JP4722775B2 - ベルト式無段変速機の油圧制御装置 - Google Patents

ベルト式無段変速機の油圧制御装置 Download PDF

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本発明は、ベルト式無段変速機の油圧制御装置に関する。
従来、油圧制御装置において調圧用ソレノイド弁(デューティソレノイド、リニアソレノイド)を使用する場合、ソレノイド弁の不感帯領域は使用しない。不感帯領域は電流-油圧特性がリニアではなく、入力された電流値に対して出力される油圧が略横ばいであり、油圧制御の応答性が悪いからである。よって、例えば特許文献1に記載の技術は、制御応答性確保のため、デューティソレノイド弁のリニア領域のみを使用する。
特開平11−37237号公報
しかし、リニア領域のみを使用する上記従来技術においては、制御可能な最低油圧がリニア領域の下限に設定され、それ以下に油圧を下げることができない。よって、ソレノイド弁をベルト式無段変速機に使用した場合、ベルト式無段変速機におけるロストルク低減要求に応えることができず、燃費を向上させることができない、という問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたものであり、既存のリニアソレノイドを使用したとしても、低圧制御を行うことにより燃費を向上させることが可能なベルト式無段変速機の油圧制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明では、駆動側可動プーリ及び駆動側固定プーリからなる一対の駆動側プーリと、被駆動側可動プーリ及び被駆動側固定プーリからなる一対の被駆動側プーリと、前記駆動側プーリ及び前記被駆動側プーリに掛け渡されるベルトと、を備え、プーリ圧により前記駆動側可動プーリ及び前記被駆動側可動プーリを移動させて前記駆動側プーリ及び前記被駆動側プーリの溝幅を変更することにより無段階に変速可能なベルト式無段変速機と、指令電流値変化に対するプーリ圧変化が大きいリニア領域と、指令電流値変化に対するプーリ圧変化が小さい低圧不感帯領域と、を有し、指令電流値に応じてプーリ圧を調圧するソレノイド弁と、実プーリ圧を検出するプーリ圧検出手段と、目標プーリ圧を設定する目標プーリ圧設定手段と、前記目標プーリ圧及び実プーリ圧に基づいて前記指令電流値を算出し、プーリ圧を積分制御するプーリ圧制御手段と、を備えたベルト式無段変速機の油圧制御装置において、前記低圧不感帯領域を使用したプーリ圧の低圧制御を行う低圧制御手段と、前記リニア領域を使用したプーリ圧の通常制御における積分ゲインよりも前記低圧制御における積分ゲインを大きく設定する積分ゲイン切替手段と、を設けた。
よって、リニアソレノイドの不感帯領域を使用して低圧制御を行うことにより燃費を向上させることができる。また、低圧制御における積分ゲインを大きく設定することにより制御応答性を向上することができる。

以下、本発明のベルト式無段変速機の油圧制御装置を実現する最良の形態を、図面に基づき説明する。
[実施例1の構成]
(自動変速機の概略)
図1は、本発明のベルト式無段変速機(以下、CVT)の油圧制御装置(以下、CVT油圧制御装置)を適用した自動変速機の概略断面図である。自動変速機は、図外のエンジンからの入力トルクを増幅するトルクコンバータ1と、前後進切替機構2と、入出力間で無段変速するCVT3と、駆動ギア4と、アイドラギア4aと、ファイナルギア4bと、差動装置4cと、を有している。また、各装置への油圧や潤滑油を供給する機構として、オイルポンプ5および油圧コントロールバルブユニット6(図2参照)を有している。
前後進切替機構2は、前進クラッチ20及び後退ブレーキ21からなる発進用締結要素と、リングギア2a,ピニオンキャリア2b,及びサンギア2cからなる遊星歯車機構とにより構成されている。リングギア2aは、後述するクラッチドラム20aを介して、タービンランナ1aの出力軸1bと連結している。サンギア2cは、CVT駆動軸3aと連結している。
前進クラッチ20は、CVT駆動軸3aとサンギア2cとを一体に連結し、後退ブレーキ21は、ピニオンキャリア2bを変速機ケースに固定する。前進クラッチ20のクラッチドラム20a(前進クラッチ収装部)とクラッチピストン20bとの間にはクラッチピストン室20cが形成されており、前進クラッチ20の締結及び解放は、クラッチピストン室20cに供給される油圧(以下、クラッチ圧Pc)により制御される。
クラッチドラム20aは、タービンランナ出力軸1bと結合しており、両者は一体回転する。クラッチドラム20aと、クラッチドラム20aを軸支する変速機ハウジング部材20dとの間には、シールリング20eが設けられている。シールリング20eは、上記ハウジング部材20dから前進クラッチ20へ供給されるクラッチ圧Pcの油路20fの液密性を確保する。
(CVTの概略)
CVT3は、プライマリプーリ30とセカンダリプーリ31と、プライマリプーリ30の回転力をセカンダリプーリ31に伝達するベルト32等から構成されている。プライマリプーリ30は、CVT駆動軸3aと一体に回転する固定プーリ30aと、固定プーリ30aに対向配置されてV字状プーリ溝33を形成する可動プーリ30bとから構成されている。可動プーリ30bのプーリ溝33と対向する背面にはプライマリプーリシリンダ室30cが設けられ、このプライマリプーリシリンダ室30cに供給される油圧(以下、プライマリ圧Pp)によって可動プーリ30bがCVT駆動軸3aの軸方向に移動可能に構成されている。
セカンダリプーリ31は、従動軸3b上に設けられている。セカンダリプーリ31は、従動軸3bと一体に回転する固定プーリ31aと、固定プーリ31aに対向配置されてV字状プーリ溝34を形成する可動プーリ31bから構成されている。可動プーリ31bのプーリ溝34と対向する背面にはセカンダリプーリシリンダ室31cが設けられ、このセカンダリプーリシリンダ室31cに供給される油圧(以下、セカンダリ圧Ps)によって可動プーリ31bが従動軸3bの軸方向に移動可能に構成されている。
プライマリ圧Pp及びセカンダリ圧Psの制御によりプライマリプーリ30の可動プーリ30b及びセカンダリプーリ31の可動プーリ31bを軸方向に移動させてベルト32との接触位置半径を変える。これによりV字状プーリ溝33,34の幅を変化させ、プライマリプーリ30とセカンダリプーリ31との間の回転比つまり変速比ipを変更する。
従動軸3bには駆動ギア4が固着されており、駆動ギア4はアイドラ軸に設けられたアイドラギア4a、ファイナルギア4b、差動装置4cを介して図外の車輪に至るドライブシャフト4dを駆動する。
(CVT制御系の概略)
図2は、実施例1におけるCVT3の制御系を表す概略システム図である。
CVTコントローラ10には、セレクトレンジスイッチ11からのレンジ位置信号、車速センサ12からの車速V、油温センサ13からの油温Toil、エンジントルク推定手段14からのエンジントルクTe、変速比センサ15からの変速比ip、セカンダリ圧センサ16からのセカンダリ圧Ps、エンジン回転センサ17からのエンジン回転数Ne、プライマリ回転センサ18からプライマリプーリ回転数Np等の信号が入力される。
CVTコントローラ10は、CVT入力トルク算出手段100およびCVT油圧制御装置200を有している。CVT入力トルク算出手段100は、エンジンからCVT駆動軸3aを介してCVT3に入力されるトルク(以下、CVT入力トルクTi)を算出する。エンジントルク信号Teとトルクコンバータ1のトルク比tとに基づきCVT入力トルクTiを演算し、CVT油圧制御装置200へCVT入力トルクTiを出力する。
CVT油圧制御装置200は、プライマリ圧Pp、セカンダリ圧Ps、クラッチ圧Pc、および後退ブレーキ21に供給する油圧を制御する。CVTコントローラ10に入力される上記複数の信号およびCVT入力トルクTiを元に制御信号を演算し、油圧コントロールバルブユニット6へ制御信号を出力する。
油圧コントロールバルブユニット6は、プレッシャレギュレータバルブP.REG/V60と、プライマリレギュレータバルブPriREG/V61と、リニアソレノイド62と、を有する。P.REG/V60は、制御信号に基づいてオイルポンプO/P5の吐出圧をライン圧PLとして調圧する。PriREG/V61は、制御信号に基づいてライン圧PLからプライマリ圧Ppを調圧する。リニアソレノイド62は、制御信号(以下、セカンダリ電流Is)に基づいてセカンダリ圧Psを調圧する。
(油圧回路の概略)
図3は、油圧コントロールバルブユニット6内の油圧回路の一部を示す。オイルポンプ5の吐出ポートには、油路600を介してP.REG.V60が接続されている。オイルポンプ5とP.REG.V60との間で調圧された第1油圧(ライン圧PL)は、油路600に接続された油路601に供給される。
油路601には、油路602〜油路605が接続されている。油路602には、オリフィスを介して油路606が接続されている。油路604はプライマリプーリシリンダ室30cと連通し、油路605はセカンダリプーリシリンダ室31cと連通している。
P.REG.V60の下流には、油路606を介して、ライン圧PLよりも低い第2油圧(例えばクラッチ圧Pc)を調圧するクラッチレギュレータバルブ(CL.REG.V)63が接続されている。CL.REG.V63で調圧された第2油圧は、油路607を介してセレクトスイッチングバルブ(SELECT.SW.V)64に供給されるとともに、油路607から分岐した油路608を介してセレクトコントロールバルブ(SELECT.CONT.V)65に供給される。
油路603には、パイロットバルブ(PILOT.V)66が接続されている。PILOT.V66は、信号圧の元圧であるパイロット圧を供給する。パイロット圧は、油路609を介して、ロックアップソレノイドバルブ(L/U.SOL.V)67及びセレクトスイッチングソレノイドバルブ(SELECT.SW.SOL.V)68へ供給される。
SELECT.SW.SOL.V 68の出力圧は油路610を介してSELECT.SW.V64に供給され、信号圧としてSELECT.SW.V64の作動を制御する。L/U.SOL.V67の出力圧は油路609を介してSELECT.SW.V64に供給される。
SELECT.SW.SOL.V68がONのとき、SELECT.SW.SOL.V68の信号圧(出力圧)がSELECT.SW.V64に入力される。すると、SELECT.SW.V64は、CL.REG.V63に接続された油路607と図外マニュアルバルブに接続された油路611とを遮断する一方、SELECT.CONT.V65に接続された油路612と油路611とを連通させる。同時に、L/U.SOL.V67に接続された油路609とSELECT.CONT.V65に接続された油路613とを連通させる。
よって、このとき、油路607からの作動油(第2油圧)は、全てSELECT.CONT.V65に供給される一方、SELECT.CONT.V65においてL/U.SOL.V 67からの信号圧に従って調圧される。第2油圧より低い油圧(棚圧)に調圧されたクラッチ圧Pcは、油路612、SELECT.SW.V 64、及び油路611を介して図外マニュアルバルブに供給される。
SELECT.SW.SOL.V68がOFFのとき、SELECT.SW.SOL.V 68の信号(出力圧)はゼロであり、SELECT.SW.V64に信号圧が供給されない。すると、SELECT.SW.V 64は、油路607と油路611とを連通させる一方、油路612と油路611とを遮断する。同時に、L/U.SOL.V 67に接続された油路609と図外のロックアップコントロールバルブに接続された油路614とを連通させる一方、油路609と油路613とを遮断する。
よって、このとき、油路607からの作動油(第2油圧)は、全て油路611を介して図外マニュアルバルブに供給される。一方、L/U.SOL.V67からの信号圧は、図外のロックアップコントロールバルブに供給され、このロックアップコントロールバルブの信号圧として作用する。
(リニアソレノイドの特性)
図4は、リニアソレノイド62の電流-油圧特性、すなわちリニアソレノイド62に入力されるセカンダリ電流Isに対して出力されるセカンダリ圧Psの特性を示すマップである。リニアソレノイド62は、リニア領域および不感帯領域を有している。
セカンダリ電流IsがIs0からIs1まで(セカンダリ圧PsがPs0からPs1まで)の領域はリニア領域である。言い換えると、この領域ではリニアソレノイド62の電流-油圧特性は略リニアであり、セカンダリ電流Isが増加(減少)するのに略比例して、セカンダリ圧Psが減少(増加)する。セカンダリ電流Isを変化させるとセカンダリ圧Psが確実に大きく変化するため、リニアソレノイド62による油圧制御の応答性が良い。
一方、セカンダリ電流IsがIs1からIs2まで(セカンダリ圧PsがPs1からPs2まで)の領域は不感帯領域である。言い換えると、この領域ではリニアソレノイド62の電流-油圧特性は略横ばいであり、セカンダリ電流Isを増加(減少)させてもセカンダリ圧Psがほとんど減少(増加)しない。セカンダリ電流Isを変化させてもセカンダリ圧Psがほとんど変化しないため、リニアソレノイド62による油圧制御の応答性が悪い。
(CVT油圧制御装置)
本実施例1のCVT油圧制御装置200は、リニアソレノイド62の不感帯領域を用いてセカンダリ圧Psをフィードバック制御し、セカンダリ圧Psを例えば不感帯領域の下限であるPs2にまで低下させる。このように、リニアソレノイド62の不感帯領域(Ps2≦Ps*≦Ps1)にセカンダリ圧Psの目標値(以下、目標セカンダリ圧Ps*)を設定するセカンダリ圧制御を以下、低圧制御と呼ぶ。
図5は、CVTコントローラ10におけるCVT油圧制御装置200の制御構成を表すブロック図である。以下、各構成部について説明する。CVT油圧制御装置200は、通常制御手段210と低圧制御手段220と復帰制御手段230とを有している。
(通常制御手段)
通常制御手段210は、リニアソレノイド62に対して出力するセカンダリ電流Is(以下、セカンダリ電流出力値Is)を、目標セカンダリ圧Ps*とセカンダリ圧Psの実値(以下、実セカンダリ圧Ps)との偏差(以下、セカンダリ圧偏差ΔPs)に基づきフィードバック制御(比例積分制御)する。
通常制御手段210は、目標セカンダリ圧設定部211と、油圧-電流換算部212と、セカンダリ圧偏差算出部213と、比例制御補正値算出部214と、積分制御補正値算出部215と、セカンダリ電流補正値算出部216と、セカンダリ電流出力値算出部217と、を有している。
目標セカンダリ圧設定部211は、第1に、CVT入力トルク算出手段100から入力されたCVT入力トルクTiに基づいて、第2に、セカンダリプーリ2が回転することにより発生するセカンダリプーリシリンダ室2d内の遠心油圧を考慮しつつ、ベルト滑りが生じないような目標セカンダリ圧Ps*を設定する。
油圧-電流換算部212は、目標セカンダリ圧Ps*をセカンダリ電流Isの目標値(以下、目標セカンダリ電流Is*)に換算して、セカンダリ電流出力値算出部217に出力する。油圧-電流換算部212は、リニアソレノイド62の電流-油圧特性マップ(図4参照)を参照して上記換算を行う。
セカンダリ圧偏差算出部213は、セカンダリ圧センサ16が検出した実セカンダリ圧Psと目標セカンダリ圧Ps*とに基づきセカンダリ圧偏差ΔPs(=|Ps−Ps*|)を算出して、比例制御補正値算出部214及び積分制御補正値算出部215へセカンダリ圧偏差ΔPsを出力する。
比例制御補正値算出部214は、所定の比例ゲインKpとセカンダリ圧偏差ΔPsとに基づき比例制御補正値ΔIsp(=Kp×ΔPs)を算出して、セカンダリ電流補正値算出部216へ比例制御補正値ΔIspを出力する。
積分制御補正値算出部215は、所定の積分ゲインKiとセカンダリ圧偏差ΔPsとに基づき積分制御補正値ΔIsi(=Ki×∫ΔPsdt)を算出して、セカンダリ電流補正値算出部216へ積分制御補正値ΔIsiを出力する。なお、積分制御補正値算出部215の下流には補償器218が設けられ、出力された積分制御補正値ΔIsiを局所フィードバックにより調整している。
セカンダリ電流補正値算出部216は、比例制御補正値ΔIspと積分制御補正値ΔIsiとに基づき比例積分制御用の補正値であるセカンダリ電流補正値ΔIs(=ΔIsp+ΔIsi)を算出して、セカンダリ電流出力値算出部217へセカンダリ電流補正値ΔIsを出力する。
セカンダリ電流出力値算出部217は、目標セカンダリ電流Is*とセカンダリ電流補正値ΔIsとに基づきセカンダリ電流出力値Is(=Is*+ΔIs)を算出して、リニアソレノイド62へセカンダリ電流出力値Isを出力する。
(低圧制御手段)
低圧制御手段220は、所定の許可条件が満たされると、積分制御に用いる積分ゲインKiを通常制御用(Ki0)から低圧制御用(Ki1)に切替え、また、所定の解除条件が満たされると、積分ゲインKiを低圧制御用(Ki1)から通常制御用(Ki0)に切り替えて、セカンダリ圧Psの上記フィードバック制御を行う。
低圧制御手段220は、通常制御手段210が有する各部211〜217に加え、低圧制御許可判定部221と、低圧制御用積分ゲイン記憶部222と、通常制御用積分ゲイン記憶部223と、積分ゲイン切替部224と、を有している。
低圧制御許可判定部221は、以下の許可条件を全て満たすとき、低圧制御を許可判定して、低圧制御許可フラグFを1とする。低圧制御の許可条件は、第1に、自動変速レンジ選択時である(Dレンジでありマニュアルモードでない)こと、第2に、車速Vが所定範囲内であること、第3に、油温Toilが所定範囲内であること、第4に、CVT入力トルクTiが所定値以下であること、第5に、前回の低圧制御を終了してから所定時間以上経過していること、である。
また、低圧制御許可判定部221は、以下の解除条件を全て満たすとき、低圧制御を解除判定して、低圧制御許可フラグFを0とする。低圧制御の解除条件は、第1に、上記許可条件のいずれかを満たさなくなったこと、第2に、実セカンダリ圧Psが所定値以下である状態が所定時間持続したこと、である。
さらに、低圧制御許可判定部221は、目標セカンダリ圧Ps*が所定値以下であるか否かを判定する。具体的には、目標セカンダリ圧Ps*が、リニアソレノイド62のリニア領域の下限Ps1以下であるか否かを判定する(図4参照)。
低圧制御用積分ゲイン記憶部222は、低圧制御用の積分ゲインKi1を記憶し、通常制御用積分ゲイン記憶部223は、通常制御用の積分ゲインKi0を記憶している。低圧制御用積分ゲインKi1は、通常制御用積分ゲインKi0よりも大きく設定されている(Ki1>Ki0)。
積分ゲイン切替部224は、低圧制御許可判定部221の判定結果に基づき、積分制御に用いる積分ゲインKiを切替える。具体的には、低圧制御用の積分ゲインKi1または通常制御用の積分ゲインKi0のいずれかを上記判定結果に基づいて読み込み、読み込んだ積分ゲインKi1,Ki0を積分制御補正値算出部215へ出力する。
(復帰制御手段)
復帰制御手段230は、通常制御から低圧制御へ移行した直後の積分制御補正値ΔIsiを記憶しておき(以下、積分制御補正記憶値ΔIsi0)、低圧制御から通常制御へ復帰する際に、積分制御補正記憶値ΔIsi0を用いてセカンダリ圧Psの上記フィードバック制御を行う。ただし、復帰時の目標セカンダリ圧Ps*の変化量ΔPs*に応じて積分制御補正値ΔIsiを補正し、補正後の積分制御補正値ΔIsiを用いて上記フィードバック制御を行う。
復帰制御手段230は、通常制御手段210が有する各部211〜217に加え、復帰判定部231と、復帰用積分制御補正値記憶部232と、積分制御補正値切替部233と、を有している。
復帰判定部231は、低圧制御から通常制御に復帰中であるか否か、具体的には、低圧制御許可フラグFが1から0に切り替わったか否かを判定する。
復帰用積分制御補正値記憶部232は、通常制御から低圧制御へ移行した直後の積分制御補正値ΔIsiを記憶しておく(積分制御補正記憶値ΔIsi0)。
積分制御補正値切替部233は、復帰判定部231の判定結果に基づき、積分制御に用いる積分制御補正値ΔIsiを切替える。具体的には、復帰中である場合は、積分制御補正記憶値ΔIsi0を読み込み、復帰中でない場合は、積分制御補正値算出部215が算出した積分制御補正値ΔIsiを読み込む。そして、読み込んだ値ΔIsi,ΔIsi0をセカンダリ電流補正値算出部216へ出力する。
また、復帰制御手段230は、低圧制御から通常制御へ復帰する際、積分制御補正値ΔIsiとして、原則として積分制御補正記憶値ΔIsi0を用いるが、復帰時の目標セカンダリ圧Ps*の変化量ΔPs*に応じた時間変化量を積分制御補正値ΔIsiに設定し、積分制御補正値ΔIsiを徐々に積分制御補正記憶値ΔIsi0まで変化させる。このように補正した後の積分制御補正値ΔIsiをセカンダリ電流補正値算出部216に出力する。
なお、積分制御補正値切替部233の上流には補償器234,235が設けられ、出力された積分制御補正値ΔIsiを局所フィードバックにより調整している。
(CVT入力トルク算出手段)
前進クラッチ20のクラッチドラム20aは、クラッチドラム20aを軸支する変速機ハウジング部材20dに対して回転する(図1参照)。このため、シールリング20eとクラッチドラム20aとの間には上記回転方向の摩擦力(以下、シールリング引き摺りトルクTsr)が生じる。そして、クラッチ圧Pcが大きくなるほど、クラッチ圧供給油路の内圧、すなわちシールリング20eにより密閉された空間の内圧も上昇する。このためシールリング20eはクラッチドラム20aに押し付けられ、シールリング引き摺りトルクTsrは大きくなる。
前進クラッチ20の完全締結時に、CVT3に実際に入力されるトルクは、タービンランナ1aの出力トルク(以下、タービントルクTt)からシールリング引き摺りトルクTsr等のロストルク(以下、Tloss)を引いた値となる。よって、シールリング引き摺りトルクTsrを考慮せず、CVT3に実際に入力されるトルクよりも大きな値に基づいて油圧制御を実行すると、加速感が低下する。また、この大きな値に基づいてプーリ油圧Pp、Psが設定されるため、不必要に大きな油圧が指令されて燃費の悪化につながる。
そこで、CVT入力トルク算出手段100は、シールリング引き摺りトルクTsrを算出し、これをロストルクTlossとしてタービントルクTtから減算することにより、油圧制御に用いるCVT入力トルクTiの値を補正する。上記のように、シールリング引き摺りトルクTsrはクラッチ圧Pcが上昇するほど大きくなるが、同時に、上記摩擦力の摩擦係数はクラッチ圧Pcにより変化する。このため、クラッチ圧Pcを引数としたテーブルに基づきシールリング引き摺りトルクTsrを算出する。
本実施例1の自動変速機は、制御仕様上、クラッチ圧Pcの制御信号圧(図3の油路609を介した油圧)をロックアップ制御用の信号圧と共用しており、クラッチ圧Pcの指令信号(以下、目標クラッチ圧Pc*)はロックアップクラッチの解放指令信号(目標リリース圧)としても使用される。ロックアップクラッチ締結時には目標リリース圧(=目標クラッチ圧Pc*)が0とされるため、上記算出方法によれば、このときシールリング引き摺りトルクTsrも0として算出されてしまう。そこで、シールリング引き摺りトルクTsr算出に用いる目標クラッチ圧Pc*を、Dレンジ時のクラッチ圧最大値Pcmax(定数)とした上で、上記テーブルに基づきシールリング引き摺りトルクTsrを算出する。
ここで、本発明の低圧制御を実行してセカンダリ圧Psを例えばリニアソレノイド62の不感帯領域の下限Ps2まで下げると同時に、ライン圧PLもPs2まで下げる制御を行った場合を考える。この場合、クラッチ圧PcをラインPL(=Ps2)以上に上昇させることは不可能であるため、目標クラッチ圧Pc*をPcmaxとしても、実際のクラッチ圧PcはPs2となる。よって、目標クラッチ圧Pc*=Pcmaxに基づき算出されるシールリング引き摺りトルクTsrは、実際のクラッチ圧Pc2(<Pcmax)に基づき算出されるものよりも大きくなる。
言い換えると、この場合、ロストルクTloss(シールリング引き摺りトルクTsr)を実際よりも大きく演算し、CVT入力トルクTiを実際よりも小さく演算してしまう。したがって、この小さいCVT入力トルクTiに基づいて算出されるプーリ油圧は実際に必要とされる油圧よりも小さい値となる場合があるため、ベルト滑りが生じる可能性がある。
そこで、本発明のCVT入力トルク算出手段100は、Dレンジ時クラッチ圧最大値Pcmaxとフィードバック制御に用いる目標セカンダリ圧Ps*とのいずれか小さい方を目標クラッチ圧Pc*として選択して、これに基づきシールリング引き摺りトルクTsrを算出する。これにより、セカンダリ圧Psを低下させると同時にライン圧PLを低下させる制御を行う場合であっても、加速感を向上させつつベルト滑りを防止できる。
図6は、CVTコントローラ10におけるCVT入力トルク算出手段100の制御構成を表すブロック図である。以下、各構成部について説明する。CVT入力トルク算出手段100は、トルク比算出部110と、タービントルク算出部111と、通常制御用目標クラッチ圧記憶部120と、低圧制御用目標クラッチ圧記憶部121と、目標クラッチ圧切替部122と、シールリング引き摺りトルク算出部123と、解放時引き摺りトルク記憶部124と、レンジ位置信号検出部125と、シールリング引き摺りトルク切替部126と、ブレーキ空転トルク算出部127と、ロストルク算出部128と、CVT入力トルク算出部129と、を有している。
トルク比算出部110は、エンジン回転数Neとプライマリプーリ回転数Npの比、すなわち速度比e=Np/Neに基づきトルクコンバータ1のトルク比t(=Tt/Te)を算出して、トルク比tをタービントルク算出部111へ出力する。前進クラッチ20の完全締結中は、タービンランナ1aとCVT入力軸(CVT駆動軸3a)とが同期回転し、タービンランナ1aの回転数はCVT駆動軸3aの回転数(プライマリプーリ回転数Np)と同視できる。よって、前進クラッチ20が完全締結中であるという前提の下、速度比e=Np/Neに基づいてトルク比t(=Tt/Te)を算出する。
タービントルク算出部111は、エンジントルク信号Teとトルク比t(=Tt/Te)とに基づきタービントルクTtを算出して、タービントルクTtをCVT入力トルク算出部129へ出力する。
通常制御用目標クラッチ圧記憶部120は、シールリング引き摺りトルクTsr算出用の目標クラッチ圧Pc*として、Dレンジ時のクラッチ圧最大値Pcmax(定数)を記憶し、記憶した値を目標クラッチ圧切替部122へ出力する。
低圧制御用目標クラッチ圧記憶部121は、シールリング引き摺りトルクTsr算出用の目標クラッチ圧Pc*として、フィードバック制御用の目標セカンダリ圧Ps*を記憶し、記憶した値を目標クラッチ圧切替部122へ出力する。
目標クラッチ圧切替部122は、Dレンジ時クラッチ圧最大値Pcmaxと目標セカンダリ圧Ps*とを比較して、いずれか小さい方を目標クラッチ圧Pc*として設定し、設定した目標クラッチ圧Pc*をシールリング引き摺りトルク算出部123へ出力する。
シールリング引き摺りトルク算出部123は、目標クラッチ圧Pc*を引数とした所定のテーブルに基づいて、前進クラッチ20の完全締結時におけるシールリング引き摺りトルクTsrを推定し、推定したシールリング引き摺りトルクTsrをシールリング引き摺りトルク切替部126へ出力する。
解放時引き摺りトルク記憶部124は、前進クラッチ20の解放時におけるシールリング引き摺りトルクTsr=0を記憶し、記憶した値=0をシールリング引き摺りトルク切替部126へ出力する。前進クラッチ20の解放時には、クラッチ圧Pcはゼロであり、シールリング20eにより密閉される空間の内圧もゼロとなる。よって、シールリング20eをクラッチドラム20aに押し付ける力もゼロであるとみなせるため、シールリング引き摺りトルクTsr=0とする。
レンジ位置信号検出部125は、セレクトレンジスイッチ11からのレンジ位置信号を検出し、レンジ位置信号をシールリング引き摺りトルク切替部126に出力する。
シールリング引き摺りトルク切替部126は、レンジ位置信号に基づき、ロストルクTloss算出に用いるシールリング引き摺りトルクTsrを選択する。前進クラッチ20が完全締結されており、かつレンジ位置がP(パーキング),N(ニュートラル),R(後退)以外の走行レンジであるとき、シールリング引き摺りトルク算出部123が推定したシールリング引き摺りトルクTsrを選択する。一方、前進クラッチ20が解放されているとき、解放時のシールリング引き摺りトルクTsr=0を選択する。そして、選択したシールリング引き摺りトルクTsrをロストルク算出部128へ出力する。
ブレーキ空転トルク算出部127は、後退ブレーキ21の空転のために費やされるトルク(後退ブレーキ空転トルクTbr)の値を算出し、後退ブレーキ空転トルクTbrをロストルク算出部128へ出力する。
ロストルク算出部128は、前進クラッチ20のシールリング引き摺りトルクTsrと後退ブレーキ21の空転トルクTbrとに基づきロストルクTloss(=Tsr+Tbr)を算出し、ロストルクTlossをCVT入力トルク算出部129に出力する。
CVT入力トルク算出部129は、タービントルク算出部111が算出したタービントルクTtとロストルクTlossとに基づきCVT入力トルクTi(=Tt-Tloss)を算出し、CVT入力トルクTi をCVT油圧制御装置200に出力する。
[実施例1の作用]
実施例1のCVT油圧制御装置200は、上記のようにCVT入力トルク算出処理とセカンダリ圧Psの低圧制御とを行う。
(CVT入力トルク算出処理)
CVT入力トルク算出手段100は、Dレンジ時クラッチ圧最大値Pcmaxと目標セカンダリ圧Ps*とを比較して、いずれか小さい方を目標クラッチ圧Pc*として設定し、この目標クラッチ圧Pc*に基づきシールリング引き摺りトルクTsrを推定する。前進クラッチ20が完全締結されており、かつレンジ位置がP(パーキング),N(ニュートラル),R(後退)以外の走行レンジであるとき、この推定したシールリング引き摺りトルクTsrを用いてCVT入力トルクTiを算出する。CVT油圧制御装置200は、このように算出されたCVT入力トルクTiに基づき油圧制御を実行する。
例えば、リニアソレノイド62の不感帯領域を使用したセカンダリ圧Psの低圧制御を行うと同時に、ライン圧PLをセカンダリ圧Psまで低下させる場合を考える。この場合、実際のクラッチ圧Pcはライン圧PL(=セカンダリ圧Ps)以上とはならないため、セカンダリ圧Psを実際上のクラッチ圧最大値Pcmaxとみなせる。
本発明のCVT入力トルク算出手段100は、目標セカンダリ圧Ps*を記憶する低圧制御用目標クラッチ圧記憶部121、およびDレンジ時クラッチ圧最大値Pcmaxと目標セカンダリ圧Ps*とを比較して、いずれか小さい方を目標クラッチ圧Pc*として設定する目標クラッチ圧切替部122を有している。よって、上記のような場合、Dレンジ時クラッチ圧最大値Pcmaxよりも目標セカンダリ圧Ps*のほうが小さくなるため、目標セカンダリ圧Pc*のほうを目標クラッチ圧Pc*として設定する。
したがって、リニアソレノイド62の不感帯領域を使用したセカンダリ圧Psの低圧制御を行うと同時に、ライン圧PLをセカンダリ圧Psまで低下させる場合でも、実際の値により近いシールリング引き摺りトルクTsrを算出し、CVT入力トルクTiの算出値を適正化する。これにより、ベルト滑りを防止する。
なお、目標セカンダリ圧Ps*の代わりに、セカンダリ圧センサ16が検出した実セカンダリ圧Psを使用しても良いが、実セカンダリ圧Psに油振が発生していた場合、値が一定に定まらないため制御性に影響が出ることも考えられる。この影響を回避するために本実施例1においては目標セカンダリ圧Ps*を使用する。
また、目標セカンダリ圧Ps*は、実セカンダリ圧Psに影響する遠心油圧を考慮して設定されている。よって、セカンダリ圧センサ16の故障時には、遠心油圧を正確に演算できないため、本制御を停止する。また、レンジ位置信号がDとRの複数入力、またはL(マニュアルモード)とRの複数入力の場合にも、本制御を停止する。
(セカンダリ圧の低圧制御)
図7、図8は、本発明のCVT油圧制御装置200によるセカンダリ圧Psの制御フローチャートである。図7は、セカンダリ圧Ps制御のメインフローチャートであり、図8は、セカンダリ電流出力値Is算出のフローチャートである。
(低圧制御許可判定処理)
図7に示すように、ステップS10〜S17で、低圧制御許可判定部221が、低圧制御を許可するか否かを判定する。
ステップS10〜S14では、低圧制御の許可条件を満たすか否かを判定する。
ステップS10では、セレクトレンジスイッチ11からの信号に基づき、選択されたレンジが自動変速レンジ(マニュアルモードL以外のDレンジ)であるか否かを判定する。DレンジであればステップS11に移り、Dレンジ以外(マニュアルモードL等)であればステップS17に移る。
運転者が出した変速指令への追従性が要求されるマニュアルモード時に低圧制御を許可した場合、予期しない変速指令が出されたときに制御遅れが発生するおそれがある。よって、制御遅れが発生するおそれが少ない一方で燃費向上を優先する必要があるDレンジで低圧制御を許可する。
ステップS11では、車速センサ12からの信号に基づき、車速Vが所定範囲内(V1≦V≦V2)であるか否かを判定する。所定範囲内(V1≦V≦V2)であればステップS12に移り、所定範囲外(V<V1、V2<V)であればステップS17に移る。
車速Vが所定値V1以下のときは、エンジントルクTeの変動が大きい発進時であり、低圧制御を行って制御遅れが生じた場合、運転性への影響が懸念される。一方、車速Vが所定値V2以上のときは、セカンダリプーリ2が高速回転してセカンダリプーリシリンダ室2d内の遠心油圧が増大し、セカンダリ圧Psへの遠心油圧の影響が大きくなるため、制御バラツキが生じるおそれがある。よって、上記不都合が生じない所定車速内(V1≦V≦V2)で低圧制御を許可する。
ステップS12では、油温センサ13からの信号に基づき、油温Toilが所定範囲内(Toil1≦Toil≦Toil2)であるか否かを判定する。所定範囲内(Toil1≦Toil≦Toil2)であればステップS13に移り、所定範囲外(Toil<Toil1、Toil2<Toil1)であればステップS17に移る。
油温Toilが所定範囲外(Toil<Toil1、Toil2<Toil1)のときは、油圧の制御応答性が低下するおそれがあるため、所定油温内(Toil1≦Toil≦Toil2)で低圧制御を許可する。
ステップS13では、エンジントルク推定手段14からのエンジントルク信号Teおよび変速比センサ15からの変速比信号ipに基づき、CVT入力トルク算出手段100から入力されたCVT入力トルクTiが所定値Ti1以下であるか否かを判定する。所定値Ti1以下であればステップS14に移り、所定値Ti1以上であればステップS17に移る。
所定値Ti1は、低圧制御を許可し、かつ目標セカンダリ圧Ps*をリニアソレノイド62のリニア領域下限Ps1以下(不感帯領域)に設定した場合において、実セカンダリ圧Psが(所定車速内(V1≦V≦V2)での)制御バラツキの下限まで低下したときであっても許容可能な(ベルト滑りを起こさない)トルク値である。所定値Ti1は、実変速比ipおよび目標変速比ip*のいずれか大きい値を格子としたテーブルTBL{MAX(ip,ip*)}から算出する。このように変速比ipが大きいほう(ロー側)の値に基づいて低圧制御の許可基準トルクを定めることで、実変速比ipと目標変速比ip*とが乖離した状態であっても確実にベルト滑りを防止する。
ステップS14では、前回の低圧制御を終了してから所定時間T1以上経過しているか否かを判定する。上記所定時間T1は、前回の低圧制御終了後、積分制御補正値ΔIsiが後述の変化量をもって変化(減少)して積分制御補正記憶値ΔIsi0に戻るまでに要する時間である。所定時間T1以上経過していればステップS15に移り、所定時間以上経過していなければステップS17に移る。
ステップS15では、低圧制御の解除条件を満たすか否かを判定する。具体的には、セカンダリ圧センサ16からの信号に基づき、実セカンダリ圧Psが所定値Ps3以下であるアンダーシュート状態が所定時間T2持続したか否かを判定する。所定時間T2持続していないときはステップS16に移り、所定時間T2持続したときはステップS17に移る。
上記所定値Ps3は、不感帯領域の下限Ps2(図4参照)以下かつPs2近傍の所定値である。不感帯領域の下限Ps2以下の極低圧領域では低圧制御(フィードバック制御)が不可能であるため、このアンダーシュート状態が所定時間T2持続したときは低圧制御を解除する。
ステップS16では、低圧制御を許可判定して、低圧制御許可フラグFを1とする。その後、ステップS20に移る。
ステップS17では、低圧制御を解除判定して、低圧制御許可フラグFを0とする。その後、ステップS20に移る。
(セカンダリ電流出力値算出)
図8に示すように、ステップS20では、通常制御手段210、低圧制御手段220または復帰制御手段230が、セカンダリ電流出力値Isを算出する。
(セカンダリ圧偏差算出)
ステップS210で、実セカンダリ圧Psと目標セカンダリ圧Ps*とに基づきセカンダリ圧偏差ΔPs(=|Ps−Ps*|)を算出し、ステップS211に移る。
(比例制御補正値算出)
ステップS211で、所定の比例ゲインKpとセカンダリ圧偏差ΔPsとを乗じて比例制御補正値ΔIsp(=Kp×ΔPs)を算出し、ステップS212に移る。
(積分ゲイン切替)
ステップS212〜S215では、低圧制御手段220が、積分ゲインKiを切り替える。
ステップS212で、低圧制御許可フラグFが1であるか否かを判定する。1である場合はステップS213に移り、0である場合はステップS215に移る。
ステップS213で、目標セカンダリ圧Ps*が所定値Ps1以下であるか否かを判定する。所定値Ps1以下である場合はステップS214に移り、所定値Ps1以上である場合はステップS215に移る。
ステップS214で、積分ゲインKiを低圧制御用Ki1に設定し、ステップS216に移る。
ステップS215で、積分ゲインKiを通常制御用Ki0に設定し、ステップS218に移る。
(積分制御補正値記憶)
ステップS216、S217で、復帰制御手段230の復帰用積分制御補正値記憶部232が、通常制御から低圧制御へ移行した直後の積分制御補正値ΔIsiを記憶する。
ステップS216で、初回の低圧制御ルーチンであるか否かを判定する。初回である場合はステップS217に移り、初回でない場合はステップS218に移る。
ステップS217で、そのときの積分制御補正値ΔIsiを記憶し、ステップS218に移る。
(積分制御補正値算出)
ステップS218では、ステップS214、S215で設定した積分ゲインKiとセカンダリ圧偏差ΔPsとに基づき積分制御補正値ΔIsi(=Ki×∫ΔPsdt)を算出する。その後、ステップS220に移る。
(復帰制御)
ステップS220〜S222では、復帰制御手段230が、低圧制御から通常制御への復帰を判定し、復帰する際に用いる積分制御補正値ΔIsiを算出する。
ステップS220で、低圧制御許可フラグFが1から0に切り替わったか否かを判定する。1から0に切り替わった場合はステップS221に移り、1のままである場合はステップS223に移る。
ステップS221で、積分制御補正記憶値ΔIsi0を積分制御補正値ΔIsiに設定する。その後、ステップS222に移る。
ステップS222で、積分制御補正値ΔIsiに変化量リミットを設定し、ステップS223に移る。
復帰制御手段230は、積分制御補正値ΔIsiとして、原則として積分制御補正記憶値ΔIsi0を用いるが、復帰時の目標セカンダリ圧Ps*の変化量ΔPs*に応じた時間変化量を積分制御補正値ΔIsiに設定し、積分制御補正値ΔIsiを徐々に積分制御補正記憶値ΔIsi0まで変化させる。
例えばキックダウン時やDレンジからエンジンブレーキレンジへの切替時にはセカンダリ圧Psを大きく変化(増加)させる必要があり、目標セカンダリ圧Psの変化量(増加量)ΔPs*が所定量以上である。このようなときは積分制御補正値ΔIsiの時間変化量(減少幅)を大きく設定して、積分制御補正値ΔIsiを積分制御補正記憶値ΔIsi0に早く戻す。これにより、積分成分の蓄積を回避することが可能となり、通常制御に復帰後の過剰なアンダーシュートを防止すると同時に、低圧制御終了後、昇圧時における制御応答性を確保できる。
一方、目標セカンダリ圧変化量ΔPs*が所定量以下である(セカンダリ圧Psを大きく変化させない)ときは、積分制御補正値ΔIsiの時間変化量(減少幅)を小さく設定する。これにより積分制御補正値ΔIsiを積分制御補正記憶値ΔIsi0にゆっくり戻す。目標セカンダリ圧変化量ΔPs*が所定量以下であるときに積分制御補正値ΔIsiを急激に変化させると、変速比ipがズレるおそれがある。積分制御補正値ΔIsiを積分制御補正記憶値ΔIsi0にゆっくり戻すことにより、変速比ipがズレる事態を防止できる。これにより、低圧制御終了後、昇圧時における制御安定性を確保できる。
(セカンダリ電流出力値算出)
ステップS223で、目標セカンダリ電流Is*、比例制御補正値ΔIsp、および積分制御補正値ΔIsiを加算して、セカンダリ電流出力値Is(=ΔIsp+ΔIsi)を算出する。その後、セカンダリ電流出力値算出ルーチンを終了する。
(タイムチャート)
図9は、本発明のCVT油圧制御装置200による油圧制御のタイムチャートである。t0からt5まで通常制御を行い、t5からt8まで低圧制御を行い、t8以降は復帰制御を行う。
(通常制御)
t0からt5までは、低圧制御許可フラグFは0であり、目標セカンダリ圧Ps*はPs1以上のリニア領域に設定されている。よって、通常制御用の積分ゲインKi0を用いてセカンダリ圧Psを調圧する通常制御を行う。
t1で、NレンジからDレンジに切り替わり、第1の低圧制御許可条件が満たされる。t2から、目標セカンダリ圧Ps*を徐々に下げていく。t3で、目標セカンダリ圧Ps*をリニア領域の下限であるPs1に設定する。t4で、車速VがV1以上(かつV2以下)となり、第2の低圧制御許可条件が満たされる。t5で、CVT入力トルクTiが所定値Ti1以下となり、第4の低圧制御許可条件が満たされる。
(低圧制御)
t5で、全ての低圧制御許可条件が満たされるため、低圧制御許可フラグFを1とする。なお、t5において、油温Toilは所定範囲内(Toil1≦Toil≦Toil2)であり(第3の低圧制御許可条件)、また前回の低圧制御終了から所定時間T1経過している(第5の低圧制御許可条件)ものとする。
また、t5で、目標セカンダリ圧Ps*を不感帯領域の下限Ps2に設定する。よって、積分ゲインKiを通常制御用Ki0から低圧制御用Ki1(>Ki0)に切り替え、以後、低圧制御を実行する。さらに、切替直後の積分制御補正値ΔIsiを記憶する(積分制御補正記憶値ΔIsi0)。
積分ゲインKiが低圧制御用Ki1に切り替えられて大きくなることで、積分制御補正値ΔIsiの(時間当たり)変化量が大きくなるため、t5後、実セカンダリ圧はPs1から目標セカンダリ圧Ps*(=Ps2)に向かって急速に低下する。すなわち、制御応答性が向上する。
t6で、実セカンダリ圧Psが不感帯領域の下限Ps2となる。すなわち、目標セカンダリ圧Ps*と一致する。積分制御の性質から、t6後も実セカンダリ圧Psは目標セカンダリ圧Ps*(=Ps2)を超えて低下し続ける。
t7で、実セカンダリ圧Psが、Ps2以下かつPs2近傍の所定値Ps3となる。
(復帰制御)
t7から所定時間T2経過後のt8において、実セカンダリ圧PsがPs3以下であるアンダーシュート状態が所定時間T2持続したため、低圧制御解除条件が満たされる。よって、低圧制御許可フラグFを0とし、目標セカンダリ圧Ps*をリニア領域の下限Ps1に設定する。積分ゲインKiを低圧制御用Ki1から通常制御用Ki0に切り替え、t8以後、復帰制御を実行する。
すなわち、低圧制御終了後、昇圧時の応答性を確保するため、積分制御補正値ΔIsiを積分制御補正記憶値ΔIsi0に戻す。ここで、変化量リミットを設けて積分制御補正値ΔIsiを変化させる。目標セカンダリ圧変化量ΔPs*(=|Ps1-Ps2|)が小さいため、積分制御補正値ΔIsiの時間変化量(時間当たりの減少幅)を小さく設定し、急激に積分制御補正値ΔIsiを変化させないようにする。言い換えると、所定時間T1をかけてゆっくりと積分制御補正値ΔIsiを積分制御補正記憶値ΔIsi0に戻す。これにより実セカンダリ圧Psの急変が回避され、変速比ipがズレる事態が防止されるため、制御安定性が向上する。
t8後、実セカンダリ圧Psはなだらかに上昇し、t8から所定時間T1経過後のt9において、積分制御補正値ΔIsiが積分制御補正記憶値ΔIsi0、すなわち通常制御から低圧制御への切替直後(t5)の積分制御補正値ΔIsiに戻る。
[実施例1の効果]
以下、実施例1から把握される、本発明のCVT油圧制御装置200が有する効果を列挙する。
(1)本発明のCVT油圧制御装置200は、固定プーリ30a及び可動プーリ30bからなるプライマリプーリ30と、固定プーリ31a及び可動プーリ31bからなるセカンダリプーリ31と、プライマリプーリ30及びセカンダリプーリ31に掛け渡されるベルト32と、を備え、プライマリ圧Ppにより可動プーリ30bを移動させ、セカンダリ圧Psにより可動プーリ31bを移動させて、プライマリプーリ30及びセカンダリプーリ31の溝幅を変更することにより無段階に変速可能なCVT3と、セカンダリ電流Isの値の変化に対するセカンダリ圧Psの変化が大きいリニア領域(Ps1≦Ps≦Ps0)と、セカンダリ電流Isの値の変化に対するセカンダリ圧Psの変化が小さい低圧の不感帯領域(Ps2≦Ps≦Ps1)と、を有し、セカンダリ電流Isの値に応じてセカンダリ圧Psを調圧するリニアソレノイド62と、を備えたCVTの油圧制御装置において、低圧の不感帯領域(Ps2≦Ps≦Ps1)を使用したセカンダリ圧Psの低圧制御を行う低圧制御手段220を設けた。
リニアソレノイド62の不感帯領域(Ps2≦Ps≦Ps1)を使用してセカンダリ圧Psの低圧制御を行うことにより、制御可能なセカンダリ圧Psの範囲が広がり、セカンダリ圧PsをPs2まで下げることができる。よって、制御可能なライン圧PLの範囲が広がり、ライン圧PLをPs2まで下げることができる。このため、オイルポンプ5の駆動に必要なエネルギー(CVTロストルク)が低減され、燃費を向上させることができる、という効果を有する。
(2)自動変速レンジ選択時(Dレンジでありマニュアルモードでないとき)であり、車速Vが所定範囲内(V1≦V≦V2)であり、CVT入力トルクTiが所定値Ti1以下であり、かつ油温Toilが所定範囲内(Toil1≦Toil≦Toil2)であるとき、低圧制御を許可する低圧制御許可判定部221を設けた。
低圧制御の許可条件として、運転者が出した変速指令への追従性が要求されるマニュアルモードで低圧制御を禁止する一方、制御遅れのおそれが比較的少ないDレンジで低圧制御を許可することにより、低圧制御時の制御応答性を確保することができる。エンジントルクTeの変動が少なく(V1≦V)、かつ遠心油圧の影響が少ない(V≦V2)所定車速内で低圧制御を許可することにより、低圧制御時の制御遅れや制御バラツキを防止できる。また、CVT入力トルクTiが所定値Ti1以下であるときに低圧制御を許可することにより、低圧制御時に実セカンダリ圧Psが(所定車速内(V1≦V≦V2)での)制御バラツキの下限まで低下したときであっても、ベルト滑りを防止できる。さらに、油温Toilが所定範囲内(Toil1≦Toil≦Toil2)であるとき低圧制御を許可することにより、低圧制御時の制御応答性を確保できる、という効果を有する。
(3)実セカンダリ圧Psを検出するセカンダリ圧センサ16と、目標セカンダリ圧Ps*を設定する目標セカンダリ圧設定部211と、目標セカンダリ圧Ps*及び実プーリ圧Psに基づいてセカンダリ電流出力値Isを算出し、セカンダリ圧Psを積分制御するプーリ圧制御手段(通常制御手段210又は低圧制御手段220)と、リニア領域を使用したセカンダリ圧Psの通常制御における積分ゲインKi0よりも低圧制御における積分ゲインKi1を大きく設定する積分ゲイン切替部224と、を設けた。
積分ゲインKiが低圧制御用Ki1に切り替えられて大きくなることで、積分制御補正値ΔIsiの(時間当たり)変化量が大きくなるため、低圧制御時の制御応答性が向上する、という効果を有する。
(4)通常制御から低圧制御へ移行した直後の積分制御補正値ΔIsiを記憶する復帰用積分制御補正値記憶部232と、低圧制御から通常制御へ復帰する際、積分制御補正値ΔIsiを積分制御補正記憶値ΔIsi0へ切り替える積分制御補正値切替部233と、を有する復帰制御手段230を設けた。
低圧制御終了後、積分制御補正値ΔIsiを積分制御補正記憶値ΔIsi0に早く戻すことにより、積分成分の蓄積を回避できる。これにより、CVT入力トルクTiの急変動(アクセルの踏み込み)等が生じた場合であっても、通常制御へ復帰後のセカンダリ圧Psの過剰なアンダーシュートを防止すると同時に、低圧制御終了後、昇圧時における制御応答性を確保できる、という効果を有する。
(5)復帰制御手段230は、上記復帰時の目標セカンダリ圧Ps*の変化量ΔPs*に応じた時間変化量を積分制御補正値ΔIsiに設定し、積分制御補正値ΔIsiを徐々に積分制御補正記憶値ΔIsi0まで変化させることとした。
目標セカンダリ圧変化量ΔPs*が所定量以下である(セカンダリ圧Psを大きく変化させない)ときは、積分制御補正値ΔIsiの時間変化量を小さく設定して、積分制御補正値ΔIsiを積分制御補正記憶値ΔIsi0にゆっくり戻す。これにより、変速比ipがズレる事態を防止でき、低圧制御終了後、昇圧時における制御安定性を確保できる、という効果を有する。
(6)トルクコンバータ1のタービンランナ出力軸1bと一体回転するクラッチドラム20aのシールリング20eの引き摺りトルクTsrを算出するシールリング引き摺りトルク算出部123と、タービンランナ1aの出力トルクTtからシールリング引き摺りトルクTsrを減じてCVT入力トルクTiを算出するCVT入力トルク算出部129と、を有するCVT入力トルク算出手段100を設け、目標セカンダリ圧設定部211は、CVT入力トルクTiに基づき目標セカンダリ圧Ps*を設定することとした。
シールリング引き摺りトルクTsrを考慮してCVT3に実際に入力されるトルクに近い値に補正したCVT入力トルクTi1に基づいて油圧制御を実行するため、加速感を向上できる。また、不必要に大きな油圧を指令することがなくなるため燃費を向上できる。さらに、低圧制御許可判定の基準となるCVT入力トルクTi1を正確に算出することができるため、低圧制御時のベルト滑りを確実に防止できる、という効果を有する。
(7)シールリング引き摺りトルク算出手段120〜123は、実セカンダリ圧Ps及び自動変速レンジ(Dレンジ)選択時の前進クラッチ圧最大値Pcmaxのいずれか小さい値に基づいてシールリング引き摺りトルクTsrを算出することとした。
セカンダリ圧Psの低圧制御を行うと同時に、ライン圧PLをセカンダリ圧Psまで低下させる場合、シールリング引き摺りトルク算出手段120〜123は、実セカンダリ圧Psに基づきシールリング引き摺りトルクTsrを算出する。これにより、CVT入力トルクTiの算出値を適正化する。よって、セカンダリ圧Psの低圧制御を行うと同時に、ライン圧PLをセカンダリ圧Psまで低下させ、燃費を向上させる場合でも、実際の値により近いCVT入力トルクTiが算出されるため、加速感を向上させつつベルト滑りを確実に防止できる、という効果を有する。
(8)シールリング引き摺りトルク算出部120〜123は、目標セカンダリ圧Ps*及び自動変速レンジ(Dレンジ)選択時の前進クラッチ圧最大値Pcmaxのいずれか小さい値に基づいてシールリング引き摺りトルクTsrを算出することとした。
セカンダリ圧Psの低圧制御を行うと同時に、ライン圧PLをセカンダリ圧Psまで低下させる場合、シールリング引き摺りトルク算出手段120〜123は、目標セカンダリ圧Ps*に基づきシールリング引き摺りトルクTsrを算出する。これにより、実セカンダリ圧Psの油振の影響を受けることなく正確なシールリング引き摺りトルクTsrの値を算出し、CVT入力トルクTiの算出値を適正化する。よって、セカンダリ圧Psの低圧制御を行うと同時に、ライン圧PLをセカンダリ圧Psまで低下させ、燃費を向上させる場合でも、実際の値により近いCVT入力トルクTiが算出されるため、加速感を向上させつつベルト滑りを確実に防止できる、という効果を有する。
[他の実施例]
以上、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1に基づいて説明してきたが、本発明の具体的な構成は実施例1に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば、実施例1においては、リニアソレノイドを用いてプーリ圧を制御することとしたが、デューティソレノイドを用いることとしても良い。すなわち、デューティ比をフィードバック制御して、デューティソレノイドの不感帯領域を使用した低圧制御を実行することとしても良い。
また、実施例1においては、プーリ圧としてセカンダリ圧Psを制御することとしたが、プライマリ圧Ppを制御することとしても良い。
ベルト式無段変速機の油圧制御装置を適用した自動変速機の概略断面図である。 ベルト式無段変速機の制御系を表す概略システム図である。 油圧コントロールバルブユニット内の油圧回路の一部を示す図である。 リニアソレノイドの電流-油圧特性を示すマップである。 ベルト式無段変速機の油圧制御装置の制御構成を表すブロック図である。 ベルト式無段変速機入力トルク算出手段の制御構成を表すブロック図である。 セカンダリ圧制御のメインフローチャートである。 セカンダリ電流出力値算出のフローチャートである。 ベルト式無段変速機の油圧制御装置によるセカンダリ圧制御のタイムチャートである。
符号の説明
1 トルクコンバータ
1a タービンランナ
1b タービンランナ出力軸
2 前後進切替機構
3 CVT
3a CVT駆動軸
4 駆動ギア
5 オイルポンプ
6 油圧コントロールバルブユニット
10 CVTコントローラ
11 セレクトレンジスイッチ
12 車速センサ
13 油温センサ
14 エンジントルク推定手段
15 変速比センサ
16 セカンダリ圧センサ
17 エンジン回転センサ
18 プライマリ回転センサ
20 前進クラッチ
20a クラッチドラム
20d 変速機ハウジング部材
20e シールリング
21 後退ブレーキ
30 プライマリプーリ
30a 固定プーリ
30b 可動プーリ
30c プライマリプーリシリンダ室
31 セカンダリプーリ
31a 固定プーリ
31b 可動プーリ
31c セカンダリプーリシリンダ室
32 ベルト
60 プレッシャレギュレータバルブ
61 プライマリレギュレータバルブ
62 リニアソレノイド
63 クラッチレギュレータバルブ
64 セレクトスイッチングバルブ
65 セレクトコントロールバルブ
66 パイロットバルブ
67 ロックアップソレノイドバルブ
68 セレクトスイッチングソレノイドバルブ
100 CVT入力トルク算出手段
110 トルク比算出部
111 タービントルク算出部
120 通常制御用目標クラッチ圧記憶部
121 低圧制御用目標クラッチ圧記憶部
122 目標クラッチ圧切替部
123 シールリング引き摺りトルク算出部
124 解放時引き摺りトルク記憶部
125 レンジ位置信号検出部
126 シールリング引き摺りトルク切替部
127 ブレーキ空転トルク算出部
128 ロストルク算出部
129 CVT入力トルク算出部
200 CVT油圧制御装置
210 通常制御手段
211 目標セカンダリ圧設定部
212 油圧-電流換算部
213 セカンダリ圧偏差算出部
214 比例制御補正値算出部
215 積分制御補正値算出部
216 セカンダリ電流補正値算出部
217 セカンダリ電流出力値算出部
220 低圧制御手段
221 低圧制御許可判定部
222 低圧制御用積分ゲイン記憶部
223 通常制御用積分ゲイン記憶部
224 積分ゲイン切替部
230 復帰制御手段
231 復帰判定部
232 復帰用積分制御補正値記憶部
233 積分制御補正値切替部

Claims (7)

  1. 駆動側可動プーリ及び駆動側固定プーリからなる一対の駆動側プーリと、被駆動側可動プーリ及び被駆動側固定プーリからなる一対の被駆動側プーリと、前記駆動側プーリ及び前記被駆動側プーリに掛け渡されるベルトと、を備え、プーリ圧により前記駆動側可動プーリ及び前記被駆動側可動プーリを移動させて前記駆動側プーリ及び前記被駆動側プーリの溝幅を変更することにより無段階に変速可能なベルト式無段変速機と、
    指令電流値変化に対するプーリ圧変化が大きいリニア領域と、指令電流値変化に対するプーリ圧変化が小さい低圧不感帯領域と、を有し、指令電流値に応じてプーリ圧を調圧するソレノイド弁と、
    実プーリ圧を検出するプーリ圧検出手段と、
    目標プーリ圧を設定する目標プーリ圧設定手段と、
    前記目標プーリ圧及び実プーリ圧に基づいて前記指令電流値を算出し、プーリ圧を積分制御するプーリ圧制御手段と、
    を備えたベルト式無段変速機の油圧制御装置において、
    前記低圧不感帯領域を使用したプーリ圧の低圧制御を行う低圧制御手段と、
    前記リニア領域を使用したプーリ圧の通常制御における積分ゲインよりも前記低圧制御における積分ゲインを大きく設定する積分ゲイン切替手段と、を設けたこと
    を特徴とするベルト式無段変速機の油圧制御装置。
  2. 自動変速レンジ選択時であり、車速が所定範囲内であり、ベルト式無段変速機への入力トルクが所定値以下であり、かつ油温が所定範囲内であるとき、前記低圧制御を許可する低圧制御許可判定手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載のベルト式無段変速機の油圧制御装置。
  3. 前記通常制御から前記低圧制御へ移行した直後の積分制御補正値を記憶する積分制御補正値記憶手段と、
    前記低圧制御から前記通常制御へ復帰する際、積分制御補正値を前記記憶した積分制御補正値へ切り替える積分制御補正値切替手段と、を設けたこと
    を特徴とする請求項1又は2に記載のベルト式無段変速機の油圧制御装置。
  4. 前記復帰時の前記目標プーリ圧の変化量に応じた時間変化量を積分制御補正値に設定し、積分制御補正値を徐々に前記記憶した積分制御補正値まで変化させる積分制御補正値補正手段を設けたこと
    を特徴とする請求項に記載のベルト式無段変速機の油圧制御装置。
  5. トルクコンバータのタービンランナ出力軸と一体回転する前進クラッチ収装部のシールリングの引き摺りトルクを算出するシールリング引き摺りトルク算出手段と、
    前記タービンランナの出力トルクから前記シールリング引き摺りトルクを減じて前記ベルト式無段変速機への入力トルクを算出するベルト式無段変速機入力トルク算出手段と、を設け、
    前記目標プーリ圧設定手段は、前記ベルト式無段変速機への入力トルクに基づき前記目標プーリ圧を設定すること
    を特徴とする請求項1ないし4いずれか1項に記載のベルト式無段変速機の油圧制御装置。
  6. 前記シールリング引き摺りトルク算出手段は、
    前記実プーリ圧及び自動変速レンジ選択時の前進クラッチ圧最大値のいずれか小さい値に基づいて前記シールリング引き摺りトルクを算出すること
    を特徴とする請求項に記載のベルト式無段変速機の油圧制御装置。
  7. 前記シールリング引き摺りトルク算出手段は、
    前記目標プーリ圧及び自動変速レンジ選択時の前進クラッチ圧最大値のいずれか小さい値に基づいて前記シールリング引き摺りトルクを算出すること
    を特徴とする請求項に記載のベルト式無段変速機の油圧制御装置。
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