JP5986515B2 - 流体封入式防振装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車用のエンジンマウント等に用いられる防振装置に係り、特に内部に封入された非圧縮性流体の流動作用等に基づいた防振効果を利用する流体封入式防振装置に関するものである。
従来から、振動伝達系を構成する部材間に介装されて、それら部材を相互に防振連結する防振支持体乃至は防振連結体の一種として、内部に封入された非圧縮性流体の流動作用等に基づく防振効果を利用する流体封入式防振装置が知られており、自動車のエンジンマウント等に適用されている。この流体封入式防振装置は、特開2006−144983号公報(特許文献1)等にも示されているように、振動伝達系を構成する一方の部材に取り付けられる第一の取付部材と、振動伝達系を構成する他方の部材に取り付けられる第二の取付部材とが、本体ゴム弾性体で弾性連結された構造を有している。そして、流体封入式防振装置では、壁部の一部が本体ゴム弾性体で構成されて非圧縮性流体を封入された流体室が形成されており、その流体室が第二の取付部材で支持された仕切部材によって主液室と副液室に仕切られている。
ところで、流体封入式防振装置では、特許文献1にも示されているように、主液室と副液室を仕切る仕切部材の内部に収容空所を形成して、その収容空所に可動板を収容配置した構造も採用される。可動板は、厚さ方向の両面に主液室の液圧と副液室の液圧との各一方が及ぼされていると共に、収容空所内で厚さ方向の微小変位を許容されており、可動板の変位によって液圧吸収作用に基づく防振効果が発揮されるようになっている。
しかしながら、このような可動板構造では、大振幅振動の入力時に可動板が収容空所の壁内面に当接して、打音が生じるという問題があった。
なお、特許文献1では、収容空所内における可動板の厚さ方向両側に可動板ホルダが配設されており、可動板ホルダが収容空所の壁内面に重ね合わせて配設されている。しかし、可動板ホルダは仕切部材および可動板とは別体の部材であることから、部品点数や製造工程数が増加するおそれがあった。しかも、可動板ホルダが弾性体ではない場合には、内部摩擦等に基づいた打音の低減効果は発揮され得なかった。
特開2006−144983号公報
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、大振幅振動の入力時に問題となる可動板の当接打音が、少ない部品点数で有効に低減乃至は防止され得る、新規な構造の流体封入式防振装置を提供することにある。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。
本発明の第一の態様は、第一の取付部材と第二の取付部材が本体ゴム弾性体によって弾性連結されて、壁部の一部が該本体ゴム弾性体で構成されて非圧縮性流体を封入された流体室が形成されており、該流体室が該第二の取付部材で支持された仕切部材によって主液室と副液室に仕切られていると共に、該仕切部材の内部に形成された収容空所に可動板が配設されており、該可動板の両面には該主液室の液圧と該副液室の液圧との各一方が及ぼされて、該可動板がそれら主液室と副液室の相対的な液圧変動による該収容空所内での変位を許容されている流体封入式防振装置において、前記収容空所には前記可動板と緩衝板部とを一体で備える弾性可動体が配設されていると共に、該弾性可動体が展開状態で成形されて該可動板と該緩衝板部の境界部分を折り曲げてそれら可動板と緩衝板部とを向かい合わせに配置させた状態で該収容空所に配設されており、該可動板と該収容空所の壁内面との当接によって該可動板の変位量を制限するストッパ手段が構成されていると共に、該緩衝板部が該収容空所の少なくとも一方の壁内面に重ね合わされて、該可動板が該収容空所の少なくとも一方の壁内面に該緩衝板部を介して当接するようにされていることを、特徴とする。
このような第一の態様に従う構造とされた流体封入式防振装置によれば、可動板が収容空所の壁内面に緩衝板部を介して当接することで、可動板の当接による打音が低減乃至は防止される。しかも、可動板と緩衝板部が一体で弾性可動体として形成されており、当接打音の低減効果を少ない部品点数で得ることができる。
さらに、可動板と緩衝板部を備える弾性可動体が展開状態で成形されて、成形後に折り畳まれることで可動板と緩衝板部が向かい合わせに配置されることから、弾性可動体の成形が容易であると共に、可動板と緩衝板部の距離を小さく設定することも簡単となる。しかも、可動板と緩衝板部が境界部分で相互に接続されていることにより、可動板の小振幅の変位を充分に許容しながら、大振幅の変位時には、境界部分のばねによって当接時の衝撃力が軽減されて、打音がより有利に低減される。特に、可動板と緩衝板部の境界部分が、弾性可動体の収容空所への配設状態で予め折り曲げられていることから、境界部分のばねによる打音の低減作用が効果的に発揮される。
なお、弾性可動体の展開状態とは、可動板と緩衝板部が同一平面上に位置する展開状態だけを限定的に示すものではない。即ち、弾性可動体は、収容空所への配設時とは異なる形状で成形されて、可動板と緩衝板部が向かい合わせに配置されるように変形した状態で収容空所に配設されていれば良い。要するに、可動板と緩衝板部は、弾性可動体の展開状態において、収容空所への配設状態に比べれば境界部分の折れ曲がりが小さくされた折れ曲がり形状をもって相互に連結された状態で、相互に傾斜して形成され得る。
本発明の第二の態様は、第一の態様に記載された流体封入式防振装置において、前記弾性可動体が前記可動板と複数の前記緩衝板部を一体で備えており、それら複数の緩衝板部が前記収容空所内で該可動板の厚さ方向両側に配置されているものである。
第二の態様によれば、可動板と収容空所の壁内面が、可動板の厚さ方向の両側において、何れも緩衝板部を介して当接することから、それら可動板と収容空所の壁内面との当接による打音がより一層低減される。しかも、複数の緩衝板部を弾性可動体として可動板と一体形成することで、部品点数の増加が回避される。
本発明の第三の態様は、第二の態様に記載された流体封入式防振装置において、前記可動板の面方向の両端部にそれぞれ前記緩衝板部が一体で接続されており、前記弾性可動体の前記収容空所への配設状態において、それら緩衝板部が該可動板の各一方の面と向かい合わせに配置されていると共に、該可動板における何れか一方の該緩衝板部との接続端部が、何れか他方の該緩衝板部に当接しているものである。
第三の態様によれば、可動板の端部が緩衝板部に予め当接していることで、可動板の変位時に、可動板が離隔状態から緩衝板部に打ち当たるのを防止することができて、打音が低減される。しかも、可動板と緩衝板部の当接面積が、可動板の変位量が増すに従って徐々に大きくなることで、当接時の衝撃力がより効果的に抑えられて、打音を防止することができる。
本発明の第四の態様は、第一〜第三の何れか1つの態様に記載された流体封入式防振装置において、前記弾性可動体の展開状態において前記緩衝板部が前記可動板の側方に配置されているものである。
第四の態様によれば、可動板の側方に緩衝板部を一体形成することで、可動板と緩衝板部を予め対向配置状態で一体形成する場合に比して、展開状態の弾性可動体をより容易に得ることができる。なお、緩衝板部が可動板の側方に形成されるとは、可動板の厚さ方向の投影において、緩衝板部が可動板を外れた位置に配置されていることを言う。これにより、可動板の厚さ方向で分割される金型によって、可動板と緩衝板部を備える弾性可動体を容易に成形することが可能である。
本発明の第五の態様は、第一〜第四の何れか1つの態様に記載された流体封入式防振装置において、前記可動板と前記緩衝板部の境界部分における曲げ変形剛性が、該可動板および該緩衝板部の曲げ変形剛性よりも小さくされているものである。
第五の態様によれば、弾性可動体を可動板と緩衝板部の境界部分で折り曲げ易くなる。更に、可動板と緩衝板部の境界部分のばねによって弾性可動体が展開状態に復元し難くなることから、弾性可動体を折り畳まれた状態で収容空所に配設し易くなる。
なお、可動板や緩衝板部が複数設けられている場合には、可動板と可動板の境界部分や緩衝板部と緩衝板部の境界部分においても、曲げ変形剛性が小さくされていることが望ましい。
本発明の第六の態様は、第一〜第五の何れか1つの態様に記載された流体封入式防振装置において、前記緩衝板部には厚さ方向に貫通する窓部が形成されており、前記主液室の液圧と前記副液室の液圧の少なくとも一方が該窓部を通じて前記可動板に及ぼされているものである。
第六の態様によれば、収容空所の壁内面をより広い範囲に亘って緩衝板部で覆うことができて、可動板の変位時に、緩衝板部による緩衝作用とそれに伴う打音の低減効果を有効に得ることができる。
本発明によれば、可動板と緩衝板部が一体の弾性可動体として形成されていると共に、弾性可動体が展開状態で成形された後、可動板と緩衝板部の境界部分を折り曲げることで対向配置されるようになっている。それ故、可動板と緩衝板部を少ない部品点数で容易に成形することができると共に、可動板が収容空所の壁内面に当接する際の衝撃力が、緩衝板部の緩衝作用に加えて、可動板と緩衝板部の境界部分のばねによっても低減されて、当接時の打音が低減乃至は回避される。
本発明の第一の実施形態としてのエンジンマウントを示す縦断面図。 図1に示されたエンジンマウントを構成する仕切部材の平面図。 図2に示された仕切部材の底面図。 図2に示された仕切部材の分解斜視図。 図2に示された仕切部材の収容空所に配設される弾性可動体の展開状態での平面図。 図5に示された展開状態の弾性可動体の正面図。 図5に示された弾性可動体の折り畳みを説明する斜視図であって、(a)が成形時の展開形状を、(b)が折り畳み過程の形状を、(c)が折り畳まれた収容空所への配設形状を、それぞれ示す。 図1に示されたエンジンマウントの受圧室に正圧が及ぼされた状態を示す縦断面図。 図1に示されたエンジンマウントの受圧室に正圧が及ぼされて可動板が変位する過程を説明する要部拡大断面図。 本発明の第二の実施形態としての流体封入式防振装置を構成する弾性可動体の斜視図。 図10に示された弾性可動体の展開状態を示す斜視図。 本発明の第三の実施形態としての流体封入式防振装置を構成する弾性可動体の斜視図。 図12に示された弾性可動体の展開状態を示す斜視図。 図13に示された展開状態の弾性可動体の平面図。 図13に示された展開状態の弾性可動体の正面図。 本発明の第四の実施形態としての流体封入式防振装置を構成する弾性可動体の斜視図。 図16に示された弾性可動体の展開状態を示す斜視図。 本発明の第五の実施形態としての流体封入式防振装置を構成する弾性可動体の展開状態の斜視図。 本発明の第六の実施形態としての流体封入式防振装置を構成する弾性可動体の展開状態の斜視図。 本発明の第七の実施形態としての流体封入式防振装置を構成する弾性可動体の展開状態の斜視図。 本発明の第八の実施形態としての流体封入式防振装置を構成する弾性可動体の展開状態の斜視図。 図21に示された展開状態の弾性可動体の正面図。 本発明の第九の実施形態としての流体封入式防振装置を構成する弾性可動体の展開状態の斜視図。 図23に示された展開状態の弾性可動体の正面図。 本発明の第十の実施形態としての流体封入式防振装置を構成する弾性可動体の展開状態の斜視図。 図25に示された展開状態の弾性可動体の正面図。 本発明の第十一の実施形態としての流体封入式防振装置を構成する弾性可動体の展開状態の平面図。 本発明の第十二の実施形態としての流体封入式防振装置を構成する弾性可動体の縦断面図。 本発明の第十三の実施形態としてのエンジンマウントを示す縦断面図。 本発明の第十四の実施形態としてのエンジンマウントを示す縦断面図。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1には、本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置の第一の実施形態として、自動車用のエンジンマウント10が示されている。エンジンマウント10は、第一の取付部材12と第二の取付部材14が本体ゴム弾性体16によって弾性連結された構造を有している。なお、以下の説明において、原則として、上下方向とは、マウント軸方向である図1中の上下方向を、左右方向とは、図1中の左右方向を言う。
より詳細には、第一の取付部材12は、中実小径の略円形ブロック形状を有する高剛性の部材であって、中心軸上を直線的に延びて上面に開口するねじ穴18が形成されている。一方、第二の取付部材14は、薄肉大径の略円筒形状を有する高剛性の部材であって、下端部には外周側に突出する環状のフランジ部20が一体形成されている。
そして、第一の取付部材12が第二の取付部材14の上側開口部に同一中心軸上で差し入れられて、それら第一の取付部材12と第二の取付部材14が本体ゴム弾性体16によって弾性連結されている。本体ゴム弾性体16は、厚肉の略円錐台形状を有しており、小径側の端部が第一の取付部材12に加硫接着されていると共に、大径側端部の外周面が第二の取付部材14に加硫接着されている。なお、本体ゴム弾性体16は、第一の取付部材12と第二の取付部材14を備えた一体加硫成形品として形成されている。
さらに、本体ゴム弾性体16には、大径凹所22が形成されている。大径凹所22は、逆向きの略すり鉢形状乃至は皿形状を有する凹所であって、本体ゴム弾性体16の大径側の端面に開口している。更にまた、大径凹所22の上底壁部中央には、本体ゴム弾性体16と一体形成されたストッパゴム24が、第一の取付部材12の下面から下方に向かって突出している。
また、第二の取付部材14には、可撓性膜26が取り付けられている。可撓性膜26は、薄肉のゴム膜であって、内周部分が略円板形状乃至は円形ドーム形状の液圧吸収部27とされていると共に、外周部分が略円筒形状の固定部28とされている。そして、可撓性膜26は、固定部28の上端部が第二の取付部材14のフランジ部20と重ね合わされて、ブラケット部材30でかしめ固定されている。なお、ブラケット部材30は、略有底円筒形状を有する高剛性の部材であって、上端開口部に設けられたかしめ片32が第二の取付部材14のフランジ部20にかしめ固定されるようになっており、ブラケット部材30のかしめ片32によって可撓性膜26の固定部28が第二の取付部材14のフランジ部20に固定されている。
このような可撓性膜26の第二の取付部材14への取付けによって、本体ゴム弾性体16と可撓性膜26の間には、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成されて、外部空間から流体密に隔てられた、流体室34が形成されており、流体室34に非圧縮性流体が封入されている。なお、流体室34に封入される非圧縮性流体は、特に限定されるものではないが、例えば、水やアルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、シリコーン油、或いはそれらの混合液等が好適に用いられる。更に、後述する流体の流動作用に基づく防振効果を効率的に得るためには、0.1Pa・s以下の低粘性流体が望ましい。
また、流体室34には、仕切部材36が配設されている。仕切部材36は、図2〜図4に示すように、仕切部材本体38と蓋板部材40とを上下に組み合わせて構成されている。
仕切部材本体38は、金属や合成樹脂等で形成された硬質の部材であって、厚肉の略円板形状を有している。更に、仕切部材本体38の径方向中央部分には、上面に開口する矩形断面を有する収容凹所42と、下面に開口する円形断面の中央凹所44が形成されており、径方向中央部分が外周部分に比して軸方向上下で薄肉となっている。更にまた、厚肉とされた仕切部材本体38の外周部分には、上面に開口して周方向に一周に満たない長さで延びる周溝46が形成されている。なお、収容凹所42と中央凹所44が形成された薄肉の中央部分には、上下に貫通する複数の下透孔48が形成されている。
蓋板部材40は、仕切部材本体38と同様に硬質の部材とされており、薄肉大径の円板形状を有している。なお、蓋板部材40には、中央部分を上下に貫通する複数の上透孔50が形成されている。また、本実施形態では、蓋板部材40が仕切部材本体38よりも大径とされている。
そして、仕切部材本体38の上面に蓋板部材40が重ね合わされて、それら仕切部材本体38と蓋板部材40が接着や溶着、溶接等の手段で相互に固定されることにより、仕切部材36が形成されている。
また、仕切部材本体38の上面に蓋板部材40が重ね合わされて固定されることにより、仕切部材本体38の収容凹所42の開口部が蓋板部材40で覆われて、仕切部材36の内部には矩形横断面を有する収容空所52が形成されている。この収容空所52には、図1,図2に示すように、弾性可動体54が配設されている。なお、収容空所52の上下壁内面は、略マウント中心軸に直交する方向で広がっている。
弾性可動体54は、可動板56と上下一対の緩衝板部58,58とを一体形成した構造とされており、可動板56の厚さ方向両側に上下の緩衝板部58,58の各一方が向かい合わせで配置されている。可動板56は、略矩形平板形状を有するゴム板であって、面方向一方の端部である左端部が上緩衝板部58に一体で接続されていると共に、面方向他方の端部である右端部が下緩衝板部58に一体で接続されている。上下の緩衝板部58,58は、互いに同一の構造とされており、略矩形板形状を有すると共に、矩形断面で厚さ方向に貫通する複数の窓部60を備えている。
さらに、本実施形態の弾性可動体54は、可動板56の外周から左右側方に一対の緩衝板部58,58が略同一平面上で広がる展開状態で形成されており、成形状態において図5,図6,図7(a)に示すように、長手の矩形板形状とされている。そして、図7(b)に示すように、可動板56と上下の緩衝板部58,58との境界部分である接続部61,61を折り曲げて、図7(c)の如く、可動板56の両面に上下の緩衝板部58,58の各一方が向かい合わせて配置されるように変形させた折り畳み状態とされる。弾性可動体54は、図1に示すように、かかる折り畳み状態で仕切部材36の収容空所52に収容配置される。
これにより、弾性可動体54の収容空所52への配設状態において、可動板56がマウント中心軸と直交する方向に対して傾斜(右方に向かって下傾)して、上下の緩衝板部58,58の対向間に配置されていると共に、上下の緩衝板部58,58が収容空所52の上下各一方の壁内面に重ね合わされている。そして、接続部61,61の弾性変形によって、可動板56の上下変位が許容されるようになっている。
さらに、弾性可動体54の収容空所52への配設状態において、上緩衝板部58と接続された可動板56の右端部が、下緩衝板部58に当接していると共に、下緩衝板部58と接続された可動板56の左端部が、上緩衝板部58に当接している。なお、本実施形態では、上下の緩衝板部58,58が、左右両端部分において収容空所52の上下壁内面の各一方に弾性的に押し当てられており、上下の緩衝板部58,58が収容空所52の上下壁内面の各一方に当接状態で重ね合わされている。
このように弾性可動体54を配設された仕切部材36は、図1に示すように、流体室34に配設されている。即ち、仕切部材36は、流体室34内で略軸直角方向に広がって配設されて、蓋板部材40の外周端部が第二の取付部材14のフランジ部20に重ね合わされて、ブラケット部材30のかしめ片32でかしめ固定されている。これにより、流体室34が第二の取付部材14によって支持された仕切部材36で仕切られており、仕切部材36を挟んだ上側には、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成されて、振動入力時に内圧変動が惹起される主液室としての受圧室62が形成されている一方、仕切部材36を挟んだ下側には、壁部の一部が可撓性膜26で構成されて、容積変化が容易に許容される副液室としての平衡室64が形成されている。
また、仕切部材本体38に形成された周溝46の上側開口部が蓋板部材40で覆われてトンネル状の流路が形成されていると共に、該トンネル状流路の一方の端部が上連通口66を通じて受圧室62に連通されていると共に、他方の端部が下連通口68を通じて平衡室64に連通されている。これにより、受圧室62と平衡室64を相互に連通するオリフィス通路70が、周溝46を利用して形成されている。なお、オリフィス通路70は、受圧室62と平衡室64の壁ばね剛性を考慮しながら、通路断面積(A)と通路長(L)との比を調節することで、流動流体の共振周波数(チューニング周波数)が設定されており、本実施形態では、エンジンシェイクに相当する数Hz程度の低周波数にチューニングされている。
また、仕切部材36に収容された弾性可動体54の可動板56には、蓋板部材40の上透孔50および上側の緩衝板部58の窓部60を通じて、上面に対して受圧室62の液圧が及ぼされていると共に、仕切部材本体38の下透孔48および下側の緩衝板部58の窓部60を通じて、下面に対して平衡室64の液圧が及ぼされている。これにより、可動板56は、振動入力による受圧室62と平衡室64の相対的な圧力変動時に、収容空所52内で上下方向の微小変位を許容されている。
さらに、可動板56が収容空所52の上下壁内面に当接することで、上下方向において許容される可動板56の変位量が制限されるようになっており、もって、本実施形態のストッパ手段が構成されている。これにより、小振幅振動の入力時には、可動板56が上下に微小変位することで、受圧室62の液圧が平衡室64に逃がされて、液圧吸収作用が発揮されるようになっていると共に、大振幅振動の入力時には、可動板56の上下変位がストッパ手段で制限されて、受圧室62の内圧変動が効率的に惹起されるようになっている。
更にまた、収容空所52の上下壁内面には、上下の緩衝板部58,58の各一方が重ね合わされており、可動板56が上下の緩衝板部58,58の対向面間に配置されていることから、可動板56が、収容空所52の上下壁内面に対して、上下の緩衝板部58,58を介して当接するようになっている。
このような構造とされたエンジンマウント10は、例えば、第一の取付部材12が図示しないパワーユニットに取り付けられると共に、第二の取付部材14がブラケット部材30を介して図示しない車両ボデーに取り付けられることにより車両に装着されて、パワーユニットが車両ボデーに対してエンジンマウント10を介して防振支持されるようになっている。
そして、エンジンマウント10の車両への装着状態で、アイドリング振動や走行こもり音等の中乃至高周波小振幅振動の入力時には、可動板56が共振状態で上下方向に積極的に変位することから、可動板56の上下変位によって受圧室62の液圧が平衡室64に伝達されて吸収される。これにより、液圧吸収作用に基づく低動ばね化によって、目的とする防振効果が発揮される。なお、中乃至高周波小振幅振動の入力時には、入力振動の周波数がオリフィス通路70のチューニング周波数よりも高周波数であることから、オリフィス通路70は反共振によって実質的に遮断される。
一方、エンジンシェイクに相当する低周波大振幅振動が入力されると、オリフィス通路70を通じての流体流動が共振状態で積極的に生ぜしめられて、流体の流動作用に基づく防振効果が発揮される。また、低周波大振幅振動の入力時には、図8に示すように、可動板56が収容空所52の上下壁内面に押し当てられて上下変位を制限されている。これにより、可動板56の上下変位による受圧室62と平衡室64の間での液圧伝達がストッパ手段で制限されて、受圧室62と平衡室64の相対的な液圧の変動が大きく生じることから、オリフィス通路70を通じての流体流動が効率的に生ぜしめられて、流体の流動作用に基づく防振効果が有利に発揮される。
ここにおいて、図8に示すように、可動板56は、上下の緩衝板部58,58を介して収容空所52の上下壁内面に当接するようになっており、それら緩衝板部58,58の内部摩擦等に基づいた緩衝作用によって、当接時の打音が低減される。しかも、可動板56と上下の緩衝板部58,58が互いに一体で形成されて弾性可動体54を構成することから、可動板56と緩衝板部58の当接時のエネルギーが、弾性可動体54全体の変形によって低減される。加えて、上下の緩衝板部58,58が収容空所52の上下壁内面に非接着で重ね合わされていることから、それら緩衝板部58,58と収容空所52の上下壁内面との摩擦によっても、エネルギーの減衰作用が発揮されて、打音の低減効果が有効に発揮される。
また、可動板56と上下一対の緩衝板部58,58が弾性可動体54として一体形成されていることから、部品点数の増加を要することなく、上記の如き緩衝作用に基づいた打音の低減効果を得ることができる。しかも、弾性可動体54が展開状態で成形されており、本実施形態では弾性可動体54の成形形状が略矩形板状とされていることから、弾性可動体54の成形も容易である。
さらに、弾性可動体54が折り曲げられた状態で仕切部材36の収容空所52に収容されており、折曲げに対する弾性反力によって可動板56の両端部が上下の緩衝板部58,58の各一方に当接している。それ故、可動板56の全体が緩衝板部58に対して離れた状態から打ち当たる場合に比して、可動板56と緩衝板部58の当接時の打音が低減される。しかも、可動板56の変位量が増すに従って接続部61のばねが硬くなることから、可動板56が収容空所52の壁内面に当接する際の速度が低減されて、打音が抑えられる。
更にまた、緩衝板部58で覆われた収容空所52の壁内面に対して、可動板56が相対的に傾斜しており、可動板56と収容空所52の壁内面との距離が左右で次第に変化している。それ故、可動板56と収容空所52の壁内面との当接初期の当接面積が小さくされると共に、図9に示すように、可動板56の変位量が増すに従って可動板56と収容空所52の壁内面との当接面積が徐々に増すようになっており、打音の低減効果が発揮される。
また、本実施形態では、緩衝板部58に窓部60が貫通形成されていると共に、窓部60が仕切部材36の上下透孔50,48と位置決めされており、窓部60を通じて受圧室62の液圧および平衡室64の液圧が可動板56に及ぼされるようになっている。それ故、収容空所52の壁内面が広い面積に亘って緩衝板部58で覆われて、可動板56の当接時に打音の低減が有利に実現される。
なお、本実施形態のエンジンマウント10では、本体ゴム弾性体16と一体形成されたストッパゴム24が第一の取付部材12と仕切部材36の軸方向対向面間に配置されている。これにより、衝撃的な大荷重の入力によって第一の取付部材12が仕切部材36への接近方向に大きく変位すると、第一の取付部材12と仕切部材36がストッパゴム24を介して当接することで、第一の取付部材12の変位量が制限されるようになっている。それ故、本体ゴム弾性体16の過大な変形が防止されて、本体ゴム弾性体16の耐久性が確保される。
図10には、本発明の第二の実施形態としての流体封入式防振装置を構成する弾性可動体80が示されている。なお、以下の説明において、第一の実施形態と実質的に同一の部材および部位については、同一の符号を付すことにより、説明を省略する。また、流体封入式防振装置の図示されていない部分については、第一の実施形態と同様の構造を採用可能である。
弾性可動体80は、ゴム弾性体やエラストマ等で形成されており、可動板56の上下各一方の側に上下の緩衝板部82,82を対向配置した構造とされている。本実施形態の緩衝板部82は、略矩形板状であって、円形断面で厚さ方向に貫通する3つの窓部84,84,84が形成されている。
また、弾性可動体80は、図11に示すような展開状態で成形されている。即ち、弾性可動体80は、下緩衝板部82の両側に、可動板56と上緩衝板部82との各一方を連接した形状で成形される。本実施形態では、成形状態の弾性可動体80において、可動板56と上緩衝板部82が、それぞれ下緩衝板部82から離れるに従って上方に傾斜している。要するに、可動板56と下緩衝板部82の境界部分である接続部86および上緩衝板部82と下緩衝板部82の境界部分である接続部88が、予め厚さ方向に湾曲乃至は屈折した形状で成形されている。
そして、接続部86を折り曲げて可動板56を下緩衝板部82の上方に対向するように配置した後、接続部88を折り曲げて上緩衝板部82を可動板56の上方に対向するように配置する。このように折り畳まれた弾性可動体80は、第一の実施形態と同様に、仕切部材36の収容空所52に配設されて、上下の緩衝板部82,82が収容空所52の壁内面に重ね合わされている。
このような本実施形態に従う構造とされた弾性可動体80を備える流体封入式防振装置においても、第一の実施形態のエンジンマウント10と同様の効果を得ることができる。
図12には、本発明の第三の実施形態に従う構造とされた流体封入式防振装置を構成する弾性可動体90が示されている。弾性可動体90は、可動板56と上下の緩衝板部82,82を一体で備えており、略矩形板状とされた可動板56の厚さ方向両側に、略矩形板状とされた上下の緩衝板部82,82が向かい合わせに配置された構造を有している。
この弾性可動体90は、図13〜図15に示す展開状態で成形されており、図14に示すように、可動板56が下緩衝板部82から短手方向で外側に延び出していると共に、上緩衝板部82が下緩衝板部82から長手方向で外側に延び出している。なお、可動板56および上緩衝板部82と下緩衝板部82との境界部分である接続部92,94は、それぞれが湾曲乃至は屈折した形状とされており、可動板56および上緩衝板部82が下緩衝板部82から離れるに従って上傾している(図13,図15参照)。
そして、接続部92を折り曲げて可動板56を下緩衝板部82の上方に対向配置した後、接続部94を折り曲げて上緩衝板部82を可動板56の上方に対向配置することで、弾性可動体90を折り畳み状態とする。この折り畳み状態の弾性可動体90が、仕切部材36の収容空所52に配設されて、上下の緩衝板部82,82が収容空所52の上下の壁内面の各一方に重ね合わされていると共に、可動板56が収容空所52内で上下方向の微小変位を許容されている。
このような弾性可動体90を備えた流体封入式防振装置においても、第一の実施形態のエンジンマウント10と同様の効果を得ることができる。なお、第一〜第三の実施形態からも明らかなように、可動板と上下の緩衝板部とを一体で備える弾性可動体の展開状態において、それら可動板と上下の緩衝板部の配置は、特に限定されるものではない。
図16には、本発明の第四の実施形態としての流体封入式防振装置を構成する弾性可動体100が示されている。弾性可動体100は、互いに連結されて上下に向かい合わせで配置される上下の可動板56,56と、それら可動板56,56の上下各一方の側に向かい合わせで配置される上下の緩衝板部82,82とを、一体で備えている。
この弾性可動体100は、図17に示すような展開状態で成形されて、折り畳まれた状態で仕切部材36の収容空所52に配設されるようになっている。即ち、折り畳まれる前の成形状態の弾性可動体100は、上下の可動板56,56が長手方向一端で接続部102によって相互に接続されていると共に、上下の可動板56,56の長手方向他端が上下の緩衝板部82,82の各一方に対してそれぞれ接続部104を介して接続されている。要するに、本実施形態では、上下の可動板56,56と上下の緩衝板部82,82が長手方向で直列的に連接されている。なお、本実施形態では、上下の可動板56,56と上下の緩衝板部82,82との境界部分である接続部104だけでなく、上下の可動板56,56相互の境界部分である接続部102も湾曲乃至は屈折形状とされており、側面視で略横転W形となっている。
そして、上下の可動板56,56相互間の接続部102と、上下の可動板56,56と上下の緩衝板部82,82との接続部104が、それぞれ折り曲げられることにより、上下の可動板56,56が互いに上下に対向配置されると共に、上下の可動板56,56の上下両側に上下の緩衝板部82,82の各一方が対向配置されて、弾性可動体100が折り畳み状態とされる。折り畳み状態とされた弾性可動体100は、第一の実施形態と同様に、仕切部材36の収容空所52に配設されて、上下の可動板56,56が収容空所52内で上下方向の変位を許容されると共に、上下の緩衝板部82,82が収容空所52の上下壁内面に重ね合わされる。
このような弾性可動体100を備えた流体封入式防振装置においても、第一の実施形態と同様の効果が発揮される。また、本実施形態の弾性可動体100からも明らかなように、可動板は、必ずしも1つだけに限定されず、複数が設けられても良い。なお、弾性可動体において緩衝板部を3つ以上設けることも可能である。
図18には、本発明の第五の実施形態としての流体封入式防振装置を構成する弾性可動体110が、展開状態で示されている。弾性可動体110は、可動板56の長手方向両側に、それぞれ略矩形板状とされた上下の緩衝板部112,114の各一方が一体形成された構造を有している。上緩衝板部112には、長手方向の両端部分に配置された一対の幅広窓部116,116と、長手方向の中間部分で短手方向に並んで配置された一対の窓部60,60とが形成されて、それぞれ厚さ方向に貫通している。下緩衝板部114は、長手方向に延びる一対の長窓部118,118が短手方向に並んで形成されて、厚さ方向に貫通している。
このように、弾性可動体の緩衝板部に形成される窓部の形状は、必ずしも一様である必要はなく、1つの緩衝板部に形状の異なる複数種類の窓部が形成されていても良いし、緩衝板部ごとに異なる形状の窓部が形成されていても良い。
図19には、本発明の第六の実施形態としての流体封入式防振装置を構成する弾性可動体120が、展開状態で示されている。弾性可動体120は、略角丸矩形板状の可動板122と、可動板122の両側に一体形成された略矩形板状の上下の緩衝板部58,58とを一体で備えている。
可動板122と上下の緩衝板部58,58は、展開状態で互いに所定の距離を隔てて配置されており、それら可動板122と上下の緩衝板部58,58との境界部分が接続部124,124によって構成されている。接続部124,124は、可動板122と上下の緩衝板部58,58とを短手方向の中央部分で相互に連結しており、可動板122および上下の緩衝板部58,58と略同じ厚さ寸法で、且つ可動板122および上下の緩衝板部58,58よりも狭幅とされている。これにより、接続部124,124は、可動板122および上下の緩衝板部58,58に比して、厚さ方向の曲げ変形剛性が小さくされており、接続部124,124を厚さ方向に折り曲げることで、可動板122と上下の緩衝板部58,58を容易に向かい合わせに配置できる。
このように、可動板122と上下の緩衝板部58,58との境界部分である接続部124,124の断面積を小さくする等して、変形剛性(ばね)を小さくすれば、可動板122と上下の緩衝板部58,58を対向配置させた状態で収容空所52に配設するのが容易になる一方、可動板122の剛性が確保されて、防振特性が入力振動に応じて有効に切り替えられると共に、緩衝板部58の緩衝作用が充分に発揮されて、可動板122の当接による打音が低減される。
図20には、本発明の第七の実施形態としての流体封入式防振装置を構成する弾性可動体130が、展開状態で示されている。弾性可動体130は、略円板形状の可動板132と、略円環板形状の上下の緩衝板部134,134が、接続部124,124で相互に連結されて一体形成された構造を有している。なお、本実施形態では、上下の緩衝板部134,134の中心孔が窓部136とされており、各緩衝板部134に円形断面の窓部136が1つずつ形成されている。
このように、可動板および緩衝板部の形状は、収容空所の形状等に応じて設定されるものであって、矩形板状や円板状の他、各種の多角板状や楕円板状、異形板状等、任意の形状が採用され得る。
図21,図22には、本発明の第八の実施形態としての流体封入式防振装置を構成する弾性可動体140が展開状態で示されている。弾性可動体140は、可動板56と上下の緩衝板部58,58との境界部分である接続部142,142が、それぞれ切欠き部144を備えている。切欠き部144は、可動板56と上下の緩衝板部58,58との境界部分を短手方向に直線的に延びる溝状とされており、接続部142,142が、切欠き部144の形成部分において、可動板56および上下の緩衝板部58,58よりも薄肉とされている。なお、本実施形態の切欠き部144は、略V字断面で延びているが、半円形断面や矩形断面等であっても良い。
このような切欠き部144が接続部142,142に形成されることで、弾性可動体140では、可動板56と上下の緩衝板部58,58の境界部分の曲げ変形剛性が、可動板56および上下の緩衝板部58,58の曲げ変形剛性よりも小さくされている。それ故、可動板56と上下の緩衝板部58,58との境界部分(接続部142,142)を簡単に折り曲げることができて、可動板56の上下両側に上下の緩衝板部58,58を配置し易くなる。
なお、曲げ変形剛性の小さい接続部は、例えば、厚さ方向の少なくとも一方の面に溝乃至は凹所を形成して、接続部の厚さ寸法を可動板および緩衝板部よりも小さくしたり(図21,図22参照)、幅方向の少なくとも一方の面に溝乃至は凹所を形成して、接続部の幅寸法を可動板および緩衝板部よりも小さくする(図19参照)他、厚さ方向に貫通するスリット乃至は孔を接続部に断続的に形成してミシン目状の切込みを設けることによっても得ることができる。
図23,図24には、本発明の第九の実施形態としての流体封入式防振装置を構成する弾性可動体150が、展開状態で示されている。弾性可動体150は、略矩形板状とされた可動板152の長手方向両側に、上下の緩衝板部154,154の各一方を配置した構造とされている。
より詳細には、可動板152は、略一定の厚さで形成された略矩形板状の弾性体であって、厚さ方向に貫通する略コの字形のスリット156によって、舌片状の弁部158が形成されている。
上下の緩衝板部154,154は、互いに略同一形状とされており、可動板152よりも厚肉の略矩形板状とされていると共に、厚さ方向に貫通する3つの窓部84,84,84を備えている。なお、可動板152と上下の緩衝板部154,154を接続する接続部124,124は、可動板152と略同じ厚さとされており、接続部124,124の曲げ変形剛性(ばね)が緩衝板部154,154に比して充分に小さくされている。
このような構造とされた弾性可動体150を折り畳み状態で備える流体封入式防振装置によれば、厚肉とされた上下の緩衝板部154,154によって、可動板152と収容空所52の壁内面との当接時に、緩衝作用が効果的に発揮されることから、打音が有利に防止される。
しかも、可動板152に弁部158が形成されており、キャビテーションが問題となる程の過大な入力時には、弁部158が変形することで可動板152を貫通する短絡孔が形成されて、受圧室62の負圧が速やかに低減される。それ故、キャビテーションに起因する異音の発生が防止される。
なお、キャビテーション異音を防止するための構造は、特に限定されるものではなく、例えば、可動板にスリットを形成して、受圧室62の負圧が一定以上の場合にのみ該スリットが解放されるようにしても良い。
図25,図26には、本発明の第十の実施形態としての流体封入式防振装置を構成する弾性可動体160が、展開状態で示されている。弾性可動体160は、矩形板状とされた可動板162の長手方向両側に、上下の緩衝板部164,166の各一方が、接続部124を介して一体形成された構造とされている。
可動板162は、長手方向で略等間隔に配置された3つの緩衝突起168,168,168を備えている。緩衝突起168は、厚さ方向両側にそれぞれ略半円形断面をもって突出しており、略一定の断面形状で短手方向全長に亘って延びている。
上下の緩衝板部164,166は、略矩形板状であって、三角形断面で厚さ方向に貫通する窓部170を備えている。更に、上緩衝板部164には、折り畳み状態における可動板162との対向面にそれぞれ半球形状を呈する2つの当接凸部172,172が形成されている。
このような弾性可動体160を折り畳み状態で備える流体封入式防振装置によれば、可動板162と上下の緩衝板部164,166との当接時に、緩衝突起168の突出先端が当接することで、当接初期における当接面積の低減が図られて、打音の低減がより有効に実現される。しかも、可動板162が上緩衝板部164に当接する際には、当接凸部172によって更なる当接面積の低減が図られることから、打音を一層効果的に低減できる。
なお、緩衝突起168や当接凸部172のような、初期の当接面積を低減するための緩衝用の凹凸やシボ等は、その形状や大きさ等が限定されるものではない。
図27には、本発明の第十一の実施形態としての流体封入式防振装置を構成する弾性可動体180が、展開状態で示されている。弾性可動体180は、略矩形板状とされた可動板56の対角方向両側に、上下の緩衝板部82,82の各一方が配置された展開状態で成形されている。なお、可動板56と上下の緩衝板部82,82は、可動板56の角部から対角方向外側に延び出す接続部124,124によって、相互に一体で接続されている。
このような弾性可動体180は、接続部124,124を折り曲げることで、上下の緩衝板部58,58が可動板56の上下に向かい合わせで配置された折り畳み状態とされて、仕切部材36の収容空所52に配設されている。
本実施形態の弾性可動体180からも明らかなように、弾性可動体は、可動板と緩衝板部が折り畳み状態で厚さ方向に対向配置されるようになっていれば、展開状態において可動板と緩衝板部の配置は限定されない。
図28には、本発明の第十二の実施形態としての流体封入式防振装置を構成する弾性可動体190が示されている。弾性可動体190は、可動板56にプレート状乃至はシート状の補強部材192が埋設状態で固着された構造を有している。なお、補強部材192は、特に限定されるものではないが、例えば、金属や合成樹脂、布等で形成され得る。
このような補強部材192が可動板56に固着された構造を採用すれば、可動板56の変形剛性が高められることから、可動板56の変形による液圧吸収作用が低減されて、低周波大振幅振動の入力時に、オリフィス通路70による防振効果を有利に得ることができる。しかも、補強部材192の表面が弾性体である可動板56で覆われていることから、当接時の打音が増すのを防ぐことができる。
図29には、本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置の第十三の実施形態として、自動車用のエンジンマウント200が示されている。エンジンマウント200は、仕切部材202の収容空所204に弾性可動体206が配設された構造を有している。
より詳細には、仕切部材202を構成する仕切部材本体208には、収容凹所210が形成されていると共に、収容凹所210の開口部付近には、左方に広がる保持凹部212が形成されており、それら収容凹所210および保持凹部212の開口部を蓋板部材40で覆うことで、収容空所204が形成されている。更に、保持凹部212には、底面から上方に突出する小径軸状の係止突部214が形成されている。
弾性可動体206は、上緩衝板部216が下緩衝板部58よりも左右方向で長くなっており、上緩衝板部216の左端部が、可動板56および下緩衝板部58よりも左方に突出している。更に、上緩衝板部216の左端部には、厚さ方向に貫通する小径の係止孔218が形成されている。そして、弾性可動体206の収容空所204への配設状態において、上緩衝板部216が保持凹部212に差し入れられており、仕切部材本体208の係止突部214が上緩衝板部216の係止孔218に嵌入されていると共に、保持凹部212の底面と蓋板部材40との間で上下に挟まれている。
このような構造を有するエンジンマウント200によれば、仕切部材本体208の係止突部214を弾性可動体206の係止孔218に嵌入することで、弾性可動体206を収容凹所210に折り畳み状態で収容保持し易くなる。それ故、展開状態で成形された弾性可動体206であっても、収容空所204に収容配置し易くなって、製造の容易さを実現できる。しかも、このような収容凹所210への保持は、係止突部214を係止孔218に嵌入するだけの簡単な作業で実現されることから、接着等を要することもなく、容易に組み付けることができる。
図30には、本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置の第十四の実施形態として、自動車用のエンジンマウント220が示されている。エンジンマウント220は、仕切部材36の収容空所52に弾性可動体222と緩衝ゴム層224を配設した構造とされている。
弾性可動体222は、可動板56と上緩衝板部58を一体形成した構造を有しており、それら可動板56と上緩衝板部58との境界部分である接続部61を折り曲げて、可動板56の上方に上緩衝板部58が対向配置された状態で、収容空所52に収容配置されている。なお、上緩衝板部58は、収容空所52の上壁内面に当接状態で重ねわされている。
また、可動板56の下方には、緩衝ゴム層224が配設されている。この緩衝ゴム層224は、略矩形板状のゴム弾性体であって、弾性可動体222とは別体とされており、収容空所52の下壁内面に固着されている。なお、緩衝ゴム層224には、緩衝板部58の窓部60と略同一形状の窓部226が貫通形成されており、可動板56の下面には窓部226を通じて平衡室64の液圧が及ぼされている。
このような構造とされたエンジンマウント220によれば、可動板56が収容空所52の上壁内面に当接する際の打音が、上緩衝板部58の緩衝作用に基づいて低減される一方、可動板56が収容空所52の下壁内面に当接する際の打音が、緩衝ゴム層224の緩衝作用に基づいて低減される。このように、緩衝板部は必ずしも可動板の上下両側に設けられていなくても良く、緩衝板部を可動板の何れか一方側にのみ配置すると共に、可動板の何れか他方側には別体の緩衝ゴム層等を設けても良い。なお、可動板が収容空所の壁内面に当接する際の打音が問題にならない場合には、緩衝用の部材(緩衝ゴム層224)を省略することもできる。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、緩衝板部は、弾性可動体の展開状態において必ずしも可動板の側方に配置されていなくても良い。
また、前記実施形態では、可動板が当接する収容空所の上下壁内面の略全面が緩衝板部で覆われているが、例えば、緩衝板部が狭幅とされる等して、収容空所の上下壁内面が部分的に緩衝板部で覆われていても良い。更に、緩衝板部が可動板よりも狭幅とされる等して、緩衝板部の幅方向外側から可動板に主液室および副液室の液圧が及ぼされる場合には、緩衝板部の窓部は省略され得る。
また、緩衝板部は収容空所の上下壁内面に固着されていても良く、その場合には緩衝板部の全体が収容空所の上下壁内面に固着されていても良いが、例えば、弾性可動体を収容空所に配設する際に、位置決めされて作業が容易になる程度に部分的に接着すれば、非接着部分と収容空所の壁内面との摩擦等に基づいたエネルギー減衰作用が発揮されて、打音が効果的に低減され得る。
また、緩衝板部は、可動板の厚さ方向一方の側に複数が重ね合わされて配置することも可能であり、緩衝板部間の摩擦等によって可動板の当接打音が有利に低減される。更に、可動板に対して向かい合わせに配置される緩衝板部を複数の分割構造とすることも可能であり、可動板の厚さ方向一方の側に複数の緩衝板部が略同一平面上で広がるように配置されていても良い。このような構造は、例えば、複数の緩衝板部がそれぞれ可動板よりも小さい軸方向投影面形状で形成されて、各緩衝板部が可動板の互いに異なる部位と対向して配置されることで、実現され得る。
本発明は、エンジンマウントにのみ適用されるものではなく、例えば、サブフレームマウントやボデーマウント、デフマウント、サスペンションブッシュ等、公知の各種構造を有する流体封入式防振装置に適用可能である。更に、本発明の適用範囲は、自動車用に限定されるものではなく、自動二輪車や鉄道用車両、産業用車両等に用いられる流体封入式防振装置にも適用され得る。
10,200,220:エンジンマウント、12:第一の取付部材、14:第二の取付部材、16:本体ゴム弾性体、34:流体室、36,202:仕切部材、52,204:収容空所、54,80,90,110,120,130,140,150,160,180,190,206,222:弾性可動体、56,122,132,152,162:可動板、58,82,112,114,134,154,164,166,216:緩衝板部、60,84,136,170,226:窓部、61,86,104,124,142:接続部(可動板と緩衝板部の境界部分)、62:受圧室(主液室)、64:平衡室(副液室)

Claims (6)

  1. 第一の取付部材と第二の取付部材が本体ゴム弾性体によって弾性連結されて、壁部の一部が該本体ゴム弾性体で構成されて非圧縮性流体を封入された流体室が形成されており、該流体室が該第二の取付部材で支持された仕切部材によって主液室と副液室に仕切られていると共に、該仕切部材の内部に形成された収容空所に可動板が配設されており、該可動板の両面には該主液室の液圧と該副液室の液圧との各一方が及ぼされて、該可動板がそれら主液室と副液室の相対的な液圧変動による該収容空所内での変位を許容されている流体封入式防振装置において、
    前記収容空所には前記可動板と緩衝板部とを一体で備える弾性可動体が配設されていると共に、該弾性可動体が展開状態で成形されて該可動板と該緩衝板部の境界部分を折り曲げてそれら可動板と緩衝板部とを向かい合わせに配置させた状態で該収容空所に配設されており、該可動板と該収容空所の壁内面との当接によって該可動板の変位量を制限するストッパ手段が構成されていると共に、該緩衝板部が該収容空所の少なくとも一方の壁内面に重ね合わされて、該可動板が該収容空所の少なくとも一方の壁内面に該緩衝板部を介して当接するようにされていることを特徴とする流体封入式防振装置。
  2. 前記弾性可動体が前記可動板と複数の前記緩衝板部を一体で備えており、それら複数の緩衝板部が前記収容空所内で該可動板の厚さ方向両側に配置されている請求項1に記載の流体封入式防振装置。
  3. 前記可動板の面方向の両端部にそれぞれ前記緩衝板部が一体で接続されており、前記弾性可動体の前記収容空所への配設状態において、それら緩衝板部が該可動板の各一方の面と向かい合わせに配置されていると共に、該可動板における何れか一方の該緩衝板部との接続端部が、何れか他方の該緩衝板部に当接している請求項2に記載の流体封入式防振装置。
  4. 前記弾性可動体の展開状態において前記緩衝板部が前記可動板の側方に配置されている請求項1〜3の何れか1項に記載の流体封入式防振装置。
  5. 前記可動板と前記緩衝板部の境界部分における曲げ変形剛性が、該可動板および該緩衝板部の曲げ変形剛性よりも小さくされている請求項1〜4の何れか1項に記載の流体封入式防振装置。
  6. 前記緩衝板部には厚さ方向に貫通する窓部が形成されており、前記主液室の液圧と前記副液室の液圧の少なくとも一方が該窓部を通じて前記可動板に及ぼされている請求項1〜5の何れか1項に記載の流体封入式防振装置。
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