JP4724169B2 - 背負式作業機 - Google Patents

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本発明は、液体タンクを有する背負式作業機に関するものである。
従来、液体タンクを有する背負式作業機において、作業者の背中側に対応する背当て面を有する背負部と、その背負部の背当て面上部に設けられる液体タンクとを一体成形したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような背負式作業機は、作業者が前傾姿勢となる際の背負い心地や作業し易さ等を含む背負性が良好でないため、作業者の動作に応じて背当て面を前後方向に屈曲させるものが提案されている。
例えば、液体タンクを支える架台の直立部分を上下2つのブロックに分けて各々を背当て面とし、これらを互いに回動可能に連結することで液体タンクを支える背当て面を前後方向に屈曲可能とするもの(例えば、特許文献2参照)や、液体タンクが有する主面と、液体タンクを支える架台が有する主面とによって背当て面を形成すると共に、液体タンクと架台とをヒンジ構造で連結することで液体タンクの背当て面を前後方向に屈曲可能とするもの(例えば、特許文献3参照)が知られている。
実公平4−50923号公報 実公平7−8047号公報 特開2007−38116号公報
しかしながら、上述したような特許文献2,3に記載の技術では、背当て面を屈曲可能とする構造を実現するために必要な部品点数が多く、しかも組立て作業に時間がかかる虞があるため、低コスト化が図れない。
本発明は、このような技術課題を解決するためになされたものであって、背当て面を前後方向に屈曲可能とする構造の簡素化を図り、これにより、低コスト化を図ることができる背負式作業機を提供することを目的とする。
本発明に係る背負式作業機(4)は、樹脂で架台(2)と一体成形されると共に架台(2)に対して上下方向に並設される液体タンク(1)を有する背負式作業機(4)であって、液体タンク(1)の有する主面(1a)と架台(2)の有する主面(2a)とによって、上下方向に延在する背当て面が形成され、液体タンク(1)は、ブロー成形により成形され、液体タンク(1)と架台(2)との間には、液体タンク(1)を架台(2)に接続する中間部(3)が設けられており、中間部(3)は、背当て面を形成する液体タンク(1)の主面(1a)が、背当て面を形成する架台(2)の主面(2a)に対して前後方向に屈曲可能な状態で、液体タンク(1)と液体タンク(1)の下部に形成された架台(2)とを一体に接続し、液体タンク(1)を画定するシール合わせ部とされること、を特徴として構成される。なお、特許請求の範囲及び本明細書において、左、右、前、後、上、下等の方向を表す語は、特に明記した場合を除き、作業者が背負式作業機(4)を背負って直立した状態を基準とし、作業者の前方を「前」と定める。
本発明に係る背負式作業機(4)では、液体タンク(1)と架台(2)とが樹脂で一体成形されて、液体タンク(1)及び架台(2)が有する主面(1a,2a)によって背当て面が形成されると共に、液体タンク(1)と架台(2)との間に、前後方向にたわむことが可能な中間部(3)が設けられている。このため、背負式作業機(4)を背負った作業者が前傾姿勢となり、液体タンク(1)に前方への力が加わると、中間部(3)が前方にたわみ、液体タンク(1)を作業者の前傾姿勢に合わせて前方に迫り出すことが可能となる。このように、樹脂で液体タンク(1)と架台(2)とが一体成形されると共に、作業者の姿勢に応じて、背当て面を形成する液体タンク(1)の主面(1a)が、背当て面を形成する架台(2)の主面(2a)に対して前後方向に屈曲可能とされるため、構造の簡素化を図ることが可能となり、部品点数の減少及び組立工程の不要が図られ、低コスト化を図ることができる。
ここで、背負式作業機(4)において、液体タンク(1)は、ブロー成形により成形され、中間部(3)は、液体タンク(1)と液体タンク(1)の下部に形成された架台(2)とを一体に接続し、液体タンク(1)を画定するシール合わせ部とされること、が好適である。このように構成することで、中間部(3)を形成すると共に液体タンク(1)を画定することができる。
さらに、架台(2)に固定され、液体タンク(1)の後方への転倒を防止するように液体タンク(1)を支持するステー(5)を有することが好適である。このように構成することで、ステー(5)により液体タンク(1)の後方への転倒を回避することができる。
本発明によれば、背負式作業機の背当て面を屈曲可能とする構造の簡素化を図り、これにより低コスト化を図ることができる。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図1は、本実施形態に係る背負式作業機を示す側面図、図2は、図1中の薬剤タンク及び架台を示す側面図、図3は、図2に示す薬剤タンク及び架台の正面図、図4は、図3中の背当部のIV−IV矢視図、図5は、図2に示す薬剤タンク及び架台にステーを装着した側面図、図6は、図2に示す薬剤タンク及び架台にステーを装着した正面図であり、本実施形態では背負式作業機を背負式噴霧機として説明する。
図1に示すように、背負式噴霧機4は、農薬等の薬液を貯留する薬剤タンク(液体タンク)1と、薬剤タンク1に対して下方向に並設された架台2とを備え、これらを樹脂により一体成形してなる。
薬剤タンク1は、薬液を貯留すべく中空に構成され、作業者に背負われた状態で作業者の背中に対向する面(主面)1aを有している。この薬剤タンク1の底部には後述のポンプ13に接続するための接続部11(図2及び図3参照)が形成されている。
架台2は、背当部21と台座部22とを備えており、背当部21は、略垂直方向に延在すると共に、作業者に背負われた状態で作業者の背中の下部に対向する面(主面2a)を有している。そして、この架台2の主面2a及び上記薬剤タンク1の主面1aによって、上下方向に延在する背当て面が形成されている。この背当て面には、上下方向に延在する背当てパッド9が取り付けられており、この背当てパッド9を介して作業者の背中が当たる構成とされている。
また、図2〜4に示すように、架台2の背当部21は、幅方向(図3の左右方向)に離間する筒状の補強部2dを一対有するものであり、この補強部2dの水平断面の形状は、図4に示すように、矩形とされている。これにより、架台2の背当部21は、上下方向(図4の紙面垂直方向)に延びる稜線を有し、前後方向(図4の上下方向)に屈曲しない構成とされていると共に、補強部2dが箱形状となるため、美的外観に優れている。
そして、この背当部21の各下端部に、図2及び図3に示すように、略水平方向に延びるように上記台座部22が一体成形されており、これにより、架台2は略L字状に形成されている。また、背当部21の補強部2dの幅方向外側には、図2〜図4に示すように平板状部が一体成形されており、この表側の面も主面2aを構成している。
図1に示すように、架台2の台座部22上には、ポンプ13を有する内燃エンジン6が燃料タンク14を介して載置固定されている。そして、この内燃エンジン6は、上記薬剤タンク1の下方に位置し、薬剤タンク1の接続口11に、給水ホース8及び排水ホース7を介して接続されている。
さらに、図5,6に示すように、架台2の台座部22上には、薬剤タンク1の後方(図示左側)への転倒を防止するためのステー5が一対幅方向に離間して取り付けられている。このステー5は、略矩形枠状に構成され、複数のボルト12が、背当部21の平板状部に形成された複数の貫通孔2c(図3参照)、及び架台2の台座部22に幅方向に離間して形成された複数の貫通孔(不図示)を各々挿通しメネジに螺合することにより、架台2に固定されている。このステー5は、図1に示すように、その上部において薬剤タンク1の底部と当接し、薬剤タンク1を下側から支持する。
そして、薬剤タンク1及び台座部22には、作業者が背負式噴霧機4を背負うことができるように、一対のショルダストラップ10が幅方向に離間して取り付けられている。
ここで、特に本実施形態の背負式噴霧機4にあっては、前述したように、薬剤タンク1と架台2とが樹脂によって一体成形されると共に、薬剤タンク1と架台2(正確には補強部2d)との間に中間部3が設けられている。
具体的には、薬剤タンク1及び架台2は、ブロー成形(中空成形)により一体に成形されており、薬剤タンク1と架台2との間に、薬剤タンク1と架台2とを一体に接続する上記中間部3がシール合わせ部として形成され、このシール合わせ部が薬剤タンク1を画定している。すなわち、中間部3を形成することで、薬剤タンク1が画定され、薬剤タンク1内に液体を貯留できる構成とされている。中間部3は、ここでは平板状に形成され、前後方向にたわむことが可能である。
次に、本実施形態に係る背負式作業機の作用・効果について説明する。図7は、本実施形態に係る背負式噴霧機を作業者が背負った状態を示す概略図である。
作業者がショルダストラップ10を肩に掛けて背負式噴霧機4を背負い、内燃エンジン6を動作させ、ポンプ13を駆動すると、薬剤タンク1内の薬剤はポンプ13により吸引、吐出されて作業者が手にする噴霧ノズル(不図示)から噴霧される。
ここで、図7に示すように、作業者が起立状態から前傾姿勢をとると、薬剤タンク1には、ショルダストラップ10に引っ張られることで前方へ力が加わる。このとき、架台2の背当部21と薬剤タンク1との間に形成された中間部3が前方向にたわむため、薬剤タンク1はステー5から離れるようにして前方に迫り出される。他方、架台2の背当部21には、中間部3がたわむことによってショルダストラップ10からの力が加わらない上に、上下方向に稜線を有しているので、作業者の姿勢に関わらず起立したままの状態が維持される。すなわち、作業者の姿勢に応じて、背当て面を形成する薬剤タンク1の主面1aが、これより下で背当て面を形成する架台2の主面2aに対して前後方向に屈曲可能とされ、このような動作を可能とする薬剤タンク1及び架台2を一体成形としているため、構造の簡素化を図ることが可能となり、部品点数の減少及び組立工程の不要が図られ、低コスト化を図ることができる。
そして、作業者が前傾姿勢から起立状態に戻ると、薬剤タンク1の底部がステー5の上部に当接し、ステー5が薬剤タンク1を支えるため、薬剤タンク1の後方への転倒を防止することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態において、薬剤タンク1と架台2との間に設けられた中間部3を平板状としているが、図8に示す中間部30のように、板状部分に蛇腹状(波状)の屈曲部30aを有していてもよい。また、図9に示す中間部31のように、板状部分に湾曲部31aを有していてもよい。
また、上記実施形態において、架台2の背当部21が有する補強部2dの水平断面は、剛性を一層高めるべく閉断面形状としているが、例えばコの字状の開断面形状であってもよい。このように構成しても、上記実施形態と同様に美的外観を向上することができる。
また、本発明による背負式作業機は噴霧機に限定されず、背負式散布機等、液体タンクを有する種々の背負式作業機に適用可能である。
本発明の実施形態に係る背負式作業機を示す側面図である。 図1中の薬剤タンク及び架台を示す側面図である。 図2に示す薬剤タンク及び架台の正面図である。 図3中の背当部のIV−IV矢視図である。 図2に示す薬剤タンク及び架台にステーを装着した側面図である。 図2に示す薬剤タンク及び架台にステーを装着した正面図である。 図1の背負式作業機の作用・効果を説明する概略図である。 他の中間部を示す斜視図である。 さらに他の中間部を示す斜視図である。
符号の説明
1…薬剤タンク(液体タンク)、1a…薬剤タンクの主面、2…架台、2a…架台の主面、3…中間部、4…背負式噴霧機(背負式作業機)。

Claims (2)

  1. 樹脂で架台(2)と一体成形されると共に前記架台(2)に対して上下方向に並設される液体タンク(1)を有する背負式作業機(4)であって、
    前記液体タンク(1)の有する主面(1a)と前記架台(2)の有する主面(2a)とによって、上下方向に延在する背当て面が形成され、
    前記液体タンク(1)は、ブロー成形により成形され、
    前記液体タンク(1)と前記架台(2)との間には、前記液体タンク(1)を前記架台(2)に接続する中間部(3)が設けられており、前記中間部(3)は、前記背当て面を形成する前記液体タンク(1)の前記主面(1a)が、前記背当て面を形成する前記架台(2)の主面(2a)に対して前後方向に屈曲可能な状態で、前記液体タンク(1)と前記液体タンク(1)の下部に形成された前記架台(2)とを一体に接続し、前記液体タンク(1)を画定するシール合わせ部とされること
    を特徴とする背負式作業機(4)。
  2. 前記架台(2)に固定され、前記液体タンク(1)の後方への転倒を防止するように前記液体タンク(1)を支持するステー(5)を有することを特徴とする請求項1に記載の背負式作業機(4)。
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