JP4726652B2 - 基地局及びハンドオーバ制御方法 - Google Patents

Description

本発明は移動通信システムにおける基地局及びハンドオーバ制御方法に関する。

移動通信システム設計において、基地局間ハンドオーバの際にユーザデータが欠落しないようにすることは極めて重要である。特に、音声やテレビ電話のようなリアルタイムアプリケーションでデータの損失があると、パケットの再送によって損失を補償することは困難であり、音声品質や映像品質の劣化を招くことが懸念される。

移動通信システムの国際標準方式の１つであるIMT2000方式では、基地局間のハンドオーバにソフトハンドオーバ方式を適用することができる。ソフトハンドオーバ方式では、端末とネットワークとの間で同時に２つ以上の基地局を介して通信が行われるので、ユーザデータの損失は発生しにくく、高品質なハンドオーバを実現することができる。リアルタイムデータを通信している端末にソフトハンドオーバ方式を適用する技術については例えば特許文献１に記載されている。しかしながらソフトハンドオーバ方式は１ユーザのハンドオーバに複数の無線チャネルを必要とし、基地局の制御負担も大きいので、システムアーキテクチャ及び無線制御が複雑化し、高価なシステムになってしまうことが懸念される。
特開2002-191064

ソフトハンドオーバ方式とは異なり、ハードハンドオーバ方式では、移動局は１つの基地局との間でしか無線チャネルを有しない。その無線チャネルは或るタイミングで別の無線チャネルに切り替わるので、送受信が一時的に不通になってしまうことが予想される。従ってこの方式のハンドオーバの高品質化を図る観点からは、不通の期間（通信断となっている期間）をできるだけ短縮することが望ましい。しかし無線同期を確保しなければならないことや無線制御を適切に行うこと等の理由により、通信断の期間を全く無くしてしまうことは困難である。このため、音声等のようなリアルタイム通信を行っている端末がハードハンドオーバを行う場合に、通信断の期間に起因してユーザデータが欠落してしまうことが懸念される。

図１はそのような問題点を説明するためのフローチャートである。図示の状況ではリアルタイム系サービスが提供され、一定の時間間隔でユーザデータ（リアルタイムデータ）が、パケット交換機、ハンドオーバ（HO）元又はHO先基地局を介して移動局に伝送される（１０１）。ハンドオーバの契機又はトリガとなるイベントが発生すると（１０２）、移動局はHO要求信号をHO元基地局に送信する（１０３）。HO元基地局は、移動局からのHO要求信号を受信したことに応答してHO指示信号を移動局に送信する（１０４）。移動局はHO指示信号を受信したことに応答して無線チャネルの切替を開始し、ある期間の間無線通信が途絶える（１０５）。無線チャネルの切替が完了すると、それを示す信号がHO先基地局に報告される（１０６）。HO先基地局は、以後のユーザデータの転送経路が変更されるべきことを示す経路切替要求信号をパケット交換機に送信する（１０７）。経路切替要求信号に応答してパケット交換機はその移動局宛のユーザデータの転送経路を変更する（１０８）。

この場合において、ユーザデータの伝送処理とハンドオーバの処理は別々に独立になされる。その結果、図示の状況では移動局が通信断になっている期間内にHO元基地局がユーザデータを送信するかもしれない。そのユーザデータは図中×印で示されているように欠落してしまう。

このようなデータの欠落を回避するため幾つかの手法が考えられる。第1の手法はハンドオーバを行う直前に基地局よりも上位の装置でユーザデータを一時停止する方法である。第２の手法は基地局よりも上位の装置でHO元及びHO先の基地局にデータを複製して送信する方法である。第３の手法はHO元基地局で送信できなかったユーザデータをHO先基地局に転送する方法である。しかしながら第１及び第３の手法では、送信の一時停止やデータ転送に起因してユーザデータの遅延が増加し、これはリアルタイムアプリケーションで特に不利になってしまう。また第１乃至第３の何れの手法もHO元基地局以外の装置に対する制御を要するので、新たなシグナリングや制御状態を定義する必要が生じ、制御の複雑化及びコスト上昇が懸念される。

本発明の課題は、ハードハンドオーバ方式を採用する移動通信システムにおいて、一定の時間間隔で伝送される下りユーザデータの損失及び遅延増加を減らし、HO元基地局単独で簡易且つ高品質なハンドオーバを行うことである。

一実施例による基地局は、
下りユーザデータを一定の周期で移動局に送信する基地局であって、
下りユーザデータを移動局に送信した後に、ハンドオーバを要求するハンドオーバ要求信号を該移動局から受信した場合、該ハンドオーバ要求信号に応じてハンドオーバを指示するハンドオーバ指示信号の送信タイミングを、次の周期の下りユーザデータの送信直後まで待機する、基地局である。

本発明によれば、ハードハンドオーバ方式を採用する移動通信システムにおいて、一定の時間間隔で伝送される下りユーザデータの損失及び遅延増加を減らし、HO元基地局単独で簡易且つ高品質なハンドオーバを行うことができる。

図２は本発明の一実施例による移動通信システムを示す。図２には移動局２０１、基地局２０２、パケット交換機２０３及びパケットネットワーク２０４が示されている。移動局２０１は物理レイヤからアプリケーションレイヤまでの全レイヤの機能を有する。特に移動局２０１は発着信やハンドオーバ等の無線制御機能を有する。本実施例では移動局２０１は１つの基地局としか接続できず、ハンドオーバ時にはネットワーク側から指示されたタイミングで無線チャネルが切り替えられる。即ちセル又はセクタの切替はハードハンドオーバ(hard hand over)で行われる。

基地局２０２も発着信やハンドオーバ等の無線制御機能を有することに加えて、基地局２０２は無線側と有線側のプロトコル変換機能、経路切替要求をパケット交換機に送出する機能等を有する。基地局２０２はハンドオーバ指示信号の送信タイミングを、ハンドオーバ要求信号の後に受信された下りユーザデータの送信タイミング直後まで待機させる機能を有する。

パケット交換機２０３は下りユーザデータの転送経路を管理する機能を有する。基地局間ハンドオーバが行われた場合にはその転送経路は更新される。

パケットネットワーク２０４は例えばインターネットプロトコル（ＩＰ）を使用するネットワークであり、様々なサービスアプリケーションサーバや端末等に接続されている。

図３は本発明の一実施例による基地局間ハンドオーバの手順例を示す。説明の簡明化のため、本発明に特に関連する信号しか示されていないが、他のシグナリング用の信号が送受信されてもよい。以下の説明では、移動局及びネットワーク間でコネクションが確立され、リアルタイム系のサービスが提供され、波線矢印で示されるように下りユーザデータが定期的に伝送されているとする（３０１）。データ伝送間隔はサービス内容や設定レート等によって異なってよいが、本実施例では一例として１０ミリ秒間隔で下りユーザデータの送受信がなされている。伝送されるユーザデータは、音声通信、テレビ電話、ストリーミング等の内容を含んでもよい。

ハンドオーバ（HO）の契機又はトリガとなるイベントが発生すると（３０２）、移動局はHO要求信号をHO元基地局に送信する（３０３）。本実施例では移動機アシスト型ハンドオーバ方式が使用される。この方式では移動局は周辺基地局からの信号レベルを測定し、測定結果をネットワーク側に報告する。HO先基地局がどれであるか、HOタイミングがいつであるか等についてはネットワーク側から指定される。

HO元基地局は、HO要求信号を受信しても直ちにHO指示信号を送信するのではなく、その送信は次の下りユーザデータが移動局に送信されるまで待機させられる（３０４）。この点、HO要求信号の受信に応答して速やかにHO指示信号が送信されていた従来の手法と大きく異なる。ある下りユーザデータが移動局に送信され、その移動局からHO要求信号が受信された後、次の下りユーザデータがその移動局に送信された直後にHO指示信号が移動局に送信される（３０５）。

移動局はHO指示信号を受信したことに応答して無線チャネルの切替を開始し、ある期間の間無線通信が途絶える（３０６）。無線チャネルの切替が完了すると、それを示す信号がHO先基地局に報告される（３０７）。HO先基地局は、以後のユーザデータの転送経路が変更されるべきことを示す経路切替要求信号をパケット交換機に送信する（３０８）。経路切替要求信号に応答してパケット交換機はその移動局宛のユーザデータの転送経路を変更する（３０９）。これにより一連のハンドオーバ手順が完了する。以後の下りユーザデータは変更後の転送経路でHO先基地局を経て移動局に伝送される。

本実施例によれば、移動局で通信断となる時点からパケット交換機で経路が切り替えられる時点までの間（ハンドオーバに要する期間）に、リアルタイムデータがHO元基地局から移動局へ伝送されてしまうことを効果的に抑制することができる。言い換えれば、リアルタイムデータの伝送周期の間に、ハンドオーバの処理を確実に完了させることができる。但し、リアルタイムデータの伝送周期がハンドオーバ処理に要する期間より長いことが前提である。

既存の移動通信システムに本発明を適用するのに特に必要なことは、HO元基地局がHO指示信号の送信タイミングを、次の下りユーザデータの送信直後まで遅らせることである。従ってHO元基地局以外のノードとの間でシグナリング等を別途規定する必要はなく、単にHO元基地局を改善するだけで高品質なハンドオーバを行うことができる。

なお、上りユーザデータに関しては通信断の間に送信タイミングが訪れることがあるかもしれない。しかしながらこの場合は送信できなかった上りユーザデータを移動局がバッファリングできるので、データ損失を容易に防止することができる。

従来の基地局間ハンドオーバの手順例を示すフローチャートである。 本発明の一実施例による移動通信システムを示す図である。 発明の一実施例による基地局間ハンドオーバの手順例を示すフローチャートである。

符号の説明

２０１ 移動局
２０２ 基地局
２０３ パケット交換機
２０４ パケットネットワーク

Claims (2)

1. 下りユーザデータを一定の周期で移動局に送信する基地局であって、
   下りユーザデータを移動局に送信した後に、ハンドオーバを要求するハンドオーバ要求信号を該移動局から受信した場合、該ハンドオーバ要求信号に応じてハンドオーバを指示するハンドオーバ指示信号の送信タイミングを、次の周期の下りユーザデータの送信直後まで待機する、基地局。
2. 下りユーザデータを一定の時間間隔で移動局に送信する基地局で使用されるハンドオーバ制御方法であって、
   下りユーザデータを移動局に送信した後に、ハンドオーバを要求するハンドオーバ要求信号を該移動局から受信した場合、該ハンドオーバ要求信号に応じてハンドオーバを指示するハンドオーバ指示信号の送信タイミングを、次の周期の下りユーザデータの送信直後まで待機する、ハンドオーバ制御方法。

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