JP4729735B2 - 導電性接触子のホルダ構造 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性接触子の先端部をIC、液晶ディスプレイ基板、プリント配線板等の被検査体に接触させることにより、被検査体の電気的な検査を行う導電性接触子に関し、特に、導電性接触子を収容するホルダ構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
上述のようなICなどの被検査体の電気的な検査を行う導電性接触子では、導電性の針状体及びコイルばね或いはコイルばねの単体をパイプ状のレセプタクルに組み込んだ構造となっている。そして、このレセプタクルを絶縁板に配設することにより、プローブユニットとしていたが、近年の被検査体の電極部のファインピッチ化(例えば、150〜200μmのピッチ)及び小径化(例えば、90〜110μm)に対応させる必要があるところから、レセプタクルを省いて、針状体及びコイルばね或いはコイルばね単体を絶縁性のホルダに直接に組み込んだ構造が採用されている(特許第2532331号公報、特開平11−64378号公報)。
【0003】
図10は、このような公報に記載されている従来の導電性接触子150を組み込んだプローブユニット100を示し、導電性の一対の針状体110,120と、導電性のコイルばね130と、絶縁性のホルダ140とを備えている。一対の針状体110,120がコイルばね130の両端に連結されることにより、導電性接触子150が構成されている。
【0004】
ホルダ140は、中間絶縁体141と、中間絶縁体141を挟むように上下に積層された下側絶縁体142及び上側絶縁体143とによって形成されている。ホルダ140には、被検査体の電極部のピッチに相応する案内孔160が板厚方向に沿って形成されており、それぞれの案内孔160内に導電性接触子150が個々に収容されている。案内孔160に収容された導電性接触子150は、ホルダ140からの抜け止めがなされた状態で、各針状体110,120の先端部がホルダ140の外方に突出している。
【0005】
また、各針状体110,120の抜け止め及び先端部の突出を行うため、上下の絶縁体142,143には、案内孔160よりも小径の支持孔142a、143aが貫通している。
【0006】
このようなプローブユニット100では、導電性接触子150における上側の針状体120をホルダ140上に積層される配線基板の電極部やリード線(図示省略)に弾発的に接触させて電気的に接続した状態で、下側の針状体130の先端部を被検査体に弾発的に接触させることによって被検査体の電気的な検査を行う。
【0007】
また、プローブユニット100の組み立ては、いずれか一方の絶縁体142または143を中間絶縁体141から取り外して、それぞれの案内孔160に導電性接触子150を挿入し、他方の絶縁体143または142の支持孔に対して導電性接触子150の対応する針状体110または120を差し込み、その後、一方の絶縁体142または143を中間絶縁体141に積層する。この積層では、絶縁体142または143の支持孔に、対応している針状体120または110が挿入されるように位置合わせして行う。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述した導電性接触子において、針状体110,120とホルダ140の案内孔160との間のクリアランスに異物が介在したり、針状体110,120やコイルばね130に折れや曲がりが発生すると、針状体110,120の出没ができなくなり、被検査体との接触不良や電気信号の伝送不良となる。このため、これらの場合には、不良となった導電性接触子150の交換を行う必要がある。
【0009】
導電性接触子150の交換作業は、上下における一方の絶縁板142または143を取り外したホルダ140の解体状態で、不良の導電性接触子150を抜き取り、その後、新たな導電性接触子150を対応した案内孔160に挿入し、取り外した絶縁板142または143の積層及び再固定によって行われる。この交換作業においては、ホルダ140にセットされている導電性接触子150への損傷を防止する必要があるところから、取り外した絶縁板を正確に位置合わせして再固定しなければならない。
【0010】
しかしながら、針状体のピッチが被検査体のピッチに合わせて狭くなっており(200μm以下)、そのピッチに対応した状態下でホルダ140の解体、位置合わせ、さらには再固定を行う必要があるため、高度の熟練が要求される問題がある。また、ファインピッチに対応させる必要性から、極めて細い針状体やコイルばねを用いており、導電性接触子の強度が小さくなっている。従って、セット済みの導電性接触子が何らかの異常要因によって曲がる問題も有している。
【0011】
本発明は、このような問題点を考慮してなされたものであり、熟練が要求されるホルダの解体、位置合わせを必要とすることなく、導電性接触子を簡単に交換することが可能な導電性接触子のホルダ構造を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明はの導電性接触子のホルダ構造は、絶縁性のホルダに形成された案内孔内に導電性接触子が収容されており、導電性接触子の一端側がホルダから突出して被検査体と接触することにより他端側から電気信号を取り出す構造であって、前記ホルダが、前記案内孔を有した本体ブロックと、この本体ブロックに対し平面内の一方向に沿う往復方向へ相対的にスライド可能に本体ブロックに積層され、一方向への相対的なスライドによって案内孔への導電性接触子の挿抜を許容する一方、反対方向への相対的なスライドによって導電性接触子を抜け止めする抜け止めブロックとを備えていることを特徴とする。
【0013】
この発明では、平面内の一方向に沿って本体ブロックと抜け止めブロックとを相対的にスライドさせることにより、導電性接触子の案内孔への挿入及び引き抜きが可能となり、反対方向への相対的なスライドによって導電性接触子が抜け止めされる。従って、導電性接触子に欠陥が生じた場合には、抜け止めブロック及び本体ブロックを相対的にスライドさせて、案内孔からその導電性接触子を引き抜いて、新たな導電性接触子を案内孔に挿入し、その後、抜け止めブロック及び本体ブロックを反対方向に相対的にスライドさせることにより、導電性接触子が支持穴内に収容されて支持される。
【0014】
このような発明では、本体ブロック及び抜け止めブロックの相対的なスライドを行うだけで、導電性接触子の交換を行うことができるため、ホルダを解体したり、再組み付けの際に位置合わせを行う必要がなくなり、導電性接触子の交換を簡単に行うことができる。また、導電性接触子の抜け止めのための反対方向への相対的なスライドでは、導電性接触子の端部を抜け止めブロックに概ね摺動させた状態とすることができるため、導電性接触子の位置精度も向上する。
【0015】
また、この発明で前記抜け止めブロックは、導電性接触子が通過可能な径を有すると共に導電性接触子の一部を外方に突出させ且つ支持する支持孔が各案内孔と連通するように形成されていることを特徴とする。
【0016】
また、この発明は、抜け止めブロックに形成した支持孔が導電性接触子の通過可能な径となっているため、導電性接触子の交換を確実に行うことができる。また、抜け止めブロックの反対方向への相対的なスライドによって抜け止めブロックが導電性接触子の抜け止めを行うため、抜け止めを行うための部材や構造物が不要となり、ホルダを簡単な構造とすることができる。
【0017】
請求項2の発明は、請求項1記載の導電性接触子のホルダ構造であって、前記抜け止めブロックは、本体ブロックの片面または両面に積層されていることを特徴とする。
【0018】
このように抜け止めブロックは本体ブロックの片面だけでなく、両面に積層することができる。両面に積層する場合には、導電性接触子の挿抜及び抜け止めをいずれの面からも行うことができる。このため、導電性接触子交換の自由度が増大する。
【0019】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の導電性接触子のホルダ構造であって、前記本体ブロックは、導電性接触子を抜け止めする構造となっていることを特徴とする。
【0020】
このように本体ブロックが導電性接触子を抜け止する構造では、案内孔に挿入された導電性接触子が本体ブロックから抜け落ちることがなくなるため、導電性接触子を確実に収容することができる。
【0021】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の導電性接触子のホルダ構造であって、前記相対的なスライドを案内するガイド部材が、本体ブロック及び抜け止めブロックにかけて差し込まれていることを特徴とする。
【0022】
このようにガイド部材が本体ブロック及び抜け止めブロックの相対的なスライドを案内することにより、本体ブロック及び抜け止めブロックの平面内の一方向への相対的なスライドが安定し、一方向への相対的なスライドを確実に行うことができる。
【0023】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の導電性接触子のホルダ構造であって、前記導電性接触子は、導電性のコイルばねの両端に導電性の一対の針状体が連結された構造となっていることを特徴とし、請求項6の発明の導電性接触子は、導電性のコイルばねと、このコイルばねの一端側に連結された導電性の針状体とを備えた構造となっていることを特徴としている。
【0024】
このように導電性接触子としては、種々の構造を用いることができ、いずれの構造の導電性接触子を用いても、その交換を簡単に行うことができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示する実施の形態により具体的に説明する。なお、各実施の形態において、同一の部材は同一の符号を付して対応させてある。
【0026】
(実施の形態1)
図1〜図4は、本発明の実施の形態1が適用されたプローブユニット1を示し、ホルダ2と、導電性接触子3とを備えており、ホルダ2は、本体ブロック4と、本体ブロック4の一面(下面)に積層された抜け止めブロック5とから構成されている。
【0027】
本体ブロック4は下側から第1のプレート6、第2のプレート7、第3のプレート8が順に積層されることにより形成されている。これらのプレート6,7,8は相互の位置決め状態で積層され、ボルト等による締結、接着剤等による接合、その他の手段によって組み立てられている。また、これらのプレート6,7,8は、絶縁材料が用いられており、これにより本体ブロック4の全体が絶縁性となっている。
【0028】
本体ブロック4には、複数の案内孔9が厚さ方向に貫通している。案内孔9は被検査体である検査基板10にパターン形成された電極部11に対応したピッチ及び数となるように設けられている。
【0029】
それぞれの案内孔9は、導電性接触子3を収容するものであり、第1のプレート6及び第2のプレート7では、導電性接触子3の最大外径(この実施の形態では、針状体12,13の鍔部12b、13bの外径またはコイルばね14のコイル径)よりも大きな径となっており、第3のプレート8では、導電性接触子3の最大外径よりも小さな径となっている。なお、第3のプレート8では、小径の貫通孔8aが形成されることにより、案内孔9の一部を構成している。この貫通孔8aは、導電性接触子3における第2の針状体13の鍔部13bよりも小径となっており、これにより、第3のプレート8は第2の針状体13の抜け止めを行う構造となっている。
【0030】
本体ブロック4の下面に積層される抜け止めブロック5は絶縁材料によって板状に形成されており、絶縁材料からなる抜け止めブロック5が本体ブロック4に積層されることにより、ホルダ2の全体が絶縁性となっている。抜け止めブロック5には、支持孔15が板厚方向に貫通している。支持孔15は本体ブロック4の案内孔9と連通するように各案内孔9に対応して形成されている。
【0031】
かかる抜け止めブロック5は、ボルト等の締結部材或いはフック等の係合部材(いずれも省略)によって本体ブロック4に固定されているが、これらの締結部材や係合部材を解除することにより、本体ブロック4に対してスライドすることが可能となるものである。
【0032】
支持孔15は導電性接触子3が通過可能な径に設定されるものであり、このため、導電性接触子3の最大外径よりも大きな径となっている。この実施の形態では、本体ブロック4の案内孔9と略同じ径となるように設定されている(図3参照)。
【0033】
支持孔15は、後述するように導電性接触子3の案内孔9への挿抜を許容すると共に、導電性接触子3おける第1の針状体12の抜け止めを行うように作用する。すなわち、支持孔15の中心線が案内孔9の中心線と一致した状態では、支持孔15を介して案内孔9への導電性接触子3挿入または引き抜きを行うことができると共に、支持孔15が案内孔9と位置ずれした状態では、抜け止めブロック5が案内孔9から抜け出ることを防止するように作用するものである。
【0034】
この実施の形態において、導電性接触子3は、導電性のコイルばね14の両端に第1及び第2の針状体12,13からなる導電性の一対の針状体が連結されることにより構成されている。
【0035】
コイルばね14は細い径の線材をコイル状に巻回することによって形成された圧縮コイルばねとなっている。この実施の形態において、自由状態におけるコイルばね14の長さ及び針状体12,13の鍔部12a、13aの厚さを加算した長さが、第1のプレート6及び第2のプレート7の厚さを加算した寸法よりも幾分短いか、略同じ長さとなるように設定されるものである。
【0036】
第1の針状体12はコイルばね14の一端側に対しての針状体、第2の針状体13は他端側に対しての針状体となっている。これらの針状体12,13は先端が先鋭となっている針状部12a、13aと、針状部12a、13aよりも大径となっている鍔部12b、13bと、鍔部12a、13bよりも小径となって鍔部12b、13bに連設されたボス部12c、13cとが軸方向に一体的に形成されることにより構成されている。
【0037】
一対の針状体12,13は、先鋭の針状部12a、13aが反対方向を向くようにコイルばね14の両端に連結される。この連結は、コイルばね14の両端に各ボス部12c、13cを圧入することにより行われるが、半田付け、接着等によって行うこともできる。
【0038】
第2の針状体13は、その鍔部13bが第3のプレート8に抜け止めされた状態で、その針状部13aが第3のプレート8の貫通孔8a内に挿入されている。この針状部13aは、第3のプレート8に積層された配線基板20の電極部21と接触することにより、配線基板20と電気的に接続される。また、このように第2の針状体13が第3のプレート8によって抜け止めされることにより、導電性接触子3が案内孔9を通過して第3のプレート8側から抜け落ちることがないため、導電性接触子3を案内孔9に確実に収容することができる。
【0039】
第1の針状体12は、その針状部12aが抜け止めブロック5から外方に突出しており、検査基板10の電極部11の弾発的に接触する。この接触によって導電性接触子3を介して検査基板10と配線基板2とが導通状態となり、検査基板10に対する電気的な検査を行うことができる。
【0040】
以上の実施の形態において、抜け止めブロック5は本体ブロック4に対し、平面(XY平面)内の一方向(例えば、図3の矢印S1方向)に沿って往復スライド可能となっている。抜け止めブロック5がスライドする平面内の一方向は、その往方向へのスライドによって支持孔15が本体ブロック4の案内孔9に対して位置ずれすると共に、復方向へのスライドによって支持孔15の中心線が案内孔9の中心線と一致する方向であり、この条件を満足する限り、任意の方向に設定することができる。
【0041】
かかるスライドを案内するため、この実施の形態では、ガイド部材17が配置されている。ガイド部材17はピン状となっており、本体ブロック4及び配線基板20を挿通して、これらを結合すると共に、その下端部が抜け止めブロック5内に侵入している。これに対し、抜け止めブロック5には、ガイド部材17に対応したガイド孔18が形成されており、ガイド部材17の下端部はガイド孔18内に遊挿されている。
【0042】
図2はガイド孔18を示し、同図(a)では、横長の長円のガイド孔18となっている。ガイド部材17はこのガイド孔18が延びた方向に沿って相対的に移動する。これにより、抜け止めブロック5はガイド孔18が延びた方向に往復スライドし、この往復スライドによって、抜け止めブロック5の支持孔15が案内孔9に一致或いは位置ずれすることができる。
【0043】
図2(b)では、ガイド孔18がガイド部材17よりも大径の円形となっており、ガイド部材17はガイド孔18とのクリアランス部分内を相対的に移動する。この移動によって、抜け止めブロック5の支持孔15が案内孔9に一致或いは位置ずれすることができる。
【0044】
図4により、この実施の形態における抜け止めブロック5のスライド量の設定を説明する。同図においては、図1及び図3の状態を上下転倒して示しており、(a)は一方向へのスライド状態、(b)は反対方向へのスライド状態である。
【0045】
支持孔15と案内孔9との径が略同一の場合において、第1の針状体12における針状部12aの径と支持孔15の径とのクリアランスを寸法a、鍔部12bの径と案内孔9の径とのクラランスを寸法bとし、支持孔15及び案内孔9の孔加工精度をcとした場合、抜け止めブロック5のスライド量(案内孔9に対する支持孔15のずれ量)Δxは、Δx=a+b+2cを上限値とすることにより抜け止めブロック5からの導電性接触子3の挿入及び引き抜きができると共に、抜け止めブロック5による導電性接触子3の抜け止めを行うことができるものである。
【0046】
図1は以上の構造のプローブユニット1によって検査基板10の電気的な検査を行っている状態を示す。この検査において、第1の針状体12の弾発的な出没が得られなくなったり、針状体12,13やコイルばね14に折れや曲がりが生じた場合には、その導電性接触子3を交換する必要がある。
【0047】
この場合には、上述した締結部材或いは係合部材を解除して、抜け止めブロック5を本体ブロック4との固定状態から解放する。そして、図3に示すように、抜け止めブロック5をガイド部材17に沿って一方向S1にスライドさせ、その支持孔15の中心線を案内孔9の中心線と一致させる。これにより、不良となった導電性接触子3を支持孔15を介して案内孔9から引き抜くと共に、新たな導電性接触子3を支持孔15を介してその案内孔9内に挿入する。その後、抜け止めブロック5を上述とは反対の方向にスライドして、支持孔15を案内孔9から位置ずれさせて図1に状態に戻して導電性接触子3の交換を終了する。
【0048】
このような導電性接触子3の交換では、本体ブロック4に対して抜け止めブロック5を往復方向にスライドさせるだけで、導電性接触子3の交換を行うことができる。このため、配線基板20とホルダ2との組み付け状態を解体したり、その後にホルダ2を解体したり、正確な位置合わせな要求されるホルダ2の再組み付けを行う必要がなくなり、導電性接触子3の交換を簡単に行うことができる。従って、高度な熟練を要することなく導電性接触子3の交換を容易に行うことができる。
【0049】
また、導電性接触子3の抜け止めのための抜け止めブロック5の反対方向への相対的なスライドでは、図1に示すように、第1の針状体12の針状部12aに対して支持孔15の内面が接触した状態となることができ、第1の針状体12が一方向に揃い易いため、その位置精度が向上する。そして、この接触状態で第1の針状体12が概ね摺動するため、検査基板10の電極部11に確実に接触することができる。
【0050】
(実施の形態2)
図5は、実施の形態2を示す。この実施の形態のプローブユニット30では、本体ブロック4及び配線基板20にかけて固定ピン31が差し込まれることにより、これらが位置決めされている。
【0051】
また、ピン状のガイド部材32が、配線基板20、本体ブロック4及び抜け止めブロック5にかけて差し込まれている。ガイド部材32は、配線基板20側に配置したフレーム33から延びることにより、これらに差し込まれており、下端部は抜け止めブロック5に密に嵌合している。従って、抜け止めブロック5はガイド部材32に固定された状態となっている。
【0052】
これに対し、本体ブロック4及び配線基板20には、ガイド部材32が遊挿されるガイド孔34が連通状態で形成されている。ガイド孔34は図2(a)、(b)と同様な長円孔または円形孔となっており、ガイド部材32はガイド孔34に対して相対的に移動する。この相対移動によって、本体ブロック4及び配線基板20が抜け止めブロック5及びフレーム33に対して平面内の一方向S1に沿って往復方向にスライドすることができる。従って、実施の形態1と同様に、抜け止めブロック5の支持孔15を介して導電性接触子3の交換を行うことができる。
【0053】
このような実施の形態では、抜け止めブロック5に対して本体ブロック4が一方向に往復スライドすることによって、支持孔15と案内孔9とが一致し或いは位置ずれするものであり、実施の形態1と同様に、高度の熟練を要求されることなく、導電性接触子3の交換を簡単に行うことができる。なお、本体ブロック4のスライドは、案内孔9に収容されたコイルばね14によって本体ブロック4を横方向に押される力によっても行うことができるものである。
【0054】
(実施の形態3)
図6は実施の形態3が適用されたプローブユニット40を示す。この実施の形態では、第1の針状体12及び第2の針状体41がコイルばね14の両端に連結されることにより導電性接触子3が形成されている。第2の針状体41は胴部41bの先端に先鋭の針状部41aが連設されて形成されており、実施の形態1及び2のような抜け止め用の鍔部13bを備えていない。また、胴部41bの他端には、コイルばね14に結合されるボス部41cが軸方向に連設されている。
【0055】
また、ホルダ2は、本体ブロック4と抜け止めブロック5とが積層されることにより形成されるが、本体ブロック4は、2つの板状の絶縁性のプレート44,45が積層されて構成されている。導電性接触子3を収容する案内孔9は、プレート44,45を板厚方向に貫通している貫通孔44a、45aの中心を一致させることによって形成されている。
【0056】
さらに、本体ブロック4上には、配線基板20が積層されている。配線基板20には、案内孔9と連通する保持孔22が形成されており、この保持孔22にエナメル線などの単線からなるリード線23が挿入されている。リード線23は外部の検査回路(図示省略)に直接或いは間接的に接続されることにより信号の伝送を行う。このリード線23における先端部には、素線よりも径が大きくなった扁平部23aが形成されている。
【0057】
扁平部23aはリード線23の先端を軸線と直行する方向にプレス加工することによって形成されるものであり、これにより配線基板20からのリード線23の抜け止めがなされている。導電性接触子3の第2の針状体41は、コイルばね14に付勢されることにより、その針状部41aが扁平部23aに弾発的に当接している。このような構造では、導電性接触子3はリード線23の扁平部23aによって配線基板20側からの抜け止めがなされていると共に、リード線23に対して信号を伝送することが可能となっている。
【0058】
この実施の形態においても、抜け止めブロック5には、導電性接触子3が通過可能な径を有した支持孔15が案内孔9に対応して貫通している。また、抜け止めブロック5及び本体ブロック4が平面内の一方向に沿って相対的に往復スライド可能となっている。この相対的なスライドは、実施の形態1のように抜け止めブロック5をスライドさせても良く、実施の形態2のように本体ブロック4をスライドさせても良い。
【0059】
このように、導電性接触子3が通過可能な支持孔15が形成された抜け止めブロック5と、案内孔9を有した本体ブロック4とが一方向に相対的にスライド可能となっていることにより、導電性接触子3の交換を支持孔15を介して行うことができる。従って、抜け止めブロック5及び本体ブロック4の相対的なスライドだけで導電性接触子3の交換を行うことができ、これにより、配線基板20とホルダ2との組み付け状態を解体したり、その後にホルダ2を解体したり、さらには正確な位置合わせな要求されるホルダ2の再組み付けを行う必要がなくなるため、高度な熟練を要することなく導電性接触子3の交換を容易に行うことができる。
【0060】
(実施の形態4)
図7は実施の形態4を示す。この実施の形態が適用されるプローブユニット50では、本体ブロック4が単一の絶縁ブロックから構成されており、導電性接触子3を収容する案内孔9が板厚方向に貫通している。このように、本体ブロック4を単一のブロックとすることにより、部品点数が少なくなるばかりでなく、それぞれの貫通孔の中心が一致するように複数のプレートを位置決めしながら積層する必要がなくなるため、本体ブロック4を簡単に作製することができる。
【0061】
この実施の形態では、本体ブロック4の上下の両面に対して、抜け止めブロック5及び51が積層されることによりホルダ2が形成されている。下側の抜け止めブロック5は実施の形態1及び2と同様であり、導電性接触子3が通過可能な径を有した支持孔15が案内孔9と連通するように形成されている。一方、上側の抜け止めブロック51にも、導電性接触子3が通過可能な径を有した支持孔52が案内孔9と連通するように形成されている。
【0062】
これらの抜け止めブロック5及び51は、本体ブロック4に対して平面内の一方向に沿って相対的に往復スライド可能となっている。すなわち下側の抜け止めブロック5は、矢印S2の方向に沿って本体ブロック4に対し相対的にスライド可能となっており、上側の抜け止めブロック51は矢印S3の方向に沿って本体ブロック4に対し相対的にスライド可能となっている。なお、これらのスライド方向S2、S3は同一の方向であっても良く、交差する異なった方向であっても良いものである。
【0063】
この実施の形態では、上下いずれの抜け止めブロック5、51を本体ブロック4に対して相対的に往復スライドさせても、その支持孔15,52を介して導電性接触子3の交換を行うことが可能となっている。従って、導電性接触子3の交換を抜け止めブロック5,51のスライドだけで行うことができるため、ホルダ2を解体したり、正確な位置合わせな要求されるホルダ2の再組み付けを行う必要がなくなり、高度な熟練を要することなく、導電性接触子3の交換を容易に行うことができる。
【0064】
特に、この実施の形態では、本体ブロック4の上下の両面に対して、相対的にスライド可能な抜け止めブロック5,51を設けているため、本体ブロック4の上下いずれの面からも導電性接触子3の交換を行うことができる。このため、導電性接触子3の交換の自由度が拡大し、交換作業性が飛躍的に向上する。
【0065】
(実施の形態5)
図8は実施の形態5を示す。この実施の形態のプローブユニット60では、2つの板状の絶縁性のプレート31,32を積層することにより、ホルダ2の本体ブロック4が形成されており、2つのプレート31,32には、導電性接触子3を収容する案内孔9が厚さ方向に貫通している。
【0066】
本体ブロック4の上側のプレート31における配線基板20側の端部には、案内孔9の一部を構成する支持孔部32aが形成されている。支持孔部32aは案内孔9の他の部位よりも小径となるように形成されており、後述する導電性接触子3を抜け止めすると共に位置決め状態で支持するように作用する。この支持孔部32aは、埋め込み状にパターン形成された配線基板20の電極部21に対応するように形成されている。
【0067】
この実施の形態において、導電性接触子3は、導電性のコイルばね33と、1本の針状体34とからなり、針状体34がコイルばね33の下側の端部に連結された構造となっている。針状体34は抜け止めブロック5の支持孔15から先端部分が突出して検査基板10の電極部11と接触する針状部34aと、針状体部34aの状部に形成された大径の鍔部34bと、鍔部34bから上方に延びる軸部34cとが一体的に形成されることにより構成されている。そして、針状体34はその軸部34cが下側からコイルばね33内に圧入され或いは挿入された後に半田付けされることにより、コイルばね33の下側の端部に連結状態で取り付けられる。
【0068】
コイルばね33は、下側の連結部33a及び上側の密着巻き部33bを備えている。連結部33aは針状体34の軸部34cが連結される部位である。
【0069】
密着巻き部33bは隣接した線材が密着するように巻回された部分であり、その下部には、針状体34の軸部34cの上部が接触状態で差し込まれている。このように密着巻き部33bに軸部34cが接触するように差し込まれることにより、密着巻き部33bと軸部34cとが良好に導通するため、電気特性が良好となるメリットがある。
【0070】
この実施の形態におけるコイルばね33においては、密着巻き部33bに接続部33cが形成されている。接続部33cは隣接した線材が密着した密着巻き部33bの状態のままで、そのコイル径が密着巻き部33bや連結部33aよりも小さくなるように巻回された部分であり、密着巻き部33bの上部に形成されている。
【0071】
接続部33cはホルダ本体4における上側のプレート32に形成されている支持孔部32a内に進入可能な径となっており、支持孔部32a内に進入した状態では、支持孔部32aによって抜け止めされると共に、支持孔部32aによって位置決めされる。また、支持孔部32aに進入することにより、接続部33cは配線基板20の電極部21と接触して針状体34からの電気信号を検査基板20に取り出すように作用する。このとき、接続部33cは線材が密着した状態となっているため、電気信号を確実に取り出すことができ、電気的な検査を信頼性のあるものとすることができる。
【0072】
このような実施の形態においても、実施の形態1と同様に、導電性接触子3の最大外径よりも径が大きく導電性接触子3が通過可能な支持孔15を抜け止めブロック5に形成し、しかも、この抜け止めブロック5を本体ブロック4に対して一方向に往復スライド可能としている。これにより、導電性接触子3の交換を抜け止めブロック5のスライドだけで行うことができるため、ホルダ2を解体したり、正確な位置合わせな要求されるホルダ2の再組み付けを行う必要がなくなり、高度な熟練を要することなく、導電性接触子3の交換を容易に行うことができる。
【0073】
(実施の形態6)
図9は実施の形態6を示す。この実施の形態におけるホルダ2は、実施の形態5と同様な構造となっている。すなわち、上下2つの絶縁性のプレート31,32が積層されることにより本体ブロック4が形成され、この本体ブロック4の下面に対して抜け止めブロック5が一方向への往復スライド可能に積層されている。また、上側のプレート32には、案内孔9よりも小径となっている支持孔部32aが配線基板20の電極部21と対応するように形成されている。
【0074】
この実施の形態における導電性接触子3は、線材をコイル状に巻回して形成された単体のコイルばね71だけによって構成されている。単体のコイルばね71は、長さ方向の略中心部分に形成された密着巻き部71aと、密着巻き部71aの両側に所定のピッチで巻回されたピッチ部71bと、各ピッチ部71bの外側に形成された密着テーパ部71cとによって構成されている。ピッチ部71bはコイルばね71の全体にばね力を付与するものである。
【0075】
密着テーパ部71cは線材が密着状態で巻回された状態で、コイルばね71の長さ方向の両端部に位置している。また、密着テーパ部71cは、外側に向かってコイル径が漸減しており、これにより、先端側では、コイル径が小さな接続部71dとなっている。上側の接続部71dは上側のプレート32における支持孔部32aよりも径が小さくなっており、支持孔部32a内に進入する。この進入により、配線基板20の電極部21と接触して電気信号を検査基板20に取り出すように作用する。
【0076】
コイルばね71は自由状態で、その長さが本体ブロック4及び抜け止めブロック5を合わせた厚さよりも大きくなるように形成されている。このコイルばね71の自由長は、荷重が負荷しないように設定されるものである。そして、コイルばね71を本体ブロック4の案内孔9内に差し込んだ状態では、図9(a)で示すように、長さ方向両端部の接続部71dがホルダ2の上下面から突出する。このとき、上側の接続部71dはプレート32の支持孔部32a内に抜け止めされた状態で、支持孔部32aに位置決め状態で支持される。
【0077】
図9(b)は、配線基板20をホルダ2の上面に積層して取り付けた状態を示す。配線基板20の積層によって、上側の接続部71dが案内孔9内に押し込まれて、コイルばね71の全体が下方に移動し、下側の接続部71dの突出量が幾分、増大する。
【0078】
図9(c)は同図(b)の状態で、検査基板10の電気的な検査を行う場合を示し、ホルダ2を検査基板10に接近させて、ホルダ2の下面から突出しているそれぞれのコイルばね71の接続部71dを電極部11と弾発的に接触させる。これにより、下側の接続部71d、下側のピッチ部71b、密着巻き部71a、上側のピッチ部71b、上側の密着テーパ部71cを介して上側の接続部71dから配線基板20に電気信号が出力される。
【0079】
このような実施の形態においても、導電性接触子3(コイルばね71)が通過可能な支持孔15を抜け止めブロック5に形成し、抜け止めブロック5を本体ブロック4に対して一方向に往復スライド可能とすることにより、導電性接触子3の交換を抜け止めブロック5のスライドだけで行うことができる。このため、ホルダ2を解体したり、正確な位置合わせな要求されるホルダ2の再組み付けを行う必要がなくなり、高度な熟練を要することなく、導電性接触子3の交換を容易に行うことができる。
【0080】
また、この実施の形態では、導電性接触子3を構成するコイルばね71に対して、密着巻き部71a及び密着テーパ部71cを形成しているため、電気信号を確実に伝送することができ、信頼性のある電気検査を行うことができる。さらに、導電性接触子3をコイルばね71の単体で構成しているため、針状体とコイルばねとを組み付ける必要がなく、このため安価な導電性接触子3とすることができる。
【0081】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、平面内の一方向に本体ブロックと抜け止めブロックとを相対的に往復スライドさせることにより、導電性接触子の交換ができるため、ホルダを解体したり、再組み付けの際に位置合わせを行う必要がなくなり、高度な熟練を要することなく、導電性接触子の交換を簡単に行うことができる。また、これらの相対的なスライドでは、針状体を抜け止めブロックに概ね接触させた状態とすることができるため、導電性接触子の位置精度が向上し、確実な検査を行うことができる。
上記効果を有するのに加えて、導電性接触子の交換を簡単に行うことができる。
【0083】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果を有するのに加えて、本体ブロックの片面だけでなく、両面からも導電性接触子の挿抜及び抜け止めを行うことができるため、導電性接触子交換の自由度が増大する。
【0084】
請求項3の発明によれば、請求項1又は2の発明の効果を有するのに加えて、導電性接触子が本体ブロックから抜け落ちることがなくなるため、導電性接触子を確実に収容することができる。
【0085】
請求項4の発明によれば、請求項1〜3の発明の効果を有するのに加えて、本体ブロック及び抜け止めブロックの相対的なスライドが案内されるため、スライドを安定して行うことができる。
【0086】
請求項5及び6の発明によれば、請求項1〜3の発明の効果を有するのに加えて、導電性接触子として、種々の構造を用いることができ、しかも各種の導電性接触子の交換を簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1の断面図である。
【図2】(a)及び(b)は、ガイド部材の作用を示す図1におけるA−A線端面図である。
【図3】導電性接触子の交換状態を示す断面図である。
【図4】(a)及び(b)は、スライド量を説明する断面図である。
【図5】実施の形態2の断面図である。
【図6】実施の形態3の断面図である。
【図7】実施の形態4の断面図である。
【図8】実施の形態5の断面図である。
【図9】実施の形態6の断面図である。
【図10】従来の導電性接触子の断面図である。
【符号の説明】
1,30,40,50 プローブユニット
2 ホルダ
3 導電性接触子
4 本体ブロック
5 抜け止めブロック
9 案内孔
12 第1の針状体
13 第2の針状体
14 コイルばね
15 支持孔
17 ガイド部材
Claims (6)
- 絶縁性のホルダに形成された複数の案内孔内のそれぞれに導電性接触子が収容されており、それぞれの導電性接触子の一端側の針状体がホルダから突出して被検査体と接触することにより導電性接触子の他端側から電気信号を取り出す構造であって、
前記ホルダが、前記案内孔を有した本体ブロックと、この本体ブロックに対し平面内の一方向に沿う往復方向へスライド可能に本体ブロックに積層され、一方向への相対的なスライドによって案内孔への導電性接触子の挿抜を許容する一方、反対方向への相対的なスライドによって導電性接触子を抜け止めする抜け止めブロックとを備え、
前記抜け止めブロックは、前記針状体が通過可能な径を有すると共に針状体の一部を外方に突出させ且つ支持する支持孔が各案内孔と連通するように形成されて前記被検査体側に位置するように前記本体ブロックに積層されており、
前記抜け止め方向への前記抜け止めブロックのスライドによって前記支持孔の内面が前記針状体に接触し、この接触によって針状体が一方向に揃えられることを特徴とする導電性接触子のホルダ構造。 - 前記抜け止めブロックは、本体ブロックの片面または両面に積層されていることを特徴とする請求項1記載の導電性接触子のホルダ構造。
- 前記本体ブロックは、導電性接触子を抜け止めする構造となっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性接触子のホルダ構造。
- 前記相対的なスライドを案内するガイド部材が、本体ブロック及び抜け止めブロックにかけて差し込まれていることを特徴とする請求項1乃至3記載のいずれかに記載の導電性接触子のホルダ構造。
- 前記導電性接触子は、導電性のコイルばねの両端に導電性の一対の針状体が連結された構造となっていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の導電性接触子のホルダ構造。
- 前記導電性接触子は、導電性のコイルばねと、このコイルばねの一端側に連結された導電性の針状体とを備えた構造となっていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の導電性接触子のホルダ構造。
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