JP2002227912A - 流体封入式防振マウント - Google Patents

流体封入式防振マウント

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JP2002227912A
JP2002227912A JP2001025344A JP2001025344A JP2002227912A JP 2002227912 A JP2002227912 A JP 2002227912A JP 2001025344 A JP2001025344 A JP 2001025344A JP 2001025344 A JP2001025344 A JP 2001025344A JP 2002227912 A JP2002227912 A JP 2002227912A
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rubber elastic
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Takashi Yoshida
隆志 吉田
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Sumitomo Riko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 二つの異なる流体室の組合せにて直交する二
方向における入力振動に対する防振を行なう流体封入式
防振マウントにおいて、流体室間の流体の流動作用に基
づく有効な防振効果を確保しつつ、ゴム弾性体の静バネ
特性を有効にチューニングし得る構造の提供。 【解決手段】 ゴム弾性体16内に、非圧縮性流体の封入
された流体室48の複数を、第一の取付金具12の軸部20の
周りに位置するように設け、それら複数の流体室48を第
二のオリフィス通路50にて相互に連通せしめ、非圧縮性
流体が流体室48、48間において流動し得るように構成す
ると共に、第一の取付金具12の軸部20の軸方向におい
て、流体室48と受圧室44との間に位置する、ゴム弾性体
16にて与えられる内側壁部52を、流体室48と外部との間
の、ゴム弾性体16にて与えられる外側壁部54よりも薄肉
化せしめ、弾性変形容易な薄肉壁部として構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、内部に封入された非圧縮性流体
の流動作用に基づいて防振効果を得るようにした流体封
入式防振マウントに係り、特に、振動入力方向が一方向
のみならず、それに直角な方向における入力振動に対し
ても、有効な防振効果を得ることが出来る、自動車用エ
ンジンマウント等として有利に用いられ得る流体室封入
式防振マウントに関するものである。
【0002】
【背景技術】従来から、振動伝達系を構成する部材間に
介装される防振連結体や防振支持体等の一種として、特
開昭57−9340号公報にて代表的に示される流体封
入式防振マウントが、知られている。そのような防振マ
ウントにあっては、互いに離間して対向配置された第一
の取付部材と第二の取付部材とを、ゴム弾性体で連結せ
しめると共に、そのようなゴム弾性体で壁部の一部を構
成して、入力振動にて内圧変動が惹起せしめられる、非
圧縮性流体が封入された受圧室を形成する一方、壁部の
一部を変形容易な可撓性膜で構成して、該可撓性膜の変
形に基づいて容積変化が許容される、非圧縮性流体が封
入された平衡室を設け、そしてそれら平衡室と受圧室と
を適当なオリフィス手段にて相互に連通せしめて、振動
入力時に封入流体の流動が惹起されるようにすることに
よって、封入流体の共振作用等の流動作用に基づいて、
防振効果を得るようになっている。
【0003】しかしながら、そのような構造の流体封入
式防振マウントにあっては、第一の取付部材と第二の取
付部材との対向方向となる一方向における入力振動に対
しては有効な防振効果を発揮するものの、かかる一方向
に直交する方向の入力振動に対しては、受圧室と平衡室
との間に有効な非圧縮性流体の流動作用が惹起され得
ず、防振効果において劣るものとなる問題を内在してお
り、そのために、特開昭61−262244号公報や特
公昭63−61533号公報等においては、先の受圧室
と平衡室からなる流体室の組合せとは別に、第一の取付
部材と第二の取付部材との対向方向に直角な方向の入力
振動によって内圧変動が惹起せしめられ得る複数の流体
室を組み合わせて設け、それら流体室を、オリフィス手
段にて連通せしめることにより、それら流体室に封入さ
れた非圧縮性流体の流動作用に基づくところの防振効果
が発揮せしめられるようにした構造が提案されており、
それによって、そのような二つの異なる流体室の組合せ
にて、二つの直交する方向の入力振動に対して有効な防
振効果が発揮され得るようになっている。
【0004】ところで、車両の軽量化等の目的から、か
かる防振マウントが防振支持すべき物体の重量が軽くな
るに従って、防振マウントも、コンパクト化されるよう
になるが、そのようなコンパクト化は、また、ゴム弾性
体、ひいてはマウント全体の静バネ特性を固くする問題
を惹起することとなるのであり、そのために、そのよう
なゴム弾性体の静バネ特性を変化させて、低いバネ特性
を設定し得る構成を採用する必要が生じるのであるが、
前記した二つの異なる流体室の組合せからなる従来の流
体封入式防振マウントにおいては、そのゴム弾性体内に
流体室の一つの組合せが配設されることにも関連して、
その静バネ特性を有効にチューニングするための構成に
ついては、何等明らかにされておらず、そのために、マ
ウントのコンパクト化に対して、充分に対応し得るもの
ではなかったのである。
【0005】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述せる如き事
情を背景として為されたものであって、その解決課題と
するところは、二つの異なる流体室の組合せによって直
交する二方向における入力振動に対する防振を行なうよ
うにした流体封入式防振マウントにおいて、流体室間に
おける流体の流動作用に基づく有効な防振効果を確保し
つつ、ゴム弾性体の静バネ特性を効果的にチューニング
し得る構造を提供することにある。
【0006】
【解決手段】そして、本発明にあっては、かかる課題を
解決するために、軸部を有する第一の取付部材と、該第
一の取付部材に向かって開口する筒状部を備えた第二の
取付部材とを、該筒状部内に前記軸部が位置するよう
に、互いに離間して配置すると共に、それら筒状部と軸
部とをゴム弾性体にて連結せしめて、該ゴム弾性体にて
前記第二の取付部材における筒状部の開口を流体密に覆
蓋することにより、該第二の取付部材の筒状部内におい
て該ゴム弾性体で壁部の一部が構成され、前記第一の取
付部材の軸部の軸方向の振動入力にて内圧変動が惹起せ
しめられる、非圧縮性流体が封入された受圧室を形成す
る一方、壁部の一部が変形容易な可撓性膜で構成され、
該可撓性膜の変形に基づいて容積変化が許容される、非
圧縮性流体が封入された平衡室を設け、更に、該平衡室
と前記受圧室とを相互に連通する第一のオリフィス通路
を設けてなる流体封入式防振マウントにおいて、前記ゴ
ム弾性体内に、非圧縮性流体の封入された流体室の複数
を、前記第一の取付部材の軸部の周りに位置するように
設け、それら複数の流体室を第二のオリフィス通路にて
相互に連通せしめて、非圧縮性流体が流体室間において
流動し得るように構成すると共に、該第一の取付部材の
軸部の軸方向において、該流体室と前記受圧室との間に
位置する、前記ゴム弾性体にて与えられる内側壁部が、
該流体室と外部との間の、前記ゴム弾性体にて与えられ
る外側壁部よりも薄肉化されて、弾性変形容易な薄肉壁
部として構成されていることを特徴とする流体封入式防
振マウントを、その要旨とするものである。
【0007】すなわち、このような本発明に従う流体封
入式防振マウントにあっては、受圧室と平衡室と第一の
オリフィス通路との組合せにより、第一の取付部材の軸
部の軸方向に入力せしめられる振動に対して、封入流体
の流動作用に基づくところの有効な防振効果が発揮せし
められる一方、ゴム弾性体内に形成された複数の流体室
と第二のオリフィス通路との組合せにより、前記第一の
取付部材の軸部の軸方向に直角な方向に入力する振動に
対して、封入流体の流動作用に基づくところの防振効果
が発揮せしめられ得るようになっていると共に、流体室
と受圧室との間に位置する、ゴム弾性体にて与えられる
内側壁部が、流体室と外部との間の、ゴム弾性体にて与
えられる外側壁部よりも薄肉化されて、弾性変形容易な
薄肉壁部として構成されているところから、ゴム弾性体
の静バネ定数が効果的に低く為され得て、ゴムの静バネ
特性のチューニングを有利に実現し得ることとなったの
である。
【0008】しかも、そのような薄肉壁部が、空気と接
触する外側壁部ではなく、受圧室との間に位置して、受
圧室内の封入流体に接して、空気とは接触することのな
い内側壁部において実現されているところから、ゴムの
オゾンクラック等に基因する壁部の劣化の問題も効果的
に抑制乃至は回避され得ると共に、第一の取付部材の軸
部の軸方向に直角な方向の振動が入力した場合におい
て、流体室の内側壁部が薄肉の壁部とされていても、そ
のような内側壁部の受圧室側への膨らみ(膨出)は、受
圧室内に流体が封入されていることによって、効果的に
抑制乃至は阻止され得るところとなり、以て流体室間の
流体流動を効果的に確保し得て、優れた防振効果を発揮
せしめ得ることとなるのである。これに対して、外側壁
部が薄肉壁部とされた場合にあっては、前記したような
内側の壁部に対する受圧室内の封入流体の如き作用は全
く期待され得ず、大気中に膨出するようになるところか
ら、流体室の内圧変動に対して、封入流体の第二のオリ
フィス通路を通じての流動作用を有効に発揮せしめ得な
くなるのであり、そのために、防振効果も低下すること
となるのである。
【0009】なお、かかる本発明に従う流室防振式防振
マウントの好ましい態様の一つによれば、前記ゴム弾性
体は厚肉の円筒形状を呈しており、該厚肉の円筒部に対
して、径方向外方に開口するポケット部の複数が周方向
に所定の間隔を隔てて設けられ、それら複数のポケット
部が前記第二の取付部材の筒状部にて覆蓋されることに
よって、前記複数の流体室が形成されるようになってい
るのであって、これにより、流体室の形成作業が容易な
らしめられている。
【0010】また、本発明に従う流体封入式防振マウン
トの他の望ましい態様の一つによれば、前記受圧室は、
前記第二の取付部材の筒状部内において、前記第一の取
付部材の軸部の軸方向に対して直交する方向に延びる仕
切部材にて仕切られて、該仕切部材と前記ゴム弾性体と
の間に形成されている一方、前記平衡室が、該仕切部材
の外側に位置して設けられているのが望ましく、これに
よって、受圧室と平衡室の配設構造を簡略化して、ゴム
弾性体の形状、更にはそれに対する流体室の配設構造
を、効果的に簡略化せしめ得ているのである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の代表的な実施形態
の一つを示す図面を参照しつつ、本発明の構成を、更に
具体的に明らかにすることとする。
【0012】先ず、図1には、本発明の一つの代表的な
実施形態としての自動車用エンジンマウント10が、断
面形態において示されている。そこにおいて、エンジン
マウント10は、第一の取付部材としての第一の取付金
具12と第二の取付部材としての第二の取付金具14と
がゴム弾性体16にて弾性的に連結されてなる構造を呈
している。そして、第一の取付金具12がパワーユニッ
ト側に取り付けられる一方、第二の取付金具14がボデ
ィ側に取り付けられることにより、パワーユニットをボ
ディに対して防振支持するようになっている。なお、そ
のような装着状態下、かかるエンジンマウント10に
は、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に対
して、図1中の略上下方向に防振すべき一つの振動が入
力される一方、それとは直角な方向の左右方向にも、防
振すべき他の一つの振動が入力されることとなる。
【0013】より具体的には、第一の取付金具12は、
金属等の剛性材で形成されており、全体として段付き太
棒体形状を呈している。そして、そのような第一の取付
金具12の小径部は、ネジ部からなる取付部18とされ
て、図において上方に配置され、図示しない、自動車の
パワーユニット側に取り付けられるようになっている。
また、かかる第一の取付金具12の大径部は、軸部20
として、図において下方に配置せしめられ、ここでは、
そのような軸部20の外周面に対してゴム弾性体16が
一体的に加硫接着せしめられることによって、一体の加
硫成形品として用いられている。
【0014】そして、そのような第一の取付金具12と
ゴム弾性体16からなる一体加硫成形品は、図2〜図5
に詳細に明らかにされている如き形状のものとされてい
るのである。
【0015】すなわち、第一の取付金具12の軸部20
外周面に一体的に加硫接着されたゴム弾性体16は、厚
肉の円筒形状において、金属製のシールスリーブ22と
の間に形成されている。また、そのような厚肉円筒状の
ゴム弾性体16には、図3及び図5より明らかな如く、
直径方向に延びる所定厚さのゴム弾性体16部分を間に
して、180度の広がりを有する一対のポケット部2
4、24が対称的に設けられており、且つそれら一対の
ポケット部24、24は、それぞれ、シールスリーブ2
2に設けられた窓部26を通じて径方向外方に開口せし
められている。さらに、シールスリーブ22の軸方向中
央部分は、図2及び図3から明らかなように、小径部と
されて、その小径部の外側に回り込んだゴム弾性体16
部分にて、両側のポケット部24、24を接続する溝部
28が設けられている。
【0016】一方、第二の取付金具14は、図1からも
明らかなように、金属等の剛性材で形成されており、全
体として、大径の円筒部が図において上方に配置され、
下方には小径の円筒部32が配置されてなる、段付円筒
形状を呈している。そして、この第二の取付金具14の
大径部30及び小径部32の内面には、それぞれ、シー
ルゴム層34が、所定厚さにおいて全面に亘って形成さ
れていると共に、小径部32の下方開口部には、それを
覆蓋して閉塞するように、シールゴム層34と一体のダ
イヤフラム36が、変形容易な可撓性膜として設けられ
ている。なお、このような第二の取付金具14には、図
示はされていないが、その外周面の段付部に係止された
状態において、所定のブラケットが外挿、固定せしめら
れて、図示しない自動車のボディ側に取り付けられるよ
うになっている。
【0017】そして、かかる第二の取付金具14の内側
段部には、全体として円板形状を呈する、金属等の剛性
材からなる仕切部材38が嵌着されて、かかる第二の取
付金具14の内部を、大径部30側と小径部32側とに
仕切っていると共に、仕切部材38の外周部に設けた溝
部40が、小径部32の内面にて閉塞されることによ
り、第一のオリフィス通路42が形成されているのであ
る。なお、そのような第一のオリフィス通路42は、図
示はされていないが、仕切部材38の異なる部位におい
て、上方への連通部と下方への連通部を、それぞれ有し
ている。
【0018】また、第二の取付金具14の大径部30内
に、前記した第一の取付金具12とゴム弾性体16との
一体加硫成形品が圧入せしめられて、取り付けられるこ
とによって、そのような一体加硫成形品にて、第二の取
付金具14の大径部30の開口が流体密に覆蓋せしめら
れ、以て、そのような大径部30内において、ゴム弾性
体16にて壁部の一部が構成された受圧室44が、仕切
部材38との間において形成される一方、小径部32内
においては、ダイヤフラム36を壁部の一部とする平衡
室46が、かかるダイヤフラム36と仕切部材38との
間に形成されている。そして、それら受圧室44や平衡
室46の内部には、所定の非圧縮性流体が封入されてい
るのである。また、それら受圧室44と平衡室46と
は、仕切部材38に設けられた上方への連通部及び下方
への連通部を通じて、第一のオリフィス通路42によっ
て連通せしめられるようになっている。
【0019】従って、第一の取付金具12と第二の取付
金具14との間に、図1において上下方向の振動が入力
せしめられると、受圧室44には、内圧変動が惹起せし
められることとなるのであり、そしてそのような内圧変
動は、第一のオリフィス通路42を介して平衡室46に
伝えられ、そして平衡室46の壁部を構成するダイヤフ
ラム36の変形に基づいて容積変化が許容されることに
より、前記した内圧変動が緩和乃至は吸収されるように
なっているのであり、そしてこのような挙動に基づいて
惹起される、受圧室44と平衡室46内の非圧縮性流体
の流動作用にて、有効な防振効果を得ることが出来るの
である。
【0020】加えて、上述の如く、第二の取付金具14
の大径部30内に、第一の取付金具12とゴム弾性体1
6の一体加硫成形品を圧入せしめることによって、ゴム
弾性体16に設けられた一対のポケット部24、24は
大径部30にて流体密に覆蓋されて、所定の非圧縮性流
体の封入された一対の流体室48、48が、形成される
と共に、二つのポケット部24、24をつなぐ溝部28
が大径部30にて覆蓋されることによって、それら二つ
の流体室48、48を相互に連通せしめる第二のオリフ
ィス通路50が、形成されるようになっている。これに
より、図1において、エンジンマウント10に対して、
上下方向に直角な方向の振動が入力せしめられた場合に
おいて、一方の流体室48に惹起せしめられる内圧変動
は、第二のオリフィス通路50を通じての流体流動によ
り、他方の流体室48にて吸収されるようになってお
り、以て、有効な防振効果が発揮されるように意図され
ているのである。
【0021】そして、そのような構造のエンジンマウン
トにおいて、そのゴム弾性体16内に形成される一対の
流体室48、48が、図1や図2に示される如く、本発
明に従う壁部の構造において形成されているのである。
即ち、それらの図から明らかなように、第一の取付金具
12の軸部20の軸方向において、ゴム弾性体16の、
流体室48を区画する両側の壁部、換言すれば流体室4
8と受圧室44との間に位置する、ゴム弾性体16にて
与えられる内側壁部52と、流体室48と外部との間
の、ゴム弾性体16にて与えられる外側壁部54とが、
異なる厚さの壁部として形成されているのである。より
具体的には、そのような内側壁部52が、外側壁部54
よりも薄肉化されて、厚さの薄い、弾性変形容易な薄肉
壁部として形成されているのである。
【0022】このように、ゴム弾性体16を、流体室4
8を区画する内側壁部52の部位において薄肉化するこ
とによって、それの弾性変形が容易となり、以てゴム弾
性体16全体としての静的バネ定数を効果的に低くし
て、柔らかなバネ特性が発揮せしめられることとなるの
である。
【0023】しかも、そのような静的バネ定数を低く設
定するために、大気に接する外側壁部54ではなく、受
圧室44との間の内側壁部52が薄肉化されているため
に、ゴムのオゾンクラック等による劣化の問題も何等惹
起されることなく、マウントとして良好に機能せしめ得
るのである。これに対して、外側壁部54を薄肉化した
場合には、大気との接触により、オゾンクラック等が惹
起せしめられて、ゴムが劣化し、薄肉の壁部から流体が
漏れ出したり、薄肉壁部自体の破壊に至る等の問題が惹
起される恐れがあるのである。
【0024】さらに、振動の入力によって流体室48内
の内圧が上昇すると、薄肉壁部は外方に膨らもうとする
が、そのような薄肉壁部が、内側壁部52である場合に
あっては、受圧室44内に収容された非圧縮性流体の存
在により、大気圧より高い内圧が存在することとなると
ころから、そのような薄肉化された内側壁部52の受圧
室44側への膨らみは、効果的に抑制され、以て流体室
48内の圧力上昇は、他方の受圧室44との間の流体流
動に効果的に寄与せしめられ得て、防振効果もより一層
有利に発揮せしめられることとなるのである。しかる
に、外側壁部54を薄肉壁部とした場合にあっては、そ
の外側への膨らみが拘束されることはないところから、
流体室48内の内圧上昇が、そのような壁部の外側への
膨出に消費されて、有効な流体流動が惹起され得ず、そ
のために、防振効果を充分に発揮せしめることが困難と
なるのである。
【0025】このように、上述の如き構成のエンジンマ
ウント10にあっては、流体室48の受圧室44との間
の内側壁部52を薄肉壁部としたことにより、ゴム弾性
体16の全体としての静的バネ定数を変化させて、柔ら
かなバネ特性を効果的に確保すると共に、ゴムの劣化の
問題も何等顧慮することなく、流体室48、48間の流
体流動も効果的に為し得て、有効な防振効果が奏され得
るのであって、流体室48の外部(大気)との間の外側
壁部54を薄肉化する場合には期待し得ない作用・効果
を発揮することとなるのである。
【0026】なお、かくの如き構造のエンジンマウント
10を製造するに際しては、先ず、第一の取付金具12
とゴム弾性体16とからなる一体加硫成形品や、仕切部
材38、シールゴム層34やダイヤフラム36を一体的
に設けた第二の取付金具14が、準備される。そして、
所定の非圧縮性流体中において、第二の取付金具14内
に仕切部材38を組み付け、更に、第一の取付金具12
とゴム弾性体16との一体加硫成形品を、第二の取付金
具14の大径部30内に圧入することにより、組み付け
られ、更に、大径部30の外径を絞ることによって、シ
ールスリーブ22と大径部30との間のシール(流体密
性)が確保されつつ、組付け作業が完了する。なお、こ
のような非圧縮性流体中での組付け作業の実施により、
受圧室44、平衡室46や流体室48への非圧縮性流体
の封入が、同時に行なわれることとなる。また、そのよ
うな封入流体としては、水やアルキレングリコール、ポ
リアルキレングリコール、シリコーン油、或いはそれら
の混合流体等の公知の非圧縮性流体が適宜に選択され
て、用いられることとなるが、特に、流体の共振作用に
基づく防振効果を有効に得るためには、0.1Pa・s
以下の低粘性流体が、有利に採用されることとなる。
【0027】以上、本発明の代表的な実施形態の一つに
ついて詳述し、本発明の構成を明らかにしてきたが、そ
のような実施形態は、あくまでも、一つの例示であっ
て、本発明は、そのような実施形態についての具体的な
記述によって、何等限定的に解釈されるものでないこと
が、理解されるべきである。
【0028】例えば、例示のエンジンマウント10にお
いては、ゴム弾性体16内に設けられる流体室48は、
対称的な構造の一対とされているが、その配設個数に
は、何等制限はなく、第一の取付金具12の軸部20の
周りに配置せしめ得る限りにおいて、3つ或いはそれ以
上の個数において、設けることが可能である。そのよう
な流体室(48)の配設個数を増加せしめることによ
り、軸部20の軸方向に直角となる各種の方向から入力
される振動に対して、より一層有効な防振効果を発揮せ
しめることが可能となる。
【0029】また、そのような複数の流体室48を連通
せしめる第二のオリフィス通路50の配設形態について
も、公知の各種の構造が採用され、流体室48の個数や
配置形態等に応じて、適宜に選択されることとなる。
【0030】さらに、受圧室44や平衡室46の配設構
造も、例示のものに限定されるものでは決してなく、公
知の配設形態の中から、本発明の趣旨を逸脱しないよう
に、適宜に選択されると共に、仕切部材38の構造や受
圧室44と平衡室46とを連通する第一のオリフィス通
路42の配設形態についても、公知の各種の構造が、適
宜に採用され、また、それら受圧室44と平衡室46と
の間に、可動板や可撓性膜を設けたり、更に受圧室44
内に、公知の構造の傘部材等を設けたりすることも、可
能である。
【0031】加えて、本発明は、自動車用エンジンマウ
ントの他、自動車用ボディマウントやデフマウント等、
或いは自動車以外に用いられる各種の防振装置に対して
も、同様に適用可能であり、それによって、本発明の効
果が、何れも、有効に発揮され得ることとなる。
【0032】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等
を加えた態様において実施され得るものであり、またそ
のような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りに
おいて、何れも、本発明の範囲内に含まれるものである
ことは、言うまでもないところである。
【0033】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に従う構造とされた流体封入式防振マウントにおいて
は、ゴム弾性体内に設けられる流体室の受圧室との間の
内側壁部が薄肉化されて、弾性変形容易な薄肉壁部とし
て構成されていることによって、ゴム弾性体の静的バネ
特性が効果的に調節され得て、柔らかなバネ特性が有利
に確保され得、以てマウントのコンパクト化にも充分に
対応し得ると共に、ゴムの劣化の問題を回避しつつ、流
体室間における非圧縮性流体の流動を効果的に惹起せし
めて、防振効果をより一層有利に発揮せしめるようにし
たのであり、そこに、本発明の大きな特徴を見出すこと
が出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る流体封入式防振マウントの一実施
形態としてのエンジンマウントを示す縦断面説明図であ
る。
【図2】図1において用いられる第一の取付金具とゴム
弾性体との一体加硫成形品を示す縦断面説明図であっ
て、図4におけるA−A断面に相当する図である。
【図3】図2におけるB−B断面を示す説明図である。
【図4】図1において用いられる第一の取付金具とゴム
弾性体との一体加硫成形品を示す平面説明図である。
【図5】図4における一体加硫成形品の右側面説明図で
ある。
【符号の説明】
10 エンジンマウント 12 第一の
取付金具 14 第二の取付金具 16 ゴム弾
性体 18 取付部 20 軸部 22 シールスリーブ 24 ポケッ
ト部 26 窓部 28 溝部 30 大径部 32 小径部 34 シールゴム層 36 ダイヤ
フラム 38 仕切部材 40 溝部 42 第一のオリフィス通路 44 受圧室 46 平衡室 48 流体室 50 第二のオリフィス通路 52 内側壁
部 54 外側壁部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸部を有する第一の取付部材と、該第一
    の取付部材に向かって開口する筒状部を備えた第二の取
    付部材とを、該筒状部内に前記軸部が位置するように、
    互いに離間して配置すると共に、それら筒状部と軸部と
    をゴム弾性体にて連結せしめて、該ゴム弾性体にて前記
    第二の取付部材における筒状部の開口を流体密に覆蓋す
    ることにより、該第二の取付部材の筒状部内において該
    ゴム弾性体で壁部の一部が構成され、前記第一の取付部
    材の軸部の軸方向の振動入力にて内圧変動が惹起せしめ
    られる、非圧縮性流体が封入された受圧室を形成する一
    方、壁部の一部が変形容易な可撓性膜で構成され、該可
    撓性膜の変形に基づいて容積変化が許容される、非圧縮
    性流体が封入された平衡室を設け、更に、該平衡室と前
    記受圧室とを相互に連通する第一のオリフィス通路を設
    けてなる流体封入式防振マウントにおいて、 前記ゴム弾性体内に、非圧縮性流体の封入された流体室
    の複数を、前記第一の取付部材の軸部の周りに位置する
    ように設け、それら複数の流体室を第二のオリフィス通
    路にて相互に連通せしめて、非圧縮性流体が流体室間に
    おいて流動し得るように構成すると共に、該第一の取付
    部材の軸部の軸方向において、該流体室と前記受圧室と
    の間に位置する、前記ゴム弾性体にて与えられる内側壁
    部が、該流体室と外部との間の、前記ゴム弾性体にて与
    えられる外側壁部よりも薄肉化されて、弾性変形容易な
    薄肉壁部として構成されていることを特徴とする流体封
    入式防振マウント。
  2. 【請求項2】 前記ゴム弾性体が厚肉の円筒形状を呈し
    ており、該厚肉の円筒部に対して、径方向外方に開口す
    るポケット部の複数が周方向に所定の間隔を隔てて設け
    られ、それら複数のポケット部が前記第二の取付部材の
    筒状部にて覆蓋されることによって、前記複数の流体室
    が形成されるようになっている請求項1に記載の流体封
    入式防振マウント。
  3. 【請求項3】 前記受圧室が、前記第二の取付部材の筒
    状部内において、前記第一の取付部材の軸部の軸方向に
    対して直交する方向に延びる仕切部材にて仕切られて、
    該仕切部材と前記ゴム弾性体との間に形成されている一
    方、前記平衡室が、該仕切部材の外側に位置して設けら
    れている請求項1または請求項2に記載の流体封入式防
    振マウント。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009243541A (ja) * 2008-03-31 2009-10-22 Bridgestone Corp 防振装置
JP2011017418A (ja) * 2009-07-10 2011-01-27 Bridgestone Corp 防振装置
JP2015028369A (ja) * 2013-07-31 2015-02-12 住友理工株式会社 流体封入式防振装置
US9365101B2 (en) 2014-02-03 2016-06-14 Sumitomo Riko Company Limited Fluid-filled vibration damping device
US9541155B2 (en) 2013-08-09 2017-01-10 Sumitomo Riko Company Limited Mounting member for vibration damping device and vibration damping device using the same

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