JP4730981B2 - 無方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気機器の鉄心として広く用いられる磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
無方向性電磁鋼板は、方向性電磁鋼板に比較して板面内での磁気異方性が少なく、モーターの鉄心や小型変圧器の鉄心などに広く使用されている。これらの、機器の効率を高めるために、電磁鋼板に対しては低鉄損・高磁束密度化という磁気特性の改善が求められている。
【0003】
従来、無方向性電磁鋼板の磁気特性の改善は、Si等の合金元素の含有量を増して鋼の固有抵抗を高めて鉄損を低減する方法と、鋼中の不純物を少なくして結晶粒成長性を改善する方法を中心に検討されてきた。しかし、Si含有量を増すと磁束密度が低下する傾向があるために高合金化には制約があり、結晶粒の成長性を改善する方法もほぼ限界にきている。磁気特性を向上させるための残された方法としては、集合組織を改善して磁束密度を向上させる方法が考えられている。
【0004】
無方向性電磁鋼板の集合組織としては、結晶の磁化容易軸である<100>が最も多い結晶面である{100}が鋼板面に平行に集積している集合組織(以下、単に「{100}集合組織」と記す)が理想的であり、これまでにその実現方法がいくつか開示されている。
【0005】
鋼が凝固する際に発達する柱状晶組織を利用する方法がある。この方法では、特殊な鋳造方法によって製造した柱状晶を持つ鋼塊から{100}が板面に平行となるように鋼を切り出し、1000℃以上の温度で焼鈍する。この考え方は最近実用化されたストリップキャステイング等の方法にも適用が可能であるが量産性が悪く、コストが高いうえ、<100>の集積度をさほど高くできない。
【0006】
厚さを0.15mm以下に薄くした珪素鋼板を、弱酸化性雰囲気中で1000℃以上で焼鈍し、結晶方位による表面エネルギーの差を利用して{100}集合組織を増す方法がある。この方法では、結晶粒は、一旦、板厚程度の大きさに成長した後、表面エネルギーの差を駆動力として板面に平行な{100}を有する結晶粒を優先成長させる。しかし、表面エネルギーの差を利用するためには鋼板の厚さを0.2mm以下にする必要があるうえ、1000℃以上の高温に加熱する箱焼鈍が不可欠であるので生産性が良くない。
【0007】
米国特許No.3163564(1964)には、微量のAl等を添加した珪素鋼を直交方向に圧延(クロス圧延)し、高温長時間の最終焼鈍をおこなうことにより、{100}<001>方位の結晶粒を二次再結晶させる方法が開示されている。しかしながらこの方法も、上述の表面エネルギーを利用する方法と同様に、生産性が悪く経済性に劣る。
【0008】
特開昭53−31515号公報には、本質的にCを含まない鋼板をγ単相域に加熱した後、A1 変態点まで徐冷し、その時に生じるγ→α変態を利用して板面に平行に{100}を集積させる方法が開示されている。しかしながら、この方法では{100}集合組織のX線積分強度の強さ(以下、単に「{100}集積度」と記す)が低い。
特開平1−319632号公報には、Si、CおよびNを含む冷間圧延鋼帯を特定の温度域で脱炭・脱窒焼鈍して{100}集積度を高めることを特徴とする珪素鋼板の製造方法が開示されている。この方法では、{100}集積度が、配向性がない材料の{100}集積度に比較して(以下、単に「ランダム比」と記す)15倍以上のものが得られるが、高温長時間の焼鈍が必要であり、生産性が悪く価格が高くなる。
【0009】
特開平9−194939号公報には、無方向性電磁鋼板の素材を熱間粗圧延した後コイル状に巻取り、粗圧延材の温度を均一化させた後巻戻して熱間仕上圧延する板厚1mm以下の熱延電磁鋼板の製造方法が開示されている。この方法は冷間圧延行程がないので安価に製造できる方法であるが、磁気特性の改善効果は不十分である。
【0010】
無方向性電磁鋼板中の微細なAlNなどの析出物や、冷間圧延で微細に破砕された非金属介在物は、冷間圧延した鋼板を焼鈍する時の結晶粒の成長を阻害し、磁気特性の改善を妨げる原因になることが知られている。
【0011】
特開昭63−195217号公報では、このような非金属介在物の悪影響を除くために、鋼中の酸化物系介在物を構成する各種の組成の酸化物の内、MnOの重量の割合を15%以下とした磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板を開示している。この発明では、MnOの重量の割合が上記の範囲を超えると介在物の軟化点が低下して圧延中に延ばされ、これが焼鈍時の結晶粒成長を妨げる、としている。しかしながら、これらの方法でも磁気特性が不十分なうえ、経済性にも改善すべき点がある。
【0012】
上記の発明では、MnOの重量の割合を低下させる方法として、転炉出鋼時に従来よりも多量のFe−Mn合金を添加し、Mnによる溶鋼の脱酸を強化している。しかし、転炉出鋼時は溶鉄中の酸素含有量が高いうえ、スラグと鋼とが強く撹拌されている状態であるためにMnが酸化されやすく、かつ、スラグに移行しやすい。このため、Mnの歩留まりが悪く、成分調整も十分にはおこなえない。この方法ではAlで脱酸した後に再度Mn成分の調整が必要になるので経済性に欠けるうえ、精錬末期のMn添加によってMnOが新たに生じる問題もある。
【0013】
以上述べたように、これまでに開示されている{100}集合組織を有する無方向性電磁鋼板は、{100}集積度が十分でなく、その製造方法も効率性や経済性に欠けるのが問題であった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、{100}集積度が高く、磁束密度ばかりでなくその鉄損も大幅に改善した無方向性電磁鋼板およびその安価な製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は下記(1)に記載の無方向性電磁鋼板ならびに(2)および(3)に記載のその製造方法にある。
【0016】
(1)化学組成が、重量%で、C:0.01%以下、Si:0.05〜1%、Mn:0.01〜1%、P:0.15%以下、S:0.035%以下、Al:0.003%以下、B:0〜0.01%、SbおよびSnの内の1種または2種を合計で0〜0.3%、全酸素:0.02%以下、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼であって、鋼中のMnとSの含有量の比率Mn/Sが10以上、鋼中に存在する酸化物系介在物中のMnOとSiO2 の重量比MnO/SiO2 が0.43以下、板厚中心部の{100}の集積度がランダム比で3以上である無方向性電磁鋼板。
【0017】
(2)真空処理槽内の溶鋼にMnを添加し、その後真空処理を施して溶鋼中のCを0.0005〜0.01重量%、フリー酸素を0.01〜0.04重量%に調整し、AlおよびSiを添加して鋼の化学組成および酸化物系介在物組成を制御して得た溶鋼から製造された鋼であって、化学組成が、重量%で、C:0.01%以下、Si:0.05〜1%、Mn:0.01〜1%、P:0.15%以下、S:0.035%以下、Al:0.003%以下、B:0〜0.01%、SbおよびSnの内の1種または2種を合計で0〜0.3%、全酸素:0.02%以下、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、鋼中のMnとSの含有量の比率Mn/Sが10以上、鋼中に存在する酸化物系介在物中のMnOとSiO 2 の重量比MnO/SiO 2 が0.43以下の鋼の熱間圧延の仕上圧延を、鋼とロール間の摩擦係数が0.2以下、圧延終了温度が700℃以上のα相領域となる条件でおこなって厚さが1.0mm以下の熱延鋼板とし、これを酸洗して800℃以上のα相領域で連続焼鈍することを特徴とする板厚中心部の{100}の集積度がランダム比で3以上である無方向性電磁鋼板の製造方法。
【0018】
(3)真空処理槽内の溶鋼にMnを添加し、その後真空処理を施して溶鋼中のCを0.0005〜0.01重量%、フリー酸素を0.01〜0.04重量%に調整し、AlおよびSiを添加して鋼の化学組成および酸化物系介在物組成を制御して得た溶鋼から製造された鋼であって、化学組成が、重量%で、C:0.01%以下、Si:0.05〜1%、Mn:0.01〜1%、P:0.15%以下、S:0.035%以下、Al:0.003%以下、B:0〜0.01%、SbおよびSnの内の1種または2種を合計で0〜0.3%、全酸素:0.02%以下、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、鋼中のMnとSの含有量の比率Mn/Sが10以上、鋼中に存在する酸化物系介在物中のMnOとSiO 2 の重量比MnO/SiO 2 が0.43以下の鋼の熱間圧延の仕上圧延を、鋼とロール間の摩擦係数が0.2以下、圧延終了温度が700℃以上のα相領域となる条件でおこなって得た厚さが1.0mm以下の熱延鋼板に、圧下率50%以下で冷間圧延をおこない、800℃以上のα相領域で焼鈍することを特徴とする板厚中心部の{100}の集積度がランダム比で3以上である無方向性電磁鋼板の製造方法。
【0020】
本発明者等は熱間圧延時に発生する{100}集合組織の有用性に着目し、これを安定化し、さらに強化する方法について詳細な研究をおこない以下に述べる新たな知見を得た。
【0021】
一般に熱延鋼板の板厚中心部には、圧延集合組織として{100}集合組織が形成される。しかし鋼板表層部には圧延ロールによるせん断変形を受けて{110}集合組織が強く形成されるので、{100}方位が形成される範囲は全板厚の約1/2程度しかないうえ、その{100}集合組織自体も不安定である。このため、これまでの熱延鋼板においては、鋼板中心部に{100}集合組織が形成されても、これを鋼板全体の磁気特性の改善に利用するのは困難であった。
熱間圧延時に鋼板とロール間に十分な潤滑を施して熱間圧延すると、鋼板表層部の{110}集合組織の発達が抑制されて板厚中心部の{100}集積度が高められるとともに、{100}集積度の高い領域が板厚中心部から表面方向にも拡大される。さらに、酸化物系介在物の構成組成の内、MnOの比率を低めた鋼では、上述の潤滑熱間圧延により生じる{100}集合組織がさらに強化され、安定化して維持できる。
【0022】
さらに、通常は、圧延加工後に再結晶焼鈍すると{111}集合組織が発達して{100}集積度が低下するのに対し、上述の本発明の方法で得られる熱延鋼板に適度の焼鈍を施すと{100}集合組織が極めて安定になり、その後焼鈍を施しても{100}集合組織が十分に維持され、逆に{111}集合組織が弱くなるという極めて特異な現象がある。
【0023】
また、製鋼作業、特に、脱炭を主目的として行なう溶鋼の真空処理や脱酸剤添加方法を特定の条件でおこなうことより、介在物の組成を経済的、かつ、容易に制御できる。本発明は、これらの知見を基にして完成されたものである。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を詳細に述べる。なお、以下に記す化学組成の%表示は重量%を意味する。
【0025】
(a)鋼の化学組成
C:磁気特性を劣化させるので製品の鋼板においては少ないほど良い。C含有量は、磁気特性に顕著な悪影響が現れない限界として、0.01%以下に限定する。
【0026】
Si:鋼を脱酸する作用を有するうえ、鋼の電気抵抗を増して渦電流損失を低下させる作用がある。本発明では、鋼を脱酸するため、および鉄損を低減するためにSiを0.05%以上含有させる。しかし、Si含有量が増すにつれて磁束密度が低下するので、鉄損を低減する目的であっても、十分な磁束密度を確保するためにSiの含有量は1%を上限とする。
【0027】
Mn:FeSに起因する熱間圧延時の割れ(熱間脆性)の抑止と、MnSを粗大に析出させて結晶粒成長に対して無害化することを主目的にMnを0.05%以上、かつ、Mn/Sが10以上となるように含有させる。Mnは、鋼の電気抵抗を増し鉄損を低減する作用を有するので、鉄損低減を目的として含有させてもよい。しかし、Mnは高価であり、鉄損低減に対する効果がSiに比べて小さいので、その含有量の上限は1%とする。
【0028】
P:Pは安価な元素であるうえ、鋼の電気抵抗を増し鉄損を低減する作用と、鋼を硬くして打抜き性を向上させる効果があるので含有させてもよい。しかし過度に含有させると鋼が脆くなり圧延が困難になるので、含有させる場合でも0.15%以下とする。
【0029】
S:鋼の熱間脆性の原因となるうえ、硫化物系介在物を形成し磁気特性を損なう。他方、Sには鋼板の打抜き性や切削性を改善する作用がある。このため、磁気特性を重視する場合には0.006%以下とするのがよい。打抜き性や切削性を重視する場合には、0.015%以上、0.035%以下とするのがよい。
【0030】
Al:溶鋼の脱酸作用を有するので脱酸剤として用いてもよい。Alを用いて脱酸した結果生じる脱酸生成物は、その大部分は浮上し溶鋼中から除かれるが、残余は酸化物系介在物として鋼中に残存し、さらに過剰に含有されたAlはAlNなどの微細析出物を形成しやすい。これらの酸化物や窒化物が増すと結晶粒成長や磁壁移動の障害になるのでAlは少ないほど好ましい。このため、Alの含有量は0.003%以下とする。
【0031】
B:必須元素ではないが、熱間圧延時、または、冷間圧延後の焼鈍時の再結晶の際に{111}集合組織の形成を抑制し、{100}集合組織の形成が促進される効果があるので含有させてもよい。その場合には0.0002%以上含有させるのが効果的である。しかし、過剰に含有させると再結晶完了後の粒成長を抑制し、鉄損を悪化させるのでその上限は0.01%とするのがよい。
【0032】
Sb、Sn:必須元素ではないが、両元素とも、鋼の再結晶に際して、結晶粒界からの{111}方位の再結晶核の生成を抑制する作用がある。また、冷間圧延時に、変形帯の生成を促進して{411}方位の再結晶核を増す作用がある。{411}は{100}方位に近い方位であるので、面内平均の磁気特性の向上に寄与する。このため、さらに磁気特性を向上させる場合には、SbおよびSnの内の1種または2種を合計で0.005%以上含有させるのが効果的である。しかし、過剰に含有させると鋼が脆化して圧延が困難になるので、含有させる場合の上限は0.3%とするのがよい。
【0033】
全酸素:全酸素はフリー酸素(鋼中に固溶している酸素)と介在物として存在する酸素からなっており、化学分析で求められる。鋼板中ではフリー酸素は少なく、大部分は介在物中の酸素として存在する。このため、鋼の全酸素量が増すことは介在物が増すことを意味している。酸化物系の介在物の総量を抑制するために、鋼板中の全酸素の含有量の上限を0.02%とする。
【0034】
本発明の鋼は、上記以外はFeおよび不可避的不純物で構成される。なお、不可避的不純物としてのN含有量は、SiとMnの存在によりSi−Mn−N系の微細析出物の発生のおそれがあるので、0.005%以下とするのが望ましい。さらに望ましくは、0.003%以下である。
【0035】
(b)酸化物系介在物
Al含有量が低い電磁鋼板において観察される介在物は、SiO2 とMnOを主成分とする酸化物系介在物が主体である。この介在物中のMnOの比率が高くなると、介在物の軟化温度が低下して熱間圧延時に延伸され易くなる。圧延方向に延伸された介在物が増すと、熱間圧延後の板厚中心部での{100}集合組織の集積度が損なわれるうえ、熱間圧延中および熱間圧延後に生じる結晶粒成長を阻害して、鉄損などの磁気特性の向上を妨げる。このような酸化物系介在物による悪影響を除くために、酸化物系介在物を構成するSiO2 に対するMnOの重量組成比(MnO/SiO2 、以下、単に「MnO比」と記す)を0.43以下とする。MnO比は低い方がよいが、SiO2 に対する比率が重量比で0.43以下であれば、上述の有害さが大幅に減少される。なお、MnO比は、介在物をヨウ素―メタノール法による抽出分離定量法により分析して求めるものである。
【0036】
(c){100}集積度
鋼板の{100}集積度が高いほど鋼板は磁化されやすく磁気特性が良好になる。本発明の無方向性電磁鋼板は、磁束密度を高め磁気特性を向上させるために、板厚中心部における{100}集積度がランダム比で3以上であるものとする。好ましくは5以上、さらに好ましくは7以上である。
【0037】
鋼板の板厚中心部の集合組織は、例えば、化学研磨などの方法で鋼板の片面側を板厚中心部まで除去して板厚中心部を測定面とする試料を得、これをX線回折する等の方法で測定される。ランダム比は、この測定値と配向性がない材料の{100}X線積分強度を用いて容易に求められる。
【0038】
本発明の鋼板は、鋼板表層部の{100}集積度も従来のものに較べて良好である。板厚中心部のランダム比が3以上の鋼板であれば、その表層部では1以上、板厚中心部のランダム比が7以上であれば表層部では3以上の良好な集積度が期待できる。この鋼板表層部の集積度は、圧延時に生じる鋼板最表面の不均一変形部分を除くために、最表面を厚さで10μm程度化学研磨法などの方法で除去した後に測定されるものである。
【0039】
本発明の磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板の素材となる鋼は、転炉や電気炉で溶製された溶鋼を処理し、連続鋳造法などで鋳造され、熱間圧延されて製造される。
【0040】
(d)溶鋼の処理
溶鋼の処理方法については、特に限定するものではなく、通常おこなわれている公知の方法で溶鋼を真空処理してAl、Si、Mn等で脱酸し、最終的な目標とする化学組成に調整すればよい。真空処理は、例えばRH法やVOD法等が好適である。所定の化学組成に調整された溶鋼は鋳片に鋳造される。鋳造方法や条件は任意であるが、公知の連続鋳造方法を用いて鋳片にするのがよい。なお、溶鋼処理は以下の方法でおこなうのが好ましい。
【0041】
Mn添加:Mn源は、通常は転炉からの出鋼時や、真空処理槽で真空処理した後に添加される。しかし、転炉や電気炉で溶製された溶鋼を真空処理槽に移した後に、最終的に鋼板の目標成分にするのに必要な量を予測して、真空処理する前に所要のMn源を添加するのが好ましい。RH処理槽内に溶鋼を移した後に添加すれば、スラグとの撹拌がほとんどないため、転炉出鋼時にMn源を添加する従来の方法に比べて、Mnが酸化してスラグに移行することが少なく、Mnの歩留まりがよい。
【0042】
Mn源の投入が真空処理前であるので溶鋼の酸素含有量が高く、一部のMnはMn酸化物となってスラグ中に移行する。しかし、後述するように、真空処理後にAlとSiを添加するとスラグ中のMnOが解離し、金属Mnとして溶鋼中に戻る。これにより、Mn含有量は目標成分に調整される。スラグとの攪拌が少ない状態でMn源が添加されるので、スラグ中でMnOが高くなるのは、スラグが溶鋼と接触している部分に限られる。このために、その後の脱酸でMnが還元しやすい。このことも上述の方法でMnの調整が容易に行える理由の一つである。
【0043】
このような方法でMn含有量を調整すれば、Mn含有量は低い状態から徐々に高められるので介在物中にMnOが生成し難い。また、介在物中のMnO比率上昇の一因である、真空処理とAl脱酸後のMn成分調整のためのMn源投入が不要となり、目標とする介在物組成が実現できる。
【0044】
真空処理:溶鋼にMnを添加した後、減圧下で到達真空度と処理時間を制御して溶鋼中のC含有量およびフリー酸素(溶鋼中に溶存する酸素)含有量を調整する。脱炭反応は、”溶鋼中のCとOの溶解度積は、真空度に応じて一定”の関係を基に進行する。溶鋼中のC含有量は0.0005〜0.01%、望ましくは0.002〜0.005%の範囲に制御する。溶鋼中のC含有量が0.01%を超えると最終的な鋼板のC含有量0.01%以下を実現できない。また、0.0005%に満たない場合には溶鋼中のフリー酸素が0.04%を超えてしまう。
【0045】
溶鋼中のフリー酸素は0.01〜0.04%の範囲に調整する。この量が0.04%を超えると、その後のAlおよびSi添加に際して介在物が大量に生成し、鋼板の清浄度が悪化すると共に介在物組成の制御も困難になる。その上、ノズルが閉塞するなどの製造上の問題も生じる。フリー酸素が0.01%に満たない場合には脱炭が不十分になり、鋼板のC含有量を低減できない。
【0046】
Al、Si添加:Cとフリー酸素を上記のように調整した後、AlおよびSiを添加する。全酸素含有量を低減し、さらに介在物の組成を制御するために、Alを添加した後にSiを添加するのが望ましい。Al添加の目的は、脱炭のために必要であったフリー酸素のみならず全酸素含有量をも低減することである。RH等で溶鋼を適切に攪拌すれば、溶鋼の最終のAl含有量が0.003%以下であっても、全酸素含有量を0.006以下にすることができる。
【0047】
このような状態で、鋼板の目標成分を実現するのに必要な量だけSiを添加する。この方法によれば、SiのみならずMnについても容易に目標組成を得ることができる。さらに介在物の組成も目標組成に制御できる。
【0048】
(e)熱間圧延条件
上述の化学組成を有する鋳片は、仕上圧延温度を確保するために、公知の方法により、圧延前に加熱炉に装入したり局部加熱することができる。加熱温度を低くすると硫化物系介在物が粗大化し磁気特性が向上するので、加熱温度は仕上圧延温度が確保できる範囲内で低くするのがよい。加熱温度は1200℃以下が好ましく、1150℃以下であればなお好ましい。仕上圧延温度が確保できる場合には、製造コスト低減のために圧延前の加熱は省略してもよい。
【0049】
上述の鋳片は常法に従い粗圧延された後仕上圧延される。厚さが薄い鋳片(薄鋳片)では、粗圧延を省略して仕上圧延しても構わない。粗圧延が終了した鋼片または薄鋳片は、仕上圧延機前でコイル状に一旦巻取って保温したり、仕上圧延機の前方やスタンド間に設けた保熱装置や加熱装置を用いて温度効果を防止するなどの処理を施してもよい。
【0050】
仕上圧延に際しては、鋼と圧延ロール間の摩擦係数が0.2以下になるように潤滑を施して圧延するのがよい。鋼とロール間の摩擦係数が大きくなると、鋼板表層部のせん断加工領域が拡大され、表層部には{100}よりも{110}集合組織の方がはるかにが強く形成される。このため、板厚中心部に形成される{100}集合組織が弱くなり、鋼板全体の磁気特性を改善する効果は大きくない。
【0051】
摩擦係数が0.2以下になるように潤滑して圧延すれば、鋼板表層部でのせん断変形が抑制され、表層部での{110}集積度が弱まり、鋼板中心部の{100}集積度が高まるとともに{100}集合組織を示す領域が表面方向に拡大される。摩擦係数は、通常用いられている方法、例えば、先進率から逆算するなどの方法で求めることができる。
【0052】
摩擦係数を0.2以下にするのは、合成エステルなど公知の圧延用潤滑剤をスプレーなどの公知の方式で熱間圧延中の鋼板表面やロール表面に塗布して圧延すればよい。熱間潤滑は仕上圧延時の全ての圧延スタンドで施すのが望ましいが、仕上圧延機の最初のスタンドおよび圧下率が10%に満たないスタンドでは摩擦係数は0.2を超えても構わない。最初のスタンドにおいては板厚が厚いのでせん断変形の悪影響度が小さいうえ、潤滑し過ぎると圧延ロールへの噛み込みが不安定になることがあるからである。圧下率が10%に満たない場合には、潤滑が十分でなくても悪影響は軽微である。
【0053】
上述の化学組成の鋳片は、上述の方法により1mm以下の厚さに熱間圧延される。電磁鋼板の鉄損は板厚に影響され、厚さが1mmを超えると鉄損が悪くなるので好ましくない。
【0054】
熱間圧延の仕上圧延終了温度(仕上温度)は、700℃以上のα相領域となる温度域とするのがよい。仕上圧延後に鋼が変態すると集合組織が破壊される。また、鋼板圧延時の形状不良を防止するために仕上圧延の最終圧下はα相領域でおこなうのがよい。
【0055】
本発明の製造方法においては、圧延と同時に再結晶させることにより、圧延で得られた板厚中心部の{100}集合組織を安定化し強化する。仕上温度が700℃に満たない場合には、圧延中の再結晶が不十分になるので、熱間圧延で得られた{100}集積度の強化が不十分になる。このため、仕上温度は700℃以上とするのがよい。
【0056】
圧延終了後の巻取温度は特に限定するものではないが、良好な集合組織を得るために500〜750℃の範囲とするのが好ましい。
【0057】
(f)熱延板焼鈍
板厚中心部に形成されている{100}方位の結晶粒を成長させ、その集積度を高めて磁束密度を改善し、合わせてヒステリシス損を減少させて鉄損を改善するために、熱延鋼板に焼鈍を施すのが望ましい。この焼鈍はγ変態を生じさせない温度範囲でおこなう必要がある。また、焼鈍温度が高いほど結晶粒の成長が促進される。これらの理由で熱延板焼鈍は、800℃以上のα相領域でおこなうのがよい。焼鈍温度の上限は特に限定するものではないが、以下に述べる連続焼鈍方式で良好に焼鈍できる1100℃を上限とするのがよい。
【0058】
焼鈍方法は、高温焼鈍が容易で鋼板の平坦形状を良好に保つことができるので連続焼鈍法がよい。焼鈍時間は10秒以上あればよい。焼鈍前には常法に従って酸洗しておくのが望ましい。また、焼鈍前には、鋼板の平坦度や表面粗さを整えるため、常法に従ってスキンパス圧延等を施しても構わない。さらに、焼鈍後には常法に従って絶縁コーティングを施すのが望ましい。
【0059】
(g)冷間圧延および焼鈍
上述の熱延鋼板は、その状態で無方向性電磁鋼板として使用できる。しかし、熱間圧延製品であるために板厚精度や平坦形状が好ましくない場合がある。この様な場合には、熱間圧延板に冷間圧延と焼鈍を施し、冷延無方向性電磁鋼板として用いるのが好ましい。
【0060】
冷間圧延に先だって熱延鋼板に焼鈍を施しておけば、以後に冷間圧延と焼鈍をおこなった際に{100}集合組織が安定し、一層良好な磁気特性を維持することができるのでさらに好ましい。この場合の熱延板の焼鈍では結晶粒成長が生じればよいので、焼鈍温度は600℃以上のα相領域とするのがよい。焼鈍温度の上限は、1100℃以下であればよい。焼鈍方法は連続焼鈍、箱焼鈍いずれの方法でも構わない。
【0061】
冷間圧延時の圧下率は50%以下とするのがよい。50%を超えると、焼鈍後に{111}集合組織の集積度が強くなるので好ましくない。好ましくは20%以下である。冷間圧下率の下限は特に限定するものではないが、板厚精度や平坦形状を改善するには0.5%以上とするのが好ましい。さらに好ましくは、1%以上である。
【0062】
冷間圧延後には焼鈍し、{100}方位の結晶粒を成長させて{100}集積度を高め、磁束密度と鉄損を向上させる。焼鈍温度が高いほど結晶粒の成長が促進されるので焼鈍温度は高い方がよいが、γ変態を生じさせない範囲でおこなう必要がある。このため、焼鈍は800℃以上のα相領域でおこなうのがよい。焼鈍温度の上限は特に限定するものではないが、連続焼鈍方式で良好に焼鈍できる1100℃を上限とするのがよい。焼鈍方法は、高温焼鈍が容易で鋼の平坦形状を良好に保つことができる連続焼鈍法がよい。焼鈍の後、常法に従って絶縁コーティングを施すのが望ましい。
【0063】
無方向性電磁鋼板には、鋼板の製造業者側で仕上焼鈍を行い、使用者側では特に焼鈍をせずに使用するフルプロセス材と、使用者にて打抜き加工後焼鈍することを前提に製造されるセミプロセス材とがあるが、本発明の無方向性電磁鋼板は、これらいずれの場合にも好適である。
【0064】
【実施例】
(実施例1)
表1に示す13種類の鋼を転炉−RH−連続鋳造の工程で製造した。
【0065】
【表1】
【0066】
これらの鋼は、転炉で溶解し、溶鋼をRH真空処理装置を用いて真空処理をおこない、溶鋼中のC量、フリー酸素量を調整した後AlとSiを添加した。
【0067】
鋼A〜GおよびL、Mは、真空処理を施す前のRH槽内の溶鋼にFe−Mn合金を添加した。鋼Hは転炉からの出鋼時に、鋼IはRHでの真空処理終了後に、鋼JとKは転炉からの出鋼時とRHでの真空処理終了後の2回に分けて、それぞれ所要量のFe−Mn合金を添加し、Mn含有量を調整した。
【0068】
溶鋼は連続鋳造してスラブとし、加熱炉に装入して1180℃に加熱し、粗圧延して厚さ30mmの鋼片とした後、連続式熱間仕上圧延機により厚さ0.52mmの熱延鋼板とした。仕上圧延時には、合成エステル油をそれぞれのスタンドのワークロールにスプレーで吹き付けて、潤滑した。鋼板とロール間の摩擦係数は、先進率から逆算して求める公知の方法で測定し、その値は0.14であった。仕上温度は何れも800〜810℃、巻取温度は660〜680℃の範囲内であった。これらの鋼板は、冷却した後酸洗し、スキンパス圧延して、0.50mmに圧延し、900℃で1分間保持する連続焼鈍を施した。その後、通常の無方向性電磁鋼板と同様の有機成分と無機成分を含有する複合組成からなる表面絶縁コーティングを施した。
【0069】
これらの鋼板から、長さ25mm、幅25mmのX線回折用試験片と、外径45mm、内径33mmの磁気特性測定用のリング試料を打ち抜き、いずれも900℃で1分間保持する連続焼鈍相当の熱処理を施した。X線回折用試験片は、その片面を板厚中心まで化学研磨して除去し、板厚中心部をX線回折して{100}面反射積分強度を測定した。磁束密度測定用のリング試料を用いて、磁化力5000A/mの時の磁束密度(B50)と飽和磁束密度(BS )を測定した。飽和磁束密度は鋼の化学組成によって変動するため、B50/BS を求めて化学組成が異なる鋼の磁化され易さを比較評価した。また、鋼板の酸化物系介在物組成を、臭素−メタノール法による抽出分離定量法により分析して求めた。鋼板のMnO比を表1に、{100}集積度および磁気特性測定結果を表2に示した。
【0070】
【表2】
【0071】
表2に示すように、本発明が規定する範囲内の化学組成とMnO比を有し、ランダム比が3以上である鋼A〜Gは、鉄損が低く、磁束密度も良好であった。これに対し、鋼Hは化学組成は本発明の範囲内であるがMnO比が高く、鋼Iは酸素含有量が高いうえにMnO比が高く、鋼Jは化学組成は本発明の範囲内であるがMnO比が高く、鋼KはS含有量も高いために、いずれも、ランダム比が劣り、鉄損と磁束密度がよくなかった。鋼Mは、全酸素含有量が高いために磁気特性が好ましくなかった。鋼LはP含有量が高過ぎてスキンパス圧延の際に割れが発生し、その後の処理を断念した。
【0072】
(実施例2)
化学組成が実施例1に記載した鋼Cと同一のスラブを粗圧延して得た厚さ30mmの鋼片を、実施例1と同様の方法で潤滑して熱間仕上圧延し、仕上温度を種々変更しつつ厚さ0.7mmの熱間圧延鋼板とし、600℃で巻取った。一部のスラブは潤滑しないで0.7mmに圧延した。熱延後酸洗し、常法に従って厚さ0.6mmに冷間圧延した。これらの冷間圧延鋼板から、長さ25mm、幅25mmのX線回折用試験片と、外径45mm×内径33mmのリング試料を打ち抜き、950℃に1分間保持する連続焼鈍相当の熱処理を施した。その後、X線回折用試験片は、その片面を板厚中心まで化学研磨して除去し、実施例1と同様に、板厚中心部をX線回折して{100}面反射積分強度を測定した。また、リング試験片を用いて磁束密度(B50)を測定した。これらの結果を熱間圧延条件と共に表3に示す。
【0073】
【表3】
【0074】
表3に示されているように、好ましい条件範囲で熱間圧延した試番1〜4は、{100}積分強度がランダム比にして6倍以上と高く、磁束密度もB50が著しく良好である。これに対し、仕上圧延温度がα相域を超えた試番5は、圧延後γ→α変態が生じたために{100}集積度が低くなり、B50が好ましくなかった。試番6は、仕上圧延時に潤滑しなかったために{100}積分強度が低くなり、B50が好ましくなかった。試番7は、仕上圧延温度が低すぎたために熱間圧延後の再結晶が不十分になり、{100}積分強度が低くB50が好ましくなかった。
【0075】
(実施例3)
化学組成が実施例1に記載した鋼Cと同一のスラブを粗圧延し、実施例2の試番4に記載したのと同様の潤滑条件で圧延し、仕上厚さを0.53〜0.92mmの間に変更して熱間圧延した。得られた鋼板を圧下率5〜83%の範囲で冷間圧延して厚さ0.5mmの鋼板とし、1000℃で1分間保持する連続焼鈍を施し、実施例2に記載したのと同様の方法で、板厚中心部をX線回折して{100}面反射積分強度を測定し、B50を測定した。冷間圧下率とこれらの測定結果を表4に示す。
【0076】
【表4】
【0077】
冷間圧下率が50%以下であれば、十分良好な{100}集合組織とB50を有していた。特に冷圧率20%以下の場合に良好であった。冷圧率が50%を超えた試番▲4▼および▲5▼では、{100}積分強度が著しく低下し、得られたB50も低く、好ましくなかった。
【0078】
【発明の効果】
本発明の無方向性電磁鋼板は、板厚中心部の{100}集合組織が発達した磁束密度の高い極めて良好な磁気特性を有する電磁鋼板である。本発明の無方向性電磁鋼板は冷間圧延を施さなくても磁気特性がよいので経済性に優れる。冷間圧延すれば、さらによい。このため、汎用性に優れた高性能の電気器機の鉄心として極めて好適である。本発明の製造方法によれば安定して組成の制御が出来る。さらに潤滑圧延して連続熱間圧延する方法であるので、従来にない高い磁束密度を有する無方向性電磁鋼板を効率よく経済的に安定して製造できる。
Claims (3)
- 化学組成が、重量%で、C:0.01%以下、Si:0.05〜1%、Mn:0.01〜1%、P:0.15%以下、S:0.035%以下、Al:0.003%以下、B:0〜0.01%、SbおよびSnの内の1種または2種を合計で0〜0.3%、全酸素:0.02%以下、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼であって、鋼中のMnとSの含有量の比率Mn/Sが10以上、鋼中に存在する酸化物系介在物中のMnOとSiO2の重量比MnO/SiO2が0.43以下、板厚中心部の{100}の集積度がランダム比で3以上である無方向性電磁鋼板。
- 真空処理槽内の溶鋼にMnを添加し、その後真空処理を施して溶鋼中のCを0.0005〜0.01重量%、フリー酸素を0.01〜0.04重量%に調整し、AlおよびSiを添加して鋼の化学組成および酸化物系介在物組成を制御して得た溶鋼から製造された鋼であって、化学組成が、重量%で、C:0.01%以下、Si:0.05〜1%、Mn:0.01〜1%、P:0.15%以下、S:0.035%以下、Al:0.003%以下、B:0〜0.01%、SbおよびSnの内の1種または2種を合計で0〜0.3%、全酸素:0.02%以下、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、鋼中のMnとSの含有量の比率Mn/Sが10以上、鋼中に存在する酸化物系介在物中のMnOとSiO 2 の重量比MnO/SiO 2 が0.43以下の鋼の熱間圧延の仕上圧延を、鋼とロール間の摩擦係数が0.2以下、圧延終了温度が700℃以上のα相領域となる条件でおこなって厚さが1.0mm以下の熱延鋼板とし、これを酸洗して800℃以上のα相領域で連続焼鈍することを特徴とする板厚中心部の{100}の集積度がランダム比で3以上である無方向性電磁鋼板の製造方法。
- 真空処理槽内の溶鋼にMnを添加し、その後真空処理を施して溶鋼中のCを0.0005〜0.01重量%、フリー酸素を0.01〜0.04重量%に調整し、AlおよびSiを添加して鋼の化学組成および酸化物系介在物組成を制御して得た溶鋼から製造された鋼であって、化学組成が、重量%で、C:0.01%以下、Si:0.05〜1%、Mn:0.01〜1%、P:0.15%以下、S:0.035%以下、Al:0.003%以下、B:0〜0.01%、SbおよびSnの内の1種または2種を合計で0〜0.3%、全酸素:0.02%以下、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、鋼中のMnとSの含有量の比率Mn/Sが10以上、鋼中に存在する酸化物系介在物中のMnOとSiO 2 の重量比MnO/SiO 2 が0.43以下の鋼の熱間圧延の仕上圧延を、鋼とロール間の摩擦係数が0.2以下、圧延終了温度が700℃以上のα相領域となる条件でおこなって得た厚さが1.0mm以下の熱延鋼板に、圧下率50%以下で冷間圧延をおこない、800℃以上のα相領域で焼鈍することを特徴とする板厚中心部の{100}の集積度がランダム比で3以上である無方向性電磁鋼板の製造方法。
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