JP4722065B2 - 流体封入式制振装置 - Google Patents

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本発明は、制振対象となる振動入力部材の振動を低減する新規な構造の流体封入式制振装置に関するものである。
従来から、自動車のボデーや住宅の窓ガラスや建具、パネル等のような振動入力部材の振動を低減する制振装置の一種として、振動入力部材にバネ部材を介してマス部材を連結支持せしめたダイナミックダンパ(動的吸振器)が知られている。
ところで、ダイナミックダンパでは、マス−バネ系からなる副振動系の固有振動数が主振動系たる振動入力部材において制振すべき振動周波数域にチューニングされることにより振動入力部材に対して制振効果が得られるようになっているが、かかる制振効果が副振動系がチューニングされた比較的に狭い周波数域でしか発揮され難い問題を内在していた。
このような問題に対処するために、例えば、特許文献1(特開平08−285005号公報)に示される如き制振装置が提案されている。この制振装置は、一軸方向に直列配置した第一の弾性体と第二の弾性体で質量体を弾性支持せしめると共に、ダイヤフラムで壁部の一部が構成された第一液室と、第一弾性体で壁部の一部が構成された第二液室と、第二弾性体で壁部の一部が構成された第三液室を、互いに一軸方向で積み重ねた態様で形成し、更に、第一液室と第二液室を連通する第一オリフィスと、第二液室と第三液室を連通する第二オリフィスを設けた構造とされている。このような流体封入式の制振装置では、オリフィス通路を通じての流体流動作用に基づいて広い周波数域の振動に対して制振効果の向上が図られると考えられている。
ところが、この特許文献1に記載の流体封入式制振装置では、質量体に作用する重力を利用するために、上述の如く複数の弾性体を重力方向に積み上げると共に、複数の液室を重力方向に積み重ねた構造とされている。
そのために、かかる特許文献1に記載の流体封入式制振装置においては、高さ寸法が非常に大きくなってしまうという問題があり、特に装着スペースが制限される場合に利用し難いという問題があった。
加えて、重力方向に複数の弾性体を積み重ねた構造であるが故に、軸直角方向のばね剛性が小さくなってしまうことと、最上端に大きなマスの質量体が配設されていることから、水平方向の振動成分が入力されることによって首振り様の変形が大きくなってしまうことが避けられない。それ故、この首振り様の変形に起因して、制振対象における水平方向の振動状態が逆に悪化してしまったり、積層構造とされたゴム弾性体の耐久性が十分に確保し難いという問題が発生し易いのである。特に、自動車等の多くの制振対象では、多方向の振動成分が発生することから、このような首振り様の変形が大きな問題となり易い。
特開平08−285005号公報
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであり、その解決課題とするところは、高さ方向のサイズを十分に小さくすることが可能であると共に、制振すべき振動方向に直交する他方向の入力振動に対しても優れた安定性が確保されることにより、封入された流体の共振作用を利用した広い周波数域での制振効果が効果的に且つ安定して発揮され得る、新規な構造の流体封入式制振装置を提供することにある。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載されたもの、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
すなわち、本発明の特徴とするところは、板状のマス部材の制振対象と対向位置せしめられた面側にゴム壁を配し、マス部材とゴム壁との対向面間に非圧縮性流体が封入された第一の流体室を形成すると共に、制振対象に当接状態とされて制振対象の振動を第一の流体室に及ぼす振動入力部をゴム壁に設ける一方、制振対象からの振動入力時に第一の流体室と相対的な圧力変動が生ぜしめられる第二の流体室を形成して、第二の流体室に非圧縮性流体を封入すると共に、それら第一の流体室と第二の流体室を相互に連結するオリフィス通路を形成し、且つ、前記ゴム壁の中央部分に厚肉部を設けて、この厚肉部により前記振動入力部を構成した流体封入式制振装置にある。
このような本発明に従う構造とされた流体封入式筒型防振装置においては、封入流体を介してゴム壁の弾性が作用せしめられることに基づいて発揮される第一の流体室の壁ばねと、マス部材の質量と、によってマス−バネ系が構成される。この第一の流体室の壁ばねは、一般に、第一の流体室を密閉構造と仮定した場合に、この第一の流体室を単位容積だけ変化させるのに必要とされる圧力変化の大きさに対応する値としても把握できる。或いは、第一の流体室を密閉構造と仮定した場合に、制振装置の装着状態下でマス部材を制振対象に対して接近方向に所定距離だけ変位させるのに必要とされる外力に対応する値としても把握できる。
本発明に係る制振装置は、広い周波数域の振動に対して有効な制振効果を発揮し得るという技術的特徴がある。その理由としては、二つの共振系を有していることが大きいと考えられる。即ち、マス部材と第一の流体室の壁ばねによって構成される一つの共振系に加えて、オリフィス通路を通じて流動せしめられる封入流体によって構成される別の共振系が存在する。これら二つの共振系は、その構成要素(マス要素およびバネ要素)が異なるから、互いに異なるチューニングを施すことが可能となる。具体的には、前者は、マス部材の質量と、壁ばねを構成するゴム壁のばね定数を調節することによってチューニングできる。一方、後者は、封入流体の密度の他、オリフィス通路の通路長さや断面積を調節することによってチューニングできる。
特に本構造によれば、ゴム壁には、制振対象に当接状態とされて制振対象の振動を第一の流体室に及ぼす振動入力部が設けられており、これらマス部材と第一の流体室と振動入力部が、板状のマス部材と制振対象の対向面間において該対向方向で重なり合うように配されている。
従って、マス部材による重力作用が第一の流体室に安定して及ぼされつつ、制振対象の振動が第一の流体室の壁ばねに効率良く入力されることとなり、前述のマス−バネ系の共振作用や、オリフィス通路を通じての流体の共振作用が、何れも有効に発揮されて、広い周波数域の振動に対する制振効果が効果的に得られる。
しかも、マス部材による重力作用が第一の流体室に安定して及ぼされるので、マス部材の重力作用をかせぐために、マス部材と制振対象の対向方向の寸法を特別に大きくする必要がない。
それ故、制振装置の高さ方向のサイズを十分に小さくすることが可能であると共に、制振すべき振動方向に直交する他方向の入力振動に対しても優れた安定性が確保されることにより、封入された流体の共振作用を利用した広い周波数域での制振効果が安定して発揮され得るのである。
なお、ゴム壁は、例えば後述のように、マス部材に固着されるゴム弾性板に形成された凹所の底壁部で構成される等、ゴム弾性板の一部で構成されても良く、或いはマス部材に直接に固着されるゴム弾性膜で構成されても良い。
また、本発明に係る流体封入式筒型防振装置では、マス部材において、制振対象と対向位置せしめられた面側に第二の流体室を設けた構造が、採用されても良い。このような構造によれば、高さ方向の寸法が一層抑えられて、制振効果の安定性やコンパクト化の更なる向上が図られ得る。
また、本発明に係る流体封入式筒型防振装置では、ゴム壁の中央部分に厚肉部を設けて、この厚肉部により振動入力部を構成した構造が採用されていることから、振動入力部が簡単な構造で実現されると共に、マス部材および第一の流体室を制振対象に対して一層安定して支持せしめることが出来る。
また、本発明に係る流体封入式筒型防振装置では、マス部材とゴム壁の少なくとも一方から他方に向かって対向方向に突出する仕切壁部を突設せしめて、それらマス部材とゴム壁の対向面間を仕切壁部で狭窄することにより、仕切壁部で仕切られるようにして第一の流体室と第二の流体室を形成すると共に、仕切壁部による狭窄領域を利用してオリフィス通路を形成した構造が、採用されても良い。
また、本発明に係る流体封入式筒型制振装置では、マス部材とゴム壁の対向面間を仕切壁部で複数領域に仕切ることにより、それらマス部材とゴム壁の対向面間に第一の流体室と第二の流体室を形成すると共に、仕切壁部に対してオリフィス通路を貫通形成した構造が、採用されても良い。
また、本発明に係る流体封入式筒型防振装置では、ゴム弾性板において、一方の面に向かって開口する第一凹所、第二凹所及び凹溝を形成し、ゴム弾性板の一方の面をマス部材の制振対象と対向位置せしめられた面に固着して、それら第一凹所、第二凹所及び凹溝をマス部材で流体密に覆蓋せしめることにより、第一の流体室、第二の流体室及びオリフィス通路を形成すると共に、ゴム弾性板における第一凹所の底壁部および第二凹所の底壁部によって第一の流体室および第二の流体室におけるゴム壁をそれぞれ構成した構造が、採用されても良い。
前記三つの構造によれば、比較的に少ない部品点数で第一の流体室や第二の流体室、オリフィス通路が形成され、製造効率の向上や低コスト化が一層有利に図られ得る。また、第一の流体室と第二の流体室を仕切る仕切壁部やオリフィス通路等がマス部材と制振対象の対向面間に形成されて、マス部材から外方に突出することが抑えられていることから、制振装置の更なるコンパクト化が達成され得る。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について説明する。先ず、図1には、本発明の流体封入式制振装置に係る第一の実施形態としての制振装置10が示されている。制振装置10は、マス部材12やゴム弾性板14を含んで構成されており、制振対象である振動部材としての自動車ボデー16に重ね合わせられて固定されるようになっている。これにより、制振装置10が、主振動系たるボデー16に装着されて、主振動系に対する副振動系を構成する。なお、本実施形態では、自動車ボデー16の表面に制振装置10が載置されることから、自動車ボデー16が、制振装置10に対して直接に振動を入力する振動入力部材として構成される。
より詳細には、マス部材12は、図2にも示されているように、板状を呈しており、鉄鋼やアルミニウム合金等の金属材やナイロン系樹脂等の樹脂材、或いはそれらの複合材等を用いてなる重量物とされている。マス部材12は、振動入力部材である自動車ボデー16の装着部位の形状や大きさ、当該装着部位の質量や振動の周波数域等に応じて、その大きさや質量、形状、材料等が適当に設定されるものであり、特に限定されるものでないが、本実施形態では、長手状に延びる薄肉の略矩形平板形状を有していると共に、鉄鋼等の金属材を用いて形成されている。
また、マス部材12の自動車ボデー16と対向位置せしめられる面側には、ゴム弾性板14が設けられている。ゴム弾性板14は、略矩形平板形状を有しており、例えば、天然ゴム等のジエン系ゴムや塩素系ゴム等の各種のゴム弾性材を用いて形成されている。ゴム弾性板14の平面形状や平面の大きさが、マス部材12のものと略同じとされている。
ゴム弾性板14には、その長手方向となる、図1中の左右方向に離隔して、一対の第一凹所18,18が設けられていると共に、一対の第一凹所18,18の間の中央部分には、各第一凹所18と離隔して、第二凹所20が設けられている。これら第一凹所18や第二凹所20は、ゴム弾性板14の一方(図1,2中、上)の表面に開口する略矩形凹状を呈しており、それら凹所18,20の周壁部が、何れもゴム弾性板14の外周縁部まで至らずに、外周縁部から長手方向および幅方向の内側に位置せしめられている。即ち、ゴム弾性板14の一方の表面において、第一及び第二凹所18,20の開口部位を除いたゴム弾性板14の外周部分や第一凹所18と第二凹所20の間の部分には、略一定の幅寸法で延びる重ね合わせ代22が形成されている。特に本実施形態では、一対の第一凹所18,18を合わせた大きさが、第二凹所20の大きさと略同じとされていて、第一凹所18の一つ当たりの大きさが、第二凹所20の大きさに比して十分に小さくされている。
また、第一凹所18の深さ寸法と第二凹所20の深さ寸法が、互いに略同じとされており、両凹所18,20の底部(面)がゴム弾性板14の他方(図1,2中、下)の表面と僅かな距離を隔てて設けられている。それによって、ゴム弾性板14における他方の表面と各凹所18,20の底面との間には、ゴム壁としての薄肉のゴム膜からなる第一ダイヤフラム24aと第二ダイヤフラム24bが形成されている。
ここで、各第一凹所18の底壁部を構成する第一ダイヤフラム24aが第二凹所20の底壁部を構成する第二ダイヤフラム24bに比して小さくされていることにより、第一ダイヤフラム24aのばね定数が、第二ダイヤフラム24bのばね定数に比して大きくされている。
さらに、ゴム弾性板14の長手方向で対向位置せしめられた各第一凹所18と第二凹所20の間において、ゴム弾性板14の幅方向の略中央部分には、凹溝26が形成されている。凹溝26は、ゴム弾性板14の一方(図1,2中、上)の表面に開口する略一定の矩形凹状断面で長手方向に連続して延びており、その両端部分が第一凹所18の壁部と第二凹所20の壁部に開口している。
また、各第一ダイヤフラム24aの中央部分や第二ダイヤフラム24bの中央部分には、厚肉部としての第一厚肉部28aと第二厚肉部28bが一体形成されている。これら厚肉部28a,28bは略矩形平板形状を有していると共に、互いに略同じ厚さ寸法とされており、該厚さ寸法がダイヤフラム24の厚さ寸法に比して十分に大きくされている。特に、第一ダイヤフラム24aに形成された第一厚肉部28aがゴム弾性板14の幅方向に長手状に延びる矩形平板形状とされている一方、第二ダイヤフラム24bに形成された第二厚肉部28bが小形の矩形平板形状とされていることで、第一厚肉部28aの外形寸法が第二厚肉部28bの外形寸法よりも大きくされている。
このようなゴム弾性板14の重ね合わせ代22にマス部材12の自動車ボデー16と対向位置せしめられる面(図1,2中、下側の表面)が重ね合わせられて、流体密に接着されている。
これにより、ゴム弾性板14の一対の第一凹所18,18や第二凹所20がマス部材12によって流体密に覆蓋されて、マス部材12と各第一凹所18で画設された空間には、それぞれ第一の流体室30が形成されていると共に、マス部材12と第二凹所20で画設された空間には、第二の流体室32が形成されている。要するに、本実施形態では、マス部材12において、自動車ボデー16と対向位置せしめられた面側に一対の第一の流体室30,30に加えて、第二の流体室32が設けられている。
これら一対の第一の流体室30,30や第二の流体室32には、非圧縮性流体が封入されている。封入流体としては、例えば水やアルキレングリコール, ポリアルキレングリコール, シリコーン油等が採用されるが、特に流体の共振作用等の流動作用に基づく防振効果を有効に得るためには、0.1Pa・s以下の低粘性流体を採用することが望ましい。なお、第一及び第二の流体室30,32への非圧縮性流体の封入は、例えば、図面上に明示されていないが、マス部材12に厚さ方向に貫通する注入孔が形成されており、前述の如くマス部材12とゴム弾性板14が互いに固着されて第一及び第二の流体室30,32が形成されたものが非圧縮性流体中に漬けられて、それら流体室30,32にマス部材12の液注入孔を通じて流体が充填されると共に、パッキン等のシーリング材を備えた封止部材で注入孔が流体密に閉塞されることによって、好適に実現される。
ここで、封入された非圧縮性流体を介して第一及び第二ダイヤフラム24a,24bの弾性が作用せしめられることに基づいて発揮される第一及び第二の流体室30,32の壁ばねと、マス部材12の質量とによって、マス−バネ系が構成されている。このマス−バネ系の共振周波数が、自動車ボデー16の制振すべき周波数域の振動に対して有効な制振効果が発揮されるようにチューニングされている。かかる共振周波数は、マス部材12の質量と、壁ばねを構成する第一ダイヤフラム24a乃至は第二ダイヤフラム24bのばね定数を調節することでチューニング可能である。
また、ゴム弾性板14の各凹溝26がマス部材12で流体密に覆蓋されて、各凹溝26の一方の端部が第一の流体室30に接続されていると共に、他方の端部が第二の流体室32に接続されている。これにより、制振装置10の幅方向中央部分を長手方向にトンネル状に延びるオリフィス通路34が一対形成されており、それらオリフィス通路34,34を通じて各第一の流体室30と第二の流体室32が相互に連通せしめられて、第一の流体室30と第二の流体室32の間で、オリフィス通路34を通じての流体流動が許容されるようになっている。
本実施形態では、オリフィス通路34を通じて流動せしめられる流体の共振周波数が、前記マス−バネ系のチューニング振動と異なる周波数域において、自動車ボデー16の制振すべき周波数域の振動に対して有効な制振効果(高減衰効果)が発揮されるようにチューニングされている。オリフィス通路34のチューニングは、例えば、第一の流体室30や第二の流体室32の各壁ばね剛性、即ちそれら各室30,32を単位容積だけ変化させるのに必要な圧力変化量に対応する第一ダイヤフラム24aや第二ダイヤフラム24bの各弾性変形量に基づく特性値を考慮しつつ、オリフィス通路34の通路長さと通路断面積を調節することによって行うことが可能であり、一般に、オリフィス通路34を通じて伝達される圧力変動の位相が変化して略共振状態となる周波数を、当該オリフィス通路34のチューニング周波数として把握することが出来る。なお、本実施形態では、一対の第一の流体室24a,24aの形状や大きさ、壁ばね剛性が互いに同じとされていることで、一対の第一の流体室24a,24aが実質的に一つの流体室として機能することとなり、更に一対のオリフィス通路34,34の長さや断面積が互いに同じとされていることによって、一対のオリフィス通路34,34が実質的に一つのオリフィス通路として機能する。
特に本実施形態では、各ダイヤフラム24に厚肉部28が一体形成されていることにより、オリフィス通路34の長さや断面積を考慮しつつ、これら厚肉部28の形状や大きさ等を設計変更してダイヤフラム24の弾性変形量を調節することだけでも、オリフィス通路34の流体の共振周波数がチューニング可能である。
このような制振装置10は、一対の第一厚肉部28a,28aおよび第二厚肉部28bが自動車ボデー16の制振対象となる部位に重ね合わせられて接着されることにより、自動車ボデー16に装着される。特に、板状のマス部材12が、第一および第二の流体室30,32に封入された非圧縮性流体の流体圧に基づき下方への膨らみが維持される第一および第二ダイヤフラム24a,24bを介して、ボデー16の制振対象部位から上方に離隔状態に保持されている。
上述の説明からも明らかなように、本実施形態では、マス部材12の自動車ボデー16と対向位置せしめられた面側に第一ダイヤフラム24aや第二ダイヤフラム24bが設けられており、マス部材12と自動車ボデー16の対向面間に一対の第一の流体室30,30と第二の流体室32が形成されて、一対の第一流体室30,30がマス部材12と自動車ボデー16の対向方向に直交する方向(図1中、左右)で離隔して対向位置せしめられて、その対向面間に第二の流体室32が配されている。また、図1にも示されているように、第一厚肉部28aや第二厚肉部28bが自動車ボデー16に重ね合わせられて静置された状態下では、第一ダイヤフラム24aおよび第二ダイヤフラム24bが、ボデー16から高さ方向(図1中、上下)に離隔位置せしめられている。
かかる制振装置10の装着下において、ボデー16に問題となる振動が生じると、その振動が、第一及び第二のダイヤフラム24a,24bに形成された第一及び第二厚肉部28a,28bから第一及び第二の流体室30,32に及ぼされることにより、本実施形態に係る振動入力部が、第一及び第二厚肉部28a,28bを含んで構成されている。そして、振動が、第一及び第二の流体室30,32の壁ばねを介してマス部材12に及ぼされて、マス部材12が、ゴム弾性板14の弾性変形乃至はダイヤフラム24a,24bの変形によって許容される流体室30,32の形状変化に基づいて、加振変位せしめられることとなる。特に、マス部材12と流体室30,32の壁ばねからなるマス−バネ系(副振動系)の共振周波数が問題となる振動の周波数域にチューニングされていることよって、マス部材12の加振変位が効率的に生ぜしめられる。その結果、マス部材12の効率的な加振変位に加え、封入された非圧縮性流体の流動作用に基づいて大きな減衰特性が得られることとなり、自動車ボデー16(主振動系)の問題となる振動に対して優れた制振効果(高減衰効果)が得られる。
また、本実施形態に係る制振装置10では、マス−バネ系からなる共振系と別に、オリフィス通路34を通じての流体の流動作用を利用した共振系を備えている。これら二つの共振系にかかるマス要素およびバネ要素がそれぞれ異なることを利用して、二つの共振系が互いに異なる周波数にチューニングされている。
従って、前述のマス−バネ系の共振周波数と異なる周波数域において、主振動系の問題となる振動として、オリフィス通路34のチューニング周波数の振動が第一厚肉部28aと第二厚肉部28bに入力されると、第一の流体室30と第二の流体室32に相対的な圧力変動が生ぜしめられる。ここで、第一厚肉部28aと第二厚肉部28bに同位相の振動が入力されることとなっても、各第一流体室30が第二の流体室32に比して十分に小さくされていると共に、第一厚肉部28aが第二厚肉部28bに比して大きくされていることから、第一ダイヤフラム24aと第二ダイヤフラム24bに対して振動が入力される際の第一の流体室30と第二の流体室32に対するピストン効率が全く異ならされているのであり、それによって、第一の流体室30と第二の流体室32の間で相対的な圧力変動が有効に生ぜしめられるのである。この相対的な圧力変動の差に基づき、オリフィス通路34を通じての流体の流動量が十分に確保されることとなり、その流体のチューニングされた共振作用に基づいて制振効果(高減衰効果)が有利に発揮され得る。
すなわち、本構造によれば、互いに異なる周波数にチューニングされた二つの共振系を用いて、広い周波数域の振動に対する制振効果が得られる。
そこにおいて、マス部材12と自動車ボデー16の対向方向に直交する方向で、第二の流体室32を挟んで一対の第一の流体室30,30が形成されており、それら第一及び第二の流体室30,32の振動入力部となる第一及び第二厚肉部28a,28bと第一及び第二の流体室30,32とマス部材12が、マス部材12と自動車ボデー16の対向方向で重なり合うように配されている。
従って、制振装置10の装着状態が安定して、マス部材12による重力作用が第一及び第二の流体室30,32に安定して及ぼされつつ、ボデー16の振動が第一乃至は第二の流体室30,32の壁ばねに効率良く入力されることとなり、前述のマス−バネ系の共振作用や、オリフィス通路34を通じての流体の共振作用が、何れも有効に発揮されて、広い周波数域の振動に対する制振効果が効果的に得られる。特に、制振装置10が自動車ボデー16に対して一対の第一厚肉部28a,28aおよび第二厚肉部28bの三点で支持せしめられていることから、装着状態が一層安定する。
しかも、マス部材12による重力作用が第一及び第二の流体室30,32に安定して及ぼされるので、マス部材12の重力作用をかせぐために、マス部材12と自動車ボデー16の対向方向の寸法を特別に大きくする必要がない。加えて、第二の流体室32が、第一の流体室30と同様に、マス部材12の自動車ボデー16と対向位置せしめられた面側に設けられていることによって、制振装置10の高さ方向のサイズが小さく抑えられている。
それ故、制振装置10の小形化が有利に達成され得ると共に、制振すべき振動方向(例えば、図1中、上下)に直交する他方向の入力振動に対しても優れた安定性が確保されることにより、封入された流体の共振作用を利用した広い周波数域での制振効果が安定して発揮され得るのである。
また、本実施形態では、ダイヤフラム24の中央部分に特別に厚肉部28を設けて、この厚肉部28により制振対象の振動入力部を構成したことで、ゴム弾性板14に対して振動が入力される際の流体室30,32に対するピストン作用が一層効率的に発揮され得る。
なお、本実施形態では、自動車ボデー16の制振対象部位の水平方向(図1中、左右)に広がる表面に制振装置10が装着されていることによって、マス部材16と自動車ボデー16の対向方向が略鉛直方向(図1中、上下)に延びるようにして装着された具体例が示されているが、例えば自動車ボデー16の鉛直方向に対して傾斜した表面に装着されたり、或いは鉛直な表面に対して装着することも可能である。
次に、図3には、本発明の流体封入式制振装置に係る第二の実施形態としての制振装置40が示されている。以下の説明において、前記実施形態と実質的に同一の構造とされた部材および部位については、前記実施形態と同一の符号を付することにより、それらの詳細な説明を省略する。
詳細には、マス部材12の自動車ボデー16と対向位置せしめられた面には、マス部材12の長手方向(図3中、左右)に離隔して一対の仕切壁部42,42が一体形成されて、下方に向かって突出している。仕切壁部42は、略一定の矩形断面でマス部材12の幅方向に所定の長さで延びている。なお、仕切壁部42は連続して延びていても不連続に延びていても良い。
また、マス部材12の自動車ボデー16と対向位置せしめられた面側には、ゴム壁としてのゴム弾性膜44が配設されている。ゴム弾性膜44は、変形容易な薄肉のゴム膜からなり、マス部材12の形状に対応した長手状の矩形袋状を呈している。また、ゴム弾性膜44の外周縁部には、厚肉の矩形断面で周方向の全周に亘って連続して延びる固着部46が一体形成されており、
この固着部46の上端面に重ね合わせ代22が形成されている。固着部46の重ね合わせ代22がマス部材12の自動車ボデー16と対向位置せしめられた面の外周部分に重ね合わせられて接着されている。これにより、マス部材12の自動車ボデー16と対向位置せしめられた面側にゴム弾性膜44が固着されていて、マス部材12とゴム弾性膜44の固着領域を除く対向面間には、外部に対して密閉された流体封入領域48が形成されて、流体封入領域48に非圧縮性流体が封入されている。
そこにおいて、マス部材12の各仕切壁部42が流体封入領域48をゴム弾性膜44に向かって突出して、その突出先端部分がゴム弾性膜44と僅かな距離を隔てて対向せしめられていることにより、各仕切壁部42がマス部材12とゴム弾性膜44の対向面間を狭窄している。
その結果、流体封入領域48が、一対の仕切壁部42,42で3つに仕切られることとなり、長手方向中央部分において、一対の仕切壁部42,42とマス部材12およびゴム弾性膜44で画設された空間に第二の流体室32が形成されていると共に、第二の流体室32を挟んだ長手方向両側において、各一方の仕切壁部42とマス部材12およびゴム弾性膜44で画設された空間に、それぞれ第一の流体室30が形成されている。なお、ゴム弾性膜44において各第一の流体室30の中央部分に位置する底部や第二の流体室32の中央部分に位置する底部には、第一厚肉部28aや第二厚肉部28bが一体形成されている。
また、仕切壁部42の突出先端部分とゴム弾性膜44の対向位置せしめられた、仕切壁部42による狭窄領域を利用して、各第一の流体室30と第二の流体室32を相互に連通せしめるオリフィス通路34が形成されている。
本実施形態に係る制振装置40においては、マス部材12とゴム弾性膜44の対向面間を仕切って、第一及び第二の流体室30,32を形成する仕切壁部42が、マス部材12と一体形成されていることから、仕切部材の別途組み付けに伴う部品点数や製造工程の増加が抑えられて、製造効率の向上や低コスト化が有利に図られ得る。
また、特に、オリフィス通路の通路長さや通路断面積にそれ程大きな厳密性が要求されない制振装置においては、仕切壁部42による狭窄領域を利用してオリフィス通路34が形成される本構造が採用されることによって、目的とする制振効果を満たしつつ、製造が一層容易となる。
なお、本実施形態に係る仕切壁部42の形態は例示の如きものに限定されるものでなく、例えば図4にも示されているように、突出先端部分の角部が丸くされた仕切壁部42’を採用することも可能である。これにより、オリフィス通路34を通じての流体の流動作用をスムーズにしたり、仕切壁部42がゴム弾性膜44に接触した場合に、接触部分の損傷を抑えたりすることが有利に実現される。
次に、図5には、本発明の流体封入式制振装置に係る第三の実施形態としての制振装置50が示されている。
詳細には、ゴム弾性膜44の固着部46の内側において、マス部材12と対向位置せしめられた面には、ゴム弾性膜44の長手方向(図5中、左右)に離隔して一対の仕切壁部52,52が一体形成されて、上方に向かって突出している。仕切壁部52は、固着部46の幅方向両端部分の間を略一定の矩形断面で幅方向に連続して延びている。特に、仕切壁部52のゴム弾性膜44から突出する基端部分の長手方向の厚さ寸法が薄肉とされている。また、各仕切壁部52の適当な箇所には、凹溝54が形成されている。凹溝54は、仕切壁部52の上端面に開口する略一定の矩形凹状断面で仕切壁部52の幅方向(図5中、左右)に連続して延びており、その両端部分が仕切壁部52幅方向両端面に開口している。
固着部46の重ね合わせ代22がマス部材12の自動車ボデー16と対向位置せしめられた面の外周部分に重ね合わせられていると共に、ゴム弾性膜44の仕切壁部52の上端面がマス部材12の内側の面に重ね合わせられて、接着されている。
これにより、マス部材12とゴム弾性膜44の対向面間の流体封入領域48が、ゴム弾性膜44の一対の仕切壁部52,52で3つに流体密に仕切られることとなり、長手方向中央部分において、一対の仕切壁部52,52とマス部材12およびゴム弾性膜44で画設された空間に第二の流体室32が形成されていると共に、第二の流体室32を挟んだ長手方向両側において、各一方の仕切壁部52とマス部材12およびゴム弾性膜44で画設された空間に、それぞれ第一の流体室30が形成されている。また、仕切壁部52の凹溝54の上方開口部がマス部材12で流体密に覆蓋されることによって、仕切壁部52の幅方向に貫通形成されるオリフィス通路34が構成されており、各第一の流体室30と第二の流体室32がオリフィス通路34を通じて相互に連通せしめられている。
また、本実施形態では、ゴム弾性膜44における第二の流体室32の中央部分に対応した底部の中央部分56に前記実施形態に示された第二厚肉部28bが設けられておらず、ゴム弾性膜44における第一の流体室30の中央部分に対応した底部に第一厚肉部28が設けられている。特に、これら第一厚肉部28,28の厚さ寸法が大きくされていることにより、第一厚肉部28,28が自動車ボデー16に載置された状態で、ゴム弾性膜44の中央部分56が、ゴム弾性膜44で最も下方に弛み易い形状とされている。
制振装置50の自動車ボデー16への装着状態下、ゴム弾性膜44の中央部分56は自動車ボデー16から常時離隔していても良く、或いは常時当接していたり、離隔した状態から、第二の流体室32の圧力変化によるゴム弾性膜44の弾性変形によって自動車ボデー16に当接することによって、ゴム弾性膜44の中央部分56が、主振動系の(自動車ボデー16)の振動を第二の流体室32に入力する振動入力部として構成されても良い。
また、ゴム弾性膜44における第二の流体室32の底部を構成する壁部において、ゴム弾性膜44の中央部分を挟んだ長手方向両側には、剛性材からなる薄肉の平板形状の補強プレート58が固着されている。
上述の如き構造とされた制振装置50においては、仕切壁部52がゴム弾性膜44と一体形成されることで、前記第二の実施形態と同様に、仕切壁部52がマス部材12およびゴム弾性膜44の何れからも別体構造とされていないことから、部品点数の増加が抑えられて、低コスト化が有利に達成され得る。
特に、仕切壁部52の上端面がマス部材12に固着されていることによって、第一の流体室30と第二の流体室32間の流体密性が一層有利に確保され得る。
また、仕切壁部52のゴム弾性膜44から突出する基端部分の長手方向の厚さ寸法が薄肉とされていることで、仕切壁部52の中央部分から突出先端部にかけての部位がゴム弾性膜44の弾性変形に伴い変形することが抑えられている。それ故、仕切壁部52ひいては仕切壁部52に貫通形成されるオリフィス通路34の形状安定性が向上され、オリフィス通路34の流体の流動作用に基づく制振効果が一層安定して得られる。
さらに、第二の流体室32の底部を構成するゴム弾性膜44に補強プレート58が固着されていることによって、補強プレート58の剛性に基づき該底部の弾性変形量を調節してオリフィス通路34を通じての流体の共振周波数をチューニングする態様が有利に実現され得る。
特に、一対の補強プレート58,58が、ゴム弾性膜44の最も下方に弛んで自動車ボデー16に接近する中央部分56を避けた位置に形成されていることで、ゴム弾性膜44の弾性変形に伴い補強プレート58が自動車ボデー16に打ち当たることが抑えられている。その結果、打ち当たりに伴う打音の発生が好適に軽減乃至は回避される。
次に、図6には、本発明の流体封入式制振装置に係る第四の実施形態としての制振装置60が示されている。
詳細には、マス部材12の外周縁分に、周方向に連続して乃至は不連続に延びるかしめ部62が一体形成されている。
また、ゴム弾性板14における各第一凹所18と第二凹所20の長手方向で対向位置せしめられた壁部が、ゴム弾性板14の各第一ダイヤフラム24aと第二ダイヤフラム24bの間からマス部材12に向かって突出する仕切壁部52として構成されており、仕切壁部52には凹溝54が形成されて、凹溝54がマス部材12で流体密に覆蓋されることによって、長手方向にトンネル状に延びるオリフィス通路34が貫通形成されている。
このようなゴム弾性板14の外周部分の重ね合わせ代22と仕切壁部52の上端面がマス部材12の自動車ボデー16に対する対向面に重ね合わせられていると共に、マス部材12のかしめ部62がゴム弾性板14の外周部分を包み込むように配されて、かしめ部62にかしめ加工が施されることにより、ゴム弾性板14とマス部材12が流体密に重ね合わせられて固定されている。
従って、本構造の制振装置60によれば、例えば非圧縮性流体中でマス部材12をゴム弾性板14にかしめ固定することにより、第一の流体室30や第二の流体室32を形成すると同時に、それらの流体室30,32に非圧縮性流体を封入することが好適に実現される。それ故、製造工程の短縮化が有利に図られ得る。
次に、図7には、本発明の流体封入式制振装置に係る第五の実施形態としての制振装置70が示されている。
すなわち、本実施形態に係る制振装置70では、第一の実施形態において、第二ダイヤフラム24bの中部部分に一体形成されていた第二厚肉部28が設けられておらず、第二ダイヤフラム24bが、全体に亘って制振対象(自動車ボデー16)に対してフリーな薄肉のゴム膜とされている。
これにより、制振装置70の長手方向(図7中、左右)で離隔配置されてそれぞれ第一ダイヤフラム24aと一体形成された一対の第一厚肉部28a,28aから制振対象の振動が入力されると、第一ダイヤフラム24aが積極的に弾性変形して、第一の流体室30に圧力変動が生ぜしめられる一方、第二の流体室32では、第二ダイヤフラム24bの比較的に大きな弾性変形作用が確保されていることに基づき容積変化が容易に許容される。
従って、本実施形態の制振装置70によれば、第一の流体室30と第二の流体室32の間の相対的な圧力差がより有効に生ぜしめられることとなり、その結果、オリフィス通路34を通じての流体流動量がより大きく確保されて、オリフィス通路34を通じての流体の共振作用による防振効果が一層有利に発揮され得るのである。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であり、これら実施形態における具体的な記載によって、本発明は、何等限定されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様で実施可能である。また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
例えば、マス部材12やゴム弾性板14、第一及び第二ダイヤフラム24a,24b、第一及び第二厚肉部28a,28b、第一及び第二の流体室30,32、オリイフィス通路34、ゴム弾性膜44等における形状や大きさ、構造、数、配置等の形態は、例示の如きものに限定されるものでない。
また、第一の流体室30とオリフィス通路34がそれぞれ一対形成されていたが、一又は三以上形成されても良い。特に、オリフィス通路を複数形成すると共に、それぞれ異なる周波数域にチューニングすることによって、制振効果を更に広い周波数域で有効にすることも可能である。
さらに、前記実施形態では、各一対の第一の流体室30,30とオリフィス通路34,34の形態が同一とされていたが、それぞれ互いに異ならせることによって、一方の流体室を第三の流体室とすると共に、第三の流体室と第二の流体室を相互に連通せしめる第二のオリフィス通路を形成し、これらオリフィス通路と第二のオリフィス通路が互いに異なる周波数域にチューニングしても良い。
更にまた、前記実施形態では、制振装置10,40,50,60が全体として矩形平板形状を呈していたが、例えば円板形状とし、更に第一の流体室を円形状として、第一の流体室の外周側を所定の距離で延びる円弧形状または円環形状の第二の流体室を形成することも可能である。
また、第二の流体室32がマス部材12の制振対象(自動車ボデー16)と対向位置せしめられた面側に設けられていたが、例えばマス部材12を挟んだ制振対象と反対側にゴム壁を設けて、それらゴム壁とマス部材の対向面間に第二の流体室を形成すると共に、第一の流体室と第二の流体室を相互に連通せしめるオリフィス通路を、マス部材の厚さ方向に貫通形成することも可能である。
さらに、第一の流体室や第二の流体室への非圧縮性流体の封入は、ダイヤフラムに貫設された注入孔を通じて流体を充填すると共に、注入孔を封止部材で閉塞して実現しても良い。
また、例えば、図8にも示されているように、マス部材12が制振対象と対向位置せしめられる面側でゴム弾性板14の凹溝26に対応した位置にゴム層72を固着して、図9に示される如くマス部材12をゴム弾性板14に重ね合わせて固定した際に、ゴム層72を凹溝26に嵌め込んで、凹溝26の上方開口部をゴム層72で覆蓋せしめても良く、或いは図10に示されるように、ゴム層72に代えて、マス部材12と一体形成された嵌合突部74を凹溝26に嵌め込んで、凹溝26の上方開口部を嵌合突部74で覆蓋しても良い。それによって、ゴム弾性板14の凹溝26の形成部位とゴム層72または嵌合突部74が協働して、制振装置の長手方向(図9,10中、左右)にトンネル状に延びるオリフィス通路34を形成しても良く、それらゴム層34や嵌合突部74の形状や大きさ、構造等に基づき、オリフィス通路34の通路断面積や壁部の剛性等をチューニングすることも可能である。
第一の実施形態の制振装置10に係る制振効果について確認するために、以下の如き実施例について説明するが、本発明がかかる実施例の形態に限定されるものでない。
図示しない制振対象としての振動部材に制振装置10の第一厚肉部28aおよび第二厚肉部28bを重ね合わせると共に、両面テープで振動部材および厚肉部28を相互に接着することで、振動部材に制振装置10を装着する。振動部材の質量は700gである一方、制振装置10のマス部材12の質量が92gであり、制振装置10の総質量が116gである。そして、振動部材を加速度0.03Gで加振せしめた状態で、振動部材の固有振動数を、それぞれ異ならせて、制振装置10を装着した振動部材の加速度比を測定した。振動部材の固有振動数が58Hzの場合の測定結果を実施例1として図11に示す。振動部材の固有振動数が84Hzの場合の測定結果を実施例2として図12に示す。振動部材の固有振動数が110Hzの場合の測定結果を実施例3として図13に示す。振動部材の固有振動数が157Hzの場合の測定結果を実施例4として図14に示す。また、図11〜14に示される比較例1〜4は、振動部材に制振装置10を装着していない状態で加速度比を測定した結果である。
さらに、図示しないマス−バネ系からなる従来構造のダイナミックダンパを、前記実施例と同一の振動部材に装着する。ダイナミックダンパの質量は、制振装置10と同じ116gである。そして、各実施例1〜4と対応した条件の下、ダイナミックダンパを装着した振動部材の加速度比を測定した。その結果を比較例1’〜4’として、対応する実施例1〜4を示した図11〜14に、それぞれ併せ示す。
図11〜14に示される結果からも、実施例1〜4に係る制振装置10の何れにおいても、振動部材において問題となる固有振動数の振動レベルが低減されて、優れた制振効果が発揮されることが認められる。しかも、制振を目的とする固有振動数から外れた高周波数域において振動レベルが上がるような反共振的な作用も見られない。
このことから、本発明に従う構造とされた制振装置10においては、第一及び第二の流体室30,32の壁ばねとマス部材12からなる共振系とオリフィス通路を通じての流体の共振系が、何れも極めて有効に機能して、安定した減衰効果が低周波数域から高周波数域まで得られるものと考えられる。
本発明の第一の実施形態としての制振装置を自動車ボデーに装着した状態を示す縦断面図。 同制振装置の分解斜視図。 本発明の第二の実施形態としての制振装置を自動車ボデーに装着した状態を示す縦断面図。 本発明の第二の実施形態と一部異なる別の具体例としての制振装置を自動車ボデーに装着した状態を示す縦断面図。 本発明の第三の実施形態としての制振装置を自動車ボデーに装着した状態を示す縦断面図。 本発明の第四の実施形態としての制振装置を自動車ボデーに装着した状態を示す縦断面図。 本発明の第五の実施形態としての制振装置を自動車ボデーに装着した状態を示す縦断面図。 本発明の別の一具体例としての制振装置の分解斜視図。 同制振装置を自動車ボデーに装着した状態を示す縦断面図。 本発明のまた別の一具体例としての制振装置を自動車ボデーに装着した状態を示す縦断面図。 図1における制振装置の制振効果について確認するためにした試験の結果を示すグラフ。 同制振装置の制振効果について確認するために図11と異なる条件で試験した結果を示すグラフ。 同制振装置の制振効果について確認するために図11,12と異なる条件で試験した結果を示すグラフ。 同制振装置の制振効果について確認するために図11,12,13と異なる条件で試験した結果を示すグラフ。
符号の説明
10:制振装置、12:マス部材、14:ゴム弾性板、16:自動車ボデー、24a:第一ダイヤフラム、24b:第二ダイヤフラム、28a:厚肉部、28b:厚肉部、30:第一の流体室、32:第二の流体室、34:オリフィス通路

Claims (5)

  1. 板状のマス部材が制振対象と対向位置せしめられた面側にゴム壁を配し、該マス部材と該ゴム壁との対向面間に非圧縮性流体が封入された第一の流体室を形成すると共に、該制振対象に当接状態とされて該制振対象の振動を該第一の流体室に及ぼす振動入力部を該ゴム壁に設ける一方、該制振対象からの振動入力時に該第一の流体室と相対的な圧力変動が生ぜしめられる第二の流体室を形成して、該第二の流体室に非圧縮性流体を封入すると共に、それら第一の流体室と第二の流体室を相互に連結するオリフィス通路を形成し、且つ、前記ゴム壁の中央部分に厚肉部を設けて、この厚肉部により前記振動入力部を構成したことを特徴とする流体封入式制振装置。
  2. 前記マス部材において、前記制振対象と対向位置せしめられた面側に前記第二の流体室を設けた請求項1に記載の流体封入式制振装置。
  3. 前記マス部材と前記ゴム壁の少なくとも一方から他方に向かって対向方向に突出する仕切壁部を突設せしめて、それらマス部材とゴム壁の対向面間を該仕切壁部で狭窄することにより、該仕切壁部で仕切られるようにして前記第一の流体室と前記第二の流体室を形成すると共に、該仕切壁部による狭窄領域を利用して前記オリフィス通路を形成した請求項1又は2に記載の流体封入式制振装置。
  4. 前記マス部材と前記ゴム壁の対向面間を仕切壁部で複数領域に仕切ることにより、それらマス部材とゴム壁の対向面間に前記第一の流体室と前記第二の流体室を形成すると共に、該仕切壁部に対して前記オリフィス通路を貫通形成した請求項1又は2に記載の流体封入式制振装置。
  5. ゴム弾性板において、一方の面に向かって開口する第一凹所、第二凹所及び凹溝を形成し、該ゴム弾性板の該一方の面を前記マス部材の前記制振対象と対向位置せしめられた面に固着して、それら第一凹所、第二凹所及び凹溝を該マス部材で流体密に覆蓋せしめることにより、前記第一の流体室、前記第二の流体室及び前記オリフィス通路を形成すると共に、該ゴム弾性板における該第一凹所の底壁部および該第二凹所の底壁部によって該第一の流体室および該第二の流体室における前記ゴム壁をそれぞれ構成した請求項1乃至の何れか一項に記載の流体封入式制振装置。
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