JP4721482B2 - 神経再建用基材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は事故等により切断、あるいは欠損が生じた神経を再建し、接合するための神経再建用基材に関するもので、特に、ラミニン等の神経細胞誘導物質を用いることなく、生体内で吸収性を有する材料を繊維状に成形したものを束ねた神経を再建し、接合するための神経再建用基材に関する。
【0002】
【従来技術】
従来末梢神経が切断、あるいは欠損を生じた場合には、切断した神経を縫合したり、あるいは欠損により縫合ができない場合には他の部位から取り、それを欠損部分に移植することが行われる。しかし切断した神経を縫合する際、その向きを慎重にあわせることが重要となり技術を要する。また、欠損部分に他の部位から採取し、移植する場合は、2カ所に手術を行うことが必要となり患者に負担が大きい等の問題があった。また、欠損部分を補う為に正常な他の神経を犠牲にしなければならず、採取できる神経の数、長さ、直径等制限されることが多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで高等な技術を要することなく、また患者に負担をかけることなく神経を再建する事が出きる基材が望まれ研究が行われてきた。例えばシリコーンチューブに切断された神経断端を入れることにより、欠損がある神経でも再生することができることが示された。しかし神経が再生した後にそのチューブを除くための二次手術が必要となるために、次に吸収性の材料、例えばコラーゲンでチューブを作ることが行われ、それにより神経を再生することができた。しかし指のように関節部位に適応した場合には、指の屈曲によりチューブの管腔が閉塞されるため、リハビリテーションを早期に行うには困難があるといった問題が残っていた。 この問題を解決するために特開平5−237139号には神経再生補助剤が提案されている。この神経再生補助材は、ラミニン及びフィブロネクチンをコーティングしたコラーゲンファイバーの束からなっている。しかしこの場合にはラミニン及びフィブロネクチンという神経細胞誘導物質が必須であり、そのためにそれら活性物質の接着方法、接着量、あるいは活性の保持等が大きな問題となる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、神経細胞誘導物質を用いることなく神経再建用の基材について種々検討した結果、生体内にて吸収性を有する材料からなる繊維であって、該繊維を特定の太さ及び特定の本数以上を束ねることによって、ラミニン及びフィブロネクチンといった神経細胞誘導物質をコーティングすることなく神経を再建できることを見出し、本発明を完成したもので、本発明の目的はラミニン及びフィブロネクチンといった神経細胞誘導物質をコーティングすることない神経再建用基材を提供することである。本発明の要旨は、生体内にて吸収性を有する材料よりなる繊維を束ねた神経再建用基材であって、該神経再建用基材は、生理的食塩水により膨潤した際、その繊維が10〜60μmの径を有し、且つ、1500本/φmm以上の繊維束のみからなり、前記生体内にて吸収性を有する材料が、ポリ乳酸、ポリグリコール酸の合成高分子、あるいはコラーゲン、キチン、キトサン、ヒアルロン酸の天然高分子の何れかであることを特徴とする神経再建用基材である。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明について詳細に述べる。
本発明の基材の材料である生体内吸収性材料としてはポリ乳酸、ポリグリコール酸等の合成高分子、あるいはコラーゲン、キチン、キトサン、ヒアルロン酸等天然高分子をあげることができるが、特にコラーゲンが望ましい。この場合のコラーゲンとしては、不溶性、可溶性いずれのコラーゲンでも良く、特に可溶性としては酵素可溶性、酸可溶性、アルカリ可溶性、塩可溶性等のものが含まれる。またこれらコラーゲンの化学修飾体でも良い。化学的修飾体としてはサクシニル化、アセチル化等アシル化コラーゲン、メチル化等エステル化コラーゲン等を挙げることが出来る。
さらにコラーゲンのタイプとして特に制限は無いが、I型、III型、IV型、V型等が望ましい。またリコンビナントコラーゲンも使用することができ、特にヒトリコンビナントコラーゲンが望ましい。
これらの材料よりなる繊維を形成する。繊維形成手段としては湿式、乾式等の通常の方法により製造することができる。一例として具体例を示すと、酸性のアテロコラーゲン溶液を所望の径、数のノズルより塩溶液、あるいは有機溶媒等の凝固浴に押し出すことで基材の繊維を作ることができる。
【0006】
繊維の太さは10〜60μmの範囲にあり、これより細すぎても太すぎても神経の再生は十分ではなかった。この繊維を束ねる。繊維束の繊維の本数については1500本/φmm以上が望ましくこれより少ない場合には十分に神経のガイドとして働くことが無かった。
この基材では生体内での吸収速度も重要となるが、その速度を調整するために繊維成形した後に架橋を導入することもできる。この場合、架橋としては神経再生を抑えるものでなければいかなる方法でも良く、物理的架橋剤として熱、紫外線、γ線架橋等、化学的架橋剤としてホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、ジアルデヒドデンプン等のアルデヒド化合物、ヘキサメチレンジイソシアナート等のイソシアナート化合物、デナコール(長瀬産業製)等のエポキシ化合物等を挙げることができる。なお化学架橋剤の影響を除くため、十分な洗浄、あるいは失活等の処理を行うことも重要で、例えば化学架橋処理後にグリシン等のアミノ化合物等の反応性の高い化合物で処理することができる。
本基材の物性として神経のテンションに耐える強度を持つことも必要である。具体的には再生させる神経の部位にもよるが、最低でも100KPa程度の破断強度は必要である。
【0007】
【実施例及び比較例】
以下に本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
実施例1
アテロコラーゲンの3%塩酸酸性溶液を調製後、この溶液をホールの直径が20μm、ホール数2000のノズルより、硫酸ナトリウムの飽和溶液に押し出しアテロコラーゲンの繊維を作成した。この繊維をデナコールEX810(長瀬産業製)を5%有したpH10.0の溶液に移し、一晩振盪させ架橋を導入した。架橋の後、この繊維を十分水で洗浄し、さらにグリシンを水溶液を7%含有したpH10.0の溶液に一晩入れ未反応のエポキシ基の失活を行った。さらに水で十分に洗った後、この繊維を含む液を凍結乾燥し繊維束を得た。
この繊維束をラットの坐骨神経欠損部に入れ、その神経両端を束の両端に固定し埋植した。埋植後一ヶ月後に神経を取り出し光学顕微鏡及び透過電子顕微鏡による病理観察を行った。
自家神経移植を対照とした。ラット座骨神経を20mm切除し同部に直径1mm長さ20mmのコラーゲン繊維束または、一旦切除した座骨神経を移植した。移植部の末梢端部より3mm末梢の部位で、再生神経数は、繊維束移植群で平均、約2800本に対し自家神経移植群では2200本であり、再生有随神経の平均直径も繊維束移植群では平均、3.5μmに対し自家移植群では3.3μmと、繊維束移植群が自家神経移植群より良好な神経再建を示した。コラーゲン繊維は神経再生と共に分解、吸収された。従来ラット座骨神経に於いて20mmの欠損を人工物で修復することは極めて困難であり、本コラーゲン繊維束は神経再建基材として極めて有用である。
【0008】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明は、ラミニン及びフィブロネクチンといった神経細胞誘導物質をコーティングすることなく、単に特定範囲の繊維径を有する繊維を特定の本数を束ねた神経再建用基材であり、その構成は極めて容易であり、該神経再建用基材を使用することによって、従来のように正常な他の神経を犠牲せずに神経を再生することが出来る。
Claims (1)
- 生体内にて吸収性を有する材料よりなる繊維を束ねたことを特徴とする神経再建用基材であって、該神経再建用基材は、生理的食塩水により膨潤した際、その繊維が10〜60μmの径を有し、且つ、1500本/φmm以上の繊維束のみからなり、前記生体内にて吸収性を有する材料が、ポリ乳酸、ポリグリコール酸の合成高分子、あるいはコラーゲン、キチン、キトサン、ヒアルロン酸の天然高分子の何れかであることを特徴とする神経再建用基材。
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