JP4728944B2 - 電源ノイズ解析モデル生成プログラム及び電源ノイズ解析モデル作成装置 - Google Patents

電源ノイズ解析モデル生成プログラム及び電源ノイズ解析モデル作成装置 Download PDF

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Description

本発明は、回路基板の電源ノイズを解析するための解析モデル生成プログラム及び電源ノイズ解析モデル作成装置に関する。
回路基板に搭載する素子の高密度化により電源部の電流密度が著しく増加する傾向となっている。また、回路の動作周波数が高くなり、電源電流に含まれる周波数成分も高くなってきている。このような状況から従来問題とならなかった電源ノイズに起因する障害が増加している。
そのための回路基板の電源ノイズ解析モデルを作成し、その電源ノイズ解析モデルを用いて回路シミュレータにより電源ノイズを評価することが行われている。
従来、回路基板の異なる電源層に存在する電源島が重なった部分を電源ペアとして抽出し、電源ペア単位にノードを配置し、ノード間のインピーダンスを計算して電源ノイズ解析モデルを作成していた。
図16は、従来の電源ノイズ解析モデルを示す図である。異なる電源層に存在する電源島の重なった部分が電源ペアとして抽出される。図16(A)は、第1層からは電源ペア1と電源ペア2が抽出された場合を示している。電源ペア1には、図16(A)に白丸で示す4個のノードが配置され、電源ペア2にも白丸で示す4個のノードが配置されている。
図16(B)は、ノードを囲むメッシュ領域を示す図であり、ノードを中心とする所定の領域がメッシュ領域として設定される。
上記のように抽出した電源ペアを個々にモデル化すると、同じ電源島に存在するする電源ペアが別のモデルとして生成されるので、図16(A)に示すように電源ペア1と電源ペア2の境界線に境界線ノードを設定してそれらの電源ペアを1つのモデルに結合していた。
しかしながら、複雑な形状の電源島では分割される電源ペア数も多くなるので、境界線ノードの数も多くなり、それにより全体のノード数に占める境界線ノード数の割合が高くなる。境界線ノードの数が増えると電源ノイズ解析モデルのインダクタ、抵抗、容量等のエレメント数が増え、電源ノイズ解析モデルのサイズが大きくなるという問題点があった。さらに、電源ノイズ解析モデルが大きくなると、シミュレーション時の解析時間も長くなる。
また、多層回路基板では層間の接続のためにビアが用いられるが、例えば、図17に示すように上の層のビアと、下の層のビアの角度がずれていると、ずれた部分が他の層の電源島の重なり部分となり、電源ペアとして抽出されることになる。このため、1つのビアに対して複数の微小電源ペアが抽出されることになり、それらの微小電源ペアをそれぞれモデル化すると、電源ノイズ解析モデル数が増大してしまうという問題点があった。
また、図18に示すような形状の電源島の重なり部分を抽出する場合、例えば、図形Aと図形Bの重なり部分を抽出する場合に、図形Aと図形Bの交点Tが、図形演算の誤差で交点T’となってしまうことがある。この交点T’を含む図形Aと図形Cとの重なり部分を電源ペアとして抽出すると、図18に斜線で示す領域と黒で示す領域がそれぞれ別の重なり領域として抽出され、図18に黒く示す領域が電源ペアとして抽出されてしまう。こ
のように図形演算の誤差により本来存在しない微小な電源ペアが抽出され、電源ノイズ解析モデルの数が増大するという問題もあった。
図19は、従来の引き出しパターンのインダクタンスの計算方法の説明図であり、図19(A)は回路基板の斜視図、図19(B)は断面図である。
L1層の電源島の引き出しパターンとL9層の電源島が電源ペアを構成している場合に、従来は、L1層の引き出しパターンの面積とL9層の電源島の面積とL1層とL9層の層間距離からL1層の引き出しパターンのインダクタンスを計算していた。しかしながら、図19(A)に示すように引き出しパターンの近傍の他の層に電源島が存在する場合には、上記のようにして計算したインダクタンスが実際の値と異なっていることが多かった。
特許文献1には、半導体装置の電源配線、内部容量、内部消費電流及び入出力セルの各モデルを作成し、それらのモデルを結合して電源ノイズ解析用の半導体装置モデルを作成することが記載されている。
特許文献2には、電源ノイズ解析モデルのノード配置を決める際の波紋処理について記載されている。
特開2004−234618号公報 特開2004−334654号公報
本発明の課題は、回路基板の電源ノイズ解析モデルのノード数を減らし電源ノイズ解析モデルを簡素化することである。
本発明の電源ノイズ解析モデル生成プログラムは、コンピュータに、回路基板の異なる層に存在する2つの電源島の重なりを検出し、重なりのある電源島を電源ペアとして抽出するステップと、前記回路基板のCADデータに基づいて前記電源ペアにノードを配置するステップと、前記電源ペアに配置された前記ノードのノード座標が電源ペアを構成する前記電源島に存在するか否かを判定し、前記ノード座標が前記電源島に存在する場合には、前記ノード座標が存在する前記電源島に前記電源ペアに配置された前記ノードを設定するステップと、前記ノード間のインピーダンスを算出するステップと、算出された前記ノード間のインピーダンスに基づいて前記電源島単位で電源ノイズ解析モデルを生成するステップとを実行させる
この発明によれば、1つの電源島に属する複数の電源ペアを接続するための境界線ノードを設ける必要が無くなるので電源ノイズ解析モデルを構成するインダクタ、容量等のエレメント数を減らすことができる。これにより、電源ノイズ解析モデルを生成するための処理時間が短縮できる。さらに、その電源ノイズ解析モデルを用いるシミュレーションの処理時間も短縮できる。
上記の発明の電源ノイズ解析モデル生成プログラムにおいて、前記電源ペアを抽出するステップは、前記電源ペアの面積から容量値を算出し、算出した容量値が所定値以下の電源ペアを、電源ノイズ解析モデルの作成対象から除外するステップを有する。
このように構成することで、容量が所定値以下の電源ペアを電源ノイズ解析モデルの作成対象から除外できるので、電源ノイズ解析モデルを作成するための処理時間を短縮できる。
上記の発明の電源ノイズ解析モデル生成プログラムにおいて、前記ノード間のインピーダンスを算出するステップは、前記ノードを結ぶリンクから所定距離以内の他の層に電源島が存在するか否かを判定し、所定距離以内に前記電源島が存在する場合に、前記リンクが存在する層から前記電源島が存在する最近傍の他の層までの層間距離に基づいて前記ノード間のインダクタンスを算出するステップを有する。
このように構成することで、ノードを結ぶリンクの近傍の他の層に存在する電源島の影響を考慮してノード間のインダクタンスを計算することができるので、インダクタンスをより正確に計算することができる。
上記の発明の電源ノイズ解析モデル生成プログラムにおいて、前記ノード間のインピーダンスを算出するステップは、前記ノードを結ぶリンクの中間点を算出するステップと、前記中間点を基準として所定の探索範囲に存在する電源島を検出するステップと、電源島を検出した場合に、前記リンクが存在する層から前記電源島が存在する最近傍の他の層までの層間距離に基づいて前記ノード間のインダクタンスを算出するステップを有する。
このように構成することで、リンクの中間点を基準にして近傍の層に存在する電源島を検出することができる。これにより、近傍の層の電源島の影響を考慮してインダクタンスを計算することができる。
本発明によれば、同一の電源島に属する複数の電源ペアを接続するための境界線ノードが不要となるので、電源ノイズ解析モデルのインダクタ、抵抗、容量等のエレメント数を減らすことができる。これにより、電源ノイズ解析モデルを生成するための処理時間が短縮できる。
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、CAD装置を利用してプリント基板の設計を行う場合の設計フローを示す図である。
ユーザがCAD(Computer Aided Design)装置を利用してプリント基板の構想設計を行うと(図1、S11)、構想段階の設計データであるCADデータ11がハードディスク等の記憶装置に記憶される。
電源ノイズ解析モデル生成装置は、CADデータ11に基づいて電源ノイズ解析モデルを生成する(S12)。次に、回路シミュレータが、その電源ノイズ解析モデルを用いてプリント基板のノイズレベルの解析を行い(S13)、解析結果を表示する(S14)。解析結果が所定の条件を満たしているか否かを判定し(S15)、条件を満たしていないときには構想設計を修正する。
構想設計の評価結果が条件を満たしているときには、ステップS16の回路設計工程に進む。回路設計が完了したなら、その回路設計に基づいて詳細な基板設計を行う(S17)。次に、プリント基板のCADデータ11を取得して電源ノイズ解析モデルを生成する(S12)。以下、上述したステップS13〜S15と同じ処理を実行する。ステップS15の評価結果がOKであれば、製造、試験工程に進む。
図2は、実施の形態の電源ノイズ解析モデル作成装置21の構成を示す図である。電源ノイズ解析モデル作成装置21は、電源ペア抽出部22と、ノード配置・投影部23と、メッシュ生成部24と、インピーダンス計算部25と、モデル生成部26とからなる。
以下、電源ノイズ解析モデル作成装置21の各部の機能を、図3の電源ノイズ解析モデル生成処理のフローチャートを参照して説明する。
電源ペア抽出部22が、CAD装置から回路基板のCADデータを取得し(図3、S21)、回路基板の異なる層に存在する電源島の内で重なりのある電源島を電源ペアとして抽出する(S22)。
ノード配置・投影部23が、抽出した電源ペアにノードを配置し、さらに電源ペアが属する電源島に電源ペアのノードを投影する(S23)。
メッシュ生成部24が、電源島毎にノードを囲むメッシュ領域を決定し、インピーダンス計算部25が、ノード間のインピーダンス(L、R,C)を計算する(S24)。
モデル生成部26が、各層のノード間のインピーダンスと層間の容量に基づいて電源ノイズ解析モデルを作成する(S25)。
図4は、図3のステップS22の電源ペア抽出処理のフローチャートである。
回路基板の異なる層に存在する電源島で重なりのあるものを電源ペアとして抽出する(図4、S31)。次に、抽出した電源ペアの重なり部の面積を計算する(S32)。
電源ペアの面積を、C=(ε0×εr/D)・S、の式に代入して電源ペアの容量値Cを計算する(S33)。ε0=8.8541878e-15 [F/cm]、εr:比誘電率、D[cm]:電源ペア間の距離、S[cm]:電源ペアの面積、である。
次に、電源ペアの容量値Cが所定値以下の電源ペアを削除する(S34)。ステップS32〜S34の処理を抽出された全ての電源ペアに対して行う(S35)。
上述した電源ペア抽出処理により、容量値が所定値以下の微小な電源ペアは削除されるので、電源ノイズ解析モデルの作成対象となる電源ペアを減らすことができる。
なお、容量値が所定値以下か否かを判定する方法に限らず、例えば、面積が所定値以下の電源ペアを削除するようにしても良い。
次に、図5は、図3のステップS23のノード配置・投影処理のフローチャートである。
最初に、電源ペアに存在する素子のピン及びビアの位置にノードを配置し、さらに能動素子から放射される電磁波の影響を考慮して波紋処理によりノードを配置する(図5、S41)。
波紋処理とは、電源ペアに存在する複数の能動素子から放射される電磁波の波紋を算出し、それらの波紋を合成してノードの配置を決める処理である。能動素子の外形を波紋レベル0の波紋、n回外側に広げた波紋を波紋レベルnの波紋とし、波紋レベル0の波紋から波紋レベル1の波紋までの波紋の間隔を波紋レベル0の波紋ピッチ、波紋レベルnの波紋から波紋レベルn+1の波紋までの波紋の間隔を波紋レベルnの波紋ピッチとする。
最小波紋ピッチPminは、能動素子の最大動作周波数と基板の絶縁体の誘電率εrと定数から算出することができる。また、能動素子aの波紋レベルnの波紋ピッチPminn_a(n)は、波紋レベルn−1の波紋ピッチPmin_a(n−1)と、波紋レベルnの内側のエリアの面積S(n)と、波紋レベルn−1の内側のエリアの面積S(n−1)と、補正係数Kdとから求めることができる。そして、各波紋の間の領域に該当する波紋レベルの波紋ピッチPminn_a(n)の間隔でノードを配置する。上記の波紋処理については、特開2004−334654号公報に記載されている。
次に、電源ペアに配置したノードのノード座標が上側の層の電源島内に存在するか否か
を判定する(S42)。電源ペアのノード座標が上側の層の電源島に存在する場合には(S42、YES)、ステップS43に進み、電源ペアのノードを上側の層の電源島に所属するノードとしてテーブルに登録する。このテーブルは、電源ノイズ解析モデル作成装置21のメモリ等に格納される。
上記の処理により、電源ペアに配置したノードが、電源ペアを構成する上側の層の電源島に設定(投影)される。
ステップS42がNOの場合またはステップS43の次には、ステップS44において、電源ペアに配置したノードのノード座標が下側の層の電源島内に存在するか否かを判定する。電源ペアのノード座標が下側の層の電源島に存在する場合には(S44,YES)、ステップS45に進み、電源ペアのノードを下側の層の電源島に属するノードとしてテーブルに登録する。上記の処理により、電源ペアに配置したノードが、電源ペアを構成する下側の層の電源島に設定される。
ステップS44またはS45の次には、ステップS46に進み、電源ペアの全ノードに対して上記の処理が完了したか否かを判定する。未完了のノードがある場合には、ステップS42に戻り上記の処理を繰り返す。
ここで、図6〜図8を参照して上述したノード配置・投影処理により電源ペアと電源島に配置されるノードについて説明する。
図6(A)は、回路基板が3層の場合の各層の電源島を示す図である。第1層は基板の領域のほぼ全面が電源島31の領域、第2層は、基板の領域の右半部の領域が電源島32の領域、第3層は基板のほぼ全面が電源島33の領域となっている。なお、第1層と第3層の中央の破線は、破線の左側の領域が第1層と第3層の電源ペアを構成する重なり部分であることを示している。
これらの電源島の重なりを検出すると、図6(B)に示すように第1層の電源島31と第3層の電源島33の左半分の領域が電源ペア1として抽出される。また、第1層の電源島31の右半分の領域と、第2層の電源島32の領域が電源ペア2として抽出される。さらに、第2層の電源島32と第3層の電源島33の右半分の領域が電源ペア3として抽出される。
図5のステップS41の処理により、図7に示すように、電源ペア1に4個のノードが配置され、電源ペア2に5個のノードが配置され、電源ペア3に6個のノードが配置されたものとする。
最初に、電源ペア1のノードのノード座標が、電源ペア1の上側の層である第1層の電源島31の領域内に存在するか否かが判定される。第1層の電源島31に該当するノード座標が存在する場合には、それらのノードが電源島31のノードを記憶するテーブル(図示せず)に登録される。
同様に、電源ペア1のノードのノード座標が、電源ペア1の下側の層である第3層の電源島33に存在するか否かが判定される。電源島33に該当するノード座標が存在する場合には、それらのノードが電源島33のテーブルに登録される。
次に、電源ペア2のノードのノード座標が、電源ペア2の上側の層である第1層の電源島31の領域内に存在するか否かが判定される。第1層の電源島31に該当するノード座標が存在する場合には、それらのノードが電源島31のテーブルに登録される。
同様に、電源ペア2のノード座標が、電源ペア2の下側の層である第2層の電源島32
の領域内に存在するか否かが判定される。第2層の電源島32に該当するノード座標が存在する場合には、それらのノードが電源島32のテーブルに登録される。
次に、電源ペア3のノードのノード座標が、電源ペア3の上側の層である第2層の電源島の領域内に存在するか否かが判定される。第2層の電源島32に該当するノード座標が存在する場合には、それらのノードが電源島32のテーブルに登録される。
同様に、電源ペア3のノードのノード座標が、電源ペア3の下側の層である第3層の電源島33の領域内に存在するか否かが判定される。第3層の電源島33に該当するノード座標が存在する場合には、それらのノードが電源島33のテーブルに登録される。
図8は、電源島に投影されたノードを示す図である。第1層の電源島31からは電源ペア1と電源ペア2が抽出されているので、電源島31には、電源ペア1の4個のノードと電源ペア2の5個のノードが設定されている。
第2層の電源島32からは電源ペア2と電源ペア3が抽出されているので、電源島32には、電源ペア2の5個のノードと電源ペア3の6個のノードが設定されている。
第3層の電源島33からは電源ペア1と電源ペア3が抽出されているので、電源島33には、電源ペア1の4個のノードと電源ペア3の6個のノードが設定されている。
上述したノード配置・投影処理によれば、各電源島には、それぞれの電源島に属する電源ペアのノードが設定されるので、複数の電源ペアのノードを1つの電源島上に配置することができる。これにより、同じ電源島に属する複数の電源ペアから電源ノイズ解析モデルを作成するときに、電源島単位で電源ノイズ解析モデルを作成することができ、複数の電源ペアのノードを接続するために境界線ノードを設ける必要が無くなる。これにより電源ノイズ解析モデルのノード数が減るので、ノード間のインピーダンスを表すインダクタ、抵抗、容量等からなるエレメント数を減らすことができる。このように電源ノイズ解析モデルのエレメント数を減らすことで、電源ノイズ解析モデルの作成時間及びその電源ノイズ解析モデルを用いるシミュレーションの処理時間を短縮できる。
次に、図3のステップS24のノード間のインピーダンスを計算する処理について図9のフローチャートを参照して説明する。
電源島の2つのノード間の距離dを求める(図9,S51)。次に、ノードが属するメッシュの接辺の長さWを求める(S52)。例えば、任意のノードとその周りのノードを結ぶ直線の二等分線を引き、複数の二等分線で囲まれる領域をそのノードを囲むメッシュ領域とし、隣接するメッシュ領域の接辺の長さをWとする。
次に、単位面積当たりの抵抗値を□Rとして、ノード間の抵抗値Rを「□R×d/W」の式で計算する(S53)。
図10は、ノード間の抵抗とインダクタンスの計算方法の説明図である。図10に示すように、ノードAとノードBの距離をdとし、ノードAを囲むメッシュ領域とノードBを囲むメッシュ領域の接する辺の長さをWとすると、ノードA、B間の抵抗値は、ノード間の距離dに比例し、接辺Wの長さに反比例する。よって、ノード間の抵抗値Rは、単位面積当たりの抵抗値□Rとノード間の距離dと接辺Wの長さから求めることができる。インダクタンスについても同様に計算できる。
次に、単位面積当たりのインダクタンスを□Lとし、ノード間のインダクタンスを「□L×d/W」の式で計算する(S54)。
なお、図9に示していないが、電源ペアのノードの容量値は、例えば、上側の層のノードを囲むメッシュ領域の面積と下側の層の対応するメッシュ領域の面積と層間距離から求
めることができる。
上記の処理を各層の電源島の全てのノードに対して行うことでノード間のインピーダンスを全て計算することができる。
図11は、上述したインピーダンスの計算処理で計算した電源/GND層のインピーダンスを示す図である。
上側の電源/GND層の複数のノード41a、41b・・・41nを結ぶリンクのインダクタンス、抵抗値、容量値が計算される。同様に下側の電源/GND層に複数のノード42、42b・・・42nを結ぶリンクのインダクタンス、抵抗値、容量値が計算される。これらの電源/GND層のインピーダンスに基づいて電源ノイズ解析モデルを作成することができる。
次に、任意の層の電源島のノードを結ぶリンクのインダクタンスを、電源ペアを構成する他の層との層間距離、あるいは電源ペアの間にある他の層の電源島との層間距離に基づいて計算する処理を、図12及び図13のフローチャートを参照して説明する。
最初に、上位層のノードを結ぶリンクと下位層の電源島が電源ペアを構成し、その間に中間層が存在する場合の回路基板の構造の一例を、図14を参照して説明する。
図14に示す回路基板は、1番上のL1層の電源島のノード51aとノード51bを結ぶリンク(電源パターン)52と、最下層のL9層の電源島53が電源ペアを構成しており、L1層とL9層の間に電源島を有するL3層とL6層が存在する。L1層とL9層の層間距離はαである。
次に、図12の処理を説明する。最初に、ノードを結ぶリンクの中間点を算出する(図12、S61)。この処理により、例えば、図14のノード51a、51bを結ぶリンク52の中間点51cが算出される。
次に、中間点を中心にして一定値を半径とする円を作成する(S62)。この処理により、例えば、電源ペアを構成するL1層とL9層の層間距離αを半径とする円が作成される。
次に、ノードが所属する電源ペアの上側の層から下側の層に向かって、中間点を中心とする所定の半径の円と重なる電源島が存在する層を、電源ペアの下側の層まで探索する(S63)。
円と重なる電源島が存在する層が検出されたか否かを判定し(S64)、円と重なる電源島が存在する層が検出された場合には(S64、YES)、ステップS65に進み、リンクの存在する層から電源島が検出された層までの層間距離をGAPとして設定する。
他方、電源島のある層が検出されなかった場合には(S64,NO)、ステップS66に進み、リンクの存在する層から電源ペアの下側の層までの層間距離をGAPとして設定する。
次に、電源ペアの上側の層のノード間のインダクタンスをGAPを用いて計算する(S67)。
上記の処理により、リンクの中間点を中心とする所定の半径の円と重なる電源島が、電源ペアの層とは別の中間層に存在する場合には、その層までの層間距離でノード間のインダクタンスが計算される。このように電源ペアを構成する層の電源島より距離が近い電源島までの層間距離を用いてインダクタンスを計算することで、中間層の電源島の影響を考
慮してインダクタンスを求めることができる。
次に、図13のステップS67において、ノードが所属する電源ペアの下側の層から上方向に向かって、所定の半径の円と重なる電源島が存在する層を、電源ペアの上側の層まで探索する。
次に、所定の半径の円と重なる電源島が存在する層が検出されたか否かを判定する(S69)。所定の半径の円と重なる電源島が存在する層が検出された場合には(S69、YES)、ステップS70に進み、リンクが存在する層から電源島が検出された層までの層間距離をGAPとして設定する。
他方、円と重なる電源島が存在する層が検出されなかった場合には(S69、NO)、ステップS71に進み、リンクの存在する層から電源ペアの上側の層までの層間距離をGAPとして設定する。
次に、電源ペアの下側の層のリンクのインダクタンスをGAPを用いて計算する(S72)。
図15は、リンクに近い層にある電源島の探索方法の説明図である。図15は、L1層の電源島のリンクとL9層のリンクが電源ペアを構成し、その間に中間層が存在する場合の例である。
この場合、電源ペアの上側の層のL1層から下側の層に向かって、リンクの中間点51cを中心として所定の半径の円(例えば、電源ペア間の層間距離)と重なる電源島が存在する層を探索する。電源島が存在する層を検出したなら、L1層からその層までの層間距離を用いてL1層のリンクのインダクタンスを計算する。
同様に、電源ペアの下位層のL9層から上位層に向かって、リンクの中間点51c’を中心とする所定の半径の円と重なる電源島が存在する層を探索する。電源島が存在する層を検出したなら、L9層からその層までの層間距離を用いてL9層のリンクのインダクタンスを計算する。
上述したノード間のインダクタンスの計算処理によれば、ある層のリンクから所定距離以内の他の層に電源島が存在する場合には、リンクが存在する層と電源島が存在する層との層間距離を用いてノード間のインダクタンス計算することで、近傍に存在する電源島の影響を考慮してインダクタンスを求めることができる。これによりノード間のインダクタンスをより正確に求めることができる。
上述した実施の形態によれば、複数の電源ペアを有する電源島単位で電源ノイズ解析モデルを作成することができるので、従来のように電源ペアを接続するための境界線ノードを設ける必要が無くなる。従って、電源ノイズ解析モデルのノード数を減らすことができるので、インダクタ、抵抗、容量等からなるエレメント数を減らすことができる。このように電源ノイズ解析モデルのエレメント数が減ることでモデルを作成するための処理時間を短縮できる。さらに、その電源ノイズ解析モデルを用いるシミュレーションの処理時間も短縮できる。
また、微小電源ペアを削除することで電源ノイズ解析モデルを作成するための処理の処理時間を短縮できる。
さらに、電源島のノード間のインダクタンスを計算するときに、ノードを結ぶリンクの近傍の層に電源島が存在する場合には、その層までの層間距離を用いてインダクタンスを計算することでノード間のインダクタンスをより正確に求めることができる。これは、電
源島の電源線の引き出しパターン等のインダクタンスの計算に効果がある。
本発明は上述した実施の形態に限らず、例えば、以下のように構成しても良い。
(1)電源ノイズ解析モデルの作成対象は、プリント基板に限らず半導体集積装置の回路基板でも良い。
(2)ノードの配置の決定方法は、波紋処理によりノードの位置を決める方法に限らず、他の公知の方法でノードの配置を決めても良い。
(3)ノード間のインダクタンスの計算は、電源島の引き出しパターンに限らず、基板の中央部のノード間のインダクタンスの計算にも適用できる。
(付記1) 回路基板の異なる層に存在する2つの電源島の重なりを検出し、重なりのある電源島を電源ペアとして抽出するステップと、
前記回路基板のCADデータに基づいて前記電源ペアにノードを配置するステップと、
前記電源ペアに配置された前記ノードのノード座標が電源ペアを構成する前記電源島に存在するか否かを判定し、前記ノード座標が前記電源島に存在する場合には、前記ノード座標が存在する前記電源島に前記電源ペアに配置された前記ノードを設定するステップと、
前記ノード間のインピーダンスを算出するステップと、
算出された前記ノード間のインピーダンスに基づいて前記電源島単位で電源ノイズ解析モデルを作成するステップとからなる電源ノイズ解析モデル生成プログラム。
(付記2) 前記電源ペアを抽出するステップは、前記電源ペアの面積から容量値を算出し、算出した容量値が所定値以下の電源ペアを、電源ノイズ解析モデルの作成対象から除外するステップを有する付記1記載の電源ノイズ解析モデル生成プログラム。
(付記3) 前記ノード間のインピーダンスを算出するステップは、前記ノードを結ぶリンクから所定距離以内の他の層に電源島が存在するか否かを判定し、所定距離以内に電源島が存在する場合に、前記リンクが存在する層から前記電源島が存在する層までの層間距離に基づいて前記ノード間のインダクタンスを算出するステップを有する付記1記載の電源ノイズ解析モデル生成プログラム。
(付記4) 前記ノード間のインピーダンスを算出するステップは、前記ノードを結ぶリンクの中間点を算出するステップと、前記中間点を基準として所定の探索範囲に存在する他の層の電源島を検出するステップと、電源島を検出した場合には、前記リンクが存在する層から前記電源島が存在する層までの層間距離に基づいて前記ノード間のインダクタンスを算出するステップを有する付記1記載の電源ノイズ解析モデル生成プログラム。
(付記5) 回路基板の異なる層に存在する2つの電源島の重なりを検出し、重なりのある電源島を電源ペアとして抽出するステップと、
前記回路基板のCADデータに基づいて前記電源ペアにノードを配置するステップと、
前記電源ペアに配置された前記ノードのノード座標が電源ペアを構成する前記電源島に存在するか否かを判定し、前記ノード座標が前記電源島に存在する場合には、前記ノード座標が存在する前記電源島に前記電源ペアに配置された前記ノードを設定するステップと、
前記ノード間のインピーダンスを算出するステップと、
算出された前記ノード間のインピーダンスに基づいて前記電源島単位で電源ノイズ解析モデルを作成するステップとからなる電源ノイズ解析モデル生成方法。
(付記6) 前記電源ペアを抽出するステップは、前記電源ペアの面積から容量値を算出し、算出した容量値が所定値以下の電源ペアを、電源ノイズ解析モデルの作成対象から除外するステップを有する付記5記載の電源ノイズ解析モデル生成方法。
(付記7) 前記ノード間のインピーダンスを算出するステップは、前記ノードを結ぶリンクから所定距離以内の他の層に電源島が存在するか否かを判定し、所定距離以内に電源島が存在する場合に、前記リンクが存在する層から前記電源島が存在する層までの層間距離に基づいて前記ノード間のインダクタンスを算出するステップを有する付記5記載の電
源ノイズ解析モデル生成方法。
(付記8) 前記ノード間のインピーダンスを算出するステップは、前記ノードを結ぶリンクの中間点を算出するステップと、前記中間点を基準として所定の探索範囲に存在する他の層の電源島を検出するステップと、電源島を検出した場合には、前記リンクが存在する層から前記電源島が存在する層までの層間距離に基づいて前記ノード間のインダクタンスを算出するステップを有する付記5記載の電源ノイズ解析モデル生成方法。
(付記9) 回路基板の異なる層に存在する2つの電源島の重なりを検出し、重なりのある電源島を電源ペアとして抽出する電源ペア抽出手段と、
前記回路基板のCADデータに基づいて前記電源ペアにノードを配置すると共に、前記電源ペアに配置された前記ノードのノード座標が前記2つの電源島に存在するか否かを判定し、前記ノード座標が前記電源島に存在する場合には、前記ノード座標が存在する前記電源島に前記電源ペアに配置された前記ノードを設定するノード配置・投影手段と、
前記ノード配置・投影手段により設定された前記ノード間のインピーダンスを算出するインピーダンス算出手段と、
算出された前記ノード間のインピーダンスに基づいて前記電源島単位で電源ノイズ解析モデルを作成するモデル作成手段とを備える電源ノイズ解析モデル作成装置。
(付記10) 前記電源ペア抽出手段は、前記電源ペアの面積から容量値を算出し、算出した容量値が所定値以下の電源ペアを、電源ノイズ解析モデルの作成対象から除外する請求項9記載の電源ノイズ解析モデル作成装置。
(付記11) 前記インピーダンス算出手段は、前記ノードを結ぶリンクから所定距離以内の他の層に電源島が存在するか否かを判定し、所定距離以内に電源島が存在する場合に、前記リンクが存在する層から前記電源島が存在する層までの層間距離に基づいて前記ノード間のインダクタンスを算出する付記9記載の電源ノイズ解析モデル作成装置。
(付記12) 前記インピーダンス算出手段は、前記ノードを結ぶリンクの中間点を算出し、前記中間点を基準として所定の探索範囲に存在する電源島を検出し、所定の探索範囲に電源島が存在する場合には、前記リンクが存在する層から前記電源島が存在する層までの層間距離に基づいて前記ノード間のインダクタンスを算出する付記9記載の電源ノイズ解析モデル作成装置。
実施の形態のプリント基板の設計フローを示す図である。 実施の形態の電源ノイズ解析モデル作成装置の構成を示す図である。 電源ノイズ解析モデル生成処理のフローチャートである。 電源ペア抽出処理のフローチャートである。 ノード配置・投影処理のフローチャートである。 電源島と電源ペアを示す図である。 電源ペアのノード配置を示す図である。 電源島に投影されたノードを示す図である。 ノード間のインピーダンスを計算する処理のフローチャートである。 ノード間の抵抗とインダクタンスの計算方法の説明図である。 電源/GND層のインピーダンスを示す図である。 インダクタンス計算処理のフローチャート(その1)である。 インダクタンス計算処理のフローチャート(その2)である。 リンクに近い電源島の探索方法の説明図である。 リンクに近い電源島の探索方法の説明図である。 従来の電源ノイズ解析モデルを示す図である。 ビアの角度のずれにより発生する微小電源ペアを示す図である。 図形演算誤差により発生する微小電源ペアを示す図である。 従来の引き出しパターンのインダクタンスの計算方法の説明図である。
符号の説明
21 電源ノイズ解析モデル作成装置
22 電源ペア抽出部
23 ノード配置・投影部
24 メッシュ生成部
25 インピーダンス計算部
26 モデル生成部
31〜33 電源島
41a〜41n ノード
42a〜42n ノード

Claims (5)

  1. コンピュータに、
    回路基板の異なる層に存在する2つの電源島の重なりを検出し、重なりのある電源島を電源ペアとして抽出するステップと、
    前記回路基板のCADデータに基づいて前記電源ペアにノードを配置するステップと、
    前記電源ペアに配置された前記ノードのノード座標が電源ペアを構成する前記電源島に存在するか否かを判定し、前記ノード座標が前記電源島に存在する場合には、前記ノード座標が存在する前記電源島に前記電源ペアに配置された前記ノードを設定するステップと、
    前記ノード間のインピーダンスを算出するステップと、
    算出された前記ノード間のインピーダンスに基づいて前記電源島単位で電源ノイズ解析モデルを作成するステップとを実行させる電源ノイズ解析モデル生成プログラム。
  2. 前記電源ペアを抽出するステップは、前記電源ペアの面積から容量値を算出し、算出した容量値が所定値以下の電源ペアを、電源ノイズ解析モデルの作成対象から除外するステップを有する請求項1記載の電源ノイズ解析モデル生成プログラム。
  3. 前記ノード間のインピーダンスを算出するステップは、前記ノードを結ぶリンクから所定距離以内の他の層に電源島が存在するか否かを判定し、所定距離以内に前記電源島が存在する場合に、前記リンクが存在する層から前記電源島が存在する最近傍の他の層までの層間距離に基づいて前記ノード間のインダクタンスを算出するステップを有する請求項1記載の電源ノイズ解析モデル生成プログラム。
  4. 前記ノード間のインピーダンスを算出するステップは、前記ノードを結ぶリンクの中間点を算出するステップと、前記中間点を基準として所定の探索範囲に存在する電源島を検出するステップと、電源島を検出した場合に、前記リンクが存在する層から前記電源島が存在する最近傍の他の層までの層間距離に基づいて前記ノード間のインダクタンスを算出するステップを有する請求項1記載の電源ノイズ解析モデル生成プログラム。
  5. 回路基板の異なる層に存在する2つの電源島の重なりを検出し、重なりのある電源島を電源ペアとして抽出する電源ペア抽出手段と、
    前記回路基板のCADデータに基づいて前記電源ペアにノードを配置すると共に、前記電源ペアに配置された前記ノードのノード座標が前記2つの電源島に存在するか否かを判定し、前記ノード座標が前記電源島に存在する場合には、前記ノード座標が存在する前記電源島に前記電源ペアに配置された前記ノードを設定するノード配置・投影手段と、
    前記ノード配置・投影手段により設定された前記ノード間のインピーダンスを算出するインピーダンス算出手段と、
    算出された前記ノード間のインピーダンスに基づいて前記電源島単位で電源ノイズ解析モデルを作成するモデル作成手段とを備える電源ノイズ解析モデル作成装置。
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