JP4730910B2 - 縦型固液遠心分離機 - Google Patents
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Description
従来の吊下分離機の構造を図1及び図2によって概説すると次のとおりである。
モータ2(変速機構部分のみが図示されている)により回転せられる縦回転軸1と、この回転軸1と一体的に回転し、外周壁が固形分を透過せず液分を透過する固液分離壁11となり、かつ底部に分離固形分を排出する排出孔12が形成された、有底円筒形のバスケット10と、排出孔12を塞ぐ傘状部を有し回転軸1周囲に遊嵌された、バスケットバルブと称せられる栓体20とを有する。
たとえば砂糖の精製に用いる場合の条件とともに操作を説明すると、図示しない前段のミキサーにて形成された、結晶と蜜の混合物であるスラリーSが、概要的に示す供給管3を通して、バスケット10が低速で回転する時に、バスケット10の上部から所定量だけ供給される。
バスケット10の外周壁は、多数の脱液孔11Aが形成され、その外周壁の内面にスクリーン11Bが設けられた、固液分離壁11となっているために、バスケット10内のスラリーの液分はスクリーン11Bの目及び脱液孔11Aを通ってバスケット10の外部に分離・排出される。分離・排出された液分(瀘液)はバスケット10の外側にあるケーシング4の内壁に沿って下降してケーシング4下部の排出口4Aから遠心分離機外に排出される。一方、固体分はスクリーン11Bに遮られてバスケット10内に滞留する。また、飛散した固形分(結晶)の一部が栓体20の傘部21上に付着・堆積する。
固体分は固液分離壁11の内面にも堆積する。そこで、これを掻き取るためにスクレーパ手段が設けられている。
このスクレーパ手段5の例は、図2も参照されるように、垂直シリンダ5Aと、この垂直シリンダ5Aをその軸心回りに旋回させる水平シリンダ(図示せず)と、垂直シリンダ5Aのロッド先端に連結かつされたスクレーパ5B及びその先端に連結されたとブレード5Cを有している。固体分の掻き取り時においては、垂直シリンダ4が作動し、上昇していたスクレーパ5B及びブレード5Cを下降させた後、水平シリンダが垂直シリンダ4を旋回させ、それに伴ってスクレーパ5B及びブレード5Cを旋回させ、ブレード5Cを、固液分離壁11の内面に当接させ(投入させ)、そこに堆積している固形分をバスケット10の回転によって掻き取るようになっている。
他方、バスケット10内に滞留している固形分は、栓体20を上昇させ排出孔12を開口させて排出する。栓体20は、固形分排出時以外はバスケット10底面上に設置されており、排出時のみ昇降する。この栓体20の昇降手段としては、栓体20の上端フランジ20aの下面に、昇降アーム80先端に設けた自在回転するローラ81を接触するように位置させ、昇降アーム80の揺動軸82を中心としてシリンダ(図示せず)により揺動させることで、栓体20を昇降させるように構成していた。
しかるに、栓体20の昇降時に、ローラ81がフランジ20aの下面に接触しながら回転することを繰り返す、並びに栓体20の回転中にローラ81が接触回転するために、ローラ81及びこれを軸支するローラシャフトの磨耗粉が排出する固形分(結晶)中に混入し、製品中への異物混入(コンタミネーション)を引き起こす可能性があった。
他方、栓体20は回転軸1に遊嵌し、その程度はほぼ接触している状態にあるが、回転軸1の回転力を積極的に栓体20に伝達する構造ではなく、回転軸1外面との摩擦力により成り行きで回転する構造である。
このように、栓体20は回転軸1との摩擦力による成り行きで回転させる構造であったため、回転に伴う回転方向の分力よりも、堆積した結晶質量による抵抗力が勝った場合は、栓体20が回転せずに、バスケット10(特に傘部21上)に固形分(結晶)が堆積したままとなり、これが、結晶回収率の向上の限界要因となるばかりでなく、堆積分が後のバッチの固形分(結晶)へ混入し、製品品質の不均一化の要因となっていた。
〔請求項1記載の発明〕
縦回転軸と、この回転軸と一体的に回転し、外周壁が固形分を透過せず液分を透過する固液分離壁となり、かつ底部に分離固形分を排出する排出孔が形成された、有底円筒形のバスケットと、前記排出孔を塞ぐ傘状部を有し前記回転軸周囲に遊嵌された栓体とを有し、
前記栓体に設けられた第1磁石と、上下方向に昇降する昇降体と、この昇降体に設けられ、前記第1磁石の下方位置において前記第1磁石に対向し、反発関係をもたらす第2磁石とを備え、
前記昇降体の昇降に伴って、前記第1磁石と前記第2磁石との反発関係により前記栓体と前記昇降体とが非接触を維持しながら、前記栓体が昇降するように構成したことを特徴とする縦型固液遠心分離機。
図4〜図6の符号を参照すれば、昇降体40の昇降に伴って、第1磁石31と第2磁石32との反発関係により栓体20と昇降体40とが非接触を維持しながら、栓体20が昇降するように構成した。したがって、前記の従来例におけるローラ81及びローラシャフトの磨耗粉が排出する固形分(結晶)中に混入し、製品中への異物混入(コンタミネーション)を引き起こす可能性を解消できる。
さらに、反発関係をもたらすために第1磁石31及び第2磁石32を使用しているので、簡易かつ安価な構成で実用的である。
さらに、前記回転軸に着脱部を一体的に設け、前記栓体の上昇時に前記着脱部と連結され、前記栓体が前記回転軸と一体的に回転可能とされた請求項1記載の縦型固液遠心分離機。
前述の栓体20が回転せず、バスケット10(特に傘部21上)に固形分(結晶)が堆積したままとなり、これが、結晶回収率の向上の限界要因となるばかりでなく、後のバッチの固形分(結晶)へ混入し、製品品質の不均一化の要因となっていた問題に対し、回転軸に着脱部を一体的に設け、栓体20の上昇時に着脱部と連結させ、栓体20が回転軸1と一体的に回転するようにしたので、栓体20が回転しない事態がなくなり、1バッチごとの固形分(結晶)回収率の向上を図ることができ、製品品質が安定したものとなる。
前記着脱部には第3磁石が設けられ、前記栓体が前記第3磁石に吸着されて前記着脱部と連結される関係にある請求項2記載の縦型固液遠心分離機。
第3磁石33を利用することで、簡易かつ安価な構成で実用的なものとなる。
前記着脱部は、前記回転軸から張り出したフランジとその下面に設けられた前記第3磁石により構成され、前記栓体の上面と吸着可能関係にある請求項2記載の縦型固液遠心分離機。
着脱部の構造として、回転軸1にフランジ1Aを張り出して設け、その下面に第3磁石33を設けて栓体20の上面と吸着可能関係とすることで、簡素な構成となる。
前記着脱部には永久磁石からなる第3磁石が設けられ、この第3磁石による前記栓体の吸着力は前記栓体にかかる下方への力より小さく、かつこの第3磁石による吸着力に前記第1磁石が前記第2磁石から反発する反発力が加算された連結力によって前記栓体が前記着脱部と連結される関係にある請求項2記載の縦型固液遠心分離機。
第3磁石33として、電磁石でなく永久磁石を使用するために構造がシンプルとなり、しかも、第3磁石33よる栓体20の吸着力が栓体20にかかる下方向への力より小さくすることで、昇降体40を降下させたとき、栓体20はその自重により降下させることができる。なお、ここでいう、下方向への力とは、自重、および外部要因(バスケット内外部の圧力差等)による下方向への力の合計をさす。
固液分離壁の内面に堆積した付着物を掻き取るスクレーパ手段が設けられている請求項2〜5のいずれか1項に記載の縦型固液遠心分離機。
固液分離壁11の内面に堆積した付着物を掻き取るスクレーパ手段5が設けられているときに、栓体(バスケット、特にその傘部21上)に固形分(結晶)が堆積する傾向にあるので、本発明の利点が顕著に発現する。
前記第1磁石及び前記第2磁石が永久磁石である請求項1または2記載の縦型固液遠心分離機。
第1磁石31及び第2磁石32として、電磁石でなく永久磁石を使用するために構造がシンプルとなる。
前記栓体は、上昇したときその傘状部の肩面が、前記バスケット底部の前記排出孔と接触してその排出孔を塞ぐ構造とされ、
前記肩面及び前記排出孔のそれぞれに吸着関係をもたらす一対の閉塞磁石を設けた請求項1記載の縦型固液遠心分離機。
上昇状態(閉塞状態)を維持するために、前記の第3磁石によって連結部を構成することもできるほか、縦型固液遠心分離機としては、栓体を上昇させたときその傘状部の肩面が、バスケット底部の排出孔と接触してその排出孔を塞ぐ構造ものがある。この型式の縦型固液遠心分離機にも本発明の思想を適用でき、その場合、前記肩面及び前記排出孔のそれぞれに吸着関係をもたらす一対の閉塞磁石を設けることで、上昇状態(開口状態)を維持することができる。
前記栓体は、前記排出孔との接触を離れてこれを開口し、下降したとき前記栓体の傘状部の下部及び前記バスケット底部のそれぞれに吸着関係をもたらす一対の開口維持磁石を設けた請求項8記載の縦型固液遠心分離機。
下降したとき前記栓体の傘状部の下部及び前記バスケット底部のそれぞれに吸着関係をもたらす一対の開口維持磁石を設けることで、下降状態(開口状態)を維持することができる。
図3は、1バッチ分の操作例の説明図であり、図4に示すように、栓体20がバスケット10の底面上に位置している状態で、モータ2により縦回転軸1が駆動されバスケット10が回転し始める。その後、所定の回転数になって時点で、前述のように、スラリーSが供給管3を通して、バスケット10の上部から内部へ所定量だけ供給される。その後、増速されて所定の高回転数で所定の時間、固液分離される。この終了後において減速され、低回転数状態でスクレーパ手段5による掻取及び固液分の排出孔12からの排出、並びにその間の栓体20の昇降が行われる。
この操作のために、栓体20の例えば上部のフランジ部34に第1磁石31が下方に臨んで設けられている。フランジ部34の上面には、吸着板22が一体化されている。
一方、上下方向に昇降する昇降体40が設けられている。この昇降体40の具体例は、適宜数の昇降シリンダ41と、そのシリンダロッドの先端が連結される環状部材42と、この環状部材42に上方に臨んで設けられた第2磁石32とを有する。
実施例での第1磁石31及び第2磁石32は永久磁石であり、両者は対面状態で設けられ、N極及びS極の選択配置により、相互が反発関係にあるように配置されている。第1磁石31及び第2磁石32の反発力は栓体20が軸方向回転した際に、変動しないことが必要で、具体的には、第1磁石31及び第2磁石32の少なくとも一方を、環状(リング状)の形状とすることが好ましい。
また、回転軸1には着脱部が一体的に設けており、栓体20の上昇時に着脱部と連結され、栓体20が回転軸1と一体的に回転可能とされている。
その具体例は、着脱部は、回転軸1に一体化されたフランジ部1Aと下方に臨んで設けられた永久磁石からなる第3磁石33とを有し、その第3磁石33に吸着板22が吸着されて、フランジ部1A及び第3磁石33と連結される関係にあるものである。
栓体20は、上昇する過程で、縦回転軸1との摩擦力および、吸着板22と第3磁石33と間に生じる吸着力により、不定速度で回転を開始する。フランジ部34が上昇限まで上昇すると、図5に示すように、吸着板22が第3磁石33に吸着され、その吸着力に第1磁石31が第2磁石32から反発する反発力が加算された連結力となるので、栓体20は回転軸1の回転と同期するように回転せられる。その結果、栓体20の傘部21の上面に付着した固形分が振り飛ばされる。
その後、前述のように、垂直シリンダ4が作動し、上昇していたスクレーパ5B及びブレード5Cを下降させた後、水平シリンダが垂直シリンダ4を旋回させ、それに伴ってスクレーパ5B及びブレード5Cを旋回させ、ブレード5Cを、固液分離壁11の内面に当接させ(投入させ)、そこに堆積している固形分をバスケット10の回転によって掻き取る。この掻き取り時において、バスケット10内に滞留している固形分は、栓体20の上昇によって開口した排出孔12を通して排出する。
この排出が完了したならば栓体20を下降させる。ところで、第3磁石(永久磁石)よる栓体20の吸着板22を吸着する力より栓体20の自重が勝っている関係にあるように第3磁石の吸着力が選定されている。その結果、昇降体40の下降に伴い第2磁石32が下方に逃げると、第1磁石31と第2磁石32との反発力が弱くなるので、その反発力が栓体20の上昇力として加算されなくなった時点で、吸着板22は第3磁石33から離れて、栓体20の下降が開始される。図6に示すように、昇降体40のさらなる下降に伴い栓体20も下降し、図4の下降限に達するようになる。栓体20の下降後、又は下降に伴い、スクレーパ手段5は、逆の過程を経て上昇限に戻り、バスケット10の回転も止められ、次のバッチを待つ。
さらに、前述の栓体20が回転せず、バスケット10(特に傘部21上)に固形分(結晶)が堆積したままとなり、これが、結晶回収率の向上の限界要因となるばかりでなく、後のバッチの固形分(結晶)へ混入し、製品品質の不均一化の要因となっていた問題に対し、回転軸1に着脱部を一体的に設け、栓体20の上昇時に着脱部と連結させ、栓体20が回転軸1と一体的に回転するようにしたので、栓体20が回転しない事態がなくなり、1バッチごとの固形分(結晶)回収率の向上を図ることができ、かつ、製品品質が安定したものとなる。
上記例において、第1磁石31、第2磁石32及び第3磁石は永久磁石を使用したが、そのいずれかが電磁石でもよい。ただし、電磁石の場合、通電系統が必要となり、装置構成を複雑化させるので、永久磁石が最適である。吸着板22と第3磁石33との上下関係は逆であってもよい。
本発明において、栓体20の上昇時において回転軸1と同期回転する手段の採用を必須とはしないが、その手段の採用は前述のように大きな利点をもたらす。必要ならば、回転軸1に着脱部を一体的に設け、栓体20の上昇時に着脱部と連結され、栓体20が回転軸1と一体的に回転可能とする手段としては、前述の磁力を利用するほか、機構学的な連結形態を採用してもよい。ただし、その場合には、接触を繰り返すので、磨耗による異物混入を防止することが肝要である。その点、吸着板22と第3磁石33との吸着・脱着は異物混入がなく、しかも、構造的にシンプルであり実用的である。
昇降体40の変形例としては多くの例があるであろう。たとえば、その駆動源を電動シリンダ、油圧シリンダ、空気圧シリンダのほか、ネジの回転に伴い昇降させるようにしてもよい。
なお、図7のように、栓体10を下方に移動させて、固形分を排出する構造においても本発明が適用できる。すなわち、図7の形態は、栓体20は、上昇したときその傘状部21の肩面が、バスケット11底部の排出孔12Aと接触してその排出孔12Aを塞ぐ構造とされ、前記肩面及び排出孔12Aのそれぞれに吸着関係をもたらす一対の閉塞磁石51、52を設けたものである。なお、排出孔12Aを通った固形分は、最終的には、バスケット11底板11Bとの間に周方向に間欠的に開口された排出孔12Bを通して外部に排出されるものである。
他方、栓体20は、排出孔12Aとの接触を離れてこれを開口し、下降したとき栓体20の傘状部21の下部(実施の形態では下面)及びバスケット11底部(実施の形態では底板11B)のそれぞれに吸着関係をもたらす一対の開口維持磁石53、54を設けた構成とすることができる。
Claims (9)
- 縦回転軸と、この回転軸と一体的に回転し、外周壁が固形分を透過せず液分を透過する固液分離壁となり、かつ底部に分離固形分を排出する排出孔が形成された、有底円筒形のバスケットと、前記排出孔を塞ぐ傘状部を有し前記回転軸周囲に遊嵌された栓体とを有し、
前記栓体に設けられた第1磁石と、上下方向に昇降する昇降体と、この昇降体に設けられ、前記第1磁石の下方位置において前記第1磁石に対向し、反発関係をもたらす第2磁石とを備え、
前記昇降体の昇降に伴って、前記第1磁石と前記第2磁石との反発関係により前記栓体と前記昇降体とが非接触を維持しながら、前記栓体が昇降するように構成したことを特徴とする縦型固液遠心分離機。 - さらに、前記回転軸に着脱部を一体的に設け、前記栓体の上昇時に前記着脱部と連結され、前記栓体が前記回転軸と一体的に回転可能とされた請求項1記載の縦型固液遠心分離機。
- 前記着脱部には第3磁石が設けられ、前記栓体が前記第3磁石に吸着されて前記着脱部と連結される関係にある請求項2記載の縦型固液遠心分離機。
- 前記着脱部は、前記回転軸から張り出したフランジとその下面に設けられた前記第3磁石により構成され、前記栓体の上面と吸着可能関係にある請求項2記載の縦型固液遠心分離機。
- 前記着脱部には永久磁石からなる第3磁石が設けられ、この第3磁石による前記栓体の吸着力は前記栓体にかかる下方への力より小さく、かつこの第3磁石による吸着力に前記第1磁石が前記第2磁石から反発する反発力が加算された連結力によって前記栓体が前記着脱部と連結される関係にある請求項2記載の縦型固液遠心分離機。
- 固液分離壁の内面に堆積した付着物を掻き取るスクレーパ手段が設けられている請求項2〜5のいずれか1項に記載の縦型固液遠心分離機。
- 前記第1磁石及び前記第2磁石が永久磁石である請求項1または2記載の縦型固液遠心分離機。
- 前記栓体は、上昇したときその傘状部の肩面が、前記バスケット底部の前記排出孔と接触してその排出孔を塞ぐ構造とされ、
前記肩面及び前記排出孔のそれぞれに吸着関係をもたらす一対の閉塞磁石を設けた請求項1記載の縦型固液遠心分離機。 - 前記栓体は、前記排出孔との接触を離れてこれを開口し、下降したとき前記栓体の傘状部の下部及び前記バスケット底部のそれぞれに吸着関係をもたらす一対の開口維持磁石を設けた請求項8記載の縦型固液遠心分離機。
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