JP4726118B2 - 変性無機微粒子、それを含む硬化性組成物及び積層物 - Google Patents

変性無機微粒子、それを含む硬化性組成物及び積層物 Download PDF

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Description

本発明は、防汚性、耐擦傷性、透明性及び耐久性に優れた硬化被膜となる硬化性組成物に好適な変性無機微粒子、その硬化被膜を有する積層物に関する。
CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、BD(Blu−ray Disk)などの光ディスク表面は、光学特性を維持するために、耐擦傷性を有する硬化被膜が付与されていることが多い。近年、光ディスクの高密度化、高精細化が進んでいる故、そのディスク表面に指紋、皮脂、汗、化粧品等の汚れが付着した際、従来以上に機能を劣化させる要因となっている。このような汚れは、一度付着すると除去することは容易でなく、付着した汚れによって情報信号の記録及び再生に著しい支障が生じるために、大きな問題となる。その解決方法として、パーフルオロアルキル基含有シランと、無機微粒子を含有するハードコート樹脂組成物を用いる手法(特許文献1参照)が開示されているが、無機微粒子に直接結合した十分な量の光重合性基を有していないため、硬化被膜の耐擦傷性、耐久性、及び透明性が不良である。また、(メタ)アクリロイルオキシ基含有シラン、及びパーフルオロアルキル基含有シランで無機微粒子を表面修飾した表面修飾無機微粒子を含有するハードコート樹脂組成物を用いる手法(特許文献2参照)は、表面修飾に使用するパーフルオロアルキル基含有シラン、及び(メタ)アクリロイルオキシ基含有シランの量が少ないため、硬化被膜の防汚性、及び耐擦傷性が不足している。さらに、(メタ)アクリロイル基含有シランで無機微粒子を表面修飾した表面修飾無機微粒子、及び架橋性フッ素系化合物を含有する硬化性組成物の硬化被膜(特許文献3参照)が提案されているが、硬化被膜の防汚性に関する耐久性が十分でないという問題点がある。
特開平10−104403号公報 特開2001−316604号公報 特開2005−112900号公報
本発明の目的は防汚性、耐擦傷性、透明性、及び耐久性に優れた硬化被膜となる硬化性組成物に好適な変性無機微粒子、その硬化被膜を有する積層物を提供することにある。
本発明の第一の要旨は、炭素数3以下のアルコール系溶剤の分散媒中で、分子内に少なくとも1個のフルオロアルキル基またはフルオロアルキレン基を有するアルコール(a1)と、分子内に少なくとも1個のアルコキシシリル基を有するイソシアネート(a2)とから合成されるシリル化合物A、及び下記一般式(1)で示されるシリル化合物B
Figure 0004726118
(式中、Xは(メタ)アクリロイルオキシ基、スチリル基またはビニル基、R は直接結合もしくは炭素数1〜8の直鎖型または分岐型アルキレン基、R 、R は炭素数1〜8の直鎖型または分岐型アルキル基、aは1〜3の整数、bは0〜2の整数を示し、a+bは1〜3の整数である。)を用いて無機微粒子Cを変性する、変性無機微粒子Dの製造方法にある。
また本発明の第二の要旨は、前記方法で得られた無機変性微粒子Dおよび25〜80質量部のエチレン性不飽和化合物Eを含む硬化性組成物(前記変性無機微粒子Dとエチレン性不飽和化合物Eの合計質量部を100質量部とする)にある。
また本発明の第三の要旨は、分子内に少なくとも1個のフルオロアルキル基またはフルオロアルキレン基を有するアルコール(a1)と、分子内に少なくとも1個のアルコキシシリル基を有するイソシアネート(a2)とから合成されるシリル化合物A、及び下記一般式(1)で示されるシリル化合物B
Figure 0004726118
(式中、Xは(メタ)アクリロイルオキシ基、スチリル基またはビニル基、R は直接結合もしくは炭素数1〜8の直鎖型または分岐型アルキレン基、R 、R は炭素数1〜8の直鎖型または分岐型アルキル基、aは1〜3の整数、bは0〜2の整数を示し、a+bは1〜3の整数である。)を用いて無機微粒子Cを変性した変性無機微粒子D、および25〜80質量部のエチレン性不飽和化合物Eを含む硬化性組成物(前記変性無機微粒子Dとエチレン性不飽和化合物Eの合計質量部を100質量部とする)にある。
さらに、本発明の第四の要旨は、無機微粒子Cの100質量部に対し、シリル化合物Aとシリル化合物Bの合計質量部が60〜10000質量部である前記硬化性組成物にあり、第五の要旨は、前記硬化性組成物の硬化被膜を有する積層物にあり、第六の要旨は、前記積層物からなる光ディスクにある。
本発明の変性無機微粒子を含む硬化性組成物は、防汚性、耐擦傷性、透明性、及び耐久性にも優れる硬化被膜を得ることができ、光ディスク等の積層物における硬化被膜に好適である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の変性無機微粒子Dは、防汚性、耐擦傷性、透明性、及び耐久性に優れた硬化被膜となる硬化性組成物に好適なものである。
本発明の変性無機微粒子Dの変性に用いるシリル化合物Aは、分子内に少なくとも1個のフルオロアルキル基またはフルオロアルキレン基を有するアルコール(a1)と、分子内に少なくとも1個のアルコキシシリル基を有するイソシアネート(a2)とから合成されるシリル化合物Aである。即ち、シリル化合物Aは、分子内に少なくとも1個のフルオロアルキル基またはフルオロアルキレン基を有するアルコール(a1)と、分子内に少なくとも1個のアルコキシシリル基を有するイソシアネート(a2)とをウレタン結合して得られる化合物である。
このシリル化合物Aは、無機微粒子Cを変性し、硬化被膜としての防汚性能に寄与する成分である。
アルコール(a1)としては、分子内に少なくとも1個のフルオロアルキル基またはフルオロアルキレン基を有していれば特に限定されるものではない。
アルコール(a1)の具体例としては、H(CF2)3CH2OH、CF3(CF2)3CH2OH、CF3(CF2)5CH2CH2OH、CF3(CF2)6CH2CH2OH、H(CF2)7CH2CH2OH、CF3(CF2)7CH2CH2OH、CF3(CF2)7O(CHCHO)10H、CF3(CF2)8CH2CH2OH、CF3(CF2)O(CHCHO)10H、CF3(CF2)9CH2CH2OH、CF3(CF2)9O(CH2CH2O)10H、CF3(CF2)10CH2CH2OH、CF3(CF2)10O(CH2CH2O)10H、CF3(CF2)11CH2CH2OH、CF3(CF2)14CH2CH2OH、H(CF2)14CH2CH2OH、CF3(CF2)14O(CH2CH2O)10H、CF3(CF2)17CH2CH2OH、CF3(CF2)17O(CH2CH2O)10H、CF3(CF2)17O(CH2CH2O)12H、CF3(CF2)17O(CH2CH2O)27H、(CF3)2CF(CF2)5CH2CH2OH、CF3(CF2)7SO2N(C37)CH2CH2OH、CF3(CF2)7SO2N(CH3)CH2CH2OH、CF3(CF2)7SO2N(C25)CH2CH2OH、CF3(CF2)7CONHCH2CH2OH、(CF3)2CF(CF2)2CH2CH2OH、(CF3)2CF(CF2)6CH2CH2OH、(CF3)2CF(CF2)6CH2CH(OCOCH3)OH、(CF3)2CF(CF2)6CH2CH(OH)CH2OH、CF3(CF2)5CH2CH(OH)CH2OH、及びCF3(CF2)7CH2CH(OH)CH2OH等が挙げられる。これらは併用することもできる。これらの中でも、CF3(CF2)5CH2CH2OH、CF3(CF2)7CH2CH2OH、CF3(CF2)9CH2CH2OH、CF3(CF2)11CH2CH2OHが、入手の容易さ、及びイソシアネート(a2)との反応性が優れる点で好ましい。
シリル化合物Aを得るために用いるイソシアネート(a2)は、アルコール(a1)と付加反応する成分である。このイソシアネート(a2)としては、分子内に少なくとも1個のアルコキシシリル基を有するものであれば特に限定されるものではない。
イソシアネート(a2)の具体例としては、2−イソシアネートエチルメチルジメトキシシラン、2−イソシアネートエチルトリメトキシシラン、2−イソシアネートエチルトリエトキシシラン、3―イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、3―イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3―イソシアネートプロピルトリエトキシシラン,4―イソシアネートブチルメチルジメトキシシラン、4―イソシアネートブチルトリメトキシシラン、4―イソシアネートブチルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらは併用することもできる。これらの中でも、3―イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3―イソシアネートプロピルトリエトキシシランが、入手の容易さ、アルコール(a1)との反応性が優れる点で好ましい。
シリル化合物Aは、例えば、以下のようにして合成することができる。アルコール(a1)1モルに対してイソシアネート(a2)を、0.01〜10モル、より好ましくは0.1〜5モル混合し、0〜100℃で攪拌してシリル化合物Aを合成する。この際、反応を促進させる目的で、塩基、錫系等の触媒を用いてもよい。
シリル化合物Aとともに無機微粒子Cを変性するシリル化合物Bは、下記一般式(1)で示される。
Figure 0004726118
(式中、Xは(メタ)アクリロイルオキシ基、スチリル基またはビニル基、Rは直接結合もしくは炭素数1〜8の直鎖型または分岐型アルキレン基、R、Rは炭素数1〜8の直鎖型または分岐型アルキル基、aは1〜3の整数、bは0〜2の整数を示し、a+bは1〜3の整数である。)なお、「(メタ)アクリ」とは「アクリ」と「メタクリ」との総称である。
その具体例としては、例えば、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、2−メタクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、2−アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、2−メタクリロイルオキシエチルトリエトキシシラン、2−アクリロイルオキシエチルトリエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、スチリルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられる。
これらは、併用することができる。
これらの中でも、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが、無機微粒子Cを良好に変性できる点、硬化性良好な変性無機微粒子Dを得る点で好ましい。
本発明の変性無機微粒子Dは、特定のシリル化合物A、及びシリル化合物Bを用いて無機微粒子Cを変性したものである。無機微粒子Cとしては、特に限定されないが、鉄、アルミ、金、銀、銅、珪素、ゲルマニウム等の金属微粒子もしくは半金属微粒子またはその合金微粒子、SiO2、Al23、TiO2、ZrO2、SnO2、ZnO、Sb23、Sb25等の金属酸化微粒子もしくは非金属酸化物微粒子、またはその複合酸化物微粒子等が使用可能であり、中でも得られる硬化被膜の透明性と耐擦傷性に優れる点で、SiO2が特に好ましい。また、取り扱いの容易さ、変性の容易さから、それらの微粒子を水または有機溶剤に分散させた分散媒を使用することが好ましい。
無機微粒子Cの分散に使用される分散媒の具体例としては、例えば水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、イソブタノール、n−ブタノールなどのアルコール系溶剤;エチレングリコールなどの多価アルコール系溶剤;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどの多価アルコール誘導体;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコールなどのケトン系溶剤などが挙げられる。
これらの中でも、炭素数3以下のアルコール系溶剤が、種々の溶剤に置換しやすいため、好ましい。
本発明において、変性される無機微粒子Cの平均一次粒子径は1〜200nmの範囲であることが好ましい。無機微粒子Cの平均一次粒子径が1nm以上の場合には、シリル化合物A、シリル化合物Bによる変性工程においてゲル化を防止することができる。また、平均一次粒子径が200nm以下の場合には、変性無機微粒子Dを含む硬化被膜の透明性が向上する。中でも、特に5〜80nmの範囲が好ましい。
無機微粒子Cの変性方法は、特に限定されないが、好ましくは、無機微粒子Cの分散液、シリル化合物A、シリル化合物B、及び水を混合し、常温または加熱下で、シリル化合物A、及びシリル化合物Bを加水分解した後、無機微粒子Cの表面の活性基と、シリル化合物A、及びシリル化合物Bの加水分解生成物のシラノール基とを縮合反応させて、生じる水を反応系外に留去させて、無機微粒子Cを変性し、その表面が修飾された変性無機微粒子Dを合成する方法が挙げられる。
シリル化合物Aとシリル化合物Bは、好ましくは0.01:99.99〜50:50、より好ましくは1:99〜20:80のモル比となるように混合して用いられる。これらのモル比を満足することによって、防汚性、及び耐擦傷性の効果を十分に発揮させることができる。
また、無機微粒子Cの100質量部に対し、シリル化合物Aとシリル化合物Bとの合計質量部は、好ましくは60〜10000質量部の範囲、より好ましくは60〜1000質量部の範囲である。このとき、シリル化合物Aとシリル化合物Bとの合計質量部が、60質量部以上の場合には、硬化被膜の防汚性、及び耐擦傷性が良好となる。10000質量以下の場合には、無機微粒子Cの表面を変性できないシリル化合物Aとシリル化合物Bが少なくなって、硬化被膜の透明性が向上する。
以下、変性無機微粒子Dの合成方法について、具体例を挙げて詳細に説明する。
無機微粒子C、無機微粒子Cの分散媒、シリル化合物A、及びシリル化合物Bの共存下、シリル化合物Aとシリル化合物Bの合計1モルに対して、0.5〜6モルの水、あるいは塩酸または酢酸を1×10−9〜1×10−2モル含む水溶液等の加水分解触媒を加え、シリル化合物A、及びシリル化合物Bの加水分解生成物を取得する。
次いで行われる縮合反応は、以下の如く行えばよい。
具体的には、無機微粒子Cとシリル化合物A、及びシリル化合物Bの加水分解生成物との縮合反応で生じる水を、反応系外に留去させる。縮合反応で生じる水を反応系外に留去させる方法として、トルエン等の非極性溶媒を加え、この非極性溶媒、水、および無機微粒子Cの分散媒を、ディーンスタークを用いて共沸留出させることで、無機微粒子Cの表面に、シリル化合物A、及びシリル化合物Bを十分に脱水縮合させることが重要である。この際、縮合反応を促進させる目的で、水や、酸、塩基、塩等の触媒を用いてもよい。また、このときの反応系内の固形分濃度は、得られる変性無機微粒子Dの安定性の観点から、30〜90質量%、好ましくは50〜80質量%に保持することが好ましい。
このようにして、防汚性を発現するシリル化合物A、及び光重合性基を有するシリル化合物Bを無機微粒子Cに直接結合させ、無機微粒子Cを変性することで、耐擦傷性を低下させず、またその耐久性が良好な変性無機機微粒子Dを得ることができる。
本発明の変性無機微粒子Dは、ウレタン結合を有さないシリル化合物で変性された変性無機微粒子と比較して、防汚性、耐擦傷性、透明性、及び耐久性に優れた硬化被膜を得るために好適である。
本発明の硬化性組成物は変性無機微粒子Dを含むものであるが、変性無機微粒子Dとともに、硬化被膜を形成するエチレン性不飽和化合物Eを含むことが好ましい。エチレン性不飽和化合物Eは、変性無機微粒子Dと併用することで、硬化性組成物の硬化性を良好とし、基材との密着性を付与し、耐擦傷性を発現する。
エチレン性不飽和化合物Eの具体例としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリスエトキシレーテッドトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシレーテッドペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシレーテッドペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビス(2−アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエトキシレーテッドビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリプロポキシレーテッドビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチルビシクロヘプタン、アダマンチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、テトラシクロドデカニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのγ−ブチロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリレートと、シクロヘキサンジメタノールのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタンジオールのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類;
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1,3−ビスイソシアナトメチルシクロヘキサン、1,4−ビスイソシアナトメチルシクロヘキサン、ノルボルナンジイソシアネートやこれらの二量体や三量体等のイソシアネート化合物の1種または2種以上の混合物に、分子中に1個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基、および1個のイソシアネート反応性ヒドロキシ基を有するヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートの1種または2種以上の混合物を反応させたウレタンポリ(メタ)アクリレート類等が挙げられる。これらの化合物は、併用することができる。
これらの中でも、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレ−ト、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレ−ト、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリト−ルテトラ(メタ)アクリレ−ト、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレ−ト、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを反応させたウレタントリ(メタ)アクリレート等が硬化性、及び得られる硬化被膜の耐擦傷性に優れるため特に好ましい。
本発明の硬化性組成物において、エチレン性不飽和化合物Eの配合量は、変性無機微粒子Dおよびエチレン性不飽和化合物Eの合計質量部を100質量部としたとき、好ましくは5〜90質量部、より好ましくは25〜80質量部、さらに好ましくは35〜70質量部の範囲である。エチレン性不飽和化合物Eの配合量が、5質量部以上の場合には、硬化性、及び硬化被膜と基材との密着性が良好となり、また、90質量部以下の場合には硬化被膜の耐擦傷性、及び防汚性が良好となる。
本発明の硬化性組成物は、さらに、熱重合開始剤、光重合開始剤などの重合開始剤Fを含有することが好ましい。
熱重合開始剤の具体例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物、上記過酸化物にN,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン等のアミン類を組み合わせたレドックス重合開始剤が挙げられる。
また、必要に応じて、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸マンガン、オクチル酸ニッケル等の金属石鹸類も使用可能である。
また、光重合開始剤の具体例としては、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノンや、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン類;ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド類;メチルベンゾイルホルメート、1,7−ビスアクリジニルヘプタン、9−フェニルアクリジン等が挙げられる。また、必要に応じて、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸アミル、4−ジメチルアミノアセトフェノン等公知の光増感剤も使用可能である。
これらの重合開始剤Fは併用することができる。本発明の変性無機微粒子Dおよびエチレン性不飽和化合物Eの合計量100質量部に対して、好ましくは0.01〜20質量部の範囲、特に好ましくは0.1〜10質量部の範囲で配合される。
本発明の硬化性組成物には、その他、フッ素系化合物、レベリング剤、消泡剤、離型剤、滑剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、難燃助剤、重合禁止剤、充填剤、希釈溶剤、顔料、染料、シランカップリング剤等、公知の添加剤を用途に応じて適宜使用可能である。
本発明の硬化性組成物は、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、シアヌル酸トリアリルエステル、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミド、シクロオレフィンポリマー等の樹脂からなる基材の表面に塗布して硬化させることによって、防汚性、耐擦傷性、透明性、及び耐久性に優れた硬化被膜を有する積層物を得ることができる。
硬化性組成物の塗布方法としては、ワイヤーバー方式、ディップコート方式、スピンコート方式、グラビア方式、マイクログラビア方式等が挙げられる。
その硬化性組成物の硬化方法としては、前記硬化性組成物を基材に塗布した後、20〜100℃で、1〜30分間、希釈溶剤を乾燥させた後、活性エネルギー線を照射して硬化する方法等が挙げられる。硬化皮膜の厚みは0.5〜10μmの範囲内が好ましい。
本発明の積層物としては、光ディスク、フィルム、光学レンズ、光学フィルター、及び液晶ディスプレー、CRTディスプレー、プラズマディスプレー、ELディスプレー等の各種表示素子等が挙げられる。それらのなかでも、防汚性、耐擦傷性、透明性、及び耐久性を発現する点から光ディスクが好適である。
以下、実施例に基づいてさらに詳細に説明する。
<合成例1;シリル化合物(A−1)の合成>
アルコール(a1)として2−(パーフルオロオクチル)エタノール(商品名:A−1820、ダイキン工業(株)製)を46.4g(0.10モル)、触媒としてモノブチル錫脂肪酸塩(商品名:S−CAT−24、三共有機合成(株)製)を0.007g、溶媒として脱水テトラヒドロフラン50gを加えて窒素雰囲気下、70℃で攪拌し、イソシアネート(a2)として3―イソシアネートプロピルトリメトキシシラン(商品名:Y−5187、日本ユニカー(株)製)22.6g(0.11モル)を滴下ロートで少しずつ添加し、70℃で1.5時間攪拌した。減圧濃縮によりテトラヒドロフランを留出後、パーフルオロアルキル鎖及びウレタン結合を有するシリル化合物(A−1)を65.9g得た。純度はガスクロマトグラフィー(面積百分率)で92質量%であることを確認した。
<合成例2;シリル化合物(A−2)の合成>
アルコール(a1)として2−(パーフルオロデシル)エタノール(商品名:A−2020、ダイキン工業(株)製)を56.4g(0.10モル)、触媒としてジブチル錫ラウレート(商品名:STANN BL,三共有機合成(株)製)を0.008g、溶媒として脱水テトラヒドロフラン50gを加えて窒素雰囲気下、70℃で攪拌し、イソシアネート(a2)として3―イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(商品名:A−1310、日本ユニカー(株)製)を27.2g(0.11モル)を滴下ロートで少しずつ添加し、70℃で8時間攪拌した。減圧濃縮によりテトラヒドロフランを留出後、パーフルオロアルキル鎖及びウレタン結合を有するシリル化合物(A−2)を81.2g得た。純度はガスクロマトグラフィー(面積百分率)で95質量%であることを確認した。
<合成例3;シリル化合物(A−3)の合成>
アルコール(a1)として2−(パーフルオロヘキシル)エタノール(商品名:A−1620、ダイキン工業(株)製)を36.4g(0.10モル)、イソシアネート(a2)として3―イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(商品名:A−1310、日本ユニカー(株)製)を27.2g(0.11モル)を混合し、窒素雰囲気下、80℃で10時間攪拌し、パーフルオロアルキル鎖及びウレタン結合を有するシリル化合物(A−3)を60.2g得た。純度はガスクロマトグラフィー(面積百分率)で95質量%であることを確認した。
<合成例4;変性無機微粒子D−1の合成>
ディーンスターク、攪拌機、温度計、空気導入管、及びコンデンサーを備えたフラスコ内に、メタノール分散シリカゾル(分散媒;メタノール、SiO濃度;30質量%、平均一次粒子径;12nm、商品名:MT−ST,日産化学工業(株)製)1200質量部、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−503、信越化学工業(株)製)(以下、「KBM−503」と略記する。)228質量部、前記シリル化合物(A−1)7.2質量部、及び純水を30質量部仕込み、エアーバブリング中、環流下で2時間加水分解を行った。
加水分解終了後、ディーンスタークを用いて、メタノール、水等の揮発成分を留出させ、固形分濃度が60質量%の時点でトルエン700質量部を追加し、メタノール、水等をトルエンと一緒に共沸留出させながら、前記シリカゾルとシリル化合物(A−1)、及びKBM−503の加水分解生成物の脱水縮合反応を行った。次にトルエン1500質量部を2回にわけて追加し、共沸留出を繰り返し、完全に溶媒置換を行って、フラスコ内容物をトルエン分散系とした。このときの固形分濃度は50質量%であった。
さらに、トルエンを還流させながら脱水縮合を十分に行い、110℃で4時間反応させて、固形分濃度は60質量%になるようにトルエンを留去して調製した。この後さらに1−メトキシ−2−プロパノール1000質量部を追加し、トルエンを共沸留出させ溶媒置換を行い、1−メトキシ−2−プロパノール分散系とした。得られた変性無機微粒子(以下「D−1」と略記する。)は、黄色状で粘稠な液体であり、25℃の粘度が30mP・sであった。また、固形分濃度は60質量%であった。
なお、固形分濃度は、(加熱後質量(g)/加熱前質量(g))×100(質量%)で示し、加熱条件は130℃で2時間である。
<合成例5;変性無機微粒子D−2の合成>
KBM−503を219質量部、シリル化合物(A−1)を31質量部とすること以外は、合成例4<変性無機微粒子D−1の合成>と同様に合成を行い、変性無機微粒子D−2を得た。
<合成例6;変性無機微粒子D−3の合成>
シリル化合物(A−1)7.2質量部の代わりに、前記シリル化合物(A−2)を8.7質量部用いること以外は、合成例4<変性無機微粒子D−1の合成>と同様に合成を行い、変性無機微粒子D−3を得た。
<合成例7;変性無機微粒子D−4の合成>
シリル化合物(A−1)7.2質量部の代わりに、前記シリル化合物(A−3)を6.6質量部用いること以外は、合成例4<変性無機微粒子D−1の合成>と同様に合成を行い、変性無機微粒子D−4を得た。
<合成例8;変性無機微粒子D’−1の合成>
KBM−503を230質量部とし、シリル化合物Aを使用しないこと以外は、合成例4<変性無機微粒子D−1の合成>と同様に合成を行い、変性無機微粒子D’−1を得た。
<合成例9;変性無機微粒子D’−2の合成>
2−(パーフルオロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(商品名:TSL8257、GE東芝シリコーン(株)製)(以下、「TSL8257」と略記する。)70質量部、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−5103、信越化学工業(株)製)(以下、「KBM−5103」と略記する。)30質量部に対し、イソプロパノールを37質量部加え、攪拌した後、0.05規定の塩酸水溶液29mlを10℃で30分かけて滴下し、さらに常温で6時間攪拌することによって、TSL8257とKBM−5103の加水分解生成物を得た。ついで、TSL8257とKBM−5103の加水分解溶液50質量部とイソプロパノール分散シリカゾル(分散媒;イソプロパノール、SiO2濃度;30質量%、平均一次粒子径;12nm、商品名:IPA−ST,日産化学工業(株)製)200質量部を混合し、常温で4時間攪拌して、変性無機微粒子D’−2を得た。
[実施例1]
変性無機微粒子D−1を83.3質量部(うち、固形分50質量部)、エチレン性不飽和化合物Eとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名:カヤラッドDPHA、日本化薬(株)製)(以下、「DPHA」と略記する。)50質量部、重合開始剤Fとして光重合開始剤(商品名:イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)(以下、「IRG907」と略記する。)を6質量部、及びシリコーン系レベリング剤(商品名:L−7001、日本ユニカー(株)製)を0.1質量部、混合し、固形分濃度が60質量%になるように希釈溶媒として1−メトキシ−2−プロパノールを添加し、硬化性組成物溶液を調製した。
該組成物を、厚さ100μmのプライマー付きPETフィルム(商品名:A−4100、東洋紡(株)製)上のプライマー処理面にバーコータにて塗装し、80℃2分間の条件で希釈溶剤を乾燥させた後に、高圧水銀灯を用いてランプ高さ15cm、及び積算光量(光量計はオーク(株)製UV351を用いて測定)1000mJ/cmの条件で硬化させ、硬化膜厚3μmの硬化被膜付きPETフィルムを製造した。
<耐擦傷性の評価>
得られた硬化被膜付きPETフィルムの硬化皮膜面側について、JIS K5600(摩耗輪法)に準拠し、摩耗輪CS−10F、荷重500g、回転数500サイクルの条件で耐擦傷性テストを行った後、中性洗剤を用いて洗浄し、ヘーズメータ(商品名:NDH2000、日本電色工業(株)製)で曇価を測定し、テスト前後の曇価の差より、以下の基準に従い、耐擦傷性を評価した。その結果、テスト前の曇価は0.2%、テスト後の曇価は6.2%で、良好な耐擦傷性を有していることが示された。なお、評価結果は小数第一位を四捨五入した数値として表1に示した。
○:増加値が10%以下
×:増加値が10%を超える場合
<透明性の評価>
得られた硬化被膜付きPETフィルムについて、ヘーズメータ(商品名:NDH2000、日本電色工業(株)製)を用い、全光線透過率を測定し、以下の基準に従い、透明性の評価をした。その結果、全光線透過率は92%で、良好な透明性を有していることが示された。評価結果を表1に示した。
○:90%以上(良好)
×:90%未満(不良)
<防汚性の評価>
硬化被膜付きPETフィルムの硬化被膜表面への、水や油汚れの付着のしやすさ(防汚性)を、水、及びトリオレイン(和光純薬(株)製)の接触角で評価を行った。接触角が高い場合、硬化被膜付きPETフィルムの硬化被膜表面において、水や油汚れが付着しにくく、防汚性が良好であることを示す。
<水の接触角>
得られた硬化被膜付きPETフィルムを23℃、相対湿度50%の環境下において、硬化被膜表面へ純水1μlを1滴で滴下し、接触角測定器(商品名:Drop Master300、協和界面科学(株)製)を用いて水と硬化被膜付きPETフィルムの硬化被膜表面の接触角を測定し、以下の基準に従い、防汚性の評価をした。その結果、接触角は102°で良好な防汚性を有していることが示された。評価結果を表1に示した。
○:95°以上(良好)
×:95°未満(不良)
<トリオレインの接触角>
純水の代わりにトリオレインを使用すること以外は、水の接触角の測定と同様に、トリオレインと硬化被膜付きPETフィルムの硬化被膜表面の接触角を測定し、以下の基準に従い、防汚性の評価をした。その結果、接触角は57°で良好な防汚性を有していることが示された。評価結果を表1に示した。
○:55°以上(良好)
×:55°未満(不良)
<密着性の評価>
得られた硬化被膜付きPETフィルムの硬化被膜面について、JIS K5600クロスカット法(すきま間隔1mm)により、以下の基準に従い、密着性の評価をした。その結果、100/100で、良好な密着性を有していることが示された。評価結果を表1に示した。
○:80/100以上(良好)
×:80/100未満(不良)
<耐久性の評価>
硬化被膜付きPETフィルムが、長時間、高温、高湿下の条件にさらされた場合、硬化被膜付きPETフィルムの硬化被膜表面の防汚性(トリオレインの接触角)が、保持されているかどうか確認するため、下記条件で耐久性の評価を行った。
得られた硬化被膜付きPETフィルムを、80℃、相対湿度85%、200時間の環境下にさらした後、トリオレインと硬化被膜付きPETフィルムの硬化被膜表面の接触角を測定し、以下の基準に従い、耐久性の評価をした。その結果、56°で良好な耐久性を有していることが示された。評価結果を表1に示した。
○:耐久性評価前後の接触角低下が5°以下(良好)
×:耐久性評価前後の接触角低下が5°を超える(不良)
[実施例2〜8]
表1、表2の実施例2〜8の組成物欄に示した硬化性組成物を用いること以外は、実施例1と同様に評価した結果を表1、表2の結果欄にそれぞれ示す。なお、表1、表2の組成物欄には、希釈溶剤以外の固形分のみの組成を示した。
[実施例9]
変性無機微粒子D−1を83.3質量部(うち、固形分50質量部)、エチレン性不飽和化合物EとしてDPHA50質量部、重合開始剤FとしてIRG907を8質量部、及びシリコーン系レベリング剤(商品名:ペインタッド29、ダウコーニングアジア(株)製)を5質量部混合し、固形分濃度が60質量%になるように1−メトキシ−2−プロパノールを添加し、硬化性組成物溶液(表2中、実施例9の組成物)を調製した。
該組成物を、直径120mmφ、厚さ1.2mmの光ディスク用ポリカーボネート製透明基板上にスピンコータを用いて塗装し、80℃2分間の条件で希釈溶剤を乾燥させた後に、高圧水銀灯を用いてランプ高さ15cm、及び積算光量(光量計はオーク(株)製UV351を用いて測定)1000mJ/cm2の条件で硬化させ、硬化膜厚2μmの硬化被膜付き光ディスク用透明基板を作製した。
その後、実施例1と同様に耐擦傷性、透明性、水の接触角、トリオレインの接触角、密着性、耐久性を評価した結果を表2に示した。
[比較例1〜3]
表3の比較例1〜3に示した硬化性組成物を用いること以外は、実施例1と同様に評価した結果を表3の結果欄にそれぞれ示す。
[比較例4]
基材である厚さ100μmのPETフィルムについて、塗装を行わずに、実施例1と同様に評価した結果を表3の結果欄に示す。
[比較例5]
表3の比較例5に示した硬化性組成物を用いること以外は、実施例9と同様に評価した結果(耐擦傷性、透明性、水の接触角、トリオレインの接触角、密着性、耐久性について)を表3の結果欄にそれぞれ示す。
[比較例6]
変性無機微粒子D’−2を1.6質量部(うち、固形分0.6質量部)、エチレン性不飽和化合物EとしてDPHA20質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート(商品名:NKエステル A−TMM−3LM−N,新中村化学(株)製)60質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(商品名:NKエステル A−TMPT,新中村化学(株)製)20質量部、重合開始剤FとしてIRG907を4質量部、イソプロパノール40質量部、混合し、固形分濃度72質量%の硬化性組成物溶液を調製した。
その重合性組成物を、厚さ100μmのプライマー付きPETフィルム(商品名:A−4100、東洋紡(株)製)上のプライマー処理面にバーコータにて塗装し、80℃2分間の条件で希釈溶剤を乾燥させた後に、高圧水銀灯を用いてランプ高さ15cm、及び積算光量(光量計はオーク(株)製UV351を用いて測定)400mJ/cmの条件で硬化させ、硬化膜厚5μmの硬化被膜付きPETフィルムを製造した。その後、実施例1と同様に耐擦傷性、透明性、水の接触角、トリオレインの接触角、密着性、耐久性を評価した結果を表3に示した。
Figure 0004726118
Figure 0004726118
Figure 0004726118
なお、表中の略号は、以下の通りである。
D−1:合成例4で得た変性無機微粒子
D−2:合成例5で得た変性無機微粒子
D−3:合成例6で得た変性無機微粒子
D−4:合成例7で得た変性無機微粒子
D’−1:合成例8で得た変性無機微粒子
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名:カヤラッドDPHA、日本化薬(株)製)
U306H:脂肪族系ウレタンアクリレート(商品名:U−306H、共栄社化学(株)製)
A−HD−N:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(商品名:NKエステル A−HD−N、新中村化学(株)製)
IRG907:光重合開始剤(商品名:イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
IRG184:光重合開始剤(商品名:イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
IRG127:光重合開始剤(商品名:イルガキュア127、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
ART4:パーフルオロポリエーテルジアクリレート(商品名:ART4、共栄社化学(株)製)
F470:フッ素系化合物(商品名:メガファックF470、大日本インキ化学工業(株)製)
L−7001:シリコーン系レベリング剤(商品名:L−7001、日本ユニカー(株)製)
P29:シリコーン系レベリング剤(商品名:ペインタッド29、ダウコーニングアジア(株)製)
MT−ST:メタノール分散シリカゾル(商品名:MT−ST、日産化学工業(株)製)
KBM−7803:2−(パーフルオロオクチル)エチルトリメトキシシラン(商品名:KBM−7803、信越化学工業(株)製)

Claims (6)

  1. 炭素数3以下のアルコール系溶剤の分散媒中で、分子内に少なくとも1個のフルオロアルキル基またはフルオロアルキレン基を有するアルコール(a1)と、分子内に少なくとも1個のアルコキシシリル基を有するイソシアネート(a2)とから合成されるシリル化合物A、及び下記一般式(1)で示されるシリル化合物B
    Figure 0004726118
    (式中、Xは(メタ)アクリロイルオキシ基、スチリル基またはビニル基、Rは直接結合もしくは炭素数1〜8の直鎖型または分岐型アルキレン基、R、Rは炭素数1〜8の直鎖型または分岐型アルキル基、aは1〜3の整数、bは0〜2の整数を示し、a+bは1〜3の整数である。)を用いて無機微粒子Cを変性する、変性無機微粒子Dの製造方法。
  2. 請求項1記載の方法で得られた無機変性微粒子Dおよび25〜80質量部のエチレン性不飽和化合物Eを含む硬化性組成物(前記変性無機微粒子Dとエチレン性不飽和化合物Eの合計質量部を100質量部とする)。
  3. 分子内に少なくとも1個のフルオロアルキル基またはフルオロアルキレン基を有するアルコール(a1)と、分子内に少なくとも1個のアルコキシシリル基を有するイソシアネート(a2)とから合成されるシリル化合物A、及び下記一般式(1)で示されるシリル化合物B
    Figure 0004726118
    (式中、Xは(メタ)アクリロイルオキシ基、スチリル基またはビニル基、Rは直接結合もしくは炭素数1〜8の直鎖型または分岐型アルキレン基、R、Rは炭素数1〜8の直鎖型または分岐型アルキル基、aは1〜3の整数、bは0〜2の整数を示し、a+bは1〜3の整数である。)を用いて無機微粒子Cを変性した変性無機微粒子D、および25〜80質量部のエチレン性不飽和化合物Eを含む硬化性組成物(前記変性無機微粒子Dとエチレン性不飽和化合物Eの合計質量部を100質量部とする)。
  4. 無機微粒子Cの100質量部に対し、シリル化合物Aとシリル化合物Bの合計質量部が60〜10000質量部である請求項2または3記載の硬化性組成物。
  5. 請求項2〜4のいずれか一項に記載の硬化性組成物の硬化被膜を有する積層物。
  6. 請求項5に記載の積層物からなる光ディスク。
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