JP4731700B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばプリンタ或いは複写機などとされる、電子写真方式或いは静電記録方式を採用する画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
中間転写体を使用した画像形成装置は、感光体上に形成されたトナー像を中間転写体に1次転写する工程を複数色のトナーに対して繰り返し、2次転写工程において中間転写体上のトナー画像を紙などの記録材に一括転写することでフルカラー画像を得ることができる。
【0003】
図14には中間転写体を使用した電子写真方式のカラー画像形成装置(複写機或いはレーザプリンタなど)の一例が示される。
【0004】
図14において、このカラー画像形成装置は矢印X方向に走行する無端状の中間転写ベルト181を備えている。中間転写ベルト181の水平部に沿って4つの画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdが配設されている。最上流側の画像形成ステーションPaを例にその構成を説明する。
【0005】
画像形成ステーションPaは、回転可能に配置された像担持体であるドラム状の電子写真感光体(以下「感光ドラム」という)101aを備えている。感光ドラム101aの周囲には、一次帯電器122a、現像器123a、クリーナ112a等のプロセス機器が配置されている。他の画像形成部Pb、Pc、Pdは、画像形成部Paと同様に一次帯電器122b、122c、122d、現像器123b、123c、123d、クリーナ112b、112c、112dなどを備えており、これら画像形成ステーションPa〜Pdの異なる点は、それぞれがマゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの各色のトナー像を形成する点である。そのため、各画像形成ステーションPa〜Pdに配置した現像器123a〜123dにはそれぞれマゼンタトナー、シアントナー、イエロートナー及びブラックトナーが収納されている。
【0006】
最上流側の画像形成ステーションPaにおいて、原稿のマゼンタ成分色による画像信号がポリゴンミラー(不図示)等を介して感光ドラム101a上に投射されて静電潜像が形成され、これに現像器123aからマゼンタトナーが供給されて静電潜像がマゼンタトナー像として現像される。このトナー像が感光ドラム101aの回転に伴って、感光ドラム101aと中間転写ベルト81とが当接する転写部T1に到来すると、第1の転写部材124aによって、印加される第1の転写バイアスによって、マゼンタトナー像が中間転写ベルト181へ転写される。マゼンタトナー像を担持した中間転写ベルト181は、つぎの画像形成ステーションPbに搬送されると、このときまでに、画像形成ステーションPbにおいて、上記と同様の方法で感光ドラム101b上に形成されたシアントナー像が、上記マゼンタトナー像上へ転移される。
【0007】
同様に記録材Pがつぎの画像形成ステーションPc、Pdに進行するにつれて、それぞれの転写部T1において、イエロートナー像、ブラックトナー像が前述のトナー像に重畳転写された後、このときまでに、給紙カセット160から取り出された記録材Pがレジストローラ113でタイミングを合わせられて転写部T2に達し、第2の転写部材140に印加される転写バイアスによって上述の4色のトナー像は記録材P上に転写される。
【0008】
記録材Pは、その後定着部111に搬送される。定着部111では熱と圧力によってトナー像を記録材P上に定着させる。一方、転写後の中間転写ベルト181はベルトクリーナ116によって清掃され、次に画像形成に供される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記構成の画像形成装置においては、以下のような問題がある。
【0010】
即ち、上記の画像形成装置がフルカラー画像形成モードと単色画像形成モードを有する場合、フルカラー画像と単色画像で同じプロダクティビティを得られるという利点がある反面、例えば白黒画像形成モードのような単色画像形成モード時に中間転写ベルト181と画像形成を行わない感光ドラム101a、101b、101cが接触していると、画像形成を行っていない感光ドラム101a〜101cも次第に劣化していくことになってしまうことがある。従って、単色画像形成でのランニングコストを十分に下げることができない。
【0011】
そこで、従来から、画像形成を行わない感光ドラムを中間転写ベルトから離間させる方法が提案されている。例えば、特開平10−221920号公報には、転写ローラを移動して感光ドラムと中間転写ベルトが離間する方法が開示されている。しかしこの方法は、転写ローラにかかる圧力が大きくなり、転写ローラの耐久性に厳しいほか、各色の転写ニップ上流下流での状態が安定しないため、転写不良が生じやすい傾向にある。
【0012】
又、特開平07−120998号公報で開示されている中間転写ベルトを移動させる画像形成装置では、装置が大掛かりになるだけでなく、2次転写位置が移動するため、紙搬送機構が複雑になり、コストアップにつながる。
【0013】
そして、同様の問題が、タンデム構成の複数の現像手段と感光体ベルトを有する画像形成装置においても存在することはいうまでもない。画像形成に必要ない現像剤を収容する現像手段を感光体ベルトから離間させておくことによって、画像形成を行わない現像剤を収容する現像手段の寿命を向上させることができる。そのときも、感光体ベルトを支持する支持体を移動させることで実現可能であるが、画像形成を行う現像部での現像ニップや、一括転写を行う転写部での転写ニップは、画像形成モードで変わらないようにしなければならない。
【0014】
従って、本発明の目的は、複数の像担持体とベルト状中間転写体を有する画像形成装置において、画像形成を行わない像担持体の長寿命化を図り、且つ画像形成色数の異なる画像形成モードに関わらず、画像形成を行う1次転写部と2次転写部でのベルト状中間転写体の張り角度及び転写手段の当接状態が変化せず、安定した画像性、転写性及び記録材の分離性を得ることができる画像形成装置を提供することである。
【0015】
本発明の他の目的は、複数の現像手段とベルト状像担持体を有する画像形成装置において、画像形成を行わない現像手段の長寿命化を図り、且つ画像形成色数の異なる画像形成モードに関わらず、画像形成を行う現像部の現像ニップや転写部の転写ニップが変化せず、安定した画像性、転写性及び記録材の分離性を得ることができる画像形成装置を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的は本発明に係る画像形成装置て達成される。要約すれば、本発明の一態様によれば、
トナー像を担持する第1の像担持体と、
トナー像を担持する第2の像担持体と、
複数の支持体に支持される無端状の回転可能なベルトと、
前記第1の像担持体上のトナー像を第1の一次転写部で、前記第2の像担持体上のトナー像を前記ベルトの回転方向において前記第1の一次転写部より下流側の第2の一次転写部で、前記ベルトに一次転写する一次転写手段と、
前記ベルト上のトナー像を二次転写部で記録材に二次転写する二次転写手段と、を有し、
前記ベルトが前記第1の像担持体から離間して前記第2の像担持体に当接する第1の位置で、画像形成を行う第1の画像形成モードと、前記ベルトが前記第1の像担持体と前記第2の像担持体に当接する第2の位置で、画像形成を行う第2の画像形成モードとを実行可能であって、
前記ベルトが前記第1の位置と前記第2の位置との間で切り替わるのに伴って、前記複数の支持体のうち少なくとも1つが移動する画像形成装置において、
前記ベルトの位置が切り替わる際に前記第2の前記一次転写部における前記ベルトの進入角を規制する第1規制部材と、前記ベルトの位置が切り替わる際に前記二次転写部における前記ベルトの退出角を規制して前記ベルトに外面から巻きつく第2規制部材とを有して、
前記第2規制部材は、前記第2規制部材が前記ベルトに巻きつく角度は、前記ベルトが前記第2の位置にある場合より前記第1の位置にある場合に大きくなるように配置されることを特徴とする画像形成装置が提供される
【0017】
本発明の他の態様によれば、
トナー像を担持する第1の像担持体と、
トナー像を担持する第2の像担持体と、
複数の支持体に支持される無端状の回転可能なベルトと、
前記第1の像担持体上のトナー像を第1の一次転写部で、前記第2の像担持体上のトナー像を前記ベルトの回転方向において前記第1の一次転写部より下流側の第2の一次転写部で、前記ベルトに一次転写する一次転写手段と、
前記ベルト上のトナー像を二次転写部で記録材に二次転写する二次転写手段と、を有し、
前記ベルトが前記第1の像担持体に当接して前記第2の像担持体から離間する第1の位置で、画像形成を行う第1の画像形成モードと、前記ベルトが前記第1の像担持体と前記第2の像担持体に当接する第2の位置で、画像形成を行う第2の画像形成モードとを実行可能であって、
前記ベルトが前記第1の位置と前記第2の位置との間で切り替わるのに伴って、前記複数の支持体のうち少なくとも1つが移動する画像形成装置において、
前記ベルトの位置が切り替わる際に前記第1の前記一次転写部における前記ベルトの退出角を規制する第1規制部材と、前記ベルトの位置が切り替わる際に前記二次転写部における前記ベルトの進入角を規制して前記ベルトに外面から巻きつく第2規制部材とを有して、
前記第2規制部材は、前記第2規制部材が前記ベルトに巻きつく角度は、前記ベルトが前記第2の位置にある場合より前記第1の位置にある場合に大きくなるように配置されることを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0029】
実施例1
本発明の第1実施例について図1〜図3より説明する。
【0030】
本実施例の画像形成装置は、図1に示すように、装置本体内に矢印X方向に走行するベルト状中間転写体、即ち、無端状の中間転写ベルト81を備えている。中間転写ベルト81は支持体としての駆動ローラ25、テンションローラ26、及びバックアップローラ29に巻回されている。この中間転写ベルト81は、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、ポリフッ化ビニリデン樹脂フィルム、ポリイミド等のような誘電体樹脂によって構成されている。
【0031】
中間転写ベルト81の水平部に沿って、ほぼ同様の構成の4個の画像形成部(以下、「画像形成ステーション」ともいう)Pa、Pb、Pc、Pdが直列状に配設されている。画像形成部Paを例にその構成を説明する。
【0032】
画像形成部Paは、回転可能に配置された像担持体であるドラム状の電子写真感光体(以下「感光ドラム」という)1aを備えている。感光ドラム1aの周囲には、一次帯電器22a、現像器23a、及びクリーニング装置12a等のプロセス機器が配置されている。他の画像形成部Pb、Pc、Pdは、画像形成部Paと同様の構成を備えており、それぞれ感光ドラム1b、1c、1d、一次帯電器22b、22c、22d、現像器23b、23c、23d、クリーニング装置12b、12c、12dを備えている。これら画像形成部1a、1b、1c、1dの異なる点は、それぞれがマゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの各色のトナー像を形成する点である。
【0033】
各画像形成部Pa〜Pdに配置した現像器23a〜23dにはそれぞれマゼンタトナー、シアントナー、イエロートナー及びブラックトナーが収納されている。
【0034】
感光ドラム1aは一次帯電器22aによって一様に帯電され、露光装置11aから原稿のマゼンタ成分色による画像信号がポリゴンミラー(不図示)等を介して感光ドラム1a上に投射されて静電潜像が形成される。ついで、現像器23aからマゼンタトナーが供給されて静電潜像がマゼンタトナー像として現像される。
【0035】
このトナー像は感光ドラム1aの回転に伴って、感光ドラム1aと中間転写ベルト81とが当接する1次転写部T1に到来すると、1次転写部材(第1の転写手段)、即ち、本実施例では転写ローラ24aから第1の転写バイアスが印加され、マゼンタトナー像が中間転写ベルト81へ転写される。マゼンタトナー像を担持した中間転写ベルト81は、つぎの画像形成部Pbに搬送されると、このときまでに、画像形成部Pbにおいて、上記と同様の方法で感光ドラム1b上に形成されたシアントナー像がマゼンタトナー像上へ転移される。
【0036】
同様に中間転写ベルト81が矢印方向に沿って画像形成部Pc、Pdに進行するにつれて、それぞれの転写部T1において、イエロートナー像、ブラックトナー像が前述のトナー像に重畳転写された後、このときまでに、給紙カセット60から送り出された記録材Pが2次転写部T2に達し、2次転写部材(第2の転写手段)40に印加される転写バイアスによって上述の4色のトナー像は記録材P上に転写される。
【0037】
トナー像が転写された記録材6は定着部211に搬送される。定着部211では熱と圧力によってトナー像を記録材P上に固着させる。
【0038】
転写後の中間転写ベルト81はベルトクリーナ216によってクリーニングされ、つぎの画像形成に供される。
【0039】
斯かる画像形成装置において、本実施例では、2つの切替モードを有している。1つはフルカラー画像形成モードであり、もう一つは白黒画像形成モードである。この2つの切替は、ユーザーが指定してもかまわないし、原稿を自動検知する自動検知手段によって、フルカラーか白黒かを判断してもかまわない。
【0040】
フルカラー画像形成モード時、即ち、本実施例における不動モード時は、図2に示されているように、中間転写ベルト81は、すべての画像形成ステーションPa〜Pdの感光ドラム1a〜1dと接触しており、前述したような工程でフルカラー画像が形成される。
【0041】
これに対して、白黒画像形成時、即ち、本実施例における移動モード時には、テンションローラ26が、図3に示されるように図中略下方に移動する。そのため、中間転写ベルト81は、最下流にあるブラックの画像形成ステーションPdの感光ドラム1dのみと接触し、他のすべての画像形成ステーションPa〜Pcの感光ドラム1a〜1cと中間転写ベルト81は離間させられる。
【0042】
この場合、感光ドラム1dの中心と1次転写部材、即ち、本実施例では転写ローラ24dの中心を結ぶ線と中間転写ベルト81とのなす角αを進入角、βを退出角とよぶことにしたとき、ブラックの画像形成ステーション1dの1次転写部T1における上流と下流の中間ベルトの進入角α及び退出角βがフルカラー画像形成モードと変わらないようにしなければならない。そこで本実施例では、ブラックの画像形成ステーションPdの1次転写部T1における中間転写ベルト81の回転方向の上流側に中間転写ベルト規制部材21を設ける構成とした。
【0043】
ベルト規制部材21がない場合には、図4の点線にて示すようなベルトの張り方になり、1次転写ニップT1の上流側が不安定になる。本実施例では、ベルト規制部材として直径16mmの樹脂ローラ(材質:POM(ポリアセタール))を採用しているが、他の材料や外径でもかまわないことはいうまでもない。又、本実施例の駆動ローラ25は、モードの切替によって移動することがないので、下流側のベルト規制部材を兼ねることになる。
【0044】
又、図3に図示するように、バックアップローラ29の中心と2次転写部材、即ち、本実施例では転写ローラ40の中心とを結ぶ線とニップ上流側の中間転写ベルト81とのなす角を進入角γ、ニップ下流側の中間転写ベルトとのなす角を退出角δとしたとき、中間転写ベルト81の2次転写部T2、即ち、2次転写ニップの上流側の進入角γは、駆動ローラ25の位置がモードによって移動しないので、本実施例では2次転写ニップ上流側のベルト規制部材は駆動ローラ25が兼ねることになる。
【0045】
しかしながら、2次転写ローラ40の下流側の中間転写ベルト81の退出角δは、テンションローラ26の位置が変わるために変化する。この退出角δの変化は、記録材Pが2次転写ニップT2から離れるときに中間転写ベルト81側に吸着しやすくなる方向であり、記録材Pの分離不良が発生しやすくなる。
【0046】
そこで、本実施例では、図3に示すように、この2次転写ローラ下流側での中間転写ベルト81の張り角度を規制するベルト張り角度規制部材22を設けた。材質や径は、前述した1次転写部T1のベルト規制部材21と同じものを採用しているがこれに限らないことはいうまでもない。
【0047】
このような構成によって、白黒画像形成モード時とフルカラー画像形成モード時で黒色画像形成部の1次転写部T1の転写ニップを安定させることができ、また2次転写部T2のベルトの張り角度を一定にすることができるので、2次転写性及び記録材の分離搬送性を安定にすることができる同時に、画像形成を行わない感光ドラムの長寿命化を図ることができる。
【0048】
なお、上述の本実施例では、二次転写ニップT2におけるベルト回転方向Xの下流側の支持ローラ(テンションローラ)26が移動したことによるベルト変形であったので、1次転写部T1ではニップ上流、2次転写部T2ではニップ下流にベルト規制部材を設けたが、2次転写ニップ上流側の支持ローラが移動した場合には、1次転写ニップ下流、2次転写ニップ上流にベルト規制部材を設ければよいことはいうまでもない。
【0049】
更に、2次転写ローラ40が、2次転写部T2において、トナー像を記録材上に転写すると同時に、定着させる場合、つまり定着手段を兼ねる場合にも、本実施例で説明したようなベルト規制部材を設けることによって、中間転写ベルトへの記録材の巻き付き、即ち分離不良の防止などにも応用できる。
【0050】
実施例2
次に、本発明の第2実施例について図5〜図7により説明する。なお、本実施例の画像形成装置は、第1実施例と略同様の構成を備えている。
【0051】
本実施例では、フルカラー画像形成モードと白黒画像形成モードの他に、赤色(朱色)と黒の2色画像形成モードを有している。この場合、赤色(朱色)はイエローとマゼンタを混合することにより得ることができるので、画像形成順を、シアン→イエロー(又はマゼンタ)→マゼンタ(又はイエロー)→ブラックの順にすることがより効果的である。本実施例では、シアン→イエロー→マゼンタ→ブラックの画像形成順とした。
【0052】
本実施例でも、第1実施例と同様にテンションローラ26がモードによって移動するが、本実施例では、1次転写部T1のベルト規制部材が2つ存在する。即ち、イエロー画像形成ステーションPbにおける1次転写部T1の上流に位置するベルト規制部材21A、最下流側のブラック画像形成ステーションPdにおける1次転写部T1の上流に位置するベルト規制部材21Bを備えている。そして、ベルト規制部材21AはON/OFF機構を有している。つまり、図中矢印方向に移動可能とされている。
【0053】
又、フルカラー画像形成モード、白黒画像形成モード、2色画像形成モードの切替手段を有している。このモード切替はユーザーが行ってもかまわないし、原稿自動検知手段によって行ってもかまわない。
【0054】
まず、フルカラー画像形成モードの場合は、図5に示すように、第1実施例と同様に中間転写ベルト81はすべての画像形成ステーションPa〜Pdの感光ドラム1a〜1dと接触している。
【0055】
次に、白黒画像形成モードの場合には、図6に示すように、第1実施例と同様に、テンションローラ26が移動する。このとき上流側のベルト規制部材21Aは、OFFの状態になるようにする。従って、ブラック画像形成ステーションPdの感光ドラム1dだけが中間転写ベルト81と接し、且つブラックステーションPdの上流側には、ベルト規制部材21Bが存在し、且つ下流側には、移動しない駆動ローラ25が存在する。なお、この場合、ブラック画像形成ステーションPdの1次転写ニップT1の上下流でのベルトの進入角及び退出角はフルカラー画像形成と白黒画像形成で変わらないのは、第1実施例のとおりである。
【0056】
更に、2色画像形成モードの場合は、図7に示すように、上流側のベルト規制部材21AがONの状態になり、テンションローラ26が略下方へ移動する。こうすることによって、シアン画像形成ステーションPaの感光ドラム1aのみが中間転写ベルト81から離間させられる。
【0057】
上記のように、本実施例では、1次転写部のベルト規制部材を複数用い、テンションローラを移動するという簡易的な方法で、より幅広い画像形成モードに対して、画像形成を行わない感光ドラムの長寿命化を図ることができ、且つ安定した2次転写性及び2次転写部の記録材の分離搬送性を確保することができる。
【0058】
実施例3
次に、本発明の第3実施例について図8及び図9により説明する。
【0059】
本実施例の画像形成装置は、矢印Y方向に走行する感光体ベルト61を備えている。感光体ベルト61は、支持体である駆動ローラ69、テンションローラ67、及び転写部バックアップローラ66に巻回されている。
【0060】
感光体ベルト61の水平部に沿って、マゼンタトナー、シアントナー、イエロートナー、ブラックトナー用の画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdが並置されている。
【0061】
各画像形成ステーションPa〜Pdは、一次帯電器62a、62b、62c、62d、現像器63a、63b、63c、63d、及び図示しない露光装置を備えている。又、各現像器63a〜63d、詳しくは現像手段である現像ローラ63a1、63b1、63c1、63d1に対向し感光体ベルト61を挟んで現像バックアップローラ68a、68b、68c、68dが配設されている。
【0062】
感光体ベルト61は、一次帯電器62aによってその表面を一様に帯電される。その後画像信号がポリゴンミラー(不図示)を介して感光体ベルト61上に投射され、静電潜像が形成される。次いで、現像器63aからマゼンタトナーが供給されて静電潜像がマゼンタトナー像として現像される。これと同様のプロセスをシアントナー、イエロートナー、ブラックトナーにおいて順に行うことによって、感光体ベルト61上にフルカラー画像が形成される。その後、一括転写部Tにて転写部バックアップローラ66と対向する転写手段である転写部材、本実施例では転写ローラ70の作用によって記録材Pに一括転写される。
【0063】
斯かる画像形成装置において、本実施例では、2つの切替モードを有している。1つはフルカラー画像形成モードであり、もう1つは白黒画像形成モードである。この2つのモードの切替は、ユーザーが指定してもかまわないし、原稿を自動検知する自動検知手段によって、フルカラーか白黒かを判断してもかまわない。
【0064】
フルカラー画像形成モード時は、図8に示されているように、感光体ベルト61は、すべての画像形成ステーションPa〜Pdにおける現像器63a〜63dの現像ローラ63a1〜63d1と接触しており、前述したような工程でフルカラー画像が形成される。
【0065】
これに対して白黒画像形成モード時には、図9に示されるように、図中略下方にテンションローラ67が移動し、感光体ベルト61は、ブラック画像形成ステーションPdにおける現像器63dの現像ローラ63d1のみと接触しており、他のすべての画像形成ステーションPa〜Pdにおける現像器63a〜63c、詳しくは現像ローラ63a1〜63c1と感光体ベルト61は離間させられる。
【0066】
このとき、現像ローラ63d1の中心から鉛直下方へ引く線と感光体ベルト61となす角α1を進入角、β1を退出角とよぶとして、ブラック画像形成ステーションPdの現像部Dにおける上流と下流の感光体ベルト61の進入角α1及び退出角β1がフルカラー画像形成モードと変わらないようにしなければならない。
【0067】
そこで本実施例では、ブラック画像形成ステーションPdにおける現像部Dの感光体ベルト61回転方向の上流側に感光体ベルト規制部材64を設ける構成とした。
【0068】
本実施例では、直径16mmの樹脂ローラ(材質POM;ポリアセタール)を採用しているが、他のものでもかまわないことは前述したとおりである。又、本実施例では、駆動ローラ69がモードの切替によって移動しないので、下流側のベルト規制部材を兼ねている。
【0069】
又、図8に示すように、バックアップローラ66の中心と転写ローラ70の中心とを結ぶ線とニップ上流側の感光体ベルト61とのなす角を進入角γ1、ニップ下流側の感光体ベルト61とのなす角を退出角δ1として、感光体ベルト61の転写ニップTの上流側の進入角γ1は、駆動ローラ69の位置がモードによって移動しないので、本実施例では転写ニップ上流側のベルト規制部材は駆動ローラ69が兼ねることになる。
【0070】
一方、転写ローラ70の下流側の感光体ベルト61の退出角δ1は、テンションローラ67の位置が変わるために変化する。この退出角δ1の変化は、記録材Pが転写ニップTから離れるときに感光体ベルト61側に吸着しやすくなる方向であり、分離不良が発生しやすくなる。そこで、本実施例では、この転写ローラ70の下流側における感光体ベルト61の張り角度を規制するベルト張り角度規制部材65を設けた。材質や径は、前述した現像部68のベルト規制部材64と同じものを採用しているが、他のものでもかまわない。
【0071】
このような構成とすることによって、白黒画像形成モード時とフルカラー画像形成モード時でブラック画像形成ステーションにおける現像部の現像ニップを安定させることができ、また転写部のベルト張り角度を一定にすることができるので、転写性及び記録材の分離搬送性を安定にすることができる同時に、画像形成を行わない現像器の長寿命化を図ることができる。
【0072】
実施例4
第1実施例及び第2実施例において2次転写ニップの下流に配置したベルト規制部材22、そして第3実施例において転写部下流に配置したベルト規制部材65は、それぞれ単一の機能を有しているだけであるが、第4実施例として、これらのベルト規制部材22、65に、転写残クリーニング部材やベルト除電部材、或いはトナー帯電部材などを兼用させることによって、効果的にコストダウンを達成することができる。
【0073】
図10は、転写残クリーニング部材22をベルト規制部材として採用した場合の概略図である。転写残クリーニング部材22としては、導電性ウレタンスポンジの表層にアクリルコーティングを施したものを採用している。外径は14mmで、ローラ芯金と表層間の抵抗値は約5×108Ωである。2次転写残トナーに対して、このローラ22に交番電圧として5kVpp、周波数2kHzの矩形波(デューティ+側80%)と差電流20μAを得られるようなDC電圧を重畳して、トナーを+に帯電させる。その後、テンションローラ26の対向にある回収ローラ216にDC電圧を印加し転写残トナーを回収する。2つの従動するローラ24、26のみが、ベルト81に当接するためベルトの長寿命化にも効果がある。
【0074】
図11は、ベルト除電部材をベルト規制部材として採用した図である。本構成では、2次転写後のベルト81の残電を除去するベルト除電部材22をもつ。具体的には、上記転写残クリーニング部材22と同様のものを採用している。除電出力としては、ベルと除電部材としてのローラ22に交番電圧5kVpp、周波数2kHzの矩形波を採用している。転写残トナーも同時に除電されるため、クリーニングの補助にもなる効果がある。
【0075】
図12は、1次転写後のトナーを帯電する、本実施例では帯電ローラとされる帯電部材22を採用した図である。ここでは、第1ステーションを黒色の画像形成が行われるような構成である。異なる色のトナー帯電量が異なる場合に、この帯電ローラ22を用いて、トナートリボを均一化するためのものであるが、これをベルト規制部材に採用したものである。具体的には、上記転写残クリーニング部材22と同様のものを用い、高圧出力としてはローラ22に交番電圧5kVpp、周波数2kHzの矩形波(デューティ−側80%)、−30μAの差電流が流れるようなDC出力を重畳している。これにより、色毎の2次転写効率のばらつきを抑える効果と2次転写性を両立させることができる。
【0076】
実施例5
図13は、第5の実施例の画像形成装置を表す概略断面図である。このように、1つのドラム状感光体1と1つの中間転写ベルト81の場合にも本発明は応用できる。例えば、1次転写終了後に、1次転写部を脱して2次転写を行う場合である。
【0077】
普通紙と厚紙或いはOHT等で1次転写部までは同じスピードで画像形成を行い、2次転写部においてのみ速度を切り替える場合には、そのための中間転写ベルト81の速度を切り替えるための空回転が必要となる。そのときに、感光ドラム1と中間転写ベルト81が接触していると、中間転写ベルト81上に形成された画像が感光ドラム1に再転写してしまうという問題がある。そのために、感光ドラム1から中間転写ベルト81を離脱する手段をとっている。このときに2次転写部における中間転写ベルト81の貼り角度が変わらないようにベルトを規制する部材22を本実施例では示している。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、画像形成を行わない像担持体の寿命を延ばし、且つ画像形成色数の異なる画像形成モードによらず、画像形成を行う1次転写部と2次転写部でのベルト状中間転写体の張り角度及び転写手段の当接状態が変化せず、画像形成モードによらず安定した画像性、転写性及び記録材の分離性を得ることができる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施例に係るカラー画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】図1のカラー画像形成装置におけるフルカラー画像形成モード時の説明図である。
【図3】図1のカラー画像形成装置における白黒画像形成モード時の説明図である。
【図4】従来の白黒画像形成モードの状態を示す説明図である。
【図5】本発明の画像形成装置の他の実施例に係るカラー画像形成装置であって、フルカラー画像形成モード時の説明図である。
【図6】図5のカラー画像形成装置における白黒画像形成モード時の説明図である。
【図7】図5のカラー画像形成装置における2色画像形成モード時の説明図である。
【図8】本発明の画像形成装置の他の実施例に係るカラー画像形成装置であって、フルカラー画像形成モード時の説明図である。
【図9】図8のカラー画像形成装置における白黒画像形成モードの状態を示す説明図である。
【図10】本発明の画像形成装置の他の実施例に係るカラー画像形成装置であって、白黒画像形成モード時の説明図である。
【図11】本発明の画像形成装置の他の実施例に係るカラー画像形成装置であって、白黒画像形成モード時の説明図である。
【図12】本発明の画像形成装置の他の実施例に係るカラー画像形成装置であって、白黒画像形成モード時の説明図である。
【図13】本発明の画像形成装置の他の実施例を示す概略構成図である。
【図14】従来のカラー画像形成装置の一例を示す構成図である。
【符号の説明】
1a、1b、1c、1d、1 感光ドラム(像担持体)
21、22 中間転写ベルト規制部材
24a、24b、24c、24d、24 1次転写部材(第1の転写手段)
25、69 駆動ローラ(支持体)
26、67 テンションローラ(支持体)
29 バックアップローラ(支持体)
40 2次転写部材(第2の転写手段)
61 感光体ベルト(像担持体)
63a1、63b1、63c1、63d1 現像ローラ(現像手段)
64、65 感光体ベルト規制部材
66 転写部バックアップローラ
68a、68b、68c、68d 現像部バックアップローラ
70 転写部材(転写手段)
81 中間転写ベルト(中間転写体)

Claims (4)

  1. トナー像を担持する第1の像担持体と、
    トナー像を担持する第2の像担持体と、
    複数の支持体に支持される無端状の回転可能なベルトと、
    前記第1の像担持体上のトナー像を第1の一次転写部で、前記第2の像担持体上のトナー像を前記ベルトの回転方向において前記第1の一次転写部より下流側の第2の一次転写部で、前記ベルトに一次転写する一次転写手段と、
    前記ベルト上のトナー像を二次転写部で記録材に二次転写する二次転写手段と、を有し、
    前記ベルトが前記第1の像担持体から離間して前記第2の像担持体に当接する第1の位置で、画像形成を行う第1の画像形成モードと、前記ベルトが前記第1の像担持体と前記第2の像担持体に当接する第2の位置で、画像形成を行う第2の画像形成モードとを実行可能であって、
    前記ベルトが前記第1の位置と前記第2の位置との間で切り替わるのに伴って、前記複数の支持体のうち少なくとも1つが移動する画像形成装置において、
    前記ベルトの位置が切り替わる際に前記第2の前記一次転写部における前記ベルトの進入角を規制する第1規制部材と、前記ベルトの位置が切り替わる際に前記二次転写部における前記ベルトの退出角を規制して前記ベルトに外面から巻きつく第2規制部材とを有して、
    前記第2規制部材は、前記第2規制部材が前記ベルトに巻きつく角度は、前記ベルトが前記第2の位置にある場合より前記第1の位置にある場合に大きくなるように配置されることを特徴とする画像形成装置。
  2. トナー像を担持する第1の像担持体と、
    トナー像を担持する第2の像担持体と、
    複数の支持体に支持される無端状の回転可能なベルトと、
    前記第1の像担持体上のトナー像を第1の一次転写部で、前記第2の像担持体上のトナー像を前記ベルトの回転方向において前記第1の一次転写部より下流側の第2の一次転写部で、前記ベルトに一次転写する一次転写手段と、
    前記ベルト上のトナー像を二次転写部で記録材に二次転写する二次転写手段と、を有し、
    前記ベルトが前記第1の像担持体に当接して前記第2の像担持体から離間する第1の位置で、画像形成を行う第1の画像形成モードと、前記ベルトが前記第1の像担持体と前記第2の像担持体に当接する第2の位置で、画像形成を行う第2の画像形成モードとを実行可能であって、
    前記ベルトが前記第1の位置と前記第2の位置との間で切り替わるのに伴って、前記複数の支持体のうち少なくとも1つが移動する画像形成装置において、
    前記ベルトの位置が切り替わる際に前記第1の前記一次転写部における前記ベルトの退出角を規制する第1規制部材と、前記ベルトの位置が切り替わる際に前記二次転写部における前記ベルトの進入角を規制して前記ベルトに外面から巻きつく第2規制部材とを有して、
    前記第2規制部材は、前記第2規制部材が前記ベルトに巻きつく角度は、前記ベルトが前記第2の位置にある場合より前記第1の位置にある場合に大きくなるように配置されることを特徴とする画像形成装置。
  3. 前記第2規制部材は前記ベルトをクリーニングするクリーニングローラであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  4. 前記第2規制部材は前記ベルト上のトナーを帯電する帯電ローラであることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
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