、クレーとしては、ろう石クレー、カオリンクレー、焼成クレー等、あるいはこれらの脂肪酸、脂肪酸エステル処理物等が挙げられる。
【0024】
充填剤は、アクリルウレタンプレポリマー100重量部に対し、合計で10重量部〜200重量部配合するのが好ましい。より好ましくは20重量部〜180重量部配合すると、所望のチクソ性が得られると共に、貯蔵安定性とのバランスも高い。
【0025】
可塑剤としては、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアクリル酸オリゴマー;ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP);アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル;ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル;オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル;リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル;アジピン酸プロピレングリコールポリエステル、アジピン酸ブチレングリコールポリエステル等が用いられる。なかでも、アクリル酸オリゴマーはアクリルウレタンプレポリマーとの相溶性が高いため、少ない添加量で所望の効果が得られるので好ましい。これらの可塑剤は、1種でも2種以上を併用してもよい。可塑剤はアクリルウレタンプレポリマー100重量部に対し、好ましくは2重量部〜100重量部、より好ましくは2重量部〜50重量部が適量である。
【0026】
本発明に用いる溶剤としては、前記反応性樹脂に含まれるイソシアネート基に対して不活性であり、さらに適度な揮発性を有するものが好ましい。例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ミネラルスピリット、トルエン、キシレン、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、アセトン、n−ヘキサン、メチレンクロリド、テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサン等が挙げられ、これらは1種でも2種以上を併用してもよい。
なお、これらの溶剤は、併用されるイソシアネート化合物に対する水分の影響を防止するため、乾燥または脱水してから用いるのが好ましい。溶剤の配合量は用途にもよるが、アクリルウレタンプレポリマー100重量部に対し、0重量部〜30重量部が好ましく、0重量部〜20重量部がより好ましい。
【0027】
シランカップリング剤としては、本発明の目的を損なわない範囲で、従来公知のシランカップリング剤を用いることができる。このようなシランカップリング剤としては、クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらのうち、ビニルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランは、特に、湿潤面への接着性を向上させる効果に優れ、さらに汎用であることから、好適に用いられる。
これらのシランカップリング剤は、アクリルウレタンプレポリマー100重量部に対し、0.1重量部〜10重量部配合するのが好ましく、より好ましくは0.1重量部〜5重量部である。この範囲であると、湿潤面への接着性が高いと共に、貯蔵安定性を確保することができる。
【0028】
老化防止剤としては、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系等の化合物が挙げられる。老化防止剤はアクリルウレタンプレポリマー100重量部に対し、好ましくは0.1重量部〜3重量部程度を用いると耐候性がさらに向上する。
【0029】
チクソトロピー付与剤としては、エアロジル(日本エアロジル(株)製)、ディスパロン(楠本化成(株)製)を、帯電防止剤としては、一般的に、第4級アンモニウム塩あるいはポリグリコールやエチレンオキサイド誘導体などの親水性化合物を挙げることができる。また、酸化防止剤としては、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)等を挙げることができる。
【0030】
顔料としては、無機顔料と有機顔料とがあり、無機顔料としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、群青、ベンガラ、リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウム、塩酸塩、硫酸塩等を挙げることができる。また、有機顔料としては、アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料等が挙げられる。
【0031】
難燃剤としては、クロロアルキルホスフェート、ジメチル・メチルホスホネート、臭素・リン化合物、アンモニウムポリホスフェート、ネオペンチルブロマイドーポリエーテル、臭素化ポリエーテル等が挙げられ、接着付与剤としては、テルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペンーフェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。
【0032】
また、本発明の樹脂組成物は、硬化剤としてアミン系潜在性硬化剤を含んでいてもよい。アミン系潜在性硬化剤は、水による加水分解反応でアミノ基が再生されるまでの間は硬化剤として機能しないため、後述するように、空気中の水分や組成物に含有される水により、アミン系潜在性硬化剤が加水分解され、アミノ基が再生するまでの時間を組成物の可使時間として稼ぐことができると共に、アミノ基が再生した後は、硬化速度の早い硬化剤として機能するため、硬化時間の短い組成物とすることができる。
【0033】
本発明で使用するアミン系潜在性硬化剤としては、加水分解反応によりアミノ基を生成し、ウレタン樹脂組成物の潜在性硬化剤として使用可能である従来公知のすべての潜在性硬化剤を使用することができる。
例えば、ポリアミンとカルボニル化合物との反応物であるケチミン類、エナミン類;アミノアルコールとカルボニル化合物との反応物であるオキサゾリジン類を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0034】
本発明で使用されるアミン系潜在性硬化剤としては、中でも、より硬化速度が早いという観点から、ケチミン類、あるいはオキサゾリジン類を好ましく挙げることができる。
【0035】
潜在性硬化剤として使用されるケチミン類としては、ポリアミンとカルボニル化合物との反応物であれば、特に制限なく使用することができる。ケチミン類の合成に使用されるカルボニル化合物としては、良好な貯蔵安定性を与え、かつ、可使時間を長くできるので、他の硬化速度の早い硬化剤を併用する時に硬化速度の調整用として有効であるという観点から、α位に置換基を有する立体障害の大きなカルボニル化合物が好ましく挙げることができる。α位に置換基をもつカルボニル化合物とは、カルボニル基から数えてα位に置換基を有するカルボニル化合物のことである。このようなカルボニル化合物としては、例えば、下記式(1)で表される化合物を挙げることができる。
【0036】
【化1】
Figure 0004734725
1 は、水素原子またはメチル基を表し、
2 は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、
3 は、メチル基またはエチル基を表し、
4 は、水素原子、メチル基またはエチル基を表す。
【0037】
ここで、R2 を表す炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等を挙げることができる。また、R2 とR3 とが結合し、シクロヘキシル環を形成してもよい。上記カルボニル化合物としては、具体的にはメチルイソプロピルケトン、メチルt−ブチルケトン、メチルシクロヘキシルケトンを好ましく挙げることができる。
【0038】
また、ケチミン類の合成に用いられるポリアミンとしては、特に限定はないが、硬化速度が速いという点で脂肪族系ポリアミンが好ましい。
例えば、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メンセンジアミン、1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン、分子両末端のプロピレン分岐炭素にアミノ基が結合したポリプロピレングリコール(PPG)(たとえばサンテクノケミカル社製ジェファーミンD230、ジェファーミンD400など)、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、1,2−ジアミノプロパン、イミノビスプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、H2 N(CH2 CH2 O)2 (CH2 2 NH2 (商品名サンテクノケミカル社製ジェファーミンEDR148)などのアミン窒素にメチレン基が結合したポリエーテル骨格のジアミン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン(商品名デュポン・ジャパン社製MPMD)、メタキシリレンジアミン(MXDA)、ポリアミドアミン(三和化学社製X2000)、イソホロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(三菱ガス化学社製1,3BAC)、1−シクロヘキシルアミノ−3−アミノプロパン、3−アミノメチル−3,3,5−トリメチル−シクロヘキシルアミン、ノルボルナン骨格のジメチレンアミン(三井化学社製NBDA)等を挙げることができる。これらの中でも、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(1,3BAC)、ノルボルナン骨格のジメチレンアミン(NBDA)、メタキシリレンジアミン(MXDA)、ジェファーミンEDR148(商品名)、ポリアミドアミンが好ましい。
【0039】
好適に用いられるケチミン類としては、ケチミン類を使用することにより本発明の樹脂組成物の貯蔵安定性および硬化性を高める観点から、
メチルイソプロピルケトン(MIPK)またはメチルt−ブチルケトン(MTBK)と、ジェファーミンEDR148(商品名:ポリエーテル骨格のジメチレンアミン)とから得られるもの、MIPKまたはMTBKと、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(1,3BAC)とから得られるもの、MIPKまたはMTBKと、ノルボルナン骨格のジメチレンアミン(商品名:NBDA)とから得られるもの、MIPKまたはMTBKと、メタキシリレンジアミン(MXDA)とから得られるもの、MIPKまたはMTBKと、ポリアミドアミン(商品名:X2000)とから得られるものなどを挙げることができる。
これらの中でも、特にMIPKまたはMTBKと、NBDAとから得られるもの、MIPKと1,3BACとから得られるものは、優れた硬化性を発現する。またMIPKまたはMTBKと、X2000とから得られるものは、湿潤面に対し優れた接着性を発現する。
【0040】
上述のケチミン類は、上記カルボニル化合物とポリアミンを無溶媒下、あるいはベンゼン、トルエン、キシレン等の溶媒存在下で加熱還流させ、脱離してくる水を共沸により除きながら反応させることにより得られる。
【0041】
潜在性硬化剤として使用されるオキサゾリジン類としては、アミノアルコールとカルボニル化合物との反応物であれば、特に制限なく使用することができる。オキサゾリジン類の合成に使用されるカルボニル化合物としては、良好な貯蔵安定性を与え、かつ、可使時間を長くできるので、他の硬化速度の大きい硬化剤を併用する時に硬化速度の調整用として有効であるという観点から、上述したケチミン類の合成に好適に使用されるカルボニル化合物を挙げることができる。
【0042】
また、オキサゾリジン類の合成に用いられるアミノアルコールとしては、特に限定はないが、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−プロピルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、N−t−ブチルエタノールアミン、2−ヒドロキシエチルアミン,1−アミノ−2−プロパノール、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−(2−ヒドロキシプロピル)アミン、ビス−N−(2−ヒドロキシエチル)アミン、N−(2−アミノエチル)エタノールアミン、N−(2−アミノエチル)イソプロパノールアミン等を好ましく挙げることができ、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、ビス−N−2−ヒドロキシエチルアミン等が硬化速度および価格の面から好適である。
【0043】
好適に用いられるオキサゾリジン類としては、オキサゾリジン類を使用することにより本発明の樹脂組成物の貯蔵安定性および硬化性を高める観点から、MIPKまたはMTBKと、N−メチルエタノールアミンまたはN−エチルエタノールアミンとから得られるものを挙げることができる。
【0044】
オキサゾリジン類は、カルボニル化合物とアミノアルコールを無溶媒下、あるいはベンゼン、トルエン、キシレン等の溶媒存在下で加熱還流させ、脱離してくる水を共沸により除きながら反応させることにより得られる。
【0045】
本発明において、アミン系潜在性硬化剤の含有量は、アクリルウレタンプレポリマー100重量部に対して、0重量部〜10重量部が好ましく、0.1重量部〜5重量部がより好ましい。
【0046】
さらに、本発明においては、使用時に硬化触媒を別途添加して、二液型のシーリング材等として用いることもできる。硬化触媒は、通常のポリウレタン樹脂組成物に使用されるものであれば特に限定されず、トリエチレンジアミン、ペンタメチレンジエチレントリアミン、モルフォリン系アミン、トリエチルアミン等のアミン系触媒、ジラウリル酸−ジ−n−オクチル錫、ジラウリル酸ジブチル錫、スタノクトエート等の錫系触媒、ビスマス系触媒等が挙げられる。
【0047】
本発明の樹脂組成物の製造方法は特に限定されないが、好ましくは、上述の各成分を減圧下あるいは窒素存在下に、混合ミキサー等の撹拌装置を用いて充分に混練し、均一に分散させて組成物とするのがよい。
このようにして得られる本発明の樹脂組成物は、耐候性に優れかつ硬化速度と貯蔵安定性のバランスを高めた一液型のウレタン樹脂組成物として好適である。
【0048】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(1)アクリルウレタンプレポリマーA1〜A9の合成
表1に示した組成で、水酸基含有アクリル重合体(A)としてUH2000(東亞合成社製、数平均分子量10000、OHV20.5)、ポリオール(B)として数平均分子量2000の2官能ポリプロピレングリコール(旭硝子(株)製、商品名EXL−2020、OHV56.1)および/または数平均分子量5000の3官能ポリプロピレングリコール(旭硝子(株)製、商品名EXL−5030、OHV33.7)を用い、これにさらにNCO/OH=1.90となる量のポリイソシアネート、およびジイソノイルフタレート(「DINP」と表す。)を加えて、窒素の存在下、80℃で12時間加熱撹拌することによりアクリルウレタンプレポリマーA1〜A9を得た。
【0049】
(2)アクリルウレタンプレポリマーA10の合成
水酸基含有アクリル重合体(A)に代えて、以下の方法で合成した汎用アクリレートを用い、これに上記2種のポリオールを表1に示した組成で混合し、同様に加熱撹拌することによりアクリルウレタンプレポリマーA10を得た。
汎用アクリレートは、ブチルアクリレート1920g、ヒドロキシエチルアクリレート80g、DINP973g、ドデシルメルカプタン15g、アゾビスイソブチロニトリル(「AIBN」と表す。)20gを混合し、窒素の存在下、70℃で24時間反応させることにより、平均分子量約2万の水酸基含有アクリル重合体を得た。
【0050】
アクリルウレタンプレポリマーA1〜A10について、それぞれの反応に用いた▲1▼全ポリオール化合物中における水酸基含有アクリル重合体の重量比(A)/{(A)+(B)}、▲2▼全イソシアネート中の脂肪族イソシアネートの重量比(脂肪族イソシアネート/全イソシアネート)、▲3▼アクリルウレタンプレポリマーとDINPとの重量比、加えて、得られたアクリルウレタンプレポリマーの▲4▼最終NCO%および▲5▼外観を表1に示した。ここで、「OHV」とは水酸基価をいい、「最終NCO%」とは合成後に実測したNCO%をいう。
【0051】
【表1】
Figure 0004734725
【0052】
実施例1〜10、参考例1
このようにして得られたアクリルウレタンプレポリマーを、脂肪酸エステル処理炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、アクリレートオリゴマー、キシレン、ビニルシラン、エポキシシラン、老化防止剤を表2に示した配合で用い、高粘度用混合ミキサーで均一に分散させてウレタン樹脂組成物を得た。
【0053】
【表2】
Figure 0004734725
【0054】
表2中の各成分は以下に示すとおりである。
脂肪酸エステル処理炭酸カルシウム:丸尾カルシウム社製、シーレッツ200
重質炭酸カルシウム:丸尾カルシウム社製、スーパー#1500
アクリレートオリゴマー:東亞合成社製、UP1000
ビニルシラン:ビニルトリメトキシシラン、日本ユニカー社製、A171
エポキシシラン:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、日本ユニカー社製、A187
老化防止剤:チバスペシャリティ社製、チヌビンB75
【0055】
比較例1、2
得られたアクリルウレタンプレポリマーA7およびA10をそれぞれ単独で用いたことを除いては、実施例と同様にしてウレタン樹脂組成物を得た。
【0056】
得られたウレタン樹脂組成物について、以下に示す方法で硬化性および耐候性を評価した。
(1)硬化性試験
得られたウレタン樹脂組成物を23℃で50%相対湿度の条件で硬化させ、JIS A5758に準拠して、タックフリータイムを測定した。24時間以内にタックフリーになるものを○、48時間以内にタックフリーになるものを△、48時間でタックフリーにならないものを×として表2に示した。
(2)耐候性試験
モルタルを被着体として、得られたウレタン樹脂組成物を塗布面積5cm×10cmで塗布し、3日間放置して硬化させ、試験片を作製した。
この試験片を、メタルハライドウェザーメータ(条件:63℃、50%RH、光エネルギー75mW/cm2 、シャワー120秒/2時間後)による処理を行ない、300時間経過後および800時間経過後に硬化物表面の状態を観察し、ひび割れの有無によって耐候性を評価した。ひび割れがあったものを×、ひび割れがなかったものを○として表2に示した。
【0057】
表2より明らかなように、本発明のアクリルウレタンプレポリマーA2〜A5を単独で用いた例(実施例1〜4)、およびアクリルウレタンプレポリマーA7およびA8を混合して用いた例(実施例5〜7)は、硬化性と耐候性が共に優れている。
水酸基含有アクリル重合体(A)の割合[(A)/{(A)+(B)}]が少ないアクリルウレタンプレポリマーA1を用いた例(実施例8)では、耐候性試験において800時間経過後にひび割れが生じる。逆に、(A)/{(A)+(B)}が多過ぎると、耐候性は高いが硬化速度がやや遅くなる(実施例9)。
また、水酸基含有アクリル重合体(A)を単独で用いたアクリルウレタンプレポリマーA8の割合が少ない例(実施例10)では、800時間経過後にひび割れが生じ耐候性が低下する。しかし、これらは従来のウレタン樹脂組成物に比べて耐候性が明らかに向上しており、実用上問題なく使用できる範囲である。
他方、本発明のアクリル重合体(A)に代えて汎用アクリレートを用いた例(比較例1)や、アクリル重合体(A)を含まない例(比較例2)では、300時間経過後に表面にひび割れが生じ、所望の耐候性が得られない。
【0058】
【発明の効果】
以上のように、本発明に従えば、耐候性に優れかつ硬化速度と貯蔵安定性のバランスが高い一液湿気硬化性ウレタン樹脂組成物が得られる。

Claims (8)

  1. 高温高圧下、連鎖移動剤を用いずに重合させてなる水酸基含有アクリル重合体(A)、(A)以外のポリオール(B)およびポリイソシアネートから得られるアクリルウレタンプレポリマーを含み、
    前記ポリイソシアネートが、脂肪族ポリイソシアネートおよび/または脂環式ポリイソシアネート、ならびにトリレンジイソシアネートまたはジフェニルメタンジイソシアネートを含み、
    前記ポリイソシアネートの全重量に対し、前記脂肪族ポリイソシアネートおよび/または前記脂環式ポリイソシアネートが20重量%以上含まれ、
    前記水酸基含有アクリル重合体(A)と前記ポリオール(B)との合計量に対する前記水酸基含有アクリル重合体(A)の重量比[(A)/{(A)+(B)}]が、10重量%〜95重量%であり、
    前記ポリイソシアネートの配合量が、前記水酸基含有アクリル重合体(A)と前記ポリオール(B)との合計{(A)+(B)}1当量(OH当量)に対し、前記ポリイソシアネート1.2〜2.5当量である(NCO当量)ことを特徴とする一液湿気硬化性ウレタン樹脂組成物。
  2. 前記脂肪族ポリイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネートまたはノルボルナンジイソシアナートメチルである請求項1に記載の一液湿気硬化性ウレタン樹脂組成物。
  3. 前記脂環式ポリイソシアネートが、イソホロンジイソシアネート、H6キシリレンジイソシアネート(水添XDI)およびH12ジフェニルメタンジイソシアネート(水添MDI)からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1または2に記載の一液湿気硬化性ウレタン樹脂組成物。
  4. 前記ポリオール(B)が、ポリエーテルポリオールである請求項1〜3のいずれかに記載の一液湿気硬化性ウレタン樹脂組成物。
  5. 前記アクリルウレタンプレポリマーのNCO%が、0.5〜3.0%である請求項1〜のいずれかに記載の一液湿気硬化性ウレタン樹脂組成物。
  6. 前記水酸基含有アクリル重合体(A)が、連続的に(a)溶融樹脂混合物を含有する連続混合反応域に、(i)少なくとも1種のアクリル単量体と、(ii)重合開始剤と前記アクリル単量体のモル比が0.0005:1〜0.06:1となる量の重合開始剤と、(iii)アクリル単量体重量基準で0〜25%の反応溶媒とを供給し、前記溶融樹脂混合物は未反応アクリル単量体とアクリル重合体製品からなるものであり、(b)(i)前記反応域内の上記供給アクリル単量体の滞留時間を少なくとも1分とし、そして(ii)前記反応域内での反応混合物を予め定めた量に維持するよう上記反応域通過流量を充分に維持し、(c)溶融樹脂混合物を加工が容易で、均一な、濃縮重合体製品に加速転化するのに充分な反応温度に昇温維持する工程からなることを特徴とする分子量分布が狭く、発色団含有量が低い、高固形分で低分子量のアクリル重合体製品を高収率で製造する連続塊状重合法により得られることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の一液湿気硬化性ウレタン樹脂組成物。
  7. さらに、シランカップリング剤を含む請求項1〜のいずれかに記載の一液湿気硬化性ウレタン樹脂組成物。
  8. 前記シランカップリング剤が、前記アクリルウレタンプレポリマー100重量部に対し、0.1重量部〜10重量部である請求項に記載の一液湿気硬化性ウレタン樹脂組成物。
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