JP4723999B2 - スピーカ及びスピーカユニット - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、自動車や船舶等の移動体などの構造物にとりつけられるスピーカ及び該スピーカを備えたスピーカユニットに関する。
従来から、移動体としての自動車や船舶には、各種の音声情報を出力するためにスピーカ(例えば、特許文献1参照)が設けられている。スピーカは、前述した構造物に取り付けられるケースと、該ケース内に収容された磁気回路部と、前記磁気回路部によって振動されることで音を生じる振動板とを備えている。前述したスピーカは、振動板に取り付けられて磁気回路部の磁気ギャップ内に位置付けられたボイスコイルに音声電流が供給されることで、振動板が振動して、前述した音声電流に応じた音を発生する。
特開2004−187173号公報
前述した従来のスピーカは、前述した振動板が振動してケース内の気体が振動する際に、所望の音響特性を得るために前述したケース内にチャンバと呼ばれる空間(前述した気体を振動させるための空間)を設けている。特許文献1に記載のスピーカは、前述した空間を振動板からみて背面側に設けて、振動板及び磁気回路部の軸芯に沿って、該振動板や磁気回路部等と重なる位置に配置している。
前述したように空間を配置すると、スピーカは、振動板の厚み方向の厚みが大きくなる。即ち、スピーカの厚みが大きくなる。このため、ケース即ちスピーカ自体も大型化して、前述した構造物に取り付けられるスピーカとしては望ましくない。
したがって、本発明の目的は、例えば、小型化を図っても所望の音響特性を得ることを可能とするスピーカ及び該スピーカを備えたスピーカユニットを提供することにある。
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明のスピーカは、ケースと、該ケース内に収容された円環状の磁気回路部と、前記磁気回路部によって振動されることで音を生じる振動板と、を備えたスピーカにおいて、前記ケースの底面と前記磁気回路部の端面とが重ねられ、かつ、前記ケースの前記底面から前記磁気回路部の内周面と間隔をあけたボス部が立設しており、前記ケースの内周面と前記磁気回路部の外周面との間に設けられた第1空間と、前記振動板と前記磁気回路部との間に設けられた第2空間と、前記第1空間と前記第2空間とを連通する連通部と、が設けられていることを特徴としている。
以下、本発明の一実施形態にかかるスピーカ及びスピーカユニットを説明する。本発明の一実施形態にかかるスピーカは、ケースの内周面と磁気回路部の外周面との間に第1空間を設けることで、該第1空間の容積を磁気回路部と軸芯に沿って重なる位置に配置する場合よりも大きくしている。さらに、連通部を設けることでケースの底面と磁気回路部とが重なる方向の厚みが厚くなることなく、第1空間と第2空間とを連通することで、振動板が振動することで生じる気体の振動を容積の大きな第1空間でも行わせることを可能としている。そして、厚みが厚くなることを防止しながら即ち小型化をはかりつつ所望の音響特性を容易に得ることを可能としている。
また、連通部が、ケースの底面と磁気回路部の端面とのうち少なくとも一方に設けられた凹溝を備えていると、ケースと磁気回路部とが重なる方向の厚みが厚くなることを防止しながら、第1空間と第2空間とを確実に連通できる。
さらに、凹溝がケースの底面と磁気回路部の端面の中央からこれらの径方向に沿って直線状に延びていても良い。この場合、凹溝即ち連通部が、第1空間と第2空間とを確実に連通させることができる。
また、凹溝が、ケースの底面と磁気回路部の端面の周方向に互いに間隔をあけて複数配置されても良い。この場合、第1空間と第2空間とに亘って気体がより移動し易くなり、より確実に所望の音響特性を得ることができる。
さらに、凹溝が、ケースの底面と磁気回路部の端面の外周に向かうにしたがって徐々に幅が広く形成されても良い。この場合、第1空間内に流入する気体と、第1空間外に流出する気体の流れに乱れが生じることを防止できる。したがって、第1空間と第2空間とに亘って気体がより一層移動し易くなり、より確実に所望の音響特性をより一層確実に得ることができる。
また、ケースの底面から立設して磁気回路部の内周面と間隔をあけたボス部を設けて、該ボス部を振動板に向かうにしたがって徐々に先細に形成しても良い。この場合、第2空間内に流入する気体と、第2空間外に流出する気体の流れに乱れが生じることを防止できる。したがって、第1空間と第2空間とに亘って気体がより一層移動し易くなり、より確実に所望の音響特性をより一層確実に得ることができる。
ボス部の先端部に該ボス部の外周に向かって突に湾曲した湾曲面を全周に形成しても良い。この場合、第2空間内に流入する気体と、第2空間外に流出する気体の流れに乱れが生じることを防止できる。したがって、第1空間と第2空間とに亘って気体がより一層移動し易くなり、より確実に所望の音響特性をより一層確実に得ることができる。
ボス部に取付金具を取り付けるためのねじ孔を設けているので、ケースを大型化することなく、取付金具を取り付けることができる。
前述したスピーカと取付金具を備えたスピーカユニットであっても良い。この場合、所望の音響特性を得ることができる小型のスピーカの得ることができるので、スピーカユニット全体の小型化を図ることができる。
本発明の一実施例を、図1ないし図6に基づいて説明する。スピーカユニット1は、図1及び図3に示すように、スピーカ2と、取付金具3とを備え、移動体としての自動車の乗員室の構造物としてのダッシュボード4(図2及び図3に示す)に取り付けられる。
図2及び図3に示すダッシュボード4には、穴6が貫通している。穴6の平面形状は、円形である。穴6の内径は、前述したスピーカ2の後述するフランジ部18の外径より若干小さく、取付金具3の後述する弾性変形していない複数の弾性変形部37における外径より若干小さい。穴6の内面6aは、平坦に形成されている。
スピーカ2は、図4に示すように、ケース7と、該ケース7内に収容された磁気回路部8と、振動部9とを備えている。ケース7は、図4に示すように、外側ケース10と、押さえ部材11と、外縁部材12と、銅リング33とを備えている。
外側ケース10は、図6に示すように、本体部13と、複数の載置凸部14と、ボス部15と、を備えている。本体部13は、底板部16と、該底板部16の外縁から立設した周板部17と、フランジ部18とを一体に備えている。
底板部16は、円板状に形成されている。周板部17は、円筒状に形成され、底板部16の外縁から立設して、該底板部16と同軸に配置されている。周板部17の内周面は、特許請求の範囲に記載されたケース7の内周面をなしている。フランジ部18は、円環状に形成されている。フランジ部18は、周板部17の底板部16の離れた側の端部から該周板部17の外周方向に延在している。フランジ部18は、周板部17の全周に、該周板部17と底板部16と同軸に設けられている。
載置凸部14は、底板部16の本体部13の内側に位置する表面から突に形成されている。複数の載置凸部14は、底板部16の周方向に沿って互いに間隔をあけて(等間隔)に配置されている。一つの載置凸部14は、平面形状が幅広の扇型に形成され、他の載置凸部14は、平面形状が細い扇型に形成されている。載置凸部14の本体部13の内側に位置する表面は、底板部16の表面に沿って平坦に形成されている。本体部13の内側に露出する載置凸部14の表面と底板部16の表面は、特許請求の範囲に記載されたケース7の底面をなしている。このため、ケース7の底面は、平面形状が円形に形成されている。
また、互いに隣り合う載置凸部14間には、図5及び図6に示すように、該載置凸部14の表面即ち前述したケース7の底面から凹の凹溝19となっている。即ち、ケース7の底面には、凹溝19が複数設けられている。凹溝19は、底板部16の表面即ちケース7の底面及び磁気回路部8の後述のヨーク22の端面との双方の径方向に沿って直線状に延在しており、該ケース7の底面即ちヨーク22の端面との双方の中央からこれらの外周方向に延在している。
さらに、複数の凹溝19は、ケース7の底面とヨーク22の端面との双方の周方向に互いに間隔をあけて配置されている。また、前述した凹溝19の各々の幅は、ケース7の底面とヨーク22の端面との双方の径方向に一定に形成されている。さらに、本体部13即ち外側ケース10は、前述した載置凸部14の表面にヨーク22の端面が重ねられて、磁気回路部8が取り付けられる。このとき、ケース7の底面とヨーク22の端面とが同軸に配置される即ちケース7と磁気回路部8とが互いに同軸に配置される。
ボス部15は、底板部16の本体部13の内側に位置する表面の中央即ち前述した底面の中央から立設した円柱状に形成されている。即ち、ボス部15は、底板部16即ち外側ケース10と同軸に配置されている。ボス部15は、底板部16から離れた即ち振動部9の後述する振動板29寄りの先端部に湾曲面20が全周に亘って形成されている。湾曲面20は、ボス部15の断面において、該ボス部15の外周に向かって突に湾曲した曲面である。
前述した湾曲面20によって、ボス部15は、底板部16から離れて即ち振動部9の振動板29に近づくのにしたがって、徐々に先細に(所謂、砲弾形状に)形成されている。また、ボス部15は、外側ケース10に取り付けられた磁気回路部8のヨーク22の内周面と後述する第1磁石23の内周面とヨークプレート24の内周面と第2磁石25の内周面と間隔をあける。
また、ボス部15には、ねじ孔21が設けられている。ねじ孔21は、ボス部15と同軸に配置されているとともに、ケース7の外側ケース10の底板部16の前述した表面(ケース7の底面)の裏側に位置する外面に開口しているとともに、外側ケース10内には開口していない。ねじ孔21には、ねじ41が螺合する。ねじ孔21に螺合したねじ41の頭とケース7の外面との間に取付金具3を挟んで、該取付金具3を外側ケース10即ちケース7に取り付ける。このように、ねじ孔21は、外側ケース10即ちケース7に取付金具3を取り付けるために用いられる。
押さえ部材11は、円環状に形成されている。押さえ部材11の外径は、外側ケース10の本体部13の周板部17の内径と略等しい。押さえ部材11は、外側ケース10の本体部13の周板部17内に配置され、周板部17の底板部16から離れた側の端部に取り付けられて、該本体部13の底板部16との間に磁気回路部8のヨーク22の周壁部28などを挟んで、該磁気回路部8を外側ケース10即ちケース7に固定する。
外縁部材12は、縁部42と、連結部43とを備えている。縁部42は、円環状に形成されている。縁部42の外径は、フランジ部18の内径と略等しい。縁部42の内径は、押さえ部材11の外径より小さい。連結部43は、棒状に形成されて、縁部42の内縁部の互いに間隔をあけて相対する箇所同士を連結している。連結部43は、中央がスピーカ2の外側に向かって凸に湾曲している。
外縁部材12は、縁部42が、フランジ部18の内周に配置されて、外側ケース10に取り付けられる。そして、外縁部材12は、縁部42と磁気回路部8のヨーク22の周壁部28との間に押さえ部材11を挟んで、該押さえ部材11などを外側ケース10に固定する。
銅リング33は、銅又は銅合金で構成されている。銅リング33は、円環状に形成されている。銅リング33は、押さえ部材11とヨーク22の周壁部28との間に挟まれて、外側ケース10などに固定されている。
磁気回路部8は、磁性体(所謂、常磁性体又は強磁性体)で構成されたヨーク22と、第1磁石23と、磁性体(所謂、常磁性体又は強磁性体)で構成されたヨークプレート24と、第2磁石25と、吸音シート26とを備えている。
ヨーク22は、円環状のボトムプレート27と、該ボトムプレート27の外縁から立設しかつボトムプレート27と同軸の円筒状の周壁部28とを一体に備えている。ボトムプレート27の外径は、外側ケース10の底板部16の外径より小さく、ボトムプレート27の内径は、ボス部15の外径より大きい。ヨーク22は、内側にボス部15を通してボトムプレート27が外側ケース10の底板部16に重ねられ、周壁部28が底板部16と押さえ部材11との間に挾まれた格好に配されている。
ボトムプレート27の外側ケース10の底板部16に重ねられる端面は、特許請求の範囲に記載された磁気回路部8の端面をなしている。このため、磁気回路部8の端面は、平面形状が円環状に形成されている。周壁部28の外周面は、特許請求の範囲に記載された磁気回路部8の外周面をなしている。
第1磁石23は、円環状に形成されている。第1磁石23は、永久磁石又は直流電源により励磁されるものでも良い。第1磁石23の外径は、ヨーク22の周壁部28の内径よりも小さく、第1磁石23の内径は、ボス部15の外径よりも大きい。第1磁石23は、内側にボス部15を通した状態でヨーク22のボトムプレート27に重ねられている。
ヨークプレート24は、円環状に形成されている。ヨークプレート24の外径は、ヨーク22の周壁部28の内径よりも小さく、ヨークプレート24の内径は、ボス部15の外径よりも大きい。ヨークプレート24は、内側にボス部15を通した状態で第1磁石23に重ねられている。
第2磁石25は、円環状に形成されている。第2磁石25は、永久磁石又は直流電源により励磁されるものでも良い。第2磁石25の外径は、ヨーク22の周壁部28の内径よりも小さく、第2磁石25の内径は、ボス部15の外径よりも大きい。第2磁石25は、ヨークプレート24に重ねられている。
吸音シート26は、通気性を有する材料で構成されており、円板状に形成されている。吸音シート26の外径は、ヨーク22の周壁部28の内径よりも小さく、吸音シート26は、第2磁石25に重ねられている。
ヨークプレート24と吸音シート26と第1及び第2磁石23,25とヨーク22とは、接着剤又は図示しないボルトと接着剤との併用により互いに固定されている。そして、ヨークプレート24と吸音シート26と第1及び第2磁石23,25とヨーク22とは即ち磁気回路部8は、周壁部28が底板部16と押さえ部材11との間に挟まれて、ケース7に固定されている。
磁気回路部8は、ヨークプレート24と吸音シート26と第1及び第2磁石23,25とヨーク22とが互いに同軸に配されて、ケース7内に収容されているとともに、全体として円環状に形成されている。また、ヨークプレート24の外周面と、ヨーク22の周壁部28の内周面とは、互いに間隔をあけている。さらに、ヨークプレート24の内周面と、第1及び第2磁石23,25の内周面と、ヨーク22の内周面は、磁気回路部8の内周面をなしている。
前述した構成により、磁気回路部8は、ヨーク22の周壁部28の内周面と、ヨークプレート24の外周面との間に、後述するボイスコイル30と協働して振動板29を駆動(振動)するための磁力を発生する磁気ギャップGを形成している。また、磁気回路部8は、外側ケース10即ちケース7に取り付けられると、その外周面がケース7の外側ケース10の周板部17の内周面と間隔をあけて、該磁気回路部8の外周面とケース7の内周面との間に第1空間K1が形成される。
振動部9は、振動板29と、ボイスコイル30と、エッジ45を備えている。振動板29は、ボビン部31と、音発生部32とを備えている。ボビン部31は、円筒状に形成されており、前述した磁気ギャップG内に配されている。ボビン部31は、銅リング33とヨークプレート24との双方と間隔をあけている。
音発生部32は、ボビン部31に連なりかつボビン部31から、磁気回路部8から離れる方向にスピーカ2の外方向に向かって凸に湾曲した椀状に形成されている。音発生部32即ち振動板29は、前述した磁気回路部8の軸芯に沿って振動することで音を発生する。
振動板29は、固定部33がヨーク22の周壁部28と押さえ部材11との間に挾まれることで、ボビン部31及び音発生部32が磁気回路部8の軸芯に沿って振動(移動)自在に設けられている。また、振動板29の音発生部32は、磁気回路部8と間隔をあけて配置されて、該磁気回路部8との間に第2空間K2を形成している。
ボイスコイル30は、振動板29のボビン部31の外周面に取り付けられて、磁気回路部8の磁気ギャップG内に配されている。ボイスコイル30には、音声電流が供給される。エッジ45は、弾性変形自在であるとともに、円環状に形成されている。エッジ45の内縁部は、振動板29に取り付けられている。エッジ45の外縁部は、押さえ部材11と外縁部材12との間に挟まれて、ケース7に固定されている。エッジ45は、弾性変形することで、振動板29が磁気回路部8などの軸芯に沿って振動することを許容するとともに、該振動板29の振動を徐々に減衰させる。振動板29及びボイスコイル30即ち振動部9は、前述した磁気回路部8と同軸に配置される。振動部9は、ボイスコイル30の音声電流が供給されることで、振動板29が振動して音を生じる。
前述したスピーカ2には、第1空間K1と第2空間K2とを連通する連通部34が備えられている。連通部34は、第1空間K1内と連通した前述した複数の凹溝19と、ボス部15の外周面と磁気回路部8の内周面との間に設けられて前記凹溝19内と第2空間K2内との双方と連通した隙間35とを備えている。
取付金具3は、板金に打ち抜き加工や折り曲げ加工を施すことで得られる。取付金具3は、図1に示すように、平板状の取付部36と、複数の弾性変形部37とを一体に備えている。図示例では、弾性変形部37は、三つ設けられている。
取付部36は、複数の直線板部38を備えている。図示例では、直線板部38は、三つ設けられている。直線板部38の平面形状は、矩形状に形成されている。複数の直線板部38は、一端部同士が互いに連なり、他端部が該一端部を中心とした放射状に配置されている。即ち、直線板部38の長手方向は、前記一端部を中心とした径方向に沿っている。直線板部38の他端部は、前述した一端部を中心とした周方向に沿って、等間隔に配置されている。また、直線板部38の一端部には、前述したねじ41を通す孔39が貫通している。
弾性変形部37は、平面形状が矩形状の帯板状に形成されており、一端部が取付部36の直線板部38に連なっている。即ち、一つの直線板部38と一つの弾性変形部37とが、連なっている。弾性変形部37は、後述するように、取付金具3がスピーカ2に取り付けられると、前述した取付部36からスピーカ2の外側ケース10のフランジ部18に向かって延在している。
そして、弾性変形部37は、前述した一端部から他端部に向かうにしたがって、徐々にスピーカ2から離れるように傾いている。弾性変形部37は、弾性変形部37の他端部がスピーカ2に接離するように、弾性変形自在となっている。また、弾性変形部37には、各々、食い込み突起40が設けられている。食い込み突起40は、弾性変形部37の一部が取付金具3が取り付けられるスピーカ2の外周に向かって突出して形成されている。
前述した構成のスピーカユニット1は、孔39内に通されたねじ41が前述したねじ孔21にねじ込まれることで、取付金具3の取付部36が底板部16に重ねられて、該取付金具3がスピーカ2に取り付けられて、組み立てられる。そして、取付金具3は、前述したダッシュボード4の表面に対し直交する矢印に沿って、前述した穴6内に挿入される。
ダッシュボード4の穴6内に挿入されると、スピーカ2に取り付けられた取付金具3は、弾性変形部37の他端部がスピーカ2に近づく方向に弾性変形する。その後、フランジ部18がダッシュボード4に重なるまで、スピーカ2が穴6内に圧入される。そして、弾性変形部37が穴6の内面をスピーカ2の外周方向に押圧する弾性復元力を生じて、食い込み突起40が穴6の内面に食い込んで、取付金具3即ちスピーカユニット1は、スピーカ2を構造物としてのダッシュボード4に固定する。
そして、スピーカユニット1は、スピーカ2のボイスコイル30に音声電流が供給されて、該音声電流に応じて振動部9の振動板29の特に音発生部32が振動して、前述した音声電流に応じた音を発生する。そして、このとき、振動板29の音発生部32の振動によって、スピーカ2内の気体が連通部34を通して第1空間K1と第2空間K2とを移動する。
本実施例によれば、ケース7の外側ケース10の内周面と磁気回路部8の周壁部28の外周面との間に第1空間K1を設けることで、該第1空間K1の容積を磁気回路部8と軸芯に沿って重なる位置に配置する場合よりも大きくしている。さらに、連通部34を設けることでケース7の底面と磁気回路部8とが重なる方向の厚みが厚くなることなく、第1空間K1と第2空間K2とを連通することで、振動板29が振動することで生じる気体の振動を容積の大きな第1空間K1でも行わせることを可能としている。したがって、厚みが厚くなることを防止しながら即ち小型化をはかりつつ所望の音響特性を容易に得ることが可能となる。
連通部34が、ケース7の底面と磁気回路部8の端面とのうち少なくとも一方に設けられた凹溝19を備えているので、ケース7と磁気回路部8とが重なる方向の厚みが厚くなることを防止しながら、第1空間K1と第2空間K2とを確実に連通できる。
さらに、凹溝19がケース7の底面と磁気回路部8の端面の中央からこれらの径方向に沿って外周方向に延びているので、凹溝19即ち連通部34が、第1空間K1と第2空間K2とを確実に連通させることができる。
また、凹溝19が、ケース7の底面と磁気回路部8の端面の周方向に互いに間隔をあけて複数配置されいる。このため、第1空間K1と第2空間K2とに亘って気体がより移動し易くなり、より確実に所望の音響特性を得ることができる。
また、ケース7の底面から立設して磁気回路部8の内周面と間隔をあけたボス部15を設けて、該ボス部15を振動板29に向かうにしたがって徐々に先細に形成している。さらに、ボス部15の先端部の全周に該ボス部15の外周に向かって凸に湾曲した湾曲面20を形成している。このため、第2空間K2内に流入する気体と、第2空間K2外に流出する気体の流れに乱れが生じることを防止できる。したがって、第1空間K1と第2空間K2とに亘って気体がより一層移動し易くなり、より確実に所望の音響特性をより一層確実に得ることができる。
ボス部15に取付金具3を取り付けるためのねじ孔21を設けているので、ケース7が大型化することなく、取付金具3を取り付けることができる。
スピーカユニット1が、前述したスピーカ2と取付金具3を備えている。このため、所望の音響特性を得ることができる小型のスピーカ2の得ることができるので、スピーカユニット1全体の小型化を図ることができる。
前述した実施例では、凹溝19の幅を該凹溝19の全長に亘って一定に形成している。しかしながら、本発明では、図7に示すように、凹溝19の幅を変化させても良い。なお、、図7において、前述した実施例と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。図7では、凹溝19の幅をケース7の底面と磁気回路部8の端面の外周に向かうにしたがって徐々に広く形成している。この場合、第1空間K1内に流入する気体と、第1空間K1外に流出する気体の流れに乱れが生じることを防止できる。したがって、第1空間K1と第2空間K2とに亘って気体がより一層移動し易くなり、より確実に所望の音響特性をより一層確実に得ることができる。
また、本発明の発明者は、前述した実施例の効果を確認した。結果を図8に示す。図8中では、本発明品と比較例のスピーカから発生した音を測定した。図8中の横軸は、音の周波数を示し、縦軸は出力音圧レベルを示している。本発明品は、前述した実施例のスピーカ2であり、比較例は、前述した実施例のスピーカ2から凹溝19を除去したものである。
図8によれば、特に、500Hzから1kHzの音で、本発明品が比較例よりも2〜4dB程度音響特性が改善されることが明らかとなった。
前述した実施例では、ケース7の底面から凹の凹溝19を設けている。しかしながら、本発明では、磁気回路部8のヨーク22のボトムプレート27の端面から凹の凹溝19を設けても良い。要するに、本発明では、ケース7の底面と磁気回路部8のヨーク22のボトムプレート27の端面とのうち少なくとも一方から凹の凹溝19を設ければ良い。
前述した実施例では、弾性変形部37を三つ設けたが、本発明では、弾性変形部37を二つ設けても良い。この場合、板金を打ち抜いて、取付金具3を形成する際に、該板金の材料歩留まりを向上させることができる。弾性変形部37を二つ設けた場合には、これらの弾性変形部37を、互いの間に直線板部38の前述した一端部が位置する位置に配置するのが望ましい。
本発明では、弾性変形部37をスピーカ2の周方向に等間隔に配置するのが望ましい。また、本発明では、弾性変形部37を一つのみ設けて良く、該弾性変形部37を四つ以上設けても良い。要するに、本発明では、弾性変形部37を幾つ設けても良い。
前述した実施例では、構造物として自動車のダッシュボード4を示しているが、本発明では、自動車のダッシュボード4以外の種々の構造物にスピーカ2を取り付けも良い。本発明では、自動車に限定されることなく種々の構造物にスピーカ2を取り付けても良いことは勿論である。
前述した実施例によれば、以下のスピーカ2が得られる。
(付記) ケース7と、該ケース7内に収容された磁気回路部8と、前記磁気回路部8によって振動されることで音を生じる振動板29と、を備えたスピーカ2において、
前記ケース7の底面と前記磁気回路部8の端面とが重ねられて、前記ケース7に前記磁気回路部8が取り付けられるとともに、
前記ケース7の内周面と前記磁気回路部8の外周面との間に第1空間K1が設けられ、かつ前記振動板29と前記磁気回路部8との間に第2空間K2が設けられているとともに、
前記第1空間K1と前記第2空間K2とを連通する連通部34が更に設けられていることを特徴とするスピーカ2。
付記によれば、ケース7の外側ケース10の内周面と磁気回路部8の外周面との間に第1空間K1を設けることで、該第1空間K1の容積を磁気回路部8と軸芯に沿って重なる位置に配置する場合よりも大きくしている。さらに、連通部34を設けることでケース7の底面と磁気回路部8とが重なる方向の厚みが厚くなることなく、第1空間K1と第2空間K2とを連通することで、振動板29が振動することで生じる気体の振動を容積の大きな第1空間K1でも行わせることを可能としている。したがって、厚みが厚くなることを防止しながら即ち小型化をはかりつつ所望の音響特性を容易に得ることが可能となる。
なお、前述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施例に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
本発明の一実施例にかかるスピーカユニットを分解して示す斜視図である。 図1に示されたスピーカユニットをダッシュボードに取り付けた状態を示す斜視図である。 図2に示されたスピーカユニットをダッシュボードから取り外した状態を示す斜視図である。 図1中のIV−IV線に沿う断面図である。 図4中のV−V線に沿う断面図である。 図4に示されたスピーカのケースの外側ケースの平面図である。 図6に示されたスピーカのケースの外側ケースの変形例の平面図である。 本発明品と比較例の音響特性を示す説明図である。
符号の説明
1 スピーカユニット
2 スピーカ
3 取付金具
4 ダッシュボード(構造物)
7 ケース
8 磁気回路部
15 ボス部
19 凹溝
20 湾曲面
21 ねじ孔
29 振動板
34 連通部
K1 第1空間
K2 第2空間

Claims (12)

  1. ケースと、
    該ケース内に収容された円環状の磁気回路部と、
    前記磁気回路部によって振動されることで音を生じる振動板と、
    を備えたスピーカにおいて、
    前記ケースの底面と前記磁気回路部の端面とが重ねられ、かつ、前記ケースの前記底面から前記磁気回路部の内周面と間隔をあけたボス部が立設しており、
    前記ケースの内周面と前記磁気回路部の外周面との間に設けられた第1空間と、
    前記振動板と前記磁気回路部との間に設けられた第2空間と、
    前記第1空間と前記第2空間とを連通する連通部と、
    が設けられていることを特徴とするスピーカ。
  2. 前記連通部は、前記ケースの底面と前記磁気回路部の端面とのうち少なくとも一方から凹に形成された凹溝を備えたことを特徴とする請求項1記載のスピーカ。
  3. 前記ケースの底面の平面形状が円形状に形成され、かつ前記磁気回路部の端面の平面形状が円環状に形成されて、前記底面と前記端面とが同軸に配置されているとともに、
    前記凹溝が、前記底面と前記端面の中央から径方向に沿って外周方向に延在していることを特徴とする請求項2記載のスピーカ。
  4. 前記凹溝が、前記底面と前記端面の周方向に沿って、互いに間隔をあけて複数設けられていることを特徴とする請求項3記載のスピーカ。
  5. 前記凹溝が、前記底面と前記端面の外周に向かうにしたがって徐々に幅が広く形成されていることを特徴とする請求項3又は請求項4記載のスピーカ。
  6. 前記ボス部が、前記振動板に近づくのにしたがって徐々に先細に形成され、かつその先細部が前記連通部内にあることを特徴とする請求項1乃至請求項5のうちいずれか一項に記載のスピーカ。
  7. 前記ボス部の前記振動板寄りの先端部には、該ボス部の外周に向かって凸に湾曲した湾曲面が全周に亘って設けられていることを特徴とする請求項6記載のスピーカ。
  8. 前記ボス部には、前記ケースの外面に開口しているとともに、前記ケースを構造物に取り付けられるための取付金具を取り付けるためのねじ孔が設けられていることを特徴とする請求項6又は請求項7記載のスピーカ。
  9. 請求項8に記載のスピーカと、
    前記ねじ孔によって前記ケースに取り付けられるとともに、構造物に前記スピーカを取り付ける取付金具と、を備えたことを特徴とするスピーカユニット。
  10. 前記連通部は、前記磁気回路部の内周面と前記ボス部の外周面に囲まれた隙間を有することを特徴とする請求項2に記載のスピーカ。
  11. 前記隙間は、前記第1空間と連通した前記溝に連通していることを特徴とする請求項10に記載のスピーカ。
  12. 前記連通部と前記第2空間は、吸音シートを介して連通していることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ。
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