JP4724429B2 - アクスルハウジング - Google Patents
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Description
これによって、部品点数、溶接部分の数・長さを減らし、材料代・プレス金型代・溶接費用などの生産コストを低減すると共に、小型化が容易でかつ部分的な応力集中をなくして強度の向上が可能な車両用アクスルハウジングを提供している。しかしながら、この形状においては、ハウジングセンター部の前部および上下部において一部に平面部を有しており、張り剛性が低下することから面振動が生じる問題がある。また、軸管部からハウジングのセンタ-部にかけて、アクスル車軸方向の断面変化が急峻であるため、アクスルハウジングの各部位における加速度などに対する応答周波数を計測すると、固有振動モードに伴う顕著なピーク周波数が生じ、車輌に搭載した際に耳障りな騒音を生じるという問題がある。
しかしながら、この方法は、製品の膨出部の補強を目的とするもので、アクスルハウジングの音響振動特性の問題の解消を示唆するものではなく、特に、アクスルハウジングの軸管部とハウジングセンター部との境界部に管状部材を設けることを示唆していない。
本第一発明のアクスルハウジングは、(1)車体の幅方向において、左右の軸管部と、前方側に開口部、後方側に突出するカバー部とを有する中央のハウジングセンター部を有するアクスルハウジングであって、前記ハウジングセンター部と軸管部の境界部の外面に金属製環状部材が設けられ、該金属製環状部材の幅方向の長さが、前記境界部におけるアクスルハウジングの外径の0.5〜3.0倍であることを特徴とする。
すなわち、本第1発明のアクスルハウジングによれば、境界部の剛性が向上し、走行中のデファレンシャルギアやサスペンション部等から伝播される振動による歪の集中が回避される。これにより音響特性が改善され、不快音を減少させることができると共に、耐久性も向上させることができる。
その結果を図15に示す。図15は、図14に示したアクスルハウジングの音響特性を示した周波数応答グラフである。なお、この周波数応答は、ハウジングセンター部中央部をハンマリングし、アクスルハウジング本体から数m離れた場所に騒音計を設置し、スペクトルアナライザーで音圧レベルを1/3オクターブ周波数分析して求めたものである。
アクスルハウジングにおいては、車輌の走行中、デファレンシャルギアやサスペンション部等から伝播される振動,騒音を増幅させる中周波領域の振動モードが問題となるが、図15に示すように全体的に高い音響応答レベルを示し、音響特性を悪化させていることが判る。
このようなことから、音響特性の劣化を防止するためには、歪の集中する境界部を補強して剛性を向上させることが有効であることを見出し、本発明をなしたものである。
図1(a)〜(c)において、車体前面側のハウジングセンター部2の中央部には、デファレンシャルギアを装着するための開口部5とその周辺に装着用の平坦部5aが設けられている。また、ハウジングセンター部2には、幅中央部において上下方向に突出するように湾曲部7が形成され、湾曲部7の上下面は平坦な面7aが形成されている。
なお、軸管部3とハウジングセンター部2との境界部4とは、ハウジングセンターから車体の幅方向の端部(車輪側)に向かってハウジングの内径が漸減する際、漸減しなくなった位置を軸管部とハウジングセンター部との境界とし、その幅方向の左右の周辺をいうものとする。
その結果を周波数応答グラフとして図2に示す。なお、この周波数応答は、上記と同様。ハウジングセンター部の中央部をハンマリングし、アクスルハウジング本体から数m離れた場所に騒音計を設置し、スペクトルアナライザーで音圧レベルを1/3オクターブ周波数分析して求めたものである。比較のため、図15に示した音響応答も併せて記載している。
図2から判るように、500〜800Hzの周波数帯域を主に、数dBから10dB程度、音響応答レベルが低下しており、良好な音響特性が得られていることが判る。
このようにして、本発明のアクスルハウジングでは金属製環状部材を、アクスルハウジングの境界部の外面に設けることができる。
上述のように、ハイドロフォーム加工によって軸管部、ハウジングセンター部および金属製環状部材を一体に成形すれば、境界部近傍の表面形状を平滑な面とすることができるので好ましいことは言うまでもない。なお、ハイドロフォーム加工法による本発明のアクスルハウジングの製造方法は後述する。
そして、このアクスルハウジングにおいても、ハウジングセンター部2と軸管部3の境界部4に金属製環状部材10が設けられている。
図5から判るように、500〜800Hzの周波数帯域を主に、数dBから10dB程度、音響応答レベルが低下しており、良好な音響特性が得られていることが判る。
図7(a)〜(c)に示すように、この実施形態のアクスルハウジングにおいては、車体の幅方向において、左右の軸管部3と、前方側に開口部5、後方側にカバー部6とを有する中央のハウジングセンター部2を有している。
そして、ハウジングセンター部2の中央前方側には、図1,図4と同様、デイファレンシャルギアを装着するための開口部5とその周辺に装着用の平坦部5aが設けられている。
「すなわち、ハウジングセンター部の少なくとも後方側は、軸管部とハウジングセンター部との境界部からハウジングセンター部2の幅方向中央まで、車体の幅方向および周方向(軸方向に垂直な方向)において、後方に凸な曲面9で構成された膨出部となっている。言い換えれば、軸管部3とハウジングセンター部2との境界部4からハウジングセンター部2の軸方向中央までの軸方向など周方向の断面が少なくとも後方に凸となる曲率を持っており、屈曲部や平坦面を有しない形状となっている。
その結果を周波数応答グラフとして図8に示す。なお、この周波数応答は、上記と同様、ハウジングセンター部中央部をハンマリングし、アクスルハウジング本体から数m離れた場所に騒音計を設置し、スペクトルアナライザーで音圧レベルを1/3オクターブ周波数分析して求めたものである。比較のため図9に示すように、図7に示した形状のアクスルハウジングにおいて金属製環状部材を設けない場合のアクスルハウジングをハイドロフォーム加工法により製作し、その音響特性も併せて記載している。
本発明のアクスルハウジングは、従来のアクスルハウジングの製造方法により金属製環状部材を装着していない状態のアクスルハウジングに製作した後、アクスルハウジングのハウジングセンター部と軸管部との境界部に環状部材を、例えば、軸方向の断面が閉断面の金属製環状部材であれば、焼き嵌めにより装着する方法、また、軸方向に間隙を有する断面が開断面の金属製環状部材であれば、その間隙を金属製環状部材の内径がアクスルハウジングの境界部の外径よりも大きくなるように治具などにより拡開させ、その状態でこれをアクスルハウジングの軸管部の端部から挿入して、境界部まで軸方向に移動させた後、治具を開放することにより、金属製環状部材を設けることができる。
図11(a)(b)及び図12は、本発明のアクスルハウジングをハイドロフォーム加工法により製造する方法を説明する断面概要図である。
このハイドロフォ−ム加工方法に用いる金型構成は図13(a)に示すように、金属素管20を収容する成形金型21と、金属素管20に対し内部に高圧流体を供給すると共に両端部を軸方向から押し込む左右一対の軸押し用シリンダヘッド22、23とを備える。なお、金型21の内壁面は、少なくとも左右の軸管部と、前方側に開口部形成部と後方側に膨出するカバー部とを有するハウジングセンター部が形成されるように凹凸が形成されている。成形金型21の拡管部近傍に成形時に管のバ−ストを防止するための可動金型27、28を設けている。ここで、開口部形成部とは、成形加工後に開口部を形成する部位を言うものとする。
図11(b)は、作動流体を作動流体注入用流路24を介して金属素管20に流し込み金属素管20に内側から圧力を負荷することによって金属素管20が膨張し、金属製環状部材の素環材31も内側からの圧力により膨張し、金属素管20の外周に密着された状態である。このときは,可動金型27、28が金属素管20に接触する位置に配置されている。
図12は拡管成形の最終状態である。最終状態では可動金型27、28のスライドが終了し初期位置に戻るが、その状態では成形金型21の内壁面と可動金型27、28の内壁面が同一面なる。金属製環状部材の素環材31は金属素管20の外周に密着し、金属製環状部材10となりハイドロフォ−ム加工が完了する。
ハウジングセンター部の開口部は、加工完了後上記の開口部形成部を切断除去することにより形成することができる。
すなわち、ハイドロフォーム加工方法では、板厚および幅を過大にすると局所的に大きな内圧が必要となり、金属素管だけを成形する場合のハイドロフォーム成形条件をそのまま使用することができないこととなる。また、場合によっては適正なハイドロフォーム加工条件が見出せないこともある。従って、金属製環状部材の素環材としての板厚については、好ましくは金属素管板厚の0.5倍から3.0倍とし、金属製環状部材の素環材の幅方向の長さ(幅ともいう)については、軸管部の外径の0.5倍から3.0倍とするのが望ましい。
(実施例1)
図1に示す形状のアクスルハウジングを、外径60.5mm×板厚3.2mmの機械構造用鋼管をハイドロフォーム加工方法により、最大の拡管率R=2.8で成形した。金属製環状部材は外径70.0mm×板厚3.2mmで長さ(鞘管の幅)が80.0mmを用いて成形した。その結果、成形において割れ、しわなどが発生せず、問題なくアクスルハウジングを製造できた。
また、このアクスルハウジングについて図1の場合と同様に、音響特性を調査した。その結果、図5に示したのと同様の良好な音響特性を確保でき、車輌走行時に不快音を発生させないアクスルハウジングを製造することができた。
図7に示す形状のアクスルハウジングを、外径60.5mm×板厚3.2mmの機械構造用鋼管をハイドロフォーム加工方法により、最大の拡管率R=2.5で成形した。金属製環状部材は外径73.0mm×板厚3.2mmで長さ(環状部材の幅)が60.0mmで、スリット幅10.0mmとした開断面のものを用いた。成形において割れ、しわなどが発生せず、問題なくアクスルハウジングを製造でき、また、このアクスルハウジングについて図7の場合と同様に、音響特性を調査した。その結果、図9に示したのと同様の良好な音響特性を確保でき、車両走行時に不快音を発生させないアクスルハウジングを製造することができた。
2 ハウジングセンター部
3 左右の軸管部
4 境界部
5 開口部
5a 開口部の平坦部
6 カバー部
6a カバー部の平坦部
6b カバー部の屈曲部
7 湾曲部
7a 湾曲部の平坦部
8 カバー部の曲面
9 アクスルハウジング後方の曲面
10 金属製環状部材
11 スリット(間隙)
12 歪集中部
20 金属素管
21 成形金型
22、23 軸押し用シリンダヘッド
24 作動流体注入用流路
25 膨張部
26 成形品(アクスルジング)
27、28 可動金型
29、30 可動金型用シリンダ
31 金属製環状部材の素環材
Claims (5)
- 車体の幅方向において、左右の軸管部と、前方側に開口部、後方側に突出するカバー部とを有する中央のハウジングセンター部を有するアクスルハウジングであって、前記ハウジングセンター部と軸管部の境界部の外面に金属製環状部材が設けられ、該金属製環状部材の幅方向の長さが、前記境界部におけるアクスルハウジングの外径の0.5〜3.0倍であることを特徴とするアクスルハウジング。
- 前記ハウジングセンター部の後方側に突出するカバー部が、後方に凸な曲面により形成
されていることを特徴とする請求項1に記載のアクスルハウジング。 - 前記ハウジングセンター部の少なくとも後方側が、ハウジングセンター部と軸管部との境界部からハウジングセンター部中央まで、連続する後方に凸な曲面により形成されていることを特徴とする請求項2記載のアクスルハウジング。
- 前記金属製環状部材は、治具により拡開し、該金属製環状部材の内径を拡大するための、軸方向に垂直な断面において前記部材の一部が欠かれて形成され、且つ軸方向に連続する間隙が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のアクスルハウジング。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のアクスルハウジングを、左右の軸管部と、前方側に開口部形成部と後方側に突出するカバー部とを有するハウジングセンター部を形成するように構成された金型に、加熱して内径を膨張させた素環材または、内径を金属素管の外径より大きくした素環材を金属素管の一端より挿入することによりアクスルハウジングの軸管部とハウジングセンター部との境界部に相当する位置に金属製環状部材の素環材を配した金属素管を挿入し、金属素管内に流体を供給すると共に、金属素管を両端から加圧して成形するハイドロフォーム法により製造することを特徴とするアクスルハウジングの製造方法。
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