JP4731005B2 - 無電極放電ランプ点灯装置および流体処理装置 - Google Patents

無電極放電ランプ点灯装置および流体処理装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は離間した高周波電源から高周波電力の供給を受けるのに好適で取扱いの容易な無電極放電ランプ点灯装置およびこれを用いた流体処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平6−310291号公報には、高周波電源と電球形の無電極放電ランプとを離間してその間を同軸ケーブルで接続するとともに、同軸ケーブルの両端にそれぞれインピーダンス整合回路を設け、無電極ランプ側のインピーダンス整合回路を負荷側ユニットに収納した無電極放電ランプ点灯装置がその図4および関連記述に示されている(従来技術1)。
【0003】
従来技術1には、同軸ケーブルの両端に2個のインピーダンス整合回路を用いることにより、負荷側ユニットと電源側ユニットとを別個にインピーダンス整合の調整を行えるようにできる旨記載されている。
【0004】
一方、近時細長い放電容器を備えた無電極放電ランプを水などの被処理流体中に浸漬して、したがって内照形の構成によって、流体の殺菌などの処理が行われている。(従来技術2) この目的に用いられる無電極放電ランプ点灯装置は、以下の構成を備えている。すなわち、高周波電源を陸上の被処理流体から離間した位置に設置する。第1のインピーダンス整合回路を処理槽に近接した位置に設置する。処理槽中に液密構造の灯器を浸漬する。灯器内には、無電極放電ランプを第2のインピーダンス整合回路とともに収納している。なお、灯器内で第2のインピーダンス整合回路は、無電極放電ランプの励起コイルに接続している。そして、高周波電源の出力端と第1のインピーダンス整合回路との間を第1の同軸ケーブルにより接続する。第1のインピーダンス整合回路と灯器内の第2のインピーダンス整合回路との間を防水構造の第2の同軸ケーブルにより接続している。
【0005】
そうして、従来技術2によれば、第2のインピーダンス整合回路を灯器内に収納したことにより、第1のインピーダンス整合回路と無電極放電ランプとの位置関係にかかわらず、励起コイルのインピーダンスが配線の影響を受けないで整合を良好にとることができるようになった。なお、従来技術1においては、インピーダンス整合回路を負荷側ユニットに収納する旨述べられているが、インピーダンス整合回路と無電極放電ランプとの具体的位置関係および構造については開示がなく、従来技術1を適用しても励起コイルのインピーダンスが配線の影響を受けるという問題を解決することができない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来技術2においては、第2のインピーダンス整合回路を無電極放電ランプと一緒に液密構造の灯器に収納するため、第2のインピーダンス整合回路は、無電極放電ランプが点灯により発生する熱による高温に曝され、その寿命確保が困難であった。これに加えて、無電極放電ランプが放射する紫外線によりオゾンが発生し、電子部品、封止用の樹脂や配線が高濃度のオゾンと紫外線に曝され、これらの寿命確保が困難であった。このため、特殊環境下で部品の長期信頼性を立証したり、劣悪な環境に耐える特殊な部品を開発したりしなければならないため、コストアップ要因になっている。
【0007】
また、流体中に浸漬して使用される電気設備は、安全配慮の観点から、受電端の対地電圧が低い方が好ましい。電気設備基準によれば、水中照明装置における水中灯具の受電端対地電圧は、150V以下でなければならない旨規定されている。この規定の趣旨に準じて、無電極放電ランプ点灯装置も、その励起コイルの対地電圧が150V以下になるのは望ましいことである。
【0008】
さらに、無電極放電ランプの作動状態に応じて、無電極放電ランプに供給する高周波の周波数を制御することにより、負荷の初期および経時のばらつきを小さく抑えるための精密な定数調整用のインピーダンス整合回路が不要になる。このため、励起コイルの対地電圧を低減させるのにも都合がよい。高周波の周波数を制御する場合、相対的に高い周波数の発振を行なう発振源およびこの発振源の発振出力を増幅する電力増幅器の第1の組と、相対的に低い周波数の発振を行なう発振源およびこの発振源の発振出力を増幅する電力増幅器の第2の組とを並列接続して、スイッチを介してそれらを無電極放電ランプに対して択一的に切り換え可能に接続するのが一般的である。ところが、機械的スイッチでは高周波の通電中にこれを遮断するのが実現困難であり、また電気的スイッチでは電力増幅器間の高周波の回り込みを遮断するのが困難である。
【0009】
本発明は、無電極放電ランプに近接してインピーダンス整合回路を配設する必要が無く、したがってコストダウンを図れる無電極放電ランプ点灯装置およびこれを用いた流体処理装置を提供することを目的とする。
【0010】
本発明は、無電極放電ランプの励起コイルの対地電圧が低く、したがってより安全で、流体中に浸漬するのに好適な無電極放電ランプ点灯装置およびこれを用いた流体処理装置を提供することを他の目的とする。
【0011】
本発明は、高周波電源の出力周波数を効率よく電気的に切り換えることができ、したがってインピーダンス制御回路の簡素化を図れる無電極放電ランプ点灯装置およびこれを用いた流体処理装置を提供することをさらに他の目的とする。
【0012】
【課題を達成するための手段】
請求項1の発明の無電極放電ランプ点灯装置は、内部に放電媒体を封入した放電容器を備えている無電極放電ランプと;無電極放電ランプに封入された放電媒体を励起して放電を生起させる励起コイルと;励起コイルに一端を接続した平衡電力伝送路と;平衡電力伝送路の他端に接続して励起コイルと共振する共振回路と;共振回路を介して平衡電力伝送路に一端を接続した不平衡電力伝送路と;不平衡電力伝送路の他端に接続した高周波電源と;を具備していることを特徴としている。
【0013】
本発明および以下の各発明において、特に指定しない限り用語の定義および技術的意味は次による。
【0014】
<無電極放電ランプについて>
無電極放電ランプは、少なくとも放電媒体を封入した放電容器を備えて構成される。
【0015】
放電容器は、透光性、耐火性および気密性を備えた材料たとえば石英ガラス、透光性セラミックスなどを用いて形成することができる。そして、放電容器の内部に放電媒体を封入し、外側に励起コイルを配設して放電容器の軸方向に高周波磁界を生成させて放電媒体を励起させるので、放電は放電容器の横断面において、ドーナッツ状に生起する。したがって、放電容器は、ドーナッツ状の放電を包囲する形状に構成すればよい。単一の励起コイルを用いる場合には、扁平なボール状の形状が好適である。また、複数の励起コイルを並列接続する場合には、細長い形状を採用することができる。なお、ドーナッツ状の放電の軸心近傍は放電に寄与しないから、細長い放電容器の場合、放電容器を軸方向に沿って中空に形成することができる。
【0016】
放電媒体は、所要の放電を生起するために必要な種々の媒体を用いることができる。たとえば放電によって波長235.7nmの紫外線を発生させたい場合は、水銀およびアルゴンなどの希ガスを数百Pa封入する。そして、低圧水銀蒸気放電となるような蒸気圧となるように放電条件を設定する。また、キセノンを封入して、その共鳴線である波長147nm、172nmの紫外線を放射させることもできる。しかし、本発明は可視光を発生する場合にも適応する。この場合には、たとえば放電容器の内面側に蛍光体層を配設して、放電により放射された紫外線を蛍光体層に照射することにより、蛍光体を励起して可視光を発生させることができる。また、放電により可視光を放射する放電媒体たとえばネオンなどを封入してもよい。さらに、低圧蒸気またはガス放電だけでなく、高圧蒸気またはガス放電を行なわせるように構成することもできる。
【0017】
<励起コイルについて>
励起コイルは、無電極放電ランプの外側に配設されて、放電容器の内部に封入された放電媒体を励起して放電を生起させる手段であり、一般に数ターン程度のターン数とされるが、要すれば1ターンであってもよいし、また10ターン程度のターン数であってもよい。さらに、励起コイルは、その単一または複数を放電容器の長手方向に分散させて配設することができる。複数の励起コイルを用いる場合は、細長い放電容器の長手方向のほぼ全体にわたって放電を生起させるのに効果的である。
【0018】
また、複数の励起コイルを並列的に用いる場合、励起コイルに対する配線構造に関して、配線導体入力端子から励起コイルまでの間を接続している配線導体を正負非対称形にするとともに、配線導体入力端子から各励起コイルまでの配線導体の距離を全て遠くするように構成することができる。さらに加えて、入力端子から各励起コイルまでの配線導体長をほぼ等しくすることができる。したがって、本発明においては、励起コイルと平衡電力伝送路との間に、配線導体入力端子および配線導体が介在することが許容される。
【0019】
ところで、励起コイルの中点を接地すれば、対地電圧を小さくすることができる。しかし、たとえば水などの流体中に浸漬して使用する場合のように、この手段を採用することが不利なときがある。このような場合、本発明においては、励起コイルをその近傍で接地しないで、後述する平衡電力伝送路の高周波電源側に接地点を設けることができ、したがって励起コイルを接地しないので、これを正負非対称形の配線導体構造に構成することができる。すなわち、正負非対称形の配線導体構造の励起コイルを用いても、高周波電流を接地線に流さないで済む。なお、正負非対称形の配線導体構造を備えた励起コイルを無電極放電ランプの軸方向に分散して配置すると、管軸方向の光出力を均一化できる。
【0020】
<平衡電力伝送路について>
平衡電力伝送路は、一対の伝送線を備えていて、本発明においては無電極放電ランプを付勢するための高周波電力を平衡伝送するもので、その一端が励起コイルに接続し、他端が後述する共振回路に接続する。また、平衡電力伝送路は、その一対の伝送線を同軸ケーブルの内部導体をもって構成することができる。さらに、平衡電力伝送路は、高周波の波長の1/10以下の適当な長さに設定することができ、この範囲内であれば伝送損失は少なくて済む。
【0021】
<共振回路について>
共振回路は、励起コイルのインダクタンスと適度に共振して、励起コイルに適正な高周波電力を供給する手段であり、少なくともコンデンサを含んで構成されている。また、所要により、インダクタンスを含むことができる。そして、その回路構成は自由である。また、共振回路は、適当なケース内にその回路要素を収納して構成することができる。さらに、共振回路は、無電極放電ランプを水などの流体中に浸漬して用いる場合であっても、無電極放電ランプとの間に平衡電力伝送路が介在するので、これを流体中に浸漬する必要がない。
【0022】
<不平衡電力伝送路について>
不平衡電力伝送路は、単一の伝送線を備えていて、本発明においては無電極放電ランプを付勢するための高周波電力を不平衡伝送するもので、その一端が共振回路に接続し、他端が後述する高周波電源に接続する。また、不平衡電力伝送路は、その伝送線を同軸ケーブルの内部導体をもって構成することができる。さらに、不平衡電力伝送路の場合、伝送損失が少ないので、その長さは特に制限されない。このため、高周波電源の設置位置と無電極放電ランプの設置位置との関係に応じて適当な長さ設定することができる。
【0023】
<高周波電源について>
高周波電源は、所要の周波数で、かつ所要電力の高周波を負荷に供給できればどのような構成であってもよい。しかし、数MHz以上の高周波を高い電力変換効率で発生するには、特定周波数を発振する発振器のような発振源からの発振出力を増幅する狭帯域の電力増幅器からなる構成が好適である。また、高周波電源は、その出力周波数が固定形でもよいし、可変形であってもよい。後者の場合、たとえば無電極放電ランプの始動を13.56MHZの周波数で行い、始動後に周波数を2MHzに下げて安定点灯を行なうように構成することができる。
【0024】
<その他の構成について>
本発明において、必須構成要件ではないが、以下の構成を必要に応じて適宜採用することができる。
【0025】
1.保護管について
保護管は、無電極放電ランプおよび励起コイルがたとえば直接被処理流体に接触しないようにするなどを目的として、これらの部材を保護するもので、無電極放電ランプおよび励起コイルを流体など外部雰囲気に対してシールするために、無電極放電ランプおよび励起コイルを包囲する。被処理流体が液体の場合、シールは液密である。また、被処理流体が気体の場合、シールは気密である。また、透光性保護管は、少なくとも主要部が放射透過性である。これは、保護管の全体が放射透過性である必要はなく、所望部分から所望方向へ放射を透過させたい場合に、当該部分において所望方向に対して放射を透過するものであればよく、しかも、無電極放電ランプの放射のうち所望波長帯の放射を透過するものであればよいことを意味する。
【0026】
保護管の構成としては、一般的には、放射透過性の円筒体および円筒体の両端を閉塞する金属または合成樹脂の端板からなり、円筒体と端板との間にパッキンを介在させて両者を固定することにより、流体に対してシールされた保護管を構成することができる。上記と異なる構成としては、放射透過性の有底筒体の開口端にパッキンを介して金属または合成樹脂の端板を固定することによることもできる。
【0027】
2.ガードについて
保護管または無電極放電ランプを機械的に保護するために、無電極放電ランプまたは保護管の周囲にガードを配設することができる。ガードは、たとえば金網状体や多数の金属棒を無電極放電ランプの周囲に配置することにより、これを構成することができる。また、円筒体の両端をこれより一回り大径の一対の端板またはおよびパッキングをそれらの間に介在させて閉塞し、かつ円筒体の周囲に複数の金属棒を配列し、金属棒の両端を一対の端板に固着することで、液密または気密にシールされた保護管を形成するとともに、上記金属棒でガードを構成することもできる。
【0028】
<本発明の作用について>
本発明においては、高周波電源から不平衡電力伝送路を経由して所望位置まで高周波電力を高い伝送効率で伝送し、さらに無電極放電ランプに比較的近い位置で共振回路および平衡電力伝送路を介して無電極放電ランプの励起コイルに接続することによって、バランを用いることなしにそれと類似の作用を共振回路および平衡電力伝送路に行なわせることが可能になる。したがって、平衡電力伝送路による平衡電力伝送により無電極放電ランプを点灯することができるので、インピーダンス整合回路を無電極放電ランプの近傍に配設する必要がない。なお、平衡電力伝送路は、短くてよいので伝送損失が少なくて済む。
【0029】
また、共振回路、平衡電力伝送路および励起コイルにより励起コイルのインダクタンスと共振回路とを共振させることにより、平衡電力伝送路の高周波電源側で接地することが許容される。したがって、励起コイルの中点または励起コイルの近傍で接地することなしに、励起コイルの対地電圧を所要の値以下に低減することができる。しかし、要すれば、輻射ノイズへの対応など対地電圧低減以外の目的で接地することは許容される。
【0030】
以上説明した作用に基づいて、無電極放電ランプ点灯装置のコストダウンを図ることができる。また、無電極放電ランプの励起コイルの対地電圧が低くなるので、安全であり、流体中に浸漬して使用するような態様に好適となる。
【0031】
請求項2の発明の無電極放電ランプ点灯装置は、内部に放電媒体を封入した放電容器を備えている無電極放電ランプと;無電極放電ランプに封入された放電媒体を励起して放電を生起させる励起コイルと;一端をそれぞれ励起コイルの端部に接続した並行して平衡電力伝送を行なう一対の第1の同軸ケーブルと;一対の第1の同軸ケーブルの他端間に接続して励起コイルと共振する共振回路と;共振回路を介して一対の同軸ケーブルに一端を接続した単一の第2の同軸ケーブルと;第2の同軸ケーブルの他端に接続した高周波電源と;を具備していることを特徴としている。
【0032】
本発明は、無電極放電ランプの励起コイルと共振回路との間を一対の同軸ケーブルからなる第1の同軸ケーブルを用いて平衡電力伝送を行なう構成を規定している。すなわち、第1の同軸ケーブルを構成する一対の同軸ケーブルを平衡電力伝送路として用いるとともに、励起コイルと第1の同軸ケーブルとの間にインピーダンス整合回路が介在していないので、第1の同軸ケーブの部分は不整合状態で電力伝送が行なわれることになる。その結果、第1の同軸ケーブルの入出力端間に電位差を生じる。この電位差を利用してバランのような作用を行なわせることができる。上記の電位差を生じやすくするには、一対の同軸ケーブルの外部導体を、たとえば入出力端間においてそれぞれ相互にのみ接続したり、入力端間においては相互にのみ接続しかつ出力端間においてそれぞれ相手方の内部導体に接続したりすることができる。
【0033】
また、これらの接続構造により一対の同軸ケーブルの間にトランス作用を奏させて、同軸ケーブルの損失を少なくし、同軸ケーブルの温度上昇を相対的に低減することも可能になる。
【0034】
請求項3の発明の無電極放電ランプ点灯装置は、請求項2記載の無電極放電ランプ点灯装置において、一対の第1の同軸ケーブルは、その内部導体がそれぞれ励起コイルの端部に接続し、外部導体が高周波電源側において相互に接続しているとともに、励起コイル側において相手方の内部導体に接続していることを特徴としている。
【0035】
本発明は、第1の同軸ケーブルにおける一対の同軸ケーブルにおける相互間の接続態様の好適な構成を規定している。すなわち、本発明の構成によれば、一対の同軸ケーブル間の平衡降圧式のトランス作用により伝送損失が低減して、ケーブル温度の上昇が小さくなる。
【0036】
請求項4の発明の無電極放電ランプ点灯装置は、請求項2または3記載の無電極放電ランプ点灯装置において、一対の第1の同軸ケーブルは、動作周波数における波長の1/10以下の長さであることを特徴としている。
【0037】
本発明は、第1の同軸ケーブルによる平衡電力伝送を行なう場合に、伝送損失の少ない範囲で使用するための許容される距離を動作周波数における波長の関数として規定している。
【0038】
請求項5の発明の無電極放電ランプ点灯装置は、請求項1ないしのいずれか一記載の無電極放電ランプ点灯装置において、励起コイルは、その両端の対地電圧が両端間電圧より低いことを特徴としている。
【0039】
本発明は、上記の条件を満足すれば、励起コイルの対地電圧を低減するための励起コイルの両端間電圧と両端における対地電圧との関係を規定している。したがって、励起コイルの両端のいずれか一方の対地電圧が両端間電圧より大きI場合には、対地電圧が高いので、不可である。
【0040】
請求項6の発明の無電極放電ランプ点灯装置は、請求項1ないし5のいずれか一記載の無電極放電ランプ点灯装置において、高周波電源は、第1の周波数を中心として発振する第1の発振源および第1の発振源に縦属接続した第1の電力増幅器を備えている第1の高周波発生系統と、第2の周波数を中心として発振する第2の発振源および第2の発振源に縦属接続した第2の電力増幅器備えている第2の高周波発生系統と、第1および第2の高周波発生系統の出力を、それらが互いに逆流することなしに合成して出力する出力合成手段と、を含んでいることを特徴としている。
【0041】
本発明は、周波数可変形の高周波電源の好適な構成を規定している。すなわち、本発明の高周波電源は、第1の周波数および第2の周波数を選択的に切り換え可能であり、そのために第1の高周波発生系統と、第2の高周波発生系統とのそれぞれの高周波出力を、出力合成手段により、それらが互いに逆流することなしに合成する。したがって、第1の周波数の高周波出力を生じさせるためには、第1の高周波発生系統を動作させ、第2の高周波発生系統の動作を停止させればよい。そうすれば、第1の高周波発生系統の高周波出力は、出力合成手段に入力してその出力端へと通過する。そして、第2の高周波発生系統へは回り込まない。同様に、第2の高周波発生系統からの第2の周波数の高周波出力は、第1の高周波発生系統へは回り込まないで、出力合成手段に入力してその出力端へと通過する。
【0042】
第1および第2の発振源としては、種々の発振器を用いることができる。
【0043】
第1および第2の電力増幅器としては、たとえば狭帯域増幅器を用いることができる。
【0044】
出力合成手段としては、たとえば両端を入力端とし、中点を出力端としたインダクタにより構成することができる。この場合、一端に第1の電力増幅器の出力端を接続し、他端に第2の電力増幅器の出力端を接続する。
【0045】
そうして、本発明においては、第1および第2の高周波発生系統間の高周波電力の回り込みが生じないことにより、第1および第2の高周波発生系統の切り換えを電気的に容易に行なうことができる。しかも、第1および第2の高周波発生系統の切り換えに伴う電力損失が実質的に発生しないので、電力変換効率を高い状態に維持することができる。
【0046】
また、本発明は、始動時に高い周波数を出力することで、共振により高周波電圧を高くし、したがって励起コイルに高いる高周波電圧を印加することによって無電極放電ランプの始動を容易にすることができるので、高圧放電タイプの無電極放電ランプに好適である。しかし、本発明は、低圧放電タイプの無電極放電ランプに対しても効果的である。しかも、請求項1ないし5の発明に付加して実施することにより、先行する各発明の実施が容易になるという格別の利点をも有している。なお、要すれば、請求項1ないし5の発明に付加することなく、単独に実施しても本発明の作用効果を奏する。
【0047】
請求項7の発明の無電極放電ランプ点灯装置は、請求項1ないし6のいずれか一記載の無電極放電ランプ点灯装置において、高周波電源は、第1の周波数を中心として発振する第1の発振源、第1の発振源に縦属接続した第1の電力増幅器および第1の電力増幅器に縦属接続した第1の周波数フィルタを備えている第1の高周波発生系統と、第2の周波数を中心として発振する第2の発振源、第2の発振源に縦属接続した第2の電力増幅器および第2の電力増幅器に縦属接続した第2の周波数フィルタを備えている第2の高周波発生系統と、を含んでいることを特徴としている。
【0048】
本発明は、第1および第2の電力増幅器の後段にそれぞれ周波数フィルタを配設して、高周波の回り込みを防止する構成を規定している。すなわち、周波数フィルタとしては、バンドパスフルタまたはハイパスフルタおよびローパスフィルタの組み合わせなどを用いることができる。
【0049】
バンドパスフルタを用いる場合には、第1の高周波発生系統のバンドパスフィルタとして第1の周波数を中心とするバンドパス特性を有するフィルタを用いる。また、第2の高周波発生系統のバンドパスフィルタとして第2の周波数を中心とするバンドパス特性を有するフィルタを用いる。
【0050】
ハイパスフルタおよびローパスフィルタの組み合わせを用いる場合には、第1の周波数f1が第2の周波数f2より高いと仮定した場合、第1の高周波発生系統にはハイパスフィルタを用いる。そして、ハイパスフルタのカットオフ周波数f10を第1の周波数f1より低く設定する。第2の高周波発生系統にはローパスフィルタを用いる。そして、ローパスフルタのカットオフ周波数f20を第2の周波数f2より高く設定する。
【0051】
そうして、第1の高周波発生系統の高周波出力は、その周波数が第1の周波数f1であるから、自己の系統内にハイパスフルタを通過できる。これに対して、第2の高周波発生系統の高周波出力は、その周波数が第1の周波数f1より低い第2の周波数f2であるから、第1の系統内のハイパスフルタを通過することができない。すなわち、回り込みができない。同様に、第2の高周波発生系統の高周波出力は、その周波数が第2の周波数f2であるから、自己の系統内のローパスフルタを通過できる。これに対して、第1の高周波発生系統の高周波出力は、その周波数が第2の周波数f2より高い第1の周波数f1であるから、第2の系統内のローパスフルタを通過することができない。すなわち、回り込みができない。
【0052】
また、本発明においては、第1および第2の高周波発生系統間の高周波電力の回り込みが生じないことにより、第1および第2の高周波発生系統の切り換えを電気的に容易に行なうことができる。しかも、切り換えに伴う電力損失が実質的に発生しないので、電力変換効率を高い状態に維持することができる。
【0053】
また、本発明は、始動時に高い周波数を出力することで、共振により高周波電圧を高くし、したがって励起コイルに高いる高周波電圧を印加することによって無電極放電ランプの始動を容易にすることができるので、高圧放電タイプの無電極放電ランプに好適である。しかし、本発明は、低圧放電タイプの無電極放電ランプに対しても効果的である。しかも、請求項1ないし6の発明に付加して実施することにより、先行する各発明の実施が容易になるという格別の利点をも有している。なお、要すれば、請求項1ないし6の発明に付加することなく、単独に実施しても本発明の作用効果を奏する。また、本発明の実施に際しては、請求項6の発明の出力合成手段を付加することができる。
【0054】
請求項8の発明の流体処理装置は、請求項1ないし7のいずれか一記載の無電極放電ランプ点灯装置と;流体の流入口および流出口を備え、内部に通流する被処理流体に無電極放電ランプの放射が照射されるように構成された処理槽と;を具備していることを特徴としている。
【0055】
処理槽は、流体の流入口および流出口を備え、無電極放電ランプの放射が処理槽中を流れる非処理流体に照射されるのであれば、その他の構成は制限されない。たとえば、(1)無電極放電ランプが被処理流体中に浸漬される、いわゆる内照形の構成、(2)被処理流体の外部から無電極放電ランプの放射が照射される、いわゆる外照形の構成などを採用することができる。
(1)の構成は、さらに被処理流体の流通路の途中に処理槽を介挿する態様や、被処理流体のプール中に処理槽を浸漬する態様などに分かれるが、そのいずれであってもよい。前者の態様は、流通路中を流れる被処理流体の全体を無電極放電ランプの周りを流れる際に光照射による処理を行なう場合に好適である。また、後者の態様は、無電極放電ランプに比較して大量の被処理流体を滞留しながら光照射による処理を行なう場合に好適である。
【0056】
また、無電極放電ランプおよび励起コイルが被処理流体に接触することにより、腐食したり、漏電したり、あるいは熱的に所要の条件を保持できなくなることがないように、保護管内に無電極放電ランプおよび励起コイルを収納することが好ましい。
(2)の構成は、さらに無電極放電ランプおよび励起コイルが被処理流体の上方から光照射する態様や非処理流体を放射透過性の容器内を通流させて、その容器の外部に無電極放電ランプおよび励起コイルを配設する態様などに分かれる。この場合には、無電極放電ランプおよび励起コイルを露出状態で用いてもよいが、要すれば保護管に収納した状態で用いるようにしてもよい。
【0057】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0058】
図1は、本発明の無電極放電ランプ点灯装置の第1の実施形態を示す回路ブロック図である。
【0059】
図2は、同じく共振回路、平衡電力伝送路および励起コイルを示す回路図である。
【0060】
図3は、同じく配線導体入力端子、配線導体および励起コイルの接続を示す回路図である。
【0061】
各図において、1は無電極放電ランプ、2は励起コイル、3a、3bは一対の配線導体、4a、4bは一対の配線導体入力端子、5は平衡電力伝送路、6は共振回路、7は不平衡電力伝送路、8は高周波電源、9は保護管、ASは交流電源、WLは流体面である。
【0062】
無電極放電ランプ1は、放電容器1aおよびその内部に封入した放電媒体からなる。放電容器1aは、紫外線透過性のガラスたとえば石英ガラスからなり、細長く形成されている。放電媒体は、水銀およびアルゴンガスからなる。そして、本実施形態の無電極放電ランプ1は、主として波長253.7nmの紫外線を放射する。
【0063】
励起コイル2は、図3に示すように、その複数が一対の配線導体3a、3b間に並列接続される。
【0064】
一対の配線導体3a、3bは、その一端が一対の配線導体入力端子4a、4bに接続し、他端が励起コイル2に接続しているが、各励起コイル2に対する長さがほぼ等しくなるように引き回しが配慮されている。
【0065】
一対の配線導体入力端子4a、4bは、平衡電力伝送路5の一端に接続する。
【0066】
なお、以上の無電極放電ランプ1、励起コイル2、一対の配線導体3a、3bおよび一対の配線導体入力端子4a、4bは、保護管9内に流体シールされて収納された状態で、流体中に浸漬されて使用される。WLは流体面である。
【0067】
平衡電力伝送路5は、図2に示すように、一対の同軸ケーブル5a、5bからなる。各同軸ケーブル5a、5bは、それぞれ内部導体5a1、5b1および外部導体5a2、5b2を同軸に備えている。内部導体5a1、5b1の一端は、配線導体入力端子4a、4bに接続し、他端は後述する共振回路6の出力端に接続する。外部導体5a2の励起コイル側の一端は、同軸ケーブル5bの内部導体5b1に接続し、外部導体5b2の同じく一端は、同軸ケーブル5aの内部導体5a1に接続する。すなわち、両同軸ケーブル5a、5bの励起コイル側の一端は、外部導体5a1、5b1が内部導体5b1、5a1に襷がけ接続する。これに対して、外部導体5a2、5b2の共振回路6側の他端は、相互に接続する。
【0068】
共振回路6は、コンデンサCsH、CsL、Cpの回路網からなり、平衡電力伝送路5側の端部を出力端とし、不平衡電力伝送路7側の端部を入力端と呼ぶ。コンデンサCsHおよびCsLの一端は出力端を構成する。コンデンサCsH側の出力端は、同軸ケーブル5aの内部導体5a1の他端に接続している。コンデンサCsL側の出力端は、同軸ケーブル5bの内部導体5b1に接続している。コンデンサCpの両端は入力端を構成するとともに、コンデンサCsH、CsLの他端に接続している。コンデンサCsH側の入力端は、不平衡電力伝送路7の内部導体7aに接続し、コンデンサCsL側の入力端は、同じく外部導体7bに接続するとともに、接地している。
【0069】
不平衡電力伝送路7は、単一の同軸ケーブルからなり、その一端が共振回路6の入力端に接続し、他端が後述する高周波電源8の出力端に接続する。
【0070】
高周波電源8は、整流化直流電源部および高周波発生部を備え、その入力端が交流電源ASに接続する。
【実施例】
使用回路:図2
共振回路:CsH=3000pF、CsL=6000pF、Cp=2500pF
平衡電力伝送路:RG−143形同軸ケーブル1.5mを2本にて構成
励起コイル:7ターン×4個並列接続、励起コイルの電圧は、両端端子電圧=178V、図の上側対地電圧=95.2V、下側対地電圧=87.6V
次に、図4および図5を参照して共振回路6の構成を変形した第2および第3の実施形態を説明する。各図において、図2と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。
【0071】
図4は、本発明の無電極放電ランプ点灯装置の第2の実施形態における共振回路、平衡電力伝送路および励起コイルを示す回路図である。
【0072】
本実施形態は、図2との比較においてコンデンサCsLが省略されている点で異なる。
【0073】
図5は、本発明の無電極放電ランプ点灯装置の第3の実施形態における共振回路、平衡電力伝送路および励起コイルを示す回路図である。
【0074】
本実施形態は、図2との比較においてコンデンサCsLが省略されているとともに、平衡電力伝送路5の外部導体5a2、5b2の接続が異なる。すなわち、外部導体5a2、5b2は、その励起コイル側の一端においても相互に接続されている。
【0075】
以下、図6ないし図10を参照して高周波電源の構成を変形した本発明の第4ないし第7の実施形態を説明する。各図において、図1と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。
【0076】
図6は、本発明の無電極放電ランプ点灯装置の第4の実施形態を示す回路図である。
【0077】
本実施形態は、高周波電源8は、第1および第2の高周波発生系統8a、8bおよび出力合成手段8cを備えている。
【0078】
第1および第2の高周波発生系統8a、8bは、それぞれ第1および第2の発振源8a1、8b1と、これに縦属接続された第1および第2の電力増幅器8a2、8b2を備えている。
【0079】
出力合成手段8cは、その一対の入力端から第1および第2の高周波発生系統8a、8bの高周波出力が入力される。入力された高周波出力は、それぞれ他方の高周波発生系統に回り込まないで出力端から出力する。
【0080】
図7は、本発明の無電極放電ランプ点灯装置の第4の実施形態における励起コイルの印加電圧波形を示す波形図である。
【0081】
図において、f1で示す始動時には、第1の高周波発生系統8aから相対的に高い周波数f1で電圧も高い高周波電圧が励起コイルに印加される。このとき、第2の高周波発生系統8bは作動していない。また、f2で示す点灯時には、第2の高周波発生系統8bから相対的に低い周波数で電圧も低い高周波電圧が励起コイルに印加される。このとき、第1の高周波発生系統8aは作動していない。
【0082】
図8は、本発明の無電極放電ランプ点灯装置の第5の実施形態を示す回路図である。
【0083】
本実施形態は、出力合成手段8cが異なる。すなわち、出力合成手段8cは、インダクタLおよび抵抗器Rからなる。インダクタLは、その両端が第1および第2の高周波発生系統8a、8bの出力端に接続し、中点に合成出力が現れる。抵抗器Rは、インダクタLに並列接続している。
【0084】
図9は、本発明の無電極放電ランプ点灯装置の第6の実施形態を示す回路図である。
【0085】
本実施形態は、第1および第2の高周波発生系統8a、8bが異なる。すなわち、第1および第2の高周波発生系統8a、8bは、電力増幅器8a2、8b2の出力端にバンドパスフィルタBPFa、BPFbが縦属接続している。バンドパスフィルタBPFaは、周波数f1を中心とする周波数帯域を通過する。バンドパスフィルタBPFbは、周波数f2を中心とする周波数帯域を通過する。
【0086】
図10は、本発明の無電極放電ランプ点灯装置の第7の実施形態を示す回路図である。
【0087】
本実施形態は、第1および第2の高周波発生系統8a、8bが異なる。すなわち、第1の高周波発生系統8aは、電力増幅器8a2の出力端にハイパスフィルタHPFが縦属接続している。ハイパスフィルタHPFは、そのカットオフ周波数f10が第1の周波数f1より低く、第2の周波数f2より高い。これに対して、第2の高周波発生系統8bは、電力増幅器8b2の出力端にローパスフィルタLPFが縦属接続している。ローパスフィルタLPFは、そのカットオフ周波数f20が第2の周波数f2より高く、第1の周波数f1より低い。
【0088】
図11は、本発明の流体処理装置の一実施形態を示す概念的断面図である。
【0089】
図12は、同じく無電極放電ランプ装置を示す断面図である。
【0090】
各図において、図3と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。11は処理槽、12は無電極放電ランプ装置である。
【0091】
処理槽11は、処理槽本体11a、隔壁11b、流入口11cおよび流出口11dを備えている。処理槽本体11aは、箱状をなしている。隔壁11bは、処理槽本体11aの内部を下部で連通した2室A、Bに区分している。流入口11cは、処理槽本体11aの壁面上部を部分的に開口して形成され、室A内に被処理流体を外部から吸入する。流入口11dは、処理槽本体11aの反対側の壁面上部を部分的に開口して形成され、室B内の被処理流体を外部へ排出する。そして、流体が処理槽11内の室Bを通流する間に後述する無電極放電ランプ装置12から放射される紫外線によって殺菌される。
【0092】
無電極放電ランプ装置12は、無電極放電ランプ1、励起コイル2および配線導体3a、3bを保護管12a内に収納して構成されている。また、保護管12aの外周には、ガード12bが配設されている。保護管12aは、図12に示すように、石英ガラス管12a1、端板12a2、12a3および金属棒ボルト12a4からなる。すなわち、石英ガラス管12a1の下部開口端に端板12a2を、また上部開口端に端板12a3をそれぞれ当接して、石英ガラス管12a1の周囲に複数配置された金属棒ボルト12a4によって、パッキングを介して両端板12a2、12a3を締め付けることにより、保護管12aが流体に対してシールされて形成されている。また、複数の金属棒ボルト12a4は、保護管12aの外側を囲むように配置されてガード12bを構成する。なお、端板12a3は、2重構造になっていて、外側部分に防水カバー13がシールを介して装着され、その内部には平衡電力伝送路(図示しない。)が挿通するとともに、平衡電力伝送路の端部に一対の配線導体3a、3bが接続している。
【0093】
【発明の効果】
請求項1ないし7の各発明によれば、無電極放電ランプ、励起コイル、励起コイルに一端を接続した平衡電力伝送路、平衡電力伝送路の他端に接続した共振回路、共振回路を介して平衡電力伝送路に接続した不平衡電力伝送路、および不平衡電力伝送路の他端に接続した高周波電源を具備していることにより、インピーダンス整合回路を無電極放電ランプの近傍に配設する必要がないので、コストダウンを図るとともに、励起コイルの中点または励起コイルの近傍で接地することなしに、励起コイルの対地電圧を所要の値以下に低減することができるので、流体中に浸漬して使用する場合であっても安全な無電極放電ランプ点灯装置を提供することができる。
【0094】
請求項2の発明によれば、加えて平衡電力伝送路を一対の第1の同軸ケーブルにより構成し、その外部導体を適切に接続することにより、一対の同軸ケーブルの両端部間に電位差を生じさせて、バランのような作用を行なわせる無電極放電ランプ点灯装置を提供することができる。
【0095】
請求項3の発明によれば、加えて平衡電力伝送路を構成する一対の第1の同軸ケーブルの内部導体がそれぞれ励起コイルに接続し、外部導体が高周波電源側で相互に接続し、励起コイル側でそれぞれ相手方の内部導体に接続していることにより、一対の同軸ケーブル間に平衡降圧式のトランス作用が生じて平衡電力伝送の伝送損失が低減して、ケーブル温度の上昇が小さくなる無電極放電ランプ点灯装置を提供することができる。
【0096】
請求項4の発明によれば、加えて一対の第1の同軸ケーブルが、動作周波数における波長の1/10以下の長さであることにより、平衡電力伝送の伝送損失が少ない無電極放電ランプ点灯装置を提供することができる。
【0097】
請求項5の発明によれば、加えて励起コイルの両端の対地電圧が両端間電圧より低いことにより、励起コイルの対地電圧が低減して安全な無電極放電ランプ点灯装置を提供することができる。
【0098】
請求項6の発明によれば、加えて第1および第2の高周波発生系統の高周波出力を高周波電力の回り込みが生じない出力合成手段を介して取り出すことにより、第1および第2の高周波発生系統の切り換えを電気的に容易に行なうことができ、しかも、回り込みによる電力損失が実質的に発生しないので、電力変換効率を高い状態に維持する無電極放電ランプ点灯装置を提供することができる。
【0099】
請求項7の発明によれば、加えて第1および第2の高周波発生系統に周波数フィルタを配設していることにより、高周波出力を高周波電力の回り込みが生じないので、第1および第2の高周波発生系統の切り換えを電気的に容易に行なうことができ、しかも、回り込みに夜電力損失が実質的に発生しないで、電力変換効率を高い状態に維持する無電極放電ランプ点灯装置を提供することができる。
【0100】
請求項8の発明によれば、請求項1ないし7の無電極放電ランプ点灯装置および処理槽を具備していることにより、請求項1ないし8の効果を有する流体処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の無電極放電ランプ点灯装置の第1の実施形態を示す回路ブロック図
【図2】同じく共振回路、平衡電力伝送路および励起コイルを示す回路図
【図3】同じく配線導体入力端子、配線導体および励起コイルの接続を示す回路図
【図4】本発明の無電極放電ランプ点灯装置の第2の実施形態における共振回路、平衡電力伝送路および励起コイルを示す回路図
【図5】本発明の無電極放電ランプ点灯装置の第3の実施形態における共振回路、平衡電力伝送路および励起コイルを示す回路図
【図6】本発明の無電極放電ランプ点灯装置の第4の実施形態を示す回路図
【図7】本発明の無電極放電ランプ点灯装置の第4の実施形態における励起コイルの印加電圧波形を示す波形図
【図8】本発明の無電極放電ランプ点灯装置の第5の実施形態を示す回路図
【図9】本発明の無電極放電ランプ点灯装置の第6の実施形態を示す回路図
【図10】本発明の無電極放電ランプ点灯装置の第7の実施形態を示す回路図
【図11】本発明の流体処理装置の一実施形態を示す概念的断面図
【図12】同じく無電極放電ランプ装置を示す断面図
【符号の説明】
1…無電極放電ランプ
1a…放電容器
2…励起コイル
3a…配線導体
3b…配線導体
5…平衡電力伝送路
6…共振回路
7…不平衡電力伝送路
8…高周波電源
9…保護管
AS…交流電源
WL…流体面

Claims (8)

  1. 内部に放電媒体を封入した放電容器を備えている無電極放電ランプと;無電極放電ランプに封入された放電媒体を励起して放電を生起させる励起コイルと;励起コイルに一端を接続した平衡電力伝送路と;平衡電力伝送路の他端に接続して励起コイルと共振する共振回路と;共振回路を介して平衡電力伝送路に一端を接続した不平衡電力伝送路と;不平衡電力伝送路の他端に接続した高周波電源と;を具備していることを特徴とする無電極放電ランプ装置。
  2. 内部に放電媒体を封入した放電容器を備えている無電極放電ランプと;無電極放電ランプに封入された放電媒体を励起して放電を生起させる励起コイルと;一端をそれぞれ励起コイルの端部に接続した並行して平電力伝送を行なう一対の第1の同軸ケーブルと;一対の第1の同軸ケーブルの他端間に接続して励起コイルと共振する共振回路と;共振回路を介して一対の同軸ケーブルに一端を接続した単一の第2の同軸ケーブルと;第2の同軸ケーブルの他端に接続した高周波電源と;を具備していることを特徴とする無電極放電ランプ装置。
  3. 一対の第1の同軸ケーブルは、その内部導体がそれぞれ励起コイルの端部に接続し、外部導体が高周波電源側において相互に接続するとともに、励起コイル側において相手方の内部導体に接続していることを特徴とする請求項2記載の無電極放電ランプ点灯装置。
  4. 一対の第1の同軸ケーブルは、動作周波数における波長の1/10以下の長さであることを特徴とする請求項2または3記載の無電極放電ランプ点灯装置。
  5. 励起コイルは、その両端の対地電圧が両端間電圧より低いことを特徴とする請求項1ないしのいずれか一記載の無電極放電ランプ点灯装置。
  6. 高周波電源は、第1の周波数を中心として発振する第1の発振源および第1の発振源に縦属接続した第1の電力増幅器を備えている第1の高周波発生系統と、第2の周波数を中心として発振する第2の発振源および第2の発振源に縦属接続した第2の電力増幅器備えている第2の高周波発生系統と、第1および第2の高周波発生系統の出力を、それらが互いに逆流することなしに合成して出力する出力合成手段と、を含んでいることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一記載の無電極放電ランプ点灯装置。
  7. 高周波電源は、第1の周波数を中心として発振する第1の発振源、第1の発振源に縦属接続した第1の電力増幅器および第1の電力増幅器に縦属接続した第1の周波数フィルタを備えている第1の高周波発生系統と、第2の周波数を中心として発振する第2の発振源、第2の発振源に縦属接続した第2の電力増幅器および第2の電力増幅器に縦属接続した第2の周波数フィルタを備えている第2の高周波発生系統と、を含んでいることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一記載の無電極放電ランプ点灯装置。
  8. 請求項1ないし7のいずれか一記載の無電極放電ランプ点灯装置と;流体の流入口および流出口を備え、内部に通流する被処理流体に無電極放電ランプの放射が照射されるように構成された処理槽と;を具備していることを特徴とする流体処理装置。
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