JP4723082B2 - Gaドープシリコン単結晶の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、太陽電池の材料として有用なチョクラルスキー法(以下、CZ法と称することがある)によるGaドープシリコン単結晶の製造方法、及Gaドープシリコン単結晶に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイス技術の発展に伴い、CZ法を用いたCZシリコン単結晶に対する品質要求は多岐にわたっている。又、低コストに対する要求も厳しい。特に太陽電池セル用の材料としてシリコン単結晶を用いる場合は、変換効率の向上とともに製造コストの低減が大きな課題となっている。
【0003】
以下、太陽電池セル用の材料としてシリコン単結晶を用いる技術的背景について説明する。
太陽電池をその基板材料を基に分類すると、大きく分けて「シリコン結晶系太陽電池」「アモルファス(非晶質)シリコン系太陽電池」「化合物半導体系太陽電池」の3種類が挙げられ、更にシリコン結晶系太陽電池には「単結晶系太陽電池」と「多結晶系太陽電池」がある。この中で太陽電池として最も重要な特性である変換効率が高い太陽電池は「化合物半導体系太陽電池」である。しかし、化合物半導体系太陽電池は、その材料となる化合物半導体を作ることが非常に難しく、太陽電池基板の製造コスト面で一般に普及するには問題があり、その用途は限られたものとなっている。
【0004】
化合物半導体系太陽電池の次に変換効率の高い太陽電池としては、シリコン単結晶系太陽電池が続き、その発電効率は20%前後と化合物半導体太陽電池に近い変換効率を持ち、太陽電池基板も比較的容易に調達できることから、一般に普及している太陽電池の主力となっている。
【0005】
このようなシリコン単結晶系太陽電池の一般的な製造方法は、まず太陽電池セルの基板となるシリコンウエーハを得るために、チョクラルスキー法あるいは浮遊帯域溶融法(以下、FZ法、Floating zone法と記すことがある。)により、円柱状のシリコン単結晶インゴットを作る。更に、このインゴットをスライスして薄いウエーハに加工し、ウエーハ表面をエッチングして加工歪みを取り除き、太陽電池セルとなるウエーハ(基板)が得られる。このウエーハの片面にPN接合面を形成した後、両面に電極を付け、最後に太陽光の入射側表面に反射防止膜を付けることで太陽電池が完成する。
【0006】
昨今、太陽電池は環境問題を背景に、クリーンエネルギーの一つとして需要は拡大しつつあるが、一般の商用電力と比較してエネルギーコストの高いことがその普及の障害となっている。シリコン単結晶太陽電池のコストを下げるためには、基板の製造コストを下げる一方でその変換効率を更に高めることが必要である。
【0007】
また、その一方で単結晶系太陽電池の基板材料となるシリコンウエーハとしては、その特性の一つである基板ライフタイム(以下、Lifetime、LTと記することがある)の値が10μs以上でなければ太陽電池基板として利用することは出来ず、さらには、変換効率の高い太陽電池を得るためには基板ライフタイムは好ましくは200μs以上であることが要求されている。
【0008】
しかし、現在の単結晶棒製造方法の主流であるCZ法で作った単結晶は、太陽電池に加工した際に太陽電池セルに強い光を照射すると太陽電池基板のライフタイムの低下が起こり、光劣化を生じるために十分な変換効率を得ることができず、太陽電池の性能の面でも改善が求められている。
【0009】
このCZ法シリコン単結晶を用いて太陽電池を作った時に、強い光を太陽電池セルに当てるとライフタイムが低下し光劣化が起こる原因は、単結晶基板中に存在するボロンと酸素による影響であることが知られている。現在、太陽電池として用いられているウエーハの導伝型はp型が主流であり、通常このp型ウエーハにはボロンがドーパントとして添加されている。そして、このウエーハの材料となる単結晶棒は、CZ法(MCZ(Magnetic field applied CZ)法を含む)、あるいはFZ法によって製造することができるが、FZ法では単結晶棒の製造コストがCZ法に比べ高いため、現在はもっぱら比較的低コストで単結晶を作ることができるCZ法によって製造されている。
【0010】
しかし、CZ法によって製造される結晶中には酸素が存在し、このためp型CZ法シリコン単結晶中のボロンと酸素によってライフタイム特性に影響を与え光劣化が生じると言う問題点がある。
【0011】
このような問題点を解決するため本出願人は先の出願(特願平11−264549及び特願2000−061435)において、p型のドーパントとしてB(ボロン)の代わりにGa(ガリウム)を使用することを提案した。これにより、光劣化が生じにくく、高い変換効率を有するシリコン単結晶が得られるようになった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、Gaは融点が29.78℃と低く、太陽電池用に好適なシリコン単結晶として必要な量を計量することが難しい欠点がある。例えば、シリコン原料40kgを用いて固化率が0.8の段階で抵抗率が0.2Ω・cmのGaドープシリコン単結晶を成長する場合に必要なGaの量は0.7g程度であり、低融点の金属ガリウムを正確に計量することは非常に難しい。
【0013】
また、Ga濃度を1×1019atoms/cm程度と濃くしたドープ剤を用いることも可能であり、この場合には計量すべきGaの量が多くなるものの低融点の金属Gaの計量には困難がある。
【0014】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされてもので、太陽電池用の材料として有用なGaドープシリコン単結晶においてGaドープ量の正確性を高めたGaドープシリコン単結晶の製造方法を提供し、光劣化を生じることがなく光電変換効率の高い太陽電池用Gaドープシリコン単結晶を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題の解決のため本発明のGaドープシリコン単結晶の製造方法は、チョクラルスキー法によりGa(ガリウム)がドープされたシリコン単結晶を製造する方法において、常温で固体であるGa化合物を添加して単結晶の成長を行うことを特徴とするGaドープシリコン単結晶の製造方法である。
【0016】
Gaドープシリコン単結晶の成長時に常温で固体であるGa化合物を添加して単結晶の成長を行うことにより、Ga化合物の式量はGa単体よりも大きいものとなる。従って、固体である取り扱いの容易さと、必要量が多くなることから低融点の金属Gaを微小量秤量するよりもドーパントの計量時の正確性が格段に向上する。計量時の正確性を確保するためには、こうした化合物の融点が50℃以上であることが好ましい。
【0017】
この場合、前記Ga化合物の式量がGaの式量の4倍以上であることが好ましい。式量が4倍以上であればドーパント計量時の正確性がさらに向上する。
【0018】
また、前記Ga化合物の融点がシリコンの融点よりも低いものであることも好ましい。シリコンの融液は活性が強いため添加したGa化合物と反応してGaが生成することが予想されるが、Ga化合物の融点がシリコンの融点よりも高いとその反応が起こりにくい可能性が高い。そのため、Ga化合物の融点はシリコンの融点よりも低いものであることが好ましい。
【0019】
前記Ga化合物としては、過塩素酸ガリウム(III)六水和物、ヨウ化ガリウム(III)、硫酸ガリウム(III)十八水和物、硫酸アンモニウムガリウム(III)十二水和物、トリス(2,4−ペンタンジオナト)ガリウムからなる群から1種または2種以上を用いることができる。これらの化合物は式量がGaの4倍以上であり、かつシリコンの融点である1420℃までに融点が存在するか分解するものである。
【0020】
さらにこの場合、シリコン単結晶中のGaの濃度が5×1017atoms/cm〜3×1015atoms/cmとなるようにして単結晶の成長を行うことが好ましい。
【0021】
Gaの濃度が5×1017atoms/cm〜3×1015atoms/cmであれば、抵抗率が0.1Ω・cm〜5Ω・cmの範囲になり、太陽電池として用いることが可能な基板ライフタイムが10μs以上となる。Gaの濃度が5×1017atoms/cmより大きい場合には、基板の抵抗率が極端に低下するため基板内部にオージェ再結合に起因する少数キャリアのライフタイム低下が発生して太陽電池セルの光電変換効率が低下してしまい、Gaの濃度が3×1015atoms/cmより小さい場合には、ウエーハの抵抗率が必要以上に高くなり、太陽電池セルとした場合に太陽電池の内部抵抗により電力が消費され、光電変換効率が低下する。Gaの濃度は1.5×1017atoms/cm〜5×1015atoms/cmであり、抵抗率が0.2Ω・cm〜2.0Ω・cmであることがより好ましい。本発明のGaドープシリコン単結晶は、上記の製造方法によって製造されたものである。
【0022】
また、本発明のシリコン単結晶の製造方法の他の態様は、上記の製造方法によって製造されたシリコン単結晶をドープ剤として使用することを特徴とするGaドープシリコン単結晶の製造方法である。
【0023】
Gaドーパントのソースとして常温で固体であり、Gaよりも式量の大きいGa化合物を添加してGa濃度が1×1019atoms/cm程度のシリコン単結晶を成長し、得られた単結晶を砕いてドープ剤とし、このドープ剤を添加して製品となるGaドープシリコン単結晶を製造することによって、よりドープ量の正確なGaドープシリコン単結晶を得ることができる。
【0024】
本発明のGaドープシリコン単結晶は、上記の製造方法によって製造されたものである。
【0025】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明者は、Gaドープシリコン単結晶の成長時にGaドーパントとして金属Gaの融点が29.78℃と低く、金属Gaの状態で単結晶引上げに必要とされる微少な量を計量することが困難であり、秤量の正確性に欠ける問題に対して、金属Gaの代わりに常温で固体であるGa化合物をGaソースとして用いることに着目し、これらの化合物を添加することが有効であることを確認して本発明を完成させた。
【0026】
常温で固体の化合物、好ましくは融点が50℃以上の化合物であれば、単結晶成長時に必要とされる微小量、例えば、シリコン原料40kgを用いて固化率が0.8の段階で抵抗率が0.2Ω・cmのGaドープシリコン単結晶を成長する場合に必要なGaの量である0.7g程度を計量することがより容易かつ正確になる。そして、式量がGaの4倍以上であるGa化合物を用いると上記の条件で計量すべき化合物の量が3g程度となり、より正確性が向上する。
【0027】
Ga化合物の融点がシリコンの融点よりも高いと活性なシリコン融液と反応が起こりにくい可能性が高くGaが生成する可能性が低くなる。そのため、Ga化合物の融点はシリコンの融点よりも低いものであることが好ましい。また、シリコンの融点までに分解してしまう化合物も好適に用いられる。
【0028】
【発明の実施形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、本発明で使用するCZ法による単結晶引上げ装置の構成例を図1を参照して示す。
単結晶引上げ装置100は原料を溶融する坩堝102を収容するボトムチャンバー101と、引き上げた単結晶を収容して取出すトップチャンバー110から構成されている。そして、トップチャンバー110の上部には単結晶を引上げるためのワイヤー巻き取り機構109が備え付けられており、単結晶の育成に従ってワイヤー1を巻き下ろしたり、巻き上げたりの操作を行っている。そして、このワイヤー1の先端には、シリコン単結晶を引き上げるための種結晶Sが種ホルダ22に取り付けられている。
【0029】
一方、ボトムチャンバー101内のルツボ102は内側を石英103、外側を黒鉛104で構成されており、このルツボ102の周囲にはルツボ内に仕込められた多結晶シリコン原料を溶かすためのヒータ105が配置されており、さらにヒータは断熱材106で囲われている。そして、ルツボ内部にはヒータで加熱することによって溶解されたシリコンの融液Lが満たされている。そして、このルツボは回転動、上下動することが可能な支持軸107により支持されており、そのための駆動装置108がボトムチャンバー下部に取り付けられている。他に、炉内に導入される不活性ガスを整流するための整流筒2を用いてもよい。
【0030】
次に、上記装置を用いたシリコン単結晶の製造方法について説明する。まず最初に、多結晶シリコン原料とドーパントであるGa化合物を石英ルツボ103内に入れ、ヒータ105で加熱して原料を溶融する。後述するが量産にあたっては精細な濃度調整が必要となることから、予めGa化合物を用いた高濃度のGaドープシリコン単結晶を作製し、それらを細かく砕いてドープ剤を作製し、これを多結晶シリコンを溶融した後に所望濃度になるように調整して投入することも好ましい。
【0031】
次に、多結晶シリコン原料が全て溶けたら、引上げ機構のワイヤー1先端に単結晶棒を育成するための種結晶Sを取付け、ワイヤー1を静かに巻き降ろして種結晶先端をシリコン融液Lに接触させる。このときルツボ102と種結晶Sは互いに逆方向に回転しており、また引上機内部は減圧状態にあり炉内上部から流された、例えばアルゴン等の不活性ガスで満たされた状態にある。
【0032】
種結晶周囲の温度が安定したら、種結晶Sとルツボ102を互いに逆方向に回転させながら静かにワイヤー1を巻き取り種結晶の引き上げを開始する。そして、種結晶に生じているスリップ転位を消滅させるためのネッキングを実施する。ネッキングをスリップ転位が消滅する太さ、長さまで行ったら、徐々に径を拡大して単結晶のコーン部を作製し、所望の直径まで拡径する。所定直径までコーン部が広がったところで、単結晶棒の定径部(直胴部)の作製に移行する。この時、ルツボの回転速度、引上げ速度、チャンバー内の不活性ガス圧力、流量等は、育成する単結晶に含まれる酸素濃度に合わせて適宜調整する。また、結晶直径は温度と引上げ速度を調整することによって制御される。
【0033】
単結晶直胴部を所定の長さ引上げたら、今度は結晶直径を縮径しテール部を作製したのち、テール先端をシリコン融液面から切り離し、育成したシリコン単結晶をトップチャンバー110まで巻き上げて、結晶が冷えるのを末。単結晶棒が取出し可能な温度まで冷却されたら、引上機から取出す。
【0034】
本発明では、ドーパントであるGaのソースとして、常温で固体、好ましくは融点が50℃以上であり、融点がシリコンの融点以下であるGa化合物を用いる。好適に用いられる化合物の例としては、過塩素酸ガリウム(III)六水和物(Ga(ClO4)3・6H2O:式量476.2)、ヨウ化ガリウム(III)(GaI3:式量450.4)、硫酸ガリウム(III)十八水和物(Ga2(SO4)3・18H2O:式量751.9)、硫酸アンモニウムガリウム(III)十二水和物(GaNH4(SO4)2・12H2O:式量496.1)、トリス(2,4-ペンタンジオナト)ガリウム(III)(Ga(C5H7O2)3:式量367.1)からなる群から1種または2種以上を用いることができる。これらの化合物は式量がGaの4倍以上であり、かつシリコンの融点である1420℃までに融点が存在するか分解するものである。また、Gaの当量に対する式量はGaの4倍以内であるが、シュウ酸ガリウム(III)四水和物(Ga2(C2O4)3・4H2O:式量475.6)、硫酸ガリウム(III)(Ga2(SO4)3:式量427.6)等の化合物も用いることができる。
【0035】
シリコン融液がシリコン結晶に固化する際、ドーパントの固相中の拡散を無視でき、液相中のドーパント濃度が均一であり、ドーパントの偏析係数κoが一定であるという条件下では、固化率gの時、固相中のドーパント濃度Csは次式で表される。尚、Coは液相中のドーパントの初期濃度である。
Cs=κoCo(1−g)κ o −1・・・式(1)
【0036】
例えば、シリコン原料40kgを用いて固化率が0.8の段階で抵抗率が0.2Ω・cmのGaドープシリコン単結晶を成長する場合を考えると、固相中のドーパント濃度Csが1.5×1017atoms/cm、Gaの偏析係数が0.008、固化率gが0.8であるので、式(1)からシリコン融液中のGaの初期濃度は3.8×1018atoms/cmとなる。
また、シリコン原料に対して必要なGaの重量は、次式により求めることができる。
ドーパント重量=ドーパント初期濃度×ドーパントの原子量×原子質量単位×シリコン原料の重量/シリコンの密度・・・式(2)
ここで、尚、原子質量単位は1.66×10−24g、シリコンの密度は2.33g/cmであり、ドーパントであるGaの式量は69.72である。
式(1)の結果を式(2)に代入してGaの重量を求めると0.755gとなる。
【0037】
これに対して、Ga化合物をを用いる場合に必要なそれぞれの化合物の重量は以下のとおりとなる。過塩素酸ガリウム(III)六水和物で5.16g、ヨウ化ガリウム(III)で4.88g、硫酸ガリウム(III)十八水和物(Ga2(SO4)3・18H2O:式量751.9)で8.14g、硫酸アンモニウムガリウム(III)十二水和物(GaNH4(SO4)2・12H2O:式量496.1)で5.37g、トリス(2,4-ペンタンジオナト)ガリウム(III)(Ga(C5H7O2)3:式量367.1)で3.98gであり、いずれも金属Gaの数倍の量を計量すればよく、秤量の制度が向上する。尚、シュウ酸ガリウム(III)四水和物(Ga2(C2O4)3・4H2O:式量475.6)では2.58g、硫酸ガリウム(III)(Ga2(SO4)3:式量427.6)では2.31gと計量すべき量が若干少なくなるが十分に正確に秤量できるレベルである。
【0038】
また、これらの化合物を用いて肩部におけるGa濃度が1×1019atoms/cmであるドープ剤のシリコン単結晶を成長する場合に必要なGaの量を算出する。便宜上結晶肩部の固化率を0.05として算出するとシリコン融液中のGa初期濃度は1.19×1021atoms/cmとなり、シリコン原料を30kg用いる場合に必要なGaの量は177.3gとなる。これだけの量であれば金属Gaを計量することも可能だが、ドープ剤を成長する場合にはシュウ酸ガリウム(III)四水和物(Ga2(C2O4)3・4H2O:式量475.6)のように200℃の低温で分解し、分解生成物がCOあるいはCOである化合物を用いることで取り扱いがより容易になる。
【0039】
金属Gaの代わりにGa化合物を用いることで、成長した単結晶に対する汚染が懸念されるが、例示したGa無機化合物においては、塩素、ヨウ素、イオウといった元素はシリコンと揮発性の化合物を作るため、シリコンの融点においては反応生成物がシリコン融液表面から揮発してしまうので、単結晶に取り込まれることはない。また、硫酸アンモニウムガリウムは分解性があるので分解生成物が系外に排出される。有機化合物の場合には炭素がシリコン融液に残留する懸念があるが、昇温の過程で有機物が炭化水素ガスに分解して揮発する可能性が高い。化合物を用いた場合の分解あるいは反応生成物は、シリコン単結晶引上げ装置の排ガス管に設けられたトラップにより吸収することができるので、装置に悪影響を及ぼすこともない。
【0040】
【実施例】
以下に本発明の実施例と比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示した単結晶引上げ装置を用い高純度多結晶シリコン40Kgを石英ルツボに入れ、Gaソースとして過塩素酸ガリウム(III)六水和物を3.23g添加てドープシリコン単結晶を成長した。過塩素酸ガリウム(III)六水和物の添加量は単結晶の肩部(固化率0.05の部位)での抵抗率が1Ω・cmとなるように決定した。
【0041】
得られたGaドープシリコン単結晶の肩部からウエーハを切り出し、表面の加工歪をエッチングにより除去した後に、ドナー消滅熱処理を行った後に抵抗率を測定したところ1Ω・cmであった。また、別のウエーハを用いてライフタイムの測定を行ったところ、570μsと高い値であった。
【0042】
(比較例)
Gaソースとして金属Gaを0.473gを目標として計量し添加した以外は実施例1と同様にしてGaドープシリコン単結晶を成長した。得られたGaドープシリコン単結晶の肩部からウエーハを切り出し、表面の加工歪をエッチングにより除去した後に、ドナー消滅熱処理を行った後に抵抗率を測定したところ1.2Ω・cmであり、Gaの量が不足していることが判明した。
【0043】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなる場合であっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0044】
例えば、本発明で言うチョクラルスキー法とは、坩堝内の融液に磁場を印加しながら単結晶を育成する、MCZ法(磁場印加引き上げ法)も含むものであり、カスプ磁場印加法、水平磁場印加法、垂直磁場印加法もこれに含まれる。本発明の単結晶引き上げ方法は、当然MCZ法においても適用でき、その効果を発揮するものである。
【0045】
さらに、本発明のGa添加方法はチョクラルスキー法によるGaドープシリコン単結晶の製造のみならず、ブリッジマン法や一方向凝固等のキャスト法によるシリコン多結晶の製造においても適用でき、その効果を発揮するものである。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、太陽電池用の材料として有用で抵抗率の正確なGaドープシリコン単結晶が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用したCZ法による単結晶引上げ装置の構成例図である。

Claims (5)

  1. チョクラルスキー法によりGa(ガリウム)がドープされたシリコン単結晶を製造する方法において、過塩素酸ガリウム(III)六水和物、ヨウ化ガリウム(III)、硫酸ガリウム(III)十八水和物、硫酸アンモニウムガリウム(III)十二水和物、トリス(2,4−ペンタンジオナト)ガリウムからなる群から1種または2種以上の常温で固体であるGa化合物を添加して単結晶の成長を行うことを特徴とするGaドープシリコン単結晶の製造方法。
  2. 前記Ga化合物の式量がGaの式量の4倍以上であることを特徴とする特徴とする請求項1に記載のGaドープシリコン単結晶の製造方法。
  3. 前記Ga化合物の融点がシリコンの融点よりも低いものであることを特徴とする請求項1または2に記載のGaドープシリコン単結晶の製造方法。
  4. シリコン単結晶中のGaの濃度が5×1017atoms/cm〜3×1015atoms/cmとなるようにして単結晶の成長を行うことを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載のGaドープシリコン単結晶の製造方法。
  5. 請求項1ないしのいずれか1項に記載した製造方法により製造されたGaドープシリコン単結晶をドープ剤として使用することを特徴とするGaドープシリコン単結晶の製造方法。
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