JP4729315B2 - 安全タイヤ用中空粒子の分別方法 - Google Patents

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Description

この発明は、タイヤが外傷等を受けることによってパンク状態となってなお、必要とされる距離を安全に継続走行することができる安全タイヤに適用して使用に供した微細な中空粒子を再利用するための、安全タイヤ用中空粒子の分別方法に関するものであり、安全タイヤの、タイヤとリムとで区画されるタイヤ気室から、夾雑物とともに回収した中空粒子を、ゴム屑その他の夾雑物から、簡単かつ容易に分離し、集合させる技術を提案するものである。
タイヤの、リムへの装着姿勢の下で、タイヤとリムとで区画された空間内へ、樹脂による連続相と、大気圧より高圧に保持された独立気泡とからなる気泡含有粒子を多数個封入してなる安全タイヤは、たとえば、出願人の先の提案に係る特許文献1に記載されてい
る。
この安全タイヤでは、タイヤが受傷して内圧が低下し始めると、気泡含有粒子が受傷部を封止し、急激な内圧低下が抑制される一方で、タイヤ内圧の低下に伴いタイヤの撓み量が増加し、タイヤ内容積が減少することによって、気泡含有粒子そのものが直接的に荷重を負担することとなり、その後の走行に必要な最低限のタイヤ内圧を保持することとなるとし、この一方で、受傷前のタイヤ内圧下で存在していた気泡含有粒子の独立気泡中の気泡内圧力は、受傷後も上記のタイヤ内圧に準じた圧力を保ったまま、言い換えれば、受傷前の気泡含有粒子総体積を保持したままタイヤ内に存在することになるので、タイヤがさらに転動することによって、気泡含有粒子そのものが直接的に負荷を負担しつつ気泡含有粒子同士が摩擦を引き起こして自己発熱し、これにより、タイヤ内の気泡含有粒子温度が急上昇して、該温度が気泡含有粒子の連続相を形成する樹脂の軟化温度を超えると、気泡含有粒子の独立気泡中の気泡内圧力が受傷前のタイヤ内圧に準じた圧力であるのに加え、前記気泡含有粒子温度の急上昇によりさらに気泡内圧力が上昇するため、気泡含有粒子が一気に体積膨張し、タイヤ内圧は受傷前の状態に近い圧力まで復活することになるとする。
また、出願人の最近の提案に係る安全タイヤとしては、たとえば特願2004−329301号にあるように、タイヤをリムに装着し、タイヤとリムとで区画されたタイヤ気室内に、熱膨張が可能な、樹脂による連続相と独立気泡とからなる中空粒子を、5vol%以上80vol%以下の充填率で充填するとともに、大気圧下での30℃における湿度を70%以下に調整した気体を、加圧下でタイヤ気室内に充填したものがある。
この安全タイヤによってもまた、タイヤ受傷部の傷口を、中空粒子をもって塞ぐとともに、タイヤ気室内の中空粒子をタイヤの負荷転動に伴って熱膨張させて体積増加させ、これによって、そのタイヤ気室内圧を回復させることで、必要とされる距離の、継続した安全走行を担保することができる。
特開2003−118312号公報
ところで、この種の安全タイヤにおいては、リムに装着したタイヤが完全に摩耗してその寿命を全うした場合および、同一のリムに装着されるタイヤを、夏用タイヤと冬用タイヤとの間で変更する場合等の他、タイヤがパンクしてランフラット走行を行って、タイヤの修理ないしは交換場所に到達した場合などのように、タイヤのリムからの取り外しが必要となるときは、タイヤ気室内に加圧下で充填した、たとえば10〜500μm程度の微細な粒径の、気泡含有粒子をも含む中空粒子を、そのタイヤ気室から回収して、好ましくは、中空粒子の飛散に起因する作業環境汚損等なしに回収して再利用に供することが、省資源を図り、経済性を高める上で有利である。
すなわち、回収された中空粒子は、それが、ランフラット走行その他に起因して、既に体積増加していると否とにかかわらず、たとえばそれが独立気泡を具えるものである限りにおいて、中空粒子それ自体でのタイヤ気室内への再度の充填使用、または、樹脂分および内包ガス成分の少なくとも一方の再利用等に供することが可能であり、これによれば、資源を有効に活用することができる。
しかるに、タイヤ気室内から回収した中空粒子には、粉末状その他の形態のゴム屑、不測の破壊を生じた中空粒子の樹脂片等の夾雑物が含まれるので、中空粒子を所要に応じて適正に再利用するためには、それらの夾雑物を、中空粒子から十分に分離除去することが必要になる。
そこでこの発明は、タイヤ気室内から回収した、夾雑物を含む中空粒子を、その夾雑物から簡単かつ容易に分離して、独立気泡を具える中空粒子だけを取り出す安全タイヤ用中空粒子の分別方法を提供することを主たる目的とする。
そして、この発明の他の目的は、中空粒子の上述したような分離・集合に先だって、タイヤ気室内に加圧下で封入した微細な中空粒子を飛散等させることなくそこから回収することを可能とした安全タイヤ用中空粒子の分別方法を提供するにある。
この発明の、安全タイヤ用中空粒子の分別方法は、タイヤの、リムへの装着姿勢の下で、タイヤとリムとで区画されるタイヤ気室内へ、樹脂よりなる、一もしくは複数の小部屋を含む連続相と、それに囲まれた、一もしくは複数の独立気泡とからなる熱膨張可能な中空粒子の多数個を配置してなる安全タイヤにおいて、その中空粒子を、タイヤの故障前、もしくは後に、タイヤ気室から夾雑物とともに回収した後、中空粒子それ自体を夾雑物から分別させるに当って、回収した中空粒子を夾雑物とともに容器内の液体中に浸漬し、好ましくは、その液体を撹拌した後に一定時間静置して、比重の大きな夾雑物を沈殿分離させることにより、液体の表面に浮いた独立気泡を具える中空粒子を、たとえば、表面近傍の液体との混合物として分取し、次いで、該混合物をメッシュ等のふるいを通過させることによって、液体から分離させて捕集するにある。
液体表面に浮いた中空粒子の選択的な分取は、たとえば、静置後の容器内に同液体を追加し、容器上方から液体を溢れさせ、それを回収することによって行うことができる他、容器の底部に設置したバルブ等によって排出口を開放することにより、沈殿した夾雑物と周囲の液体を容器外へ排出させる一方で、中空粒子を容器内に、液体の一部とともに残留させることによっても行うことができ、さらには、吸引ポンプ等を利用して、液体表面の中空粒子を、周囲の液体と共に吸引することによっても行うことができる。
そして、このようにして分取される中空粒子の、液体からの分離は、たとえば、それらの混合物を、メッシュ等のふるいに通過させることによって行うことができる。
ここで、メッシュの目開きは、中空粒子の平均粒径値に対し、10%から50%の範囲とすることが好ましい。すなわち、10%未満ではメッシュ自体の、液体に対する通過抵抗が大きくなり、また50%を超えると、中空粒子が目詰まりを起こしやすくなることに起因して、液体の通過抵抗が大きくなるため、分離作業にかかる時間が長くなって好ましくない。
ところで、この場合に用いることができるふるいは、一般的に使用されているもので十分であり、材質、形状等はなんら限定されない。たとえば、金属線、パンチメタル、布、不織布などの、粒子を分離できる機能があってフィルターの役割を果たし、液体によって機能の損失がないものであれば、十分に活用することができる。
また、中空粒子と液体との混合物をふるいによって中空粒子と液体とに分離するに際しては、回転力を与えることによって、液体を遠心分離することが効率的であって好ましい。
ところで、中空粒子等を浸漬する液体としては、水、メタノール、エタノール、n−ヘキサンまたはイソプロピルアルコールを用いることが好ましい。
そして、捕集した中空粒子は、水または有機溶剤等によって洗浄した後、または、洗浄することなく乾燥させることにより、そのまま所要とする用途に再利用することができる。
なお、中空粒子を、このように分離捕集等するに先だつ、夾雑物を含む中空粒子の、タイヤ気室からの回収は、タイヤ気室の内圧を、好ましくは中空粒子等を伴うことなく排出した後、その気室内に残留する中空粒子を、リムのバルブ取付口から挿入したノズルによって負圧吸引することにより行うことができる他、タイヤ気室の内圧を排出した後に、そのタイヤ気室内へ凝集剤を注入し、そして好ましくはその凝集剤を振動、撹拌等して、凝集剤により凝集された、夾雑物を含む中空粒子を、適宜の手段をもってタイヤ気室外へ取り出すことによって行うことができる。
ここで、凝集剤を用いる後者の場合には、夾雑物を含む中空粒子をタイヤ気室外へ取り出した後、それを液体中に浸漬するに先だって、凝集剤だけを遠心分離その他によって中空粒子等から分離することが好ましい。
この発明に係る方法では、夾雑物を含む中空粒子を、比重その他の物性を、中空粒子との関連の下に選択した液体中に浸漬して、ゴム屑、破壊粒子片等の夾雑物を液中に沈降させる一方で、独立気泡が健全な中空粒子だけを液体表面に浮揚させ、そして、浮揚したそれらの中空粒子を直接的もしくは間接的に捕集することにより、中空粒子を、夾雑物から簡単かつ容易に、しかも確実に分別させることができ、また、再利用可能な中空粒子を容易に寄せ集めることができる。
ここで、中空粒子等を浸漬した液体を撹拌して、それらと液体との接触を積極化させたときは、表面張力等の影響を取り除いて、上記の分離を、より迅速に、かつより確実に行わせることができる。
この場合、攪拌効果をより高めるためには、少量の界面活性剤等を添加することが好ましい。
ところで、液体表面に浮揚した中空粒子の捕集は、先に述べたような、中空粒子と液体との混合物から、ふるい等の作用の下で、液体だけを分離して除去することによって行うことで、これもまた、特別の設備等を用いることなく、簡易にかつ、効率良く行うことができる。
そして、使用する液体は、上述したような浮沈機能をもたらし得るものであれば、種類は限定されないが、発揮性のない、または少ない、水、メタノール、エタノールまたはイソプロピルアルコールを用いる場合には、環境に対する負荷を小さくできる利点があり、一方、例えばn−ヘキサン等のさらに比重の小さい液体を用いる場合には、夾雑物との比重差をより大きくできるために、夾雑物を迅速にしてより確実に沈降させることができる利点がある。
なお、以上のようにして捕集した中空粒子は、それが再利用の妨げとなる、たとえば、アンチブロッキング剤、界面活性剤、油脂分その他のコーティング被膜を有する場合には、それらを洗浄除去した後に、また、コーティング被膜が邪魔にならない場合および、コーティング被膜を有しない場合には洗浄することなく乾燥させることで、それを目的に応じた再利用に供することができる。
健全な中空粒子を以上のようにして分離し、捕集するに先だって、それを、タイヤ気室内から夾雑物とともに回収するに際して、タイヤ気室内圧の排出後に、ノズルをもってそれらを負圧吸引する場合には、微細な粒径の中空粒子等を、飛散させることなく簡易に、かつ効率よく回収することができる。
従って、その後に、タイヤの、リムからの取り外しを行っても、中空粒子の意図しない飛散等を有効に抑制することができる。
そしてこれらのことは、タイヤ気室内圧の排出後に、そこへ凝集剤を注入して、好ましくは、これに加えてタイヤに振動や反転、回転を与えることによって、タイヤ気室内の中空粒子と凝集剤とを撹拌等して、中空粒子および夾雑物を、凝集剤中に、迅速にかつ効率よく分散、混合等させて一の集合体に凝集させ、そして、その凝集中空粒子等を、適宜の手段により、所要のタイミングで、液状物、粘稠物等としてタイヤ気室外へ取り出す場合にもまた同様であり、これによっても、リムからのタイヤの取り外しに際する、中空粒子の飛散等のおそれを十分に抑制することができる。
ところで、この後者の場合には、凝集剤と、中空粒子を浮揚させる液体とを同種のものとすることが好適であるが、とくに、それらを異種のものとする必要があるときは、液状物、粘稠物等の態様を示す凝集中空粒子等を液体中に浸漬する前に、凝集剤を、負圧吸引、遠心分離等によって中空粒子等から分離させることが、健全な中空粒子の、液体中での浮揚分離を、凝集剤の影響なしに行わせ、また凝集剤による液体の汚損を少なくまたは防止する上で好ましい。
図1は、この発明に係る、中空粒子の分別方法の対象とすることができる安全タイヤを例示する幅方向断面図である。
図示の安全タイヤは、タイヤ1をリム2に装着し、該タイヤ1とリム2とで区画されたタイヤ気室3内に、樹脂よりなる連続相と、独立気泡とからなる熱膨張可能な中空粒子4の多数を、加圧下で充填配置してなる。
なおここで、タイヤ1は、規格に従う各種自動車用タイヤ、たとえば、トラックやバス用タイヤ、乗用車用タイヤ等であれば、特に構造を特定されるものではない。すなわち、この発明は、タイヤとリムとの組立体になるすべての安全タイヤに適用できる技術であり、図示のタイヤは、1対のビードコア5間でトロイド状に延びるカーカス6のクラウン部に、その半径方向外側へ順にベルト7およびトレッド8を配設してなる一般的な自動車用タイヤである。
この図において、符号9は、リム2に取り付けられて、タイヤ気室3に対する加圧気体の給排を司る給排気バルブを、10は、タイヤ1のインナーライナ層をそれぞれ示し、11はサイド部を、そして12は、中空粒子4の周囲に存在する空隙をそれぞれ示す。
上記中空粒子4は、略球形状の樹脂による連続相で囲まれた独立気泡を有する、たとえば粒径が10μm〜500μm程度の範囲での粒径分布を持つ中空体、あるいは、独立気泡による小部屋の多数を含む海線状構造体よりなる。すなわち、該中空粒子4は、外部と連通せずに密閉された独立気泡を内包する粒子であり、該独立気泡の数は単数であってもよいし、複数であってもよい。この明細書では、この『中空粒子群の独立気泡内部』を総称して『中空部』と表現する。
また、この粒子が独立気泡を有することは、該粒子が独立気泡を密閉状態で内包するための『樹脂製の殻』を有することを指し、さらに、樹脂による連続相とは、この『樹脂製の殻を構成する成分組成上の連続相』を指す。なお、この樹脂製の殻の組成は後述する。
中空粒子4の多数個である中空粒子群は、高圧気体とともにタイヤ気室3の内側に充填配置することによって、通常の使用条件下ではタイヤの『使用内圧』を部分的に担うと共に、タイヤ1の受傷時には、タイヤ気室3内の失った圧力を復活させる機能を発現する源となる。この『内圧復活機能』については後述する。
ここで、『使用内圧』とは、『自動車メーカーが各車両毎に指定した、装着位置ごとのタイヤ気室圧力値(ゲージ圧力値)』を指す。
ところで、中空粒子4はその原料である『膨張性樹脂粒子』、すなわちガス成分を液体状態の発泡剤として樹脂に封じ込めた粒子を加熱膨張させることにより得られ、この膨張性樹脂粒子には膨張開始温度Tslが存在する。
このような加熱膨張によって得られた中空粒子4を、室温から再度加熱すると、その中空粒子4は更なる膨張を開始し、ここに中空粒子の膨張開始温度Ts2が存在する。発明者らは、これまで多くの膨張性樹脂粒子から中空粒子を製造し検討を重ねてきた結果、Tslを膨張特性の指標としてきたが、中空粒子の膨張特性の指標としてはTs2が適切であることを見出すに到った。
すなわち、膨張性樹脂粒子を加熱膨張させる場合における膨張挙動を観察したところ、膨張性樹脂粒子は膨張する前の段階にあるため、中空粒子の状態に比して粒径が極端に小さく、樹脂製の殻部の厚さが極端に厚いため、マイクロカプセルとしての剛性が高い状態にある。したがって、加熱膨張の過程で樹脂製の殻部の連続相がガラス転移点を越えても、更なる加熱により殻部がある程度柔らかくなるまでは、内部ガスの拡張力が殻部の剛性にうち勝つことができない。よって、Tslは実際の殻部のガラス転移点よりも高い値を示すことになる。
この一方で、中空粒子4を過熱膨張させる場合には、中空粒子の殻部の厚さが薄く、中空体としての剛性が低い状態にある。したがって、中空粒子4の加熱膨張の過程では、殻部の連続相がガラス転移点を越えると同時に膨張を開始するため、Ts2はTslより低い位置づけとなる。
そこで、図示の安全タイヤでは、膨張性樹脂粒子を一旦膨張させてなる中空粒子4の更なる膨張特性を活用する。
この場合、中空粒子4のTs2は、90℃以上200℃以下であることが好ましい。
すなわち、中空粒子4のTs2が90℃未満では、常用走行時のタイヤ気室内の温度環境下にて膨張するおそれがあるからであり、一方200℃を超えると、パンク受傷後のランフラット走行において、中空粒子4の摩擦発熱に起因する急激な温度上昇が起こっても、Ts2に達することが出来ない場合があり、よって目的とする『内圧復活機能』を十分に発現させることが出来なくなる場合がある。
ここで、中空粒子4の中空部(独立気泡)を構成する気体としては、窒素、空気、炭素数が2から8の直鎖状及び分岐状の脂肪族炭化水素およびそのフルオロ化物、炭素数が2から8の脂環式炭化水素およびそのフルオロ化物、そして次の一般式(I):
−O−R・・・・ (I)
(式中のRおよびRは、それぞれ独立に炭素数が1から5の一価の炭化水素基であり、該炭化水素基の水素原子の一部をフッ素原子に置き換えても良い)にて表されるエーテル化合物、からなる群の中から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
ところで、タイヤ気室3内に充填する気体は空気でも良いが、上記粒子中の気体がフルオロ化物でない場合には、安全性の面から酸素を含まない気体、たとえば窒素や不活性ガス等が好ましい。
なお、独立気泡を有する中空粒子を得る方法は特に限定されないが、発泡剤を用いて『膨張性樹脂粒子』を作製し、これを加熱膨張させる方法が一般的である。
この発泡剤としては、高圧圧縮ガス及び液化ガスなどの蒸気圧を活用する手法、熱分解によって気体を発生する熱分解性発泡剤を活用する手法などを挙げることができる。
後者の熱分解性発泡剤には窒素を発生させる特徴のあるものが多く、これらによる発泡によって得られる膨張性樹脂粒子の反応を適宜制御することによって得た粒子は気泡内に主に窒素を有するものとなる。この熱分解性発泡剤としては特に限定されないが、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾジカルボンアミド、パラトルエンスルフォニルヒドラジンおよびその誘導体、そしてオキシビスベンゼンスルフォニルヒドラジンを好適に挙げることができる。
次に、前者の高圧圧縮ガス及び液化ガスなどの蒸気圧を活用して中空粒子となる『膨張性樹脂粒子』を得る手法を説明する。
中空粒子を形成する前記樹脂による連続相を重合する際、炭素数が2から8の直鎖状及び分岐状の脂肪族炭化水素およびそのフルオロ化物、炭素数が2から8の脂環式炭化水素およびそのフルオロ化物、そして次の一般式(II):
−O−R・・・・ (II)
(式中のRおよびRは、それぞれ独立に炭素数が1から5の一価の炭化水素基であり、該炭化水素基の水素原子の一部をフッ素原子に置き換えても良い)にて表されるエーテル化合物からなる群の中から選ばれた少なくとも1種を発泡剤として高圧下で液化させ、反応溶媒中に分散させつつ、乳化重合させる手法である。これにより上記に示されるガス成分を液体状態の発泡剤として前述の樹脂連続相にて封じ込めた『膨張性樹脂粒子』を得ることができ、これを加熱膨張させる事によって、所望の中空粒子4を得る事が出来る。
また、前記『膨張性樹脂粒子』の表面に、シリカ粒子等のアンチブロッキング剤、カーボンブラック微粉、帯電防止剤、界面活性剤等をコーティングした上で加熱膨張させることによって、目的の中空粒子4を得ることもできる。
ここで、タイヤの受傷により、タイヤ気室圧力が低下した状態において、該中空粒子によって必要最低限の内圧を付与するためには、中空粒子の中空部内に所定圧力で封入された気体が、粒子外部へ漏れ出ないこと、換言すると、中空粒子の殻の部分に相当する、樹脂による連続相が気体を透過し難い性質を有することが重要である。
すなわち、連続相を構成する樹脂は、ガスバリア性の高い材質によること、具体的には、アクリロニトリル系共重合体、アクリル系共重合体、塩化ビニリデン系共重合体のいずれか少なくとも1種からなることが好ましい。これらの材料は、タイヤ変形による入力に対して中空粒子としての柔軟性を有するため、安全タイヤに適用して特に有効である。
とりわけ、中空粒子の連続相には、アクリロニトリル系重合体、アクリル系重合体および塩化ビニリデン系重合体のいずれかを適用することが好ましい。さらに詳しくは、重合体を構成するモノマーが、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、メチルメタクリレート、メタクリル酸、塩化ビニリデンから選択される重合体であり、好ましくは、アクリロニトリル/メタアクリロニトリル/メチルメタクリレート3元共重合体、アクリロニトリル/メタアクリロニトリル/メタクリル酸3元共重合体から選ばれた少なくとも1種がそれぞれ有利に適合する。これらの材料は、いずれもガス透過係数が小さくて気体が透過し難いために、中空粒子の中空部内の気体が外部に漏れ難く、中空部内の圧力を適切に保持することができる。
さらに、中空粒子の連続相は、30℃におけるガス透過係数が300×10−12(cc・cm/cm・s・cmHg)以下、好ましくは30℃におけるガス透過係数が20×10−12(cc・cm/cm・s・cmHg)以下、さらに好ましくは30℃におけるガス透過係数が2×10−12(cc・cm/cm・s・cmHg)以下であることが推奨される。
これは、通常の空気入りタイヤにおけるインナーライナー層のガス透過係数は300×10−12(cc・cm/cm・s・cmHg)以下のレベルにあって十分な内圧保持機能を有している実績を鑑みて、粒子の連続相についても、30℃におけるガス透過係数を300×10−12(cc・cm/cm・s・cmHg)以下としたものである。
ただし、このガス透過係数のレベルでは、3〜6カ月に1度程度の内圧補充が必要であるから、そのメンテナンス性の点からも、20×10−12(cc・cm/cm・s・cmHg)以下、さらに好ましくは2×10−12(cc・cm/cm・s・cmHg)以下とすることが推奨される。
ところで、以上のようにして構成される中空粒子4は、多くは、0.005〜0.06g/cm、好ましくは0.01 〜0.05 g/cmの範囲の平均真比重を有することになる。
ここで、かかる中空粒子4の、タイヤ気室3内への充填下での、タイヤ気室内圧による圧潰変形を防止し、それを略球形状に維持するためには、中空粒子4に、以下のようにして熟成を施すことが好ましい。
すなわち、中空粒子4の中空部内の圧力を、所望のタイヤ気室3内の圧力に対してたとえば70%以上とした中空粒子4を、タイヤ気室3内に所定の充填量で配置するには、たとえば、タイヤの使用内圧以上の高圧気体中に中空粒子4の多数を収容した耐圧容器から、タイヤ気室3へ中空粒子並びに高圧気体を充填することが好ましく、これがために、中空粒子4を、耐圧容器の内部に高圧気体とともに収容したときは、その当初は、中空粒子4の中空部内の圧力(独立気泡内の圧力)が大気圧とほぼ等しく、容器内の圧力より小さいために、粒子は体積減少する。この時点での中空粒子4の形状は略球形状ではなく、球形状から扁平化して歪んだ形状となっている。
粒子形状が扁平化して歪んだ状態のままこの中空粒子4をタイヤ内に充填すると、タイヤが受傷することによって形成されて、中空粒子4が入り込むことで閉塞される傷口の大きさが、小さいものだけに限定されることになり、また、中空粒子4がタイヤ外部に噴出することはないにしても、中空粒子4が扁平化して歪んだ形状であるためにミクロな通路が多く発生し、よってタイヤ気室内の気体が漏洩することがある。
加えて、その後の走行により中空粒子4は、球形状の場合と比べて粒子同士の衝突やタイヤおよびリム内面との衝突により、破壊しやすくなる。すなわち、中空粒子が扁平化して歪んだ形状では、衝突による入力を均一に分散させることができず、耐久性の面で大きな不利をもたらすことになる。
この一方で、扁平化して歪んだ中空粒子4は、その中空部内の圧力と容器内の圧力との差により体積減少した状態にあるも、一定期間にわたって耐圧容器等の内圧に晒すことによって、中空粒子の中空部内の圧力、言い換えれば該粒子内の独立気泡内の圧力を、耐圧容器等の内圧程度にまで高めることができる。すなわち上記の一定期間にわたり高圧力の環境下に静置することを、本発明では『熟成』と定義している。
すなわち、扁平化した中空粒子の殻の部分には元の略球形状に戻ろうとする力が働いて、扁平化した中空粒子の中空部内の圧力は、耐圧容器内圧よりも低くなる傾向にあることから、その圧力差を解消するために、耐圧容器内の気体の分子が樹脂による連続相の殻を通過して粒子の中空部内に浸透することになる。
また、中空粒子の中空部は独立気泡であり、その中の気体は発泡剤に起因するガスで満たされているため、耐圧容器内(粒子周囲の空隙部)の気体とは異なる場合があり、この場合は、上述したような単なる圧力差だけではなく気体の分圧差に従いながら、その分圧差を解消するまで耐圧容器内の高圧気体が粒子中空部内へ浸透していく。
このように、耐圧容器内の高圧気体は、時間と共に中空粒子の中空部内へ浸透していくため、この中空部内に浸透した分だけ、耐圧容器内の圧力は低下することとなる。よって、中空粒子の中空部内に浸透した分を補うために、耐圧容器内へ高圧気体を充填した上で所望の圧力をかけ続けることにより、中空粒子の中空部内圧を、所望の使用内圧に調整することができる。
この場合、中空粒子の中空部内の圧力は、耐圧容器内(粒子周囲の空隙部)の圧力に、次第に近づくことになり、これにより、中空粒子は、一旦減少した粒子体積を回復して、扁平化されて歪んだ粒子形状から元の略球形状へと回復することになる。この形状回復過程で、中空粒子の中空部内圧が耐圧容器の内圧に対して70%以上にまで増加することにより、粒子形状は略球形へ十分に回復することが出来、これによって上述した中空粒子の耐久性を保証することが出来る。
かくして、中空粒子4を、タイヤとは別の耐圧容器内に配置し、粒子周囲の空隙圧力を少なくとも所望のタイヤ気室3内の使用圧力以上まで高めた状態に保持し、この圧力をかけ続けたまま該耐圧容器内にて適切な時間保管したうえで、中空部内の圧力が増加した状態の中空粒子4をその周囲の雰囲気と共にタイヤ気室内に供給することにより、その中空粒子4は、粒子体積を回復して、粒子形状を略球形に回復しているため、中空粒子充填後のタイヤの、転動時の繰り返しの変形に伴って粒子に加わる疲労や破壊も大幅に低減させることができ、中空粒子4の耐久性が損なわれることはない。
なお、中空粒子4の、耐圧容器内への適切な保持時間は、中空粒子の殻の部分、すなわち粒子の連続相に対する空隙気体の透過性と、粒子中空部内の気体と空隙気体との分圧差とを考慮して設定すればよい。
以上の機構と粒子の形状、体積の変化過程に則り、耐圧容器内(粒子周囲の空隙部)に充填する気体の種類と圧力とを適宜に選択、そして調節することにより、中空粒子4の中空部内の圧力を所望の範囲に設定することができる。
かように耐圧容器内で熟成された中空粒子4は、タイヤ気室3内へ供給された段階で、その中空部内の圧力(独立気泡中の気泡内圧力)が、タイヤ気室3内の使用内圧に準じた高い圧力を保ったまま、言い換えれば、_粒子体積と中空部圧力を保持したままタイヤ気室3内に存在する結果、安全タイヤに所要の内圧復活機能を十分に発揮することができる。
すなわち、上述した中空粒子群をタイヤ気室内に配置したタイヤ1とリム2との組立体である安全タイヤでは、タイヤ1が受傷すると、中空粒子4の相互間の空隙に存在するタイヤ気室3内の高圧気体がタイヤの外側に漏出し、これに伴って、高圧気体の流出に共連れされた中空粒子4の多数が受傷部を閉塞し、急激な気重圧力の低下を抑制する。
つまり、受傷部の傷口はタイヤ気室内の気体が漏れ出る流路となるが、中空粒子4は、その流路内に『圧密』状態で入り込んで多数の中空粒子今によって流路を詰まらせることができる。
そしてさらに、後述する内圧復活機構によりタイヤ気重3内の圧力が大気圧から増圧されると、タイヤ骨格に張力が与えられることにより、傷口の内径は絞り込まれるように減少していくので、傷口内に圧密状態で入り込んだ中空粒子群には、タイヤ気室3内の増圧により、タイヤ側から絞り込まれるような圧縮力が働く。この場合、中空粒子4は、中空部圧力が高いため、その圧縮力に対し、中空部圧力に基く反力を発生して、圧密の度合いを高めることができ、より大きな内径の傷口においても、タイヤ気室3内の気体がほとんど漏れ出さない程度まで傷口を閉塞することができる。
したがって、パンク、の原因となった傷口は、中空粒子4によって、瞬時にかつ確実に塞がれることになる。
この一方で、タイヤ気室圧力の低下に伴ってタイヤの擁み量が増加して、タイヤ気室容積が減少すると、その気室内に配置した中空粒子は、タイヤ1の内面とリム2の内面との間に挟まれながら、圧縮およびせん断入力を受けることとなり、これによれば、中空粒子同士が摩擦して、自己発熱するために、タイヤ気室3内の中空粒子4の温度が急上昇し、その温度が、中空粒子4の殻部である樹脂連続相の熱膨張開始温度Ts2(該樹脂のガラス転移温度に相当する)を超えると、該粒子の殻は軟化し始める。
このとき、中空粒子4の中空部内の圧力が、タイヤの使用内圧に準じた高い圧力にあることに加え、中空粒子温度の急上昇により中空部内圧力がさらに上昇しているために、中空粒子4が一気に体積膨張して粒子周囲の空隙気体を圧縮する事になり、タイヤ気室の圧力を、少なくともタイヤのサイド部が接地しなくなるタイヤ気室圧力まで回復させることができ、この結果として、安全タイヤ、ひいては、それを装着した車両は、必要とされる距離を安全に継続走行することが可能となる。
以上のような安全タイヤにおいて、それのタイヤ気室3内に加圧下で充填配置した微細粒径の中空粒子4を、タイヤ1の、リムからの取り外しの必要のために、そこから回収し、そして再利用に供するに当っては、まずはその回収を、中空粒子4の飛散に起因する環境汚損、中空粒子の損失等などに行うことが好ましい。
そこでここでは、タイヤ気室3からの中空粒子4の回収を、たとえば以下のようにして行う。
はじめに、タイヤ気室3の内圧を、給排気バルブ9を経て排出して、そのタイヤ気室3内を大気圧とする。この場合、内圧の排出に伴う、微細中空粒子4の外部への流出、噴出、飛散等を防止するためには、たとえば、リム2のバルブ取付口に装着した給排気バルブ9を、図2に軸線方向の拡大断面図で例示するように、不織布その他とすることができるフィルタ13を具える構造を有するものとして、これにより、タイヤ気室3内の気体圧力をバルブ9を経て排出してタイヤ気室3の内圧を大気圧とするに際しての、中空粒子4の、排気に共連れされる流出ないしは噴出をそのフィルタ13によって十分に阻止する。
このようにしてタイヤ気室3内を大気圧とした後は、給排気バルブ9を、リム2のバルブ取付口14から取り外し、そして、その取付口14を経て、中空粒子4の吸引・回収手段の先端に設けた吸引ノズルを、図3に略線断面図で例示するように、タイヤ気室3内へ、中空粒子4内に進入する深さまで差し込む。この場合、吸引ノズル15の外径は、図3(b)に示すように、バルブ取付口14の内径より小さく設定し、これにより、ノズル15による中空粒子4および夾雑物の、乾式負圧吸引に際し、それらの間の隙間16を経て、タイヤ気室3内への、中空粒子4の体積の減少分に応じた量の外気の、円滑なる流入を担保する。
ここで、吸引ノズル15に接続する、中空粒子4の吸引・回収手段としては、負圧発生部および、負圧系路内におかれるトラップ部を具える各種の手段を用い得ることはもちろんであるが、たとえば自動車のバッテリその他を電源として作動する、図4に例示するような掃除機17をその吸引・回収手段として用い、それのフィルタ18を中空粒子4のトラップ部として機能させる場合には、特別の装置を準備することなしに、中空粒子4の吸引および捕集を簡単かつ容易に行うことができる。
従って、掃除機17の作用下で、タイヤ気室3内の、ゴム屑その他の夾雑物および中空粒子4の全部もしくはほとんどを、吸引ノズル15を介して吸引・回収することにより、中空粒子等の回収作業時のそれらの飛散のおそれを有効に取り除くことができ、併せて、タイヤ1のリム解き作業に際する、中空粒子等の飛散もまた有効に抑制することができる。
これに対し、タイヤ気室内の中空粒子の、湿式での回収は、たとえば以下のようにして行うことができる。
タイヤ気室3内の気体圧力を、先に述べたと同様に、バルブ9を経て排出して、中空粒子等の、排気に共連れされる流出ないしは噴出をそのフィルタ13によって十分に阻止しつつ、タイヤ気室3内を大気圧とした後は、バルブ取付口14から給排気バルブ9を取り外し、そして、その取付口14を経て、界面活性剤を添加した水その他とすることができる凝集剤を、タイヤ気室3内へ、たとえば、中空粒子4の、隣接空隙12をも含む占有体積の0.5vol%〜30vol%に相当する量だけ注入し、好ましくは、その注入凝集剤を、超音波振動、タイヤ気室の機械的振動その他に基いて振動もしくは、撹拌等させて、夾雑物を含む中空粒子4を凝集剤中に迅速に、かつ効率よく分散、混合等させて、粘度の高い、または低い一の凝集集合体とする。
なお、中空粒子4をこのように凝集させるに当っては、凝集剤の注入に先だって、タイヤ1、ひいては、安全タイヤを、たとえば縦姿勢で挟持等して、タイヤ気室3内の中空粒子等をそれの下部に溜めることが、より多くの中空粒子等を効率良く凝集させる上で好ましい。
タイヤ気室3内で、上述したようにして凝集させた中空粒子等の、そこからの回収は、たとえば、中空粒子等の凝集体の粘度が小さいものであるときは、凝集剤のドレン通路を設けた負圧発生源と、負圧系路内に配置されて、前記凝集体中から中空粒子等の粉粒体だけを捕集するトラップ部とを具える吸引手段の、吸引ホースの先端に接続した、図3に示すような吸引ノズルを、タイヤ気室3内へ、凝集体内に進入する深さまで差し込み、かかる状態で吸引手段を作動させることにより行うことができる。
この場合、吸引ノズルによって吸引された凝集体は、たとえばフィルタとすることができるトラップ部で中空粒子および夾雑物を捕集され、残りの凝集剤は、負圧発生源のドレン通路を経て、ドレンタンク等へ排出されることになる。
従ってここでもまた、中空粒子等の回収に伴うそれらの飛散その他のおそれを十分に取り除くことができる。
この一方で、タイヤ気室3内の中空粒子等の凝集体の回収は、タイヤ1をリム2から取り外すに際してそれらの間に発生する隙間を経て、または、それらの両者を完全に分離させた後に、図示しない取出し容器内へ、タイヤ1の傾動変位下で流下させることによっても行うことができ、この場合には、凝集体の粘度の大小に係わらず、それのほぼ全部を効率よく回収することができる。
このようにして中空粒子4を夾雑物とともに凝集剤によって一の集合体に凝集させた場合には、その凝集体の回収のタイミングの如何にかかわらず、タイヤ1のリム2からの取り外しに際する中空粒子等の飛散その他をも効果的に抑制することができる。
ところで、凝集剤を用いた中空粒子等のこのような湿式回収を行った場合には、中空粒子の、後述するような分別を行うに先だって、その凝集剤を、たとえば、遠心分離、負圧吸引その他によって、中空粒子等から予め分離することが好ましい。
タイヤの故障前もしくは故障後の時点で、安全タイヤのタイヤ気室内から上述したようにして回収した、または、その回収に加えて、たとえば凝集剤を分離した、夾雑物を含む中空粒子は、たとえば、水、メタノール、エタノール等とすることができる液体中に浸漬し、好ましくは、その液体を撹拌する。
これによれば、独立気泡を具える健全なる中空粒子4は、それが体積膨張の前であると否とにかかわらず、中空粒子4の真比重と液体の比重との、予め選択した比重差に基いて、図5に略線断面図で例示するように、槽21内のその液体22の表面上に浮揚し、この一方で、ゴム屑、中空粒子の破壊片等の夾雑物23は液体中に沈降して、最終的には槽22の底壁24上に堆積することになる。
そこでここでは、液体上に浮揚した中空粒子4だけを、たとえばそれらを吸引する吸引手段または、図5(b)に例示するように、それらを掬う掬い取り手段25等によって捕集することで、中空粒子4を夾雑物24から簡単かつ容易に、しかも効率良く分別する。
このように捕集した中空粒子4は、所要に応じて、有機溶剤その他をもって洗浄した後、または洗浄することなく乾燥を施して液体分を除去した後に、目的に応じた再利用に供することができる。
なお、ここでの中空粒子4の乾燥は、それの意図しない体積膨張を回避する上で、Ts2以下の温度にて行うことが好ましく、また、乾燥後の中空粒子4を、タイヤ気室3内への再度の充填のために利用する場合には、乾燥後の粒子中から、既に体積膨張を生じているものを排除することが好ましい。
この一方で、中空粒子の樹脂分および内包ガス成分の少なくとも一方を利用する場合には、捕集された中空粒子4の全てを、体積膨張の有無を問わずに利用に供することができる。
かくして、この発明によれば、タイヤ気室内から回収した、夾雑物を含む中空粒子を、その夾雑物から、簡単かつ容易に分離して、健全な中空粒子だけを効率よく取り出すことができる。
この発明の対象とすることができる安全タイヤを例示する幅方向断面図である。 給排気バルブを例示する拡大断面図である。 タイヤ気室内への吸引ノズルの差し込み態様を例示する略線断面図である。 中空粒子の吸引・回収手段としての掃除機を例示する部分断面図である。 中空粒子の分離、捕集態様を例示する略線縦断面図である。
符号の説明
1 タイヤ
2 リム
3 タイヤ気室
4 中空粒子
5 ビードコア
6 カーカス
7 ベルト
8 トレッド
9 給排気バルブ
10 インナーライナ層
11 サイド部
12 空隙
13 フィルタ
14 バルブ取付口
15 吸引ノズル
16 隙間
17 掃除機
18 フィルタ
21 槽
22 液体
23 夾雑物
24 底壁
25 掬い取り手段

Claims (13)

  1. タイヤとリムとで区画されるタイヤ気室内へ配置した、樹脂からなる連続相と、それに囲まれた独立気泡とからなる、安全タイヤ用の中空粒子の多数個を、そのタイヤ気室から夾雑物とともに回収した後、中空粒子それ自体を夾雑物から分別させるに当って、
    回収した中空粒子を夾雑物とともに容器内の液体中に浸漬し、その液体の表面に浮いた中空粒子だけを捕集する安全タイヤ用中空粒子の分別方法。
  2. 中空粒子の、液体中への浸漬に続いて、その液体を撹拌し静置する請求項1に記載の安全タイヤ用中空粒子の分別方法。
  3. 液体の表面に浮いた中空粒子を、容器内へ液体を供給しながら液体と共に容器上部から容器外へ流下させた後、その液体から分離させて捕集する請求項1もしくは2に記載の安全タイヤ用中空粒子の分別方法。
  4. 容器底部の排出口を開放して、容器内で沈殿した夾雑物を液体と共に排出した後、容器内に残留させた中空粒子を液体から分離させて捕集する請求項1もしくは2に記載の安全タイヤ用中空粒子分別方法。
  5. 液体の表面に浮いた中空粒子を、吸引装置によって容器の上部から液体とともに吸引した後、その液体から分離させて捕集する請求項1もしくは2に記載の安全タイヤ用中空粒子の分別方法。
  6. 中空粒子の平均粒径値の10%以上50%以下の寸法の目開きを持ったメッシュに対して液体と中空粒子の混合物を通過させて、中空粒子を液体から分離する請求項3〜5のいずれかに記載の安全タイヤ用中空粒子の分別方法。
  7. 該メッシュを、金属線、パンチメタル、布、不織布から選ばれた少なくとも1種とする請求項6に記載の安全タイヤ用中空粒子の分別方法。
  8. 遠心力によって中空粒子を液体から分離する請求項6もしくは7に記載の安全タイヤ用中空粒子の分別方法。
  9. 液体を、水、メタノール、エタノール、n−ヘキサンまたはイソプロピルアルコールとする請求項1〜8のいずれかに記載の安全タイヤ用中空粒子の分別方法。
  10. 捕集した中空粒子を、洗浄した後、または洗浄することなく乾燥させる請求項1〜9のいずれかに記載の安全タイヤ用中空粒子の分別方法。
  11. タイヤ気室からの、夾雑物を含む中空粒子の回収を、タイヤ気室の内圧を排出した後、リムのバルブ取付口から挿入したノズルによる負圧吸引によって行う請求項1〜10のいずれかに記載の安全タイヤ用中空粒子の分別方法。
  12. タイヤ気室からの、夾雑物を含む中空粒子の回収を、タイヤ気室の内圧を排出した後、そのタイヤ気室内へ凝集剤を注入し、次いで、凝集剤によって凝集された、夾雑物を含む中空粒子をタイヤ気室外へ取り出すことにより行う請求項1〜11のいずれかに記載の安全タイヤ用中空粒子の分別方法。
  13. 夾雑物を含む中空粒子をタイヤ気室外へ取り出した後、液体中に浸漬するに先だって凝集剤を分離する請求項12に記載の安全タイヤ用中空粒子の分別方法。
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