JP4723356B2 - 可変容量型ベーンポンプ - Google Patents

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Description

本発明は、可変容量型ベーンポンプに関する。
従来、特許文献1に記載される可変容量型ベーンポンプにあっては、カムリングを揺動することによりポンプ室の容積を変化させ、ポンプ高回転時には吐出量が減少するように制御されている。また、リヤボディ表面の吸入ポートと吐出ポートとの間の領域に高圧を導入する凹溝を設けることにより、カムリングをリヤボディ側に押し付ける力を軽減し、内部漏れの増大を抑制している。
特開2003−21076号公報
しかしながら上記従来技術にあっては、三日月状に形成された吸入ポートの開口面積は非常に大きいため、吸入ポート周辺のハウジングの剛性を十分確保することができない。また、吐出圧と吸入圧の差圧を受けることによりロータおよびドライブシャフトが湾曲すると、リヤボディやプレッシャープレートはその湾曲の影響を受けることにより吸入ポートより内径側部分はドライブシャフトの軸方向外側へ変形する。さらに、吸入ポートより内径側部分にはベーンをロータから突出させるための背圧導入溝が形成されており、この背圧溝に高圧が導入される。したがって、この高圧が吸入ポートより内径側部分をドライブシャフトの軸方向外側へさらに変形させることになり、相対的に軸方向内側へ突出する形となった吸入ポートの外径側部分は揺動するカムリングと強く接触し、偏摩耗が発生するという問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、吸入ポートの外径側部分とカムリングとの偏摩耗を抑制した可変容量型ベーンポンプを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明では、内部にポンプ要素収容部を有する第1ハウジングと、前記第1ハウジングの前記ポンプ要素収容部を閉塞する第2ハウジングと、から構成されるポンプボディと、前記ポンプボディに軸支される駆動軸と、前記ポンプ要素収容部内に設けられ、前記駆動軸に回転駆動されるロータと、前記ロータの周方向に複数個設けられたスロットに出没自在に収装されたベーンと、前記ポンプ要素収容部内であって揺動支点を中心に揺動自在に設けられるとともに、円環状に形成され、軸向断面が矩形状であって内周側に前記ロータおよびベーンとともに複数のポンプ室を形成するカムリングと、前記ポンプ要素収容部内に設けられ前記カムリングに対して前記第2ハウジングの反対側に配置されたプレッシャープレートと、前記第2ハウジングまたは前記プレッシャープレートのうち少なくとも一方側に設けられ、前記複数のポンプ室の容積が拡大する領域に開口する吸入ポートと、複数のポンプ室の容積が減少する領域に開口する吐出ポートと、前記第2ハウジングまたは前記プレッシャープレートの前記ロータと対向する側に設けられ、前記吸入ポートの径方向内側に配置され、前記ロータのスロットの内径側端部に形成された背圧室に吐出圧を供給する背圧導入溝と、前記カムリングの外周側に形成され、このカムリングの偏心量を制御する第1流体圧室および第2流体圧室と、前記第1流体圧室または前記第2流体圧室の圧力を制御する圧力制御手段と、前記第2ハウジングまたは前記プレッシャープレートであって、前記吸入ポートの径方向外側に設けられ、高圧が導入される高圧導入溝とを有することとした。
よって、吸入ポートの外径側部分とカムリングとが強く接触することを回避し、偏摩耗を抑制した可変容量型ベーンポンプを提供することができる。
以下、本発明を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
[ベーンポンプの概要]
実施例1につき図1〜図6に基づき説明する。図1はベーンポンプ1の軸方向断面図、図2、図3は径方向断面図である。図2ではカムリング4が最もy軸負方向に位置する場合(偏心量最大)、図3ではカムリング4が最もy軸正方向に位置する場合(偏心量最小)を示す。
なお、駆動軸2の軸方向をx軸とし、第1、第2ハウジング11,12へ駆動軸が挿入される方向を正方向とする。また、カムリング4の揺動を規制するスプリング201(図2参照)の軸方向をy軸、x軸およびy軸と直交する軸をz軸とする。
ベーンポンプ1は、駆動軸2、ロータ3、カムリング4、アダプタリング5、ポンプボディ10を有する。駆動軸2はエンジンとプーリを介して接続され、ロータ3と一体回転する。
ロータ3の外周には軸方向溝である複数のスロット31が放射状に形成され、各スロット31にベーン32が径方向に出没可能に挿入される。また、各スロット31の内径側端部には背圧室33が設けられ、吐出圧が供給されてベーン32を径方向外側に付勢する。背圧室33への吐出圧の供給は、プレッシャープレート6のx軸正方向側面61、および第2ハウジング12のx軸負方向側面120に設けられた背圧導入溝64,124(図4、図5参照)によって行う。
ポンプボディ10は第1ハウジング11および第2ハウジング12(第1プレート)から形成される。第1ハウジング11はx軸正方向側に開口する有底カップ形状であり、底部111には円盤状のプレッシャープレート6(第2プレート)が収装される。第1ハウジング11内周部であるポンプ要素収容部112であってプレッシャープレート6のx軸正方向側には、アダプタリング5、カムリング4、およびロータ3が収装される。
第2ハウジング12はx軸正方向側からアダプタリング5、カムリング4、およびロータ3と液密に当接し、アダプタリング5、カムリング4、およびロータ3はプレッシャープレート6および第2ハウジング12に挟持されることとなる。
また、第2ハウジング12のx軸負方向側面120には高圧導入溝300(図1、図4参照)が設けられている。この高圧導入溝300はx軸負方向側面120上であってカムリング4と常時摺動する位置に設けられ、吐出ポート122と接続してカムリング4と第2ハウジング12との摺接面に吐出圧を導入する。摺接面のほぼ全周にわたって吐出圧を導入することで、摺接面にかかる圧力を均一化する。
プレッシャープレート6のx軸正方向側面61および第2ハウジング12のx軸負方向面120にはそれぞれ吸入ポート62,121および吐出ポート63,122が設けられ、ロータ3とカムリング4の間に形成されるポンプ室Bへの作動油の給排を行う。
アダプタリング5はy軸側を長軸、z軸側を短軸とする略楕円状の円環部材であり、外周側において第1ハウジング11に収装されるとともに、内周側においてカムリング4を収装する。ポンプ駆動時に第1ハウジング11内で回転しないよう、アダプタリング5の外周は第1ハウジング11に対し回転を規制されて嵌合される。
カムリング4は略真円の円環部材であり、外周はアダプタリング5の短軸とほぼ同径に設けられている。したがって、略楕円状のアダプタリング5に収装されることにより、アダプタリング5内周とカムリング4外周の間には流体圧室Aが形成され、カムリング4はアダプタリング5内においてy軸方向に揺動可能となる。
また、アダプタリング5の内周面53のz軸正、負方向端部には、それぞれ第1シール部材50およびピン40が設けられている。このピン40と第1シール部材50により、カムリング4とアダプタリング5との間の流体圧室Aはy軸負、正方向に画成されて第1、第2流体圧室A1,A2を形成する。
ロータ3の外径はカムリング内周面41よりも小径に設けられ、カムリング4内周側に収装される。カムリング4が揺動し、ロータ3とカムリング4の相対位置が変化した場合であっても、ロータ3の外周はカムリング内周面41と当接しないよう設けられている。
また、揺動によりカムリング4が最もy軸正方向に位置する場合、カムリング内周面41とロータ3外周との距離Lはy軸負方向側において最大となる。カムリング4が最もy軸負方向に位置する場合も、同様に距離Lはy軸正方向側において最大となる。
ここで、ベーン32の径方向長さは距離Lの最大値よりも大きく設けられており、そのためベーン32は、カムリング4とロータ3との相対位置によらず、常にスロット31に挿入されつつカムリング内周面41に当接した状態を維持することとなる。これにより、ベーン32は常時背圧室33から背圧を受け、カムリング内周面41と液密に当接する。
したがって、カムリング4とロータ3との間の領域は、隣り合うベーン32によって常時液密に画成されてポンプ室Bを形成する。揺動によりロータ3とカムリング4が偏心状態にあれば、ロータ3の回転に伴って各ポンプ室Bの容積が変化する。
プレッシャープレート6および第2ハウジング12に設けられた吸入ポート62,121および吐出ポート63,122はロータ3の外周に沿って設けられ、各ポンプ室Bの容積変化により作動油の給排が行われる。
アダプタリング5のy軸正方向端部には径方向貫通孔51が設けられている。また、第1ハウジング11のy軸正方向端部にはプラグ部材挿入孔114が設けられ、有底カップ形状のプラグ部材200が挿入されて第1、第2ハウジング11,12外部との液密を保つ。
このプラグ部材200の内周にはスプリング201がy軸方向に伸縮可能に挿入され、アダプタリング5の径方向貫通孔51を貫通してカムリング4に当接し、y軸負方向へ付勢する。カムリング4の偏倚量はy軸負方向側に向かって大きくなるため、スプリング201の付勢方向は偏倚量が最大となる方向にカムリング4を付勢することとなる。
なお、本実施例ではアダプタリング5の径方向貫通孔51開口部をカムリング4のストッパとしてy軸正方向の揺動を規制するが、プラグ部材200自体を径方向貫通孔51に貫通させてアダプタリング5の内周側に突出させ、ストッパとしてもよい。
[第1、第2流体圧室への圧油の供給]
アダプタリング5のz軸正方向側であって第1シール部材50のy軸負方向側には連通孔52が設けられている。この連通孔52はそれぞれ第1ハウジング11内に設けられた油路113を介して切換バルブ7(圧力制御手段)へ連通し、y軸負方向側の第1流体圧室A1と切換バルブ7を接続する。
切換バルブ7にはベーンポンプ1の吸入圧および吐出圧が導入され、第1流体圧室A1へ導入する圧を切り換える。また、第2ハウジング12のx軸負方向面120には吸入圧導入溝123(図4参照)が設けられ、吸入圧を常時第2流体圧室A2へ導入する。
したがってカムリング4は、流体圧室A内においてy軸負方向側に設けられた第1流体圧室A1の圧力によりy軸正方向に付勢される。一方、y軸正方向側に設けられた第2流体圧室A2の圧力によりy軸負方向に付勢される。
[カムリングの揺動]
カムリング4が第1流体圧室A1の油圧P1から受けるy軸正方向の付勢力F1が、第2流体圧室A2の油圧P2とスプリング201から受けるy軸負方向の付勢力の和F2よりも大きくなれば、カムリング4はピン40を回転中心としてy軸正方向に揺動する。揺動によりy軸正方向側のポンプ室By+は容積が拡大し、y軸負方向側のポンプ室By-は容積が減少する(図2参照)。
y軸負方向側のポンプ室By-の容積が減少すると、単位時間あたりに吸入ポート62,121から吐出ポート63,122へ供給される油量が減少し、吐出圧が低下する。これに伴い吐出圧が導入されている第1流体圧室A1の圧力P1も低下し、y軸負方向への付勢力の和F2に抗し切れなくなると、カムリング4はy軸負方向側に揺動する(図3参照)。
y軸正、負方向の付勢力F1,F2がほぼ等しくなると、カムリング4に作用するy軸方向の力が釣り合ってカムリング4は静止する。吐出圧がさらに低下すると、カムリング4はさらにy軸負方向に揺動してロータ3と同一軸心となり、y軸正、負方向側のポンプ室By+,By-の容積が等しくなって吸入圧=吐出圧=0となる。
これに伴い第1流体圧室A1の圧力P1も0となり、カムリング4はスプリング201の付勢力Fによりy軸負方向に付勢される。このように、吐出オリフィス前後の差圧が一定となるように、カムリング4の偏心量を調整する。
[高圧導入溝の詳細]
図4は、第2ハウジング12のx軸負方向側正面図である。破線で囲まれた部分はカムリング4の揺動によって摺動する摺動領域Dである。上述のように、第2ハウジング12のx軸負方向側面120には、摺接面にかかる圧力を均一化するための高圧導入溝300が設けられている。第2ハウジング12をアルミダイキャスト成形する際に高圧導入溝300を同時に形成し、加工工数の低減を図っている。
この高圧導入溝300は吐出ポート122のy軸正、負方向側から延出する第1、第2溝310,320から形成され、それぞれ吐出ポート122から吸入ポート121の外径側に延設されて吸入ポート121の外径側をほぼ覆っている。カムリング4と第2ハウジング12との摺動面に確実に高圧を供給可能とするため、高圧導入溝300は摺動領域D内に形成され、円形のカムリング4の形状に対応して円弧状に設けられている。
ここで、吸入、吐出ポート121,122は同一径に設けられているため、高圧導入溝300を吐出ポート122と同径に設けて延出させた場合、高圧導入溝300と吸入ポート121が接近し、高圧導入溝300に導入された吐出圧が吸入ポート121へ漏洩するおそれがある。
したがって第1高圧導入溝310においては、吸入ポート121と径方向に重複する吸入ポート外径側部311と、この吸入ポート外径側部311と吐出ポート122とを接続する接続部312とを段部313により接続し、吸入ポート外径側部311を接続部312よりも径方向外側に設ける。
これにより、接続部312を吐出ポート122と同一径に設けたとしても、吸入ポート外径側部311と吸入ポート121との間隔を一定距離以上確保し、吐出圧が吸入ポート121へ漏洩する量を抑制する。
[高圧導入溝による変形均一化および偏摩耗抑制]
図5は、ポンプ駆動時における第2ハウジングx軸負方向面120の変形量分布を示す図である。図4と同様、カムリング4との摺動領域Dを破線で示す。網掛け部分はx軸方向に均一に変形していることを示す。
ベーンポンプ1の吐出圧は吐出ポート122から高圧導入溝300に導入され、吸入ポート121外径側にもほぼ全周にわたって吐出圧が作用する。また、吸入、吐出ポート121,122の内径側にはロータ3の背圧室33に吐出圧を導入する背圧導入溝124が形成されており、吸入ポート121の内径および外径側にはともに吐出圧が作用することとなる。
したがって第2ハウジング12のx軸負方向側面120においては、吸入、吐出ポート121,122に沿って内径側、外径側ともにほぼ均等に吐出圧が作用し、全周にわたってx軸正方向に均等に変形する。そのため、カムリング4との摺動面である摺動領域Dも、全周にわたってx軸正方向にほぼ均一に変形する。
これにより、ポンプ駆動によって第2ハウジング12のx軸負方向側面に吐出圧が作用した場合であっても、摺動領域Dのx軸方向変位量は領域D内全体にわたって同一変形量を維持し、摺動領域Dはほぼ同一平面を形成する。よって、カムリング4は全周にわたって第2ハウジング12に対し均一に当接させ、偏摩耗を抑制するものである。
また、カムリング4と第2ハウジング12との摺動面に吐出圧を導入することで、潤滑性を向上させて偏摩耗をさらに抑制する。さらに、高圧導入溝300に導入される高圧はカムリング4に対して反力を発生することにより第2ハウジング12の変形を抑制するため、高圧導入溝300とカムリング4の形状を略一致させることにより、第2ハウジング12の変形量を抑制する。
[従来例と本願実施例における作用効果の対比]
図6は、従来のベーンポンプにおける第2ハウジング12'のx軸負方向面120'の変形量分布である。網掛け部分は均一変形量である。従来例にあっても、第2ハウジング12'のx軸負方向面120'における吸入ポート121'と吐出ポート122'との間の領域に高圧導入溝300'を設け、吐出圧を導入している。
しかしながら従来例にあっては、高圧溝300'が吸入ポート121'外周側まで延設されていないため、カムリング4との摺動領域D'内において変形量が均一でない。したがって摺動領域D'内で変形による凹凸が生じてカムリング4と第2ハウジング12とが偏摩耗するおそれがあった。
これに対し本願実施例1では、吐出圧が導入される高圧導入溝300を、吸入ポート121の外径側に延設し、吸入ポート121の外径側をほぼ覆うこととした。
これにより、第2ハウジング12においてカムリング4との摺動面である摺動領域Dを全周にわたってx軸正方向にほぼ均一に変形させ、摺動領域Dをほぼ同一平面とすることが可能となる。よって、カムリング4を全周にわたって第2ハウジング12に対し均一に当接させ、偏摩耗を抑制することができる。また、カムリング4と第2ハウジング12との摺動面に吐出圧を導入することで、潤滑性を向上させて偏摩耗をさらに抑制することができる。
以下、実施例1の変形例を示す。
[実施例1−1]
図7は、実施例1において第1高圧導入溝310の吸入ポート121と径方向に重複する吸入ポート外径側部311を省略した例である。第2高圧導入溝320は吸入ポート121の外径側に延設されるため、実施例1と同様に摺動領域Dのほぼ全域に吐出圧を導入している。
[実施例1−2]
図8は、吸入ポート121と径方向に重複する第3高圧導入溝330を設けた例である。この第3高圧導入溝330には吸入圧と吐出圧の中間圧が導入され、吐出ポート122と連通しない。実施例1では高圧導入溝300によってカムリング4と第2ハウジング12との間に吐出圧を導入するため、吐出圧が高圧になればなるほどカムリング4と第2ハウジング12とが離間し、吐出圧がリークしてしまう。
そのため、第3高圧導入溝330に中間圧を導入することにより、リークを回避する。
[実施例1−3]
図9は、第3高圧導入溝330'と吸入ポート121とを接続させた例である。実施例1−2の場合よりも吐出圧がさらに高くなった場合、第3高圧導入溝330'に吸入圧を導入してリークを回避する。
以上、実施例1−1〜1−3においても、実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
実施例2につき図10ないし図12に基づき説明する。基本構成は実施例1と同様である。実施例1では第2ハウジング12のx軸負方向側面120に高圧導入溝300を形成したが、実施例2ではプレッシャープレート6のx軸正方向側面61に高圧導入溝400を形成する点で実施例1と異なる。
[プレッシャープレート正面図]
図10は、プレッシャープレート6のx軸正方向正面図である。プレッシャープレート6のx軸正方向側面61には高圧導入溝400が形成されている。実施例1と同様、実施例2の高圧導入溝400も吐出ポート63のy軸正、負方向側から延出する第1、第2溝410,420から形成される。なお、高圧導入溝400はプレッシャープレート6の焼結成形時に同時に形成される。
第1、第2溝410,420はそれぞれ吐出ポート63から吸入ポート62の外径側に延設されて吸入ポート62の外径側をほぼ覆っている。また、摺動面に確実に高圧を供給するため、高圧導入溝400はプレッシャープレート6とカムリング4との摺動領域D内に形成され、円形のカムリング4の形状に対応して円弧状に設けられている。
実施例2の第1高圧導入溝410にあっても、吸入ポート121と径方向に重複する吸入ポート外径側部411と、この吸入ポート外径側部411と吐出ポート63とを接続する接続部412とを段部413により接続し、吸入ポート外径側部411を接続部412よりも径方向外側に設ける。これにより高圧導入溝400から吸入ポート62への吐出圧の漏洩を抑制する。
[プレッシャープレートの変形均一化および偏摩耗抑制]
図11は従来例、図12は本願実施例2におけるプレッシャープレート6の圧力分布図である。それぞれx軸正方向正面図およびy軸方向側面図を示す。従来例にあってはプレッシャープレート6'のz軸正方向側には吸入ポート62'から吸入圧が作用し、z軸負方向側には吐出ポート63'から吐出圧が作用する。
したがって、z軸正方向側とz軸負方向側で作用する圧力が異なり、プレッシャープレート6'の変形量がz軸正、負方向側で互いに異なる。そのため摺動領域Dに凹凸が発生し、カムリング4とプレッシャープレート6'が偏摩耗を引き起こす。
これに対し本願実施例ではプレッシャープレート6に高圧導入溝400を設けたため、プレッシャープレート6には全周にわたってほぼ均等に吐出圧が作用し、均等に変形する。そのため、カムリング4との摺動面である摺動領域Dも、全周にわたってx軸正方向にほぼ均一に変形させることが可能となる。よって、カムリング4を全周にわたってプレッシャープレート6に対し均一に当接させ、偏摩耗を抑制することができる。
以下、実施例2の変形例を示す。
[実施例2−1]
図13は実施例2において第1高圧導入溝410の吸入ポート62と径方向に重複する吸入ポート外径側部411を省略した例である。第2高圧導入溝420は吸入ポート121の外径側に延設されるため、実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
実施例3につき図14に基づき説明する。基本構成は実施例1と同様である。実施例3では、カムリング4に直接高圧導入溝500を形成する点で異なる。実施例3にあっても、高圧導入溝500はカムリング4のほぼ全周にわたって形成され、吐出圧が導入される。
これにより、カムリング4と第2ハウジング12、またはカムリング4とプレッシャープレート6との摺動面に常時吐出圧を導入することで、摺動面を均一に変形させて実施例1または実施例2と同様の作用効果を得ることができる。
実施例3の変形例を以下に示す。
[実施例3−1]
図15は実施例3の高圧導入溝500の形状を変更した例である。摺動時に吐出ポート122との連通を確保する連通維持部501が設けられている。
[他の実施例]
以上、本発明を実施するための最良の形態を各実施例に基づいて説明してきたが、本発明の具体的な構成は各実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
さらに、上記実施例から把握しうる請求項以外の技術的思想について、以下にその効果とともに記載する。
(イ)請求項1に記載の可変容量型ベーンポンプにおいて、
前記高圧導入溝は前記吐出ポートに接続されること
を特徴とする可変容量型ベーンポンプ。
高圧導入溝に高圧(吐出圧)を導入することができる。
(ロ)上記(イ)に記載の可変容量型ベーンポンプにおいて、
前記高圧導入溝は、前記第2ハウジングまたはプレッシャープレート表面であって、前記吐出ポートから延設されること
を特徴とする可変容量型ベーンポンプ。
第2ハウジングまたはプレッシャープレート表面に高圧導入溝を設け、吐出ポートと接続する構成としたため、高圧導入溝全体を容易に形成することができる。
(ハ)上記(ロ)に記載の可変容量型ベーンポンプにおいて、
前記高圧導入溝は、前記第2ハウジングまたはプレッシャープレート成形時に同時成形されること
を特徴とする可変容量型ベーンポンプ。
特別に加工を施すことなく、高圧導入溝を形成することができる。
(ニ)上記(ロ)に記載の可変容量型ベーンポンプにおいて、
前記高圧導入溝は、前記吸入ポートの径方向外側に設けられる吸入ポート外径側部と、この吸入ポート外径側部と吐出ポートとを接続する接続部から構成され、
前記吸入ポート外径側部は、前記接続部よりも径方向外側にずらして設けられること
を特徴とする可変容量型ベーンポンプ。
接続部からそのまま吸入ポート部を延ばしてしまうと、この吸入ポート外径側部と吸入ポートとが接近しすぎてしまい、吸入ポート外径側部に導入される高圧が吸入ポートへ漏洩する。よって、吸入ポート外径側部を径方向外側へずらして設け、吸入ポート外径側部と吸入ポートとを離して形成することにより、この漏洩量を抑制することができる。
(ホ)請求項1に記載の可変容量型ベーンポンプにおいて、
前記高圧導入溝は、前記カムリングの形状に対応する円弧状に形成されること
を特徴とする可変容量型ベーンポンプ。
高圧導入溝に導入される高圧はカムリングに対して反力を発生することにより第2ハウジングまたはプレッシャープレートの変形を抑制するため、高圧導入溝とカムリングの形状を略一致させることにより、第2ハウジングまたはプレッシャープレートの変形量(吸入ポートの径方向内側と外側との段差の大きさ)を抑制することができる。


実施例1におけるベーンポンプの軸方向断面図である。 実施例1におけるベーンポンプの径方向断面図(最大揺動時)である。 実施例1におけるベーンポンプの径方向断面図(最小揺動時)である。 実施例1における第2ハウジングのx軸負方向側正面図である。 実施例1における第2ハウジングの変形量分布を示す図である。 従来のベーンポンプにおける第2ハウジングの変形量分布である。 実施例1−1における第2ハウジングのx軸負方向側正面図である。 実施例1−2における第2ハウジングのx軸負方向側正面図である。 実施例1−3における第2ハウジングのx軸負方向側正面図である。 実施例2におけるプレッシャープレートのx軸正方向正面図である。 従来例におけるプレッシャープレートの圧力分布図である。 実施例2におけるプレッシャープレートの圧力分布図である。 実施例2−1におけるプレッシャープレートのx軸正方向正面図である。 実施例3におけるカムリングのx軸方向正面図である。 実施例3−1におけるカムリングのx軸方向正面図である。
符号の説明
1 ベーンポンプ
2 駆動軸
3 ロータ
4 カムリング
5 アダプタリング
6 プレッシャープレート
7 切換バルブ
10 ポンプボディ
11,12 第1、第2ハウジング
31 スロット
32 ベーン
33 背圧室
40 ピン
41 カムリング内周面
50 シール部材
51 径方向貫通孔
52 連通孔
53 内周面
61 x軸正方向側面
62,121 吸入ポート
63,122 吐出ポート
64,124 背圧導入溝
111 底部
112 ポンプ要素収容部
113 油路
114 プラグ部材挿入孔
120 x軸負方向側面
123 吸入圧導入溝
200 プラグ部材
201 スプリング
300 高圧導入溝
310,320 第1、第2高圧導入溝
311 吸入ポート外径側部
312 接続部
313 段部
330 第3高圧導入溝
A1,A2 第1、第2流体圧室
B ポンプ室
D 摺動領域

Claims (2)

  1. 内部にポンプ要素収容部を有する第1ハウジングと、前記第1ハウジングの前記ポンプ要素収容部を閉塞する第2ハウジングと、から構成されるポンプボディと、
    前記ポンプボディに軸支される駆動軸と、
    前記ポンプ要素収容部内に設けられ、前記駆動軸に回転駆動されるロータと、
    前記ロータの周方向に複数個設けられたスロットに出没自在に収装されたベーンと、
    前記ポンプ要素収容部内であって揺動支点を中心に揺動自在に設けられるとともに、円環状に形成され、軸方向断面が矩形状であって内周側に前記ロータおよびベーンとともに複数のポンプ室を形成するカムリングと、
    前記ポンプ要素収容部内に設けられ前記カムリングに対して前記第2ハウジングの反対側に配置されたプレッシャープレートと、
    前記第2ハウジングまたは前記プレッシャープレートのうち少なくとも一方側に設けられ、前記複数のポンプ室の容積が拡大する領域に開口する吸入ポートと、複数のポンプ室の容積が減少する領域に開口する吐出ポートと、
    前記第2ハウジングまたは前記プレッシャープレートの前記ロータと対向する側に設けられ、前記吸入ポートの径方向内側に配置され、前記ロータのスロットの内径側端部に形成された背圧室に吐出圧を供給する背圧導入溝と、
    前記カムリングの外周側に形成され、このカムリングの偏心量を制御する第1流体圧室および第2流体圧室と、
    前記第1流体圧室または前記第2流体圧室の圧力を制御する圧力制御手段と、
    前記第2ハウジングまたは前記プレッシャープレートであって、前記吸入ポートの径方向外側に設けられ、高圧が導入される高圧導入溝と
    を有することを特徴とする可変容量型ベーンポンプ。
  2. 請求項1に記載の可変容量型ベーンポンプにおいて、
    前記高圧導入溝は、前記吸入ポートの径方向外側に設けられる吸入ポート外径側部と、この吸入ポート外径側部と前記吐出ポートとを接続する接続部から構成され、
    前記吸入ポート外径側部は、前記接続部よりも径方向外側にずらして設けられる
    ことを特徴とする可変容量型ベーンポンプ。
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