JP4726394B2 - 熱融着性プロピレン系重合体積層フィルム及びその用途 - Google Patents

熱融着性プロピレン系重合体積層フィルム及びその用途 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は高速、低圧下における低温ヒートシール性、密封性、ラミネート強度に優れ、且つ耐ブロッキング性、包装材料に好適なスリップ性、透明性等を有する熱融着性プロピレン系重合体積層フィルム及びその用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
プロピレン系ランダム共重合体から得られるフィルムは低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のエチレン系重合体から得られるフィルムに比べて、ヒートシール強度、透明性、腰の強さ、耐ブロッキング性、ホットタック性、耐傷付き性、耐熱性等に優れるので、スナック、菓子、パン、野菜、麺等の食品、或いはシャツ、ズボン等の衣料品を始めとする日用品等あらゆる分野の製品の包装材料として広く使用されている。そして、かかるプロピレン系ランダム共重合体からなるフィルムは低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のエチレン系重合体からなるフィルムに比べると低温ヒートシール性に劣ることから、その改良が常に要求されている。低温ヒートシール性を改良する方法としては、例えば結晶性プロピレンランダム共重合体と1−ブテン系ランダム共重合体との組成物(特許文献1)、メタロセン触媒を用いた重合方法により得られるプロピレン・α―オレフィンランダム共重合体(例えば、特許文献2)等、種々提案されている。しかしながら、いずれのフィルムも低温ヒートシール性と剛性、密封性、ラミネート強度、耐ブロッキング性等のバランスに優れるものは得られていない。
【0003】
【特許文献1】
特開昭61−106648号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開2002−20430号公報(特許請求の範囲)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、高速、低圧下における低温ヒートシール性、密封性、ラミネート強度に優れ、且つ耐ブロッキング性、包装材料に好適なスリップ性、透明性等を有する熱融着性プロピレン系重合体多層フィルムを得ることを目的として種々検討した。
【0005】
【課題を解決するための手段】
【発明の概要】
すなわち本発明は、DSCに基づく結晶融解曲線から求められたピーク温度(Tp)が110〜140℃及び融解開始温度(Ts)と融解終了温度(Te)との差(Te−Ts)が45℃未満のプロピレン・α―オレフィン共重合体(A)から得られる熱融着層の片面に密度が0.865〜0.910g/cmのエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(B)から得られるラミネート層を有してなる熱融着性プロピレン系重合体積層フィルム、かかるラミネート層がプロピレン重合体(C)とエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(B)とのプロピレン系重合体組成物(D)から得られる中間層を介して積層されてなる熱融着性プロピレン系重合体積層フィルム及びその用途に関する。
【0006】
【発明の具体的説明】
プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(A)
本発明に係わるプロピレン・α−オレフィン共重合体(A)は、DSCに基づく結晶融解曲線から求められたピーク温度(Tp)が110〜140℃、好ましくは115〜130℃、融解開始温度(Ts)と融解終了温度(Te)との差(Te−Ts)が45℃未満、好ましくは30〜40℃の範囲にあり、好ましくは融解開始温度(Ts)とピーク温度(Tp)との差(Tp−Ts)が35℃未満、より好ましくは25〜34℃の範囲にある。プロピレン・α−オレフィン共重合体(A)のα―オレフィンの含有量は上記熱融解特性を有する限りとくに制限はされないが、通常はα―オレフィンの含有量は1.0〜20重量%、より好ましくは1.5〜15重量%の範囲にある。α―オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル・1−ペンテン、1−オクテン等が例示できる。これらの中では、エチレン及び/又は1−ブテンとのランダム共重合体が好ましい。又、MFR(メルトフローレート;ASTM D−1238 荷重2160g、温度230℃)はフィルムとすることができる限り特に限定はされないが、通常0.5〜20g/10分、好ましくは2〜10g/10分の範囲にある。本発明に係わるプロピレン・α−オレフィン共重合体(A)は通常、分子量分布(重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比で表される)が2〜3の範囲にある。本発明に係わるプロピレン・α―オレフィン共重合体(A)は、後述のエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(B)は、熱融着性プロピレン系重合体積層フィルムの熱融着層の原料となる。
本発明に係わるプロピレン・α−オレフィン共重合体(A)の上記ピーク温度(Tp)、融解開始温度(Ts)及び融解終了温度(Te)は以下の方法で測定した。プロピレン・α−オレフィン共重合体(A)約5mgを秤量し、セイコ−電子工業株式会社製の示差走査熱量計(タイプDSC220モジュ−ル)を用いて、昇温速度;10℃/分で200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、降温速度;100℃/分で0℃まで冷却し、再度、昇温速度;10℃/分で0℃〜200℃まで昇温したときの融解曲線を測定し、かかる融解曲線から、ASTM D3418−99の方法に習い、融解曲線からピ−ク温度(Tp)、融解開始温度(Ts)、融解終了温度(Te)を求めた。尚、本発明では、ASTMD3418−99に記載の(Tpm1)を(Tp)、(Teim)を(Ts)及び(Tefm)を(Te)とした。
【0007】
エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(B)
本発明に係るエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(B)は、炭素数3以上、好ましくは4〜10のα−オレフィンとのランダム共重合体で、好ましくは密度が0.865〜0.910g/cm、更に好ましくは0.875〜0.900g/cm、好ましくはエチレン含有量が70〜95モル%、更に好ましくは80〜93モル%、好ましくはX線による結晶化度が5〜40%、更に好ましくは7〜30%、好ましくはGPCで測定した分子量分布(Mw/Mn)が3以下、更に好ましくは2.5以下であり、好ましくはDSCによる昇温速度10℃/分での吸熱曲線から求めた融点が40〜100℃、更に好ましくは60〜90℃であり、メルトフローレート(190℃)が好ましくは0.01〜20g/10分、更には0.1〜5g/10分の範囲にある。本発明に係るエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(B)は、熱融着性プロピレン系重合体積層フィルムのラミネート層の原料となる。
【0008】
プロピレン重合体(C)
本発明に係わるプロピレン重合体(C)は、プロピレンの単独重合体、またはプロピレンと10重量%以下、好ましくは5重量%以下のα−オレフィンとの共重合体、あるいは単独重合体と共重合体との組成物である。α−オレフィンは、プロピレン以外の通常炭素数2〜10のα−オレフィンであって、例えば、エチレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1―ペンテン、3―メチル―1―ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1―へキセン、1―オクテン等を挙げることができる。これらα−オレフィンの中でも、得られる熱融着性プロピレン系重合体積層フィルムの耐熱性、剛性の面からプロピレン単独重合体が好ましい。かかるプロピレン重合体(C)は、フィルムとして成形できる限り、特に限定はされないが、MFR(メルトフローレート;ASTM D−1238 荷重2160g、温度230℃)が、通常0.1〜100g/10分、好ましくは1〜50g/10分の範囲にある。本発明に係わるプロピレン重合体(C)は、熱融着性プロピレン系重合体積層フィルムの中間層の原料となる。
【0009】
プロピレン系重合体組成物(D)
本発明の熱融着性プロピレン系重合体積層フィルムの中間層を構成するプロピレン系重合体組成物(D)は、前記プロピレン重合体(C)とエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(B)とから得られる組成物であり、好ましくはプロピレン重合体(C)が85〜99重量%%、更に好ましくは90〜98重量%の範囲、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(B)が好ましくは15〜1重量%、更に好ましくは10〜2重量%の範囲の範囲にある。
プロピレン重合体(C)が85重量%未満では、得られる熱融着性プロピレン系重合体積層フィルムの耐熱性、剛性が劣る虞があり、一方、99重量%を越えると得られる熱融着性プロピレン系重合体積層フィルムのエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(B)ラミネート層との層間接着強度が劣る虞がある。
プロピレン系重合体組成物(D)のMFR(メルトフローレート;ASTM D−1238 荷重2160g、温度230℃)はフィルム成形が可能な限り特に限定はされないが、通常0.1〜50g/10分、好ましくは0.3〜30g/10分の範囲にある。
【0010】
本発明に係わるプロピレン・α−オレフィン共重合体(A)、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(B)、プロピレン重合体(C)及びプロピレン系重合体組成物(D)には本発明の目的を損なわない範囲で、通常用いられる酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、防曇剤、ブロッキング防止剤、滑剤、核剤、顔料等の添加剤或いは他の重合体を必要に応じて配合することができる。
中でも、熱融着性プロピレン系重合体積層フィルムのラミネート層を構成するエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(B)にはシリカ、タルク、雲母、ゼオライトや更には金属アルコキシドを焼成して得た金属酸化物等の無機化合物粒子、ポリメタクリル酸メチル、メラミンホルマリン樹脂、メラミン尿素樹脂、ポリエステル樹脂等の有機化合物粒子等、種々公知のブロッキング防止剤を0.01〜1重量%添加しておくと、更に耐ブロッキング性が改良されたフィルムが得られるので好ましい。これらの中でも、シリカ、ポリメタクリル酸メチルが耐ブロッキング性、透明性の面から特に好ましい。又、種々公知の滑剤を0.01〜1重量%添加しておくと、更にスリップ性が改良されたフィルムが得られるので好ましい。
【0011】
プロピレン系重合体の製造方法
本発明に係わるプロピレン・α−オレフィン共重合体(A)及びプロピレン重合体(C)は種々公知の方法、例えば、典型的には固体状チタン触媒成分と有機金属化合物触媒成分から形成される触媒、あるいはこれら両成分および電子供与体から形成される触媒を用いて製造することができる。
【0012】
固体状チタン触媒成分としては、各種方法で製造された三塩化チタンまたは三塩化チタン組成物、あるいはマグネシウム、ハロゲン、電子供与体、好ましくは芳香族カルボン酸エステルまたはアルキル基含有エーテルおよびチタンを必須成分とする、比表面積が好適には100m/g以上の担体付チタン触媒成分が挙げられる。特に後者の担体付触媒成分を用いて製造された重合体が好適である。
有機金属化合物触媒成分としては、有機アルミニウム化合物が好適であり、具体的には、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムハライド、アルキルアルミニウムセスキハライド、アルキルアルミニウムジハライドなどが挙げられる。これらの化合物のうち、好適な有機金属化合物触媒成分は、使用する上記チタン触媒成分の種類によって異なる。
電子供与体は、窒素、リン、イオウ、酸素、ケイ素、ホウ素などを含む有機化合物であり、好適な具体例としては、これらの元素を有する有機エステル、有機エーテルなどを挙げることができる。
担体付触媒成分を用いた重合体の製造方法に関しては、たとえば特開昭50−108385号、特開昭50−126590号、特開昭51−20297号、特開昭51−28189号、特開昭52−151691号などの各公報に開示されている。
【0013】
本発明に係わるプロピレン・α−オレフィン共重合体(A)は、特にはシングルサイト触媒を用いて製造することができる。シングルサイト触媒は、活性点が均一(シングルサイト)である触媒であり、例えばメタロセン触媒(いわゆるカミンスキー触媒)やブルックハート触媒などがあげられる。例えばメタロセン触媒は、メタロセン系遷移金属化合物と、有機アルミニウム化合物および上記メタロセン系遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物とからなる触媒であり、無機物に担持されていてもよい。
前記メタロセン系遷移金属化合物としては、例えば特開平5−209014号、特開平6−100579号、特開平1−301704号、特開平3−193796号、特開平5−148284号、特開2000−20431号等に記載された化合物などがあげられる。
【0014】
有機アルミニウム化合物としては、アルキルアルミニウム、または鎖状あるいは環状アルミノキサン等があげられる。上記鎖状あるいは環状アルミノキサンは、アルキルアルミニウムと水とを接触させることにより生成される。例えば重合時にアルキルアルミニウムを加えておいて、後で水を添加するか、あるいは錯塩の結晶水または有機、無機化合物の吸着水とアルキルアルミニウムとを反応させることにより得られる。
前記メタロセン系遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物は、例えば特表平1−501950号、特開平3−207704号、特開2002−20431号等に記載された化合物などがあげられる。シングルサイト触媒を担持させる前記無機物としては、シリカゲル、ゼオライト、珪藻土等があげられる。
重合方法としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、気相重合等があげられる。これらの重合はバッチ法であっても連続法であっても良い。重合条件は通常、重合温度;−100〜+250℃、重合時間;5分〜10時間、反応圧力;常圧〜300Kg/cm(ゲージ圧)である。
【0015】
熱融着性プロピレン系重合体積層フィルム
本発明の熱融着性プロピレン系重合体積層フィルムは、前記プロピレン・α−オレフィン共重合体(A)から得られる熱融着層及び前記エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(B)から得られるラミネート層からなる。熱融着性プロピレン系重合体積層フィルムの厚さは用途により種々決定されるが、通常熱融着層の厚さが1〜80μm、好ましくは2〜50μm、ラミネート層の厚さが9〜499μm、好ましくは18〜98μmの範囲にあり、積層フィルム全体の厚さが、10〜500μm、好ましくは20〜100μmの範囲にある。
本発明の熱融着性プロピレン系重合体積層フィルムは、プロピレン・α−オレフィン共重合体(A)から得られる熱融着層及びエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(B)から得られるラミネート層を有することにより、低温ヒートシ−ル性、耐衝撃性、耐ブロッキング性、滑性、耐熱性、光沢性等に優れるので、そのままでも包装用フィルム、中でも食品包装用、特にスナック食品包装用フィルムとして好適に使用し得る。
又、用途によっては熱融着性プロピレン系重合体積層フィルムのラミネート層に後述の基材層を貼り合せて種々の用途に用いることもできる。
更に、本発明の熱融着性プロピレン系重合体積層フィルムのエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(B)から得られるラミネート層も熱融着性であり、且つ、エチレン系重合体層と熱融着した場合は、易開封性を有するので、本発明の熱融着性プロピレン系重合体積層フィルムは、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(B)から得られるラミネート層を熱融着層とした易開封性包装材料として用いることもできるし、その場合は、プロピレン・α−オレフィン共重合体(A)から得られる熱融着層と後述の基材層とを貼り合せてもよい。
本発明の熱融着性プロピレン系重合体積層フィルムは、印刷性あるいは他のフィルムとの接着性を改良するために、ラミネート層の表面を、たとえば、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、アンダーコート処理等で表面活性化処理を行っておいてもよい。
【0016】
熱融着性プロピレン系重合体積層フィルム
本発明の熱融着性プロピレン系重合体積層フィルムは、又、前記プロピレン・α−オレフィン共重合体(A)から得られる熱融着層、プロピレン系重合体組成物(D)から得られる中間層及びエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(B)から得られるラミネート層からなる。かかる中間層は一層でも二層以上の多層であってもよい。熱融着性プロピレン系重合体積層フィルムの厚さは用途により種々決定されるが、三層構成の場合は、通常熱融着層の厚さが1〜80μm、好ましくは2〜50μm、中間層の厚さが8〜498μm、好ましくは16〜96μm、ラミネート層の厚さが1〜80μm、好ましくは2〜50μmの範囲にあり、積層フィルム全体の厚さが、10〜500μm、好ましくは20〜100μmの範囲にある。
本発明の熱融着性プロピレン系重合体積層フィルムは、プロピレン系重合体組成物(D)から得られる中間層を有することにより、剛性、耐熱性をもたせることができ、ラミネ−ト加工や製袋加工性を向上でき、耐ブロッキング性、滑性、光沢性等の性能を低下させずに耐衝撃性に優れた積層フィルムとなる。
本発明の熱融着性プロピレン系重合体積層フィルムは、低温ヒートシ−ル性、耐ブロッキング性、包装材料に好適な耐衝撃性、スリップ性、剛性、透明性等を有する熱融着性プロピレン系重合体積層フィルムとしてそのままでも包装用フィルム、中でも食品包装用、特にスナック食品包装用フィルムとして好適に使用し得る。
又、用途によっては熱融着性プロピレン系重合体積層フィルムのラミネート層に後述の基材層を貼り合せて種々の用途に用いることもできる。
更に、本発明の熱融着性プロピレン系重合体積層フィルムのエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(B)から得られるラミネート層も熱融着性であり、且つ、エチレン系重合体層と熱融着した場合は、易開封性を有するので、本発明の熱融着性プロピレン系重合体積層フィルムは、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(B)から得られるラミネート層を熱融着層とした易開封性包装材料として用いることもできるし、その場合は、プロピレン・α−オレフィン共重合体(A)から得られる熱融着層と後述の基材層とを貼り合せてもよい。
本発明の熱融着性プロピレン系重合体積層フィルムは、上記積層フィルムと同様に、印刷性あるいは他のフィルムとの接着性を改良するために、ラミネート層の表面を、たとえば、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、アンダーコート処理等で表面活性化処理を行っておいてもよい。
【0017】
本発明の熱融着性プロピレン系重合体積層フィルムは公知の種々公知のフィルム成形方法を採用し得る。積層フィルムとして、中間層を有する三層の積層フィルムを成形する場合は、予めプロピレン系重合体組成物(D)を用意しておいてもよいし、プロピレン系重合体組成物(D)を構成するプロピレン重合体(C)とエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(B)とを所定量計量して直接フィルム成形機に投入してもよい。本発明の熱融着性プロピレン系重合体積層フィルムを得るには夫々別個にフィルムを成形後貼り合せてもよいが、二層あるいは三層構造の多層ダイを用いて共押出し成形による方法が最も好ましい。
【0018】
基材層
本発明に係わる基材層は、熱可塑性樹脂からなるシート状またはフィルム状のもの、紙、アルミニュム箔等からなる。熱可塑性樹脂としては、種々公知の熱可塑性樹脂、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチル・1−ペンテン、ポリブテン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(ナイロン−6、ナイロン−66、ポリメタキシレンアジパミド等)、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、エチレン・酢酸ビニル共重合体もしくはその鹸化物(EVOH)、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、アイオノマー、あるいはこれらの混合物等を例示することができる。これらのうちでは、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド等、延伸性、透明性が良好な熱可塑性樹脂が好ましい。又、かかる熱可塑性樹脂フィルムからなる基材は、無延伸フィルムであっても、延伸フィルムであっても良いし、1種或いは2種以上の共押し出し品、押出しラミ品、ドライラミ品等の積層フィルムであっても良い。
かかる基材層と熱融着性プロピレン系重合体積層フィルムとの積層フィルム、特にスナック食品包装用に好適な具体的構成としては、
・ニ軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)/ポリエチレン押出しラミ層(PE)/アルミ蒸着層―ニ軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(OPET)/PE/熱融着性プロピレン系重合体積層フィルム、
・OPP/PE/熱融着性プロピレン系重合体積層フィルム、
・OPET/PE/熱融着性プロピレン系重合体積層フィルム、
・OPP/ドライラミ(DL)/アルミ蒸着層―OPET/PE/熱融着性プロピレン系重合体積層フィルム
等を例示できる。
又、用途によっては熱融着性プロピレン系重合体積層フィルムのラミネート層に基材層を貼り合せて種々の用途に用いることもできるが、この用途の具体的な構成としては、
・OPP/DL/熱融着性プロピレン系重合体積層フィルム、
・OPET/DL/熱融着性プロピレン系重合体積層フィルム、
・ポリプロピレン無延伸フィルム(CP)/DL/K−セロファン/DL/熱融着性プロピレン系重合体積層フィルム、
・OPP/DL/EVOH/DL/熱融着性プロピレン系重合体積層フィルム、
・OPET―透明蒸着層/DL/熱融着性プロピレン系重合体積層フィルム
等を例示できる。
又、基材層の片面あるいは両面を、本発明の熱融着性プロピレン系重合体積層フィルムのラミネート層との接着性を改良するために、例えば、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、アンダーコート処理、プライマーコート処理、フレーム処理等の表面活性化処理を行っておいてもよい。基材層の厚さは、通常5〜1000μm、好ましくは9〜100μmの範囲にある。
【0019】
【発明の効果】
本発明の熱融着性プロピレン系重合体積層フィルムは高速、低圧下における低温ヒートシール性に優れており、かかる特徴を活かして、特にスナック食品包装用の縦或いは横ピロ−包装用として好適である。
又、本発明の熱融着性プロピレン系重合体積層フィルムは更に、耐衝撃性に優れ、且つ耐ブロッキング性、包装材料に好適なスリップ性、透明性等を有し、ヒートシ−ルされた部分が奇麗な見栄えのする包装体が得られるので、かかる特徴を活かして、飴、せんべい、チョコレ−ト菓子、チョコレ−ト等のお菓子類、珍味等の嗜好品、ハム、ソーセージ、畜肉等の蓄肉加工品、靴下、化粧品等日用雑貨品等の包装材料(規格袋、自働包装用)にも好適である。本発明の熱融着性プロピレン系重合体積層フィルムは上記包装用材料に限らず、一般包装用フィルムとしては勿論のこと、あらゆる食品、日用品雑貨、医薬用、産業材関連の包装材料としても好適に用い得る。
本発明の熱融着性プロピレン系重合体積層フィルムは、一般的な熱融着性プロピレン系重合体フィルムに比べ、低温ヒ−トシ−ル性により上記性能を十分に発揮できるという特徴を有する。
【0020】
【実施例】
次に本発明を、実施例を通して説明するが、本発明はそれら実施例によって限定されるものではない。
【0021】
本発明における各種試験法および評価法は次の通りである。
(1)ヒートシール強度(N/15mm)
ヒートシール強度を測定する前に、予めフィルムを38℃オ−ブン中で15時間エ−ジングした後放冷した。フィルムの熱融着層面を重ね合せ、シ−ルバ−の当たるラミネ−ト層面に厚さ21μmのセロハンを当てて所定の温度で、幅5mmのシールバーにより、0.2MPaの圧力で1秒間、フィルムの流れ方向に対して直角方向にヒートシールした後放冷した。これから15mm幅の試験片を切り取りクロスヘッド速度500mm/分でヒートシール部を剥離し、その強度をヒートシール強度とした。
(2)ブロッキング性
ブロッキング性を測定する前に、フィルムを38℃のオ−ブン中で15時間エ−ジングした後放冷した。フィルムから20mm×100mm幅の短冊状の試験片を切り取り、熱融着性面を重ね合せたものを5個ずつ作製し、試験片の中央付近で十字方向に直角に市販のプレパラ−トではさむ。試験片とプレパラ−トが重なった5.2cmの面積部分に4kgの荷重をかけ、所定の温度条件で2日間エ−ジングした後、放冷する。その後熱融着層面を重ね合せたものをクロスヘッド速度300mm/分で剪断剥離を行い、最大強度をブロッキング力とした。ブロッキング力をn=5で評価し、平均値をブロッキング力(N/5.2cm)とした。
【0022】
実施例及び比較例で使用した重合体は次の通りである。
(1) プロピレン・エチレンランダム共重合体(1)(PER−1)
エチレン含有量:3.1重量%、Ts:94.0℃、Tp:126.6℃、Te:131.4℃、Te−Ts:37.4℃、Tp−Ts:32.6℃、Mw/Mn:2.7及びMFR:7g/10分。
(2) プロピレン・エチレンランダム共重合体(2)(PER−2)
エチレン含有量:2.8重量%、Ts:97.2℃、Tp:125.6℃、Te:134.2℃、Te−Ts:37.0℃、Tp−Ts:28.4℃、Mw/Mn:1.9及びMFR:7g/10分。
(3) プロピレン・エチレンランダム共重合体(3)(PER−3)
エチレン含有量:3.5重量%、Ts:89.2℃、Tp:120.4℃、Te:126.3℃、Te−Ts:37.1℃、Tp−Ts:31.2℃、Mw/Mn:2.2及びMFR:7g/10分。
(4) プロピレン・エチレン・1−ブテンランダム共重合体(PEBR)
エチレン含有量:2.2重量%、1−ブテン含有量:2.0重量%、Ts:95.4℃、Tp:139.3℃、Te:150.3℃、Te−Ts:54.9℃、Tp−Ts:43.9℃、Mw/Mn:3.9及びMFR:7g/10分。
(5) エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(EBR)
エチレン・1−ブテンランダム共重合体、エチレン含有量:80.2重量%、密度:0.886g/cm、融点:69℃、MFR:4.0g/10分(190℃)。
(6) プロピレン単独重合体(PP)
Tm:160℃、MFR:7.0g/10分(230℃)
【0023】
実施例1
熱融着層としてPER−1を、中間層としてPP:95重量%及びEBR:5重量%とをドライブレンドしたプロピレン重合体組成物を、及びラミネート層としてEBRを夫々用意して別個の押出機に供給し、Tダイ法によって熱融着層/中間層/ラミネ−ト層からなる三層共押出積層フイルムを得た。フィルムの総厚は30μmで、各層の厚みは熱融着層:中間層:ラミネート層=2.0μm:16.0μm:2.0μmであった。
得られた三層共押出積層フイルムの物性等を前記記載の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0024】
実施例2
実施例1の熱融着層に用いたPER−1に代えて、PER−2を用いる以外は実施例1と同様に行い、三層共押出積層フイルムを得た。
得られた三層共押出積層フイルムの物性等の評価結果を表1に示す。
【0025】
実施例3
実施例1の熱融着層に用いたPER−1に代えて、PER−3を用いる以外は実施例1と同様に行い、三層共押出積層フイルムを得た。
得られた三層共押出積層フイルムの物性等の評価結果を表1に示す。
【0026】
比較例1
実施例1の熱融着層に用いたPER−1に代えて、PEBRを用いる以外は実施例1と同様に行い、三層共押出積層フイルムを得た。
得られた三層共押出積層フイルムの物性等の評価結果を表1に示す。
【0027】
【表1】
Figure 0004726394
【0028】
表1から明らかなように、熱融着層に本発明の特定のプロピレン・α―オレフィン共重合体を用いた熱融着性プロピレン系重合体積層フィルム(実施例1、実施例2及び実施例3)従来のプロピレン・α―オレフィン共重合体を用いて得られる積層フィルム(比較例1)に比べて低温ヒ−トシ−ル性に優れているにもかかわらず耐ブロッキング性が優れていることが分る。

Claims (4)

  1. DSCに基づく結晶融解曲線から求められたピーク温度(Tp)が110〜140℃及び融解開始温度(Ts)と融解終了温度(Te)との差(Te−Ts)が45℃未満のプロピレン・α―オレフィン共重合体(A)から得られる熱融着層の片面に、プロピレン単独重合体90〜98重量%と密度が0.875〜0.900g/cmのエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(B)10〜2重量%とのプロピレン系重合体組成物(D)から得られる中間層を介して、密度が0.875〜0.900g/cmのエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(B)から得られるラミネート層を有してなる熱融着性プロピレン系重合体積層フィルム。
  2. エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(B)が、エチレン含有量が70〜95モル%及びX線による結晶化度が5〜40%の範囲にある請求項1記載の熱融着性プロピレン系重合体積層フィルム。
  3. 熱融着性プロピレン系重合体積層フィルムが包装用である請求項1または2に記載の熱融着性プロピレン系重合体積層フィルム。
  4. 熱融着性プロピレン系重合体積層フィルムがスナック食品包装用である請求項3記載の熱融着性プロピレン系重合体積層フィルム。
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