JP4731710B2 - レーザ測量機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、室内外で工事等を行うとき、レーザビームを水平面内等でスキャン(走査)して、水平面や鉛直面等の基準面を指示するレーザ測量機(レベルプレーナ)に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6に示したように、レベルプレーナ300Cは、回転部10CからレーザビームLを出射して、壁面8等に設置されたターゲット60Aの方向を基準にして、レーザビームLを所定のスキャン幅θとスキャン速度vでスキャンさせることにより、水平面や鉛直面等の基準面を指示するものである。ターゲット60Aとしては、図3に示したように、矩形のターゲット本体60bに、多数のマイクロプリズム60cを取り付けたものがよく用いられる。マイクロプリズム60cは、入射光の入射角にかかわらず、反射光を入射光の来た方向へ反射させるものである。
【0003】
ところで、レベルプレーナ300Cには、レーザビームLを単純に直径約10mm程度の平行光線束として出射するものと、視認性を良くするためと、基準面を正確に指示するために、レーザビームLをターゲット60A上に集光できるように、レーザビームLの集光する距離(以下、集光距離と呼ぶ。)を変更できるようにしたものがあった。そして、レーザビームLの集光距離の設定値は手動で変更するものが多かった。
【0004】
しかしながら、レーザビームLの集光距離を手動で変更することは、作業者にとってわずらわしく、作業能率を悪くしていた。このため、最近では、特開2000−161961号公報に開示されたように、オートフォーカス機構を備えて、ターゲット60A上にレーザビームLを自動的に集光させることができるようにしたものも出てきた。
【0005】
図7に、前記公報に開示されたレベルプレーナの光学系と、この光学系を制御する制御系のブロック図を示す。
【0006】
このレベルプレーナは、発振器102の出力がLD(レーザダイオード)駆動回路104を経て入力されると、可視光レーザを出射するレーザダイオード等の発光部3と、発光部3から出射したレーザ光を平行光線束のレーザビーム0とするコリメータレンズ2と、このレーザビーム0の傾斜角を補正する傾斜角補正系1と、傾斜角補正系1を通過したレーザ光を鉛直方向上方へ反射する反射鏡4と、反射鏡4で反射されたレーザビーム0の集光距離を変更するビームエキスパンダ6と、このレーザビーム0を透過させ、ターゲット60から反射してきたレーザビームを直角方向へ反射する孔開きミラー7と、入射するレーザビーム0を直角方向に反射するペンタプリズム42とを備えている。
傾斜角補正系1は、レベルプレーナが傾斜しても、ペンタプリズム42へ入射するレーザビーム0を常に鉛直方向に保つためのものであり、封入ガラス1dと、反射面1bを有するオイルパス1cとからなっている。この傾斜補正系1内には、発光部3から出射したレーザ光の偏光面を変えるプリズム30、32が設けられている。
【0007】
ビームエキスパンダ6は、焦点距離の異なる一対のレンズ36、38からなり、一方のレンズ38は、フォーカス駆動用モータ200により上下方向に移動できるようになっている。そして、一方のレンズ38を移動させることにより、壁面までの距離に応じてレーザビーム0の集光距離を変更できるようにしてあり、これにより、壁面に設置されたターゲット60上にレーザビーム0を集光させて、レーザビーム0の照射点の照度を上げて視認性を向上させるとともに、高精度に基準面を表示できるようになっている。
【0008】
ペンタプリズム42は回転支持台40上に固定され、回転支持台40には歯車46が形成されており、この歯車46はメインモータ48の出力歯車50と噛み合っている。回転支持台40の中心軸に沿っては、レーザビーム0を通過させるための過貫孔が設けてある。
【0009】
レベルプレーナから出射されたレーザビーム0は、壁面等に取り付けられたターゲット60で反射され、今来た光路を逆進し、孔開きミラー7で直角方向に反射され、集光レンズ82とピンホール板84を経てフォトダイオード等の受光器86に入射するようになっている。受光器86がターゲット60からの反射レーザビーム00を受光すると、受光器86は受光信号パルスを発生し、このパルスはマイクロコンピュータ等からなる制御系100に送られる。制御系100には、回転支持台40の回転角を検出するエンコーダ44からの回転角信号も送られてくるようになっている。
【0010】
そこで、制御系100は、受光器86からのパルスとエンコーダ44からの回転角信号に基づいて、ターゲット60の方向を基準にして、レーザビーム0を所定スキャン幅でスキャンさせる。また、制御系100は、ターゲット60からの反射レーザビーム00に基づいて、自動的にレーザビーム0をターゲット60上に集光させるオートフォーカス機構を構成するプログラムを備えている。
【0011】
このオートフォーカス機構の原理を説明する。ターゲット60は、図8に示したように、2つの反射ゾーン62、64とを間隔をおいて配置している。レベルプレーナに正対しているターゲット60をレーザビーム0で図8に破線sで示したようにスキャンすると、受光器86は、反射レーザビーム00を受光したとき、近接した2つのパルスを検出する。この2つのパルスの検出時にエンコーダ44から送られてくる回転角信号を読み込み、その角度差を求めることにより、図9に示したように、レベルプレーナ300から2つの反射ゾーン62、64を見たときの視角θを得る。すると、2つの反射ゾーン62、64の間隔dは既知であり、かつ、θは非常に小さいので、ターゲット60までの距離Rは、
R=d/tanθ=d/θ
で求まる。オートフォーカス機構は、この距離Rに応じてフォーカスレンズ38の位置を制御して、レーザビーム0をターゲット60上に集光させるのである。
【0012】
また、ターゲット60が2つの反射ゾーン62、64を備えているため、近接した2つのパルスを検出した場合にのみ、ターゲット60からの反射レーザビーム00であることが判別できるという利点がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図9に破線で示したように、ターゲット60がレベルプレーナ300Cに正対していないと、視角θ’が、ターゲット60がレベルプレーナ300Cに正対しているときの視角θよりも小さくなってしまう。このため、制御系100は、実際よりターゲット60が遠いと誤ってしまうので、レーザビーム0がターゲット60上に集光していない状態が生じるという問題があった。また、特別のターゲット60を使用しなければならないので、不便で不経済でもあった。
【0014】
そこで、以上のような諸問題を解決するため、レーザ測量機自体の構造を変更することなく、しかも従来のターゲットを使用できて、便利で経済的なオートフォーカス機構を備えたレーザ測量機を提供する。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記の問題を解決するため、請求項1に係る発明では、可視レーザビームを出射する回転部と、該レーザビームの集光距離を変更する集光距離変更手段と、多数のマイクロプリズムを前面全体に一様に取り付けたターゲットで反射してくる反射レーザビームを受光する受光器と、前記集光距離変更手段を制御する制御系とを備えたレーザ測量機において、前記制御系は、スキャン動作開始後、前記集光距離変更手段で前記集光距離を段階的に変えながら、前記受光器が前記反射レーザビームを受光して発生する近接した多数のパルスのパルス数が最大になるように前記集光距離を設定することを特徴とする。
【0016】
請求項2に係る発明では、請求項1に係る発明において、前記制御系は、前記回転部を一定方向に定常回転させるとともに前記集光距離手段で前記集光距離を段階的に変えながら、前記受光器が前記反射レーザビームを受光して近接した多数のパルスを発生する場合に前記レーザ測量機をスキャン動作に移行させることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の望ましい実施例について、図面を用いて詳細に説明する。本実施例のレーザ測量機(レベルプレーナ)の光学系及びこの光学系を制御する制御系を図1に示す。ターゲット60Aは、図3に示した従来のものと同じである。
【0019】
本実施例のレーザ測量機300Aは、鉛直上方にレーザ光L1を出射するレーザダイオード等の上側発光体3Aと、上側発光体3Aから出射されたレーザ光L1の光路上に配置されたフォーカスレンズ6Aと、このレーザ光L1を透過させ、ターゲット60Aから反射してきたレーザ光を直角方向へ反射するビームスプリッタ7Aと、ビームスプリッタ7Aを透過したレーザ光L1を集光してレーザビームL2とする対物レンズ41Aと、このレーザビームL2の位置ずれを補正する楔ガラス43A、43A’と、楔ガラス43A、43A’を透過したレーザビームL2を円偏光とするλ/4板45Aと、λ/4板45Aを透過したレーザビームL2の一部を鉛直方向に透過させ、残りを水平方向に反射するペンタプリズム42Aとを備えている。
【0020】
フォーカスレンズ6Aは、図2に示したように、一側がばね58Aに当接し、他側に設けられた凸部56Aがフォーカスモータ(ステッピングモータ)200Aの出力軸52A先端に固着された三角部材54Aの斜面と当接させてある。三角部材54Aはガイド部材57Aに摺動自在に取り付けてあり、フォーカスモータ200Aの出力軸52Aは軸方向へ移動するようになっている。ここで、フォーカスモータ200Aの出力軸52Aが軸方向へ移動すると、三角部材54Aがガイド部材57Aに沿って摺動するとともに、三角部材54Aの斜面がフォーカスレンズ6Aの凸部56Aを押圧して、フォーカスレンズ6Aがばね58Aの反力に抗して移動させられ、これによって集光距離が変更される。凸部56A、ガイド部材57A、三角部材54Aは、上側発光体3Aのレーザ光L1をさえぎらないように穴等を設けている。
【0021】
ガイド部材57Aには、三角部材54Aの位置を検出する図示しない位置センサが設けられていて、この位置センサからの信号がリミッター59Aに入力されるようになっている。リミッター59Aは、位置センサからの信号により三角部材54Aが規制位置に来たことを検出すると、マイクロコンピュータ100Aへ規制信号を送り、三角部材54Aのそれ以上の移動を規制するものである。すなわち、リミッター59Aは、三角部材54Aが基準位置からステッピングモータであるフォーカスモータ200Aを所定パルス逆転させた位置に来ると、それ以上の逆転を規制するものであり、このとき、レーザ測量機300Aから出射するレーザビームL2は平行光線又は発散光となっている。また、リミッター59Aは、三角部材54Aが基準位置からフォーカスモータ200Aを所定パルス正転させた位置に来ると、それ以上の正転も規制するものであり、このとき、レーザ測量機300から出射するレーザビームL2の集光距離は最小となる。
【0022】
本実施例では、フォーカスレンズ6Aとフォーカスモータ200Aとから集光距離変更手段を構成したが、集光距離変更手段は、対物レンズ41Aとこれを移動させる装置等、集光距離を変更できるものであればどのようなものでもよい。
【0023】
ペンタプリズム42Aは、メインモータ48Aで回転駆動される回転支持体40A上に固定されていて、ペンタプリズム42Aとメインモータ48Aとエンコーダ44Aで、レーザビームL2の出射方向を回転させる回転部を構成している。メインモータ48Aと回転支持体40Aの中心軸に沿っては、レーザビームL2を通過させるため図示しない過貫孔が軸中心に設けてある。レーザビームL2はペンタプリズム42A内部で2回反射されて水平方向に出射され、ペンタプリズム42Aはメインモータ48Aによって水平回転するので、出射するレーザビームL2は平面を形成する。また、レーザビームL2の一部は、鉛直出射するレーザビームL3となり、ペンタプリズム42A及びプリズム49Aを透過し、そのまま上方へ出射される。レーザ測量機300Aから出射するレーザビームL2、L3は、傾斜センサ78Aと図示しない整準装置により、水平面及び鉛直線を維持されるようになっている。
【0024】
一方、レーザダイオード等の下側発光体65Aから出射されたレーザ光L5は、集光光学系67Aを経て、レーザ測量機300Aから下方へ出射されて鉛直線が設定される。両発光体3A、65Aは、バッテリーが装着される電源装置105Aに接続されている。
【0025】
レーザ測量機300Aから出射されたレーザビームL2は、壁面等に取り付けられたターゲット60Aで反射されると、今来た光路を逆進し、ペンタプリズム42Aで反射され、さらにビームスプリッタ7Aで直角方向に反射され、反射レーザビームL4となり、集光レンズ82Aを経てフォトダイオード等の受光器86Aに入射するようになっている。受光器86Aの受光信号は、増幅器87Aで増幅され、波形整形器88Aでパルス波に整形されて、マイクロコンピュータ(制御系)100Aに入力されるようになっている。
【0026】
マイクロコンピュータ100Aには、ペンタプリズム42Aの回転角を検出するエンコーダ44Aからの出力信号パルスも入力されるようになっている。そして、マイクロコンピュータ100Aは、受光器86Aからの受光信号とエンコーダ44Aからの出力信号パルスを受け取り、従来のものと同様に、メインモータ48Aへ駆動パルスを送り、メインモータ48Aの回転速度と回転方向を制御している。
【0027】
また、マイクロコンピュータ100Aは、エンコーダ44Aから送られてくる毎秒あたりのパルス数からメインモータ48Aの回転数を算出して、この回転数が所定値未満になったとき、レーザ測量機300Aがストップモード(レーザビームL2を静止させて一点のみを照射する状態)とされたとき、又は、傾斜センサ78Aにより所定値以上の傾斜を検出したときには、まずレーザ測量機300Aから出射するレーザビームL2を点滅させ(ただし、ストップモードにしたときを除く。)、次にメインモータ48Aを停止し、続いてフォーカスモータ200Aに指令信号を送り、レーザ測量機300Aから出射するレーザビームL2が平行光線束又は発散光となるようにフォーカスレンズ6Aを移動させる。このため、このレーザビームL2が万一作業者の目に当たっても、このレーザビームL2のエネルギーが一点に集中しないので安全である。また、レーザ測量機300Aから出射するレーザビームL2を点滅した状態で停止させるので、作業者に異常を確実に知らせることができる。
【0028】
さらに、マイクロコンピュータ100Aは、受光器86Aからの受光信号を用いて、自動的にレーザ測量機300Aから出射するレーザビームL2をターゲット60A上に集光させるオートフォーカス機構も備えている。まず、本実施例のオートフォーカス機構の原理を説明する。図3に示したように、多数のマイクロプリズム60cを前面全体に一様に取り付けたターゲット60Aに対して、鎖線rのようにレーザビームL2でスキャンし、ターゲット60Aで反射された反射レーザビームL4を受光器86Aで受光したとする。レーザビームL2がターゲット60A上で集光していなくて太い光線束gのときには、受光器86Aからは、図4の(a)に示したような受光信号が発生し、この受光信号を波形整形器88Aで破線のような基準値と比較して、0か1に決定することにより波形整形したパルスにすると、同図の(d)に示したように単一パルスが発生する。
【0029】
レーザビームL2がターゲット60A上で絞られて、マイクロプリズム60cの寸法(直径数mm程度)より細い光線束h、i(直径1mm程度)になるにつれて、受光器86Aからは、図4の(b)、(c)に示したような受光信号が発生し、この受光信号を波形整形器88Aでパルスにすると、同図の(e)、(f)に示したように近接した多数のパルスが発生する。
【0030】
そして、レーザビームL2がターゲット60A上で最も絞られて細い光線束になったとき、すなわち、ターゲット60A上に最も集光したとき、受光器86Aが発生するパルス数は最大になる。したがって、マイクロコンピュータ100Aは、レーザビームL2の集光距離を徐々に変えながら、受光器86Aから送られてくるパルス数が最大となったときを見つけ出し、このとき、レーザビームL2がターゲット60A上に完全に集光したと判断するのである。そして、前記パルス数が最大になるときは、必ずレーザビームL2がターゲット60A上に最も集光したときであるから、本発明は、従来のターゲットまでの距離に応じてオートフォーカスするものより、確実にオートフォーカスを行える。
【0031】
ところで、マイクロコンピュータ100Aは、後記表1のように、集光距離に関して8段階の距離設定段階を予め記憶している。表1には、距離設定段階ごとの集光距離の他に、ターゲットまでの距離に応じて最も視認性がよくなるように、スキャン幅θ及びスキャン速度vも定めている。スキャン幅θとスキャン速度vは、ターゲット60Aが遠い場合には小さくし、逆に、ターゲット60Aが近い場合には大きくするようにされている。本実施例の機能として、ストップモード、スキャンモードがあるが、マイクロコンピュータ100Aは、スキャンモードにおいては、オートフォーカス機構により、距離設定段階を決定すると、表1を参照して、スキャン幅θとスキャン速度vも自動的に設定し、設定されたスキャン速度vとスキャン幅θに従って、メインモータ48Aの回転方向と回転速度も制御する。このため、作業者がスキャン幅θとスキャン速度vを設定する必要がないので、作業効率を向上させることができる。
【0032】
また、レーザ測量機300Aは、操作パネル76A上に、手動により集光距離段階を上下させるための図示しないキーと、概略の集光距離を表示するための図示しない複数のLED(発光ダイオード)a、b、c、dを備えている。表1には、これらLEDのうちのどれを点灯させるかも定めている。このため、作業者は、発光したLEDから概略の集光距離を知ることができ、手動による集光距離変更も容易にできる。
【0033】
距離設定段階は、8段階よりもっと段階数を多くしても少なくしてもよいが、レーザビームL2の集光精度とマイクロコンピュータ100Aの負担等を総合的に考慮すると、8段階程度がもっとも望ましい。
【0034】
【表1】
【0035】
図5に基づいて、スキャンモードにおいて、レーザ測量機300Aから出射するレーザビームL2の集光距離を変更するために、マイクロコンピュータ100Aに組み込まれたオートフォーカス機構が行う処理手順を説明する。
【0036】
スキャンモードにすると、まずオートフォーカス機構が始動し、ステップS1に進み、レーザビームL2の集光距離が最も長い30mである距離設定段階8に設定した後に、レーザビームL2を一定方向に定常回転させる。最初に集光距離を最も長くしたのは、レーザビームL2を略平行光線束にして、確実にターゲット60Aを捕捉するためである。もし、最初に集光距離を最も短く設定すると、ターゲット60Aまでの距離によっては、ターゲット60Aの位置でレーザビームL2が発散しすぎて、反射レーザビームL4を検出できなくなることも予想されるからである。レーザビームL2が平行光線束となるフォーカスレンズ6Aの位置は、予め調整により設定される。
【0037】
次にステップS2に進み、ターゲット60Aからの反射レーザビームL4を検出する。反射レーザビームL4を受光器86Aが検出したら、ステップS3に進み、定常回転のまま、集光距離が最も短い3mの距離設定段階1にする。ステップS2で反射レーザビームL4を検出できないときは、距離設定段階を変更せずにステップS1に戻る。このときは、ターゲット60Aを検出できるように、作業者がレーザ測量機300A又はターゲット60Aの位置を調整する必要がある。
【0038】
ステップS3に続いてステップS4に進み、反射レーザビームL4を受光したとき、受光器86Aから送られてくる受光信号が近接した多数のパルスか否か検出する。受光器86Aからのパルスが図4の(d)に示したように単一パルスのときは、レーザビームL2はターゲット60A上に集光していないので、ステップS5に進み、距離設定段階を1つ上げて、定常回転のまま、再びステップS4に戻る。受光器86Aからの受光信号が図4の(e)、(f)に示したように近接した多数のパルスのときは、ターゲット60Aからの反射レーザビームL4であることが確認できるので、ステップS6に進み、出射するレーザビームL2を所定のスキャン幅で往復させるスキャン動作に移行する。
【0039】
スキャン動作を開始後、スキャン速度を安定させるために、所定回数のスキャンを行った後、ステップS7に進む。もちろん、実際にスキャン周期を測定して、この周期が略一定になった後に、スキャン速度が安定したと判断して、ステップS7に進んでもよい。
ステップS7に進むと、レーザビームL2でターゲット60Aをスキャンするたびに、受光器86Aから送られてくる受光信号から近接した多数のパルスのパルス数を読み取り、ターゲット60Aを所定回スキャンした後に平均パルス数を取得する。
【0040】
平均パルス数を取得したら、ステップS8に進み、距離設定段階を1つ上げ、さらにステップS9に進み、ステップS7と同様に、ターゲット60Aを所定回スキャンした後に平均パルス数を取得する。そして、ステップS10に進み、ステップS10で取得したパルス数が、ステップS7で取得したパルス数より減ったか否かを判別する。例えば、ステップS7で取得したパルス数が図4の(f)のように5つであったとき、ステップS10で取得したパルス数が同図の(e)のようにパルス数が減ったときには、ステップS10で選択されている距離設定段階よりも1つ下の距離設定段階のときに、レーザビームL2がターゲット60A上で最も細く絞られた状態になっていることが判るので、ステップS13に進み、距離設定段階を1つ下げて、集光距離設定作業を終了する。
【0041】
ステップS10において、例えば、ステップS7で取得したパルス数が図4の(e)のように3つであるのに対して、ステップS10で取得したパルス数が同図の(e)か(f)のように同じか又は増したときには、ステップS10で選択されている距離設定段階のときに1つ下の距離設定段階のときよりも、レーザビームL2がターゲット60A上で同じくらいに絞られているか又は細く絞られた状態になっていることが判るので、ステップS11に進み、距離設定段階を1つ増し、続いてステップS12に進む。ステップS12では、表1において距離設定段階を1つ上げた段階の存在を調べ、その段階が存在する場合にはステップS7に戻り、その段階(本実施例では段階9)が無い場合には、ステップS13に進み、距離設定段階を1つ下げて、集光距離設定作業を終了する。
【0042】
本実施例によれば、従来のターゲット60Aをそのまま使え、かつ、マイクロコンピュータ100Aのソフトウェアを改良するのみで、レーザ測量機300Aの構造には変更を加えていないから、便利で経済的である。また、図5のフローチャートから明らかなように、受光器86Aにより反射レーザビームL4を受光して、近接した多数のパルスを検出したときにのみ、ターゲット60Aからの反射であることを確認したとしてステップS6に進むから、誤った反射体に対して集光距離設定を行うことなく、正確にターゲット60A上にレーザビームL2を集光させることができる。
【0043】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1に係る発明によれば、多数のマイクロプリズムを前面全体に一様に取り付けた従来のターゲットをそのまま使え、かつ、受光器が反射レーザビームを受光したときに発生する近接した多数のパルスのパルス数が最大になるように集光距離変更手段を制御するというように、制御系のソフトウェアを改良するのみで、レーザ測量機の構造には変更を加えていないから、便利で経済的である。また、前記近接した多数のパルス数が最大になるときは、必ずレーザビームがターゲット上に最も集光したときであるから、本発明は、ターゲットまでの距離に応じてオートフォーカスする従来のものより、ターゲットが傾いていても確実にオートフォーカスを行える。
【0044】
請求項2に係る発明によれば、さらに、受光器により反射レーザビームを受光して近接した多数のパルスを検出したときに、ターゲットからの反射を確認したとして、スキャン動作に移行して集光距離変更手段を制御するから、誤った反射体に対して集光距離設定を行うことなく、正確にターゲット上にレーザビームを集光させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の望ましい実施例のレーザ測量機(レベルプレーナ)を示す図である。
【図2】前記レーザ測量機における集光距離変更手段の一例を示す図である。
【図3】前記レーザ測量機とともに使用する従来のターゲットを示す図である。
【図4】前記レーザ測量機の受光器が発生する受光信号を説明する図である。
【図5】前記レーザ測量機のマイクロコンピュータに組み込まれたオートフォーカス機構が行う処理手順を示すフローチャートである。
【図6】従来のレベルプレーナの概観を示す図である。
【図7】従来のレベルプレーナの一例を示す図である。
【図8】図7に示したレベルプレーナとともに使用するターゲットを示す図である。
【図9】図7に示したレベルプレーナのオートフォーカス機構の原理を示す図である。
【符号の説明】
300A レーザ測量機(レベルプレーナ)
60A ターゲット
6A フォーカスレンズ(集光距離変更手段)
200A フォーカスモータ(集光距離変更手段)
42A ペンタプリズム(回転部)
48A メインモータ(回転部)
84A 受光器
100A マイクロコンピュータ(制御系)
Claims (2)
- 可視レーザビームを出射する回転部と、該レーザビームの集光距離を変更する集光距離変更手段と、多数のマイクロプリズムを前面全体に一様に取り付けたターゲットで反射してくる反射レーザビームを受光する受光器と、前記集光距離変更手段を制御する制御系とを備えたレーザ測量機において、
前記制御系は、スキャン動作開始後、前記集光距離変更手段で前記集光距離を段階的に変えながら、前記受光器が前記反射レーザビームを受光して発生する近接した多数のパルスのパルス数が最大になるように前記集光距離を設定することを特徴とするレーザ測量機。 - 前記制御系は、前記回転部を一定方向に定常回転させるとともに前記集光距離手段で前記集光距離を段階的に変えながら、前記受光器が前記反射レーザビームを受光して近接した多数のパルスを発生する場合に前記レーザ測量機をスキャン動作に移行させることを特徴とする請求項1に記載のレーザ測量機。
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JP5145011B2 (ja) * | 2007-10-26 | 2013-02-13 | 株式会社トプコン | レーザ測量システム |
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2001
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