JP4725258B2 - 駆動回路 - Google Patents

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Description

本発明は、デバイスに所定の駆動電流を流す駆動回路に関する。
図15に、電流駆動デバイスの代表である半導体レーザの検査時における駆動回路とレーザとの接続図を示す。
DUT(Device Under Test:被検査デバイス)である半導体レーザ21のアノードAにコンタクトプローブ22aが接触し、カソードKにコンタクトプローブ22bが接触している。
駆動回路51は、コンタクトプローブ22aおよび22bに接続し、半導体レーザ21に所定の電流を流し、コンタクト不良時に当該電流を遮断するための回路である。
なお、図15においてコンタクトプローブを保持するハウジング等は図示していない。
駆動回路51は様々な形態があるが、図15は、その代表的な一例を示すものである。
図示例の駆動回路51は、出力電流を決めるリファレンス電源52(参照電圧Vref)、リファレンス抵抗53(抵抗値Rset)、差動増幅回路54、および、トランジスタ57を有する。
トランジスタ57は、電源電圧Vccの供給ライン55とコンタクトプローブ22aとの間に接続されている。リファレンス電源52が差動増幅回路54の非反転入力「+」と接地電圧との間に接続され、リファレンス抵抗53が差動増幅回路54の反転入力「−」と接地電圧との間に接続されている。差動増幅回路54は電源電圧Vccの供給ライン55と電源電圧Veeの供給ライン56とに接続され、これらの電圧によって動作し、その出力がトランジスタ57のゲートに接続されている。また、リファレンス抵抗53と差動増幅回路54との接続点がコンタクトプローブ22bに接続されている。
ここで半導体レーザ21のアノードAとカソードK間の電圧を「V」とおく。
差動増幅回路54の差動ゲインおよびNPN型のトランジスタ57の直流増幅率Hfeを無限大と仮定すると、半導体レーザ21の駆動電流Iopは、次式(1)で表される。
[数1]
Iop=Vref/Rset…(1)
半導体レーザ21を検査する場合、コンタクトプローブ22aおよび22bを半導体レーザ21の電極に接触させ、駆動回路51からの駆動電流Iopを半導体レーザ21に供給する。これにより半導体レーザ21が発光する。
この状態の半導体レーザ21に対して、エージングなどを行いながら所定の検査を実施する。
ところで、半導体レーザ21と駆動回路51が接続された状態で、何らかの原因で、コンタクトプローブ22a及び/又は22bが半導体レーザ21の端子から離れて非導通状態(コンタクト不良)が発生することがある。
図16に、図15を簡略化した等価回路を示す。
図16において、図15に示す駆動回路51を電流源1に置き換えて表示している。電流源1の電源は電源電圧Vccの供給ライン55から供給されている。また、図15に示すコンタクトプローブ22aおよび22bを、図16においてはスイッチS22に置き換えて表示している。
電流源1からスイッチS22までの電流駆動ライン間に容量Cstrayが接続されている。容量Cstrayは、電流駆動ラインに存在する浮遊容量、サージ電流除去などのため意図的に入れた容量(不図示)などの総和を表す。
スイッチS22がオンした状態で半導体レーザ21に供給されていた駆動電流Iopは、スイッチS22のオフ(コンタクト不良発生)により供給経路を断たれる。
すると、半導体レーザ21を流れる電流Iopは0[mA]になるが、駆動回路は定電流源であることから、無限大の抵抗に一定の電流を流そうと動作する。このため、電流源1からスイッチS22までのラインの電圧Vは急激に上昇し、最悪の場合、電流源1が出せる最大の電圧である電源電圧(電源電圧Vcc)近くまで上昇する。
図17に、駆動回路の出力が電源電圧(電源電圧Vcc)近くまで上昇した瞬間における等価回路を示す。
この時、容量Cstrayは、そのスイッチ側のノード電圧Vが電源電圧Vcc近くになるまで電荷がチャージされる。
その後再び、スイッチS22が半導体レーザ21の端子に接触して導通状態になると、導通した直後に半導体レーザ21に定格の駆動電圧以上の電圧が印加される。このため、半導体レーザ21に瞬間的に過電流(突入電流またはサージ電流という)Isurgeが流れる。
たとえば、電源電圧Vccを15[V]、電流源1の出力電流制限抵抗R10を約1[MΩ]、半導体レーザ21を便宜上、等価直列抵抗Rdと動作電圧Vopに相当する電圧源とし、その値をそれぞれ30[Ω]、4.5[V]とする。
この場合、スイッチS22が閉じた瞬間の半導体レーザ21へ流れる過電流Isurgeは次式(2)により計算できる。
[数2]
Isurge=(15−4.5)[V]/30[Ω]
=350[mA] …(2)
図18に、コンタクトプローブが導通状態から非導通状態になり、さらに導通状態に変化した場合に、電流源1の出力電圧Vと、半導体レーザ21に流れる電流(駆動電流Iop,過電流Isurge)との時間変化を示す。
この図から、コンタクトプローブが非導通状態から導通状態に変化した瞬間に駆動電流Iopより数倍も大きい過電流Isurgeが流れることがわかる。
その結果、半導体レーザ21は定格以上の光出力を発生することになって、半導体レーザ21が劣化してしまう。また、過電流Isurgeの大きさによっては、半導体レーザ21が一気に熱破壊されることも起こりうる。
この過渡的な電流(過電流Isurge)は、図17に示す容量Cstrayによるものである。なぜなら電流源1の出力電流制限抵抗R10は、たとえば1[MΩ]と大きく、そのためコンタクトプローブが導通した瞬間、電流源1からは過渡電流が流れないからである。
図19に、サージ除去回路を付加した駆動回路の等価回路例を示す。
図示例のサージ除去回路61において、電流源1が駆動電流Iopを出力しているときの出力電流制限抵抗R10が5[Ω]程度であり、その駆動電流の供給ライン間に存在する浮遊キャパシタC10を100[μF]とし、浮遊キャパシタC10と並列にサージ除去のために100[μF]程度の容量値を有するキャパシタC11が接続されている場合を想定する。
このサージ除去のためにキャパシタC11を追加することは、駆動電流Iopが正常に半導体レーザ21に供給されている間のサージ除去には有効である。ところが、コンタクトプローブ22a及び/又は22bが非導通になると、このキャパシタC11の容量分だけ、さらにチャージされる電荷が増える。このため、コンタクトプローブ22a及び/又は22bが再度導通状態になる瞬時に、大きな過電流が半導体レーザ21に流れることになる。
以上の不具合は、コンタクトプローブの導通/非導通に限らず、そのコンタクト抵抗が大きく変化する場合にも生じる。
このような半導体レーザの劣化を防ぐため保護回路を備えたレーザ駆動回路が提案されている(たとえば特許文献1参照)。
図20に、特許文献1に記載されている駆動回路を示す。
図20に示す駆動回路は、半導体レーザ21の端子に接触するコンタクトプローブ22aおよび22bと、出力回路26との間に設けられている、コンパレータ23、検出電位設定用の電源28、保持回路24、制御回路25、コンパレータ29およびNPN型のトランジスタ27を有する。
コンパレータ23は、半導体レーザ21とコンタクトプローブ22aおよび22bとの間の非導通を、コンタクトプローブ22aと22b間の電圧vが、検出電位設定用の電源28によって定まる設定電圧を超えたことにより検出する。
上記電圧vが設定電圧を越えると、コンパレータ23からの検出結果に基づく信号が、保持回路24を介してコンパレータ29の入力に伝達される。その結果、コンパレータ29から出力された信号によってトランジスタ27がオフ(非導通に遷移)し、コンタクトプローブ22aへの電流供給が停止する。このときコンパレータ23からの検出結果を保持回路24が保持することによって、トランジスタ27をオフするための信号を、コンパレータ29を介してトランジスタ27に出力し続ける。したがって、トランジスタ27がオフ状態を維持し、この間に、コンタクトプローブ22aと22b間の電圧vが減少する。
このため、コンタクトプローブ22aおよび22bを再び半導体レーザ21の端子に接続させても、半導体レーザ21に過剰な電流が流れない。したがって、半導体レーザ21の光出力が定格を越えることもなく、半導体レーザ21の劣化を防ぐことができる。
特開2001−102679号公報
上記特許文献1に記載されている駆動回路においては、コンパレータ23がコンタクトプローブ22a及び/又は22bの非導通を検出し、半導体レーザ21への電流を遮断した場合、半導体レーザ21の電流駆動ラインがオープンとなる。特許文献1の記載によれば、「保持回路24の保持時間だけトランジスタ27がオフ状態を維持し、この間に、コンタクトプローブ22aと22b間の電圧vが減少する」とある。
しかし、出力回路26から電流駆動力が付与されている以上、つぎにトランジスタ27がオンしたときに電圧vが上昇する。つまり、出力回路26が動作している間に保持時間が終了しトランジスタ27がオンすると、瞬時に過電流が半導体レーザ21に流れてしまう。
したがって、特許文献1に記載された駆動回路では、一旦出力回路26を再起動する必要がある。このため、出力回路26の電源を落とす、又は、リセットをかけてから再度立ち上げる操作により、その分検査のスループットが低下する。
保護回路を構成する各回路ブロック(コンパレータ23および29、保持回路24、制御回路26および出力回路26)は、それぞれ電源が必要で、回路規模が大きく、これがコストアップの要因となる。とくに、スループットを上げるため出力回路26を自動復帰するような構成にすると、その回路規模が増大して、コスト的に更に不利になる。
一方、出力回路26を再起動しない場合は、たとえば出力回路26からの電流供給を停止し、かつ、トランジスタ27までのラインの電荷をディスチャージするなど、出力回路26に過電流回避のための機能が必要となり、回路規模が増大してコストアップとなる。
本発明が解決しようとする課題は、比較的簡単な回路により、テスト時のデバイスへの過電流を有効に防止する駆動回路を提供することである。
本発明に係る駆動回路は、デバイスに所定の駆動電流を流す駆動回路であって、前記デバイスに駆動電流を供給する電流源と、前記電流源と前記デバイスとの間に接続されている電流スイッチと、前記電流スイッチと前記電流源との接続ラインの電圧を所定値でクランプする電圧クランプ部と、前記電圧クランプ部の動作状態をモニタし、モニタ結果に応じて前記電流スイッチのオフを制御するスイッチ制御回路と、前記デバイスの電流経路が遮断され、前記スイッチ制御回路が前記電圧クランプ部のクランプ状態を検出し、前記電流スイッチがオフされた後に前記遮断が解除されたときに、復帰電流を流す電流制限手段とを有し、前記電流スイッチと前記電流制限手段が並列に接続されて可変抵抗回路が形成されている。
本発明では好適に、前記デバイスの電流経路が遮断された後に、当該遮断が解除されて前記電流制限手段に復帰電流が流れることを検出する検出手段を、さらに有する。
本発明では好適に、前記検出手段が前記復帰電流を検出したときに、前記接続ラインの電荷を放電する放電制御部を、さらに有する。
この放電制御部は、好適に、非動作状態で前記接続ラインの放電経路を形成するノーマリーオンのスイッチを含む。
上記構成によれば、デバイスに駆動電流を流している最中に、何らかの原因でデバイスの電流経路が遮断されると、電流源からの電荷供給により接続ラインの電位が上昇する。このとき電圧クランプ回路が働き、所定のクランプ電圧を超えて接続ラインの電位が上昇することがない。このクランプ動作が生じると、スイッチ制御回路が働き、デバイスと接続ラインとの間に設けられた電流スイッチをオフ状態にする。すなわち、このとき電流スイッチには実際に電流は流れていないが、つぎに電流経路の遮断が解除されたときにもオンしないようにスイッチ制御回路が電流スイッチのバイアスを制御する。
したがって、電流経路の遮断が解除されると電流スイッチの両端に電圧差が生じるが、電流スイッチには電流は流れない。それに代えて、電流スイッチと並列に接続されている電流制限手段に電流が流れる。しかし、この抵抗は電流を制限するものであり、大きなクランプ電圧が印加されている割には、デバイス側に流れる電流は比較的小さい。なお、この電流を復帰電流という。
検出手段が設けられている場合、上記遮断の解除による復帰電流が電流制限手段に流れたことが検出される。
また、放電制御部が設けられている場合、たとえば上記検出結果に基づいて、接続ラインの電荷を放電する制御を行う。これにより、接続ラインの電位は、たとえば接地レベルまで十分低く下げられることから電圧クランプ部のクランプ状態も解除される。
その後、放電制御部の放電を停止させると、電流源からデバイスへ駆動電流が定常的に流れるときの電位まで接続ラインの電位が回復し、電流経路の遮断が起こる前の状態に戻る。
本発明によれば、比較的簡単な回路により、テスト時のデバイスへの過電流を有効に防止する駆動回路を提供することができるという利点がある。
本発明は、たとえばCD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory),CD−R(Compact Disc−Recordable),MO(Magneto-Optic disk),DVD(Digital Versatile Disc)等の光記録情報機器に使用される半導体レーザに代表される電流駆動デバイスの保護回路を備えた駆動回路に関する。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。ここでは、DUTである半導体レーザを所定の電流で駆動し、かつ、過電流から保護する保護機能付き駆動回路を例とする。
[第1実施形態]
図1は、本実施形態において半導体レーザが接続されている駆動回路の構成を示すブロック図である。
図1に示す半導体レーザの駆動回路101は、半導体レーザが搭載されているハンドラ103の電流駆動ライン23aと23bに接続されている。
ハンドラ103に、DUTとしての半導体レーザ21がセットされ、そのアノードAがコンタクトプローブ22aを介して電流駆動ライン23aに接続され、カソードKがコンタクトプローブ22bを介して電流駆動ライン23bに接続されている。
電流駆動ライン23bは、基準電圧の供給ライン15bを介して基準電圧(本例では接地電圧)に接続されている。このためDUTとしての半導体レーザ21はカソードコモンとなっている。
なお図面は本発明に関わる部分のみの概略を示しており、また測定(検査)装置を構成する、検査ヘッドおよびコンタクトプローブ22aおよび22bを固定するソケットのハウジングなどは図示していない。
駆動回路101は、電流源1、保護回路102およびリセット部6を備える。
保護回路102は、電流源1の電流駆動ライン(電源電圧Vccの供給ライン)15aの電圧をモニタし、そのモニタ電圧に応じて、保護回路102内の電流スイッチ(後述)を制御する回路である。
リセット部6は、モニタ電圧を測定し、その測定結果に応じて、当該モニタ電圧を強制的にリセット電圧に移行させる。あるいは、リセット部6は、モニタ電圧を所定の基準と比較し、その結果に応じてリセットを自動的に行う構成でもよい。さらにリセット部6に代えて、モニタ電圧を外部に出力させる外部接続パッドを設け、外部のテスタ等でモニタ電圧を測定し、その結果に応じてリセットを行う構成でもよい。
電流源1は、DUTである半導体レーザ21を所定の電流で駆動する電流源回路から構成されている。電流源1は電源電圧Vccの供給線から電源供給を受け、その電流値は任意に設定できる。電流源1からの駆動電流は、電流駆動ライン15aを介して駆動回路101に供給される。
保護回路102は、電圧クランプ部22、クランプ電圧およびその変動を検出する検出部5、波形整形部3および可変抵抗部4を有する。
電圧クランプ部22は、電流駆動ライン15aと基準電圧の供給ライン15bとの間に接続されている。可変抵抗部4は、電流駆動ライン15aと23aとの間に接続されている。検出部5は、電圧クランプ部22の出力と基準電圧の供給ライン15bに接続されている。波形整形部3は、検出部5の出力と基準電圧の供給ライン15bに接続されている。波形整形部3の出力は可変抵抗部4の制御入力に接続されている。検出部5の出力は、リセットライン8を介してリセット部6に接続されている。
波形整形部3は、検出部5の出力を波形整形するための回路である。波形整形部3の入力は、検出部5から供給され、クランプ電圧及び/又はその変動を示すモニタ電圧の場合と、リセット部6により設定されたリセット電圧の場合がある。これらはレベル変化の向きが互いに逆になる。たとえば、モニタ電圧が現出するときは、波形整形部3の入力がローレベルからハイレベルに推移するが、リセット電圧が現出するときは逆に、ハイレベルからローレベルに推移する。
波形整形部3は、その2つの場合で、レベル変化の遷移時間を異ならせる。このことを「波形整形」と称する。より詳細には、可変抵抗部4が低抵抗から高抵抗に推移するときよりも、高抵抗から低抵抗に推移するときに、上記レベル変化の遷移時間を十分に長くする。このため、可変抵抗部4は、高抵抗から低抵抗に推移するときにゆっくりと動作する。
図2は、図1を具体化した一回路例を示す。
本回路例においては、電圧クランプ部22はツェナーダイオードD1からなる。
検出部5は、2つのPNP(バイポーラ)トランジスタP1およびP2、ツェナーダイオードD2、ならびに、抵抗R2を有する。
2つのPNPトランジスタP1およびP2は、電圧クランプ動作時においてツェナーダイオードD1に流れるクランプ電流を取り出すカレントミラー回路を構成する。PNPトランジスタP1,P2のエミッタが電流駆動ライン15aに接続され、ベースが共通接続されている。PNPトランジスタP1のコレクタと基準電圧の供給ライン15bとの間にツェナーダイオードD1が接続されている。PNPトランジスタP1のコレクタとベースが共通接続されている。
一方、PNPトランジスタP2のコレクタと基準電圧の供給ライン15bとの間に、ツェナーダイオードD2と抵抗R2とが縦続接続されている。PNPトランジスタP2とツェナーダイオードD2との接続点から、検出部5の出力が得られる(ノードNDa)。なお、ツェナーダイオードD2としてツェナーダイオードD1と同じツェナー電圧値のものを選択する。
検出部5と波形整形部3との接続点(ノードNDa)に、検出部5の出力を測定し、リセット状態にするためのリセットライン8が接続されている。リセットライン8にリセット部6が接続されている。
本例のリセット部6は、リセットライン8と接地電圧との間に接続されている電圧計9と、リセットライン8と接地電圧との間に接続されているNPNトランジスタP4と、NPNトランジスタP4のベースに、抵抗R6を介して接続しているリセットパルス発生手段10とを備える。
ツェナーダイオードD1および検出部5により規定されるクランプ電圧値Vclpは、回路図よりツェナーダイオードD1のツェナー電圧値Vzとカレントミラー回路を構成するPNPトランジスタP1の順方向電圧値Vfとを加算した値をとる。クランプ電圧値Vclpを、半導体レーザ21の動作に影響を出ないようにするため、半導体レーザ21の動作電圧より高い電圧に設定する。
以下、このようなクランプ電圧が生じるときに「電圧クランプ部が動作している」と言う。
検出部5内の抵抗R2は、電圧クランプ部の動作時に、オフセット電圧を発生するために設けられている。つまり、電圧クランプ部の動作時にツェナーダイオードD1と同じツェナー電流が抵抗R2に流れることから、ノードNDaの電位は、ツェナーダイオードD1のツェナー電圧(D2と同様)に、この抵抗R2による降下電圧がオフセット電圧として付加される。
可変抵抗部4は、電流スイッチとしてのPチャネル・エンハンスメント型MOSFET(以下、電流スイッチトランジスタと称す)P3と、電流スイッチトランジスタP3のソースSとドレインDに接続されている電流制限抵抗R5とを有する。電流スイッチトランジスタP3のゲートGは、波形整形部3の出力に接続されている。このため、可変抵抗部4全体の抵抗が、波形整形部3により制御される電流スイッチトランジスタP3のゲートGとソースS間の電位差(ゲート・ソース間電圧Vgs)に応じて変化する。
電流制限抵抗R5の値は、可変抵抗部4の電流スイッチトランジスタP3がオフの時、クランプ電圧Vclpから半導体レーザ21の動作電圧Vopを引いた電圧値をその電流制限抵抗R5で割った電流値が半導体レーザ21の閾値電流値より小さい値に設定される。
波形整形部3は、ダイオードD3、抵抗R4およびキャパシタC1から構成される。本回路例における波形整形部3の役割は、電流スイッチトランジスタP3のゲートGに印加されるゲート電圧Vgの立ち上がりスロープ(傾斜)を速く(急峻に)し、また立ち上がりスロープを遅く(緩やかに)設定することである。
このゲート電圧Vgをハイレベルからローレベルに移行させるには、リセットライン8から強制的にリセット電圧を印加する必要がある。
そのためにリセット部6が設けられている。リセット部6は、ノードNDaがハイレベルに移行して電圧クランプ状態となった際に、その後の電圧降下を電圧計9によって検出する。これに応じて、リセットパルス発生手段10がリセットパルスをNPNトランジスタP4に出力する。リセットパルスは、リセット時にローレベルになり、NPNトランジスタP4がオンすることから、リセットライン8と接地電圧の供給ラインとをショートする。リセットパルスのハイレベル時には、NPNトランジスタP4がオフして、リセットライン8と接地電圧間をハイインピーダンス状態にする。NPNトランジスタP4のベースに接続されている抵抗R6はベース電流値を調整するために設けられている。当該NPNトランジスタP4のエミッタとコレクタ間は、たとえば、ベース電圧が約0.7[V]以下でハイインピーダンスとなり、それより大きいときにローインピーダンス(リセット)となる。
リセットライン8が強制的にGNDレベルに移行すると、この電圧レベルの変化が、波形整形部3内の抵抗R4とキャパシタC1で規定される時定数でゆっくりと電流スイッチトランジスタP3の制御ノード(ゲートG)に伝達される。このため、可変抵抗部4の抵抗が、高抵抗からゆっくりと低抵抗に推移する。
図2は、図1に示す駆動回路の各部を具体的な回路で表現したものであるが、各部の構成は一例であって、同じ目的を達成するものであれば、図示例以外の形態を任意に選択できる。たとえば、電圧クランプ部22は、ツェナーダイオードD1の代わりに複数のダイオードを縦続接続したもので実現可能である。
つぎに、このように構成される半導体レーザ用の駆動回路について、その動作の概略を、図1および図2を参照しつつステップごとに説明する。
<ステップ1>
電流源1より所定の駆動電流Iop(ここでは約80[mA]とする)が半導体レーザ(以下、DUTという)21に流れている。この時クランプ電圧値Vclpは、DUT21の動作電圧(ここでは約4.5[V]とする)より十分高く、電圧クランプ部は動作していない(電圧クランプ状態にない)。たとえばツェナーダイオードD1の降伏電圧を6.8[V]、トランジスタP1の順方向電圧を0.7[V]とすると、クランプ電圧Vclpは約7.5(=6.8+0.7)[V])であるため、DUT21の動作電圧が4.5[V]の場合、電圧クランプ部は動作しない。このため、ツェナーダイオードD1のクランプ電流はほぼ0[mA]となり、検出部5のノードNDaに発生する電圧は前の状態を引き継いで、たとえばリセット電圧0[V]でフローティングとなっている。したがって可変抵抗部4の電流スイッチトランジスタP3のゲート・ソース間電圧Vgsは、その閾値電圧Vthの絶対値より十分高く、電流スイッチトランジスタP3はオン状態となっている。またその時、電流スイッチトランジスタP3のオン抵抗Ronは十分小さいので(ここでは約1[Ω]以下とする)、駆動回路動作への影響はなんら発生していない。
<ステップ2>
ここで、何らかの原因で偶発的にコンタクト不良が発生し、コンタクトプローブ22a及び/又は22bがDUT21の端子から離れて、DUT21への通電が遮断されたとする。
この時、電流源1は電流を供給し続けようとすることから、電流駆動ライン15aと15b間の電位が短時間に上昇する。
電流駆動ライン15aと15b間の電位がクランプ電圧Vclpに達すると、電圧クランプ部22(ツェナーダイオードD1)がオン状態となる。ここでツェナーダイオードD1にクランプ電流が流れ、そのミラー電流として、ほぼ同量の電流が検出部5に流れる。したがって、電圧クランプ部22と検出部5に流れる各電流(クランプ電流とミラー電流)は、電流源1からの駆動電流Iopの約半分(Iop/2=40[mA])の値をとる。
ミラー電流が検出部5のツェナーダイオードD2に流れることから、検出部5のノードNDaに、ツェナーダイオードD2のツェナー電圧Vz2と、抵抗R2で発生する電圧Vr2aとを加算した電圧Vopen1が発生する。
ここで、抵抗R2に発生する電圧Vr2aおよび電圧Vopen1は、次式(3-1)と(3-2)に示す値をとる。
[数3]
Vr2a=R2*(Iop/2)
=8[Ω]*(80[mA]/2)
=0.32[V] …(3-1)
Vopen1=Vz2+Vr2a
=6.8[V]+0.32[V]
=7.12[V] …(3-2)
電圧Vopen1は、波形整形部3のダイオードD3を介してほぼ瞬時に電流スイッチトランジスタP3のゲートGに達し、電流スイッチトランジスタP3のゲート・ソース間電圧Vgsの値は閾値電圧Vthの絶対値より小さくなる。このときPMOSトランジスタ(電流スイッチトランジスタ)P3のゲート・ソース間電圧Vgsの値は、過渡的にはダイオードD3の順方向電圧約0.7[V]があるため、約−1.4(=−0.7−0.7)[V]になる。
以上の結果、電流スイッチトランジスタP3はオフし、そのオン抵抗Ron程度であった電流スイッチトランジスタP3のソースとドレイン間のインピーダンスが、ほぼ無限大となる。
上記状態において、検出部5のノードNDaの電圧Vopen1を、リセットライン8を介して電圧計9で測定することにより外部から検査装置上で、何らかの原因で電流駆動ラインが非導通状態になっていることが確認できる。
<ステップ3>
つぎに、コンタクトプローブ22aおよび22bとDUT21の端子との間が再び導通になったとする。
この時、電流スイッチトランジスタP3はオフ状態のままで、DUT21には電流制限抵抗R5を介して、駆動電流値Iopより少ない電流が流れる。これは、電流制限抵抗R5が、電流スイッチトランジスタP3のオン抵抗(約1[Ω])より十分大きな抵抗値(たとえば75[Ω])を有するためである。
ここで電流源1からの駆動電流値Iopが電流制限抵抗R5に流れて、その電流制限抵抗R5で発生する電圧Vr5と、DUT21の動作電圧Vopとの加算値に対し、クランプ電圧Vclpの電圧値が小さいとする。この場合、電流駆動ライン15aの電圧がクランプ電圧より高くなることはないので、電圧クランプ部は動作状態のままとなる。
DUT21に流れる電流値をIxと置き、電流スイッチトランジスタP3はオフのままと仮定するとIxは、次式(4)により求まる。
[数4]
Ix=(Vclp−Vop)/R5
=(7.5−4.5) [V]/75[Ω]
=40[mA] …(4)
このように、電流制限抵抗R5によって導通直後に上記ステップ1の駆動電流Iopおよび閾値電流より少ない電流IxがDUT21に流れるので、DUT21には導通の瞬間、過電流(突入電流)が発生しない。またレーザ発光の状態になっていない(自然発光の状態となっている)ので、光出力がほとんど発生せず、熱的に破壊もされない。
なお、半導体レーザは電流印加デバイスであって、閾値以下でも電流は流れる。この時、半導体レーザは「自然発光(LED)状態」にあるという。
ここで電流スイッチトランジスタP3の動作状態を確認する。
電圧クランプ部(ツェナーダイオードD1)のクランプ電流は、駆動電流Iopの一部がDUT21に流れることから減少するが、電圧クランプ部22は、依然として動作状態(電圧クランプ状態)になっている。
このときツェナーダイオードD2に流れるミラー電流は、クランプ電流の減少にともなって減少する。したがって抵抗R2に発生している電圧Vr2aは減少するが、ツェナー電圧Vz2はほぼ同じ値となるため、依然として電流駆動ライン15aとノードNDa間の電圧は、0.7[V]以下である。よって電流スイッチトランジスタP3はオフし、そのソースとドレイン間の抵抗はほぼ無限大のままである。
上記状態において検出部5のノードNDaの電圧を「Vopen2」とする。
この電圧Vopen2を、リセットライン8を介して電圧計9で測定する。
ここで電圧Vopen2を算出する。まず、抵抗R2に発生している電圧Vr2bは、電流減少分を考慮すると次式(5-1)のようになる。ここで、電流減少分に対応した電圧差をΔVとおくと、前述した式(3-1)および式(4)を用いた次式(5-2)により電圧Vr2bの値が算出できる。
[数5]
Vr2b=R2*(Iop/2−Ix/2)
=R2*(Iop/2)−R2*(Ix/2)…(5-1)
Vr2b=Vr2a−ΔV
=0.32[V]−8[Ω]*(40[mA]/2)
=0.32[V]−0.16[V]
=0.16[V] …(5-2)
よって、このときのノードNDaの電圧Vopen2は次式(6)の値をとる。
[数6]
Vopen2=Vz+Vr2b
=Vopen1−ΔV
=7.12[V]−0.16[V]
=6.96[V] …(6)
上記より、DUT21の通電が非導通の状態から導通の状態に変化した場合、検出部5のノードNDaの電圧がΔV(=160[mV])だけ違う。つまり、半導体レーザの自然発光状態で流れる僅かな電流(本発明では「復帰電流」という)が電流制限抵抗R5に流れ、その結果として、ノードNDaの電圧が変化する。この差分を検出することにより導通状態になっていることを確認することができる。
<ステップ4>
上記ステップ3にて導通状態が確認できれば、DUT21の電流駆動ラインは復帰したことになるので、リセット状態を設定し、ステップ1の通常動作状態に戻す。
リセット状態にするには、検出部5のノードNDaに、リセットライン8を介して、リセットパルス発生手段10(または外部のテスタ等)を用いてリセットパルスを入力する。リセットの設定は、検出部5のノードNDaの電圧を一時的にローレベル(GNDレベル近く)にすればよいことから、リセットパルス発生手段10の代わりにスイッチ回路でも実現できる。
一旦リセット状態になると、波形整形部3のダイオードD3は逆バイアスとなるのでオンしないため、電流スイッチトランジスタP3のゲート電圧Vgは、抵抗R4とゲートのキャパシタC1との時定数で徐々にハイレベルからローレベルにゆっくりと変化する。これに合わせて電流スイッチトランジスタP3のソースSとドレインD間の抵抗は、無限大から徐々に小さくなる。これは、PMOSトランジスタ(電流スイッチトランジスタP3)のソースSとドレインD間の抵抗が、ゲート・ソース間電圧Vgsから閾値電圧Vthを引いた電圧の逆数に比例するためである。そして、電流スイッチトランジスタP3のソースSとドレインD間の抵抗は、最終的にはオン抵抗(約1[Ω])になる。
これにより、電圧クランプ部22および検出部5に流れていた電流は全てDUT21に流れるようになり、電圧クランプ部がオフ(電圧クランプ状態が解除)する。
以上の動作によって、導通時に40[mA]がDUT21に流れ、その後リセット開始によって徐々にDUT21への駆動電流が増加し、電流駆動ライン15aに蓄積された電荷をゆっくりディスチャージし、やがて電流源1の電流と同じ電流がDUT21に流れる。
その結果、コンタクトが接続してDUT21の通電が非導通から導通に変化したときに、DUT21には過電流が流れないまま上記ステップ1の状態となる。
本実施の形態によれば、以上ステップ1からステップ4の動作によって予測できない非導通から導通時に発生する過電流(突入電流)を回避し、半導体レーザを保護することができる。
また、下記表1に示すように、ステップ1において検出部5のノードNDaの電圧は0[V]、ステップ2とステップ3において検出部5のノードNDaの電圧はいずれもツェナーダイオードD1またはD2のツェナー電圧とほぼ同じになる。
[表1]
ステップ1 : 導通時 0[V]、
ステップ2,3:非導通時 約7〜7.1[V]
この結果により、コンタクトプローブ22aおよび22bとDUT21の端子との間が非導通になったことが確認できる。この非導通の発生の度合い(回数)を利用し検査装置の保守メンテナンスの目安、たとえばコンタクトプローブの交換時期などを見積もることが容易となる。
[第2実施形態]
図3は、第2実施形態における駆動回路図である。
第1実施形態からの変更内容は、検出部5BにおいてツェナーダイオードD2と抵抗R2(図2参照)を抵抗R20で置き換えている点と、リセットライン8およびリセット部6を省略している点である。
動作上の変更内容は、非導通から導通状態に復帰する際、外部からの制御回路で復帰するのではなく、モニタ電圧値に応じて自動的に復帰する点である。したがって、図3においては、リセットする必要がないので、図2に示すリセットライン8、電圧測定用の電圧計9およびリセットパルス発生手段10等は不要となる。
この自動復帰のための構成として、電圧クランプ部22内の検出部5BのノードNDaと基準電圧の供給ライン15bとの間に接続されている回路素子を抵抗R20のみにしている。
抵抗R20の値は、電流駆動ライン15aとDUT21が非導通になって電圧クランプ部が動作し、電流源1から供給している駆動電流の約半分が抵抗R20に流れた時、ノードNDaの電圧値がクランプ電圧Vclpに近く、かつ、その差がカレントミラー回路のPNPトランジスタP2の飽和電圧約0.3[V]以下となるような値に設定する。
たとえば、駆動電流Iop=80[mA]、クランプ電圧Vclp=7.5[V](=6.8[V]+0.7[V])とした場合、クランプ時に抵抗R20に発生する電圧V20aは次式(7-1)、よって抵抗R20の値は次式(7-2)により設定される。
[数7]
V20a=7.5[V]−0.3[V]
=7.2[V] …(7-1)
R20=V20a/(Iop/2)
=7.2[V]/(80[mA]/2)
=180[Ω] …(7-2)
このように構成される駆動回路の動作の概略を、図3を用いて説明する。
なお動作上、第1実施形態と共通の部分が多数含まれるので、その部分に関しては、省略または簡略する。
第1実施形態と同様に、コンタクトプローブ22a及び/又は22bがDUT21の端子から離れて非導通状態になって、DUT21への通電が遮断されたと仮定する。
この時、電圧クランプ部が動作し、検出部5BのノードNDaと基準電圧の供給ライン15bとの間に接続された抵抗R20には約7.2[V]の電圧が発生する。その出力電圧は、波形整形部3を介して瞬時に電流スイッチトランジスタP3のゲートに達し、電流スイッチトランジスタP3はオフし、そのソースSとドレインD間の抵抗はほぼ無限大となる。
つぎに、コンタクトプローブ22aおよび22bとDUT21の端子との間が導通になったと仮定する。
この時、電流スイッチトランジスタP3はオフの状態のままで、DUT21には電流値Iopより少ない電流約40[mA]が流れる。同時に抵抗R20に流れる電流は、40[mA]からその分を引いた電流すなわち、約20[mA](=40[mA]−20[mA]/2)に減少するので、検出部5BのノードNDaの電圧V20bは次式(8)に示す値をとる。
[数8]
V20b=20[mA]*180[Ω]
=3.6[V] …(8)
その電圧V20bの値は、電流スイッチトランジスタP3のゲート・ソース間電圧Vgsの値を閾値電圧Vthの絶対値より大きくするものである。電圧V20bへのレベル変化は、波形整形部3を介して、抵抗R4とキャパシタC1の時定数で徐々に電流スイッチトランジスタP3のゲートに達する。このときダイオードD3は逆バイアスとなるのでオンしない。
これに合わせて電流スイッチトランジスタP3のソースSとドレインD間の抵抗は、無限大から徐々に小さくなり、またDUT21に流れる電流は徐々に増加し、抵抗R20に流れる電流はその分減少する。
よって、検出部5BのノードNDaの電圧V20bは3.6[V]よりさらに下がっていく。
このようにして電流スイッチトランジスタP3のソースSとドレインD間の抵抗は、最終的にはオン抵抗(約1[Ω])となる。この時、電圧クランプ部に流れる電流はすべてDUT21に流れ、電圧クランプ部はオフする。
以上の動作によって、導通時に40[mA]の駆動電流がDUT21に流れ、その後は徐々にDUT21への駆動電流が増加し、電流駆動ライン15aに蓄積された電荷をゆっくりディスチャージし、やがて電流源1の電流と同じ電流がDUT21に流れる。このため、非導通から導通時に発生する過電流(突入電流)を回避し、半導体レーザを保護することができる。
[第3実施形態]
図4は、第3実施形態における駆動回路図である。
第1実施形態からの変更内容は、DUT21がアノードコモンで、そのカソードKから駆動電流をシンクして使用する点である。したがって回路は第1実施形態の図1と比較して、電源電圧Vccと電源電圧Veeに対し、回路要素の接続関係が対称となる。
回路図上での変更内容は、検出部5内のカレントミラー回路がNPNトランジスタP11,P12を有し、可変抵抗部4内の電流スイッチが、Nチャネル・エンハンスメント型MOSFETP33となり、その制御電圧に合わせて、波形整形部3のダイオードD3の向きが逆となっている点である。またリセット部6内のスイッチは、負電源とGND間をショートする必要があり、NPNトランジスタを使用できないので、代わりに任意のスイッチ回路S1、たとえば半導体リレーなどを使用することが好ましい。
なお基本動作は、第1実施形態と同一であるため、省略する。
[第4実施形態]
このような変更は、第2実施形態に対しても同様に実施でき、その場合の回路を図5に示す。
以下、動作の相違点を、箇条書きでまとめて記述する。
(1)第1および第3の実施形態では、デバイス(DUT21)と保護回路102との間において非導通(コンタクト不良)が発生した場合、電圧クランプ部が動作状態になり、その時流れるクランプ電流を利用し、その電圧クランプ部の出力電圧を取り出す。
(2)その出力電圧をモニタすることで、その非導通を検出する。
(3)また同時に、その出力電圧は波形整形部3を介して可変抵抗部4を制御し、デバイス(DUT21)への駆動電流を制限できる準備を行なう。
(4)その状態は、電流駆動ラインが復帰(導通)した場合において、たとえば外部からリセットをかけるまで保持される。
(5)電流駆動ラインが復帰(導通)した場合において、可変抵抗部4によって電流が制限されるため、デバイス(DUT21)には、所定の電流より少ない電流が流れる。また、電圧クランプ部に流れる電流は、その分減少したことになり、その検出部5側の電流変化をモニタすることで導通したことを検出する。なお、電圧クランプ部には電流が流れているので、動作したままとなっている。
(6)電流駆動ラインが復帰(導通)したことが確認できた場合、たとえば外部からリセットをかけると、可変抵抗部4の抵抗値は、徐々に小さくなっていく。それに合わせてデバイス(DUT21)の電流は徐々に増加し、電流駆動ラインに蓄積された電荷をゆっくりディスチャージ(過電流「突入電流」が流れないよう)し、やがて所定の電流値となる。その時、電流駆動ライン間の電圧はデバイス(DUT21)の動作電圧となるので電圧クランプ部はオフする。
第2および第4実施形態では、
(1)デバイス(DUT21)と保護回路102との間において非導通(コンタクト不良)が発生した場合、電圧クランプ部が動作状態になり、その時流れるクランプ電流を利用し、その電圧クランプ部の出力電圧を取り出す。なおその出力電圧値はクランプ電流値に比例した値となるように構成されている。
(2)また同時に、その出力電圧は波形整形部3を介して可変抵抗部4を制御し、デバイス(DUT21)への駆動電流を制限する。
(3)その状態は、電流駆動ラインが復帰(導通)するまで保持される。
(4)電流駆動ラインが復帰(導通)した場合において、可変抵抗部4によって電流が制限されるため、デバイス(DUT21)には、所定の電流より少ない電流が流れる。また、電圧クランプ部に流れる電流は、その分減少し、それに応じて電圧クランプ部の出力電圧が下がるので、波形整形部3を介して可変抵抗部4を構成するPMOSトランジスタがオン状態となる。
(5)これに合わせて可変抵抗部4の抵抗値が小さくなり、デバイス(DUT21)へ流れる駆動電流がより増加する。
(6)これら一連の動作によって可変抵抗部4の抵抗値が徐々に小さくなっていく。それによりデバイス(DUT21)の電流は徐々に増加し、電流駆動ラインに蓄積された電荷をゆっくりディスチャージ(過電流「突入電流」が流れないよう)し、やがて所定の電流値となる。その時、電流駆動ライン間の電圧はデバイス(DUT21)の動作電圧となるので電圧クランプ部はオフする。
第3および第6実施形態では、非導通から導通状態に復帰する際、外部からの制御回路で復帰するのではなく、自己完結で復帰する。
本発明の実施形態によれば、検査のスループットをあげ、かつローコストに半導体レーザなどに代表とされるデバイス(DUT21)に対し、その電流駆動ラインが非導通から導通時に発生する過電流(突入電流)を防止して、その劣化を防ぐことができる。
また、駆動回路を構成している回路ブロックは、その回路ブロック用電源が不要となるので、回路規模が小さくなり装置のコストダウンとなる。
さらに、回路構成を変えるだけで、アノードコモンまたはカソードコモンのデバイス(DUT21)のいずれに対しても対応できる。
第1および第3の実施形態の駆動回路は、電流駆動ラインが非導通になったことが検出でき、また外部よりリセットをかけ、もとの電流駆動状態に設定できるので、この非導通の発生の度合い(回数)を利用し検査装置の保守メンテナンスのパラメータ(たとえばコンタクトプローブの交換時期など)とすることもできる。
第1および第3の実施形態の駆動回路は、リセット時において、出力回路に過電流回避用の対策回路が不要で装置のコストダウンとなる。
第1および第3の実施形態の駆動回路は、電流駆動ラインが非導通状態から復帰し導通状態となった時を電気的に検出することができるので、検査のスループットをあげることができる。
第1および第3の実施形態の駆動回路は、電流駆動ラインが非導通になった時、デバイス(DUT21)への電流を遮断したままとなり、そのまま外部よりリセットした場合、徐々に電流を流すのでサージが発生しないため、一旦出力回路をオフする必要がなく、検査のスループットが悪化しない。
第2および第4の実施形態の駆動回路は、電流駆動ラインが非導通から導通状態に復帰する際、外部からの制御回路で復帰するのではなく、自己完結で復帰する点である。従ってリセットする必要がないので検出ライン、電圧測定用の電圧計、リセットパルス発生手段は不要で、装置システムの簡略化および装置のコストダウンとなる。
以上の第1〜第4実施形態では、電流駆動ライン15aの電圧をモニタすることで共通する。本発明では、電流駆動ライン15aに流れる電流をモニタすることもできる。
つぎの第5および第6実施形態は、この電流をモニタする場合に関する。
[第5実施形態]
図6は、本実施形態において半導体レーザが接続されている駆動回路の構成を示すブロック図である。
図6に示すハンドラ103の構成は、図1の第1実施形態と同じである。
本例の半導体レーザの駆動回路101は、図1の場合と同様、電流源1、保護回路102およびリセット部6を備える。なお、リセット部6は、第1実施形態で述べたと同様、リセットを自動的に行う構成でもよいし、さらにリセット部6に代えてモニタ電圧を外部に出力させる外部接続パッドを設け、その測定値に応じてリセットを行う構成でもよい。
図6が図1と異なる点は、その保護回路102の構成である。
保護回路102は、サージ除去部24、電圧クランプ部25、電流(I)を電圧(V)に変換するI/V変換部7、I/V変換部7の出力を基準電圧と比較する比較部50、波形整形部3および可変抵抗部4を有する。
サージ除去部24および電圧クランプ部25は、それぞれ電流駆動ライン15aと基準電圧の供給ライン15bとの間に接続されている。I/V変換部7は、電流駆動ライン15aの途中、すなわちノードND1とノードND2との間に挿入されている。可変抵抗部4は、電流駆動ライン15aのノードND2と電流駆動ライン23aとの間に接続されている。I/V変換部7で変換後の電圧が出力されるノードND3に、比較部50が接続されている。また、ノードND3は、リセットライン8を介してリセット部6に接続されている。波形整形部3は、電流駆動ライン15aのノードND2と、基準電圧の供給ライン15bとに接続され、その入力が比較部50の出力に接続されている。波形整形部3の出力は可変抵抗部4の制御入力に接続されている。
I/V変換部7は、電流駆動ライン15aに流れる電流を検出し、電圧(以下、検出電圧という)に変換してノードND3に出力する。
比較部50は、検出電圧またはリセット部6から与えられるリセット電圧を、所定の参照電圧Vrefと比較し、その結果に応じて出力をローレベルまたはハイレベルに変化させる。
波形整形部3は、比較部50の出力を波形整形するための回路である。波形整形部3の入力は、比較部50から供給され、ローレベルからハイレベルに変化する場合と、ハイレベルからローレベルに変化する場合がある。
波形整形部3は、その2つの場合で、レベル変化の遷移時間を異ならせ、「波形整形」を行う。より詳細には、可変抵抗部4が低抵抗から高抵抗に推移するときよりも、高抵抗から低抵抗に推移するときに、上記レベル変化の遷移時間を十分に長くする。このため、可変抵抗部4は、高抵抗から低抵抗に推移するときにゆっくりと動作する。
図7は、図6を具体化した一回路例を示す。
本回路例においては、図6のサージ除去部24はキャパシタC1からなり、電圧クランプ部25はツェナーダイオードD1からなる。
なお、サージ除去部24は、他の実施形態(上記第1〜第4実施形態、および、後述する第6実施形態以降)でも設けることが可能な任意の構成である。
I/V変換部7は、電流駆動ライン15aのノードND1とノードND2との間に接続されている検出抵抗R72と、検出抵抗R72の両端の電位差を所定の増幅率で増幅する差動増幅器71と、差動増幅器71の出力に接続されている抵抗R71とを有する。
差動増幅器71は、電源電圧Vddの供給ラインと基準電圧の供給ライン15bに接続され、これらのラインから電源の供給を受けて動作する。差動増幅器71の非反転入力端子「+」が検出抵抗R72のノードND1側に接続され、反転入力端子「−」が検出抵抗R72のノードND2側に接続されている。
差動増幅器71の出力が抵抗R71を介してノードND3に接続されている。
差動増幅器71は、検出抵抗R72で発生した電圧を所定の増幅率で増幅し、基準電圧(ここでは接地電圧)を基準とした電圧Voを出力する。
たとえば増幅率を10、検出抵抗R72の値を1[Ω]、検出抵抗R72に流れる電流を10[mA]、差動増幅器71の2つの入力に流れる電流をともに0[μA]、差動増幅器71の出力オフセットを0[mV]と仮定した場合、その出力に発生する電圧Vo1は、次式(9)により求まる。
[数9]
Vo1=1[Ω]*10[mA]*10
=100[mV] …(9)
この電圧Vo1は抵抗R71を通してノードND3から、比較部50およびリセットライン8に出力される。
リセットライン8にリセット部6が接続されている。本例のリセット部6は、リセットライン8と接地電圧との間に接続されている電圧計9と、リセットライン8と接地電圧との間に接続されているスイッチS10およびリセット電圧発生手段10Aとを備える。
電圧計9は、I/V変換部7により変換された電圧を計測し、その計測値に応じてスイッチS10を制御するためのものである。スイッチS10がオンするとリセット電圧発生手段10Aからのリセット電圧が、リセットライン8を介してノードND3に出力される。
抵抗R71は、差動増幅器71の出力インピーダンスをある程度高くし、リセットライン8からのリセット信号を比較部50の入力に確実に伝えるための抵抗である。その必要がない場合、抵抗R71は省略可能である。
比較部50は、電源電圧Vddの供給ラインと基準電圧の供給ライン15bとに接続され、これらのラインから電源供給を受けて動作する差動増幅器52を備える。差動増幅器52の反転入力「−」がノードND3に接続され、その非反転入力「+」と基準電圧の供給ライン15bとの間に、参照電圧Vrefを発生させる電圧源51が接続されている。
比較部50の出力構成を、オープンコレクタ(またはオープンドレインでも可)としている。より詳細には、差動増幅器52の出力を制御ノードとする出力トランジスタTr1が比較部50の出力段となっている。本例の出力トランジスタTr1はNPNバイポーラトランジスタからなり、そのコレクタが基準電圧の供給ライン15bに、そのベースが差動増幅器52の出力に接続され、コレクタが比較部50のノードND4に接続されている。
比較部50のノードND4は、波形整形部3を介して可変抵抗部4の制御ノードに接続されている。
可変抵抗部4は、電流スイッチとしてのPチャネル・エンハンスメント型MOSFET(以下、電流スイッチトランジスタと称す)P1と、電流スイッチトランジスタP1のソースSとドレインDに接続されている電流制限抵抗R5とを有する。電流スイッチトランジスタP1のゲートGは、波形整形部3の出力に接続されている。このため、可変抵抗部4全体の抵抗が、波形整形部3により制御される電流スイッチトランジスタP1のゲートGとソースS間の電位差(ゲート・ソース間電圧Vgs)に応じて変化する。
波形整形部3は、ダイオードD2、抵抗R3,R4およびキャパシタC2から構成される。波形整形部3は、比較部50の出力の負荷となっており、その出力電圧を波形整形し、この波形整形後の電圧によって可変抵抗部4を制御する。
波形整形部3の役割は2つあり、その1つは、比較部50のオープンコレクタ出力を可変抵抗部4に最適な電圧にて調整して伝達することである。比較部50の出力トランジスタTr1がオンの時、可変抵抗部4の電流スイッチトランジスタP1のゲートGに印加されるゲート電圧Vgをロー(GND)レベルにする。出力トランジスタTr1がオフの時は、ゲート電圧Vgをハイレベル(ノードND2と同程度の電圧レベル)に設定する。
波形整形部3の他の役割は、電流スイッチトランジスタP1のゲートGに印加されるゲート電位Vgの立ち上がりスロープ(傾斜)を速く(急峻に)し、また立ち上がりスロープを遅く(緩やかに)設定することである。
このゲート電圧Vgをハイレベルからローレベルに移行させるには、リセットライン8から強制的にリセット電圧を印加する必要がある。
そのためにリセット部6が設けられている。リセット部6は、電流駆動ライン15aにあるレベルの電流が流れ始め、I/V変換部7の出力がハイレベルになると、その電圧変化を電圧計9によって検出する。より詳細には、半導体レーザ21が定常動作しているときは電流駆動ライン15aには比較的大きな駆動電流が流れるが、その電流がコンタクトの非接続により一旦遮断され、つぎにコンタクトが接続される場合、駆動電流より小さい電流が電流制限抵抗R5を通って流れ始める。電圧計9は、この電流に応じたI/V変換部7の出力変化を測定する。
すると、スイッチS10がオンし、リセット電圧発生手段10Aからのリセット電圧が比較部50に出力され、出力トランジスタTr1がオンして波形整形部3の入力電圧がロー(GND)レベルに落とされる。
比較部50のノードND4の電圧がGNDレベルに下がると、この電圧レベルの変化が、波形整形部3内の抵抗R4とキャパシタC2等で規定される時定数でゆっくりと電流スイッチトランジスタP1の制御ノード(ゲートG)に伝達される。このため、可変抵抗部4の抵抗が、高抵抗からゆっくりと低抵抗に推移する。
図7は、図6に示す駆動回路の各部を具体的な回路で表現したものであるが、各部の構成は一例であって、同じ目的を達成するものであれば、図示例以外の形態を任意に選択できる。たとえば、電圧クランプ部25(図6)は、ツェナーダイオードD1の代わりに複数のダイオードを縦続接続したもので実現可能である。
つぎに、このように構成される半導体レーザ用の駆動回路について、その動作の概略を、図6および図7を参照しつつステップごとに説明する。
まず各部の回路定数について説明する。
半導体レーザ21の閾値電流を約30[mA]、駆動電流Iopを約40[mA]、その時の動作電圧Vopを約4.5[V]とする。ツェナーダイオードD1のクランプ電圧値Vclpは、半導体レーザ21の動作に影響しないようにするため、その動作電圧Vopより十分高い電圧に設定する。ここでは半導体レーザ21の動作電圧が約4.5[V]であることから、クランプ電圧値Vclpを、たとえば7[V]に設定する。
I/V変換部7の検出抵抗R72を、駆動回路の動作に影響を与えない程度の値、たとえば1[Ω]とし、差動増幅器71の増幅率をたとえば10とする。半導体レーザ21の駆動電流Iopが40[mA]の場合、I/V変換部7の出力電圧Vo2は、次式(10)により求まる。
[数10]
Vo2=1[Ω]*40[mA]*10
=400[mV] …(10)
電流スイッチトランジスタP1として、その閾値電圧Vthが約1.5[V]のものを使用する。また、そのゲート電圧を基準としたソース電圧(ゲート・ソース間電圧)Vgsが4.5[V]より大きいときに、当該電流スイッチトランジスタP1がオンし、そのオン抵抗を約1[Ω]以下とする。
電流制限抵抗R5の値は、可変抵抗部4の電流スイッチトランジスタP1がオフの時、クランプ電圧Vclpから半導体レーザ21の動作電圧Vopを引いた電圧値が当該抵抗に印加されたときに、所定の電流が流れるように設定する。ここで所定の電流とは、半導体レーザ21の駆動電流Iopより小さい値が望ましく、たとえば、クランプ電圧Vclpが7[V]、動作電圧Vopが4.5[V]の場合、10[mA]程度とする。この場合、電流制限抵抗R5の値は次式(11)により与えられる。
[数11]
R5=(7[V]−4.5[V])/10[mA]
=250[Ω] …(11)
比較部50における差動増幅器52の非反転入力「+」に供給される電圧源51の参照電圧Vrefを、半導体レーザ21に駆動電流Iop(=40[mA])が流れているときに、これがI/V変換部7により検出されて変換された電圧Vo2(式(10))と、コンタクトが非接続となり、再接続されたときに電流制限抵抗R5を介して所定値、たとえば10[mA]の電流が流れ、これがI/V変換部7により検出されて変換された電圧Vo1(式(9))との大きさに応じて設定する。参照電圧Vrefを、電圧Vo1(=100[mV])より大きく、電圧Vo2(=400[mV])より小さい範囲内で、これら上限と下限からそれぞれ余裕をとった任意の値に設定することが望ましい。ここでは参照電圧Vrefを200[mV]に設定し、I/V変換部7の出力であるノードND3(およびリセットライン8)の電圧が、この200[mV]より高いか否かによって、比較部50のノードND4がハイレベルかローレベルかが決まる。
つぎに、このように回路定数が設定された半導体レーザ用の駆動回路について、その動作の概略を、図6および図7を参照しつつステップごとに説明する。
<ステップ1>
電流源1より所定の駆動電流Iop(ここでは約80[mA]とする)が半導体レーザ21に流れている。この時クランプ電圧値Vclpは、半導体レーザ21の動作電圧(ここでは約4.5[V]とする)より十分高く、電圧クランプ部は動作していない(電圧クランプ状態にない)。
この時、I/V変換部7の出力電圧(ノードND3の電圧)は、約400[mV]となっている。
ここで電圧源51の電圧が前述したように200[mV]であり、これはI/V変換部7の出力電圧(約400[mV])より低いことから、比較部50の出力トランジスタTr1がオンし、そのオープンコレクタ出力電圧(比較部50のノードND4の電圧)はローレベルとなる。波形整形部3を通して可変抵抗部4に伝達された制御電圧もローレベル(ほぼGND)レベルとなる。この制御電圧は電流スイッチトランジスタP1のゲートGに与えられる。このため電流スイッチトランジスタP1のゲート・ソース間電圧Vgsは約4.5[V]となり、これは、その閾値電圧Vth(=1.5[V])より十分大きいことから、当該電流スイッチトランジスタP1はオンする。その結果、可変抵抗部4の入出力がほぼショートに近い状態となり、その抵抗が約1[Ω]以下となる。
したがって、電流源1からの駆動電流Iopは、波形整形部3に流れる電流を無視すると、殆どすべてが半導体レーザ21へ流れる。
<ステップ2>
ここで、何らかの原因で偶発的にコンタクト不良が発生し、コンタクトプローブ22a及び/又は22bが半導体レーザ21の端子から離れて、半導体レーザ21への通電が遮断されたとする。
この時、電流源1は電流を供給し続けようとする。この電流は、最初は、I/V変換部7、可変抵抗部4および半導体レーザ21の経路には流れず、サージ除去用のキャパシタC1に流れる。
すると、I/V変換部7のノードND3の電圧は、検出抵抗R72に電流が流れなくなるので、瞬時に0[V]となり、比較部50の出力トランジスタTr1がオフする。このため、波形整形部3内の抵抗R3を通して電流が比較部50のノードND4に供給され、その電圧はハイレベルになる。
このハイレベルの電圧は、波形整形部3内のダイオードD2を通して、短時間で電流スイッチトランジスタP1のゲートGに達し、ゲート電圧Vgがハイレベルとなる。このときゲート電圧Vgは、電流駆動ライン15aのノードND2の電圧より、ダイオードD2の順方向電圧(=約0.7[V])だけ低い電圧となる。このため、電流スイッチトランジスタP1のゲート・ソース間電圧Vgsが約0.7[V]程度となる。この電圧は閾値電圧Vth(=約1.5[V])の絶対値より小さくなることから、電流スイッチトランジスタP1はオフする。
その結果、オン抵抗Ron程度であった電流スイッチトランジスタP1のソースとドレイン間のインピーダンスが、ほぼ無限大となる。よって、可変抵抗部4の入出力間の抵抗値は、電流制限抵抗R5(=250[Ω])の値で確定する。
上記状態において、I/V変換部7のノードND3の電圧を、リセットライン8を介して電圧計9で測定することにより外部から検査装置上で、何らかの原因で電流駆動ラインが非導通状態になっていることが確認できる。
以上より、コンタクト不良が発生し、I/V変換部7に電流が流れなくなった瞬間から、可変抵抗部4の電流制限抵抗R5によって半導体レーザ21に流れる駆動電流Iopが制限されるため、過電流(突入電流/サージ電流)による半導体レーザ21が劣化することが防止される。
前述したように電流駆動ラインが非導通状態になると、電流源1からの電流駆動電流はサージ除去用のキャパシタC1に流れるが、それを充電し終えると、ライン負荷容量等を充電する。このため、電流駆動ライン15aと基準電圧の供給ライン15bとの間の電圧はさらに上昇していき、やがてツェナーダイオードD1のクランプ電圧に達する。それ以降は、ツェナーダイオードD1に電流(ツェナー電流)が流れるようになるため、電流駆動ライン15aの電圧はクランプ電圧Vclpで一定となる。
なお、前述したように電流駆動ラインが非導通状態になり、直ぐに導通状態になった場合、I/V変換部7の出力電圧は約100[mV]以下のままとなり、比較部50の出力はローレベルを保持する。そして、電流駆動ライン15aの電流は、電流制限抵抗R5によって制限されるため、その殆どがサージ除去用のキャパシタC1に流れる。
その後、上記非導通の状態と同様に、電流駆動ライン15aと基準電圧の供給ライン15bとの間の電圧がツェナーダイオードD1のクランプ電圧Vclpに達すると、ツェナーダイオードD1にツェナー電流が流れるようになる。
<ステップ3>
つぎに、コンタクトプローブ22aおよび22bと半導体レーザ21の端子との間が再び導通になったとする。
この時、電流スイッチトランジスタP1はオフ状態のままで、半導体レーザ21には電流制限抵抗R5を介して、駆動電流値Iopより少ない電流が流れる。これは、電流制限抵抗R5が、電流スイッチトランジスタP1のオン抵抗(約1[Ω])より十分大きな抵抗値(たとえば250[Ω])を有するためである。
具体的には、半導体レーザ21には、クランプ電圧Vclp(=7[V])と半導体レーザ21の駆動電圧Vop(=4.5[V])との差電圧を抵抗R5(=250[Ω])で割った僅かな電流(約10[mA])が流れる。この電流をI/V変換部7が検出し、電圧に変換すると、その電圧値は式(9)から約100[mV]となる。
この電圧を、リセットライン8を介して電圧計9にて測定し、これによりコンタクトが再接触し、導通状態になっていることを確認できる。
<ステップ4>
上記ステップ3にて導通状態が確認できれば、半導体レーザ21の電流駆動ラインは復帰したことになるので、リセット状態を設定し、ステップ1の通常動作状態に戻す。
リセット状態にするには、スイッチS10をオンすることによって、I/V変換部7のノードND3に、リセットライン8を介してリセット電圧を出力する(または外部のテスタ等を用いてリセットパルスを入力する)。
リセット電圧は、比較部50の出力をローレベルに変化させることができる値をとる。電圧源51の参照電圧Vrefが約200[mV]であることから、それを超える電圧値、たとえば300[mV]程度のリセット電圧が望ましい。
なお、リセット状態にする手段は、比較部50のノードND4をローレベルにすれば良いことから、図7に示すスイッチS10、電圧計9を設ける代わりに、電圧源51の電圧を変更してもよい。
一旦リセット状態になると、波形整形部3のダイオードD2は逆バイアスとなるのでオンしないため、電流スイッチトランジスタP1のゲート電圧Vgは、抵抗R4とゲートのキャパシタC1との時定数で徐々にハイレベルからローレベルにゆっくりと変化する。これに合わせて電流スイッチトランジスタP1のソースSとドレインD間の抵抗は、無限大から徐々に小さくなる。これは、PMOSトランジスタ(電流スイッチトランジスタP1)のソースSとドレインD間の抵抗が、ゲート・ソース間電圧Vgsから閾値電圧Vthを引いた電圧の逆数に比例するためである。そして、電流スイッチトランジスタP1のソースSとドレインD間の抵抗は、最終的にはオン抵抗(約1[Ω])になる。
これにより、ツェナーダイオードD1に流れていた電流は、その殆どが半導体レーザ21に流れるようになり、電圧クランプ部がオフ(電圧クランプ状態が解除)する。
以上の動作によって、導通時に10[mA]が半導体レーザ21に流れ、その後リセット開始によって徐々に半導体レーザ21への駆動電流が増加し、電流駆動ライン15aに蓄積された電荷をゆっくりディスチャージし、やがて電流源1の電流と同じ電流が半導体レーザ21に流れる。
その結果、コンタクトが接続して半導体レーザ21の通電が非導通から導通に変化したときに、半導体レーザ21には過電流が流れないまま上記ステップ1の状態となる。
本実施の形態によれば、上記ステップ1からステップ4の動作によって、予測できない非導通から導通時に発生する過電流(突入電流)を回避し、半導体レーザ21を保護することができる。
<第1変形例>
上記駆動回路は、半導体レーザなど電流駆動デバイスの測定システムに組み込んで用いると有用である。その場合、電流源及び/又はリセットの機能をテスタ等の駆動回路以外のシステム部分に持たせることができる。
図8に、電流源およびリセットの機能をテスタに持たせた場合のシステム構成を示す。
図8において、半導体レーザ(またはIC)用のテスタ120内に、電流源1Aおよびリセット部6Aが設けられている。テスタ120は、不図示のマイクロコンピュータにより半導体レーザの検査手順を制御する。
本実施形態に関わる駆動回路は、DUT(半導体レーザ21)がセットされたハンドラ103とテスタ120とを連結する、不図示の検査ヘッド内のデバイス・インターフェース・ボードに実装されている。図8においては、駆動回路の保護回路102Aの部分を示す。
保護回路102Aは、図6に示す保護回路102と比較すると、その比較部50内の参照電圧Vrefを生成する電圧源が省略され、その差動増幅器52の非反転入力「+」に基準電圧ライン81が接続されている。
基準電圧ライン81はテスタ120内のリセット部6Aにおいて、基準電圧とリセット電圧との電圧変更が可能な電圧源51Aに接続されている。
保護回路102A内のノードND3から電圧モニタライン82が取り出され、テスタ120内のリセット部6Aにおいて電圧計9aに接続されている。
また、電流駆動ライン15aに駆動電流を供給する電流源1Aも、テスタ120内に設けられている。
保護回路102A内の他の構成は、図6と同じであり図7に示す具体的回路により実現可能である。
図8に示す測定システムの基本的な動作は、図6および図7と同じであり、ここでの説明を省略する。
この測定システムを使用すれば、半導体レーザ21の駆動および保護以外にさらに、コンタクトの非導通の発生を検出し、その度合い(回数)を利用し、これを保守メンテナンス(たとえばコンタクトプローブの交換時期など)の目安にすることができる。
なお、前述した第1〜第4実施形態においても、図8に示す測定システムと同様、電流源およびリセットの機能をテスタに持たせることが可能である。
<第2変形例>
図6〜図8において、さらには第1から第4の他の実施形態において、リセットの機能を省略することも可能である。
図9に、リセットの機能を省略する場合の駆動回路例を示す。
この駆動回路では、I/V変換部7のノードND3にリセット部6(または6A)が接続されていない。また、ノードND3と差動増幅器71との間の抵抗R71も省略されている。
電圧源51の参照電圧Vrefを、コンタクトの非導通から導通状態時に発生するI/V変換部7の出力電圧より、予め若干低めに設定する。たとえば、参照電圧Vrefを約50[mV]に設定する。
本例の動作上の変更点は、外部からの制御回路で復帰するのではなく、I/V変換部7の出力電圧に応じて自動的に復帰する点である。したがって、図9においては、リセットする必要がないので、図7に示すリセットライン8、電圧測定用の電圧計9およびリセット電圧発生手段10A等は不要となる。
図9に示す駆動回路は、制御回路が不要となるので回路規模が大きくならず、したがって、たとえばバーイン・ボードなどに保護装置を組み込む時などに有効である。
[第6実施形態]
図10は、第6実施形態における駆動回路図である。
第1実施形態からの変更内容は、DUT(半導体レーザ21)がアノードコモンで、そのカソードKから駆動電流をシンクして使用する点である。したがって回路は第5実施形態の図7と比較して、電源電圧Vccと電源電圧Veeに対し、回路要素の接続関係が対称となる。
回路図上での変更内容は、電流源1の電源は電源電圧Veeから供給されている。I/V変換部7の検出抵抗R72が電流駆動ライン15dに接続され、キャパシタC1およびツェナーダイオードD1が、基準電圧の供給ライン15cと電流駆動ライン15dとの間に接続されている。差動増幅器71および52は、電源電圧VccおよびVeeに接続されて電源供給を受ける。差動増幅器71および52は、反転入力と非反転入力の他の構成に対する接続が図7の場合と逆となっている。
比較部50内に出力トランジスタTr1は設けられておらず、その代わりに、波形整形部3内においてNMOSトランジスタP11が基準電圧の供給ライン15cとノードND4との間に接続されている。さらに波形整形部3内のダイオードD2が図7と比較して逆に接続されている。
また、可変抵抗部4内の電流スイッチトランジスタP33は、エンハンスメント型のNMOSトランジスタから構成される。
このような構成では、I/V変換部7の検出抵抗R72に発生した電圧を差動増幅器71において所定の増幅率で増幅し、接地電圧を基準とする電圧を出力する。
この電圧を、抵抗R71を介して比較部50に出力し、その差動増幅器52において、電圧源51の参照電圧Vrefと比較する。差動増幅器52の出力は、ローレベルでほぼ最下位電位(電源電圧Vss)、ハイレベルでほぼGNDレベルになる。差動増幅器52の出力電圧によりNMOSトランジスタP11を制御し、ノードND4にハイレベルまたはローレベルを現出させる。
ノードND4に現出した電圧は、波形整形部3により波形整形され、可変抵抗部4の電流スイッチトランジスタP33のゲートGに出力される。
比較部50の出力がローレベルの時、NMOSトランジスタP11がオンし、可変抵抗部4の制御電圧(ゲート電圧Vg)を、ほぼGND付近のハイレベルに設定する。この時、Nチャンネル型の電流スイッチトランジスタP33がオン状態となり、可変抵抗部4はほぼショート状態となり、その入出力間の抵抗値がオン抵抗Ronにより規定される極めて低い値となる。
一方、比較部50の出力がハイレベルの時は、NMOSトランジスタP11がオフし、可変抵抗部4の制御電圧(ゲート電圧Vg)を、電流駆動ライン15dのノードND2とほぼ同じローレベルに設定する。この時、Nチャンネル型の電流スイッチトランジスタP33がオフ状態となり、可変抵抗部4はほぼショート状態となり、その入出力間の抵抗値が電流制限抵抗R5の抵抗値に確定する。
第5実施形態では、電流スイッチとしてPMOSトランジスタ(電流スイッチトランジスタP1)を使用したが、第6実施形態では、NMOSトランジスタ(電流スイッチトランジスタP33)を使用することから、第6実施形態では、第5実施形態と逆に、可変抵抗部4の制御電圧の立ち上がりスロープを遅く(緩やかに)し、立ち下がりスロープを速く(急峻に)設定する。
その他の動作詳細は、第5実施形態と同一であるため、省略する。
本発明の第5および第6実施形態によれば、以下の利益が得られる。
第1に、半導体レーザなどに代表とされる電流駆動デバイスに対し、その電流駆動ラインが非導通から導通となる時に発生する過電流(突入電流/サージ電流)を防止して、その劣化を防ぐことができる。
第2に、駆動回路の電源をオフして再起動する必要が無く、検査のスループットを上げることができる。再起動を自動検出する構成が不要であり、その分、回路規模が大きくならずローコストで実現できる。
とくに、電流駆動ラインが非導通になった時、電流駆動デバイスへの電流を制限したままとし、次にリセットした場合、波形整形部と可変抵抗部によって、徐々にDUTへ駆動電流を流すことにより過電流(突入電流/サージ電流)が発生しないため、一旦出力回路をオフする必要がなく、検査のスループットが低下しない。
このような理由から、本駆動回路は、半導体レーザなど電流駆動デバイスの測定システム、またバーイン・ボードなどに組み込んで使用することが容易である。
第3に、電流駆動ラインが導通から非導通状態になったことをDUT(半導体レーザ21)に流れる電流をモニタすることで検出するため、非導通になった瞬間から、DUTへ流れる駆動電流を制限でき、駆動ラインに大容量のコンデンサがある場合でも過電流(突入電流/サージ電流)を防止して、その劣化を防ぐことができる。
このことは、電源のON/OFF時などに発生するサージの除去用として大容量のコンデンサを電流駆動ラインに設置することを可能とするものである。
電流駆動ラインが非導通になったことが検出した後、外部よりリセットをかけるようにした場合、リセット回数がコンタクト非導通の発生頻度(ある一定期間内の回数)と関連することから、その回数をカウントし、コンタクト非導通の発生頻度を、たとえばコンタクトプローブの交換時期などの目安として保守メンテナンスに役立てることができる。
この外部からの制御回路でリセットさせるか、自動的にリセットさせるかは、参照電圧Vrefの値を変えて変更可能であり、その選択が容易である。
さらに、回路構成を変えるだけで、アノードコモンまたはカソードコモンの電流駆動デバイスのいずれに対しても対応できる。
[第7実施形態]
以上の第1〜第6実施形態では、電流スイッチトランジスタP3(あるいはP33、以下同じ)をオフからオンにするときに、その遷移時間を長くする波形整形部3を有している。
波形整形部3を有する場合、クランプ状態になってから直ぐに電流スイッチトランジスタP3をオンしても半導体レーザ21が過電流から保護される点で望ましいが、デバイス保護の観点からは波形整形部3が必ず必要というわけではない。たとえば、電流制限抵抗R5に復帰電流が流れ出すことがモニタ電圧の変化で分かるので、テスタ120等が電流源1(または1A)の電流供給を停止して、電流駆動ライン15aの電荷が電流制限抵抗R5を介して十分にディスチャージされるのを待ってから電流スイッチトランジスタP3をオンさせることでも過電流防止(デバイス保護)は可能である。
ただし、この場合は検査可能な状態に復帰するまでに時間がかかる。
この時間を短くするには電流駆動ライン15aの電荷を急速に放電することが有効である。
また、第1〜第4実施形態におけるモニタ電圧(ノードNDaの電圧)は、その電圧変化が比較的小さい。
第7実施形態の駆動回路は、回路構成を簡素化しながら、上記の2点の改善を図るものである。すなわち、本実施形態の駆動回路は、電荷放電を行う手段(放電制御部)と、ノードNDaの電圧変化を大きな振幅の電圧変化に変換する手段とを有し、このため波形整形部やリセット部の省略が可能で回路構成が簡素化できる。
以下、本実施形態の駆動回路を、さらに詳細に説明する。
図11は、本実施形態において半導体レーザが接続されている駆動回路の構成を示すブロック図である。このブロック図には、テスタとDUTとを併せて示す。
なお、図11は、電流源、電圧源および電圧計をテスタ120内に設けている場合を例示するが、これらを駆動回路内に内蔵してもよい。また、電流源1、半導体レーザ21をセットしているハンドラ103、電流駆動ライン23aと23b、電流駆動ライン15a、基準電圧の供給ライン15b、電圧クランプ部22、可変抵抗部4および検出部5Cの各構成と、それらの接続関係は、第1実施形態の図1とほぼ同じである。ただし、後述するように、検出部5Cは検出部5と若干構成が異なる。
図11において、半導体レーザ(またはIC)用のテスタ120内に、電流源1のほかに、定電圧源12と電圧計10が設けられている。テスタ120は、内蔵されている不図示のマイクロコンピュータ等により半導体レーザの検査手順を制御する。
定電圧源12は、任意のタイミングでパルスを与えることが可能な電圧源回路から構成され、その電圧値は任意に設定できる。
駆動回路101は、大別すると、保護回路を構成する各部として、放電制御部81、可変抵抗部4、電圧クランプ部22、クランプ電圧およびその変動を検出する検出部5C、モニタ部82、および、復帰電流の検出手段83を有する。
放電制御部81は、電流駆動ライン15aと基準電圧の供給ライン15bとの間に接続されている。また、放電制御部81は、テスタ120内の定電圧源12に接続されている。
定電圧源12は、不図示のマイクロコンピュータから供給されたパルスに応じて一定電圧を出力する。放電制御部81は、当該一定電圧が入力されると、それに応じて電流駆動ライン15aと基準電圧の供給ライン15bとの間をショートして、半導体レーザ21に流れる駆動電流のバイパスを形成し、電流駆動ライン15aの電荷を放電する手段である。
なお、放電制御部81は後述するように、半導体リレーにより構成できる。ただし、放電制御部81の構成によっては、その動作を制御する手段を定電圧源にする必要は必ずしもない。つまり、定電圧源12は、たとえば定電流源またはパルス発生回路に置き換え可能である。また、放電制御を行う手段の機能をマイクロコンピュータに持たせることもできる。
検出部5Cの出力は可変抵抗部4の制御入力に接続されている。検出部5Cの出力は、モニタライン82Aを介してモニタ部82に接続されている。
モニタ部82は、復帰電流の検出手段83と連携して、可変抵抗部4内の電流制限抵抗R5(不図示)に復帰電流が流れたことによる電圧変化を、上述した第1〜第4実施形態の場合より大きな電圧差に変換する回路である。
図12は、図11を具体化した一回路例を示す。
可変抵抗部4は、他の実施形態と同様、電流スイッチとしてのPチャネル・エンハンスメント型MOSFET(電流スイッチトランジスタ)P3と、電流制限抵抗R5とを有する。
ただし、本例の場合、電流制限抵抗R5と直列に、復帰電流が流れると発光する発光デバイスE2が接続されている。発光デバイスE2は、電流スイッチトランジスタP3のソースと電流制限抵抗R5との間に接続されている。
電流スイッチトランジスタP3のゲートGは、検出部5Cの出力(ノードNDa)に接続されている。このため、可変抵抗部4全体の抵抗が、ノードNDaの電圧に基づいて制御され、電流スイッチトランジスタP3のゲートGとソースS間の電位差(ゲート・ソース間電圧Vgs)に応じて変化する。ゲート・ソース間電圧Vgsは、電流スイッチトランジスタP3のゲートを基準としたソースの電圧を表す。
他の実施形態と同様、電圧クランプ部22はツェナーダイオードD1からなる。
検出部5Cは、2つのPNP(バイポーラ)トランジスタP1およびP2、ツェナーダイオードD2を有する。
2つのPNPトランジスタP1およびP2は、電圧クランプ動作時においてツェナーダイオードD1に流れるクランプ電流を取り出すカレントミラー回路を構成する。PNPトランジスタP1,P2のツェナーダイオードD1,D2、電流駆動ライン15aおよび基準電圧の供給ライン15bに対する接続関係は、第1実施形態(図2)と同じである。
図12が図2と異なる点は、図2の抵抗R2が図12では省略されていることである。PNPトランジスタP2とツェナーダイオードD2との接続点から、検出部5Cの出力が得られる(ノードNDa)。なお、ツェナーダイオードD2としてツェナーダイオードD1と同じツェナー電圧値のものを選択するとよい。
ツェナーダイオードD1および検出部5Cにより規定されるクランプ電圧値Vclpは、回路図よりツェナーダイオードD1のツェナー電圧値Vzと、カレントミラー回路を構成するPNPトランジスタP1の順方向電圧値Vfとを加算した値をとる。クランプ電圧値Vclpを、半導体レーザ21の動作に影響を出ないようにするため、半導体レーザ21の動作電圧より高い電圧に設定する。半導体レーザ21の動作電圧を約4.5[V]とした場合、たとえば、ツェナーダイオードD1,D2のツェナー電圧値Vzを約6.8[V]、PNPトランジスタP1,P2の順方向電圧値Vfを約0.7[V]とする。この時クランプ電圧値Vclpは約7.5[V]となる。
前述したと同様、このようなクランプ電圧が生じるときに「電圧クランプ部が動作している」と言う。
ノードNDaに、検出部5Cの出力をモニタするためのモニタライン82Aが接続されている。モニタライン82Aに、モニタ部82が接続されている。モニタ部82は、モニタライン82Aに対し直列に接続されている2つの分割抵抗R2,R3を有する。
分割抵抗R3と接地電位との間に、光スイッチS2が接続されている。分割抵抗R2,R3の接続中点(ノードNDm)が、テスタ120内の電圧計10に接続されている。
この光スイッチS2と、前述した発光デバイスE2とは、復帰電流の検出手段83(図11)の一例として、半導体リレーSR2を構成している。つまり、発光デバイスE2が発光すると、光スイッチS2がスイッチング動作するようになっている。光スイッチS2を接地電位接続に用いる本例の場合、光スイッチS2をノーマリーオンのものを用いる。
電圧クランプ部(ツェナーダイオードD1)が動作状態にあるとき、ツェナーダイオードD1,D2のツェナー電圧値Vzを約6.8[V]とする。また、分割抵抗R2,R3の抵抗値が等しいとする。
この条件下で電圧計10がモニタする電圧は、光スイッチS2がオフのときは約6.8[V]のハイレベルをとり、光スイッチS2がオンすると、その半分の約3.4[V]のローレベルに変化する。その電圧変化の振幅は3[V]以上と大きい。したがって、電圧計10を用いてノードNDaの電圧に比例した電圧を抵抗分割点(ノードNDm)から測定することによって、電圧クランプ部の動作状態をモニタすることができる。
ところで、本例では電流制限抵抗R5の値は、可変抵抗部4の電流スイッチトランジスタP3がオフの時、クランプ電圧Vclpから半導体レーザ21の動作電圧Vopを引いた電圧値を、電流制限抵抗R5の抵抗値で割った電流値が、半導体レーザ21の閾値電流値より小さい値に設定される。
その電流スイッチトランジスタP3のオン、オフ動作は、ゲート・ソース間電圧Vgsによって制御される。電流スイッチトランジスタP3のソースとドレイン間の抵抗は、オン状態では、ゲートとソース間の電位差にもよるが約1[Ω]程度の値(オン抵抗値)をとり、オフ状態ではほぼ無限大となる。電流スイッチトランジスタP3がオン状態のときは、抵抗値の違いから、電流制限抵抗R5と発光デバイスE2には殆ど電流が流れない。一方、電流スイッチトランジスタP3がオフした状態で、そのソースとドレイン間に電位差が発生すると、電流制限抵抗R5と発光デバイスE2に電流が流れるが、その直列抵抗値は上記オン抵抗値に比べて格段に大きいことから、とくに抵抗値が大きい電流制限抵抗R5が電流制限手段として働く。
また、電流制限抵抗R5の抵抗値は、発光デバイスE2に流れる電流値を所定の範囲にする観点からも、その値が決められている。
より詳細に、電流制限抵抗R5の抵抗値は、電流スイッチトランジスタP3がオフと仮定し、クランプ電圧Vclpから半導体レーザ21の動作電圧Vopを引いた電圧間において、発光デバイスE2に流れる電流が所定の値になるような抵抗値に設定する。所定の値は、半導体リレーSR2がオンする程度の電流値、たとえば約1〜5[mA]である。
また、モニタ部82の分割抵抗R2,R3の値は、半導体リレーSR2がオフ(光スイッチS2がオン)した状態で、分割抵抗R2,R3に流れる電流値がツェナーダイオードD2に流れているクランプ電流値より十分小さくなるようにする。言い換えると、分割抵抗R2,R3に電流が流れる場合と流れない場合で、ノードNDaに現出するクランプ電圧が殆ど変化しないか、変化しても電流スイッチトランジスタP3の制御に影響を与えないように、分割抵抗R2,R3の値を決める。分割抵抗R2,R3の値をここでは、それぞれ約10[kΩ]とする。
ICテスタ内の電圧計10は、モニタ部82のノードNDmの電圧レベルをモニタする。そのモニタ電圧レベルは、分割抵抗R2,R3の値が同じ場合、半導体リレーSR2がオフ(光スイッチS2がオン)のときにノードNDaの電圧の半分となる。また、半導体リレーSR2がオン(光スイッチS2がオフ)のときにノードNDaの電圧が、電圧計10に出力される。
放電制御部81は、電流駆動ライン15aと基準電圧の供給ライン15bとの間に接続されている光スイッチS1と、定電圧源12と接地電位との間に縦続接続されている抵抗R4および発光デバイスE1とを備える。このうち光スイッチS1と発光デバイスE2は、半導体リレーSR1を構成している。
光スイッチS1は、光スイッチS2と同様、ノーマルオンのスイッチであり、発光デバイスE1が発光すると、光スイッチS1がオフからオンに動作するようになっている。発光デバイスE1の発光は、テスタ120内の電圧源12により制御され、定電圧源12にパルスが入力されるときに定電圧源12から電圧が供給されて発光デバイスE1が発光する。
なお、半導体リレーは電流印加の制御のため、定電圧源12と発光デバイスE2のアノードを接続する制御ラインに、適切な値の抵抗R4を入れ、発光デバイスE2の電流を制御できるようにするほうが好ましい。これによって、たとえば定電圧源12から5[V]の電圧が出力されるときに発光デバイスE2が発光して光スイッチS1がオープンとなり、定電圧源12からの電圧レベルが0[V]となると発光デバイスE1が非発光となって光スイッチS1が閉じる。
本実施形態で半導体リレーSR1は、ノーマルオンとすることによって以下の役割を果たす。
第1の役割は、駆動電流を半導体レーザ21に流さない(駆動電流オフ)時において、電流駆動ライン15aと基準電圧の供給ライン15bとをショートし、これによってノイズなど予期せぬ電流駆動ラインの電位変動、あるいは静電気などから半導体レーザ21を保護することである。
第2の役割は、半導体レーザ21に駆動電流を流す(駆動電流オン)と、駆動電流オフとを制御する電流スイッチトランジスタP3が復帰する動作、すなわち非導通から導通に復帰する動作を補助することである。以下、この第2の役割を詳細に説明する。
検査の開始に先立って、ノーマリーオフの半導体リレーSR1がオンして、駆動電流が半導体レーザ21に供給可能な駆動電流オン可能な状態が整えられる。
測定が開始され、その途中で何らかの原因でコンタクトプローブ22a,22bがコンタクト不良を起こして駆動電流オフとなった場合、所定の駆動電流を電流源1から流し続けると電流駆動ライン15aに電荷が溜まる。その電位上昇によって電圧クランプ部(ツェナーダイオードD1)がクランプ状態になり、そのことが検出部5Cにより検出されノードNDaの電圧が0[V]から所定の正電圧に上昇すると、電流スイッチトランジスタP3の動作状態が導通可能な状態から非導通状態に変化する。
つぎに、何らかの原因でコンタクト不良が解消されて接点が復帰すると、電流駆動ライン15aの電荷が電流制限抵抗R5により少しずつ放電される(復帰電流が流れる)。このとき電流源1の電流駆動能力が優るため、電流駆動ライン15aの電位はクランプ電圧を維持し続ける。したがって、その状態で電流スイッチトランジスタP3をオンすることができず、半導体レーザ21を保護するためには電流源1の電流供給を止めて、電流制限抵抗R5による放電で電流駆動ライン15aの電位が半導体レーザ21の定格動作電流以下になるまで待つしかない。しかし、それでは駆動電流オフからオンに遷移させる時間が長くなり、検査時間の短縮が図れない。
一方、電流制限抵抗R5に復帰電流が流れたことに応じて半導体リレーSR2がオンし、その光スイッチS2がオフ(オープン)となると、ノードNDmの電位がローレベルからハイレベルに推移する。このためテスタ120内のマイクロコンピュータは、電圧計10の測定結果から復帰電流が流れた、すなわちコンタクト不良の接点が復帰したことを知ることができる。
そこで、マイクロコンピュータの制御により、接点復帰後速やかに、定電圧源12に与えていたパルス供給を止め、半導体リレーSR1をオフ(光スイッチS1をオン)させる。これにより電流駆動ライン15aが基準電圧の供給ライン15bに接続され、急速に溜まっていた電荷が放電される。したがって、予期せぬコンタクト不良に対処し、半導体レーザ21を過電流から保護しながら、比較的短い時間で検査の再開が可能となる。また、電流源1を立ち下げたり、立ち上げたりする必要がないので、この点でも検査のスループットが低下しない。
以下、駆動回路101の動作を、具体的な電圧値の例を挙げ、さらに詳細にステップごとに説明する。
<ステップ1>
検査開始前の待機状態では、定電圧源12の出力は0[V]であり、半導体リレーSR1内の光スイッチS1はノーマリーオンであることから、電流駆動ライン15aを基準電位(電流駆動ライン15a)に接続するバイパスが形成されている。
検査開始後、最初に、電流源1より所定の駆動電流Iop(ここでは約50[mA]とする)を電流駆動ライン15aに流す。その駆動電流はバイパスラインを形成しているオン状態の光スイッチS1を通って基準電圧の供給ライン15bに流れる。
つぎに、テスタ120の電圧源12の出力を、たとえば0[V]から5[V]程度のアクティブレベルに遷移させ、これにより半導体リレーSR1をオンする。これにより、半導体リレーSR1内の光スイッチS1がオフし、電流源1からの駆動電流Iopが、導通状態の電流スイッチトランジスタP3を通って半導体レーザ21に流れるようになる。
この時クランプ電圧値Vclpは、半導体レーザ21の動作電圧(ここでは約4.5[V]とする)より十分高く、電圧クランプ部は動作していない(電圧クランプ状態にない)。たとえばツェナーダイオードD1の降伏電圧を6.8[V]、トランジスタP1の順方向電圧を0.7[V]とすると、クランプ電圧Vclpは約7.5(=6.8+0.7)[V])であるため、半導体レーザ21の動作電圧が4.5[V]の場合、電圧クランプ部は動作しない。このため、ツェナーダイオードD1のクランプ電流はほぼ0[mA]となり、検出部5CのノードNDaに発生する電圧は、ノーマリーオンの光スイッチS2を介して接地電位に近い、ほぼ0[V]で固定されている。したがって可変抵抗部4の電流スイッチトランジスタP3のゲート・ソース間電圧Vgs(=4.5[V])は、その閾値電圧Vth(ここでは約1[V]とする)より絶対値で十分高く、電流スイッチトランジスタP3はオン状態となっている。その時、電流スイッチトランジスタP3のオン抵抗Ronは十分小さいので(ここでは約1[Ω]以下とする)、駆動回路動作への影響はなんら発生していない。また、ソースとドレイン間に発生する電圧V(SD)は、約50[mV](=1[Ω]×50[mA])と非常に小さいことから、半導体リレーSR2の発光デバイスE2には電流が流れず、オフ状態となっている。
この時、電圧計10でノードNDmの電圧をモニタすると、その電圧値はほぼ0[V]となる。
<ステップ2>
ここで、何らかの原因で偶発的にコンタクト不良が発生し、コンタクトプローブ22a及び/又は22bが半導体レーザ21の端子から離れて、半導体レーザ21への通電が遮断されたとする。
この時、電流源1は電流を供給し続けようとすることから、電流駆動ライン15aの電位が短時間に上昇する。
電流駆動ライン15aと15b間の電位がクランプ電圧Vclpに達すると、電圧クランプ部22(ツェナーダイオードD1)がオン状態となる。ここでツェナーダイオードD1にクランプ電流が流れ、そのミラー電流として、ほぼ同量の電流が検出部5Cに流れる。したがって、電圧クランプ部22と検出部5Cに流れる各電流(クランプ電流とミラー電流)は、電流源1からの駆動電流Iopの約半分(Iop/2=25[mA])の値をとる。
これにより、モニタ部82のノードNDaには、ツェナーダイオードD2のクランプ電圧(トランジスタP1の順方向電圧を0.7[V]とすると、たとえば約6.8[V])が発生する。その電圧は、可変抵抗部4の電流スイッチトランジスタP3のゲートに瞬時に達し、そのゲート・ソース間電圧Vgsは閾値電圧Vth(約1[V])より絶対値で小さくなるので(Vgs=7.5−6.8=0.7[V])、電流スイッチトランジスタP3はオフし、そのオン抵抗Ronは、ほぼ無限大となる。この時、半導体レーザ21には電流が流れていないので、半導体リレーSR2の発光デバイスE2に電流が流れず、モニタ部82内の光スイッチS2は依然としてオフ状態のままとなっている。
上記状態において、電圧計10でノードNDmの電圧をモニタすると、その電圧値はツェナーダイオードD2のクランプ電圧約6.8[V]を抵抗分割によって半分にした値、すなわち約3.4[V]となる。よってテスタ120内のマイクロコンピュータは、コンタクトプローブ22a,22bと半導体レーザ21の端子との間が何らかの原因で、非導通になったことが確認できる。
<ステップ3>
つぎに、コンタクトプローブ22aおよび22bと半導体レーザ21の端子との間が再び導通になったとする。
この時、電流スイッチトランジスタP3はオフの状態のままで、半導体レーザ21には電流制限抵抗R5と半導体リレーSR2の発光デバイスE2とを介して、駆動電流値Iopより十分小さい復帰電流(約1〜5[mA])が流れる。これは、電流制限抵抗R5が、電流スイッチトランジスタP3のオン抵抗(約1[Ω])より十分大きな抵抗値を有するためである。
ここで、半導体リレーSR2はオン状態になり、光スイッチS2がオフすることから、分割抵抗R3は接地電位に対しオープンとなる。このため、ノードNDmの電位をローレベルに固定していたことが解除される。具体的には、ノードNDmの電圧は、約3.4[V]からツェナーダイオードD2のツェナー電圧6.8[V]近くに変化する。よって、その電圧レベルの上昇をモニタすることで、半導体レーザ21の電流駆動ラインが復帰したことが確認できる。
上記コンタクトプローブ22aおよび22bと半導体レーザ21の端子との間が再び導通した瞬間、半導体レーザ21には僅かな(約1〜5[mA])の復帰電流しか流れないことから、過電流(突入電流)が発生しない。またレーザ発光の状態になっていない(自然発光の状態となっている)ので、光出力がほとんど発生せず、熱的に破壊もされない。このとき、電圧クランプ部は動作したままの状態となっているので、可変抵抗部4の電流スイッチトランジスタP3はオフで、そのオン抵抗はほぼ無限大のままである。
<ステップ4>
電流駆動ライン15aの電位を、ステップ1の初期状態に復帰させる。
具体的には、テスタ120内の電圧源12の出力を、0[V]に戻して半導体リレーSR1をいったんオフする。このとき半導体リレーSR1内の光スイッチS1がノーマリーオンの状態に戻るため、ツェナーダイオードD1,D2に流れていた駆動電流Iopは、今度はバイパスラインに流れ、かつ電流駆動ライン15aと15bとの間の電圧は約ゼロにまで急激に低下する。
その後、半導体リレーSR2をオンする。今度はその駆動電流は半導体レーザ21に流れ、通常動作(レーザ発光)状態になる。
このステップ4の動作は、測定後に初期状態を復帰させる場合にも行うことができる。ここでは、検査中にコンタクト異常を検出し、その後、異常が収まった後に検査を再開したいときに、半導体レーザ21を保護するためにステップ4への強制移行を行っている。
具体的にテスタ120は、電圧計10による電圧モニタ結果において、そのモニタ電圧(測定電圧)が0[V]から3.4[V]等の中間的な電圧に変化し、さらに6.8[V]のハイレベルの電圧に変化した場合は、コンタクトプローブ22a,22bが非接触(コンタクト不良)になって、再接触したと判断できる。このため、このとき測定中であっても、直ぐに定電圧源12の出力を制御して上記ステップ4に移行させる。
本実施形態では、以下の利点がある。
予期せぬ駆動電流オフが発生し、駆動電流をオンさせたい場合に過電流(突入電流)を回避し、半導体レーザ21を保護することができる。
また、半導体レーザ21への駆動電流のオフからオンに復帰させる制御を、駆動電流バイパス用のスイッチ(光スイッチS1)で行う。このため、電流源1をいちいち立ち下げたり、立ち上げたりする必要がなく、検査再開可能な状態への移行が極めて短くできることから、コンタクト不良による検査のスループット低下を最小限にすることができる。また、駆動回路101には専用の電源が不要でローコスト化が可能である。
さらに、電流駆動ラインが非導通になったことが検出でき、また外部より、もとの電流駆動状態に設定できるので、この非導通の発生の度合い(回数)を利用し検査装置の保守メンテナンスのパラメータ(たとえばコンタクトプローブの交換時期など)とすることもできる。
なお、半導体リレーSR1,SR2は、ノーマルオープンを使用してもよい。その場合モニタ電圧が変わるので、それに合わせ回路構成や電圧条件を変更する必要がある。
半導体リレーSR1,SR2としては、図示のようにダイオードを発光デバイスとし、MOSトランジスタを光スイッチとするフォトモス・リレーが採用できる。そのほか、半導体リレーに代えて電磁リレーの採用も可能である。
電圧クランプ回路は、ツェナーダイオードD1の代わりに、複数のダイオードをシリーズ接続した回路を採用できる。
上記動作説明で明らかなように、半導体リレーSR1はリセットの機能と電荷放電機能とを合わせ持つものであるため、他の実施形態において、リセット部6に代えて、あるいは、追加して設けることができる。
なお、半導体レーザ21の保護は、電流制限抵抗R5がなくても図ることができる。
図13に、その場合の駆動回路を示す。
図12からの変更内容は、電流スイッチトランジスタP3の両端の電流制限抵抗R5と半導体リレーSR2およびモニタ部82が削除された点である。この場合に電圧計10は、ノードNDaに直接、接続されている。
上記構成では、コンタクトが非導通から導通状態になったことは確認できない。しかし、コンタクトが導通から非導通になったことは電圧計10により、ノードNDaの電位が0[V]から、たとえば6[V]程度のハイレベルに推移したことで確認できる。その場合、出来るだけ速やかに半導体リレーSR1をオフさせて電流駆動ライン15aの放電を行う。
このような構成および動作でも、コンタクト不良が頻繁に発生しない場合に実用上問題なく、回路構成が非常にシンプルとなるので、検査装置のよりいっそうのローコスト化となる。なお動作は、第7実施形態のステップ3がなく、ステップ1、ステップ2およびステップ4は同じなので、説明を省略する。
[第8実施形態]
図14は、第8実施形態における駆動回路図である。
第7実施形態からの変更内容は、半導体レーザ21がアノードコモンで、そのカソードKから駆動電流をシンクして使用する点である。したがって回路は第7実施形態の図12と比較して、電源電圧Vccと電源電圧Veeに対し、回路要素の接続関係が対称となる。
回路図上での変更内容は、検出部5C内のカレントミラー回路がNPNトランジスタP11,P12を有し、可変抵抗部4内の電流スイッチが、Nチャネル・エンハンスメント型MOSFETP33となっている点である。
なお基本動作は、第7実施形態と同一であるため、省略する。
第1実施形態の駆動回路のブロック図である。 図1を具体化した回路図である。 第2実施形態の駆動回路図である。 第3実施形態の駆動回路図である。 第4実施形態の駆動回路図である。 第5実施形態における駆動回路のブロック図である。 図1を具体化した回路図である。 図7の第1変形例の駆動回路図である。 図7の第2変形例の駆動回路図である。 第6実施形態における駆動回路図である。 第7実施形態における駆動回路のブロック図である。 図1を具体化した回路図である。 図12の変形例を示す駆動回路図である。 第8実施形態における駆動回路図である。 半導体レーザの検査時における駆動回路例を示す図である。 図15を簡略化した等価回路図である。 図15の他の等価回路図である。 出力電圧と電流との時間変化を示すグラフである。 サージ除去回路を付加した駆動回路の等価回路図である。 特許文献1に記載されている駆動回路を示す図である。
符号の説明
1…電流源、4…可変抵抗部、5C…検出部、10…電圧計、12…定電圧源、15a, 23a,23b…電流駆動ライン、15b,15c…基準電圧の供給ライン、21…半導体レーザ(DUT)、22…電圧クランプ部、22a,22b…コンタクトプローブ、81…放電制御部、82…モニタ部、82A…モニタライン、83…復帰電流の検出手段、101…駆動回路、103…ハンドラ、D1,D2…ツェナーダイオード、P3,P33…電流スイッチトランジスタ、R5…電流制限抵抗、NDa,NDm…ノード

Claims (9)

  1. デバイスに所定の駆動電流を流す駆動回路であって、
    前記デバイスに駆動電流を供給する電流源と、
    前記電流源と前記デバイスとの間に接続されている電流スイッチと、
    前記電流スイッチと前記電流源との接続ラインの電圧を所定値でクランプする電圧クランプ部と、
    前記電圧クランプ部の動作状態をモニタし、モニタ結果に応じて前記電流スイッチのオフを制御するスイッチ制御回路と、
    前記デバイスの電流経路が遮断され、前記スイッチ制御回路が前記電圧クランプ部のクランプ状態を検出し、前記電流スイッチがオフされた後に前記遮断が解除されたときに、復帰電流を流す電流制限手段と、
    を有し、
    前記電流スイッチと前記電流制限手段が並列に接続されて可変抵抗回路が形成されている
    駆動回路。
  2. 前記デバイスの電流経路が遮断された後に、当該遮断が解除されて前記電流制限手段に復帰電流が流れることを検出する検出手段を、
    さらに有する請求項1に記載の駆動回路。
  3. 前記検出手段は、
    前記電流制限手段に直列接続され、一定値以上の電流が流れると発光する発光デバイスと、
    前記発光デバイスの光を受光して動作する光スイッチと、
    を備える請求項2に記載の駆動回路。
  4. 前記スイッチ制御回路は、前記電圧クランプ部の動作状態を示すモニタ電圧を出力し、
    前記モニタ電圧を所定電圧レベルに変換する抵抗をさらに有し、
    当該抵抗と所定の固定電圧の供給線との間に、前記光スイッチが接続されている
    請求項3に記載の駆動回路。
  5. 前記検出手段が前記復帰電流を検出したときに、前記接続ラインの電荷を放電する放電制御部を、
    さらに有する請求項1に記載の駆動回路。
  6. 前記放電制御部は、非動作状態で前記接続ラインの放電経路を形成するノーマリーオンのスイッチを含む
    請求項5に記載の駆動回路。
  7. 前記デバイスの電流経路が遮断された後に、当該遮断が解除されて前記電流制限手段に復帰電流が流れることを検出する検出手段をさらに有し、
    前記検出手段は、
    前記電流制限手段に直列接続され、一定値以上の電流が流れると発光する発光デバイスと、
    前記発光デバイスの光を受光して動作する光スイッチと、
    を備える
    請求項5に記載の駆動回路。
  8. 前記スイッチ制御回路は、前記電圧クランプ部の動作状態を示すモニタ電圧を出力し、
    前記光スイッチを、前記放電制御部を動作させるために行う前記モニタ電圧の出力制御に用いる
    請求項6に記載の駆動回路。
  9. 前記放電制御部は、
    制御信号の入力に応じて発光する発光デバイスと、
    前記接続ラインと電荷を放電する基準電圧ラインとの間に接続され、前記発光デバイスからの光を受光して動作する光スイッチと、
    を備える請求項1に記載の駆動回路。
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